第2弾 シャンパンメゾン『タルラン』の土壌、醸造、シャンパン造り [シャンパンリポート]
前ブログではTarlantタルランが取り込んでいるシャンパーニュ地方の古代品種についてまとめました。第2弾では、メゾンのこだわりを徹底追及してみます。
土壌を知る=おいしいシャンパン造り
タルランはマルヌ渓谷ウイィ村の高台にあり、渓谷ならではの様々な土壌に恵まれています。
シャンパーニュ地方を代表するチョーク質土壌
ピノ・ムニエが好む土壌はスパルナシアンと呼ばれる粘土石灰質(粘土<石灰比率多)
その昔、この土地に住む人々はスパルナシアンと呼ばれていたそうです
タルランが誇るシャルドネ100%の『ラ・ヴィーニュ・ダンタン』を生み出す砂地の土壌
砂地で、アメリカ台木に接木していない自根のシャルドネから造られるシャンパンはタルランだけ!
テイスティングアイテムについて
左から
#1:タルラン ゼロ
1/3ずつ、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、ドザージュ:0g/L
メゾンのスタイルを象徴しているシャンパン
1982年11代目が顧客からの要望で生産を始めたアイテム。スタート当初は生産量の5%にも満たない量でしたが、1991年12代目のブノワさんがメゾンに参入した時は全体量の25%、現在では80%を占めるまでになっています。ドザージュ量ゼロ(糖分添加なし)なので、ヴァン・ド・レゼルヴは40~45%使用
ベースワインが極めてピュアなシャンパンです。これは11代目の「自然の産物としてのワイン、生きている感じがするワインを造りたい」との考えをそのまま反映したものと言えます。
#2:タルラン ロゼ・ゼロ
85%シャルドネ、15%ピノ・ノワール、ドザージュ:0g/L
2000年からトライアル開始、2002年から正式リリース、タンニンと酸のバランスが大事なので、セニエ法も試したのですがタンニンが出すぎてしまうのでブレンド法を選択。ベースワインは2007年、ヴァン・ド・レゼルヴ(3年分のヴィンテージ)は25%使用
「夏を感じさせるような軽い食事と合わせて」とブノワさん
#3:タルラン ロゼ・プレスティージュ2000(ヴィンテージ記載前のボトル)
87%シャルドネ、13%ピノ・ノワール、ドザージュ:3g/L
果実味豊か、ミネラル感、余韻に軽いタンニン
#4:タルラン ラ・ヴィーニュ・ダンタン2000
100%シャルドネ、ドザージュ:2g/L
19世紀、欧州のワイン産地はフィロキセラ(和名:ブドウネアブラムシ)禍でぶどう畑は壊滅状態になっていました。タルランの砂質土壌のぶどう畑に3株のシャルドネが生息していることを10代目が発見。プロヴィナージュ(ぶどう樹の枝を土に埋め、根が出てから切り離す取り木)で株を増やし、シャルドネを生育し始めました。62年前の話です。#4はアメリカ台木を使っていない“自根のシャルドネ”
砂地土壌とチョーク質土壌のシャルドネ(ブラン・ド・ブラン)との違いは? 太陽熱を吸収する前者のほうが口中で丸みがあり、余韻にもふくらみがあるとのこと。この違いについては今週の18日、シャンパン編で探究してみるつもりです。
#5:タルラン ラ・ヴィーニュ・ドール2002
100%ピノ・ムニエ、ドザージュ:4g/L、わずか1区画、樹齢51年
「ビター感を楽しんで」とブノワさん。グレープフルーツの香り、熟成が進むとマンゴーやライチ、さらにはアーモンドやナッツ似のニュアンス
#6:タルラン ラ・ヴィーニュ・ルージュ2003(2012年リリース予定)
100%ピノ・ノワール 土壌は固い石灰質、南向きの急斜面0.6ha、骨太のシャンパン!!
#7:タルラン キュヴェ・ルイ1998
50%シャルドネ、50%ピノ・ノワール、ドザージュ:3g/L
マルヌ川に面した西向きのなだらかな斜面、チョーク質土壌に育つシャルドネとピノ・ノワール
「ぶどうがしっかり熟すのを待って収穫しますが、マルヌ川からの恩恵でぶどうにフレッシュな酸味が加わります」とブノワさん。酸味とミネラル感、バランスの良いシャンパン
醸造作業の75%は圧搾にかかっている
糖分添加なしのノン・ドザージュが全体の80%を占めている話は先ほども書きましたが、タルランのシャンパンの良さがわかる人は、いろいろなシャンパンを相当飲んでいる人だと私は思っています。メゾン側でも訪問者の愛飲歴からそのような傾向が出ていると話していました。そのシャンパン好きの舌に訴える最大の魅力は、ワインの生地(一次発酵のワイン)の綺麗さ、ピュアさです。
タルランでは2007年からフランス製COQUARDコカール社の圧搾機を導入しました。以前はシャンパーニュ地方で広く用いられている伝統的な圧搾機を使っていましたが、ぶどうを均等にプレスし、酸化のリスクの少ない最新式機器に変えたことで、よりピュアな搾汁が得られるようになっています。ブノワさんは「醸造の作業の75%は圧搾にかかっています」とおっしゃっていましたが、ノン・ドゼのシャンパンの比較試飲をすればするほど、その言葉の重さを感じます!
各ぶどう、土壌ごとに分けて圧搾するので、タンクの容量も大小あります
タルランではMLFは行いません。一次発酵は3分の1がタンク内、3分の2が樽の割合
ブノワさんは「最終的に求めていることは、“人をいかに喜ばせることが出来るか”ということです。ぶどう造りから醸造まですべてを含めてナチュラルな方法や考え方を取り入れて仕事をすること。それらすべての工程が自分に喜びを与えてくれます」という言葉で締めてくれました。
輸入元(株)八田の城野東太社長、タルランの朝倉真名美さん、お世話になりました。
ありがとうございました!
土壌を知る=おいしいシャンパン造り
タルランはマルヌ渓谷ウイィ村の高台にあり、渓谷ならではの様々な土壌に恵まれています。
シャンパーニュ地方を代表するチョーク質土壌
ピノ・ムニエが好む土壌はスパルナシアンと呼ばれる粘土石灰質(粘土<石灰比率多)
その昔、この土地に住む人々はスパルナシアンと呼ばれていたそうです
タルランが誇るシャルドネ100%の『ラ・ヴィーニュ・ダンタン』を生み出す砂地の土壌
砂地で、アメリカ台木に接木していない自根のシャルドネから造られるシャンパンはタルランだけ!
テイスティングアイテムについて
左から
#1:タルラン ゼロ
1/3ずつ、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、ドザージュ:0g/L
メゾンのスタイルを象徴しているシャンパン
1982年11代目が顧客からの要望で生産を始めたアイテム。スタート当初は生産量の5%にも満たない量でしたが、1991年12代目のブノワさんがメゾンに参入した時は全体量の25%、現在では80%を占めるまでになっています。ドザージュ量ゼロ(糖分添加なし)なので、ヴァン・ド・レゼルヴは40~45%使用
ベースワインが極めてピュアなシャンパンです。これは11代目の「自然の産物としてのワイン、生きている感じがするワインを造りたい」との考えをそのまま反映したものと言えます。
#2:タルラン ロゼ・ゼロ
85%シャルドネ、15%ピノ・ノワール、ドザージュ:0g/L
2000年からトライアル開始、2002年から正式リリース、タンニンと酸のバランスが大事なので、セニエ法も試したのですがタンニンが出すぎてしまうのでブレンド法を選択。ベースワインは2007年、ヴァン・ド・レゼルヴ(3年分のヴィンテージ)は25%使用
「夏を感じさせるような軽い食事と合わせて」とブノワさん
#3:タルラン ロゼ・プレスティージュ2000(ヴィンテージ記載前のボトル)
87%シャルドネ、13%ピノ・ノワール、ドザージュ:3g/L
果実味豊か、ミネラル感、余韻に軽いタンニン
#4:タルラン ラ・ヴィーニュ・ダンタン2000
100%シャルドネ、ドザージュ:2g/L
19世紀、欧州のワイン産地はフィロキセラ(和名:ブドウネアブラムシ)禍でぶどう畑は壊滅状態になっていました。タルランの砂質土壌のぶどう畑に3株のシャルドネが生息していることを10代目が発見。プロヴィナージュ(ぶどう樹の枝を土に埋め、根が出てから切り離す取り木)で株を増やし、シャルドネを生育し始めました。62年前の話です。#4はアメリカ台木を使っていない“自根のシャルドネ”
砂地土壌とチョーク質土壌のシャルドネ(ブラン・ド・ブラン)との違いは? 太陽熱を吸収する前者のほうが口中で丸みがあり、余韻にもふくらみがあるとのこと。この違いについては今週の18日、シャンパン編で探究してみるつもりです。
#5:タルラン ラ・ヴィーニュ・ドール2002
100%ピノ・ムニエ、ドザージュ:4g/L、わずか1区画、樹齢51年
「ビター感を楽しんで」とブノワさん。グレープフルーツの香り、熟成が進むとマンゴーやライチ、さらにはアーモンドやナッツ似のニュアンス
#6:タルラン ラ・ヴィーニュ・ルージュ2003(2012年リリース予定)
100%ピノ・ノワール 土壌は固い石灰質、南向きの急斜面0.6ha、骨太のシャンパン!!
#7:タルラン キュヴェ・ルイ1998
50%シャルドネ、50%ピノ・ノワール、ドザージュ:3g/L
マルヌ川に面した西向きのなだらかな斜面、チョーク質土壌に育つシャルドネとピノ・ノワール
「ぶどうがしっかり熟すのを待って収穫しますが、マルヌ川からの恩恵でぶどうにフレッシュな酸味が加わります」とブノワさん。酸味とミネラル感、バランスの良いシャンパン
醸造作業の75%は圧搾にかかっている
糖分添加なしのノン・ドザージュが全体の80%を占めている話は先ほども書きましたが、タルランのシャンパンの良さがわかる人は、いろいろなシャンパンを相当飲んでいる人だと私は思っています。メゾン側でも訪問者の愛飲歴からそのような傾向が出ていると話していました。そのシャンパン好きの舌に訴える最大の魅力は、ワインの生地(一次発酵のワイン)の綺麗さ、ピュアさです。
タルランでは2007年からフランス製COQUARDコカール社の圧搾機を導入しました。以前はシャンパーニュ地方で広く用いられている伝統的な圧搾機を使っていましたが、ぶどうを均等にプレスし、酸化のリスクの少ない最新式機器に変えたことで、よりピュアな搾汁が得られるようになっています。ブノワさんは「醸造の作業の75%は圧搾にかかっています」とおっしゃっていましたが、ノン・ドゼのシャンパンの比較試飲をすればするほど、その言葉の重さを感じます!
各ぶどう、土壌ごとに分けて圧搾するので、タンクの容量も大小あります
タルランではMLFは行いません。一次発酵は3分の1がタンク内、3分の2が樽の割合
ブノワさんは「最終的に求めていることは、“人をいかに喜ばせることが出来るか”ということです。ぶどう造りから醸造まですべてを含めてナチュラルな方法や考え方を取り入れて仕事をすること。それらすべての工程が自分に喜びを与えてくれます」という言葉で締めてくれました。
輸入元(株)八田の城野東太社長、タルランの朝倉真名美さん、お世話になりました。
ありがとうございました!
タグ:タルラン
やっぱり全ての元は土と水なんですね。
by gillman (2012-01-16 17:24)
土壌とぶどうの関係はきわめて重要!
タルランの土壌研究は素晴らしいと思います。
それゆえに出来上がるシャンパンも上質です。
by fumiko (2012-01-22 00:02)
タルランは、好きなRMですね。拝読し、なるほどと納得しました。パリの行きつけの小さな酒屋にいつもあるのです。週末ゼロとダンタンを買って日本に戻ります。
by うさぎ (2013-11-15 18:30)