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半世紀を経ても〝フレッシュさ〟と〝優雅さ〟を保ち続けるシャンパン『グラン シエクル』 Part Ⅰ [シャンパンリポート]


3月24日にシャンパーニュのトゥール・シュル・マルヌにあるローラン・ペリエ社を訪問し、シェフ・ド・カーブ(最高醸造責任者)のミッシェル・フォコネさんに2013年のヴァン・クレール(シャンパンのベースワイン)体験をさせていただいたのですが、そのフォコネさんが2年ぶりに来日し、特別セミナーを行いました。沿革からグラン シエクルのネーミングに至るまでの話が出ておりましたので、200周年記念ガラディナーのリポートをご参考までにリンクしておきます。


東京でのセミナーのハイライトは
やはり、このグラスのなかのシャンパン!
ローラン・ペリエ社(LP社)を世界的企業に押し上げた立志伝中の人物、故ベルナール・ドゥ・ノナンクールさんが初めて世に送り出した『グラン シエクル』、カーブから特別に運び込まれた記念すべきシャンパンです!


このグラン シエクルは1952年、53年、55年をブレンドしています。
60年以上の歳月が経過しているにも関わらず、LP社の基本的スタイル〝フレッシュさ〟を持ち続けている優雅なシャンパン、白い花のイメージです。私はLPのアイコン、白いカラーの花を連想しました。画像は晩年のベルナール・ドゥ・ノナンクールさん

ノナンクールさんが考えるシャンパンの基本はブレンド
「黒ぶどうと白ぶどうの調和、異なるクリュの調和があるなら、〝異なるヴィンテージの調和〟も絶対にあるべきだ」という信念から生まれたグラン シエクル。最高の畑、最高のぶどう、最高のヴィンテージの集大成、そのブレンドの極みが、『グラン シエクル』という名のシャンパンです。

通常、シャンパンメゾンのプレスティージキュヴェ(最高級品)は収穫年を表記しますが、LP社のグラン シエクルは〝直近の特徴ある3ヴィンテージ〟をブレンドしたマルチヴィンテージシャンパン。ゆえに収穫年の記載はありません。他メゾンとは一線を画しています。
夢を大事にしているLP社は、今まで、グラン シエクルに使われている3ヴィンテージについては公表してきませんでしたが、少人数のプレスに向けて行ったテイスティングセミナーではフォコネさんが使用3ヴィンテージ(VT)について特別公開してくださいました。これは前代未聞のことです。


ドゴール大統領が命名したグラン シエクルは〝偉大なる世紀〟を意味しています。
首の長い特殊な瓶型は17世紀にベルサイユ宮殿で使用されていたボトルがベース

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2014年3月24日撮影
昨年完成したグラン シエクル専用ワイナリー『キュブリー グラン シエクル』
14基のステンレスタンクが壮観です。1基の容量は110hl、ここをまっすぐに進む(奥に見える部屋)と、内装の部材や照明に配慮したテイスティングルームがあります。

グラン シエクルのスタイルを語る貴重な7アイテム

左から(#1~#6は今回の試飲のために1ヶ月前にデゴルジュマンを実施し、ドザージュ・ゼロの状態で空輸したものです)
#1:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム1
使用VTは2004年、2002年、1999年で現在瓶熟中、2年後に発売予定
ぶどうの品種構成はシャルドネ55%、ピノ・ノワール45%
ベースになるVTは2004年で、作柄が素晴らしく、1万2000kgの収穫があった年。2002年はストラクチュア、骨格のある年で長い余韻が残ります。1999年は繊細さ(フィネス)が強調されている年で、色調は明るい黄金色、香りは白い花(サンザシ)や柑橘類果実、口中にまろやかさやフレッシュ感が広がります。

#2:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム2
使用VTは1999年、1997年、1996年で、このボトルは現在発売中
1999年は繊細さが際立つ年、1997年はフレッシュさが表現されている年、1996年は秀逸年で骨格が感じられる年。色調は#1よりイエローが強く、香りからはブリオッシュや柑橘系果実、口中にはしっかりとしたミネラル感や酸味、余韻にグレープフルーツのような柑橘類の香りが残り、フレッシュさがあります。

#3:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム3
使用VTは1993年、1990年、1988年。1993年は繊細さがある年、1990年はシャルドネに関して良質なものが収穫できたのでストラクチュアやフレッシュさを表現している年、1988年は厳格さを感じる年です。シャンパン全体からフレッシュな印象を受けます。ブリオッシュの香り、酸がきれいでクリスピィー、口中ではふくよかでシルキーな感触、エレガントで、余韻にハチミツのニュアンスが残ります。

#4:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム4
使用VTは1988年、1985年、1982年。1988年は厳格でストラクチュアをしっかり感じる年、1985年は冬に霜害があり収量減、その分、凝縮感のある品質の高いピノ・ノワールが穫れた年、1982年は85年とは正反対の好天でシャルドネ&ピノ・ノワールとも高収量、繊細さが感じられる年(82年以前の3年間は悪天候)
このグラン シエクルはLP社のセラーに25年以上寝かせていたものですが、フレッシュさを保ち、柑橘類やスパイシーさの要素、口中ではシルキーでなめらか。アフターに柑橘系果実のフレッシュさを感じます。

#5:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム5
使用VTは1982年、1979年、1978年。1982年は秀逸年、1979年はエレガンスさ&フレッシュさを感じる年、1978年は結実不良で収量減でしたが、凝縮感のある骨格がはっきりした年に。これは30年以上セラーに寝かせていたシャンパン。第一香はスパイス、ハチミツ、口中ではシルキー。「花の蜜の様な印象は白い花、西洋カズラです」とフォコネさん

#6:ローラン・ペリエ グラン シエクル マグナム6
使用VTは1955年、1953年、1952年。当時のシャンパーニュ地方は規模としてもまだ小さく、収量(5000kg/ha)も少なかった由。今回の特別テイスティングのハイライト! ノナンクールさんが造って初めてリリースした記念すべきグラン シエクルで、50年以上セラーで寝かせていたものです。「ノナンクールから多くのことを教わりましたが、このボトルに関してはぶどう品種の構成を聞きそびれてしまいました。天国にいる彼に聞かないとわかりませんが、試飲するたびに毎回フレッシュさを感じています。色調はホワイトがかったゴールド。年代を追ってテイスティングする機会はなかなかないので、今回はとても貴重です」とフォコネさん。半世紀を経てもなお、これだけのフレッシュさをキープさせていることは驚きであり、このスタイルこそがLP社が求めているシャンパン造りの原型だと思いました。

創業200周年記念で発売したスペシャル版
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#7:ローラン・ペリエ レ レゼルブ グラン シエクルマグナム
使用VTは1995年、1993年、1990年。2012年の200周年を記念したノナンクールさんへのオマージュ・シャンパン。ジェロボアム(3L)サイズとマグナムサイズで発売しました。今回供出された#7はマグナムサイズで、18カ月前にデゴルジュマンしています。フォコネさんは「デゴルジュマンは〝酸化〟という敵と向かい合うことであり、酸化の影響を避ける意味で、できるだけ直前にデゴルジュマンを行うようにしています。ワインに変化が出てくるのは、デゴルジュマンの後であり、香りや味わいにその変化を感じることができます」と語っていました。

200周年のディナーで味わった時には、楚々として控え目な風情だったのですが、あれから2年経過して・・・第一香から華やかさが際立ち、上品な酸味と余韻の長さが印象的でした。ボトルサイズも大きいので、ゆっくりとした熟成を感じました。

7アイテムには一貫して〝フレッシュ感〟がありました。
これはとりもなおさず、ローラン・ペリエ社が基本にしている〝シャルドネ〟に由来するものであり、故ベルナール・ドゥ・ノナンクールさんのコンセプトを十分に感じ取ることができました。


撮影するにあたり、テイスティングに登場した7アイテムのなかから「お好きなグラン シエクルを持って」とお願いしたところ、「どのグラン シエクルもわが子なので1つには決められない」とのお返事が!
ローラン・ペリエ社とともに41年間歩んできたシェフ・ド・カーブ、最高醸造責任者のミッシェル・フォコネさん、ますますのご活躍に期待しています。


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