ウチ飲みワインのすすめ@昭和女子大学オープンカレッジ [オープンカレッジ]
春期特別講座『ウチ飲みワインのすすめ』も無事に終了!
定員以上の皆さまに受講いただき、感謝にたえません、ありがとうございました!
今回は11アイテムのワインをご用意しましたが、食との相性で面白い実験をしました。
ラッキーにも、講座3日前に受講したサッポロビール主催『ベリンジャー・フードペアリングセミナー』が、有意義かつすぐに応用できる内容だったので、「ウチ飲みワインのすすめ」に参加してくださるワインラバーさんには是非とも体験していただこう! と思い、早速取り入れました。
まずは、内容充実のフードペアリングセミナーからお伝えしますね。
ナパの老舗ワイナリー『ベリンジャー』が開発したプログラム
当日テーブルの上に用意されていたワインは5アイテムで、左から(1)ホワイト・ジンファンデル2010、(2)シャルドネ2010、(3)エステート・シャルドネ2010、(4)カベルネ・ソーヴィニヨン2009、(5)エステート・カベルネ・ソーヴィニヨン2009。ポリコップのなかには醤油と旨味水(味の素を水で溶かしたもの)、お皿の上にはリンゴ、木綿豆腐(わさび付)、シャケ、ステーキ、レモン、お塩
講師はべリンジャーワイナリーを傘下にもつトレジャリーワインエステーツ社の古本龍彦さん。長年ベリンジャーを担当なさっていたファインワインアンバサダーで、ワインと食事のペアリングの研究家として活躍中です。
ベリンジャーは1876年創業の老舗ワイナリー。禁酒法時代にもミサ用のワイン造っていたので、その歴史は136年に及びます。同社ではワインと料理の相性を研究し、『フード・ペアリング』という独自の理論を完成していますが、それは「ワインの味をできるだけそのままに保つワインと料理のおいしい組み合わせの探求」です。
ベリンジャーが開発した塩味・酸味・旨味・甘味の一覧表 (C)Jerry Confort
第1フライトは、上記5アイテムのワインを試飲し、続けてリンゴとレモンで相性をみていきます。レモンはどのワインをもマイルドにしてくれる優れもの。リンゴと(5)の相性は最悪、口のなかは渋み&苦みの大洪水!
第2フライトではテキーラを飲む要領で、手の甲にレモン汁を2~3滴たらし、そこに1つまみの塩を加え、タンニンの強い(5)と合わせると、あらら~大洪水だったはずの口中がさっぱり!
古本講師いわく「樽のタンニンが苦みを増大させるのですが、レモンと塩によって味わいが緩和されます」と。それからリンゴにレモン汁を振り、塩をつけて食べるとワインもリンゴも美味に。
“ワインの味も変化せず、リンゴも美味しくなる”、これがべリンjジャーが考えるペアリングの基本理論です。
第3フライトでは樽の要素のある(3)と旨味水(だしの味、素材が持っている味)を合わせて。旨味水を口に含み、ワインを飲んでみると微量のアンバランス感はあるものの、嫌な印象ではありません。古本講師が「この組み合わせを許せると思う人?」の問いに挙手したのは私を含め32名、「許せない」と答えた人は22名。古本講師の「器の狭さを試しました」との冗談めかしのひとことがありましたが、味覚に対する反応はまさに様々です。私には許せる範囲ですけどね、この組み合わせは。
第4フライトは(3)とシャケを合わせて。最初はそのまま、後半はレモンと塩で。生臭さvsすっきり!
第5フライトは(5)とステーキ。最初はそのまま、後半はレモンと塩。物足りなさvs旨さ、歴然です!
1時間の短いセミナーでしたが、貴重な体験になりました。古本講師、ありがとうございました。
また(C)の表の許可もありがとうございました!
フードペアリングの活用
ここから、『ウチ飲みワインのすすめ」の報告に入ります。
私が用意したのは、リンゴ(信濃ゴールド)とレモンと塩、バターたっぷりのパン
フードペアリングのセミナー同様、ワインを試飲した後、リンゴ、レモンの順で相性をチェックしてみました。
第1フライト
(1)エミリアーナ・ヴィンヤーズ ナチューラ SB 2011
生産者:エミリアーナ・ヴィンヤーズ(チリ/ヴァレ・カサブランカ)
ぶどう品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
チリの銘醸地カサブランカヴァレーのSB、ウチ飲みに嬉しい1300円
(2)ヒューゲル リースリング2010
生産者:ヒューゲル(フランス/アルザス)
ぶどう品種:リースリング100%
和食に合わせて楽しめるリースリング、ヒューゲルはこのワインにDIAMコルク(ブショネ処理を施した)を採用中
(3)ルフレーヴ ムルソー2009
生産者:オリヴィエ・ルフレーヴ(フランス/ブルゴーニュ)
ぶどう品種:シャルドネ100%
デイリーワインではありませんが、シャルドネ種の個性、樽を使ったシャルドネを知るには良い教材
リンゴと合わせると(1)はアフターに若干ビターな味わいが出て、(2)は果実味とよくマッチし、(3)は控えめながら落ち着いた印象。レモンだと3つのワインとも角が取れてマイルドな味わいに。酸の効果に納得!
第2フライト
(4)バロン・ド・ブルバン ブリュット・ロゼ
生産者:バロン・ド・ブルバン(フランス/プロヴァンス)
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
SOPEXA主催のプロヴァンスワイン試飲会で見つけたロゼ、1350円という価格に惹かれます
(5)ポール・ブランク クレマン・ダルザス2008
生産者:ポール・ブランク(フランス/アルザス)
ぶどう品種:ピノ・ノワール、ピノ・ブラン、ピノ・グリ
和食に合わせて楽しめるノン・ドゼのロゼスパークリング、2900円ですが、青木おすすめの1本!
リンゴと合わせると、(4)は果皮由来の渋みを感じ、予想外の力強さを実感。(5)は果実味と酸味が良く合い、最後に微量の軽いビター感。ともにリンゴと張り合う感じがあって面白かったです。2本ともレモンとの相性良し
第3フライト
(6)今様ロゼ・スパークリング 協賛:マンズワイン(2800円)
生産者:マンズワイン(日本・山梨勝沼)
ぶどう品種:甲州83%、山ぶどう17%
数量限定:1万本 瓶詰:2月29日
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120315/trd12031514090009-n1.htm
『今様ロゼ・スパークリング』の発表会の折に出ていた「菜の花(からし風味)のサーモンロール」が、絶妙なバランスでとても美味でした。リンゴとの実験では、リンゴをかじってワインを口にすると、ほんの少しですが、甲州由来のビターな印象があり、「甲州を使っている」ということがよくわかりました。
リンゴでチェック、ロゼのタンニンの違い
(7)ロゼ・デュン・ニュイ2010
生産者:ドメーヌ・デュ・デフォン(フランス/プロヴァス)
ぶどう品種:グルナッシュ45%、サンソー55%
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120301/trd12030118040014-n1.htm
(8)シャトー・デ・サラン2010
生産者:ブルーノ・パイヤール(フランス/プロヴァンス)
ぶどう品種:サンソー50%、グルナッシュ35%、シラー10%、ムールヴェードル5%
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120308/trd12030815090018-n1.htm
(6)から(8)は産経EXの【ワインのこころ】でロゼ特集をしたときに取り上げたワインです。
リンゴと合わせた時に明確に感じたのが「タンニン」の量の違いで、(7)はとても軽く爽やか、(8)は(7)より厚みあり。「今後はこの方法でタンニンの微量な違いが感知できる」と思い嬉しくなりました。
夏の季節テラスで楽しむなら(7)、しっかりした肉系料理で楽しむなら(8)と合わせて。ロゼを軽く見ている方には(8)必飲です!
第4フライト
(9)ジョセフ・ドルーアン ブルゴーニュ2007
生産者:メゾン・ジョセフ・ドルーアン
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
ピノ・ノワールの醍醐味をマグナムサイズで楽しんでいただきました。
パーティー等で使って欲しいです、大容量!
(10)ムートンカデ・ルージュ2009 80周年記念ラベル
ぶどう品種:メルロ65%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%、カベルネ・フラン15%
シャトー・ムートン・ロートシルトの末っ子(カデ)。1930年当時のラベルを復刻した特別ラベル
高貴な血筋にもかかわらず、価格は1890円。レモン&塩の効果が楽しめるワインです!!
(11)シャトーヌフ・デュ・パプ ルージュ ラ・ベルナルディン2007
生産者:ミシェル・シャプティエ
ぶどう品種:グルナッシュ、シラー
リンゴをかじった後、タンニンの多い赤ワインを飲んでいただくと、参加者から「まずい~」の声が。そこで、古本講師直伝の手法を。手の甲にレモンを2~3滴たらし、塩をひとつまみ。それを口に含んでから赤ワインを再度試していただくと・・・講座生全員表情が一変! 先ほど感じた不快感が一掃されました。レモンや塩がタンニンを穏やか、マイルドにしてくれました。
ご家庭でワインと食を合わせて楽しまれる時には、冒頭のあるジェリー・コンフォートさんの一覧表をご活用ください。明瞭な答えを得ることができます。
4月24日出荷開始のシャプティエ『ペイ・ドック・ロゼ』
1000円という価格はウチ飲みワインに絶対です、ましてやシャプティエ、おすすめです!
http://www.nlwine.com/news/20120412.php
ソネ・ブロでいつもお世話になっているhakoさんが2年ぶりに受講してくださいました。
講座リポートも早々にアップ、感謝しております!
http://t-hako.blog.so-net.ne.jp/2012-04-15
タグ:ウチ飲みワインのすすめ
2012-04-18 23:23
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このレポートを、お待ちしておりました。
熟読させていただきます。
素晴らしい講座を、ありがとうございました。
by hako (2012-04-19 00:18)
hakoさん、早々のチェック、ありがとうございます!
先に受けた「フードペアリングセミナー」効果と相まって、
中身の濃い講座にすることができました。
全体の構成を熟考しているうちにアップが遅れ気味に~sorryです。
新登場のシャプティエ・ペイ・ドック・ロゼもウチ飲みには最適ですよ!
by fumiko (2012-04-19 00:48)
味覚って微妙なものですね〜。基本が分かっていないので拝読して一々目からウロコです。ドレスデンで久しぶりに美味しいリースリングのザクセンワインを飲みました。
by gillman (2012-04-19 23:45)