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50年の歳月を経てリリースされた『Piper-Heidsieck Hors-Série パイパー・エドシック オール・セリィ1971』 [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

 希少なアイテムを堪能
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 左から順に
 #1:シャルル・エドシック ブラン・デ・ミレネール2006  
 #2:パイパー・エドシック オール・セリィ1971
 #3:ポル・ロジェ リッチNV
 #4:マム アイス・エクストラNV
 #5:パイパー・エドシック シュブリームNV

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 カラフルなキャップシュール



 パイパーとシャルルの関係は⁈
 シャンパーニュのパイパー・エドシックとシャルル・エドシックは、
 フランスのラグジュアリーブランド企業EPIグループの傘下で、同グループには、
 高級靴で有名なJ.M.Westonや、子供服Bonpointなどが名を連ねています。

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 シャンパン業界の3つのエドシック、両メゾンの繋がりは無しです。
 シャンパーニュ講座用に作成したパワポを添付しておきます。

 シェフ・ド・カーヴを見ると・・・
 シャルルの現シェフ・ド・カーヴは4代目シリル・ブランさん
 2代目はレジス・カミュさんでした。
 パイパーの現シェフ・ド・カーヴは3代目エミリアン・ブティヤさん
 2代目はレジス・カミュさんでした。

 両メゾンの多大なる貢献者レジスさんは本日/12月31日付で引退なさいました。
 まだまだ、ご活躍できる卓越した才能の持ち主です。
 コロナ渦中、来日もままならずだったので、本当に残念です。
 来年1月にオンラインによる引退式が予定されているので、その日にご挨拶いたします。
 素晴らしいお仕事の数々、こころに残るシャンパーニュたちと出逢えて幸せでした。
 お疲れ様でした!


 オンラインでシェフ・ド・カーヴから解説していただいた2アイテム
 10月27日にブティヤさんと『オール・セリィ1971』を試飲
 ブティヤさんのバースディ・ヴィンテージでもあります!
 ちなみに、カミュさん引退後は、彼がレアのシェフ・ド・カーヴを兼任なさる由

 11月22日にシリル・ブランさんが『ブラン・デ・ミレネール2006』について解説


 第1フライトはブラン・デ・ミレネール2006とオール・セリィ1971
 長い熟成状態を感じさせるコルクの締まり具合

 #1:シャルル・エドシック ブラン・デ・ミレネール2006  2021年12月1日発売
 生産者:シャルル・エドシック(NM)
 ぶどう品種:シャルドネ100%
 デゴルジュマン:2019年3月
 ドザージュ:7g/L
 価格:36,300円(税込)
 輸入元:日本リカー

グリーンを帯びた黄金色、気泡は繊細で活発、ブラッドオレンジやグレープフルーツの様な柑橘系果実、アプリコットやフレッシュなパイナップルの香り、ぴ~んと張り詰めた石灰質のカーヴを感じさせるミネラル感、白胡椒、特徴的とも言える塩味、ローストのニュアンス、軽いビター感、上品に広がる心地良い余韻、今後の熟成が楽しみ!


 #2:パイパー・エドシック オール・セリィ1971 2021年10月27日出荷開始
 生産者:パイパー・エドシック(NM)
 生産本数2021本、日本への入荷本数300本
 収穫:1971年9月
 ぶどう品種:シャルドネ、ピノ・ノワール
 ブレンド:1972年3月、GCとPCの12村のぶどう
 ボトリング:1972年7月26日~30日
 デゴルジュマン:2021年2月/ノン・マロ(非MLF)
 ドザージュ:10g/L
 価格:71,500円(税込)
 輸入元:日本リカー

オール・セリィは号外・番外編の意味。1970年代のシェフ・ド・カーヴ、クロード・ドゥミエールさん(現在92歳)が手掛けたシャンパーニュ(メゾンの創始者フローレンス・ルイ・エドシックへのオマージュとして生産していた『キュヴェ・フローレンス』)。50年間カーヴで静かに寝ていたシャンパーニュを起こして澱を抜いたのが今年の2月、人間なら大手術です。門出のリキュールには2019年収穫のシャルドネ(ノン・マロ)を使用。その後、6ヶ月以上シャンパーニュを静養させ、今秋日本に上陸しました。

黄金色、気泡はワインに溶け込み、舌触りはクリーミー。第一香はシェリーの様な酸化のニュアンス、その後、鼻腔を軽くなでるように、黒糖、ドライアプリコット、焙煎コーヒー、ロースト香、果実の甘露煮、エスニックスパイスが広がり、口に含んで目を閉じて10秒以上シャンパーニュを転がしてみると、口中の温度で複雑味が増し、香りの変化が層をなしてくる魅力。半世紀の時を経た逸品、50年という時を感じさせないフレッシュ感(ノン・マロ効果)は素晴らしい!


  色調、気泡の状態にも差があり、貴重なアイテムでした!

     1983年、1985年、1990年、1995年、2004年に継ぐ2006年
     メゾン史上、5番目のヴィンテージになります。
     2002年と1989年に匹敵する成熟度で、質・量ともに豊かな年
     シリル・ブランさんは「1995年に似ている」と述べていました。


 コート・デ・ブランの4つのGCと1つのPCのシャルドネを使用

 GCはアヴィーズ、クラマン、オジェ&ル・メニル・シュール・オジェ
 PCはヴェルテュ、ここは年によって出来が違うので、その特質を生かして使用


    パイパー・エドシック オール・セリィのコンセプトは
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   他に類するものがない独立性、少量生産、卓越性があり模範となりうるスタイル


 ラベルにはシリアルナンバーを印字、講座で供出したのは823、831
 木箱には国内の森から採取された硬いオーク材を使用
 オークはオール・セリィ同様、50年の樹齢
 色合いや木目がひとつずつ異なっている木製のボックスです。

 メイラード反応/アミノカルボニル反応
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ソムリエ協会機関誌編集長時代、エノログの戸塚昭先生に上記の反応について伺いました。
シャンパーニュの瓶内二次発酵時に発生する香りを経時的に解析した報告はないようですが、各種アミノ酸とグルコースを加熱した時に生成する香りを分析した結果から類推して、シャンパーニュの瓶内二次発酵時に生成するカラメル様、チョコレート様、焙煎コーヒー様の香りは、アミノカルボニ反応によるものと思われるとのことでした。

先生は「近年、辛口ワインが主流で、セックやドゥミ・セックは市場性が低いので、クラシックなタイプのシャンパーニュの風味を楽しみたい者にとっては残念なことで、アミノカルボニル反応に伴って生成すると類推される複雑な風味が減少している」とおっしゃっていましたが、オール・セリィには、その風味がしっかりとあり、古酒の醍醐味を満喫できました。貴重なシャンパーニュでした!



  まぁ、ミラヴァル城
 1971年にエルトン・ジョンが『ロケットマン』をレコーディングしたのが、
 現在ブラピが所有しているシャトーミラヴァル(右/エルヴィル城と記載あり、これはミラヴァル)
 繋がっていますね。

 1970年代にプレイバック
 懐かしい懐かしい曲と出会えるかも・・・
 ジョン・レノンのイマジンは1971年の代表作
 QRコードでお試しください



 第2フライトは3種のドゥミ・セック

 #3:ポル・ロジェ リッチNV
 生産者:ポル・ロジェ(NM)
 ぶどう品種:ピノ・ノワール、シャルドネ、ムニエ各3分の1ずつ
 最低36ヶ月熟成、
 ドザージュ:34g/L
 価格:7,700円(税込)
 輸入元:ジェロボーム

ポル・ロジェはブリュット・レゼルヴ、ピュア(エクストラ・ブリュット)、リッチの3アイテムとも3品種(PN、CH、M)同率なので、それらを同時に利き比べるチャンスがあれば、メゾンスタイルやドゥミ・セックの甘さの具合が、他のメゾンよりつかみやすいと思います。ドライフルーツや蜜蝋、スパイスの香り、口中クリーミー、余韻にキャラメルのニュアンスとビター感

 #4:マム アイス・エクストラNV
 生産者:メゾン・マム(NM)
 ぶどう品種:ピノ・ノワール51%、ムニエ34%、シャルドネ15%
 最低20ヶ月熟成、アメリカンオークで熟成させたリザーヴワインを使用
 ドザージュ:35g/L
 価格:8,470円(税込)
 輸入元:ペルノ・リカール・ジャパン

3つのなかで、一番甘やかでヴァニラビーンズやキャラメルの香り、蜂蜜やアメリカンオーク由来のヴァニラ感、女性の講座生からの受けが良かった印象

 #5:パイパー・エドシック シュブリームNV
 生産者:パイパー・エドシック(NM)
 ぶどう品種:ピノ・ノワール50%、ムニエ30%、シャルドネ20%
 最低36ヶ月熟成、リザーヴワインは約25%使用
 ドザージュ:35g/L
 価格:7,920円(税込)
 輸入元:日本リカー

ヴァニラやトロピカルフルーツの香り、味わいは凝縮した果実、酸味の印象もあり、全体のバランス良好、第2フライトのマイベスト

 ドゥミ・セックのドザージュ量は32~50g/L
 ノン・ドゼやブリュット全盛の時代なので、講座生の一部から「あまい!」との声が!
 でも、不況時には甘口ワインがよく動きますし、コロナ渦中、ストレスが溜まっている時
 には甘露な存在、癒し効果ありますよ。
 ロックや好きなフルーツを使ったカクテル、甘さを緩和したいなら炭酸を少々加えてもOK
 自由な発想で楽しめます。
 ブルーチーズ、カラメリゼした洋なしなどのデザートや、
 お正月のお節なら、栗きんとんや甘めに味付けした品目とも合わせやすいです。


 ナイスマリアージュだったマムとマアム
 アメリカンオークを使ったリザーヴワインとカントリーマアムのヴァニラ風味が相乗

 慣れ親しんだ6階のお教室とお別れ
 2016年から慣れ親しんできた605教室、603教室の使用は今年で終わり。
 来年からは4階と5階のみになるため、講座生の皆さんと記念ショット[カメラ]
 NHK文化センターは長テーブルに1名着席、マスク&フェイスシールド着用厳守なので、
 コロナに悩まされることなく、無事講座を追えることができました。

 第3週&第4週のクラスに1971年生まれが、それぞれ1名ずついらしたので、
 木箱・ボトル・キャップシュール[プレゼント]


 今年もブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございました。
 オリンピックが終わったので、
 来年からワインアカデミー@ホテルオークラの担当講座も再開します。 
 シャンパン講座と併せて頑張りますので、引き続き、宜しくお願いします。

 どうぞ、良いお年をお迎えくださいませ[わーい(嬉しい顔)]
 
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ローラン・ペリエのメゾンスタイルが顕著な『ブラン・ド・ブラン ブリュット・ナチュール』 [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

 シャルドネを要とするメゾン『ローラン・ペリエ』 
 トゥール・シュール・マルヌにあるローラン・ペリエ/LPの庭に広がるシャルドネ畑


 供出した5アイテム
 LPが満を持してリリースした『ブラン・ド・ブラン ブリュット・ナチュール』(中央)



 第1フライト
 
 

 #1:ローラン・ペリエ ラ・キュベNV
 生産者:ローラン・ペリエ(NM)
 ぶどう品種:シャルドネ50~55%、ピノ・ノワール30~35%、ムニエ15~20%
 ドザージュ: 8~10g/L
 価格:7.020円(税別)
 輸入元:サントリーワインインターナショナル(株)

メゾンの定番だった『ブリュット L・P』を刷新して、2017年にデビューさせたアイテム。シェフ・ド・カーヴのミシェル・フォコネさんが15年の構想を経てリリースさせたLP自慢のNV。シャルドネの比率は、ブリュットL・Pより5%アップさせ、シャルドネを重視するスタイルを明確に表現。気泡は細やか、香りは柑橘果実や白い花、果実の凝縮感、白胡椒、GFの内果皮似の軽いビター感、ミネラル、フレッシュでバランス良好


 #2:ドゥラモット ブリュット ブラン・ド・ブランNV
 生産者:ドゥラモット(NM)
 ぶどう品種:シャルドネ100%
 ドザージュ:非公開
 価格:8,500円(税別)
 輸入元:(株)ラック・コーポレーション

ローラン・ペリエ傘下のサロンとドゥラモットはシャルドネ100%の素晴らしいシャンパンを生み出しています。コート・デ・ブランのグランクリュのみから造られた#2は、#3と比べてより色白。フローラルな香り、石灰由来のミネラル感、塩味、ビスケット、軽いビター感、口中クリーミー、全体にまるい印象


 #3:ローラン・ペリエ ブラン・ド・ブラン ブリュット・ナチュールNV 【限定発売】
 生産者:ローラン・ペリエ(NM)
 ぶどう品種:シャルドネ100%
 ドザージュ:0g/L
 価格:14,720円(税別)
 輸入元:サントリーワインインターナショナル(株)

ノン・ドゼの先駆者LPは1981年に『ウルトラ・ブリュット(ドザージュ0g/L)』をリリースしていますが、新発売の#3はそのスタイルを継承、加えてメゾンが重視するシャルドネ100%。 ラ・キュベ、ブラン・ド・ブラン、グラン・シエクルと連続して3アイテムを味わうと、“フレッシュネス、フィネス、エレガンス”をしっかりと感じます。


 第2フライト
 第2フライトは、10月に続き、マルチ・ヴィンテージ・シャンパーニュにフォーカス


 
 #4:ランソン エクストラ・エイジ ブリュット
 生産者:ランソン(NM)
 ブレンド年は2000年、2002年、2004年の3ヴィンテージ
 ぶどう品種:ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%
 ドザージュ:9g/L
 価格:11,500円(税別)
 輸入元:アサヒビール(株)

ランソン社の創業250年目にリリースされたプレミアム・シャンパン『エクストラ・エイジ』。ピノとシャルドネを使い、3ヴィンテージをブレンドしたタイプなので、スタイルはローラン・ペリエのグラン・シエクルと同じ。ここでは2000年、2002年、2004年をブレンドしています。2種を利き比べると、ランソンはノン・マロなので酸味はキープされつつ、熟成感がある印象。気泡はワインに溶け込んでスムース、カリンや黄桃、ロースト香、燻したニュアンス、上質な酸味、軽いほろ苦さを伴って広がる余韻


 #5:ローラン・ペリエ グラン・シエクル No.24
 生産者:ローラン・ペリエ(NM)
 ブレンド年は2004年、2006年、2007年の3ヴィンテージ
 ぶどう品種:シャルドネ約55%、ピノ・ノワール約45%
 ドザージュ:約7g/L
 価格:24,020円(税別)
 輸入元:サントリーワインインターナショナル(株)

トップキュヴェながら、収穫年を記載したシャンパーニュではなく、秀逸な3ヴィンテージをブレンドしたマルチ・ヴィンテージ。グラス上部から見た泡沫は活発、凝縮した果実味、ミネラル、口中を洗い流してくれるようなピュアな酸味。2004VTのストラクチュア、2006VTのフィネスとエレガンス、一番多く使われている若い2007VTがしっかりした酸味を構成し、素晴らしい調和を奏でています。


 銀座レカンの近藤佑哉シェフソムリエが語ったグラン・シエクル
  ワイン王国1月号(2021年12月3日発売)誌上でインタビューさせていただきました!


      大事なワイン仲間との集いには必須のアイテム@日比谷・松本楼


       No.24は今まさに飲み頃
       グラン シエクルのNo.1~25までのヴィンテージ構成はコチラでご確認を!
       No25は2022年に日本上陸する予定です。


12月の講座ではシャンパーニュの熟成の凄さを感じていただこうと思っています。
今年の締めくくりにふさわしいアイテムです🥂🥂🥂

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シャンパン講座下半期の初回はルイ・ロデレール『コレクション242』をメインにして [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

 ルイ・ロデレールが35年振りに刷新したスタンダード・キュヴェ『コレクション242』
   2021年10月1日全国発売

 規則的で繊細な泡沫


 10月は2メゾンにフォーカス
 第1フライトはルイ・ロデレール、第2フライトはジャクソン🥂🥂🥂


 9月に開催されたプレス向けオンラインテイスティングセミナー
 画像提供:エノテカ株式会社
 ジャン・バティスト・レカイヨン醸造責任者兼副社長は、「ブリュット・プルミエを、
 2年瓶熟させるとコレクション242に近い味わいになる」と語っていました。
 10月のシャンパン講座では9月に伺った内容を基本にしつつ、新旧を利き比べました。


 温暖化を逆手に取った発想
 左がブリュット・プルミエ、右がニューフェイスのコレクション242


  本題に入る前に少しだけ寄り道 レカイヨンさんの凄さを感じたアイテム

上の画像は日本醸造協会のセミナーのために作成した「世界のワイン最前線」の一部です。シャンパーニュの紹介で、ルイ・ロデレールの『ブリュット・ナチュール フィリップ・スタルク』についてまとめたものなのですが、2019年にメゾンを訪問した折、レカイヨンさんは「気候変動の影響を考え、ぶどう樹の仕立て方や、新しいぶどう品種に取り組むこともひとつの選択肢ですが、シャンパーニュ地方の“シャンパンという飲み物”のアイデンティティをきちんと表現することが大事であり、温暖化だからこそ造ることができたアイテム」と語っていました。

キュミエール村の健全果を使った『ブリュット・ナチュール・フィリップ・スタルク2006年と2009年』、『ブリュット・ナチュール・ロゼのフィリップ・スタルク2012』の3ヴィンテージが製品化されていますが、“極めて自然に近い造り、ノン・ドゼでノン・マロ”がコンセプトです! 畑は10㌶、3区画あり、南向きで黒い粘土質土壌にはピノ・ワール、南向きで標高が高く、微量の石灰質含む粘土質土壌にはシャルドネ、西向きの黒い粘土質土壌にはムニエを栽培しており、収穫はオーストリアのウィ―ンで造るゲミシュター・サッツと同じで、3品種同時に行い、醸造も同時にしています。

新アイテムが誕生したのは、ビオディナミの導入により、糖度の高いぶどうが収穫できるようになったことがきっかけです。今回リリースされた『コレクション』も同じ発想です。

温暖化の影響と2000年以降、オーガニックやビオディナミ栽培に転換したことで、ぶどうの熟度が格段に上がり、安定的に高品質なぶどうが収穫できるようになったことが、「コレクション」の誕生に繋がりました。


  コレクション242はブレンドの芸術性を尊重
 データ:エノテカ株式会社

1986年に発売されてから根強い人気を誇っていたブリュット・プルミエは、ハウススタイルの一貫性を重視したタイプでしたが、コレクションは、毎年ナンバリングを施し、その年の作柄やブレンドごとの創造性・芸術性を尊重しています。複数年のリザーヴワインに、その年に収穫したぶどうを使用したベースワインをブレンドして完成させたシャンパンで、リザーヴワインは大樽で熟成させたタイプと、2012年から毎年継ぎ足しステンレスタンクで熟成させた(=パーペチュアル・リザーヴワイン)タイプの2種類を使っています。“242”という数字は創業から数えて何回目の収穫かを表しています。
“永続的な”を意味する言葉で、シェリーのソレラシステムのように毎年継ぎ足し熟成させるリザーヴワイン

コレクションには契約農家のぶどうを20~30%使用していますが、収量などの要因から、年によって若干比率は変動します。ただ、最良の区画を選んでいるので大きな変化はありません。現在、区画については適切かどうか試行錯誤中とのことでした。


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 アプリで裏ラベルのQRコードを読み取れば詳細が得られます。


 #1:ルイ・ロデレール ブリュット・プルミエNV 2021年9月30日終売
 生産者:ルイ・ロデレール(NM)
 ぶどう品種:CH40%、PN42%、M18%
 ベースワイン2016年
 メゾンの241回目の収穫:2016年9月15日~10月1日
 リザーヴワイン:大樽熟成9%使用/2011、2012、2013、2014、2015
 デゴルジュマン:2019年12月
 ドザージュ:8g/L
 価格:7,200円(税別)
 輸入元:エノテカ

 #2:ルイ・ロデレール コレクション242  2021年10月1日発売
 生産者:ルイ・ロデレール(NM)
 ぶどう品種:CH42%、PN36%、M22%
 収穫は2017年8月31日~9月9日
 ベースワインは2017年、56%使用
 リザーヴワイン:大樽熟成10%使用(品種、畑ごと)
         2009、2011、2013、2014、2015、2016
 パーペチュアル・リザーヴワイン:ステンレスタ熟成34%使用
         2012、2013、2014、2015、2016
 MLF:34%実施
 ドザージュ:8g/L
 価格:7,500円(税別)
 輸入元:エノテカ

第3週と第4週の講座生の好みを聞いたところ、第3週は半々、第4週は3対7という結果でした。#1はレストランでも、グラスワインとして重宝されていただけあって、バランスが良く安定した味わい。第3週にはそんなブリュット・プルミエの酒質を記憶している面々が多かったように思います。温度が上がっても絶対にブレない点は本当に素晴らしいです。
#1は白系果実、石灰由来のフレッシュ感、ヘーゼルナッツ、心地良い塩味、すぐに飲んでも、熟成させてから楽しんでも楽しめるアイテムでマリアージュでも包容力あり。#2は豊潤な果実感、リンゴや黄桃、酸味、ミネラル、後味に軽いビター感、リザーヴワイン由来の複雑味を感じますし、口中クリーミー、バランス良好

 ジャクソンのワインスタイル
 自社畑28㌶+契約畑7㌶でトータル35㌶
 マルチ・ヴィンテージの先駆者的存在ジャクソン
 2000年にキュヴェ728(ベースワイン2000年)をリリース
 メゾンの一貫したスタイルを表現したNVではなく、収穫年の個性を体現したNV
 キュヴェ740からは、収量を約16%削減、リザーヴワインも全体の20%のみにして、
 収穫年の特徴をより明確化。100%樽発酵&樽熟成、ノン・フィルター、清澄処理もなし


 裏ラベルに詳細情報を記載


 #3:ジャクソン キュヴェ744 2021年6月発売
 生産者:ジャクソン(NM)
 ぶどう品種:CH50%、PN25%、M25%
 ベースワインは2016年
 55%(アイ、ディジー、オーヴィレイ村)、45%(アヴィズ、オワリー村)
 リザーヴワインは20%使用
 743、742、741、739、738、737、736等、過去に造られた700番シリーズのワインをブレンド
 デゴルジュマン:2020年11月
 ドザージュ:0.75g/L
 価格:11,000円(税別)
 輸入元:ヴァンパッション
 メゾンのコピーは「ピノ・ノワールの傑作年と言われる2016年をベースにした自信作」
 気泡は活発、ぶどうの熟度を感じさせる蜂蜜や甘露さ、ナッツ、スモーキーさ

 #4:ジャクソン キュヴェ738 デゴルジュマン・タルディフ 2020年11月発売
 生産者:ジャクソン(NM)
 ぶどう品種:CH61%、PN18%、M21%
 ベースワインは2010年、67%
 リザーヴワイン:2009年のディジーのCH11%/2008年のアヴィズのCH3.4%
         キュヴェ735を13.8%、キュヴェ736を2.4%、キュヴェ737を2.4%
 デゴルジュマン:2019年6月
 ドザージュ:0.75g/L
 価格:22,000円(税別)
 輸入元:ヴァンパッション
 気泡はワインに溶け込み、香りはシェリー似、ミネラル、塩味、焙煎香、ミント

 #5:ジャクソン ジャクソン キュヴェ736 デゴルジュマン・タルディフ  2017年11月発売
 生産者:ジャクソン(NM)
 ぶどう品種:CH53%、PN29%、M18%
 ベースワインは2008年、66.3%
 リザーヴワイン:2007年のCH26.3%/2006年のPN2.9%/キュヴェ735を4.5 %
 デゴルジュマン:2016年11月
 ドザージュ:1.5g/L
 価格:22,000円(税別)
 輸入元:ヴァンパッション
 ロースト香、りんごタルト、旨味、ビター感、3グラスの中で余韻は一番長め

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ジャクソンは収穫年の個性を尊重するスタイルですが、正直言って難しかったです。2008年VTが好きで、講座でもプライべートでもいろいろ体験していますが、キュヴェ736 (2008年VTがベースワイン) からVTを感じ取るには[ふらふら]
一方、ルイ・ロデレールは、メゾンの一貫性を尊重したブリュット・プルミエの進化系の要素があるので、今まで、体験してきたNVの味わいをグラスの中に感じ取ることができました。レカイヨンさんのお言葉に従い、ブリュット・プルミエを最低2年瓶熟させ、コレクションと比較試飲してみようと思っています。今後リリースされるコレクション243、コレクション244・・・がどんな感じなのか、とても楽しみです!

11月は、10月の講座に関連したアイテムを取り入れてみました。早めにまとめます!!

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上半期最終講座は9月に日本上陸したばかりのレア2008を含む“2008年”にフォーカス! [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

  日本での発売は9月1日
  レジス・カミュ シェフ・ド・カーヴが“無限”と表現した2008年ヴィンテージ



[NEW]レア・シャンパーニュにからむ素敵な話題
9月30日の開館を前に、米 ロサンゼルス『アカデミー映画博物館』では、25日にオープニングガラ、28日オープニングナイトイベント、29日プレミアナイトイヴェントを行いますが、その折、アカデミー賞のシャンパンスポンサーであるパイパー・エドシックの『レア・ロゼ2007』と『レア2006』がサービスされるとのこと。WS誌(9月15日付)の記事には、ブノワ・コラールCEOの談話も掲載されています。
華やかな場がとても良く合うレア・シャンパーニュなので、トム・ハンクスや往年の女優ソフィア・ローレンも大満足するはずです。

レア・ロゼのファーストヴィンテージは2007年、わずか1,500本の希少アイテムです。2016年9月に来日なさったブノワ・コラールCEOのインタビューで、最高醸造責任者のカミュさんが「なぜレア・ロゼを造ったのか」を伺いました。カミュさんが“太陽の恵み”と表現したレア2006については、コチラで!



 9月15日&22日の講座リポート
 お気に入りのヴィンテージで半年間の〆を

 #1:ローラン・ペリエ ブリュット・ミレジメ2008
 #2:アンリオ ブリュット・ミレジメ2008
 #3:アルフレッド・グラシアン ブリュット・ミレジメ2008
 #4:シャルル・エドシック ブリュット・ヴィンテージ2008
 #5:レア2008


     上半期を少しだけプレイバック
     リリース直後から高評価を得ているエリザベス・サルモン・ロゼ2008
       
      上半期(4~9月)は4月の第4週と5月・6月が休講に[もうやだ~(悲しい顔)]
      でも、4月テタンジェのコント・ド・シャンパーニュBdeB2008
      7月ビルカール・サルモン エルザベス・サルモン・ロゼ2008
      8月ドゥヴォー D ミレジメ2008
      開講できた各回でとびきりの2008年をお出しすることができました。
      どれも素晴らしく印象的でした!

  m_IMG_9645.jpg 
  ドゥヴォー 2008/コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン 2008

         2019年9月に供出した2008年ヴィンテージ
2008年は穏やかで雨の多い冬、気温差が激しい春の後、強烈な暑さと涼しさが交互に到来。夏は例外的に涼しく、わずかな日照でありながら、乾燥した気候のもとで、ぶどうはゆっくりと熟成。寒暖の差により、凝縮感のある風味とフレッシュな酸を備えた果実が収穫できた。2008年はシャンパーニュにとって特別なヴィンテージ

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 講座で初めて2008年に特化したのは2年前の9月でした。
 2回目の挑戦となる今回は、以下の順で供出


   9月の講座に登場したシャンパン
   ローラン・ペリエ ブリュット・ミレジメ2008
   生産者:ローラン・ペリエ(NM)
   ぶどう品種:CH約50%、PN約50%
   ドザージュ:10g/L
   価格:10,500円(税別)
   輸入元:サントリーワインインターナショナル

シャルドネはシュイィ、クラマン、アヴィーズ、ル・メニル・シュル・オジェ。ピノ・ノワールはアイ、ヴェルズネー、トゥール・シュル・マルヌ、ルーヴォア、ブージーのクリュ。一点集中の持続性ある気泡の連なり、香りは白い花や白桃、洋なし、ミネラル。溌剌とした綺麗な酸、ビターオレンジやアプリコット似の香りと味わい。フレッシュ、フィネス、エレガンスをコンセプトにしたローラン・ペリエらしいスタイル


 アンリオ ブリュット・ミレジメ2008
 生産者:アンリオ(NM)
 ぶどう品種:CH50%、PN50%
 ドザージュ:6g/L
 価格:11,800円(税別)
 輸入元:ファインズ

アンリオ200周年の記念すべきヴィンテージ。約10のプルミエクリュとグランクリュのぶどうを使用。#1とほぼ同じブレンド比率ですが、前者は白系主体、アンリオはそれより若干黄色を連想させる果実で、グレープフルーツや黄桃。アカシア、ミネラル、シルキーな食感、口中を洗い流してくれるような酸が好印象


 アルフレッド・グラシアン ブリュット・ミレジメ2008
  第3週&第4週ともに人気が高かったグラシアン/昨年12月に発売

 生産者:アルフレッド・グラシアン(NM)
 ぶどう品種:CH主体、PN、M(非公開)  ※2004VTはCH64%、PN25%、M11%
 ドザージュ:7g/L
 価格:16,000円(税別)
 輸入元:nakato

シャルドネはル・メニル・シュル・オジェ、アヴィーズ、シュイィ、クラマン、オジェ等、ピノ・ノワールはブージー、アンボネー、キュミエール等、ムニエはルイユ、ダムリー等のクリュ。樽発酵、樽熟成でMLFは一切しないメゾン。シャブリエンヌから古樽を購入、瓶内熟成96~108ヵ月間。5アイテムのなかで唯一の樽使い。インパクトのある熟成香、スパイス、樹脂(若干のセメダインっぽさ)、シャープな酸、厚味と旨味のナイスバランス

 シャルル・エドシックブリュット・ヴィンテージ2008
 2019年11月に発売したシャルル・エドシック

 生産者:シャルル・エドシック(NM)
 ぶどう品種:PN60%、CH4
 ドザージュ:8g/L   デゴルジュマン:2019 年
 価格:16,000円(税別)
 輸入元:日本リカー

10のグランクリュとプルミエクリュのぶどうを使用/オジェ、シュイィ、ヴェルテュ、キュイ、ヴェルズー、アイ、リュド、アンボネー、トージェール、アヴネのクリュ。繊細で規則正しい気泡、柑橘系果実、#3の後に味わうと、酸味にまるみを感じ、全体に程よいバランス。ドライフルーツ、ロースト風味、モカ、ミネラル、塩味、余韻にビターなニュアンス


     余韻の長さも際立つレア2008
     生産者:レア・シャンパーニュ(NM)
     ぶどう品種:CH70%、PN30%
     ドザージュ:9.5g/L
     価格:25,000円(税別)
     輸入元:日本リカー

6月にZoomで2008年VTのお披露目をしてくださぅたカミュさん。コメント中、“トニック”という表現を使っていたのですが、今回改めて試飲して、それが認識できました。日本で言うなら、“柚子”とのこと!  他の4アイテムよりも明らかに長い余韻。グラス内の温度変化で様々な表情を見せてくれたレア。私がコメントを書くのは野暮なので、カミュさんの熱のこもったお言葉を是非ご覧くださいませ。レア2008の熟成のポテンシャルは2040年~45年です!

 コルクの熟成具合で、味わいがイメージできます!
 アルフレッド・グラシアンとレア、コルクと味わい=人気の高さに比例していたかも(笑)

 下半期も、ソーシャルディスタンスを厳守し、第3週&第4週の2クラス制で行います。
 検温、手洗い、マスク&フェイスシールド着用、会話を控える、を徹底してまいります。
 引き続き、何卒宜しくお願いいたします!

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再々延期で数カ月間 青山校のセラーで微睡んで(まどろんで)いたシャンパンたち [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

  無病息災を願う重陽の節句
  9月9日でしたね!

当たり前の日常が戻ることを願い、感染対策には十分に留意しつつ、コロナ終息を願っている私ですが、つい先日、「まがりなりにもコロナ収束」なる発言をしたマスク姿が全く様にならない某大臣にはあきれました[がく~(落胆した顔)]
そんな状況下、12日を期限にしていた緊急事態宣言が今月末まで延長になりました。


  再々延期になっていた講座
  今週 待機状態だった講座を実施することができました。

 4月下旬に緊急事態宣言が発令され、4月28日に行う予定だった第4週クラスが休講に!
 翌月に延期したものの、5月も宣言下で開講ままならず、6月30日に再々延期
 そして・・・今月8日、無事開催
 青山校のワインセラーで、の~んびり微睡んでいたシャンパンたちと再会できました!

     注目のアイテム
     4月の講座で供出したかったのがコレです!
     テタンジェが満を持してリリースしたトップ・キュヴェ
     コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン2008(2020年10月リリース)


 グラスにもフォーカス🥂
 右は講座で使用しているリーデルのリースリンググラス
 左は2021年3月24日にリーデル・ジャパンから発売されたドンペリニヨングラス
 ドン・ペリニヨン2010(2020年10月上旬リリース)をオリジナルグラスでチェック。これは、
 リシャール・ジェフロワ前最高醸造責任者とリーデルとのコラボで開発されたグラス


 5アイテムの選択理由
 ドリンクス・インターナショナル2021のリストからメゾンを選択
 ドン・ペリニヨンが2ランクアップして6位、テタンジェは1ランクアップして8位
 16もアップしたモエとポメリーの実力を再確認したくて、これら“5アイテム”を選択



 第1フライトでトップ・キュヴェを比較
 #1:ドン・ペリニヨン ヴィンテージ2010
 生産者:ドン・ペリニヨン(NM)
 ぶどう品種:シャルドネ、ピノ・ノワール/比率非公開
 価格:25,900円(税別)
 輸入元:MHDモエヘネシー ディアジオ

LVMHは世界売上ランキング第1位!
ドンペリは飲んだことがなくても名前だけは知っているという方は多いですよね。

2010年は寒い冬の後、春と夏の初めは涼しく乾燥した気候になり、8月と9月は降雨量も多く、湿度も高め。ボトリティス(灰色かび病)が発生し、ピノ・ノワールには影響が出ましたが、コート・デ・ブランのシャルドネの出来は素晴らしく「過去30年で最高」との評価も

9年間にわたる熟成期間を経て、調和の取れた第1のプレニチュード(熟成のピーク)に達しているシャンパンは、#2と比べて若干濃いゴールド。黄色い花や果実、マンゴー、ブリオッシュ、ナッツやカカオ似の香ばしさ。酸味は#2よりソフト。中盤以降広がるビター感。グラス内の温度が上がるにつれて、ロースト香が際立ち、旨味と重厚感を伴ってフィニッシュ。
ドンペリニヨンングラス(DP)で試すと、先のグラスで感じた個々の要素が、まとまり感を持って舌に乗ってくる印象。ゆえにビター感も抑えられ、素直に楽しめる気がしました(第3週講座で体験)

2021年5月、シャンパーニュ地方で、女性だけのグループ“La Transmission Femmes en Champagne”のお披露目があり、その折にも、DPを試してみました。ブログの後半に、番外編グラスに関する一考察と題した一文があるので参考にしていただけましたら幸いです。


日本で最もドンペリに精通しているワインジャーナリスト柳忠之さんは、2010のリリース直前、ヴァンサン・シャプロン最高醸造責任者とZoomで意見交換しています。
「糖度は過去10年で3番目に高く、酸度は2008年に次いで2番目に高い、素晴らしくバランスの優れたヴィンテージになった」とシャプロンさんは語っていたとのこと。まさに、テタンジェのコント・ド・シャンパーニュBdeB2008と利き比べるには最適でした!!!


 右がコント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン2008
 シャルドネ100%とは思えないほどの深みのある色調

 #2:テタンジェ コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン2008
 生産者:テタンジェ(NM)
 ぶどう品種:シャルドネ100%
 ドザージュ:9g/L
 価格:30,000円(税別)
 輸入元:サッポロビール

2008年ヴィンテージとの最初の出会いは、輸入元サッポロビール招聘によるお披露目会でした。2020年10月27日のことです。和紙デザイナーの堀木エリ子さんとのコラボレーションで、その時はバカラのシャンパーニュグラスでサービスされました。奇しくも、その翌日、ワイン王国のシャンパーニュ特集120号のため、同社にお邪魔した折、コント・ド・シャンパーニュBdeB2008がリストにあったので、再度試すことができました。3回目は年が明けて、4月のシャンパン講座第3週。そして4回目は今月8日の第4週のクラスでした。この間に、テタンジェの実力をじっくり観察することができました。

1回目、2回目はデビューしたばかりの赤ちゃん状態でしたが、2008年ヴィンテージならではの“酸の存在感”は秀逸! シャンパンを構成している各要素は落ち着いていませんでしたが、多大なポテンシャルを感じました。半年経過して3回目にチャレンジ。この時は豊潤な果実味、凛としたミネラル感、層になって広がる旨味、フェノール由来のビターなニュアンス(これは時間の経過でワインに溶け込みスムーズに)に魅了されました。そして今回、第4週の講座メンバーとテイスティングした感想は、チボー4世ゆかりのシャルドネをメゾンの要にしているテタンジェの最高傑作の1つと確信しました。格調あるミネラル感、一本芯の通った上質な酸味、和食と合わせて楽しみたい塩味、すべてにおいて品格をまとった趣き。DPで試すと、凛とした酸味はまるくなり、果実の要素を顕著に感じます。


 第2フライト/メゾンの顔NVから個性を読み取る
 #3:モエ・エ・シャンドン モエ アンペリアルNV
 生産者:モエ・エ・シャンドン(NM)
 ぶどう品種:ピノ・ノワール、ムニエ(各30~40%)、シャルドネ(20~30%)
 ドザージュ:9g/L
 価格:6,500円(税別)
 輸入元:MHDモエヘネシー ディアジオ

#1との共通項は、香ばしさ、余韻に残るホロ苦さ。発酵・醸造はステンレスのみ、リザーヴワインは20~30%使用、24ヵ月瓶内熟成、飲む時はキリリと冷やして!


 #4:ポメリー ブリュット・ロワイヤルNV
 生産者:ポメリー(NM)
 ぶどう品種:シャルドネ34%、ピノ・ノワール33%、ムニエ33%
 ドザージュ:9~9.9g/L
 価格:6,800円(税別)
 輸入元:ヴランケン ポメリー

軽快でクリーミー、ストーンフルーツ(種の大きな果実)のニュアンス、果実味とフレッシュな酸味のナイスバランス。全体的にまるみがあり、黒ぶどう由来の旨味、酒質も良好。当日は女性講座生からの人気も高く、好感度がアップした印象。2017年から 最高醸造責任者が変わったことも要因!?


 中央がポメリー、3つのなかでは一番濃い色調、黒ぶどうの要素も感じます。

 #5:テタンジェ ブリュット・レゼルヴNV
 生産者:テタンジェ(NM)
 ぶどう品種:シャルドネ40%、ピノ・ノワール+ムニエ60%
 ドザージュ:9g/L
 価格:6,908円(税別)
 輸入元:サッポロビール

#2との共通項は、石灰由来のピュアなミネラル、綺麗な酸味、若干のビター感。バランスが良く、スマートでエレガントな印象。美的センスのあるヴィタリー・テタンジェ女史が5代目当主になったのでシャンパン業界を大いに刺激して欲しい気分です!


               o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。

           [NEW]シャンパーニュ地方の2021年の収穫情報
  出典:シャンパーニュ委員会日本事務局


          o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。

 今月で上半期の講座が終了します。私の大好きなヴィンテージを揃えて、
 第3週&第4週の皆さんをお迎えしたいと思っていますo○.。


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NHK文化センター青山校 2021年秋期(10月~3月)シャンパン講座の募集開始です! [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

     [NEW]シャンパン講座@NHK文化センター青山校
     秋期も従来通り、感染対策には十分な配慮をしてまいります。
     1テーブル1名席 
     マスク&フェイスシールド着用 

 グラスは消毒の必要を考え、リーデル青山本店からレンタル


 オーダーメイドなシャンパンレッスン<第3週> ~各メゾンの奥深さを愉しもう~ 
 開催6回/毎水曜日 /19時~21時
 ◍10月20日
 ◍11月17日 
 ◍12月15日 
 ◍1月19日 
 ◍2月16日 
 ◍3月16日 
 講座の詳細はコチラありがとうございました[わーい(嬉しい顔)]

 オーダーメイドなシャンパンレッスン<第4週> ~各メゾンの奥深さを愉しもう~ 
 開催6回/毎水曜日 /19時~21時
 ◍10月27日
 ◍11月24日 
 ◍12月22日 
 ◍1月26日 
 ◍2月23日 
 ◍3月23日 
 講座の詳細はコチラありがとうございました[わーい(嬉しい顔)]

 NHK文化センター青山校 電話 03-3475-1151
 受付時間は月曜~金曜 9:30~18:00 (土曜~17:30、日曜~15:00) 


 [NEW]ホテルオークラワインアカデミー秋期講座
 オリンピックも終わったので、いつものクラスに戻ります[わーい(嬉しい顔)]
 新たな話題も盛り込んで、実のある時間にしたいと思っています。
 第32期のスケジュールはコチラから

 引き続き、宜しくお願いいたします🥂🥂🥂

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名醸造家 M.シャプティエが惚れ込んだシャンパンメゾン『ドゥヴォー』の魅力全開 [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

        コート・デ・バール地区最大の協同組合ドゥヴォー
    1846年にジュール&オーガスト・ドゥヴォー兄弟がエペルネにメゾンを設立
    3世代にわたり、精力的な活動を続けていましたが、
    いずれの代も、残された未亡人(Veuve ヴーヴ)が活躍!
    1987年、ジャンポル・オーギュスト・ドゥヴォーに跡継ぎがいなかった為、
    協同組合ユニオン・オーボワーズ
    現グループ・ヴィニコール・シャンパーニュ・ドゥヴォーにブランドを譲渡


 画像提供:国分グループ本社(株)
 ドゥヴォーの拠点はコート・デ・バール地区バール・シュル・セーヌ、栽培面積は850㌶


  トップキュヴェ『ステノペ』のフォイルのトップ部分
  ステノペはコート・デュ・ローヌ地方のM.シャプティエとのコラボシャンパーニュ
  両社はレ・リセー村に畑を共同購入して、プロジェクトを開始しました!


                ピンホールカメラ
            ステノペは“ピンホールカメラ”の意味
 そのこころは・・・毎年のヴィンテージを表現する特別なキュヴェ“Cuvée Spéciale”


 シャンパーニュのラインナップ
 この他に「コトー・シャンプノワ」も生産しています。
 輸入元国分グループ本社(株) からご尽力いただき、ドゥヴォーを徹底探求できました。
 講座後の質問にも迅速にご対応いただき感謝しております、ありがとうございました!

 上質なミネラルの洗礼を受け、コロナ渦中、心身ともに浄化された気分です[わーい(嬉しい顔)]


 第1フライトはトップレンジからスタート
 #1:ドゥヴォー ステノペ2011/生産量6,387本
 生産者:ドゥヴォー(CM)
 ぶどう品種:非公開
 ドザージュ:非公開
 価格:33,000円(税別)

ステノペ2011は昨年10月、ワイン王国No120の特集『シャンパーニュへの旅』のテイスターとして参加した時に試飲しました。品種やドザージュは非公開なので推測するしかなかったのですが、2011年はシャルドネのできが良かったので、ピノを重視するドゥヴォーでも、このVTは白ぶどうの比率が多いのでは・・・と思いました。
あれから、10カ月余りが過ぎて再試飲したステノペは瓶熟の状態も良好、ミネラル感が際立ち、シャプティエ好みと再認識しました。

香りのインパクト大! 熟した黄桃やアプリコット、ドライフルーツ、果実のコンポート、ヘーゼルナッツやアーモンド、香ばしさと最初から最後まで一貫して続くミネラル感、そしてビターな印象も。グラス内の温度変化(冷蔵庫温度8度から16度位まで)を1時間以上かけてチェック。層になって広がる様々な香りと味わい、気泡が落着いてきた後半は上質な白ワインのイメージ、酒質が本当に綺麗です!


 #2:ドゥヴォー D ミレジメ2008
 生産者:ドゥヴォー(CM)
 ぶどう品種:PN50%、CH50%
 ドザージュ:約6g/L
 価格:13,000円(税別)

#1より少しだけ濃い色調、気泡は繊細で緻密、凛としたミネラル、蜂蜜や蜜を含んだ花の香り、ロースト香やスパイス。2008年ならではの酸味の存在も好印象。バランスが良く、今飲んでも、十数年後に飲んでも楽しめるお薦めのアイテム。第3週&第4週の講座生から圧倒的な支持を得ていたのが#2でした。



2009年3月、ザ・ペニンシュラ東京『ヘイフンテラス』でシャプティエ独占インタビューのチャンスがありました。彼は自他ともに認めるシャンパーニュラバーであり、本拠地タン・エルミタージュのメゾンには、お気に入りのシャンパンがストックされています。ヘイフンテラスの時はテタンジェ『コント・ド・シャンパーニュ』(当時の輸入元は日本リカー)が供出されました。そんなシャプティエが「コラボ相手に何故ドゥヴォーを選んだのか?」、その答えが今講座で理解できました。
1991年から自社畑にビオディナミを導入し、テロワール重視の醸造家として名を馳せるシャプティエと、コート・デ・バールのテロワールをメゾンの誇りとし、それを製品に反映させているドゥヴォー、必然的な繋がりですね!



 第2フライトはコート・デ・バールのPNにフォーカス
 #3:ドゥヴォー ロゼ・デ・リセー2014新製品
 生産者:ドゥヴォー(CM)
 ぶどう品種:PN100%/コート・デ・バール地区レ・リセー村
 小容量のステンレスタンクで発酵、その後MLF
 25%のぶどうは足踏みでプレスし、短時間のマセラシオン
 価格:9,000円(税別)

ルビーやグリオットチェリーのような赤ワインに近い色調。香りは軽快、赤系果実が詰まったバスケット、ピンクペッパーや甘草。タンニンは柔らか、酸味は穏やか、ミネラル感もあり、舌触りはソフト。

  リセー村にある自社畑の厳選した区画の樹齢15~45年のピノ・ノワールを使用。
 生産量が少ない希少アイテム、これは913番目のボトル


 #4:ドゥヴォー クール・デ・バールNV
 生産者:ドゥヴォー(CM)
 ぶどう品種:PN100%/コート・デ・バール地区
 (20年にわたり環境に配慮した畑のぶどう、オーガニックの区画も含む)
 リザーヴワイン:オークの大樽で熟成させたものを20%使用
 ドザージュ:8g/L
 価格: 9,000円(税別)

色調はベージュを帯びたゴールド、フレッシュ感があり、最初に口中に泡の刺激、気泡自体はワインに馴染みスムーズ。第一印象は黒ぶどう由来の力強さ、果実の旨味と厚味、木の実や香ばしさ。中盤から終盤にかけてビター感。コート・デ・バール地区最大のメゾンの自負を感じさせるアイテム

 レ・リセー村の自社畑のピノ・ノワールの味わいを確認。
 ロゼ・デ・リセーとブラン・ド・ノワールの両ピノ・ノワールを利き酒できたことで、
 ドゥヴォー好みの黒ぶどうが見えました。豊潤かつエレガントなスタイル!


 第3フライトはコレクションDシリーズ
 メゾンのこだわりが凝縮しているコレクションDシリーズ
 ソレラシステムで保管しているリザーブワイン(1995年~2011年)を使用
参考ドゥヴォーは1992年からリザーヴワイン用に10基のフードルを導入。うち1つは2002年からソレラシステムに使用、毎年30%を入れ替え、継ぎ足ししている。この他、1995年からステンレスタンクでもソレラシステムを採用


 #5:ドゥヴォー キュヴェD
 生産者:ドゥヴォー(CM)
 ぶどう品種:PN55%、CH45%
 発酵:ステンレスタンクとシャンパーニュ産の樽25%(うち10%は300㍑で8~9ヵ月)
 ドザージュ:約7g/L
 価格:9,000円(税別)

色調はゴールドイエロー、白い花や白胡椒、ブリオッシュの香り、ふくらみのある味わいで舌触りはきめ細かくクリーミー。シェフ・ド・カーヴ 一押しのマリアージュは夏に搾乳したコンテ!


 #6:ドゥヴォー ウルトラD
 生産者:ドゥヴォー(CM)
 ぶどう品種:PN55%、CH45%
 リザーヴワインの比率は35%、一部MLF
 ドザージュ:約3g/L(エキストラ・ブリュット)
 価格:10,000円(税別)

色調はゴールドイエロー、快活でフレッシュ、白い花、ミネラル、塩味、ヨード、香ばしさと若干ビターなニュアンス。キュヴェDにはコンテがお薦めとのことなので、私的にはヨードの要素に相乗させるべく、フルムダンベールに海苔を巻いてチャレンジしたい気分!


 #7:ドゥヴォー D ロゼ
 生産者:ドゥヴォー(CM)
 ぶどう品種:PN55%、CH45% /うちPNを10%ブレンド
 ステンレス製の大樽でアルコール発酵させた後、一部MLF
 ドザージュ:約6g/L
 価格:11,000円(税込)

色調はアプリコットサーモンピンク、芳醇でフルーティー、ラズベリーやアプリコット、全体にまるみがあり、酸味も強すぎることなく素直な印象、ロゼを飲み慣れていない人にも薦めやすいアイテム


 
 第3フライトはすべてぶどう品種(PN55%、CH45%)の比率は同じ
 講座生を惑わせていたのが、#5#6のドザージュ量4gの違いでした。
 シャンパンを飲み慣れている人ほど、キュヴェDのほうをドライと感じたようです。

 ワイン王国誌上に、ドゥヴォーの現地取材をしたボーヌ在住の熊田有希子さんが、
「ドゥヴォーは所有畑850㌶のうち、選別された100㌶をコレクション用の畑にしている。
 メゾンには数多くの選択肢があり、様々なテクニックを組み合わせることで、幅広く、
 複雑なアロマを生み出し、清涼感と熟成感のバランスを保っている」と書いています。

 キュヴェDは、10%の樽発酵を行い、5年以上の長熟でも、清涼感を損なわないように、
 倉庫の温度を12度に設定し、MLFをさせないようにしているとの記述もありました。
 MLFのかけ方も微妙に異なるDシリーズ、その塩梅が講座生を混乱させたようです。

 前述の熊田女史が「ぶどう品種や樹齢を料理でいう素材に例えるなら、
 ドゥヴォーは無限のレシピを持っているといえよう」とコメントしているように、
 メゾン勤続30年のシェフ・ド・カーヴ、ミッシェル・パリゾさんが、
 メゾンの顔“Dシリーズ”に並々ならぬ愛を注いでいることがよくわかりました。
 ここは講座生と研修ツアーで訪問してみたいメゾンです!!


 点字導入の先駆者シャプティエ
 1995年から点字ラベルを採用したM.シャプティエ
 友人に盲目の音楽家がいらしたことがきっかけだったと伺いました。
 ステノペは白と黒を基調にしたスタイリッシュなパッケージ、点字表記わかりますね
 このボトルは限定生産6387本中1646番目になります。
 今期参加のブログ仲間Hakoさんのリポートもご覧ください!


 ドゥヴォーに関するお問い合わせは国分グループ本社 (株)03-3276-4125 (代表)


           .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○


 味覚受容体TAS2R38とコロナウイルスの関係
 
8月18日、ちょうど第3週のシャンパーニュ講座直前に、ワイン専門商社(株)Firadisからワインのスーパー・テイスターとコロナウイルス耐性(記事の内容はFiradisの翻案であり、文責はすべて同社に帰属)と題する興味深いワインニュースが届きました。
「苦みを知覚する受容体TAS2R38が活発化すると、繊毛の動きや粘液の分泌が増加し、さらには、一酸化窒素を放出するので、コロナウイルスを発症させるスパイクタンパク質の活動を抑える働きがある。ゆえに敏感な味覚を持つスーパー・テイスターはTAS2R38の働きで、コロナウイルスに対する自然耐性がある」との内容でした。
さてさて、皆さまは、コーヒーやブロッコリー、ピノ・ブランを口にした時、苦みをしっかりキャッチできていますか?


NHK文化文化センター青山校の秋期講座の募集開始は9月1日からです。
感染対策には、今まで以上の配慮をしながら、2クラス体制で進めてまいります。
10月からのシャンパーニュ講座も、引き続き、宜しくお願いいたします!!

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飲み手を魅了するビルカール・サルモンの『エリザベス・サルモン・ブリュット・ロゼ2008』 [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

 感染対策を徹底し、第3週クラス(2ヶ月振り)と第4週クラス(3ヶ月振り)の皆さんと再会!
 4月から決めていたアイテムを無事供出することができました。



 




  第1フライトは3メゾンのノン・ヴィンテージ
 左から順に#1、#2、#3
 #1:ジョセフ・ペリエ キュヴェ・ロワイヤル・ブリュット・ロゼNV
 ぶどう品種:CH25%、PN&ムニエ75%/自社畑キュミエールのPN約12%ブレンド
 ドザージュ:7g/L
 価格:9,000円(税別)
 輸入元:JALUX

女性醸造家ナタリー・ラプレイジュさんの心意気とソフトなトーンを醸し出すキュミエールのPNが相乗したロゼ。色調はサーモンオレンジ、フラワリーでフレッシュ。ドライローズやバイオレット、チェリーや木イチゴ、終盤に軽いタンニン、綺麗な酸味とミネラルのバランス良好


 #2:二コラ・フィアット ロゼ・ファースト・ブルーム・オブ“SAKURA” 
 ぶどう品種:PN45%、CH10%、ムニエ45%/PNを約16%ブレンド
 ドザージュ:8.5~9g/L
 価格:7,150円(税別)
 輸入元:日本酒類販売

春の桜というより、夏の夕焼けや夕陽の色調。テラスで涼風を受けながら楽しみたいロゼ・シャンパン。黒ぶどうの比率が90%、約16%のPNをブレンドしたロゼは、3つのなかで色調も鮮やか、味わいにも黒ぶどうの要素十分、中盤から酸の広がり。


 #3:ビルカール・サルモン ブリュット・ロゼNV
 ぶどう品種:CH40% PN30%、ムニエ30%/PNを10%以下ブレンド
 ドザージュ:9g/L
 価格:12,000円(税別)
 輸入元:JALUX

ビルカール・サルモンの特徴のひとつが際立つアロマ。その訳について、6代目アントワン・ローラン・ビルカールさんは「1952年に私の祖父が北部フランスのビール工場(現在施設は無し)で行っていた製法を導入したことがきっかけです。収穫したぶどうは10度で保ち、コールド・スタビライゼーション(タンク内の温度を14度にして25~30日かけて静置)することで、結果的に、アロマはしっかり残り、不純物は沈殿してしまうので、フィルター掛けも不要になります」と解説してくれました。

5アイテムをすべてブラインドでテイスティングしましたが、凛としたアロマは、ビルカール・サルモンの存在感を明確に主張。1954年にリリースされて以来、パリで人気のシャンパーニュ・ロゼになっています。いつ味わっても裏切られることのないスタイル!


 第2フライトは2008年ヴィンテージ比較
 左が#4、右が#5

 82の協同組合が結集する二コラ・フィアット
img20210726_17263521.jpg
 データ提供:日本酒類販売


 #4:二コラ・フィアット パルム・ドール ロゼ・インテンス2008
 ぶどう品種:PN100%/ブジィ村とコート・デ・バールのレ・リセ村
 ドザージュ:6g/L
 価格:25,000円(税別)
 輸入元:日本酒類販売

5アイテムのなかで唯一セニエ製法で造られたロゼ。時間の経過で紹興酒似の香り、スパイスやアーシーなニュアンス。7月28日の第4週クラスが土用の丑の日だったこともあり、私は食とのマリアージュで、うなぎの蒲焼 × かねいちの山椒をイメージしました!

産経EXに「ワインのこころ」を連載していた2015年当時、担当記者だった塩塚夢さんが、お裾分けしてくれたのが石臼で曳いた山椒でした。袋を開けた瞬間、柚子のような和柑橘の香りが漂い、それはそれは素晴らしく、夢さんが表現した「体の中まで浄化されるような気持ち」になりました。今回は、その山椒を思い出しながら、色調の濃いロゼをテイスティングしました。



 4月23日一斉販売を開始したエリザベス・サルモン・ブリュット・ロゼ2008
 エリザベス・サルモンに使用するピノ・ノワール
 フィリポナの銘醸地『クロ・デ・ゴワセ(“重労働”の意味)』
 45度の急斜面のぶどう畑 


 ヴァロフロワ(左の画像/赤の丸印)のPNは樹齢75年
 クロ・デ・ゴワセの上部に位置する畑
 エリザベス・サルモンに必要なPNは力強さではなく、エレガントさ

 #5:ビルカール・サルモン エリザベス・サルモン・ブリュット・ロゼ2008 
 ぶどう品種:PN55%、CH45%/ヴァロフロワのPNを9%ブレンド
 ドザージュ:7g/L
 価格:39,000円(税別)
 輸入元:JALUX

メゾンの創始者のひとりエリザベス・サルモンへのオマージュとして造られたシャンパン。初めてPNの比率のほうが多くなったヴィンテージであり、CHは10~15年使用した樽で熟成させたものを17%使用。また750mlとマグナム1500mlを同時に発売。これらは2008年VTだけに試みた取り組み。

色調は明るい銅色(copper color)、ブラッドオレンジ、熟した黄桃や黄りんご、野生の木イチゴ、白胡椒、石灰土壌由来の切れ感、ミネラル、そして2008年VTならでの綺麗な酸味(MLFは少しだけ実施)と長い余韻!



 2008VTから銘柄名はキュヴェ・エリザベス・サルモンから、エリザベス・サルモンに!
 初ヴィンテージの1988年から最新の2008年まで全部で14ヴィンテージあり、
 内訳は1988、89、 90、91、95、96、97、98、99、2000、02、06、07、08
 今後、09、10をリリース予定(入荷時期は未定)


🥂8月5日発売の『ワイン王国』にビルカール・サルモンのアントワンさんへのウェビナーでのインタビューが掲載される予定です。エリザベス・サルモン・ブリュット・ロゼに特化した質問でまとめてありますので、ご笑覧いただけると嬉しいです!

🥂ビルカール・サルモン&ジョセフ・ペリエについてのお問い合わせ先
株式会社JALUXワイン部 電話03‐6367‐8756



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             [NEW]シャンパーニュ騎士団の新役員
 画像提供:シャンパーニュ騎士団

ブルーノ・パイヤール団長(左から2人目)の後任は二コラ・フィアットのクリストフ・ジュアレスCEO(左から3人目)、任期は2021年からの3年間です。
新メンバーのシャンパーニュ騎士団、今後の活躍に期待です!
シャンパーニュの錚々たるメンバーが一堂に会した叙任式の模様はコチラで!

🥂シャンパーニュ騎士団のクリストフ・ジュアレス団長からのサマーメッセージ
(2021年7月30日受信)
2021年上半期のシャンパーニュ出荷量は、昨年の同時期と比べて50%増、2019年より5%増、2018年より14%増と前向きに推移
2021年の収量は1㌶あたり10,000kgとの取り決め
参考(青木記載):2020年は8,000kg/㌶、2019年は10,200kg/㌶
ロシアの新法に絡む地理的表示の件はいまだ決着せず
シャンパーニュ騎士団としては平和的な合意が下されることを願っている由

       
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3月の最終講座は2020年に創業260年を迎えたランソンにフォーカス! [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

 3月の講座のフルメンバー
 左から供出順

 左から供出順

今回のポイントはノン・マロ
ノン・マロとはマロラクティック発酵をしないことです。マロラクティック発酵=MLF (Malo-lactic fermentation)は、主発酵後、ワイン中に含まれるリンゴ酸 (Malic acid)が、乳酸菌の働きによって乳酸 (Lactic acid) に変化する現象で、
★赤ワインや酸度の高い白ワインの酸度を下げる
★複雑味が増し、豊潤な香味を形成
★雑菌汚染の防止
の効果があります。

赤ワインはMLFを起こさせるのが一般的ですが、白ワインは求めている酒質によって異なります。行う場合はリンゴ酸の減り具合を分析しながら進めていきます。

MLFをしないメゾンの双璧 ゴッセとランソン
★リンゴ酸はぶどう本来の自然な酸であり、熟成させることで長い余韻と深みが出る。
★ぶどうに含まれるリンゴ酸は3~5g/L、MLFをすることで1g/L以下に減少。
上記の考え方から、2メゾンはノン・マロを貫いています。ちなみにゴッセでは一次発酵後、ワインを10度以下に冷却することでMLF発酵を抑えています。


第一フライト
今のランソンは、ノン・マロ=酸が強くて疲れる、というイメージから脱却した印象で、馴染みやすさが加わりました。講座で両メゾンの比較をするのは2016年秋以来になりますが、ランソンは2013年にエルヴェ・ダンタン氏が新しいシェフ・ド・カーヴに就任してから、頑固なイメージが払しょくされたように感じます。

第一フライトではメゾンの顔 NVを比較しました。
★ランソンのブラックラベルは15~20%の比率でMLFを施しています。
★ゴッセのエクストラ・ブリュットは熟成期間が36ヶ月と短いのでMLFを実施しているので、今回比較用に選んだのはグランド・レゼルヴ・ブリュットNV。


    #1:ランソン ブラックラベル・ブリュットNV
    生産者:ランソン(NM)
    ぶどう品種:PN 50%、CH 35%、M 15% / リザーヴワイン 35%
    ドザージュ:8g/L
    デゴルジュマン:2019年10月7日
    価格:6,000円(税別 / 輸入元:アサヒビール
    フレッシュ&フルーティ、白い花、レモンやGF等の柑橘系果実
    青リンゴ、中盤から酸の広がり、ドライな切れ味、果実の甘やかさ

    #2:ゴッセ グランド・レゼルヴ・ブリュットNV
    生産者:ゴッセ(NM)
    ぶどう品種:PN 45%、CH 45%、M 10%
    ドザージュ:7g/L
    価格:8,400円(税別 / 輸入元:テラヴェール
    #1より香りの立ち方は大人しい、柑橘系果実、白桃、すもも、はちみつ
    ミネラル、溌剌感のある酸味が余韻にも長く広がる。


 第二フライトはランソンの3ヴィンテージ

 #3:ランソン ゴールドラベル・ヴィンテージ・ブリュット2009
 生産者:ランソン(NM)  
 ぶどう品種:PN 53%、CH 47%
 ドザージュ:7g/L
 デゴルジュマン:2017年2月21日
 価格:9,060円(税別)
 フレッシュ&力強さ、黄リンゴ、アプリコット、砂糖漬けの果実、ローストしたコーヒー
 ミネラル 旨味、エレガントな酸味、バランス良好

 ランス市内にあるクロ・ランソン

周囲を壁で囲まれた1haの小さな畑。クロ・ランソンはランソンが生産している単一ぶどう畑のシャルドネ100%のシャンパンで樹齢は20~50年。アルゴンヌの森から切り出したオークの樽で熟成


 

 #4:クロ・ランソン2007/ 生産量約8,000本
 生産者:ランソン(NM)
 ぶどう品種:CH 100%
 ドザージュ:3g/L未満
 デゴルジュマン:2016年7月
 価格:30,000円(税別)
 白桃、アプリコット、フレッシュバター、ブリオッシュ、クルミ
 凛とした酸、口中クリーミー、中盤から余韻に樽のニュアンス

クロ・ランソンは『ワイン王国』のシャンパーニュ特集でテイスティングした時、興味引かれたアイテムだったので、講座で供出することに。長熟タイプのシャンパーニュで、今後の熟成の変化には大いに期待できる、お薦めの1本🍾


 クロ・ランソンの裏ラベル
 ランソンはすべてのボトルの裏ラベルにデゴルジュマンの年月を記載しています。

 
 #5:ランソン ノーブル・キュヴェ・ヴィンテージ・ブリュット2002
 生産者:ランソン(NM)
 ぶどう品種:CH 70%、PN 30%
 ドザージュ:6g/L
 デゴルジュマン:2017年7月
 価格:16,000円(税別)
 焼きりんご、洋梨、スパイス、ミネラル、軽いビター感、複雑味、酸味と甘味のバランス


 変化するランソン
 シェフ・ド・カーヴのエルヴェ・ダンタンさんが語っていた“3つのF
 FreshnessFruitnessFinesse
 ランソンが求めているワインのスタイルです。


 昨年ランソンは創業260周年を迎えました。
 コロナ渦中でイベントを縮小せざるを得ない状況でしたが、2019年1月に社長に就任した
 フランソワ・ヴァン・アール氏の陣頭指揮のもと、新たな船出をしました。
 ワイン誌のインタビューに対して、アール社長は「アイテム数を15から10に絞り込む」
 と語っていました。


             ☆☆☆☆☆☆☆☆

 2020年のシャンパーニュ出荷量
 総出荷量は 2億4,400 万本(前年比-17.9%) 、42億700万ユーロ(-16.7%)
 フランス国内の消費は1億1,320万本(-19.9%) 、16億4,100万ユーロ(-17.9%)

 source:CIVC
 画像の左は数量 / 右は金額。
 輸出相手国で、
 数量ベースでは第1位がイギリス2,130 万本(-21.1%)
 第2位はアメリカ で2,080 万本(-19%)
 逆に、金額ベースでは第1位がアメリカ5億190万ユーロ (-24.5%)
 第2位はイギリス 3億3,820万ユーロ (-21.5%)
 日本は数量・金額ともに第3位で1,080万本(-24.4%) と 2億7,080万ユーロ(-23.6%)
 第4位のドイツはNVの需要が多いので、日本と比べて数量は僅差でも金額では大きな差


 source:CIVC
 コロナ渦中でお祝いのお酒シャンパニュは苦戦しました。
 2019年は1,430万本まで伸びていた日本も2020年は1,080万本にとどまりました。

 source:IWSR
 英国の調査会社IWSRは2019年の水準に戻るのは2024年と予測

 ロゼやプレスティージュが人気の日本市場
 source:CIVC
 日本市場ではノン・ドゼも高人気


               ☆☆☆☆☆☆☆☆

 春期シャンパーニュ講座開始
 4月からスタートする春講座にご参加くださる皆さま
 今期も三密を避け、第3週第4週の2クラスで行いますので、お付き合いの程、
 何卒宜しくお願いいたします🥂🥂🥂


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2021年春のシャンパン講座募集開始 併せて 日本酒話題も! [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

 
 春期シャンパン講座の募集が始まりました!

 春講座も三密を避けた2クラス体制で進めさせていただきます。
 ◆1テーブル1名席 
 ◆マスク&フェイスシールド着用
 ◆グラスは要消毒のため、リーデル本店からレンタル


 オーダーメイドなシャンパンレッスン  ~各メゾンの奥深さを愉しもう~ 
 開催6回/毎水曜日/19時~21時
 [NEW]現行クラス(第4週)
 ◍4月28日
 ◍5月26日 
 ◍6月23日 
 ◍7月28日 
 ◍8月25日 
 ◍9月22日 
 詳細はコチラから

 [NEW]増設クラス(第3週)
 ◍4月21日
 ◍5月19日 
 ◍6月16日 
 ◍7月21日 
 ◍8月18日 
 ◍9月15日 
 詳細はコチラから

 ◆NHK文化センター青山校 電話 03-3475-1151
 受付時間
 月曜日~金曜日 9:30~18:00
 土曜 9:30~17:30
 日曜 9:30~15:00 
 [わーい(嬉しい顔)]早々のリアクションに感謝です、ありがとうございました🥂 


 
   World's Most Admired Champagne2021 by Drinks International
       拡大してご覧ください

       シャンパーニュに関して、この評価だけは信頼しています。
       昨年に続き、ルイ・ロデレールが堂々の1位、おめでとうございます。
       ジャン・バティスト・レカイヨン最高醸造責任者の凄さは実感しています。
       ポル・ロジェはワンランクアップですね!
       講座で造りのこだわりについて何度もお話しているドラピエとフィリポナ
       再エントリーされたことは本当に嬉しいです。


 
     日本酒話題にちょっと寄り道

春講座に、尊敬する君嶋哲至社長の日本酒講座美酒探求 ~日本酒を極める~ が登場していたので、少しだけ“日本酒話題”に寄り道!
君嶋さんとは『日本で飲もう最高のワイン』の専門審査員でもご一緒していますが、多趣味の方で、ロックバンドのギタリストとしても活躍しています。日本における日本酒の達人。新講座が早々にキャンセル待ちになったことは、200%頷けます🍶 


日本酒に馴染みのない方でも、“夏子の酒の蔵元”と聞けば、おわかりになるのでは、と思っていますが、私が尊敬している、もうおひとかたが、新潟県長岡市にある久須美酒造の久須美賢和社長です。昨年2月の蔵元視察で、多くのことを学ばせていただきました。


  日本文化への回帰を予感してデビューした300ml
 2009年には『コピリンコ・こぴりんこ』、2011年には『夏子物語』が登場!

 ひらがなは女紋、カタカナは男紋。細部へのこだわりが見事な2バージョン

『コピリンコ・こぴりんこ』は発酵学者・文筆家 小泉武夫氏の著書に再三登場する“飲酒時の擬態語”に由来するネーミングの純米吟醸で、ラベルには氏の名文が載っています。

IMG_3607.jpg
 ラベルには現会長の“酒蔵の四季”と題した四詩が!

吟醸酒『夏子物語・酒蔵の四季』にはコミック『夏子の酒』のモデル六代目(現会長)の酒蔵の四季(春・夏・秋・冬)の詩が掲載されています。

 2021年にKIYOIZUMI 「YUKI」が仲間入り
 内田百閒翁の孫娘内田ミネさんの英訳がラベルに!

40年程前、各地蔵元の後継者250人余が集ったセミナーの折、今は亡き永六輔氏が、ご教示くださった「日本酒は、土地の米と水と人情と自然が醸す風」を英訳したものだそうです。幅広い人脈をお持ちの久須美社長がカナダ在住の内田ミネさんに白羽の矢を立て完成させた逸品『YUKI』。聞くところによれば、ミネさんは百閒翁譲りの自他ともに認める大酒豪とのこと、まさしくビンゴの人材ですね。
ボトルの緩衝材もお洒落で可愛いですよ!

 焼き鳥は醤油ダレでも塩でもお好みで❢

コロナ渦中ですが、スティルワイン、スパークリングワイン、シャンパン、そして日本酒が日常の潤いになれば嬉しいです!

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