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2月のシャンパン講座、ハイライトはゴッセ究極の『セレブリス セレブリッシム1995』 [来日した生産者/NHK文化センター シャンパン]

  ゴッセの魅力全開!!

今年最初の取材メゾンはゴッセでした。
1月に来日した醸造責任者のオディロン・ド・ヴァリーヌさんと輸出担当マネージャーのカリナさんが語ってくださった内容はオディロン・ド・ヴァリーヌ醸造責任者が語ったシャンパーニュ『ゴッセ』の魅力にまとめてあります。


        出典:テラヴェール(拡大可)


 シャンパン講座では5アイテムを供出

新型コロナウイルスのワクチンや検査キット等の安心情報が無い状況下なので、2月の講座は半数くらい欠席かしら・・・と危惧していたのですが、シャンパンラバーの皆さま(仕事の都合で1名欠席)と笑顔で再会できました。ありがとうございます!
2月26日に行った回ではオディロンさんから伺った超フレッシュな情報と今まで知られていなかったゴッセのこだわりについて講座生の皆さんにお伝えしました。

ゴッセのシャンパンのなかで、MLFをしているアイテムが1つだけあります。それは『エクストラ・ブリュット(最低36ヵ月の瓶内熟成)』で、理由は“リンゴ酸を生かすためには長熟させることが肝要”なので熟成36ヵ月では、それが表現できないという考えだからです。リザーヴワインに関しては14年前は16%、近年は8~12%なので、他のメゾンと比べて圧倒的に少ないのが特徴。あくまでスパイス的、穴埋め的に使用しています。ドザージュ量は温暖化の影響で近年減少傾向になっています。

  第1フライト



#1:ゴッセ グランド・レゼルヴ・ブリュットNV マグナム
生産者:ゴッセ(NM)
ぶどう品種:ピノ・ノワール45%、シャルドネ45%、ムニエ10%
ドザージュ:7g/L
価格:18,000円(税別)
主要生産村GCはアイ、ブージー、アンボネー、ル・メニル・シュル・オジェ。色調はレモンイエロー、白桃、スモモ、柑橘系果実のアロマ、ロースト風味、ふくらみのある余韻と綺麗な酸味

#2:ゴッセ グラン・ブラン.・ド・ブラン・ブリュットNV
生産者:ゴッセ(NM)
ぶどう品種:シャルドネ100%
ドザージュ:6g/L
価格:11,000円(税別)
主要生産村GCはアヴィズ、シュイイ、クラマン、ル・メニル・シュル・オジェ、オジェ、トゥール・シュル・マルヌ。「コート・デ・ブランのシャルドネの繊細さとモンターニュ・ド・ランスの骨格をブレンドすることでゴッセ独自のブラン・ド・ブランに仕上げています」とオディロンさん。白い花、アプリコット、スモモ、かりん、柑橘系果実のアロマ、グレープフルーツの内果皮(軽いビターさ)、ミネラル、#1より口中すっきり、エレガント

#3:ゴッセ グラン・ロゼ・ブリュットNV
生産者:ゴッセ(NM)
ぶどう品種:ピノ・ノワール50%、シャルドネ50%、ブレンド用赤ワイン8%
ドザージュ:8g/L
価格:9,800円(税別)
主要生産村GCはアンボネー、ブージー、ヴェルズネー、アヴィズ、シュイイで、ブレンド用の赤ワインはブージー、アンボネー。色調はオレンジ色を含んだサーモンピンク、木苺のようなフレッシュさ、バラ、コンフィや熟したイチゴ、スパイス、若干のタンニン、全体を引き締める爽やかな酸味

 第2フライト



#4:ゴッセ グラン・ミレジム・ブリュット2006
生産者:ゴッセ(NM)
ぶどう品種:ピノ・ノワール56%、シャルドネ44%
ドザージュ:6g/L
価格:9,800円(税別)
主要生産村GCはアイ、ブージー、ルーボワ、アンボネー、アヴィズ、クラマン、ル・メニル・シュル・オジェ。「2006年は良質のピノ・ノワールに恵まれたので、熟度の高いピノ由来の豊かな果実味と長期の瓶熟による凝縮感を楽しんで欲しい」とオディロン氏。イエローゴールド、気泡はワインに溶け込み口中クリーミー、蜜を含んだりんご、洋梨、スモモ、プラム、焙煎香、アールグレー、余韻に持続性のある酸味

#5:ゴッセ セレブリス“セレブリッシム1995
生産者:ゴッセ(NM)/生産量1,000本
ぶどう品種:ピノ・ノワール54%、シャルドネ46%
ドザージュ:8.5g/L
価格:70,000円(税別)
主要生産村GCはアイ、ブージー、ヴェルズネー、アンボネー、アヴィズ、クラマン、ル・メニル・シュル・オジェ。10年間シュル・リー、その後澱抜きをしてさらに10年以上熟成させた特別なアイテム。かりん、アカシア、ハーブやスパイス、バルサミコ、クルミ、層になって広がる長い余韻。フレッシュかつ時間の経過で複雑味と旨み。ゴッセが求めるスタイルを表現した逸品。

  新潟の食用菊を使った押しずしとのマリアージュ

講座の前日、酒類界の重鎮 戸塚昭先生の引率で親しいワイン仲間と新潟の久須美酒造を訪問してきました。久須美社長自らご案内くださった日本酒造りとその後のフレンチとのマリアージュランチは本当に素晴らしい体験でした。これらのリポートは改めてブログにアップいたします!

新潟はおいしい食材にあふれています。
帰路、久須美社長に「新潟ならではのお土産を探しています。明日のシャンパン講座で楽しめるものはないですか?」と相談してみました。そこで、揃えたくださったのが、ホテルニューオータニ長岡 胡蝶の菊鮭寿し、お米も銀鮭も食用菊もすべてが新潟県産の特産品です、素敵!

講座ではおいしい時間になりました。
多くの講座生を納得させたマリアージュは菊鮭寿しとロゼ! 鮭のピンクとはもちろん色でも良く合いますが、お寿司のハーブ系要素、程良い塩味、すし酢等がリンゴ酸を生かしたシャンパンとバランスが良く、何より、赤ワインに由来するタンニンが口中を綺麗に洗い流してくれました。さすがロゼのスペシャリストを自負するゴッセ。久須美社長のお気遣いにも改めて感謝いたします!!
菊鮭寿し誕生の由来は、2011年11月に日経新聞に掲載されていた食用菊の押し寿し開発ニューオータニ長岡をご覧くださいませ。人気の限定製品なので売り切れてしまうこともありますが、シャンパンと楽しめる新潟県のお土産としてお薦めできます。

 一期一会のアイテム『セレブリッシム1995』

ゴッセがメゾン初のアイテムとしてリリースさせたセレブリッシムについて、ワインのこころで紹介していますので、ご笑覧いただけましたら幸いです。セレブリッシムの次なる登場がいつになるのか、どのヴィンテージになるのか、今の段階では未定なので、この1995年を見つけたら買いですよ!!

[ダイヤ]製品についてのお問合わせはテラヴェール(株) TEL 03- 3588-2415
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セバスチャン・ル・ゴルヴェ醸造責任者が語ったアンリ・ジローの世界をシャンパーニュ講座で! [来日した生産者/NHK文化センター シャンパン]

シャンパーニュメゾン『アンリ・ジロー』
ルイ13世の統治下の1625年、創業者フランソワ・エマールがアイ村の畑を入手したことから始まりました。現在8㌶の自社畑を有し、年間生産量は約25万本程度ですが、世界中のシャンパンラバーを魅了しています。アルゴンヌの森に惚れこみ、容器の選択には独自の世界を貫き、シャンパーニュ地方が長年培ってきたドザージュをも尊重しているメゾンです。

アイ村出身の醸造責任者


アンリ・ジローの12代目クロード・ジロー当主の次女と結婚したセバスチャン・ル・ゴルヴェさんは、アイ村生まれで、前職は建築家。2000年からメゾンで働き始め、シャンパーニュ造りの手ほどきは義父とワイン醸造家Georges Hardy氏のおふたりから受けました。醸造学校とは無縁の経歴ですが、当主から絶大な信用を得て、今では醸造責任者として活躍しています。ちなみにアンリ・ジローでは2016年からステンレスタンクを全廃しています。


セバスチャンさんは「アイ村は南向きで陽のあたりが良いので、コート・ロティのようです」と形容していました。「地表の20cm下には200 m の石灰土壌が広がっています」との解説では図を描いて!


ラベルに描かれたオークは携帯画像にある6mの樹がモデル


プレスランチョンの口開けはエスプリ・ナチュール
ピノ・ノワール80%(40%はアイ村、それ以外はモンターニュ・ド・ランス)とシャルドネ20%で、ドザージュ7g/L、リザーブワインを1990年からのソレラを50%使用していますが、メゾンでは“perpetual 永遠の”と形容していました。保存用の容器90hlを3個使っている由。


ファアグラのソテー フルーツキャラメリゼ バルサミコヴィネガーと合わせて
ひとさらのなかに、脂分、果実味、酸味がバランスよく同居しており、エスプリ・ナチュールの豊かなまるさと良い相性。


フュ・ド・シェーヌ MV(マルチヴィンテージ)13
アイ村のぶどうを100%使用、「MV13」とはベースワインが2013年という意味
コルクはアグラフ(ホチキスの意味)


アルゴンヌの森の樫の木樽で発酵させてから1年間の樽熟成(85 %が新樽)、リザーブワインは30%、こちらの保存用のタンクは60hlで6個使っているとのこと。
ドライフルーツ、果実のコンフィ、温度変化を楽しみたいアイテム


ホタテ貝のソテー トリュフクリームソース

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黒毛和牛 A4ステーキ 焼き野菜


アルゴンヌの森の話
この森のオークは、16世紀、帆船に使われていたそうです。土壌が貧しいので木はゆっくりと成長し、それにより、木目が詰まった硬くで丈夫な木質になるとのこと。区画ごとに異なるテロワールを読み取って木樽を構成させていますし、樽内部の焼き加減についても自ら、指示している由。「外科医のように、手術中の患者の容態を見ながら行います。最初は白松の香り、次はパンデピス、さらにバター香からブリオッシュ、そして最後がグリオット・タルト。この香りになればそこが終着点です」と。このように表現した醸造家は初めてです!


5月25日に発売された『アルゴンヌ2011』は2002年、2004年、2008年に次ぐヴィンテージです。ボトルのラベルデザインはドイツ人の金細工師ウヴェ・シェファーさん。

「2011年はカビに悩まされた厳しい年だったが、それだけにぶどうを厳選。テロワールを反映した素晴らしいシャンパーニュが完成した」とセバスチャンさん。

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リリースして間がないヴィンテージに敬意を表し、30分程前にデキャンターに移して

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(左から供出順に)
#1:エスプリ・ナチュール@7,000(税抜)
#2:フェ・ド・シェーヌ マルチ・ヴィンテージ MV13@26,000(税抜)
#3:アルゴンヌ2011@70,000(税抜)
6月5日に数量限定ギフトBOX・専用オープナー付@75,000(税抜)を発売

至福の味わいラタフィア
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ランチ後、サービスされたのがソレラ・ラタフィア・シャンプノワ
果汁にブランデーを添加した酒精強化で、アンリ・ジローがこだわるアルゴンヌ産オークの小樽に入れソレラ(1990~2013)で熟成、ラベルにも表記されています。濃密度、至福の味わい!


セバスチャンさん 、アンリ・ジローの佐藤GM (後列右から3人目)を交え、全員で「G」サインで記念ショット。


7月のシャンパン講座で4アイテムにフォーカス
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第1フライトはメゾンの顔を容量違いで
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#1:アンリ・ジロー エスプリ・ナチュール 750ml
生産者:アンリ・ジロー(NM)
ぶどう品種:PN80%、CH20% / リザーブワイン50%
ドザージュ:7g/L
価格:7,560円(税込)
白桃や洋梨に加え黒系果実プラムの存在感も。気泡の刺激あり、時間の経過で様々な要素、口中ドライ、柑橘果実のビターな印象、スパイス
裏ラベルにあるQR コードでデータが読み取れます。


エスプリ・ナチュールに使うアルゴンヌ製木樽とテラコッタ製卵型タンク

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#2:アンリ・ジロー エスプリ・ナチュール 1500ml
生産者:アンリ・ジロー(NM)
ぶどう品種:PN80%、CH20%
ドザージュ:7g/L
価格:17,280円(税込)
フレッシュ感とまるみのある味わいが絡み合い、大容量の醍醐味を実感。フルーツの旨味、スパイス(白胡椒)、心地よい余韻

#3:アンリ・ジロー オマージュ 750ml
生産者:アンリ・ジロー(NM)
ぶどう品種:PN80%、CH20% / リザーブワイン40%
ドザージュ:7g/L
価格:10,800円(税込)
創始者フランソワ・エマールへのオマージュアイテム。木樽とホウロウ引きした鉄製小型タンクで発酵。香り華やかな、溌剌とした気泡、1よりこなれた印象で果実味と酸味のバランスがナイス!

#4:アンリ・ジロー オマージュ 1500ml
生産者:アンリ・ジロー(NM)
ぶどう品種:PN80%、CH20%
ドザージュ:7g/L
価格:22,680円(税込)
熟した果実、フレッシュさがあり、ミネラルと酸味が魅力、まるくて厚味もあり、第1フライトでの一番人気

エスプリ・ナチュールとオマージュの大きな違いは酸味。酸に弱いラバーさんには馴染みやすいタイプ。オマージュはシャンパンを飲みこなしているラバーさんのお気に入りになるはずです。

第2フライトは樽100%
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#5:アンリ・ジロー コード・ノワール
生産者:アンリ・ジロー(NM)
ぶどう品種:PN100%(土着品種プティ・ドレ)
ドザージュ:7g/L
価格:19,440円(税込)

アルゴンヌ産のオークの小樽で発酵、12ヵ月の熟成後、瓶熟。5種のシャンパンのなかで一番色調が深く、熟成香、アカシアの密、コンポートした果実があり、旨み、ミネラル、温度変化でスカイスの風味も。当日のマイベスト!!

第3フライトは酒精強化ワイン
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#6:アンリ・ジロー ソレラ・ラタファイア・シャンプノワ 500ml
生産者:アンリ・ジロー(NM)
ぶどう品種:PN70%、CH30%
価格:7,560円(税込)
セバスチャンさん来日の折、デザートと一緒に楽しんだアイテム。以前とはボトルの形状だけでなく、フィーヌ・ド・シャンパーニュの仕入れ先もアイ村つながり、Jean Goyandになりました。
一日の締めくくりのお酒として、食後にゆったりとした気分で味わいたいお薦めです!!
※輸入元:アンリ・ジロー・ジャパン TEL: 03- 5777-2639
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ビオディナミの大家エルヴェ・ジェスタンが仕切るシャンパン『シャトーダヴィズ』 [来日した生産者/NHK文化センター シャンパン]

エルヴェ・ジェスタン氏来日に伴うランチミーティング@モナリザ丸の内

(左から)シャトーダヴィズの広報担当ペギー・ファロナ・バトゥー女史、エルヴェ・ジェスタン氏、モナリザ丸の内の河野透オーナーシェフ
供出アイテムはグラン・クリュ ブラン・ド・ブラン エクストラ ブリュット2012(左)とフォリアージュ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン ブリュット2011


シャトーダヴィズについて
2010年にシャンパーニュ地方コート・デ・ブラン地区のGCアヴィズ村に設立されたメゾン(NM)で、5名で運営。フォリアージュ(“葉っぱ”の意味)はシャトーアヴィズの弟分的位置付け。ぶどう栽培、ワイン醸造まですべての監修を行っているのはエルヴェ・ジェスタン氏。シャトーダヴィズの共同出資者のひとりでもあります。ビオディナミ農法&シャンパン造りに精通し、多くのメゾンでコンサルタントをしていたことで知られています。1982年から2006年までは『デュヴァル=ルロワ』の醸造責任者、ルイ・ロデレールでも活躍しました。ちなみに、シャンパーニュ地方におけるオーガニックの栽培面積は約0.01%、オーガニック生産者とビオディナミ生産者数の比率は 127 / 30の割合になっています。

栽培と醸造に関して
■ステンレスタンクと樽で発酵
■MLFは樽内で行うが、基本的に自然の成り行き
■門出のリキュールに使う蔗糖はオーガニック栽培のサトウキビ

シャトーダヴィズのこだわり
■自社ぶどうはシャルドネ。買付ぶどうはオーガ二ック栽培をしている生産者のものを使用
■NVは単一年。個性を明確に表現する意味でヴァン・ド・レゼルヴは使用せず
■ヴィンテージ・シャンパンは良い年だけ生産

シャンパーニュ地方でシャトー名を冠するメゾンは3つだけ
「カーヴの前にまとまった区画の畑があることが条件」とジェスタン氏。シャンパーニュではChateau d'Avize(コート・デ・ブラン)、Chateau de Bligny(コート・デ・バール)、Chateau de Boursault(エペルネ)


自然を尊び、キャップシュールは蝶々の絵柄



ジェスタン氏はボトルとグラスの“共鳴”を測っています。そのための機器が手にしているLecher Antenna(1950年代にドイツの物理学者が開発したもので、建築やセラピー等でも利用)
追記:2019年5月2日:オーストリア生まれのErnst Lecher エルンスト・レッヒャー(1861- 1925)が考案したアンテナなので、カタカナ表記はレッヒャー・アンテナにしておきます。

「アンテナのはね返りでワインのエネルギーの数値を測定し、それによってシャンパン自体がどのグラスに入りたいかを見ています。2012年ヴィンテージは丸い形状のグラス(下部にある画像のふっくらしたタイプ)を選びました」とコメント。ドザージュ量もこのアンテナを使って決めているそうです。


丸の内モナリザの料理に合わせて



アミューズ・ブーシュはトマト味のキッシュ、上に乗っているのはおかひじき
左のグラスが2012年ヴィンテージ、右は2011年ヴィンテージ


アスパラガスのフェットチーネ
こだわり卵のカルボナーラ仕立て


温泉卵のねっとり感を2012年のきれいな酸が洗い流してくれて口中爽快


春キャベツで包んだ鴨モモ肉のコンフィ ビガラードソース


表情がなんとも可愛い!


どの食器もパステルカラーでとっても優しいイメージ、河野オーナーシェフ好みなのでしょうね。
ジェスタン氏自慢の2012年はアミューズ・ブーシュからデザートまでに寄り添ってナイスマリアージュ


参加者全員で記念ショット


ジェスタン氏のビオディナミ考
アルコールに否定的だったルドルフ・シュタイナー
ジェスタン氏はランチ時、「シュタイナーは農業やぶどう栽培については触れていますが、ワイン醸造については触れていません。彼はインド哲学に傾倒していたので、ワインについて考える事をしなかったのではないかと思っています」と述べました。
それに関連して思い出したことがあります。
2004年、ビオディナミの教祖と言われていたニコラ・ジョリー氏が来日した時のことです。私はどうしてもジョリー氏に聞きたいことがあったので、次にような質問をしました。

青木:ルドルフ・シュタイナーはタバコとアルコール、とりわけアブサンが人体に与えるものは害であると説いています。アルコールに対して否定的だったシュタイナーが提唱するビオディナミ農法によってぶどう栽培をしていることについてあなたはどのように考えているのですか?

ニコラ・ジョリー:私はシュタイナーの農業を自分なりに解釈し、いつも自分に問いかけながら仕事をしています。それを実践の場に持ってこなければなりません。シュタイナーは何ひとつとして禁じることはしていません。誤解して欲しくないのですが、ワインだけが唯一のアルコールではないのです。タバコもアルコールも、どれだけ摂取するかが問題なのです。全ては量と質の問題になります。人工的に造られたワインはとても危険であり、ビオディナミで造られた正しいワインを飲むのであれば健康に問題は生じません。シュタイナーの考えは農業と土地と太陽を結びつけることにあります。土に命を与えるため、ビオディナミの調剤を散布し、土を肥沃にします。それによってその土地に育つぶどう樹は太陽エネルギーを受けやすくなり、伸びて行きます。ぶどう樹は土と太陽を結ぶ媒体になるので、ビオディナミで育てられたぶどう樹は、ワインの中に自分を十分に表現できるのです。本物のぶどう樹によって造られた“本物のワイン”です。
出典:日本ソムリエ協会機関誌No77 10頁/リポート青木冨美子

ジェスタン氏は“アルコール(狭義のワイン)”造りに関して、「ワインは嗜好品なので、あってもなくても良いものですが、皆がワインを飲むということはそこに良い影響がなければなりません」と述べ、25年以上にわたり、考えていることが、「飲み手が酔わずに、体に悪影響を及ぼすことなく、メッセージを伝えることができるワイン造りです」と語りました。

そして、一例として挙げていたのが調剤のカモミールです。
「カモミールにはワインのなかの良くない要素(=アルコールの悪い影響)を取り除いてくれる効果があります。(自然界から採取された)硫黄の効果を高め、ワインをきれいにする効果もあります」と解説、これは抽出して使うようです。
ジェスタン氏が言うように、シュタイナーがワイン醸造については触れていないとするなら、氏が語っていたことはほとんどオリジナルになると思います。ランチ中も、「生きているワイン、飲み手に特別の感情をいだかせるワイン、エネルギーのあるワインを造りたい」と再三語っていたので、ビオディナミの指導者、大家として、今後さらに独自の醸造スタイルを築きあげてくださると確信しています。

ニコライホフのワインにある“核”


ジェスタン氏は江本勝氏の『水の記憶』についても触れていました。これは愛情あふれる言葉と罵倒するような言葉を浴びせた水を、顕微鏡で見ると、前者は綺麗な結晶になり、後者はいびつになるというお話。ゆえに、ジェスタン氏は醸造所内では、きたない言葉を使わないようにしていると語っていました。

これを聞いて思い出したのが、チリの名門モンテスの樽貯蔵庫です。ここではいつもグレゴリオ賛歌を流しています。ワイナリーサイドでも効果はあると思っているようです。

そして・・・結晶に関しては、私自身、江本氏の本を読んでいないので、意見を言える立場にはありませんが、2006年にビオディナミの造り手、尊敬するオーストリアの『ニコライホフ』の当主夫人クリスティーネ・サース氏が来日して行ったセミナーで、1滴のワインのなかに存在する“核の結晶”を見せてもらったことがあります。上記の左の画像がそれで、ニコライホフのビオディナミの畑のぶどう(グリューナーフェルトリーナー)から造ったワイン1滴を顕微鏡で見た“核”です。右は農薬を使ったワインだそうで、核はありません。
出典:日本ソムリエ協会機関誌No95 53頁/リポート青木冨美子

折しも5月にニコライホフ訪問を予定しているので、ワイン1滴のなかで証明できる“結晶”の話をもう1度、伺ってみたいと思っています。



「桜の季節に訪日したかったので、アズマコーポレーションのお陰で実現して嬉しい」とジェスタン氏。次回の来日は日本で行われるラグビーワールドカップの観戦も兼ねて、のようです。


[NEW]4月のシャンパーニュ講座はジェスタン氏絡みのアイテム
NHK文化センター青山校の上期講座(4月~9月)スタート、第1回目でフォリアージュを取り上げました。



第1フライトはデュヴァル=ルロワとルイ・ロデレールを交えて
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#1:デュヴァル=ルロワ フルール・ド・シャンパーニュ 1er ブリュットNV
生産者:デュヴァル=ルロワ
ぶどう品種:CH70%、PN30%
ドザージュ:8g/L
価格:7,500円(税別)
輸入元:アイコニック ワイン ジャパン
1911年から生産しているアイテム。ステンレスタンク内で発酵・醸造。最低30ヶ月瓶熟成。MLF有。フレッシュ、“フルール”の名の通りフラワリー、泡の食感滑らか、中盤から余韻まで優しい酸味が続き、果実の余韻も重なってフェミニンな印象
ジェスタン氏がデュヴァル=ルロワ在籍中に完成させたビオディナミ農法による『オーセンティス(“正真正銘”の意味)』のキュミエールとトレパイユは現在生産していません。新製品プレシャス・パーセル・シリーズのキュミエール(有機栽培によるピノ・ノワール100%)がそれに当たります。

#2:ルイ・ロデレール ブリュット プルミエNV
生産者:ルイ・ロデレール
ぶどう品種:PN40%、CH40%、M20%
ドザージュ:9g/L
価格:7,200円(税別)
輸入元:エノテカ
気泡の木目も細かく活発、香りは#1より華やか 、酸のニュアンス(ノン・マロ)、グレープフルーツ、白桃、ミネラル、アカシア、味わいに厚みがあり、余韻も長め。
ビオディナミへの取り組みは十数年前からで、すべての作業はカレンダーにそって実施。クリスタル(2020年に100%の予定)とブリュット・ナチュール・フィリップ・スタルクモデルにはビオディナミのぶどうを使用。ルイ・ロデレールのシャンパンの気圧は5気圧(平均5.2気圧)で、ブラン・ド・ブランは4気圧になっています。

#3:フォリアージュ キュヴェ・エクストラ・ブリュットNV
生産者:レ・シャンパーニュ・デュ・シャトーダヴィズ
ぶどう品種:CH40%、PN30%、M30%
ドザージュ:5g/L
価格:8,900円(税別)
輸入元:アズマコーポレーション
ヴィンテージ表記なしですがベースは2010年産ワインで、NVであってもリザーヴワインは一切使いません。3アイテムのなかで一番濃いめの色調、フレッシュな酸味、メロン、ドライフルーツ、燻したニュアンス、クリームブリュレ、ぶどうの熟度を感じる味わい。



第2フライトではヴィンテージ比較


#4:フォリアージュ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン エクストラ・ブリュット2012
ぶどう品種:CH100%
ドザージュ:4.0g/L
価格:25,000円(税別)
2012年はジェスタン氏渾身の1本。カーヴ前の畑のぶどうを完成したカーヴで仕込んだもので、同メゾンの2番目のヴィンテージ、講座で用意したシャトーダヴィズの4アイテムのなかで一番存在感あり。ガス圧6.8。ピュアで、筋の通った酸も魅力。旨味があり、グラス内の温度があがってもブレることのない安定感

#5:フォリアージュ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン ブリュット2011
ぶどう品種:CH100%
ドザージュ:4.1g/ L
価格:9,240円(税別)
カーヴ前の畑のぶどうを使い、別の施設で仕込んだファーストヴィンテージ。伝統的な垂直式圧搾機で圧搾、自然に清澄、ステンレスタンクと樽で発酵、澱の上で9ヶ月寝かせ、36ヶ月熟成、ガス圧6.2 。フレッシュ、白い花、ミネラル、ロースト、シルキー、果実味と酸味のバランス



コトー・シャンプノワも供出


#6:フォリアージュ コトー・シャンプノワ・ブラン2014
ぶどう品種:CH100%
価格:12,000円(税別)
非発泡性ワイン。生産量590本、22ヶ月澱の上で樽熟成、ノンフィルターで瓶詰め、良年のみ生産。淡いイエロー、フレッシュ、火打石、石灰由来の香り、柑橘系果実に加え、アーモンドやナッツ、味わいにグレープフルーツの内果皮似のビター感、口中シームレス


どのボトルも状態が良く、嬉しく思いました。4月から青山校にもワイン用セラーが常設されたのでより安心です! 来月も引き続き、ジェスタン・シャンパンの探究をする予定でおります。
講座生の皆さま、4月に体験したシャンパンの味わいを覚えておいてくださいませ!

[イベント]6月19日に開催するシャンパーニュに拮抗するスパークリングワイン探究 
ただ今受付中です、残席数名になりました。
皆さまのご参加、お待ちしております!!

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フィリポナの3サムライ 上陸待ちの『レ・サントル』&ピノの実力派『ル・レオン』と『クロ・デ・ゴワセ』 [来日した生産者/NHK文化センター シャンパン]

1522年にスイスからシャンパーニュ地方アイ村に移住したフィリポナ

ロワイヤル・レゼルヴ・ロゼ(PN75% CH20% PM5% ドザージュ9g/L) NV
アイとマレイユ・シュル・アイ(アイの東隣の村)のグランクリュ(GC)とプルミエクリュ(PC)のピノ・ノワール主体。赤ワイン(マレイユ・シュル・アイとリセのPN)を7~8%添加したフレッシュでエレガントなスタイル


輸入元 富士インダストリーズの招聘で来日したフィリポナ当主のシャルル・フィリポナさんは日本文化への造詣が深い方です。スイスでは国王を警備する役職だったそうで、それを日本のサムライに例えていました。


当日は4種のシャンパンを京橋『シェ・イノ』の料理と合せて


ロゼのタンニンがカモの脂分をきれいに洗い流してくれる感触、美味!


グラン・ブラン2006はGCのメニル・シュル・オジェ村、クラマン村のシャルドネと、クロ・デ・ゴワセの畑のシャルドネを使った贅沢なシャンパン。手長海老とは安心のマリア―ジュ、旬の白アスパラとは色でも楽しめました。

クロ・デ・ゴワセのハートに位置するサントル
2006年に単一畑クロ・デ・ゴワセの特別な区画から誕生した『レ・サントル』
生産本数は2,065本、日本上陸は夏前か秋口で入荷本数は60本の予定、価格は6万円前後(未定)

クロ・デ・ゴワセのなかには14の区画があり、その中心部は最も勾配がキツイ45度。まさにその部分の「グラン・サントル」と「プティ・サントル」から穫れたピノ・ノワールを70%。グラン・サントルの右隣にある「ジョリヴェ・ブラン」のシャルドネを30%使った最高級のシャンパンです。甘辛表示はエクストラ・ブリュットでドザージュ量は4.5g/L、MLFは行っていません。
以下の地図は画面をクリックしていただくと拡大できます。

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レ・サントル誕生の経緯は、ミシェル・ベタンヌさんとの雑談がきっかけです。フィリポナさんは「秀逸なクロ・デ・ゴワセの畑のなかの最高のプロットからワインを造ったどうなるかとの投げかけがヒントになり、実現するに至りました」と語っていました。

「目を瞑って味わってみてください。フランボワーズのような赤い実の果実を感じるはずです。例えればシャンボル・ミュジニー」と。最初のインパクトは赤系果実、フランボワーズのジャムやスピリッツを彷彿とさせる香りがありました!

2006年は重すぎず軽すぎずのヴィンテージ。 瓶詰は2007年6月、デゴルジュマンは2015年10月なのですが、まだまだフレッシュで、ブリオッシュやミネラル、チョーク質由来の切れ味と柔軟性に富んだ余韻が印象的でした。日本上陸が楽しみです!


2種のシャンパンについて、フィリポナさんからユニークなコメントが!
「レ・サントルは日本の弓道、それは弓をぴ~んと張った印象です。一方のクロ・デ・ゴワセは相撲取り、一緒の勝負で重量感があります」
彼らしい、日本の伝統文化を取り入れた表現でした。


大山地鶏のフリカッセ シャンパーニュ風
料理にもシャンパンにもクリーミーさとロースト風味があったので、双方のバランスがとても良く、特にクロ・デ・ゴワセの酸とソースの酸が絶妙でした。フィリポナさんは料理のアロマとレ・サントルのアロマの相性を絶賛していました。


フィリポナのシャンパンは余韻に続く酸が本当にきれい!
ロゼもグラン・ブランもデザート類の酸と良くマッチしました。

シェ・イノの伊東賢児シェフソムリエはいつでもシャンパン(ワイン)をベスト温度でサービスしてくださるので、プラスαの学習ができます。今回もお世話になりました!



そして・・・
プレスランチの翌日、富士インダストリーズでのテイスティング会にお邪魔して、フィリポナの取り扱い製品を全試飲。6月のシャンパン講座用アイテムを決めました。フィリポナさんも同席していらしたので、お話を伺いながら味見したのですが、そこで、面白い発言が


6月の講座ではフィリポナ直伝のマリア―ジュに挑戦
NHK文化センター青山校で

フィリポナの顔NVを2種(マグナム)、、ブラン・ド・ノワール2008、ル・レオン2006、クロ・デ・ゴワセ2005


コルクのしまり方も良好、熟成もイイ感じ!

第1フライト
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ベースワイン、ぶどう品種の比率、リザーヴワインの比率はすべて同じ。ドザージュ量、デゴルジュマンの年月は異なります。

#1:フィリポナ ロワイヤル レゼルヴ ブリュット マグナム
生産者:フィリポナ(NM)
ぶどう品種:PN65% CH30% PM5% (2009年ベース)
リザーヴワイン:25%
ドザージュ:8g/L
デゴルジュマン:2014年9月
価格:14,000円(税別)
気泡細やか、黄桃、かりん、アプリコット、果実のコンポート、ミネラル、ヨーグルト、口中クリーミー、ソフトな酸、バランスが良く、穏やかな余韻

#2:フィリポナ ロワイヤル レゼルヴ  ノン・ドゼ マグナム
生産者:フィリポナ(NM)
ぶどう品種:PN65% CH30% PM5%(2009年ベース)
リザーヴワイン:25%
ドザージュ:0g/L
デゴルジュマン:2015年1月
価格:14,000円(税別)
グラス上部の泡沫きわめて元気、ピュア、石清水、白い花、白桃、ミネラル、口中クリーミーながらドライな味わい、泡の刺激は#1より多い。酵母由来の旨味、酸味は1本の線になって余韻につながっていく印象、守備範囲の広いシャンパン◎



フィリポナさんの一押しマリアージュ

「ノン・ドゼには生の魚介類、牡蠣、お寿司、それから塩辛が合うよ」
「えっ?」

塩辛を食せるフランス人は初めてです。シェ・イノでも料理とシャンパンンのマリアージュについて熱心に語っていたフィリポナさんだったので、お言葉に従い、講座で挑戦することにしました。

さて、講座生プラス私の計24名の結果は・・・#1が2名、 #2が22名でフィリポナ説に賛同できました。私的にはレモンは必須、より完璧な相性にするにはレモンがあったほうが良いと思います。
この結果はフィリポナさんにもお伝えしておきます!


第2フライトに登場したニューフェイス
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#3:フィリポナ ブラン・ド・ノワール  ブリュット2008
生産者:フィリポナ(NM)
ぶどう品種:PN100%
ドザージュ:4.25g/L
デゴルジュマン:2015年3月
価格:10,000円(税別)
溌剌感、完熟ぶどうの厚み、#1に通じるヨーグルトのニュアンス、軽いタンニン、バランス良好、酸味ソフト、上品な酸の余韻

#4:フィリポナ ル・レオン2006
生産者:フィリポナ(NM)
ぶどう品種:PN100%
ドザージュ:4.25g/L
デゴルジュマン:2015年2月
価格:25,000円(税別)/生産本数2,085本
レ・サントルとともにデビューした3部作、特別区画のシャンパンのひとつ。
1522年からフィリポナが所有するグランクリュGC、アイ村の単一畑のシャンパン。第2フライトのなかで色調は一番濃く、気泡繊細。果実のコンポート、スモーキー、ミネラル、スパイス等、力強さと複雑味があり、余韻も長い◎

3部作のもうひとつは『マルイユ・シュル・アイ2006』で4つの畑のぶどうをブレンドしたスタイル。ドザージュ4.25g/L、限定2,304本、25,000円

#5:フィリポナ クロ・デ・ゴワセ モノポール2005
生産者:フィリポナ(NM)
ぶどう品種:PN65% CH35%
ドザージュ:4.25g/L
デゴルジュマン:2014年11月
価格:28,000円(税別)/15,000~20,000本
フィリポナのフラッグシップ。14の区画のぶどうを使用。クロ・デ・ゴワセ(〝重労働〟の意味)は急斜面にはピノ・ノワール、上部と下部にはシャルドネを栽培。基本的にピノ・ノワールを重視、MLFは行いません。
熟成香、ミント、アカシアの蜂蜜、ナッツ、軽いタンニン、ふくらみがあり、時間の経過で複雑味、豊潤な余韻



『ル・レオン2006』は立派な木箱入り!
講座では料理研究家の笹島ゆりさんにお願いしてハンバーガーを用意しました。
パテは牛肉の薄切り(オージービーフと和牛をブレンド)を塩だけで味付け、チーズはギリシャのフェタを使用。。バンズのなかにはレタス、玉ねぎ、トマト、パテ、目玉焼き(クミンを効かせて)、フェタ、辛子マヨネーズ。
視覚通りの肩ひじ張らないマリアージュ。ノン・ドゼは温度が上がってから、さらに旨味が増し、包容力の大きさを実感。マグナムだったことも正解でした!
当日のベストワインは、どれも魅力的で、1アイテムにはだけには決められない難しさがありましたが、強いて言えば、ル・レオン2006です! 
太陽をしっかり受けたアイ村の完熟ぶどう、酸味は上品でおだやか。塩辛と合せても生臭さはなく、ハンバーガーにも寄り添ってくれる度量のシャンパンでした!

味わって損がないフィリポナのシャンパン、未体験の方には一度はお試しいただきたいと思っています!

 
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5月のシャンパン講座はパイパーとシャルルの両エドシック競演 [来日した生産者/NHK文化センター シャンパン]

パイパーとシャルルの個性の違い

新天地NHK文化センター青山校になって2回目のレッスン。フォーカスしたのはパイパー・エドシックとシャルル・エドシックでした!


4月1日からパイパー・エドシックの輸入元が日本リカーに変わりました。
先月中旬、シェフ・ド・カーヴのレジス・カミュさんが来日してセミナーを開催、内容がとても丁寧だったので、今月の講座で久々にパイパーを取り上げることに。日本リカーでは昨9月からシャルル・エドシックも取り扱っているので、両エドシックをじっくり比較することができました。ちなみに両エドシックは2011年からフランスのラクジュアリーブランド企業のEPIグループのメンバーです。

赤&金がブランドイメージ

カンヌ映画祭だけでなく、昨年2月からアカデミー賞の公式シャンパーニュになりました。レッドカーペットでセレブがたしなむシャンパンンのイメージですね。
ブランドカラーは赤とゴールド、ラベルかボトルのなかにそれらの色が使われています。赤は情熱、大胆、エナジー、遺産を。ゴールドは崇高、永遠、忠誠心を意味しています。

レジス・カミュ講師のセミナーでは4アイテムをテイスティング
1785年、フローレンス=ルイ・エドシックが毛織物とシャンパンの仲買を行うエドシック商会を設立。卓越したシャンパンとして評判になり、王室で愛飲されるようになります。そして1837年、フローレンスの甥アンリ=ギヨーム・パイパーが会社の後継者となり、2家族の名を冠したパイパー・エドシックが誕生しました。

パイパーの顔エッセンシエル・キュヴェ・ブリュット


収穫は通常9月ですが近年5回に1回の割で8月の収穫になることも。一方で2013年は10月だったそうです。NVのベースワインは2008年、リザーヴワイン(4~6年)11%添加。エッセンシエル・キュヴェ・ブリュットの裏ラベルにはこのシャンパンに関する詳細なデータが載っています。



カミュ:色調はグレー・ゴールド。色合いだけを見れば輝いていますが、この後出てくるアイテムと比べるとグレーの意味がおわかりいただけます。細やかな泡立ち、上品で爽やかなアロマ、ミネラル、ピノ・ノワールが際立っています。骨格、赤い果実、柑橘系のレモンやグレープ・フルーツ、青いリンゴや洋梨をかじった時の歯ごたえも感じます。カクテル、食前酒、食中酒に。お薦めはサラダや魚介類

ヴィンテージ2006、レア2002&ロゼ・ソヴァージュ

左から)エッセンシエル、ヴィンテージ2006、レア2002、ロゼ・ソヴァージュ

ブリュット・ヴィンテージ2006
ヴィンテージを造るか造らないかを決めるのはシェフ・ド・カーヴですが、カミュさんは「ヴィンテージもののほうがNVより造りやすい」と。ブレンドの妙をパズルに例えて、毎年同じ味わいのNVは100以上のクリュを使い、ヴィンテージものは17のクリュのブレンド。その巧妙さがカミュさんの主張したいところです。

ヴィンテージ・シャンパンが造れる年なのに、それを造らないことがあります。その理由はNVに使うリザーヴ・ワインとしてキープしておく必要があるからです。NVに使えるリザーヴ・ワインが多ければ多いほど豊かなシャンパンを造ることができるので、これがメゾンの要です。

カミュ:基本的にピノ・ノワールPNとシャルドネCHだけを使います。PNの比率が6割なのですが、2006年は例外。CHの出来が良かったので、CH51%、PN49%になりました。ヴィンテージをひとことで表現するなら、98年は繊細さ、99年は快活さ、2000年は完成度の高さ、2004年はマラソン走者(まだ半分くらいしか走っていない印象)、2006年は外交的(今飲んでも美味、長期保存も可能)

カミュ:色合いは光輝くゴールド。果実の存在感が際立っていてデリケート。オレンジの皮、アプリコットや桃を口に含んだ印象、ミネラル、肉付きの良さ、太陽を十分に受けたヴィンテージですが、フレッシュさも備えています。食事と合せるならリッチな味わいのもの、和食なら天ぷらを

レア2002

カミュさんは、「洋服なら、NVはプレタポルテ、ヴィンテージ・シャンパンは春秋の限定コレクション、レアはオートクチュール(手縫いのドレス)」と表現。1976年の初リリースから2002年の最新ヴィンテージまでで生産したのはわずか8つだけ。76年は干ばつだった年、79年は収穫が10月半ばで、85年はマイナス30度の激寒、以後88年、90年、98年、99年、2002年と続きます。

76年は長い猛暑で、フランスは前例のない干ばつに見舞われました。そのような極限状態のなかで、パイパーの関係者はメゾンにふさわしいシャンパンが造れるのか危惧しました。しかし、予想に反して、異例な年であるにも関わらず、素晴らしいヴィンテージ・シャンパンが完成。その事例から、できたシャンパンを〝レア〟と命名。パイパー・エドシックのトップ・キュヴェが誕生しました。

カミュ:2002年は〝豊かさ〟と表現できます。10年以上経過しているのに透明感があり、味わいはフレッシュ。細かな泡立ち。シャルドネの比率(70%)が多く、キウイ、パイナップル、パッション・フルーツ、マンゴー、ミネラル、ワールドスパイスの様々な香り。エレガントで洗練された味わい、長期保存できるヴィンテージ。フォアグラ、キャヴィア、魚介類では特に帆立、リッチな料理に合わせて

ロゼ・ソヴァージュNV
カミュ:NVのロゼなので毎回同じ味わい&同じ色合いにしなければなりません。赤は安定した色合いにするのが難しいです。非常に特徴のある色なので、ロゼ・ソヴァージュ=野生のロゼと命名しました。今から15年前に発表した時には多くの批判を受けましたが、今となれば、他のメゾンでも同じようなロゼを造っているので、早すぎた感があります。色調はルビー色、赤銅色、気泡は細かく、フルーティ、ブラッドオレンジ、胡椒、口中でも赤い果実やマイルドなスパイスの印象。アペリティフでも食中酒でも楽しめます。イチゴやフランボワーズのデザートにもお薦め

最後に・・・私はパイパー・エドシックはMLFをしていないメゾンだと思っていましたが、カミュさんに質問したところ、1990年から行っているとのこと。MLFをしていて、ここまでフレッシュ感があるシャンパンであることに誇りをお持ちでした。


冒頭のあいさつでダミアン・ラフォリCEO()は「日本リカーとのコラボレーションで新しい時代が始まる」とコメント。また、レジス・カミュ シェフ・ド・カーヴが伝説的な人物であり、インターナショナル・ワイン・チャレンジIWCで8回もスパークリングワイン、メーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたことも紹介していました。



セミナー後、試飲会場でEPIグループの精鋭クリストファー・デスクール社長にご挨拶することができました。凄いメンバーに囲まれての光栄なるショット、ゴールドのティアラをまとったレア・ボトルの存在感も!
(左から)ロバート・レムナント シャルル・エドシック社オーストラリア・ニュージーランド・日本代表、クリストファー・デスクールEPI社長、レジス・カミュ シェフ・ド・カーヴ、ダミアン・ラフォリ パイパー・エドシック社CEO


ホットな情報を蓄えての5月のシャンパン講座@NHK文化センター青山
レジス・カミュさんはパイパー・エドシックとシャルル・エドシックの違いを次のように表現しました。
パイパーはフレッシュ、エレガント、クラシック。フルーティでストラクチュアがあり、さわやかさを備えたシャンパン。
シャルルは複雑味、クリーミー、美食と合わせて楽しめ、お菓子の世界を連想させるシャンパン。シャルル・エドシックの前シェフ・ド・カーヴの言葉を引用して「シャルルには4つ目の品種がある。それは〝時の流れ〟である」と語っていましたが、まさにその通りだと思います。
1995年が現行ヴィンテージというメゾンは、シャルルの他、ないのではないでしょうか。それだけ時を大事にしているメゾンです。そこが大好きです!

シャルル・エドシックについて書いた情報
>>>http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/2015-10-09

パイパーvsシャルル

左から4本目)シャルル・エドシックのブラン・デ・ミレネール1995のコルク、長い!


#1~#6の順

第1フライト

#1:パイパー・エドシック エッセンシエル キュヴェ・ブリュットNV
生産者:パイパー・エドシック(NM)
ぶどう品種:PN60% CH15% PM25% (ベースワイン2008年)
リザーヴワイン:11%
ドザージュ:7g/L   デゴルジュマン:2012年10月 
価格:6,300円(税別)
気泡きわめて活発、みかんやグレープフルーツ、種の大きなアプリコットや洋梨、余韻に軽いビター感
#2:シャルル・エドシック ブリュット・レゼルヴNV
生産者:シャルル・エドシック(NM)
ぶどう品種:CH PN PM 各3分の1  
リザーヴワイン:40%(平均10年)
ドザージュ:11g/L
価格:7,500円(税別)
いつ飲んでも安定感のあるブリュット、中盤からの酸の印象エレガント、余韻に広がるふくらみ、上質感

第2フライト

#3:パイパー・エドシック レア2002
生産者:パイパー・エドシック(NM)
ぶどう品種:CH70% PN30%
価格:23,000円(税別)
色調はイエローゴールド、ドライフルーツ、ヘーゼルナッツ、白コショウ、ミントティー、時間の経過で複雑味

#4:シャルル・エドシック ブラン・デ・ミレネール1995

昨年11月訪問したシャルル・エドシックのシェフ・ド・カーヴ シリル・ブランさん
秘蔵のブラン・デ・ミレネール1985(旧ラベル)を抜栓してくださいました。
古酒の醍醐味、複雑味、私のなかでベスト・ワン、身に余る光栄な時間でした!

生産者:シャルル・エドシック(NM)
ぶどう品種:シャルドネ100%
ドザージュ:9g/L
価格:25,000円(税別)
色調ゴールド、気泡はワインに溶け込みクリーミー、ミルキー、果物のコンフィ(お菓子を連想)、焙煎香、品良く続く長い余韻!

第3フライト

#5:パイパー・エドシック ロゼ・ソヴァージュNV
生産者:パイパー・エドシック(NM)
ぶどう品種:PN50~55% PM30~35% CH10~15%/赤ワイン20~25%
価格:7,200円(税別)
過去に何度も試飲し、セミナーでも試しましたが、今までで一番状態が良かったです。目を瞑って飲めば、タンニンの要素も感じますが、ミネラル感と酸のバランスが良く、すごくエレガント。正直言って、今まで粗野な印象だったのですが、口当たりも良く上品な印象に。講座生からの反応も良かったです。肉系の料理で食中酒としてもお薦め
#6:シャルル・エドシック ロゼ・レゼルヴNV
生産者:シャルル・エドシック(NM)
ぶどう品種:白ワイン95%、赤ワイン5%(レ・リセ産のPN)のブレンド
白ワイン80%(PN PM CH3分の1ずつ)2008年VT、残り20%(PN CH)平均5年のリザーヴワイン
ドザージュ:11g/L
価格:9,500円(税別)
見事なサーモンオレンジ、グレープフルーツやアプリコットを思わせるきれいな酸が際立っていました。シャルル・エドシックのテイスティング・ルールは「まずロゼ」から、です。それは基本となるブリュット・レゼルヴNVが10年以上熟成させたリザーヴワインを40%使っているので重厚感があるので、それより少しライトなロゼからスタートする流儀です。
講座ではロゼ対決が第3フライトだったので最後に(シリル・ブランさん、すみません)! 


〝荘厳〟という形容がぴったりの2000年前に造られたクレイエール。ここでブラン・デ・ミレネールが眠っています。カーヴの奥がシャンパンのボトル型に見えませんか?
トップ・キュヴェ、ブラン・デ・ミレネールのホワイトボックに、このイメージが使われています。

製品の問い合わせ先は日本リカー ℡03-5643-9770


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