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シャンパーニュ地方の規定ぶどうは7品種 ! タルランが取り組む古代品種のシャンパンに期待!! [シャンパンリポート]

シャンパーニュ地方の規定ぶどうは7品種
前回のシャンパン・リポートでご紹介したエペルネにあるペリエ・ジュエ社から車で15分ほどで、Tarlantタルランに到着! RM(レコルタン・マニピュラン)ながら栽培面積は15ha(うち3haはビオディナミ)もあり、土壌探究に関してのこだわり、ベースワインの生地の綺麗さは特筆できます。そのタルランではシャンパーニュの規定7品種のうち、ピノ・グリを除く6品種 シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、ピノ・ブラン、プティ・メリエ、アルバンヌを栽培しています。

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(左)ピノ・ブラン、(中央)プティ・メリエ、(右)アルバンヌ/撮影:2011年12月8日@Tarlant

本題に入る前に、シャンパーニュ地方のぶどう品種に関して、大事なポイントを書いておきます!
2009年2月に実施したシャンパン講座で、オブリ・フィスの『ル・ノンブル・ドール・カンパナエ・ヴュテレス・ヴィテス・ブリュット』を取り上げました。輸入元のデータでは 「規定8品種を使用」となっていますが、昨年11月シャンパーニュの法律改正で、現在シャンパーニュ地方で「使用できるぶどうは7品種」と規定されています。

法律原文は以下の通りで、品種(セパージュ)については第1章第5条にあります。
Blanc(白ぶどう) Arbanneアルバンヌ、Chardonnayシャルドネ、Petit Meslier プティ・メリエ、Pinot Blancピノ・ブラン、Pinot Grisピノ・グリ
Noir(黒ぶどう)  Meunierムニエ、Pinot Noirピノ・ノワール

オブリ・フィスのシャンパンに使われている「フロモントー」は、ピノ・グリのことであり、「アンフュメ」 も、ピノ・グリの同義語です。

この名称についてCIVCの川村玲子日本代表に質問したところ、 「フロモントーやアンフュメ等は古名であり、現行の法律には記載がありませんので使用しないでください」とのお返事でした。

上記の件があって以来、シャンパーニュの古代品種がずっ~と気になっていました。そこで12月にタルランを訪問、幸運なことに古代品種のキュヴェを試飲することができました。



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タルランは1687年創業、エーヌ県のグランからスタートしました。1780年にマルヌ県のウイィに移動し、1982年から赤ワインと白ワインを生産。シャンパーニュのAOC地域として認められた1927年からシャンパーニュ造りを開始。記念すべき最初のシャンパンはルイ・タルランが造った『カルト・ブランシュ』で、同メゾンにはルイ・タルランへのオマージュシャンパン『キュヴェ・ルイ』があります。現在ブノワさんが12代目当主として活躍中。壁にはファミリーの遺産ともいえる絵画が飾られています。

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軽快な音楽が流れる中、メゾンの前にあるピノ・ノワール畑には可愛いクリスマスの飾り付けが!

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ピノ・ブラン、プティ・メリエ、アルバンヌの3品種をブレンドしたヴァンクレールを試飲させていただきました。今年が5回目の収穫、2011年ヴィンテージです。

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ブノワさんは以前O.I.V.(ワインインターナショナルオフィス)に在籍なさっていたそうです。とても頭の回転の早い方でした。ご自身の代になり、伝統を踏まえながら、新しいことにも取り組んでいます。その1つが2003年に植樹した古代品種です。

昨年の秋ごろ、I.N.A.O.(国立原産地・品質研究所)から「シャンパーニュ地方のぶどう品種の規定をもうすこしクリアに」との通達があり、11月の法律改正に至った由。基本的にはピノ・ファミリーのぶどうがメイン、ブノワさんの祖父の時代にはシャルドネもピノ・シャルドネと呼ばれていました。タルランでは昔から古代品種を栽培していたので、いまさらの思いがあるようです。プティ・メリエは白コショウやボンボンアングレ(薬草のようなアメ)、アルバンヌは青草や野菜、スパイシーさ(ピンクペッパー)が特徴で、ともに酸味がしっかりしています。

2002年、ブノワさんはこのエリアに昔からよく植えられていたプティ・メリエに注目。シャルドネの間に植えられることが多かったプティ・メリエは、バラツキが多く、5年に1回くらいしか収穫できないわがままなぶどうだそうですが、家族と相談し栽培することに決めます。2003年にピノ・ブラン、プティ・メリエ、アルバンヌを各5ロットずつ植樹。2007年に初収穫、ただ収量が少ないので3品種をブレンドして醸造、そして昨年(2011年)、5回目の収穫を迎えました。今年、2007年ヴィンテージと2008年ヴィンテージの古代品種をブレンドしたシャンパーニュをリリースすることも考えているとか。とても楽しみです!

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最初のワインは2011年ヴィンテージで、3分の2がプティ・メリエ、残り3分の1がピノ・ブランとアルバンヌ(2品種は半々ずつの割合)。発酵が終了したばかりの赤ちゃんワインなので、まだ落ち着いていませんが、青草や野菜、酵母の香りがあり、酸がとてもしっかりしていました。ブノワさんいわく「ライムをかじっている印象」。若干吟醸香があり、強い酸味は別にして甲州に似た印象を受けました。

2番目は4ヴィンテージ(2010年、2009年、2008年、2007年)をブレンドしたワイン、ぶどうの比率は最初のワインと同じです。優しさや厚みが出ています。生地のきれいさはタルランの本領!

3番目のワインは4ヴィンテージをブレンドしたキュヴェ50%と、2011年ヴィンテージを50%ブレンド、製品化をイメージしてブノワさんが即席で作ったワインです。青々しさはなく、フラワリー、特徴的なボンボンアングレのニュアンスはあります。
「酸味が高いので製品化する時はなるべくヴァン・ド・レゼルヴ(4ヴィンテージを樽でストックしたもの)を使い、ドザージュ量はバランスを考えて、あまり多くは使わない」とブノワさん。注目の古代品種のシャンパンのデビューは待ち遠しいです!
 
次回はタルランの土壌へのこだわり、ノン・ドザージュへのこだわりをまとめてみます♪
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ぼんぼちぼちぼち

遅くなりやしたが、明けましておめでとうございやす。

あっしのような者は、本物のシャンパンを飲む機会はめったにないのでやすが(カバとかならたまに飲りやす)
ちぃとずつでも味の違いが解るようになりたいと思いやす(◎o◎)
by ぼんぼちぼちぼち (2012-01-11 12:17) 

fumiko

ぼんぼちぼちぼちさん、今年も宜しくお願いします!
ウイットに富んだ文才ブログにいつもジェラシーを感じております(笑)
2012年はぼんぼちぼちぼちさんにワイン指南をいたしますね
カバ以外も楽しんでいただくために!
by fumiko (2012-01-11 12:42) 

Georges

新年明けましておめでとうございます。

早速ですがシャンパーニュ7つの葡萄品種を検証頂き有難うございます。

さてフロモントーやアンフュメについてですが古い名前ではなくピノ・グリを意味するシノニムであるはず。ただ出水商事が示したスペルに間違いがあり(Fromonteau)これは覚えてもらうと困りますね。

葡萄品種名はカタカナで表記するものではないはずですし、出来れば正式名称(本来の名称)で示して頂くと間違いは未然に防ぐことが出来るように思いますが如何でしょう。
by Georges (2012-01-12 12:38) 

fumiko

Georgesさん、昨年は貴重な情報、ありがとうございました。
また、今回のコメントもありがとうございます。
古名という表記は、当方の質問に対してCIVCの川村代表から届いたお返事をそのまま転記しております。同組織の考え方なので。

ぶどう品種名の原語表記は必須ですが、カタカナ表記も必要です。
私を含めすべての人がGeorgesさんのように原語に精通している方ばかりではありませんので。それだけに、カタカナ表記の“統一性”が重要だと思っています。
身近な例でいえば、マスカット・Baileyのベーリー、ベリー呼称もそうです。
統一性に関してはワイン業界全体が考えるべき問題だと思っています。
by fumiko (2012-01-12 13:37) 

Georges

早速のご返答痛み入ります。

私は葡萄品種の正式名称を重要視したいと考えます。シノニムは方言もあるでしょうし、言語が違う地域では発音・表記そのものが異なって当然だと思います。広範囲で栽培される葡萄に多くのシノニムが存在するはずですが、間違ったスペルは困ると申し上げているのです。

MUSCAT BAILEY Aについては拙ブログのこちらhttp://dks.moo.jp/winebp/index.php?e=2585 で書きましたが英語をカタカナ表記するとマスカット・ベイリ(ベイリー)Aと読んで然るべきと考えますが如何でしょうか。

葡萄品種の解明は現在尚進行中であります。今後どのような事実が公表されるのか、それによって法律も変わっていくのか、日々見守って参りたいと思います。
by Georges (2012-01-12 15:21) 

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