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ミッシェル・フォコネさんとのヴァン・クレール2013体験@ローラン・ペリエ社 partⅡ [シャンパンリポート]

2013年のヴァン・クレールは
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例年に比べて開花が遅く、9月末から10月初旬の収穫だった2013年
〝複雑な年〟とのことでしたが、「ぶどうは十分に熟し、夏に陽光を得て、急速にぶどうの実が熟しました。シャルドネ、ピノ・ムニエ、ピノ・ノワールの順に収穫しました」とシェフ・ド・カーヴのミッシェル・フォコネさん

3月24日、ローラン・ペリエ(LP)社で、10種類のヴァン・クレール試飲をさせていただきました。ヴァン・クレールというのは、一次発酵が終わったワインのことです。LPは〝ピュアさ〟を大事にしているメゾンなので、発酵が終了したワインにはフィルターがけをして酵母等の固形物をすべて取り除いています。

フォコネさんとは現地訪問から2週間ほど後の4月9日、東京で再会することができました。
朝10時から始まった特別テイスティングの様子はPartⅠにまとめています。1ヶ月に2回濃いお話を伺うことができたことは光栄でした。ここではLPにおける要点をまとめ、その後で、現地でのヴァン・クレールについて書いていきます。

LPのシャンパンスタイル&グラン・シエクルについて
■フィネス、エレガンス、フレッシュさを表現するぶどうはシャルドネであり、それがLPの象徴
■一次発酵は16~17度、その後18度に温度を保ちながらマロラクティック発酵(MLF)を実施
■シャンパーニュ地方の17のグラン・クリュのうち、グラン・シエクルに使うのは11のグラン・クリュ
■グラン・シエクルのための新タンクヤードには全部で14のタンクがあり、2つはブレンド用。残りは11のグラン・クリュのキュヴェで、1つのクリュだけ、シャルドネとピノ・ノワールの2種あるので12になります。
■LPのエレメントは450キュヴェ(畑ごと、品種ごと)あり、グラン・シエクルのためのエレメントは60キュヴェ


5つのクリュのシャルドネ
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コート・デ・ブランの4つのグラン・クリュ(GC)、メニル・シュル・オジェ、アヴィズ、クラマン、オイリーの位置、おわかりいただけますね。

#1:Mesnil-sur-Oger
ミネラルと酸味が強く近付き難い印象で、長い余韻が特徴。時間が経過してもなかなか香りが立たず、シャンパンのブレンドに使っても年月が経たないと膨らんでこないのがメニル。その存在感は圧倒的で、「メニルをシャンパンに入れると良いヴィンテージものができそうという気になる」とフォコネさん

#2:Avize
ミネラル感はあっても#1ほど強くなく、花弁の白い花が連想できます。口中まろやか。余韻は#1ほど長くありません。同じ2013年ヴィンテージで、同じコート・デ・ブランにあり、2つの村の距離はそれほど離れていないにもかかわらず、味わいに違いを感じます。「土壌はともにチョーク質で、 #1は層が深く、日照量は少な目。逆に#2は層が浅く、日照量は多め」とフォコネさん。その違いが味わいに出ています。

#3:Cramant
陽光は日中斜面に対して平行に注ぎ、夕方になってやっと正面から当たるのがクラマンで、チョーク層はかなり深いところにあります。フォコネさんいわく「ある程度の年数を経過したぶどう樹でないとチョーク層に届かず、取り込んだミネラル分をぶどうの実に反映させることができない」と。メニル、アヴィズ、クラマンとも樹齢は25~30年。クラマンにはメニルやアヴィズにはなかった柑橘系果実(レモンやGF)の香りがあり、口中いきいき、アグレシィヴな面もあります。

#4:Oiry
平地で栽培したぶどう。2013年は雨量が多かったので、十分な凝縮感がなく、水で薄められてような印象。「グラン・クリュ(GC)であっても畑の位置や天候によってぶどうの出来は異なるので、ワインにしてみないとわからない」とフォコネさん

#5:Villers-Marmery
モンターニュ・ド・ランスに位置するプルミエ・クリュ(PC)。LPのブリュットに新鮮味を与えたい時に使うシャルドネ(PCなのでグラン・シエクルには使用しません)。チョーク層が深く、南向きの陽を受けているエリアで、典型的なミネラル感、口中では酸っぱい印象があります。後味には苦みすら感じますが、LPにとってシャルドネは根幹をなすぶどうであり、自分たちの地所から一番近い所にあるヴィレール・マルメリーのシャルドネは新鮮味をキープできるのでとても重宝しているとのこと。

要となるグラン・クリュはやはりメニル・シュル・オジェのようです。#5はLPのシャンパンの背骨になっている由。フィネス&エレガンスを表現したい時はアヴィズ、酸味が必要な時には#4のオイリーが大事だそうです。


ピノ・ノワール&ピノ・ムニエは
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ローラン・ペリエ社の拠点はトゥール・シュル・マルヌ(地図中央下)で、北方にあるルーヴォワにはシャトー・ド・ルーヴォワを所有しています。ヴェルサイユ宮殿の庭園設計をしたル・ノートルが手掛けたお庭がある素敵なお城です。

#6:Ambonnay
#6、#7、#8はピノ・ノワール。かなり開いた印象、まろやかさ、十分な酸味もあります。LPにとってのピノ・ノワールはパワーではなく、空気の様な軽やかさ、エレガントなものでなければなりません。アンボネイの産地は丘と裾野に分かれますが、LPは平地のぶどうを好み、かつ、ぶどうの実が完熟する直前に収穫したものを使用。「熟したぶどうだとワインにした時に酸化のスピード早くなってしまう」とフォコネさんはおっしゃっていました。なるほど、力強いはずのアンボネイのピノがまろやかでエレガントな理由がわかりました!

#7:Bouzy
アンボネイもブージーも赤色果実の風味があります。ブージーは骨格があり、ストラクチュアのしっかりした味わい。畑はそれほど離れていませんが、味わいはかなり違います。

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#8:Mailly
北に位置するマイイはじっくり熟すのが特徴。フォコネさんいわく「例年だとストラクチュアやパワーが感じられる」とのことですが、開花が遅かった2013年は収穫が10月10日で、グラン・クリュのなかで一番遅かったにも拘わらず、ぶどうは完熟していなかった由。「アンボネイやブージーには赤色果実の要素があるが、マイイはプラムのような黒系果実の印象だった」と。2013年のマイイは例年より質は劣るようで、ブレンドには使いますが、マイイとしての性格は出ていないとのこと。グラン・クリュとしての実力を完全に発揮するには、ぶどうは完全に熟していなければなりません。

#9:Rilly-la-Montagne
#9と#10はピノ・ムニエ。ピノ・ノワールと比べて、味わいも酸味もしっかりしています。小丘で収穫したぶどうでLPが所有しています。シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3品種が栽培できるエリアで、特にピノ・ムニエとの相性が良いようです。まろやかな果実、熟しきった果実の風味があります。

#10:Vallee de la Marne
陽光を多く受ける渓谷のぶどう、素直な味わい、フラワリー

10種のヴァン・クレールで、2013年ヴィンテージのクリュごとの違いを少し理解できました。
フォコネさんに2013年のシャンパン造りについて伺ってみたところ、リザーブワインの活用を述べていました。具体的には2009年(良年)、2010年、2012年(バラつきがあった年)のうち、2009年と2010年をリザーブワインとして使って、従来通りのスタイルを完成させようと思っているようです。シャンパーニュ地方生まれで、41年間LPでシャンパン造りに関わってきたフォコネさんには多くの経験がありますし、頭のなかには各クリュの特徴、過去の収穫年におけるぶどうの出来具合がしっかりインプットされています。それを生かした職人技を楽しみにしています。

10種の後で、グラン・シエクルをテイスティング
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現行のグラン・シエクル登場!
シャンパンのサービスをしてくださったのは輸出部長のジャン・クリスチャンさん

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2012年に200周年を迎えた後、改装したテイスティングルーム


進化し続けるローラン・ペリエ
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見学コースには、その昔、使用していた木樽を展示してあります

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リザーブワインは10基のコンクリートタンクでキープ

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新しいカーヴには14基のステンレスタンクが並んでいます。
タンクのデザインはミッシェル・フォコネさん、施設の設計はジャン・ミッシェル・ウィルモットさんが担当。ウィルモットさんは1965年以降、グラン・シエクル賞(グラン・シエクルあるいはシャンパン造りに貢献した人をたたえる賞)の審査員の一員でもあります。

ここはコトー・シャンプノワ造りに使っていた空の樽(200L)が置いてあったカーヴで、その前にベルナールさんが最初に設計したタンクヤードがありました。その跡地にこの新しいタンクの施設を造ったことはアレクサンドラさんにとってもステファニーさんにとっても大変意義あることで、2010年に逝去したベルナールさんの偉業をたたえるとともに、彼の意志を若い世代が引き継いでいく意思表示でもあります。

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首の細い特殊な瓶型のグラン・シエクル、動瓶作業は手動で現在3名で行っています。
グラン・シエクルのジェロボアムボトルの開発に関しては、気圧の問題、ボトル自体が優美なものでなければならないので、LPはサン・ロマン社と10年かけて開発した由。基本的にはジェロボアムまでは動瓶を手動で行いますが、それ以上のサイズは750mlを入れ替えているそうです。

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ベルナールさんが初めてグラン・シエクルを造った時のものから最新のものまで寝かされていますが、バーコードで使用3ヴィンテージを識別することができます。

LPのカーブはチョーク層で長さ11km、地下7m、室温は10~11度、湿度は80~90%。この場所以外、シャロン(主にブリュットを保管)と合わせて2400万本(2年半くらいの収穫分)をキープしています。

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広報担当のアグネスさんの話によると・・・LPの中心部分はシャルドネが植樹してある〝プレザンスの畑〟で、シャルドネが象徴的な存在になっていますが、このエリアで2008年から稼働し始めた生産サイトが〝クロ・バラン〟であり、2019年まで(これからの5年間で)にかなりの大規模な工事が行われ、シャロンにあるボトルも収容できる新カーヴが完成予定とのことでした。

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LPには小型の浄水場施設があり、使用する水は再処理しており、将来の世代にも自然環境を残せるようにしています。

最高醸造責任者のミッシェル・フォコネさん、ジャン・クリスチャンさん、アグネスさん、名通訳の古垣内(ふるがいち)さん、当日は大変お世話になりました! ありがとうございました!!

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