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自根シリーズの最後はシャルトーニュ・タイエ『レ・バール エクストラ・ブリュットNV』で! [オープンカレッジ]

オープンカレッジの春期講座シャンパン編が始まりました。
4月は“自根(franc de pied)シリーズ”、メゾンは『シャルトーニュ・タイエ』です。
ぶどう品種はピノ・ムニエ!

昨年末に訪問した『タルラン』のブノワさんから教えていただいた情報をもとに、
『シャルトーニュ・タイエ』のアレクサンドル・シャルトーニュさんにメールをしました。
「1月にタルランの自根のシャルドネ、2月にニコラ・マイヤールの自根のピノ・ノワールを取り上げてきました。今回はあなたが造っているピノ・ムニエを是非とも準備したい」と。
私の持論 「できる男は返信が早い(笑)」、即お返事がきました。
フランスにも在庫がほとんどないなか、アレクサンドルさんと輸入元の(株)フィラディスの間中さんの尽力で、無理が叶いました。本当に特別供出の貴重なシャンパンです。

シャンパン名は『レ・バール エクストラ・ブリュットNV』
尊敬するワインジャーナリストの柳忠之さんが『ワイナート65号』に訪問記事を載せています。

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春期講座の第1回目のフルメンバー!

第1フライト
『シャルトーニュ・タイエ』のNVとミレジムを比較してみました。
本拠地はランスの北西7km、サン・ティエリー丘陵の標高120mに位置するメルフィにあります。1683年からぶどう栽培を、1960年代からシャンパン造りを開始した小規模の家族経営のレコルタン・マニピュラン(RM)です。
#1:キュヴェ・サン・タンヌ ブリュット
生産者:シャルトーニュ・タイエ(RM)
ぶどう品種:ピノ・ノワール47%、シャルドネ39%、ピノ・ムニエ14%
ドザージュ:4.5g/L
デゴルジュマン:2011年12月
価格:5200円
#2:ブリュット・ミレジム2002
生産者:上同(RM)
ぶどう品種:ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%
ドザージュ:6g/L
デゴルジュマン:2011年2月
価格:7800円

左から、#1#2の順。2本とも繊細でリズミカルな気泡。#1は香り華やか、フレッシュ感があり、青リンゴやグレープフルーツGFのような果実味。余韻にGFの内側の白皮を食べたときに感じる軽い渋み。素直で溌剌としたスタイルです。#2はぶどうの凝縮感、ミネラル感、ボディのふくらみがあり、おすすめのおいしいシャンパン。2ボトルとも酸の印象が際立っており、#1はメリハリ感、#2はよりピュアで鋭角的。ここで感じた酸の印象が、第2フライトで同メゾンを利き取る何らかのヒントになるのでは、と思いましたが。さて、第2フライトでいかなる結果が出るか・・・

第2フライトでとりあげた秀逸なピノ・ムニエ100%のシャンパン
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#3:クリストフ・ミニョン エクストラ・ブリュット
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http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/2011-08-15-1
生産者:クリストフ・ミニョン(RM)
ぶどう品種:ピノ・ムニエ100%
ドザージュ:3g/L
デゴルジュマン:2011年8月1日
価格:6300円
レモンやGF、白い花、ブリオッシュ、ミネラル感があり、口中に残る最後の軽いビター感が#1と似ています。チャーミングで軽快、万人に好かれるシャンパン。ピノ・ムニエに関して“フラワリー”というのが私にとっての1つの判断基準です。5アイテムの香りを利いて、それをしっかり感じたのがクリストフ・ミニョンと#5のシャルトーニュ・タイエ。講座生への質問「香りが華やかで花のようなニュアンスを感じるものは」で、挙手が一番多かったのはやはり#5、以下 #3 #4#6 は同数で、#7 はゼロ

#4:タルラン ラ・ヴィーニュ・ドール2002
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生産者:タルラン(RM)
ぶどう品種:ピノ・ムニエ100% /スパルナシアン(粘土石灰質)土壌
ドザージュ:4g/L
デゴルジュマン:2010年6月22日
価格:10500円
ピュアで凛としたシャンパン。花のような香りだけでなく、香草やハーブ的なニュアンスもあり、口中での旨味や上品な酸、余韻のビター感、いいですよね。「酸を一番感じるのは」の質問に、約半数がタルランに手を挙げていました。ブノワさんは「酸味と渋味を楽しんで」とおっしゃっていますが、デゴルジュマンをして約2年弱。昨年暮現地で、そして今年1月講座で試飲した時より、酸味がワインに溶け込んでいる印象を受けました。ちなみに講座生の酸の感じ方は挙手の多い順に#4#7#3#5は同数、#6でした。

#5:シャルトーニュ・タイエ キュヴェ・レ・バール
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生産者:シャルトーニュ・タイエ(RM) 特別出品
ぶどう品種:自根のピノ・ムニエ100%/ チョーク・砂質土壌
ドザージュ:ノン・ドゼ 
デゴルジュマン:2011年4月
若手のホープ、アレクサンドル・シャルトーニュさんを表現しているような元気な気泡、ピノ・ムニエらしいフラワリーで華やかな香り、トロピカルフルーツやキレのある酸、歯茎に残るごく微量のビター感。砂質育ちの自根ぶどうの「酸」の特徴は、粘土石灰質やチョーク質にはない、細身ながらも骨が少し太いという印象です。5つのシャンパンのなかで酸のインパクトがありながらも、口中で太めの酸を感じたのがレ・バールでした。ドザージュをしていないので、酸味ははっきりしていますが、口のなかでの広がりはきわめてクリーミー、丸みがあります。それを#5のなかから利き取り、感じ取ることができるか・・・というより、私のその説明が講座生に伝わるかかどうかのほうが気になりましたが、結果、ここ1年ほどでテイスティング能力に磨きがかかってきたkanさんと初参加のAさんがしっかり当ててくれました。ぶどうの樹齢は50年。NV表記ながら2006年収穫のぶどうだけを使用した数量限定の希少シャンパンです。

自根(franc de pied)でもタルランやニコラ・マイヤールは「砂質のみ」で、シャルトーニュ・タイエは「石灰混じりの砂質」土壌です。ピノ・ムニエの樹を植えたのはアレクサンドルさんの曽祖父・母だそうで、「石灰を含んでいてもベースは砂質なのでフィロキセラの害はない」と判断して植えたということでした。

#6:フランソワ・べデル  アントル・シエル・エ・テール
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生産者:フランソワ・べデル(RM)
ぶどう品種:ピノ・ムニエ100%
ドザージュ:8g/ L 
価格:8300円
収穫年の表記はないのですが2002年産100%、他の4つと明らかに異なる香りで、一番控えめながら、花だけでなく、果実、野菜、鉱物、スパイス等の様々なニュアンスがあり、酵母由来の旨味、複雑味、太くて長~く広がる余韻、一味違う大人の印象。今回講座生に聞いた「香り」、「酸味」、「タンニン」の3項目すべてにおいて一番挙手が少なかったのがベデルですが、1つの要素が際立つというわけでもなく、自己主張するわけでもなく、でも上品に立ち位置を決めている、そのような表現が似合いそうな1本でした。

#7:エグリ・ウーリエ レ・ヴィーニュ・ド・ブリニー プルミエ・クリュ
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http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/2009-07-19-1
生産者:エグリ・ウーリエ(RM)
ぶどう品種:ピノ・ムニエ100%
ドザージュ:非公表 (多くても5g/L位までの予想)
デゴルジュマン:2010年10月 
価格:7300円
いつ飲んでも「いいなぁ!」と感じるシャンパン。厚みがあり、蜂蜜のような甘味と舌の上に広がって余韻を残しながら消えていく酸がホントきれい。新樽由来のタンニン分は感じますが、樽使いの凄さは秀逸。講座生への質問「口中でタンニンを一番感じたのは」でも、予想通り、エグリ・ウーリエが圧倒的でした。洗練されたタンニンなので、味のバランスを邪魔することなく、むしろ食事と合わせていただくと、より旨さが広がるという印象を受けます。2番目に多かったのが、シャルトーニュ・タイエ(タイエのタンニンはウーリエとは質の違うタンニン/探究する価値あり)で、以下#4#6#3

微妙な色調の違いも魅力.jpg
お気に入りを1つを選んで、と言われてもとても簡単に答えられない、素晴らしいピノ・ムニエでした。各グラスそれぞれに趣きがあり、大いに魅了されました! 「人生の最後に飲むシャンパンは」などという質問を良く聞きますが、シャンパンの魅力を知れば知るほど、私はその質問に到底答えられないことを実感しています。

ウチ飲みワインのすすめ@昭和女子大学オープンカレッジ [オープンカレッジ]

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春期特別講座『ウチ飲みワインのすすめ』も無事に終了! 
定員以上の皆さまに受講いただき、感謝にたえません、ありがとうございました!
今回は11アイテムのワインをご用意しましたが、食との相性で面白い実験をしました。

ラッキーにも、講座3日前に受講したサッポロビール主催『ベリンジャー・フードペアリングセミナー』が、有意義かつすぐに応用できる内容だったので、「ウチ飲みワインのすすめ」に参加してくださるワインラバーさんには是非とも体験していただこう! と思い、早速取り入れました。
まずは、内容充実のフードペアリングセミナーからお伝えしますね。

ナパの老舗ワイナリー『ベリンジャー』が開発したプログラム
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当日テーブルの上に用意されていたワインは5アイテムで、左から(1)ホワイト・ジンファンデル2010、(2)シャルドネ2010、(3)エステート・シャルドネ2010、(4)カベルネ・ソーヴィニヨン2009、(5)エステート・カベルネ・ソーヴィニヨン2009。ポリコップのなかには醤油と旨味水(味の素を水で溶かしたもの)、お皿の上にはリンゴ、木綿豆腐(わさび付)、シャケ、ステーキ、レモン、お塩

講師はべリンジャーワイナリーを傘下にもつトレジャリーワインエステーツ社の古本龍彦さん。長年ベリンジャーを担当なさっていたファインワインアンバサダーで、ワインと食事のペアリングの研究家として活躍中です。

ベリンジャーは1876年創業の老舗ワイナリー。禁酒法時代にもミサ用のワイン造っていたので、その歴史は136年に及びます。同社ではワインと料理の相性を研究し、『フード・ペアリング』という独自の理論を完成していますが、それは「ワインの味をできるだけそのままに保つワインと料理のおいしい組み合わせの探求」です。

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ベリンジャーが開発した塩味・酸味・旨味・甘味の一覧表 (C)Jerry Confort

第1フライトは、上記5アイテムのワインを試飲し、続けてリンゴとレモンで相性をみていきます。レモンはどのワインをもマイルドにしてくれる優れもの。リンゴと(5)の相性は最悪、口のなかは渋み&苦みの大洪水! 

第2フライトではテキーラを飲む要領で、手の甲にレモン汁を2~3滴たらし、そこに1つまみの塩を加え、タンニンの強い(5)と合わせると、あらら~大洪水だったはずの口中がさっぱり!
古本講師いわく「樽のタンニンが苦みを増大させるのですが、レモンと塩によって味わいが緩和されます」と。それからリンゴにレモン汁を振り、塩をつけて食べるとワインもリンゴも美味に。
“ワインの味も変化せず、リンゴも美味しくなる”、これがべリンjジャーが考えるペアリングの基本理論です。

第3フライトでは樽の要素のある(3)と旨味水(だしの味、素材が持っている味)を合わせて。旨味水を口に含み、ワインを飲んでみると微量のアンバランス感はあるものの、嫌な印象ではありません。古本講師が「この組み合わせを許せると思う人?」の問いに挙手したのは私を含め32名、「許せない」と答えた人は22名。古本講師の「器の狭さを試しました」との冗談めかしのひとことがありましたが、味覚に対する反応はまさに様々です。私には許せる範囲ですけどね、この組み合わせは。

第4フライトは(3)とシャケを合わせて。最初はそのまま、後半はレモンと塩で。生臭さvsすっきり!
第5フライトは(5)とステーキ。最初はそのまま、後半はレモンと塩。物足りなさvs旨さ、歴然です!

1時間の短いセミナーでしたが、貴重な体験になりました。古本講師、ありがとうございました。
また(C)の表の許可もありがとうございました!

『ウチ飲みワインのすすめ』報告


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カレッジ課外講座『あっぱれ! 日本! ~日本ワインの実力を体感しよう~』@JIP [オープンカレッジ]

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お世話になっているお花屋さんに頼んでいた岩手県のお花。11日に届いたのは雫石産のラナンキュラスでした。色とりどりできれいです。花言葉も 魅力的、晴れやかな魅力、光輝を放つ”など、元気が出る言葉ばかり・・・被災地の早期復興への思いを込め、ご参加くださった皆さまに1本ずつ手渡しさせていただきました。みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために!!

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今年初の課外講座の会場は新宿御苑にある日本ワインを中心としたワインバーJIPさん

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満員御礼!!
まずはカレッジ事務局の担当Suzukiさんからあっぱれ! 日本! 開会のごあいさつ。
第2部担当のTaste_and_funの沼田実代表と一緒です。
画像:JIP提供

第1部:日本と海外のワインの比較
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第1部では、世界ワインに匹敵する力を持つ日本ワインを参加者の皆さまに体感していただくことが目的でした。白ワインは欧州系品種のソーヴィニヨン・ブラン、赤ワインはメルローに決めました。上部にあるラベルは シャトー・メルシャン マリコ・ヴィンヤードのソーヴィニヨン・ブラン2010です。ブラインドで供出した【白ワインの部】で、半数の方が「一番好き!」と答えていたワインです。メルシャンさんからの特別供出のため、ボトル画像がないので、ラベルでご確認ください。
画像:JIP提供/メルシャン提供

ソーヴィニヨン・ブランについて
産  地:フランスのボルドー地方とロワール地方が主要エリア
栽培適地:比較的冷涼な気候から温暖な気候に順応、石灰質土壌
特  徴
■青草、柑橘類、ハーブ類の香り、時として燻製香。さわやかな酸味
■ボルドー地方ではセミヨンとブレンドするが、メドック地区では辛口に、ソーテルヌ地区では甘口に仕上げる
■ロワール地方のロワール上流域にあるサンセールは下流に向かって左岸、プイィ・シュール・ロワールは右岸に位置し、ともに芳香があり、酸がきれいなワインを産する

ソーヴィニヨン・ブランの香りの特徴
2008年6月に急逝なさった富永敬俊博士はSBの香りの第一人者でした。ボルドー第二大学醸造学部では白ワインの大家ドゥニ・デュブルデュー教授に師事していました。博士は「SBのワインは非常に特徴的な香りを放ち、しばしばグレープフルーツ、パッション・フルーツ等の果実、カシスの芽と呼ばれる個性的な香りにたとえられます」と述べています。カシスの芽とは、発情期の雄ネコの尿の臭いと類似しています。これらの香りはSBの品種香を担う重要なものです。

日本の固有品種甲州ぶどうのなかにグレープフルーツの香り(SBから見出された香りと同じ)があることがわかり、シャトー・メルシャンの甲州きいろ香の成果につながっていきました。以下の原稿は博士とやりとりした最後の記録です。http://www.non-solo-vino.net/kiro2.pdf

【白ワインの部】 解説順
マリコ・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン2010
プレスセミナーとカレッジの課外研修で、2回新装したワイナリーを訪問し、その折、試飲して大いに心ひかれたワインです。味村興成ワインメーカーからミシェル・ベタンヌさんから高評価を受けたことをお聞きしました。素晴らしいことです。2010年ヴィンテージはすでに完売。購入は同社のサイトの「ワイン好き」、ワイナリーでの販売のみ。次ヴィンテージがリリースされたら是非ともゲットなさってください。

1999年、メルシャンはぶどう畑を開拓し、自社栽培を行う計画を始動。選ばれた場所は長野県上田市にあるマリコ(椀子)ヴィンヤードで、以前は桑や薬用ニンジンを栽培していました。畑名は6世紀後半、同エリアに欽明天皇の皇子『椀子皇子』の領地があったことに由来。2003年から6年かけて開墾し、2009年現在20haの植栽が完了、ソーヴィニヨンブランのほか、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、シラーのほか、試験品種も栽培。標高は650m、土壌は強粘土質(含礫)で、丸子町誌によると日照時間は2728時間(長野県下最長を記録)、降雨量は870mm(25年間の平均/長野県下で最小雨地帯)との記録があります。

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事務所側から見た畑の景観 画像:メルシャン提供

シャトー・ド・トラシィ2010
昨年7月にアルカンの招聘で来日したシャトー・ド・トラシィのアンリ・ダセイ伯爵は浮世離れした雰囲気の方で、とてもチャーミングでした。1ケ月ほど前、桐島洋子先生の森羅塾でフライデーナイトパーティーをしたのですが、その時、同ワインほか8種類を持ち込みました。先生手作りの「鶏肉団子鍋」とシャトー・ド・トラシィが抜群の相性で、アルコールにあまり強くない桐島先生のグラスが空になっていました。肉団子に入れた大葉等の種々な香草効果がソーヴィニヨン・ブランの品種の個性(青草やハーブ等の香り)としっかりマッチしたようです。

1580年から4世紀にわたりプイィ・フュメでぶどう栽培を受け継いでいるシャトー・ド・トラシィ。現在A・デストゥイト・ダサイ伯爵夫人が所有し、南西を向いた畑の面積は25ha、最もすぐれたワインを産するキメリジャンの石灰質土壌に覆われています。

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シレックス土壌(火打石)に由来するのはダイナミックでストレートな酒質! 画像:アルカン提供

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キメリジャン土壌からはミネラル感とクリーミーさが!
ロワール地方のキメリジャンには、シャブリのような牡蠣殻は多く含まれていません。
画像:アルカン提供

クラウディー・ベイ2011
チーフ・ワインメーカーのケヴィン・ジャッドさんとは3回ほどお目にかかりました。写真の腕はプロ級です。ニュージーランド(NZ)のソーヴィニヨン・ブラン(SB)を「世界一」と評したのはイギリスのワイン評論家ヒュー・ジョンソンさんですが、SBが好きでないジャンシス・ロビンソンMWもNZのものは褒めていますよね。

クラウディー・ベイは豪州・西オーストラリアの『ケープ・メンテル』のデヴィッド・ホーネンさんがNZのマールボロに興したワイナリーです。1983年西オーストリアのパースでワイン会議があり、NZのワイン生産者6名が参加しました。会議終了後、彼らは持参したSBをお土産として置いて帰ります。そのワインを飲んで非常に感銘を受けたホーネンさんは翌年NZを訪れ、その潜在力を実感。1985年に待望のワイナリーを設立しています。

ワイラウ川が氾濫して濁るところから命名されたのがクラウディー・ベイ、名前の由来です。日較差(昼と夜との温度差)があるので、完熟した、きれいな酸のあるぶどうができます。土壌は広大な沖積土で、質の良い純粋な雪解け水が大いに役立っています。白ワインの生産量が多いNZでは世界で一番スクリュー・キャップ(SC)の導入率が高く、このワインも2002年からSCになりました。

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画像:MHD モエ ヘネシー ディアジオ 提供


一番人気だった日本ワイン!
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ぶどう品種の個性および日本、フランス、NZの順で説明させていただいた後はブラインドでテイスティング。皆さんの真剣なお顔。試飲のあと、「お気に入りのワインを1つだけ選んで」という質問をしたところ、16名がマリコ・ヴィンヤードに挙手、テーマにピッタリの反応ヽ( ´¬`)ノ   画像:JIP提供

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ワインに合わせたひとさら。SBには左側のサーモンとアスパラガスを合わせていただきました。最初はそのままで食し、次にレモンを使い、マリアージュのチェック。レモンの酸が料理の味わいを引き締め、ワインとの相性は一層良くなりました。アスパラガスは最高の相性です!

メルロ―について
産  地:フランス・ボルドー地方の右岸サンテミリオン地区とポムロール地区が主要エリア
栽培適地:温暖な気候に向くが、寒冷地でも比較的収量が多い、保水性のある粘土質土壌
特  徴
■ボルドー地方メドック地区の主要品種カベルネ・ソーヴィニヨンよりも大粒で早熟
■果皮が濃いので、色調に深みがあり、果実味、アルコール分とも豊か
■カベルネよりタンニン(渋み)がソフトなので飲みやすく、人気も高い

【赤ワインの部】
桔梗ケ原メルロ―
桔梗ケ原でのドラスティックな変化は50年になってからです。林農園(五一ワイン)林五一氏の栽培実績を見て、同地区におけるメルローの将来性と適応性を察知したメルシャンが地元の農家によびかけ、結束。農家の説得にあたった故浅井昭吾(麻井宇介)先生の努力が実を結び、桔梗ケ原のメルローは国内外のワインコンクールで高評価を受けるようになっています。ちなみに#5#6とも昨年の『国産ワインコンクール2011』の銀賞受賞ワインです。

シャトー・メルシャン 長野メルロー2009
桔梗ヶ原地区は長野県塩尻市に位置しています。1976年にメルロ―を植樹。現在、垣根式栽培と棚式栽培を取り入れています。前者のぶどうは力強く凝縮感があり、後者は落ち着きのある複雑味のある味わいになる由、それらの味わいをうまく取り入れて完成させたのが、フラッグシップの『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロ―』です。『長野メルロー』は桔梗ヶ原地区89%、上田市9%、北信地区2%のメルローを使い、各地区の個性をうまく表現しています。

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長野・桔梗ヶ原の棚式のメルロ―畑 画像:メルシャン提供

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長野・桔梗ヶ原の垣根式のメルロ―畑 画像:メルシャン提供

井筒ワインNAC メルロ―【樽熟】2009
2年前の課外研修で講座生とお邪魔させていただきました。昨年の『国産ワインコンクール』ではNACメルロ―【樽熟】のその格上ワインNAC【樽熟/スープリーム】が、欧州系品種・赤部門で金賞受賞。前者と後者の違いはメルローの栽培地区ごとのブレンド比率だけ。新樽の使用率はスープリームが100%(熟成17か月)、樽熟のほうが67%(18か月)。ぶどうの栽培は棚式100%。樽由来の甘やかな優しさを感じるワインです。NACは田中康夫前知事の時代から始まったNagano Appellation Control 長野県原産地呼称管理委員会の略。

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井筒ワインの棚式のメルロ―畑  画像:JIP提供

ポムロール クリスチャン・ムエックス2009
2003年にメルシャンの故関根彰先生とご一緒にシャトー・ペトリュスを訪問し、土壌への関心がより深まりました。畑を一見しただけで、ぶどう樹の本数を的確に当てる関根先生にも驚きました。
2007年に来日したご子息のエドワール・ムエックスさんが熱く語っていた「ジャン=ピエール・ムエックス(JPM)のジェネリックワインへの取り組み」がセレクトしたポイントになりました。「ジェネリックワインは良い意味でワインの基本、飲むためのワインであり、飲み物としてのワインという意味で重要な位置にあると考えています」とのコメントです。きわめて質の良いメルローの生産者であり、メルロ―に関しては当代一なので、ワインラバーさんにはどんどん飲んで頂きたい1本だと思っています。

メルロ―はボルドーの右岸サンテミリオンやポムロールの主要品種です。これらのエリアはいまでは有名な産地ですが、JPMの創始者ジャン=ピエールさんが家族を伴い、1929年にサンテミリオンに移り住んだ頃はまだ知名度のない所でした。JPMは1937年にネゴシアン業を確立します。次にワインの質を左右する栽培の重要性を感じたジャン=ピエールさんは1950年代にChトロタノワ他4つのシャトーを買収。さらに1962年ペトリュスのオーナーであるマダム・ルバーからぶどう畑に半分を買い取り、1969年に残りの50%も買収し、100%ペトリュスのオーナーに。無名だったワイン産地が大きく変化していきます。

鉱物学の大御所武田弘先生は「シャトー・ぺトリュスはボルドーで最も高価なワインを産するぶどう畑で、ぶどう樹は古いイール川の段丘に植えられているが、この層はわずか30センチの厚さしかなく、根が伸びる深さを抑制する粘土質の下層土壌からなっている。この土壌は、品質を高めるため、生産量を制約する役割があり、下層の青色をしたチョコレート状の土壌は、一部分、台地の地形変化と下部にあるフロンサック・モラセットから来たものと考えられている」と記述しています。出典:ブドウ畑の自然環境

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ワイン愛好家垂涎の赤ワイン、シャトー・ぺトリュスのメルロー畑 画像:日本リカー提供

【赤ワインの部】でも、「お気に入りのワインを1つだけ選んで」という質問をしました。顔ぶれにずれはありましたが、16名が支持していた#6のシャトー・メルシャン 長野メルロー2009! 口中滑らかで若干の樽由来の要素が残る心地良さ。メルシャンの藤野部長が「2009年の長野メルロ―は会心の出来!」とおっしゃっていた意味がよくわかりました。

試飲後はひとさら料理の右側にあるマグロ赤身でマリアージュ体験。わさび、柚子胡椒を使ってのチェックもしていただきました。

ブラインドテイスティング  (供出順 各3アイテム/マリコSBはボトルなし)
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#1フランス/シャトー・ド・トラシィ2010 
Alc13.6%、協賛:アルカン、3780円
青草、カシスの芽、グレープフルーツ、白桃、ミネラル感、上質な酸、鍋物(ポン酢)に合わせて!

#2日本/シャトー・メルシャン マリコ・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン2010 
Alc13.1%、生産本数:1185本、特別出品:メルシャン、3180円
3つの中で酸味が一番ソフト、バランス良、樽貯蔵したワインのブレンドによる複雑味&奥行
飲む1時間前の抜栓がおすすめ、レモン効果が最も出ていたワイン

#3ニュージーランド/クラウディー・ベイ2011  
Alc13.5%、輸入元:MHDモエ ヘネシー ディアジオ、3360円
グレープフルーツ、パッションフルーツ、アプリコット、エレガントな酸と長い余韻、美味!!

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#4ポムロール クリスチャン・ムエックス2009 
メルロ―80%+CF20%、Alc13%、輸入元:日本リカー、3700円
舌の上をなぞるドライなタンニン、酸とアルコールのバランス、ヒレ肉や熟成した白カビチーズと
厚みがあり、時間の経過で、まろやかに変化する上質なタンニンが魅力

#5井筒ワイン NACメルロ―【樽熟】2009
メルロ―100%、Alc13%、生産本数:4719本、生産者:井筒ワイン、3588円
黒い果実の風味、キメ細かなタンニン、クリーミー、ミルキー、シルキーな舌触り

#6シャトー・メルシャン 長野メルロー2009
3つのなかで一番淡い色調、凝縮した果実味、心地よい酸と旨味、飲んでおいしいワイン
メルロ―100%、Alc:13%、生産者:メルシャン、3150円

6種類のワインはすべて3000円台です。アルコール度数も食事に合わせて疲れない13%台という点が自分でも気に入っています。どのワインも高品質で、甲乙つけがたい大好きなワインたち。それだけに第1部に関しては、タイトル通り、日本ワインの実力を皆さまに体感していただけたようなので本当に嬉しいです。

第2部ではシャルドネにフォーカス


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オープンカレッジ春期講座、ウチ飲みワインのすすめ! [オープンカレッジ]

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少しずつ、春の気配を感じますね。
今日から、昭和女子大学オープンカレッジ春期講座の一般受付が始まりました!
http://www.non-solo-vino.net/topics36.html

今期は定期の『オーダーメイドなシャンパン講座 ~各メゾンの奥深さを愉しもう~』と、
特別講座『青木冨美子のウチ飲みワインのすすめ』です。
嬉しいことに、シャンパン編はすでにキャンセル待ち! 
シャンパンラバーの期待を感じます。ありがとうございます\(^_^ )/

ウチ飲みワインのすすめは4月14日(土)15時~17時です。
値ごろ感があって美味しいワインをお探しの方に、是非とも、ご参加いただきたいと思っています。
10アイテムくらいお出ししたい気分です!
今まで、スクール体験がなかった皆様、カレッジのある世田谷周辺の皆様、それから・・・ツイッターやソネ・ブロでおつきあいくださっている皆様~よろしくお願いいたします。

新星ニコラ・マイヤールの技量&砂質土壌で育つ自根のブラン・ド・ノワール! [オープンカレッジ]

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2月のメインメゾンは輸入元:豊通食料(株)さん扱いのNicolas Maillart ニコラ・マイヤール
この情報はTarlant タルランの当主ブノワ・タルランさんからいただきました。タルランでは自根のシャルドネから『ラ・ヴィーニュ・ダンタン』を造っていますが、タルランと同じく、砂質の土壌で、自根のぶどう樹を育てているのがニコラ・マイヤール。ここではピノ・ノワールから貴重なブラン・ド・ノワールを造っています。

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これが自根のブラン・ド・ノワール『Les Francs de Pied レフラン ド ピエ』です。

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フィロキセラに強い砂質土壌育ち! 画像協力:豊通食料

豊通食料の小永井さんから「小樽発酵&熟成でMLFは行わず、ノン・フィルター、モノ・セパージュ、モノ・クリュ、単一年です。以前、マイヤール本人が現在シャンパーニュ全体でヴィーニュ・フランセーズ(自根)を造っているのは、他にボランジェ、あとタルランくらいだと思うと語っていました」との情報もいただき、2月の講座で待望のシャンパンと対面することができました。
小永井さんの迅速な対応に心から感謝しております!

第1フライト
ニコラ・マイヤールは1720年代からぶどう栽培醸造家として続いてきたドメーヌです。2003年から9代目当主のニコラ・マイヤール35歳がドメーヌを引き継いでいます。モンターニュ・ド・ランスの3つの村にある自社畑は平均樹齢30年以上であり、リュット・レゾネで作業を行っています。2007年度版の『ル・クラスマン』には注目すべきドメーヌとして掲載されています。若き有望な醸造家マイヤールさんの技量、素晴らしいです!

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#1:ニコラ・マイヤール プラティーヌ1erクリュ
生産者:ニコラ・マイヤール
産地:フランス・シャンパーニュ地方モンターニュ・ド・ランス地区
品種:ピノ・ノワール80%、シャルドネ20% / 平均36か月瓶熟成
デゴルジュマン:2011年5月  / ドザージュ:7g/L  / ヴァン・ド・レゼルヴ40%使用
シソ梅、黄色系果実(GFやカリン)、軽いビター感、ミネラル、生地がピュア、万人受けのする1本

#2:同 ブリュット・ミレジメ 1erクリュ2005
生産者:ニコラ・マイヤール  
産地:フランス・シャンパーニュ地方モンターニュ・ド・ランス地区
品種:ピノ・ノワール50%、シャルドネ50%  
デゴルジュマン:2011年6月  / ドザージュ:5g/L
ヘーゼルナッツ、ドライフルーツ、クリームブリュレ、複雑味のある香りと味わい、お気に入り!

#3:同 レ・シャイヨ・ジリ エキストラ・ブリュット・1erクリュ2004
生産者:ニコラ・マイヤール
産地:フランス・シャンパーニュ地方モンターニュ・ド・ランス地区
品種:シャルドネ100%  
デゴルジュマン:2011年4月  /  ドザージュ:2g/L
淡い金色、クチナシ、スパイス、3アイテムのなかで最も酸の切れとミネラル感あり

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#4:同 グランクリュ ブジー ブリュット・ロゼ 
生産者:ニコラ・マイヤール
産地:フランス・シャンパーニュ地方モンターニュ・ド・ランス地区
品種:ピノ・ノワール70%、シャルドネ30%  
デゴルジュマン:2011年4月  /  ドザージュ:7g/L
サーモンピンク、気泡はワインに溶け込み滑らか、スミレやバラ、軽くソフトなタンニン

第2フライト
個人的に大好きなブラン・ド・ノワール、4アイテムは甲乙つけがたい味わいです。
今回注目したのは土壌と自根&台木
「酸」、「ミネラル」、「余韻の印象」に注意しながら試飲してみました。

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左から#5~#8の順で供出

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グラスに注がれた色調の違いもチェック

#5:フルーリー ブラン・ド・ノワール ブリュットNV
生産者:フルーリー    
産地:フランス・シャンパーニュ地方コート・デ・バール地区クロトゥロン村
品種:ピノ・ノワール100%   
ドザージュ:9~10g/L / 土壌:粘土石灰質土壌
1895年創業のメゾン、初代エミール・フルーリーの時代にフィロキセラで壊滅したぶどう畑にピノ・ノワールを植樹。1989年にはビオディナミのデメテール認証を受けています。栽培品種全体の90%はピノ・ノワール
熟成による多様な香り、ミネラル感、余韻に石灰を感じる切れの良い酸

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ニコラ・マイヤールのエキュィユの区画の土壌 画像協力:豊通食料

#6:ニコラ・マイヤール レ・フラン・ド・ピエ ブリュット・1erクリュ 2005
生産者:ニコラ・マイヤール
産地:フランス・シャンパーニュ地方モンターニュ・ド・ランス地区
品種:ピノ・ノワール100%(自根)  
デゴルジュマン:2011年4月  / 土壌:砂質土壌
樽由来の濃い黄色、甘さを予感させる香り、蜂蜜、甘露煮、中盤以降広がるまろやかさ。酸味、軽いビター感、旨味がまとまり、それらが一点に集中して消えていく印象。
他のアイテムより、酸の切れはソフト

#7:ドラピエ ブリュット・ナチュールNV
生産者:ドラピエ
産地:フランス・シャンパーニュ地方コート・デ・バール地区ウルヴィル村
品種:ピノ・ノワール100%  
ドザージュ:ゼロ  / 土壌:石灰質土壌 
フィロキセラ禍以降、いち早くピノ・ノワールを植樹したメゾン。ウルヴィル村(南向き斜面上部の畑)を中心とするジュラ紀由来の石灰土壌。第一印象はドザージュゼロでありながら、口中に広がる“ぶどうの旨み”。石灰由来の酸の切れ。極薄の桃色、赤系果実、白桃&洋梨、生姜菓子、ミネラル感とバランスの良さは秀逸

#8:マイィ ブラン・ド・ノワール
生産者:マイィ
産地:フランス・シャンパーニュ地方モンターニュ・ド・ランス地方
品種:ピノ・ノワール100%  
ドザージュ:8g/L  /  土壌:白亜質土壌
マイィ社は1929年創業の協同組合でメンバーは現在81名。使用するぶどうはグラン・クリュのマイィ村の2種類ピノ・ノワール&シャルドネのみ。樽はシャトー・マルゴーの白(パヴィヨン・ブラン)に使用したものを利用。
4アイテムのなかで一番酸のメリハリがあり、余韻にもきれいな酸が長く続く。厳選ぶどうの凝縮感、ミネラル感、均整がとれた上質な1本。

現在、最も興味を惹かれているのが自根のピノ・ムニエ! これもブノワさんからいただいた情報なのですが、もう少しデータを揃えてから、チャレンジしてみたいと思っています。

[ぴかぴか(新しい)]7月21日13時~ニコラ・マイヤールさんの特別講座が実現することになりました。シャンパン好きの皆さんに生産者の生の声をお伝えできますし、2月の講座の集大成になります!

メインメゾンは『ジャン・ヴェッセル』、製法違いのロゼにもフォーカス! [オープンカレッジ]

先週半ばは風邪気味でトーンダウ~ン、少しだけおとなしくしていました。
ブログの更新もスローになっております┌(_ _)┐

今日は今年2回目のカレッジ・シャンパン編講座です。
講座生の皆さま、スペシャルな回になりますので、全員出席でよろしくお願いします!
積み残しになっていた12月の講座のまとめも後れ馳せながら・・・

RM (レコルタン・マニピュラン)のジャン・ヴェッセル 
モンターニュ・ド・ランス地区ブジィー村、その近郊のロッシュ・シュル・ウルス、ロゼで有名なリセィに面しているバルセカナ村にぶどう畑全15haを所有。内訳はピノ・ノワール90%、シャルドネ10%です。
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大榮産業扱いのジャン・ヴェッセル、今回は6アイテム試飲しました。

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#1:エクストラ・ブリュットNV
ぶどう品種:ピノ・ノワール80%、シャルドネ20%
甘辛度:エクストラ・ブリュット(0g/L)/ 瓶熟最低3年
キレが良く、ドザージュゼロながら、ぶどうの旨味が詰まった味わいなので、パワーあり

#2:キュヴェ・プレステージュ・ミレジメ2001
ぶどう品種:ピノ・ノワール70%、シャルドネ30%
甘辛度:ブリュット(7g/ L)/ 瓶熟最低8年
カリン、ロースト香、蜂蜜、キャラメル、ドライアプリコット等、多様な香り。味わい深い1本

製法の違うロゼに注目 
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#3#4はメインメゾンのジャン・ヴェッセル(RM)、#5はルイ・ロデレール(NM)で比較
#3:ウィユ・ドゥ・ペルドリNV(直接圧搾法)
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
甘辛度:ブリュット(6g/ L)/ 瓶熟最低3年
淡いさくら色、柑橘系果実、野イチゴ、ミネラル、グレープフルーツ内の白皮に似たビター感

#4:ブリュット・ロゼ・ドゥ・セニエNV(セニエ法)
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
甘辛度:ブリュット(9g/L) / 瓶熟最低3年
赤に近いロゼ、ベリー系の凝縮した香り、甘草、中盤以降、タンニンの広がり、パワーあり。上記2種は同生産者の製法違いのロゼ。色、香り、味わいの変化も顕著で、これはおすすめしたい試飲です!

#5:ブリュット・ロゼ・ヴィンテージ2006
生産者:ルイ・ロデレール(NM)
ぶどう品種:ピノ・ノワール66%、シャルドネ34%
甘辛度:ブリュット/ 瓶熟4年
スキンコンタクトでピノ・ノワールから色素を抽出、その後、シャルドネを加えるユニークな製法
ルイ・ロデレールのロゼはヴィンテージのみ
フレッシュなアロマ、赤系果実やスパイシーさ、複雑味のある味わい

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#6:ル・プティ・クロ1998
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
甘辛度:エクストラ・ブリュット(4g/ L) / 瓶熟最低10年
ドライな口当たり、温度変化で蜂蜜、黄金糖、古酒やフュメっぽいニュアンス

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#7:ドゥミ・セック・ロゼ・フリアンディーズNV
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
甘辛度:ドゥミ・セック(32g/ L) / 瓶熟最低3年
赤い果実たっぷり感、酸味と甘さのバランスよし、焼き菓子やショコラとの相性◎

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講座生のHashikawaさんが、シャンパンに合わせて、サーモンのテリーヌをご持参くださいました。なめらかでスムース、美味、美味! きれいに盛り付けていただいたので、記念ショット!
私のフランス土産、チーズとエディアールのクッキーも相性が良かったようで安心しました、ルン


シャンパンメゾン『ピエール・ぺテルス』の美味しさの秘密はマス・セレクションにあり! [オープンカレッジ]

近年高い評価を受けているメゾンの1つが『ピエール・ペテルス』です。11月のなかば、シャンパン編講座で同メゾンを取り上げたのですが、タイミングよく、輸入元の中島董商店さんの招聘で、当主のロドルフ・ペテルスさんが初来日していたこともあり、セミナーでは貴重なお話をたくさん伺うことができました。まずは、ロドルフさんが語っていた内容を、まとめておきます。

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ワインやシャンパーニュのコンサルタントをしていたロドルフさんは2007年当主に

ピエール・ペテルスの沿革 
1858年、ガスパール・ペテルスがル・メニルにぶどう畑を所有するドゥエ女史と結婚、約2haからぶどう栽培を開始します。初ヴィンテージは1919年で、当時の当主はカミーユ・ぺテルス。初めて自分の名をシャンパンに冠して販売しました。

1930年、ピエール・ペテルス(祖父)は、ル・メニルの卓越したクリュ『レ・シェティヨン』を購入。全部で2.5ha、ここには3区画あります。ピエール・ペテルスは1946年に自分の名前で最初のヴィンテージシャンパン(1944年)をリリースしますが、この時点で、今までの『カミーユ・ペテルス』から『ピエール・ぺテルス』にメゾン名を変更。
自社畑は18haあり、9割がGCグランクリュで、ル・メニル・シュール・オジェ、オジェ、アヴィーズ、クラマンに位置しています。現当主はロドルフさんで、彼の父フランソワ・ペテルスはヴーヴ・クリコの元醸造長ジャック・ペテルスの実弟です。

マス・セレクションを行っているのはシャンパーニュ地方全体の10%以下
マス・セレクション=マサルMassal(集団の)・セレクションは、畑から優秀な株を複数選び、穂木を取って苗を作り、もとの畑に戻す方法です。これを行うには、クローン苗を使っていない畑を選ばなければなりません。以前、ワインメーカーの安蔵光弘さんから、「クローン苗が一般的になる前に植えられた、50年を超える樹齢のぶどう樹であれば、様様な株が混在しているので、樹にウイルスがいないことを確認して苗を作ることができます」と教えていただきました。ペテルスでは65%がマス・セレクション。レ・シェテイヨンの区画は100%がそれで、樹齢は47年~70年です。

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参考:昨年12月に訪問したスペインのトマス・クシネでもマス・セレクションを行っていました。ペンキやリボンで優秀な株の幹に印をつけます。ここでは赤いリボンが目印。冬に枝を採取し、それを研究所に預けて、苗を作ってもらっているそうです。

ピエール・ペテルスには「マス・セレクションで増やした50種類以上のシャルドネがあり、それらが複雑味のあるシャンパンを生み出します」とロドルフさんは強調していました。フラッグシップシャンパンの『レ・シェティヨン』は100%マス・セレクションのぶどう樹から造られていますが、それを表現するのはテロワール(土壌、微気候、人間)! 
(1)表土がほとんどなく、すぐに石灰質土壌が広がっている。(2)西から冷たい雨や風が吹き込んでくるが、この3区画は南東向きなので地形的に守られている。(3)世代に引き継がれてきた知識とマス・セレクションによるぶどう樹に蓄えられた味わいの結晶
これら3つがテロワールとロドルフさんは語っていました。

マス・セレクションで増やされたシャルドネは様様なタイプが混在しているため、栽培には手間がかかります。ペテルス家は、この方法を続けていくことでメゾン代々のメモリーを伝承しています。

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テロワールを色で表す
ロドルフさんが考える4つのグランクリュの色のイメージは、
ル・メニル・シュル・オジェ:グレー。石や石灰、牡蠣殻のニュアンス、フルオーシャンフレーバー、ミネラルを感じるイメージ
オジェ:ホワイト。軽快でエレガントなニュアンスを備えつつ、シトラス、白い花、ホワイトピール、白い果実、完熟した洋ナシなどのイメージ
アヴィーズ:オレンジ。グレープ・フルーツや熟したマンダリンオレンジ。他の畑よりミネラルは少ないものの、フルボディーのシャルドネのイメージ
クラマン:ブラウン。若いうちはフレッシュでクリーミー。熟すとシナモンやドライフラワー、ナッツ、ブラックティー、森の下草のイメージ

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セミナーでは7アイテムをテイステイング

第1フライト  
#1:キュヴェ・ド・レゼルヴ ブラン・ド・ブラン グランクリュ
ぶどう品種:シャルドネ(CH)100%
ドザージュ:6~7g/L 
ぶどう畑:すべてGC特級畑(ル・メニル・シュル・オジェ、アヴィーズ、クラマン、オジェ)
#2:キュヴェ・ド・ラ・ぺルル ブラン・ド・ブラン
ぶどう品種:CH100%
ドザージュ6~78g/L 
ぶどう畑:GC特級畑90%(ル・メニル・シュル・オジェ、アヴィーズ、クラマン、オジェ)+セザンヌ10%

#1のべースワインは08年で、優良な15ヴィンテージをブレンド、ヴァン・ド・レゼルヴを40%使用 #2はセザンヌのシャルドネをブレンドしたタイプでガス圧が少し低めの4.5kg/cm、優しい印象

第2フライト
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#3:キュヴェ・エキストラ・ブリュット ブラン・ド・ブラン 
ぶどう品種:CH100% 
ドザージュ:2g/L 
ぶどう畑:すべてGC特級畑(ル・メニル・シュル・オジェ、アヴィーズ、クラマン、オジェ)
#4:キュヴェ・ミレジメ・レスプリ2005 ブラン・ド・ブラン 
ぶどう品種:CH100%
ドザージュ:4~4.5g/L
ぶどう畑:すべてGC特級畑(ル・メニル・シュル・オジェ、アヴィーズ、クラマン、オジェ) 

前述したように、ロドルフさんは“4つの色の感じ方”で、#3#4を分けています。 #3のエキストラ・ブリュットは白のイメージでエレガント、オイスター、ライム、レモン、塩味であり、#4のレスプリはオレンジやブラウンで、クリスマススタイル(シナモンの砂糖漬け、キャンディードロップ)だそうです。また、ぺテルスのシャンパンはテイスティングの最後に必ず、塩味やライムのニュアンスがあり、アフターにはチョーク質特有の固さがぐっと広がるので、「それを感じて欲しい」と。

第3フライト
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#5:キュヴェ・スペシャル“レ・シェティヨン”2002 ブラン・ド・ブラン 
ぶどう品種:CH100%
ドザージュ:5~6g/L
ぶどう畑:GCル・メニルの単一畑のなかの最高のレ・シェティヨン
#6:※キュヴェ・スペシャル“レ・シェティヨン”2000 ブラン・ド・ブラン※参考出品(非売品)
ぶどう品種:CH100%
ドザージュ:5~6g/L
ぶどう畑:GCル・メニルの単一畑のなかの最高のレ・シェティヨン

熟成の度合いは違いますが、ベースの味わいには熟した果実、アーモンド、ヘーゼルナッツ、サフランのニュアンス。#5はチョーク質土壌由来のミネラル感と切れ味の良さがあり、#6には黄金糖、砂糖菓子、複雑味と旨味
 
第4フライト
#7:キュヴェ“ロゼ・フォー・アルバンヌ”シャンパーニュ・ロゼ
ぶどう品種:CH60% ピノ・ムニエ40%
ドザージュ:7~8g/L
ぶどう畑:ル・メニルのシャルドネとセニエ製法のピノ・ムニエをブレンド
硬質なシャルドネと見事に調和する「セニエ法のピノ・ムニエを発見」とのことでした。

ピエール・ペテルスはRMレコルタン・マニピュラン(ぶどう栽培から瓶詰まで自社で行う生産者)であり、ピノ・ムニエの畑は所有していません。なぜ造れるか・・・ピノ・ムニエの生産者とペテルスのシャルドネを物々交換しているからです。ロゼワインが好きではなかったロドルフさんですが、このピノ・ムニエと出会ったことで考えが変わったそうです。それはまさに愛娘アルバンヌちゃんの誕生を表すかのような出来事だったので、ロゼシャンパンの名をアルバンヌにしています。

シャンパーニュ地方のグランクリュのなかで、私はクラマンが一番好きです。ロドルフさんが表現していた色の区別も、大いに納得できます! クラマンは単一で造っても魅力的なシャンパンになりますよね。

最後に、ピエール・ペテルスは秀逸かつ値ごろ感のあるシャンパンメゾンですが、特に注目していただきたいのがマグナムサイズ! 冒頭の画像でロドルフさんが手にしているものです。私はシャンパンはマグナムサイズで味わうのが最高と思っていますが、このマグナムは特別、わけありのシャンパン! その理由は・・・

輸入元:中島董商店(電話:03-3405-4222)

シャンパンメゾンの『タルラン』を中心に土壌の違い、自根vs台木育ちの違いをチェック! [オープンカレッジ]

昭和女子大学オープンカレッジの今年初のシャンパン編講座で、過去になかった取り組みをしてみました。産経EXのワインのこころに書いた砂質土壌で育つ自根の希少シャンパン『ラ・ヴィ―ニュ・ダンタン』と、台木で育つ石灰質土壌とチョーク質土壌のシャンパンとの比較試飲です。講座生の皆さんにフィロキセラ禍以前のワインの味わいを体験していただく良いチャンスになりました。

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タルランのシャンパンは4アイテム用意しました

第1フライトはノン・ドザージュで3品種を使ったタイプ
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#1:タルラン ゼロ ブリュット・ナチュールNV
生産者:タルラン
産地:フランス・シャンパーニュ地方ウイィ村
品種:シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ すべて3分の1ずつ
ドザージュ:0g/L
デゴルジュマン:2011年1月
価格:5460円
■タルランが目指すシャンパン造りはノン・ドザージュ(ドザージュ糖分添加をしないタイプ)、ぶどうの素直な味わいをそのままシャンパンに表現することです。そのためには地中からのエキスを吸い上げたぶどうを優しくプレスして、きれいな果汁を取ることが重要になってきます。温度管理可能なステンレスタンクと、樽を使って一次発酵をさせた、その年のワインをベース(2006年)にして、そこに樽熟成のリザーヴワインを40~45%使い、ブレンド後、二次発酵させます。

#2:アヤラ ブリュット・ナチュールNV
生産者:アヤラ   
産地:フランス・シャンパーニュ地方アイ村
品種:ピノ・ノワール38%、シャルドネ35%、ピノ・ムニエ27%
ドザージュ:0g/L
価格:5250円
■ボランジェの傘下アヤラも切れの良い味わいのシャンパンを造っています。ベースワインは2008年で、ステンレスタンクでストックしているリザーヴワイン(2006年と2007年)を使っています。糖分添加は無ですが、1リットル中、2~3gの残糖があります。

2アイテムとも気泡は繊細、2008年をベースにしている#2のほうが淡いイエロー、若さを感じる色調です。タルランは口中で樽由来のリザーヴワインのコクがあり、逆にアヤラは口中ですっきりとした切れ味があり、ミネラル感豊か、微少な残糖感が全体をバランスよく引き立てています。

第2フライトはピノ・ムニエ100%とオマージュ・ワイン
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#3:タルラン ラ・ヴィーニュ・ドール2002
生産者:タルラン     土壌:スパルナシアン(粘土石灰質)
産地:フランス・シャンパーニュ地方ウイィ村
品種:ピノ・ムニエ100%
ドザージュ:4g/L
デゴルジュマン:2010年6月22日
価格:11025円
■タルランが位置するヴァレ・ド・ラ・マルヌ特有のスパルナシアン粘土石灰質土壌で育まれてきたピノ・ムニエから生まれたシャンパンで、ぶどう樹は51年の樹齢。ソフトでなめらかな口当たり、中盤以降の酸味の広がりと若干のビター感が魅力

#4:タルラン キュヴェ・ルイ1998
生産者:タルラン     土壌:チョーク質
産地:フランス・シャンパーニュ地方ウイィ村
品種:シャルドネ50%、ピノ・ノワール50%
ドザージュ:3g/L
デゴルジュマン:2009年3月
価格:7875円
■第一印象は心地よいロースト香、蜂蜜や黄金糖のニュアンス、すっきり感(酸の印象)がありながら、重厚さ(糖分とミネラルに由来)もあり、余韻も長い。ルイ・タルラン(1750ー1806)に対するオマージュのシャンパン、上質!

第3フライトは当日のハイライト、自根と台木の違いをチェック
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#5:ランスロ・ロワイエ ブリュット・ミレジメ2004
生産者:ランスロ・ロワイエ 土壌:石灰質
産地:フランス・シャンパーニュ地方クラマン村
品種:シャルドネ100%
ドザージュ:非公開
価格:7350円
■第一印象は石灰質土壌からくるミネラル感、香りはブリオッシュやヴァニラ、蜂蜜、皮革、アフターに軽いビター感。口あたりはなめらかで上質。私が感じているコート・デ・ブランのグランクリュ畑クラマンは、スリムな印象がありながら、芯が太いシャルドネのイメージなので個人的にも好きな味わい。

#6:タルラン ラ・ヴィーニュ・ダンタン2000
生産者:タルラン  土壌:砂質/franc de pied(自根)
産地:フランス・シャンパーニュ地方ウイィ村
品種:シャルドネ100%
ドザージュ:2g/L
デゴルジュマン:2010年3月1日
協賛:(株)八田
■3アイテムの中で一番濃い黄金色(発酵も熟成も樽使用)、ミネラルは泡に溶け込んでいる印象。人間に例えると・・・初対面ではソフトなイメージを与えるのですが、会話をしていくにつれ、内に秘めた経験を静かに語ってくれる人。女性なら肉感的な雰囲気を漂わせているものの、決してグラマーなタイプではない、そんな感じです。余韻にゆっくり広がるミネラルと酸が印象的でした。

#7:ド・スーザ キュヴェ・デ・コダリー ブラン・ド・ブラン グラン・クリュNV
生産者:ド・スーザ      土壌:チョーク質
産地:フランス・シャンパーニュ地方アヴィーズ村
品種:シャルドネ100%
ドザージュ:3.5g/L 
価格:13650円
■3アイテムの中で一番切れが良く、口に含んだ瞬間、チョーク質の特徴を感じます。魅力的なシャンパン! アヴィーズ村の南向きから南東向きの斜面で穫れたシャルドネは十分に熟し、ぶどう本来の旨みがあります。樹齢は50年以上、樽発酵、樽熟成ながら、樽のニュアンスを感じさせないのは、ぶどうのポテンシャルが相当高いのだと思います。リザーヴワインは50%(2004年50%+1995年~2003年50%)を使用

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この日のスペシャルとして考えていたのが、和食とのマリア―ジュ!
超新鮮なひらめを、目白『太古八』さんに用意していただきました。
薄口しょうゆ、わさびを使わず、そのまま食してみると、口のなかでほんわかと甘みが広がって

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供出シャンパンは全7アイテム、贅沢なテイスティングでした

「ひらめとシャンパン」のマリア―ジュで、講座生の一番人気は#2のアヤラと#7のド・スーザ。
ひらめに何もつけないで合わせた時の、この2アイテムは抜群でした。また、薄口しょうゆとわさびを使って食した場合、#7はわさびが甘く感じるくらいの絶妙なマリア―ジュになりました。チョーク質土壌を感じさせる凛とした切れ味がポイントだったと思います。

そして、とても興味深かったのが、ひらめと自根の『ラ・ヴィ―ニュ・ダンタン』との相性です。
ひらめと合わせると、試飲した時には現れてこなかった“線の太さ”を感じ、より複雑になって終盤を迎える味わいになります。今までのシャンパンとは違う“幅広さ”を感じました。この感じが、自根の特徴なのかと、判断しておりますが・・・マリア―ジュでは、薄口しょうゆとわさびをつけても、ダンタンのほうがインパクト大、ひらめが負けています。それをもとにして考えてみると、和の素材で合わせるなら、特上の塩やだし汁を使った料理のほうが楽しめそうです。むしろフレンチで、クリームソースやバター系の料理と合わせてみたいと感じました。『バベットの晩餐会』に登場する「ウズラのパイ包み」なども合わせたい一皿です!

~ブノワさんからのお返事~


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2012年冬期の課外講座は日本ワインにフォーカスします! [オープンカレッジ]

10日ほど日本を留守にしておりました。ブログ更新がものすご~く滞ってしまいました┌(_ _)┐
まずは課外講座に関するご案内からスタートさせていただきます。
http://www.non-solo-vino.net/topics35.html
今回は日本ワインに特化したワインバー@JIP新宿御苑店で開催いたします。
一ノ瀬社長との話し合いで、奇しくも開催日が3月11日(日)になりました。
3・11以降、私も凹みましたが、いろいろな思いを胸に中味の濃い会にしたいと思っています。
ワインラバーさんとの出会いを期して・・・スケジュール調整、何卒宜しくお願いいたします。

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2011年11月の岩の原葡萄園訪問時、マスカット・ベーリーAの綺麗な房が残っていて感激でした!

先週と今週の2回連続で、産経EXに新潟県にある岩の原葡萄園と創始者の川上善兵衛さんについて書いています。ご笑覧いただけましたら幸いです。
前編:http://sankei.jp.msn.com/life/news/111208/trd11120814160013-n1.htm
後編:http://sankei.jp.msn.com/life/news/111215/trd11121514410015-n1.htm

[ぴかぴか(新しい)]岩の原ワイン善兵衛2009がデビューしました!
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川上善兵衛さんが興した岩の原葡萄園から届いた最新ワイン情報です。
製品名:岩の原ワイン 善兵衛2009
ぶどう品種:マスカット・ベーリーA83%、ブラック・クイーン17%
樽熟成期間:11ヶ月(新樽使用)
樽材:トロンセ
Alc:12%
飲む頃:2016年~2025年
総生産本数:3000本
価格:7350円(内税)
坂田敏社長からのメッセージは「できれば10年はセラーで静かに寝かせてあげてください」とのことです!

剣持マスターソムリエとのコラボ ~カタルーニャ料理とワインのマリアージュ@BIKINI~ [オープンカレッジ]

2006年12月『エリゼ宮の食卓の再現ディナー』@恵比寿ジョエル・ロブション&2009年9月『オーストリア140周年友好記念イヴェント』@浅草一直で、トップソムリエならではの見事なおもてなし術を見せてくださった剣持春夫マスターソムリエ! その剣持氏と初めてセミナー付きのコラボレーションを行いました。『カタルーニャ料理とワインのマリアージュ』です。剣持ソムリエ熟考の組み合わせはとてもniceでした! ご家庭でも是非是非、応用なさってくださ~い!

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詳細なレジュメ、これは永久保存版
表紙にはカラーのスペイン地図、裏面には立体的なスペインの地図が添付してあります!

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開始30分前の会場BIKINI@赤坂サカスで準備中の江副シェフと久保さん

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参加者は31名、カウンター席、長テーブル席、奥のテーブル席をフル活用させていただきました!

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料理:ピンチョス&タパス 6種盛り合わせ
ワイン(CAVA)は#1「コードニュのクラシコ・ブリュット」、爽やかな口当たり、会の幕開けにぴったり。ピンチョスは串にさしたお料理、タパスは小皿料理のこと。右端にあるイベリコハムとチーズのホットサンドがカタルーニャ語でBIKINIです。

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ワインはDOラ・マンチャの#2「エルカビオ・ブランコ2010」
ぶどう品種はアイレン90%、ソーヴィニヨン・ブラン10%
 
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ワインはDOリアス・バイシャスの#3「ナモリオ2010」
剣持ソムリエいわく「ナモリオはfall in love(恋に落ちる)の意味を持つ」とか。
そのわけはアルバリーニョの素晴らしい味わいに由来しているそうです

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左から
A:黒胡椒の効いたマグロのたたき、アリオリとサルピチャーダソース
B:イベリコ豚のテリーヌ ドライフルーツ・ブランデーの香り
C:ニンニクでマリネした魚介と茸 “アヒュージョ”

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#2A#3B#4Cの組み合わせが基本ですが、白2本&赤1本を同時にお出しして各料理との相性をより自由に楽しんでいただきました。

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ワインはDOリオハの#4「ムガ・レセルバ2006」
使用ぶどう品種はテンプラニーリョ70%、ガルナッチャ20%、マスエロ&グラシアーノ各5%
ボデガス・ムガは国際品種は使わず(栽培もしない)、ステンレスタンクも使いません。樽はすべて自社製、年間200個の発酵槽、1400個の樽を生産しています。赤ワインはノン・フィルター、清澄作業には卵白を使用、卵は年間7万個。余談ですが、黄身はパン屋さんに売っているそうです。

Aのマグロのたたき、Bのイベリコ豚、ドライフルーツをムガと合わせると、旨味が広がり、渾然一体の相性。ムガの守備範囲の広さを実感しました。程よいタンニンが口中の脂分をきれいに洗い流してくれる心地良さあり。ここでは大振りのグラスを使いました。

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豚ばら肉のコンフィターダ(低温にして煮込むコンフィ) 野菜の煮込み、ジャガイモのピュレと
ワインはDOリオハの#5「マルケス・デ・リスカル ティント・レセルバ1964」

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伝統的なリオハスタイル、主要品種のテンプラニーリョは酸化酵素を持たないので、60年代でも若々しい色調。剣持ソムリエは「オールド・ヴィンテージなので、あまり大きなグラスを使わず、スワリングも控えめに!」とアドヴァイス。1964年のリスカルからはアプリコットやタバコのようなニュアンスを感じました。

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スパイシーなパエリア、ヴァレンシア風
フォン・ド・ボーと赤ワインとゴボウ(色付け)が隠し味、食感が良くてしっかりした味わいのパエリア
ワインはDOコステルス・デル・セグレの#6「タラルン2008」
タラルン2008は日本初上陸! 生産者のラウル・ボベさんはコステルス・デル・セグレを「背骨とBodyがしっかりしていて、酸があり、長熟でミネラル感豊かなワインが造れる場所」とおっしゃっていましたが、酸がきれいで、余韻が長いワインです。今回は輸入元ワイナリー和泉屋の新井社長から超特別価格で仕入れさせていただきました!

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ボベさんの来日時、「タラルン2008」に惹かれ、この会で供出したいと思っていたので私は大満足。会場の皆様からも「スペインのシラー」、高い評価でした!

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ナビゲーター役の剣持春夫マスターソムリエ(左)
特別ゲスト、ワイナリー和泉屋の新井治彦社長からのサプライズ!(右)
ラウル・ペレスの『ウルトレイア・サン・ジャック2009(DOビエルソ、メンシア100%)』の特別プレゼント。ワイナートの主筆をしていた田中克幸さんも絶賛したワインです。思いがけないプレゼントに当選者は大喜び!

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ワインはDOモンティーリャ・モリレスの酒精強化をしていないペドロ・ヒメネス(PX)100%のスティルワイン。Alcは17度、甘口タイプの#7「オールド・ポーター」
口中ではベタベタ感はなく、甘味の後ろに酸がおとなしく隠れている印象です

DOモンティーリャ・モリレスの解説、ご参考までに
>>>http://www.jp.winesfromspain.com/sw-map05c.html

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スペインのフレーバードワイン「サングリア」の炭酸ガス割り&スパイスで香り付けした2種のアイスクリーム

前半30分の講義のあと、食べて、飲んでのマリアージュ体験、あっという間の2時間半でした。
スペインらしい盛り上がりで会を無事に終わらせることができたのも、剣持春夫マスターソムリエやBIKINIの小川慶祐エリアマネージャー、江副大二郎シェフ、スタッフのサポートのおかげです。
ありがとうございました!
ご参加くださいました皆様にも感謝しております、ありがとうございました!!
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