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ミッシェル・フォコネさんとのヴァン・クレール2013体験@ローラン・ペリエ社 partⅡ [シャンパンリポート]

2013年のヴァン・クレールは
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例年に比べて開花が遅く、9月末から10月初旬の収穫だった2013年
〝複雑な年〟とのことでしたが、「ぶどうは十分に熟し、夏に陽光を得て、急速にぶどうの実が熟しました。シャルドネ、ピノ・ムニエ、ピノ・ノワールの順に収穫しました」とシェフ・ド・カーヴのミッシェル・フォコネさん

3月24日、ローラン・ペリエ(LP)社で、10種類のヴァン・クレール試飲をさせていただきました。ヴァン・クレールというのは、一次発酵が終わったワインのことです。LPは〝ピュアさ〟を大事にしているメゾンなので、発酵が終了したワインにはフィルターがけをして酵母等の固形物をすべて取り除いています。

フォコネさんとは現地訪問から2週間ほど後の4月9日、東京で再会することができました。
朝10時から始まった特別テイスティングの様子はPartⅠにまとめています。1ヶ月に2回濃いお話を伺うことができたことは光栄でした。ここではLPにおける要点をまとめ、その後で、現地でのヴァン・クレールについて書いていきます。

LPのシャンパンスタイル&グラン・シエクルについて
■フィネス、エレガンス、フレッシュさを表現するぶどうはシャルドネであり、それがLPの象徴
■一次発酵は16~17度、その後18度に温度を保ちながらマロラクティック発酵(MLF)を実施
■シャンパーニュ地方の17のグラン・クリュのうち、グラン・シエクルに使うのは11のグラン・クリュ
■グラン・シエクルのための新タンクヤードには全部で14のタンクがあり、2つはブレンド用。残りは11のグラン・クリュのキュヴェで、1つのクリュだけ、シャルドネとピノ・ノワールの2種あるので12になります。
■LPのエレメントは450キュヴェ(畑ごと、品種ごと)あり、グラン・シエクルのためのエレメントは60キュヴェ


5つのクリュのシャルドネ
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コート・デ・ブランの4つのグラン・クリュ(GC)、メニル・シュル・オジェ、アヴィズ、クラマン、オイリーの位置、おわかりいただけますね。

#1:Mesnil-sur-Oger
ミネラルと酸味が強く近付き難い印象で、長い余韻が特徴。時間が経過してもなかなか香りが立たず、シャンパンのブレンドに使っても年月が経たないと膨らんでこないのがメニル。その存在感は圧倒的で、「メニルをシャンパンに入れると良いヴィンテージものができそうという気になる」とフォコネさん

#2:Avize
ミネラル感はあっても#1ほど強くなく、花弁の白い花が連想できます。口中まろやか。余韻は#1ほど長くありません。同じ2013年ヴィンテージで、同じコート・デ・ブランにあり、2つの村の距離はそれほど離れていないにもかかわらず、味わいに違いを感じます。「土壌はともにチョーク質で、 #1は層が深く、日照量は少な目。逆に#2は層が浅く、日照量は多め」とフォコネさん。その違いが味わいに出ています。

#3:Cramant
陽光は日中斜面に対して平行に注ぎ、夕方になってやっと正面から当たるのがクラマンで、チョーク層はかなり深いところにあります。フォコネさんいわく「ある程度の年数を経過したぶどう樹でないとチョーク層に届かず、取り込んだミネラル分をぶどうの実に反映させることができない」と。メニル、アヴィズ、クラマンとも樹齢は25~30年。クラマンにはメニルやアヴィズにはなかった柑橘系果実(レモンやGF)の香りがあり、口中いきいき、アグレシィヴな面もあります。

#4:Oiry
平地で栽培したぶどう。2013年は雨量が多かったので、十分な凝縮感がなく、水で薄められてような印象。「グラン・クリュ(GC)であっても畑の位置や天候によってぶどうの出来は異なるので、ワインにしてみないとわからない」とフォコネさん

#5:Villers-Marmery
モンターニュ・ド・ランスに位置するプルミエ・クリュ(PC)。LPのブリュットに新鮮味を与えたい時に使うシャルドネ(PCなのでグラン・シエクルには使用しません)。チョーク層が深く、南向きの陽を受けているエリアで、典型的なミネラル感、口中では酸っぱい印象があります。後味には苦みすら感じますが、LPにとってシャルドネは根幹をなすぶどうであり、自分たちの地所から一番近い所にあるヴィレール・マルメリーのシャルドネは新鮮味をキープできるのでとても重宝しているとのこと。

要となるグラン・クリュはやはりメニル・シュル・オジェのようです。#5はLPのシャンパンの背骨になっている由。フィネス&エレガンスを表現したい時はアヴィズ、酸味が必要な時には#4のオイリーが大事だそうです。


ピノ・ノワール&ピノ・ムニエは
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ローラン・ペリエ社の拠点はトゥール・シュル・マルヌ(地図中央下)で、北方にあるルーヴォワにはシャトー・ド・ルーヴォワを所有しています。ヴェルサイユ宮殿の庭園設計をしたル・ノートルが手掛けたお庭がある素敵なお城です。

#6:Ambonnay
#6、#7、#8はピノ・ノワール。かなり開いた印象、まろやかさ、十分な酸味もあります。LPにとってのピノ・ノワールはパワーではなく、空気の様な軽やかさ、エレガントなものでなければなりません。アンボネイの産地は丘と裾野に分かれますが、LPは平地のぶどうを好み、かつ、ぶどうの実が完熟する直前に収穫したものを使用。「熟したぶどうだとワインにした時に酸化のスピード早くなってしまう」とフォコネさんはおっしゃっていました。なるほど、力強いはずのアンボネイのピノがまろやかでエレガントな理由がわかりました!

#7:Bouzy
アンボネイもブージーも赤色果実の風味があります。ブージーは骨格があり、ストラクチュアのしっかりした味わい。畑はそれほど離れていませんが、味わいはかなり違います。

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#8:Mailly
北に位置するマイイはじっくり熟すのが特徴。フォコネさんいわく「例年だとストラクチュアやパワーが感じられる」とのことですが、開花が遅かった2013年は収穫が10月10日で、グラン・クリュのなかで一番遅かったにも拘わらず、ぶどうは完熟していなかった由。「アンボネイやブージーには赤色果実の要素があるが、マイイはプラムのような黒系果実の印象だった」と。2013年のマイイは例年より質は劣るようで、ブレンドには使いますが、マイイとしての性格は出ていないとのこと。グラン・クリュとしての実力を完全に発揮するには、ぶどうは完全に熟していなければなりません。

#9:Rilly-la-Montagne
#9と#10はピノ・ムニエ。ピノ・ノワールと比べて、味わいも酸味もしっかりしています。小丘で収穫したぶどうでLPが所有しています。シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3品種が栽培できるエリアで、特にピノ・ムニエとの相性が良いようです。まろやかな果実、熟しきった果実の風味があります。

#10:Vallee de la Marne
陽光を多く受ける渓谷のぶどう、素直な味わい、フラワリー

10種のヴァン・クレールで、2013年ヴィンテージのクリュごとの違いを少し理解できました。
フォコネさんに2013年のシャンパン造りについて伺ってみたところ、リザーブワインの活用を述べていました。具体的には2009年(良年)、2010年、2012年(バラつきがあった年)のうち、2009年と2010年をリザーブワインとして使って、従来通りのスタイルを完成させようと思っているようです。シャンパーニュ地方生まれで、41年間LPでシャンパン造りに関わってきたフォコネさんには多くの経験がありますし、頭のなかには各クリュの特徴、過去の収穫年におけるぶどうの出来具合がしっかりインプットされています。それを生かした職人技を楽しみにしています。

10種の後で、グラン・シエクルをテイスティング
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現行のグラン・シエクル登場!
シャンパンのサービスをしてくださったのは輸出部長のジャン・クリスチャンさん

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2012年に200周年を迎えた後、改装したテイスティングルーム


進化し続けるローラン・ペリエ
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見学コースには、その昔、使用していた木樽を展示してあります

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リザーブワインは10基のコンクリートタンクでキープ

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新しいカーヴには14基のステンレスタンクが並んでいます。
タンクのデザインはミッシェル・フォコネさん、施設の設計はジャン・ミッシェル・ウィルモットさんが担当。ウィルモットさんは1965年以降、グラン・シエクル賞(グラン・シエクルあるいはシャンパン造りに貢献した人をたたえる賞)の審査員の一員でもあります。

ここはコトー・シャンプノワ造りに使っていた空の樽(200L)が置いてあったカーヴで、その前にベルナールさんが最初に設計したタンクヤードがありました。その跡地にこの新しいタンクの施設を造ったことはアレクサンドラさんにとってもステファニーさんにとっても大変意義あることで、2010年に逝去したベルナールさんの偉業をたたえるとともに、彼の意志を若い世代が引き継いでいく意思表示でもあります。

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首の細い特殊な瓶型のグラン・シエクル、動瓶作業は手動で現在3名で行っています。
グラン・シエクルのジェロボアムボトルの開発に関しては、気圧の問題、ボトル自体が優美なものでなければならないので、LPはサン・ロマン社と10年かけて開発した由。基本的にはジェロボアムまでは動瓶を手動で行いますが、それ以上のサイズは750mlを入れ替えているそうです。

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ベルナールさんが初めてグラン・シエクルを造った時のものから最新のものまで寝かされていますが、バーコードで使用3ヴィンテージを識別することができます。

LPのカーブはチョーク層で長さ11km、地下7m、室温は10~11度、湿度は80~90%。この場所以外、シャロン(主にブリュットを保管)と合わせて2400万本(2年半くらいの収穫分)をキープしています。

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広報担当のアグネスさんの話によると・・・LPの中心部分はシャルドネが植樹してある〝プレザンスの畑〟で、シャルドネが象徴的な存在になっていますが、このエリアで2008年から稼働し始めた生産サイトが〝クロ・バラン〟であり、2019年まで(これからの5年間で)にかなりの大規模な工事が行われ、シャロンにあるボトルも収容できる新カーヴが完成予定とのことでした。

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LPには小型の浄水場施設があり、使用する水は再処理しており、将来の世代にも自然環境を残せるようにしています。

最高醸造責任者のミッシェル・フォコネさん、ジャン・クリスチャンさん、アグネスさん、名通訳の古垣内(ふるがいち)さん、当日は大変お世話になりました! ありがとうございました!!

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半世紀を経ても〝フレッシュさ〟と〝優雅さ〟を保ち続けるシャンパン『グラン シエクル』 Part Ⅰ [シャンパンリポート]


3月24日にシャンパーニュのトゥール・シュル・マルヌにあるローラン・ペリエ社を訪問し、シェフ・ド・カーブ(最高醸造責任者)のミッシェル・フォコネさんに2013年のヴァン・クレール(シャンパンのベースワイン)体験をさせていただいたのですが、そのフォコネさんが2年ぶりに来日し、特別セミナーを行いました。沿革からグラン シエクルのネーミングに至るまでの話が出ておりましたので、200周年記念ガラディナーのリポートをご参考までにリンクしておきます。


東京でのセミナーのハイライトは
やはり、このグラスのなかのシャンパン!
ローラン・ペリエ社(LP社)を世界的企業に押し上げた立志伝中の人物、故ベルナール・ドゥ・ノナンクールさんが初めて世に送り出した『グラン シエクル』、カーブから特別に運び込まれた記念すべきシャンパンです!


このグラン シエクルは1952年、53年、55年をブレンドしています。
60年以上の歳月が経過しているにも関わらず、LP社の基本的スタイル〝フレッシュさ〟を持ち続けている優雅なシャンパン、白い花のイメージです。私はLPのアイコン、白いカラーの花を連想しました。画像は晩年のベルナール・ドゥ・ノナンクールさん

ノナンクールさんが考えるシャンパンの基本はブレンド
「黒ぶどうと白ぶどうの調和、異なるクリュの調和があるなら、〝異なるヴィンテージの調和〟も絶対にあるべきだ」という信念から生まれたグラン シエクル。最高の畑、最高のぶどう、最高のヴィンテージの集大成、そのブレンドの極みが、『グラン シエクル』という名のシャンパンです。

通常、シャンパンメゾンのプレスティージキュヴェ(最高級品)は収穫年を表記しますが、LP社のグラン シエクルは〝直近の特徴ある3ヴィンテージ〟をブレンドしたマルチヴィンテージシャンパン。ゆえに収穫年の記載はありません。他メゾンとは一線を画しています。
夢を大事にしているLP社は、今まで、グラン シエクルに使われている3ヴィンテージについては公表してきませんでしたが、少人数のプレスに向けて行ったテイスティングセミナーではフォコネさんが使用3ヴィンテージ(VT)について特別公開してくださいました。これは前代未聞のことです。


ドゴール大統領が命名したグラン シエクルは〝偉大なる世紀〟を意味しています。
首の長い特殊な瓶型は17世紀にベルサイユ宮殿で使用されていたボトルがベース

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2014年3月24日撮影
昨年完成したグラン シエクル専用ワイナリー『キュブリー グラン シエクル』
14基のステンレスタンクが壮観です。1基の容量は110hl、ここをまっすぐに進む(奥に見える部屋)と、内装の部材や照明に配慮したテイスティングルームがあります。

グラン シエクルのスタイルを語る貴重な7アイテム

左から(#1~#6は今回の試飲のために1ヶ月前にデゴルジュマンを実施し、ドザージュ・ゼロの状態で空輸したものです)
#1:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム1
使用VTは2004年、2002年、1999年で現在瓶熟中、2年後に発売予定
ぶどうの品種構成はシャルドネ55%、ピノ・ノワール45%
ベースになるVTは2004年で、作柄が素晴らしく、1万2000kgの収穫があった年。2002年はストラクチュア、骨格のある年で長い余韻が残ります。1999年は繊細さ(フィネス)が強調されている年で、色調は明るい黄金色、香りは白い花(サンザシ)や柑橘類果実、口中にまろやかさやフレッシュ感が広がります。

#2:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム2
使用VTは1999年、1997年、1996年で、このボトルは現在発売中
1999年は繊細さが際立つ年、1997年はフレッシュさが表現されている年、1996年は秀逸年で骨格が感じられる年。色調は#1よりイエローが強く、香りからはブリオッシュや柑橘系果実、口中にはしっかりとしたミネラル感や酸味、余韻にグレープフルーツのような柑橘類の香りが残り、フレッシュさがあります。

#3:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム3
使用VTは1993年、1990年、1988年。1993年は繊細さがある年、1990年はシャルドネに関して良質なものが収穫できたのでストラクチュアやフレッシュさを表現している年、1988年は厳格さを感じる年です。シャンパン全体からフレッシュな印象を受けます。ブリオッシュの香り、酸がきれいでクリスピィー、口中ではふくよかでシルキーな感触、エレガントで、余韻にハチミツのニュアンスが残ります。

#4:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム4
使用VTは1988年、1985年、1982年。1988年は厳格でストラクチュアをしっかり感じる年、1985年は冬に霜害があり収量減、その分、凝縮感のある品質の高いピノ・ノワールが穫れた年、1982年は85年とは正反対の好天でシャルドネ&ピノ・ノワールとも高収量、繊細さが感じられる年(82年以前の3年間は悪天候)
このグラン シエクルはLP社のセラーに25年以上寝かせていたものですが、フレッシュさを保ち、柑橘類やスパイシーさの要素、口中ではシルキーでなめらか。アフターに柑橘系果実のフレッシュさを感じます。

#5:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム5
使用VTは1982年、1979年、1978年。1982年は秀逸年、1979年はエレガンスさ&フレッシュさを感じる年、1978年は結実不良で収量減でしたが、凝縮感のある骨格がはっきりした年に。これは30年以上セラーに寝かせていたシャンパン。第一香はスパイス、ハチミツ、口中ではシルキー。「花の蜜の様な印象は白い花、西洋カズラです」とフォコネさん

#6:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム6
使用VTは1955年、1953年、1952年。当時のシャンパーニュ地方は規模としてもまだ小さく、収量(5000kg/ha)も少なかった由。今回の特別テイスティングのハイライト! ノナンクールさんが造って初めてリリースした記念すべきグラン シエクルで、50年以上セラーで寝かせていたものです。「ノナンクールから多くのことを教わりましたが、このボトルに関してはぶどう品種の構成を聞きそびれてしまいました。天国にいる彼に聞かないとわかりませんが、試飲するたびに毎回フレッシュさを感じています。色調はホワイトがかったゴールド。年代を追ってテイスティングする機会はなかなかないので、今回はとても貴重です」とフォコネさん。半世紀を経てもなお、これだけのフレッシュさをキープさせていることは驚きであり、このスタイルこそがLP社が求めているシャンパン造りの原型だと思いました。

創業200周年記念で発売したスペシャル版
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#7:ローラン・ペリエ レ レゼルブ グラン シエクルマグナム
使用VTは1995年、1993年、1990年。2012年の200周年を記念したノナンクールさんへのオマージュ・シャンパン。ジェロボアム(3L)サイズとマグナムサイズで発売しました。今回供出された#7はマグナムサイズで、18カ月前にデゴルジュマンしています。フォコネさんは「デゴルジュマンは〝酸化〟という敵と向かい合うことであり、酸化の影響を避ける意味で、できるだけ直前にデゴルジュマンを行うようにしています。ワインに変化が出てくるのは、デゴルジュマンの後であり、香りや味わいにその変化を感じることができます」と語っていました。

200周年のディナーで味わった時には、楚々として控え目な風情だったのですが、あれから2年経過して・・・第一香から華やかさが際立ち、上品な酸味と余韻の長さが印象的でした。ボトルサイズも大きいので、ゆっくりとした熟成を感じました。

7アイテムには一貫して〝フレッシュ感〟がありました。
これはとりもなおさず、ローラン・ペリエ社が基本にしている〝シャルドネ〟に由来するものであり、故ベルナール・ドゥ・ノナンクールさんのコンセプトを十分に感じ取ることができました。


撮影するにあたり、テイスティングに登場した7アイテムのなかから「お好きなグラン シエクルを持って」とお願いしたところ、「どのグラン シエクルもわが子なので1つには決められない」とのお返事が!
ローラン・ペリエ社とともに41年間歩んできたシェフ・ド・カーブ、最高醸造責任者のミッシェル・フォコネさん、ますますのご活躍に期待しています。


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シャガールのブルーに惹かれます! [シャンパンリポート]

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ランスのノートルダム大聖堂
暖かな日差しを受けたバラ窓は相変わらずきれい

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シャガールのステンドグラスの左隣に大聖堂の模型が!
精巧な模型を正面から見ると2つのバラ窓が見えます。
冒頭のものは下部分のグラスになります。

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カテドラルの一番奥にあるシャガールのステンドグラス
このブルーを見ると気持ちがとても落ち着きます、大好きな色です!

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各パーツの意味ある解説も!

シャンパンラバーさんにお薦めしたいエペルネの『La Banque』 [シャンパンリポート]

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シャンパーニュ地方エペルネにある気になるスポット『La Banque ラ・バンク』

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昔、銀行だった建物が今はお洒落なブラッスリーに!

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店内の奥から入口方向を見ると

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許可をいただき階下に降りてみると

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確かにBanque

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シャンパンの展示も大がかり

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料理は2種類オーダー、さっぱりした味わいのカルパッチョ

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ラムの風味も良かったです!

シャンパンはグラスシャンパンからボトルまで、かなりのメゾンが記載されています。
日本未入荷のアイテムも多いので、いろいろチャレンジできると思います。
今回のお薦めのポイントは・・・グラスシャンパン2杯と上記の料理で40€だったことかな

La Banque
40 rue du General Leclerc
webは>>>http://www.brasserie-labanque.fr/

タグ:La Banque
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第2弾 シャンパンメゾン『タルラン』の土壌、醸造、シャンパン造り [シャンパンリポート]

前ブログではTarlantタルランが取り込んでいるシャンパーニュ地方の古代品種についてまとめました。第2弾では、メゾンのこだわりを徹底追及してみます。

土壌を知る=おいしいシャンパン造り
タルランはマルヌ渓谷ウイィ村の高台にあり、渓谷ならではの様々な土壌に恵まれています。
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シャンパーニュ地方を代表するチョーク質土壌

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ピノ・ムニエが好む土壌はスパルナシアンと呼ばれる粘土石灰質(粘土<石灰比率多)
その昔、この土地に住む人々はスパルナシアンと呼ばれていたそうです

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タルランが誇るシャルドネ100%の『ラ・ヴィーニュ・ダンタン』を生み出す砂地の土壌
砂地で、アメリカ台木に接木していない自根のシャルドネから造られるシャンパンはタルランだけ!

テイスティングアイテムについて
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左から
#1:タルラン ゼロ
1/3ずつ、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、ドザージュ:0g/L
メゾンのスタイルを象徴しているシャンパン
1982年11代目が顧客からの要望で生産を始めたアイテム。スタート当初は生産量の5%にも満たない量でしたが、1991年12代目のブノワさんがメゾンに参入した時は全体量の25%、現在では80%を占めるまでになっています。ドザージュ量ゼロ(糖分添加なし)なので、ヴァン・ド・レゼルヴは40~45%使用

ベースワインが極めてピュアなシャンパンです。これは11代目の「自然の産物としてのワイン、生きている感じがするワインを造りたい」との考えをそのまま反映したものと言えます。

#2:タルラン ロゼ・ゼロ
85%シャルドネ、15%ピノ・ノワール、ドザージュ:0g/L
2000年からトライアル開始、2002年から正式リリース、タンニンと酸のバランスが大事なので、セニエ法も試したのですがタンニンが出すぎてしまうのでブレンド法を選択。ベースワインは2007年、ヴァン・ド・レゼルヴ(3年分のヴィンテージ)は25%使用
「夏を感じさせるような軽い食事と合わせて」とブノワさん

#3:タルラン ロゼ・プレスティージュ2000(ヴィンテージ記載前のボトル)
87%シャルドネ、13%ピノ・ノワール、ドザージュ:3g/L
果実味豊か、ミネラル感、余韻に軽いタンニン

#4:タルラン ラ・ヴィーニュ・ダンタン2000
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100%シャルドネ、ドザージュ:2g/L
19世紀、欧州のワイン産地はフィロキセラ(和名:ブドウネアブラムシ)禍でぶどう畑は壊滅状態になっていました。タルランの砂質土壌のぶどう畑に3株のシャルドネが生息していることを10代目が発見。プロヴィナージュ(ぶどう樹の枝を土に埋め、根が出てから切り離す取り木)で株を増やし、シャルドネを生育し始めました。62年前の話です。#4はアメリカ台木を使っていない“自根のシャルドネ”

砂地土壌とチョーク質土壌のシャルドネ(ブラン・ド・ブラン)との違いは? 太陽熱を吸収する前者のほうが口中で丸みがあり、余韻にもふくらみがあるとのこと。この違いについては今週の18日、シャンパン編で探究してみるつもりです。

#5:タルラン ラ・ヴィーニュ・ドール2002
100%ピノ・ムニエ、ドザージュ:4g/L、わずか1区画、樹齢51年
「ビター感を楽しんで」とブノワさん。グレープフルーツの香り、熟成が進むとマンゴーやライチ、さらにはアーモンドやナッツ似のニュアンス

#6:タルラン ラ・ヴィーニュ・ルージュ2003(2012年リリース予定)
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100%ピノ・ノワール 土壌は固い石灰質、南向きの急斜面0.6ha、骨太のシャンパン!!

#7:タルラン キュヴェ・ルイ1998
50%シャルドネ、50%ピノ・ノワール、ドザージュ:3g/L
マルヌ川に面した西向きのなだらかな斜面、チョーク質土壌に育つシャルドネとピノ・ノワール
「ぶどうがしっかり熟すのを待って収穫しますが、マルヌ川からの恩恵でぶどうにフレッシュな酸味が加わります」とブノワさん。酸味とミネラル感、バランスの良いシャンパン

醸造作業の75%は圧搾にかかっている
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糖分添加なしのノン・ドザージュが全体の80%を占めている話は先ほども書きましたが、タルランのシャンパンの良さがわかる人は、いろいろなシャンパンを相当飲んでいる人だと私は思っています。メゾン側でも訪問者の愛飲歴からそのような傾向が出ていると話していました。そのシャンパン好きの舌に訴える最大の魅力は、ワインの生地(一次発酵のワイン)の綺麗さ、ピュアさです。

タルランでは2007年からフランス製COQUARDコカール社の圧搾機を導入しました。以前はシャンパーニュ地方で広く用いられている伝統的な圧搾機を使っていましたが、ぶどうを均等にプレスし、酸化のリスクの少ない最新式機器に変えたことで、よりピュアな搾汁が得られるようになっています。ブノワさんは「醸造の作業の75%は圧搾にかかっています」とおっしゃっていましたが、ノン・ドゼのシャンパンの比較試飲をすればするほど、その言葉の重さを感じます!

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各ぶどう、土壌ごとに分けて圧搾するので、タンクの容量も大小あります

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タルランではMLFは行いません。一次発酵は3分の1がタンク内、3分の2が樽の割合

ブノワさんは「最終的に求めていることは、“人をいかに喜ばせることが出来るか”ということです。ぶどう造りから醸造まですべてを含めてナチュラルな方法や考え方を取り入れて仕事をすること。それらすべての工程が自分に喜びを与えてくれます」という言葉で締めてくれました。
輸入元(株)八田の城野東太社長、タルランの朝倉真名美さん、お世話になりました。
ありがとうございました!
タグ:タルラン

シャンパーニュ地方の規定ぶどうは7品種 ! タルランが取り組む古代品種のシャンパンに期待!! [シャンパンリポート]

シャンパーニュ地方の規定ぶどうは7品種
前回のシャンパン・リポートでご紹介したエペルネにあるペリエ・ジュエ社から車で15分ほどで、Tarlantタルランに到着! RM(レコルタン・マニピュラン)ながら栽培面積は15ha(うち3haはビオディナミ)もあり、土壌探究に関してのこだわり、ベースワインの生地の綺麗さは特筆できます。そのタルランではシャンパーニュの規定7品種のうち、ピノ・グリを除く6品種 シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、ピノ・ブラン、プティ・メリエ、アルバンヌを栽培しています。

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(左)ピノ・ブラン、(中央)プティ・メリエ、(右)アルバンヌ/撮影:2011年12月8日@Tarlant

本題に入る前に、シャンパーニュ地方のぶどう品種に関して、大事なポイントを書いておきます!
2009年2月に実施したシャンパン講座で、オブリ・フィスの『ル・ノンブル・ドール・カンパナエ・ヴュテレス・ヴィテス・ブリュット』を取り上げました。輸入元のデータでは 「規定8品種を使用」となっていますが、昨年11月シャンパーニュの法律改正で、現在シャンパーニュ地方で「使用できるぶどうは7品種」と規定されています。

法律原文は以下の通りで、品種(セパージュ)については第1章第5条にあります。
Blanc(白ぶどう) Arbanneアルバンヌ、Chardonnayシャルドネ、Petit Meslier プティ・メリエ、Pinot Blancピノ・ブラン、Pinot Grisピノ・グリ
Noir(黒ぶどう)  Meunierムニエ、Pinot Noirピノ・ノワール

オブリ・フィスのシャンパンに使われている「フロモントー」は、ピノ・グリのことであり、「アンフュメ」 も、ピノ・グリの同義語です。

この名称についてCIVCの川村玲子日本代表に質問したところ、 「フロモントーやアンフュメ等は古名であり、現行の法律には記載がありませんので使用しないでください」とのお返事でした。

上記の件があって以来、シャンパーニュの古代品種がずっ~と気になっていました。そこで12月にタルランを訪問、幸運なことに古代品種のキュヴェを試飲することができました。

タルランが取り組む古代品種のシャンパン


念願だった200周年記念のペリエ・ジュエ社をお訪ねして [シャンパンリポート]

今年3月、パリのエコール・デ・ボザール(国立高等芸術大学)で創業200年を迎えたペリエ・ジュエ社の祝賀会が開かれました。光栄なるお招きを受けたのですが、3月の時期で伺えなかったいきさつがあり、今年中にはどうしても訪問したいと思っていました。その夢が12月に実現しました!!

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1811年から2011年の間に築きあげてきた遺産、2011年はその200年を祝して!

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シャンパン購入者所有の『ベル・エポック1998 マグナム ビサントゥネール』が静かに眠っています

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カーヴからアール・ヌーヴォーの殿堂メゾン・ベル・エポックへ

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サロンには高級家具師Louis Majorelle ルイ・マジョレのテーブルや椅子、サイドボードがあり、
ケースの中にはガレのサイン入り、あの『ベル・エポック』のオリジナルボトルが!!

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美術品に囲まれて、200年の時を感じながらの優雅なテイスティング 左からNo1~No5

NV は8度~10度、ベル・エポックは12度~14度でサービスされたのですが、完璧なるコンディションに改めて感激。非の打ち所のない印象、日本で試飲するのと微妙に、ごくわずかに違う印象、自らが出向いて味わう現地でのテイスティングの必要性を再認識。でも供出温度のその裏にはシェフ・ド・カーヴの見えざる準備が!

エルヴェ:No1のグラン・ブリュットはイギリス市場に向けてリリースした辛口タイプで、それ以前は甘口タイプのシャンパンが主流でした。NVはいつも同じスタイルで安定した味わいであることが大事です。攻撃的でない泡の感触と穏やかな酸、3年間オリと接触させているので、オリに由来するビスキュイやバターの要素、白い花、パイナップルやグレープフルーツ。フレッシュで親しみやすいシャンパンなので、アペリティフや魚介類と合わせて。

エルヴェ:No2のベル・エポック2004年は素晴らしいヴィンテージです。6年間瓶熟成させたシャンパンでシャルドネのエレガントさを重視しています。CH50%、PN45%、PM(エペルネの北にある古い自社畑ディジィ産)5%のブレンド、フェミニンで複雑、ミネラリーで上品な酸と長い余韻。パワフルさと余韻はPN(マイィ、ヴェルズネー、ヴェルジ)に由来、シーフードだけでなく、ドライフルーツやアーモンドのニュアンスがあるのでクリームソース系の料理にも。

エルヴェ:No4のブラゾン・ロゼには赤ワインを15%ブレンドしています。PNとPMを使うマセラシオンではなく、ペリエ・ジュエはシャルドネを重視しているので赤ワインのブレンドです、赤ワインは色を与えてくれますが強いタンニンやビター感は不要です。香りはフレッシュ、ストロベリーやブラックベリーのニュアンス。鴨や鳩などの肉料理や赤い果実のデザートと合わせて。

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ベル・エポック No3ブラン・ド・ブラン2002を手に最高醸造責任者エルヴェ・デシャンさん
「レモン、グレープフルーツの皮、白い果実や白桃、花のような香り、バターやブリオッシュ、熟成すると上品な力強さが出てきます。ミネラリーでアロマも豊か、キャビアのような塩気のある料理やシーフードと合わせて。クリーム系の料理とも楽しめます」

自社畑は65ha、コート・デ・ブランのGCクラマン(29ha)にある2区画ブロン・ルロワとブロン・デュ・ミディーのシャルドネだけで造る総生産量10,000本~13,000本の稀少シャンパン

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同社のシャルドネスタイルの究極がブラン・ド・ブラン
ソフィー・マルソーほか世界のセレブから愛されている逸品です
1993年がファースト・ヴィンテージでフランス本国のほか、英国、米国、スイスで販売、その後リリースした1999年ヴィンテージはイタリア、日本にも拡大。3番目のヴィンテージは2000年、そして最新ヴィンテージは2002年、エルヴェさんとの会話の中に、「2008年はシャルドネ・イヤー」という部分があったので、まだ先ですが、2008年ヴィンテージの登場は期待できるかもしれません。

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エルヴェ:No5のベル・エポック ロゼ2004はサーモンカラー、アイとアンボネイの赤ワインを10~12%ブレンドしています。エレガントなアロマ、シルキーでクリーミーな味わい、ロブスターやデザートとして果物の柿や栗と合わせて。後ろにある花は冬の花アマリリスです。

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ペリエ・ジュエ社が“生き続ける遺産”としてリリースしたベル・エポック1998年
100年を経た2111年に、その神秘のベールがはがされるのですね

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親日家で日本食や食材にも造詣が深く、来日回数も多いエルヴェさんにとって、今までで一番印象深かった食べ物は「gingko nut ぎんなん」だったそうです。フランスでは食材として使うことはないので、和食での扱いに感銘を受けたとのこと。昨年は築地市場でふぐや鮪の解体を見学した由、素材を壊すことなく、調理する手法に感嘆していました。今年は東関東大震災があり、来日は1度だけでしたが、来年はうまくいけば3回(3月、7月、11月)来日なさるそうですよ。
HPの「on the spot 現場で」をスタートしました。第1弾はPerrier-Jouët ペリエ・ジュエ、1度、覗いてくださ~い!!

ブログにお立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました。今年もたくさんお世話になりました。シャンパーニュの取材や、2011年カレッジャンパン講座の報告、さらには来日なさったワイン関係者のリポート等も山積みなので、年明けからアップしてまいります。懲りずにおつきあいください。
どうぞ宜しくお願いいたします。

2012年が皆様にとりまして、素晴らしい一年でありますように祈願しております。

感謝を込めて!
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