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【DO ルエダワイン】レストランプロモーション2019を前に〝SANT PAU〟で料理とワインのペアリング [ワイン]

注目 DOルエダと白ぶどう ベルデホ

ルエダワイン原産地呼称統制委員会は、原産地呼称統制(DO)に基付いたDOルエダワインの認知および消費を伸ばすことを目的に、今月、首都圏の10店舗(末尾に掲載)でレストランプロモーション2019を開催。実施店ではルエダのワインを2アイテム以上オンリスト、ワインに合わせたオリジナルメニューを提供しています。

スペインNo.1の白ワイン産地
DOルエダは1980年1月にカスティーリャ・イ・レオン州で初めて原産地認識されました。在来種の白ぶどうVerdejoベルデホの認知度を高め、保護することが目的でした。ベルデホは、verde(緑)の意味を持つアロマティックな品種。ルエダの国内市場で占める割合は40%なので、スペインで最も売れている白ワインはDOルエダということになります。

ワインの産地は700~800m に及ぶ高地に位置しており、大陸性気候下にあります。寒くて長い冬と暑くて乾燥した過酷な状況ですが、ベルデホはそれに適合した品種と言えます。日中と夜間の寒暖差が大きいことは、ぶどうの糖度と酸味のバランスを保つための重要な要素であり、加えて、小石や砂の多い土壌も大事なポイントになっています。
2008年8月以降、赤ワインとロゼワインも生産しており、前者の生産量は極小ですが、テンプラニーリョから造られるロゼはベリー系の香り、柔らかな酸、爽やかな口当たりで近年人気上昇中。

SANT PAUの料理と合わせて

3種のタパス × マルケス・デ・リスカル ブランコ・ソーヴィニヨン2017
タコのブロチェッタ イベリコベジョータのボガディージョ バカラオのコロッケ
 

鮪のタルタル × ホセ・パリエンテ ベルデホ2016
山葵、空豆、鮪のカルド(魚醤)
「ベルデホの柑橘やハーブのニュアンスはオリーブオイルと良く合います」と菊池シェフソムリエ


鮪節で一番だしを取り、そこにスペイン産の魚醤(ぎょしょう)を加えたソースは、目からうろこの体験!


塩漬け真鱈の低温調理 × エルマリノ・リュリトン“クエスタ・デ・オロ” DOルエダ2015
浅利、地中海スープ、根三つ葉、レモンゼリー


仔羊のアサド × ボデガ・ベロンドラーデ ベロンドラーデ・イ・リュリトン2014
ホワイトアスパラガス、卵、パルメザンチーズ、イベリコベジョータの生ハム


山羊の牧草風 × デ ・アルベルト・ドラドN.V.
鬼胡椒、デーツ、蜂蜜
牧草地をイメージした一皿。視覚からはベルデホの持つ爽快感、香りと味わいからはシェリーを彷彿とさせるニュアンスが伝わってきたので、新たな一面、相性を探求する場になりました。


酸化熟成タイプのデ・アルベルト・ドラドN.V.
古くからこの地域で造られていた酒精強化ワイン


16Lのガラス瓶に12Lだけワインを入れ、陽の下に置いて酸化を促し、その後、樽に移してソレラシステムで瓶詰。
初体験! 
香りはフィノタイプのシェリー、味わうと最初と最後の印象はシェリーですが、中盤にライトなタッチ(柑橘系果実やハーブの要素を備えたベルデホならではキャラクター)が口中に。この感じがベルデホで造るドラドの特徴だと思いました。興味惹かれるワイン!



#1:マルケス・デ・リスカル ブランコ・ソーヴィニヨン2017
生産者は老舗ボデガ『リスカル』、ソーヴィニヨン・ブラン100%、6度でサービス。低温でマセラシオン、13~15度で発酵後、シュールリーで熟成。輸入元サッポロビール、参考小売価格2,000円(税抜)。柑橘系果実、アプリコット、ハーブ(フェンネル、ローズマリー)、ミネラル、南国果実の甘やかな香り。「横に広がる酸なので、料理とも合わせやすい」と菊池氏。脂分のある食材(鱈のコロッケ)を合わせると口中をきれいにしてくれる良き相棒

#2:ホセ・パリエンテ ベルデホ 2016
ベルデホ100%。8度でサービス。樹齢30年以上のぶどう樹。8~10度でマセラシオン、ステンレスタンクで低温発酵、シュールリーで熟成、輸入元グルメミートワールド、参考小売価格3,500円(税抜)。“緑”の意味をもつ品種らしく、フェンネルやグリーンアスパラの香り、後味にビター感。和食なら山葵や紫蘇との相性も良いとのこと。供出された一皿のベジタルな要素(空豆やわさび菜)が相性の良さを証明。鮪節と魚醤を使ったソースに旨みを感じた逸品

#3:エルマリノ・リュリトン“クエスタ・デ・オロ”DOルエダ 2015
ベルデホ100%、10度でサービス。12時間浸漬、フレンチオークの新樽で低温発酵、フレンチオーク(3分の1新樽)で12ヵ月樽熟成。輸入元白井松新薬、参考小売価格5,000円(税抜)、グレープフルーツ、干し草、ドライフルーツ、カモミール、「瓶熟成に由来するドライ感、味わいにもしっかりとしたストラクチャーが出始めています。ベルデホは野菜や山のイメージが強いのですが、このワインとあわせることで鱈の香りがうまく調和し、アサリとも合います」と菊池氏。果実だけでなくスパイスや樽の要素を感じるワインで、味わった最後に〝塩味〟も。その塩味がバカラオと重なると、味わいが濃くなる印象。

#4:ボデガ・ベロンドラーデ ベロンドラーデ・イ・リュリトン2014
ベルデホ100%、10度でサービス。樹齢30年のぶどう樹。発酵はフレンチオーク、その後、約10ヵ月熟成(シュールリー)、瓶内熟成6ヵ月。輸入元ミリオン商事、参考小売価格7,300円(税別)。洋梨、スイカズラの花、アプリコット、パイナップル、樽由来のナッツ、アーモンド。完熟させたベルデホを澱と接触させることでリッチさを表現。骨から取った肉汁を煮詰めたスープ、柔らかな肉質とジューシーさを備えた仔羊、手の込んだホワイトスアパラや生ハム、泡状にしたパルメザンチーズベースの付け合わせ等にも工夫が凝らされており、それらが味わいにも反映した“おいしい要素”が詰まった一皿!

#5:デ・アルベルト ドラド N.V.
ベルデホ100%、12度でサービス。平均樹齢56~85年のぶどう樹。生産本数1,000本。16Lのガラス瓶で春から夏までの6ヵ月間、陽に当てて酸化させ、樽に移し2年間のソレラシステム後,瓶詰。古典的なベルデホの製法。Alcは17~18%、輸入元いろはわいん、参考小売価格3,000円(税抜)、黄金色、シェリー似の香り、柑橘果実のコンポート、ドライフルーツ(乾燥した杏)、スパイス(シナモン)、ハーブ(干し草)等、複雑味あり。口中でも最初、中盤、最後と様々な香りと味わい。単体で食べると癖があるシェーブルを、蜂蜜のゼリーをブリッジ食材にして、双方をつないだおいしいマリアージュ。なめらかなタッチのほうれん草のピューレもベルデホの持つ野菜やハーブのニュアンスと相乗◎


造り手次第で表情を変えるベルデホの魅力!


デザートは苺と桜のポストレ


彩り、味わい様々なプティフール


赤木渉料理長とナビゲーターを務めた菊池貴行マネージャー兼シェフソムリエ
菊池氏は4月17日(水)~19日(金)の期間東京ビッグサイトで開催される『ワイン&グルメ』で『DOルエダ ~秘宝が知られてしまう、その前に~』と題した業界向けセミナーを行う予定です。詳しくはコチラから!


『SANT PAU』が新天地で新たなスタート

私が初めて訪問したのはオープンした2004年


日本橋時代の懐かしいエントランス

[NEW]サンパウ最新情報
15周年を機に3月28日、平河町に移転しました!
住所:〒102-0093 東京都千代田区平河町2-16-15 ザ・キタノホテル東京2階
電話:03-3511-2881
詳細はコチラ


[イベント]キャンペーン参加店舗
4月5日〜19日
Bikini 東京都港区赤坂5-3-1 赤坂サカス赤坂Bizタワー 1F 03-5114-8500 
Bikini TAPA 東京都渋谷区道玄坂1-12-5 渋谷マークシティレストランアベニュー4F 
03-5784-5500
Bikini PICAR 東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町2F 03-6202-3600
Bikini MEDI 東京都豊島区西池袋1-1-25 レストラン街スパイス14F 03-5956-1800
Bikini SIS 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズウェストウォーク5F 03-5770-5230

4月5日〜30日
バルデエスパーニャ ペロ 東京都中央区銀座6-3-12 03-5537-6091
バルデエスパーニャ ムイ 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビルディングTOKIA2F
03-5224-6161

4月8日〜30日
バルデエスパーニャ ムイ 愛知県名古屋市中村区名駅4-7-1ミッドランドスクエア4F 
052-527-8821

4月5日〜30日
ミガス ミガス 埼玉県越谷市レイクタウン4-2-2 kaze3F 048-940-1663

4月5日〜19日
サルイアモール 東京都渋谷区代官山町12-19 第3横芝ビルB1 03-5428-6488

■プロモーションに関する問い合わせ先は
DOルエダ レストランプロモーション事務局 加藤勝也 090-1607-1281

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YouTube配信! 今夜21時30分から『世界最優秀ソムリエコンクールベルギー大会』決勝 [ワイン]

【速報】コンクール結果

優勝はドイツのMarc Almert選手(27歳)、おめでとうございます!
2位はデンマークのNina Højgaard Jensen選手(26歳)
3位はラトビアのRaimonds Tomsons選手(38歳)


オーストリア・ウィーン大会(1998年)の時の世界最優秀ソムリエ、ドイツのマルクス・デル・モネゴMW(左)から祝福を受けて

森覚選手と岩田渉選手は決勝には進出できませんでしたが、果敢な挑戦、お疲れ様でした!
(一社)日本ソムリエ協会からのプレスリリースによると、岩田選手11位、森選手17位とのこと。
(追記:2019年3月16日&18日)


ベルギーで栄冠を手にするのは
ソムリエの技と知識を競うソムリエ界最大のイベント!
第16回『A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール』がベルギーのアントワープで現在進行中です。同大会は3年に1度開催されており、16回目となる今回は世界63ヶ国から66名(63名&3大陸大会の優勝者3名)が出場。日本からは森覚選手(日本代表)と岩田渉選手(アジア・アセアニア大会優勝者)が3月11日&12日準々決勝に挑戦、準決勝に駒を進めました!

準決勝進出の19名(敬称略、国名アルファベット順)

画像協力:(一社)日本ソムリエ協会広報

■Martin Bruno (Argentina)
■Loïc Avril (Australia)
■Antoine Lehebel (Belgium)
■Pier-Alexis Soulière (Canada)
■Kam Fung Reeze Choi (China)
■Nina Hjgaard Jensen (Denmark/女性)
■David Biraud (France)
■Marc Almert (Germany)
■Julie Dupouy-Young (Ireland/女性)
Satoru Mori (Japan)
Wataru Iwata (Japan)
■Raimonds Tomsons (Latvia)
■Martynas Pravilonis (Lithuania)
■Andrea Martinisi (New Zealand)
■Piotr Pietras (Poland)
■Julia Scavo (Romania/女性)
■Aleksandr Rassadkin (Russia)
■Vuk Vuletic (Serbia)
■Fredrik Lindfors (Sweden)


気になる欧州勢

The Best Sommelier of Europe Vienna 2017で活躍した選手
(左から)3位のビロー選手(フランス)、2位のピエトラス選手(ポーランド)、3位のスカヴォ選手(ルーマニア)、1位のトムソン選手(ラトビア)

2年前にウィーンで開催された『ヨーロッパ最優秀ソムリエコンクール』の決勝戦を見るチャンスがありました。凄い激戦だったのですが、今回勝ち進んでいる19名のなかに、ウィーンで実力を示した4選手が全員揃っています。

世界チャンピオンになったソムリエには、アルゼンチン大会で優勝したジョン・アルヴィッド・ローゼングレン氏(スウェーデン)、今年1月惜しまれつつ世を去ったジェラール・バッセ氏(英国)、東京大会の覇者パオロ・バッセ氏(スイス)等がいらっしゃいますが、皆さんヨーロッパ最優秀ソムリエコンクールで優勝しており、欧州代表になることは、世界チャンピオンへの登竜門にもなっています。

2017年欧州で優勝したのはラトビアのライモンズ・トムソン選手でした。私にとって印象的だったのはブラインドテイスティングの正確さ、所作のきれいさ、そして耳に残る心地よい声でした!
今朝、ベルギーに同行中の石田博ソムリエ協会副会長のFBに投稿されていた試合の動画を観ました。準決勝に出ていたブラインドの赤ワイン1種を豪州バロッサのCS/シラー。ブラインドワイン3種については、ポルトガルのトニーポート、ベルギーのアベイビール、ポルトガルのマデイラと答えていましたが、日本の岩田選手はWines of Portugal japanese Sommelier of the Yearで見事な洞察力を発揮していたソムリエであり、全日本最優秀ソムリエコンクールでは「よなよなエールビール」まで指摘していたので、おふたりのコメントは重なっているかも・・・な~んて勝手に想像していました。

3 人の女性選手、東京大会やアルゼンチン大会でも健闘しているジュリー・デユプイさん(アイルランド)、欧州では2位だったジュリア・スカヴォさん(ルーマニア)、ジェンセンさん(デンマーク)の躍進にも期待です!

ダヴィッド・ビロー氏(フランス)は欧州大会では最初の課題で、清酒と焼酎を間違えてしまい、いつもの冴えがなかったのですが、ベルギー大会ではリベンジなさるはず。アルゼンチン大会決勝でのローゼングレン氏との丁々発止の姿、再現なるかです。


壮行会での森覚選手と岩田渉選手

石田副会長の動画にあった森選手と岩田選手のサービス(6分)は、森氏はデキャンター前にブショネチェックがなかったような・・・岩田氏は確認用グラスにワインを少量注ぎ、香りを利いてからデキャンタ―に入れてリンスしていました。
また、ベルギーでジョージアワインをどのようにプロモーションするかとの課題(5分)には、おふたりとも歴史、クヴェヴリ、世界遺産、料理、エデュケーション等に無難に言及。森選手には後半笑顔もありました。
余談ですが、今日の午後は世界最古のワイン ジョージアワイン展の記者会見&内覧会があり、ジョージアワインはまさに世界から注目されているホットな存在!!

[イベント]3月15日(金)日本時間21時30分からYouTubeでライブ配信されます。
https://www.youtube.com/watch?v=kOkzefqPcN0&feature=youtu.be

制限時間内で、最高のパフォーマンスを見せてくれるのはどの選手なのか
3年に1度の祭典、格闘技のような勝負の世界を垣間見ていただけましたら幸いです!
今までの流れか考えて、私は今夜の決勝戦は本来の「3名」ではなく、点数接戦で「4名」出場になるような気がしています。日本勢にチャンスがあるかも知れません。
森覚選手と岩田渉選手への応援、よろしくお願いいたします!!

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復興支援のファインズチャリティ試飲会、継続は力なり! [ワイン]

第9回ファインズチャリテイ試飲会


登壇メンバー

(左から)
メゾン&ドメーヌ アンリオのジル ド ラルズィエール社長
ドメーヌ アンヌ・フランソワーズ グロのフランソワパラン先代当主
同上マティアス パラン現当主
クルティエのティモテ シャヴァヌ氏
ファインズの中西卓也代表取締役社長
ソルベニ3-4-3のフィリップ トルシエ当主
(前列)CIVIC FORCEの根木佳織事務局長
ジッラルディのジャコリーノ ジッラルディ当主(兼チェレットCEO)
ジッラルディ&チェレット アンバサダーの林 茂氏
ボデガス プロトスのジョアン カレラス アジア太平洋・中東ディレクター
同上マリレナ ボニーラ ワインメーカー
ハイド ド ヴィレーヌ のジェームス アイアー ゼネラルマネジャー

2011年3月11日に発生した東日本大震災の直後、(株)ファインズが輸入しているワイン生産者たちから、「日本のために協力したい」との申し出があり、スタートしたこのチャリティ試飲会も9回目を迎えました。

会場内の様子をご紹介
シャンパーニュ アンリオ

チャリティ試飲会への貢献度大のジルドラルズィエール社長


『アンシャンテルール』に代わって登場したプレスティージ キュヴェ『キュヴェ エメラ』

初参加のソルベニ 3-4-3

ボルドーのサン・テミリオンにある『ソルベニ』のオーナーは元サッカー日本代表監督フィリップ・トルシエ氏


初ヴィンテージは2014年(完売)、最新ヴィンテージは2016年、評価も高いです!

春を楽しむロゼ



ボトルもガラス栓(ヴィノロック)もスタイリッシュだったペイドックのエドニムズロゼ(ジェラール・ベルトラン)

ブルゴーニュとカリフォルニアの融合

イグナシアピノ・ノワールの存在、気になります!

スペインから初参加ボデガス プロトス

ワインメーカーはマレリナ・ボニーラ女史、『プロトス ベルデホ バリカ』の樽使い、好きです!

高評価ワイン

アルゼンチンを代表するワイナリー『カテナ』のマルベック

ドメーヌ・アンヌ・フランソワーズ・グロ

A.F.グロの看板ワイン、生産量は約3,000本!

ロック氏を偲んで

昨年11月、56歳で他界したアンリ・フレデリック・ロック氏
ドメーヌ・プリューレ・ロックのニュイ・サン・ジョルジュの試飲コーナー

第1回のチャリティ試飲会に駆けつけてくださったロック氏、懐かしい画像になってしまいました。
https://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/2011-07-10

ブルゴーニュ アペラシオン比較

ブシャールP&Fの2016年ヴィンテージで村ごとの味わいを探究


ル・コルトン2016、これも気になったアイテム

有料試飲はボルドーグランヴァンの水平・垂直試飲

水平試飲は3シャトーの2014年ヴィンテージ

今回初の試みブラインドテイスティング

多くのワインラバーが挑戦していました!


300名の入場料、有料試飲代、ブースでの募金等は公益社団法人Civic Forceに全額寄付され、復興支援のために活用されます。
今年は総額2,904,875円、過去最高額になりました。
ご参加&ご協力くださったワインラバーの皆さまに心から御礼申し上げます。
ありがとうございました!!
10回目となる来年も引き続き、よろしくお願いいたします。

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コンビニ・ワイン&コンビニ・グルメ 私的後日譚 [ワイン]

コンビニのスパークリングワイン

ワインに合うコンビニ・グルメの取材に絡んで、20種類あまりを試飲しました。
すべてが終わって・・・一夜明けて、味わい、再チェック!

セブンイレブンのヨセミテ・ロード スパークリング(店頭価格797円/720ml)
ローソンのカーサ・スベルカソー スパークリング ドゥミ・セック(店頭価格980円/750ml)
ファミリーマートのスパークリングワイン マ・ファミーユ(店頭価格798円/720ml)

大きなブレもなく、気泡も元気だったのが、カーサ・スベルカソー スパークリング ドゥミ・セック
生産者はチリのコンチャ・イ・トロ
世界の銘醸ワインに拮抗するアイテムから低価格ワインまで、酒質に安定感あり
ドゥミ・セックの程よい甘さは嫌味がなく、さわやかな柑橘系果実が続きます。

ライムと合せて

マ・ファミーユは輸入ワイン・輸入ぶどう果汁を使ったワインでメルシャン藤沢工場で生産しています。色調はとても淡く、香りは白い花、青リンゴ、ライム。カットしたライムをかじってからワインを試すと、双方の酸が同化。和風柑橘(柚子やスダチ)も相乗するイメージ


お家でお料理を作るなら、私はセビーチェをお薦めします!
これはサーモンを活用していますが、タコも良いですよ。作る時はライムをたっぷり使って!

赤ワインのベスト3


ファミーゴ カベルネ・ソーヴィニヨン2017(店頭価格645円/750ml)
サッチェンテ キャンティDOCG2016(店頭価格980円/750ml)
カッシェロ・デル・ディアブロ レッド・ブレンド(店頭価格1,490円/720ml)

焼肉を甘口のタレで試して、真っ先に包容力を示してくれたのはファミーゴでした、価格的にも満足。キャンティはバランスが良く、レッド・ブレンドは一番酸やタンニンのニュアンスがあり、丁寧な造りを感じます。

いちごサンド × 3月5日発売のシードル


メルシャンが3月5日に発売するおいしい酸化防止剤無添加ワイン シードルをテイスティングして、「合せたい!」と思ったのが、セブンイレブンのいちごサンドでした。
コンビニをよく利用している友人から「食べる価値あり」と言われていたサンドで、味わいはわかっていたので、予想通りのナイスマリアージュになりました。

私は映画『プリティ・ウーマン』の“いちごとシャンパン”のシーンには疑問を感じています。双方の酸がバッティングして苦みが出てくるからです。そこで仲介役として“生クリーム”を使うと、苦みもなく、スムースに楽しめます。英国のオックスフォード大学の創立記念の朝食会に出てくる“シャンパンとストロベリークリーム”の組み合わせはその好例と言えます。

セブンイレブンのいちごサンドはいちごのカットもホントきれい、シードルが発売されたら是非!

おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル
アルコール度数:5%、容量:500ml、価格:オープン(参考小売価格520円+税)

コンビニ・ワイン&コンビニ・グルメのリポートがアップされましたらご報告いたします。
引き続き、宜しくお願いします!

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日欧EPAに絡む一考察 ~スパークリングワインを中心にして~ [ワイン]

2月1日午前0時から日欧EPA発効

昨年7月、安倍首相が欧州連合(EU)のトゥスク大統領とユンケル欧州委員長と首相官邸で署名したEPA(経済連携協定)は、同12月に欧州議会でも承認されたので、2019年2月1日から発効。この時点で日本の輸出酒類全品目とEUからの輸入ワインの関税が即時撤廃になります。
開始の時期は輸入元によって異なり、サントリーワインインターナショナルは2月1日の出荷分から、サッポロビール、メルシャン、三国ワイン、アサヒビール、日本リカーは3月1日の出荷分から適用するとのこと。

昨年、サッポロビールが20歳以上の男女約1.3万人に日欧EPA発効と普段のワイン飲用に関するアンケート調査を実施しました。とても興味深い内容だったので、一部引用させていただきます。


「どの価格帯の欧州ワインを購入・飲用したいか?」との問いに対して、800~1,000円未満が28%、1,000~1,400円未満が27%で、全体の55%が1,000円前後の価格帯に関心を寄せていました(複数回答)


「日欧EPA発効を機に、過去の購入・飲用よりも増やしたいアイテムは?」との質問には、スパークリング(シャンパーニュ含)が46%、ロゼワインが15%という結果(複数回答)でした。

1,000円代のワインに注目
関税撤廃と言っても、輸入元は直近数年にわたる現地蔵出し価格、輸送コスト、資材コストの高騰による原価高の吸収分を考慮し、総合的に勘案して決定しています。ゆえに下げ幅は一律ではなく、欧州ワインのすべての価格を引き下げるものではありません。

ちなみに、日欧EPAのスティルワイン(非発泡)の関税率は価格の15%あるいは1㍑換算で125円(750mlだと93.75円)になります。また、スパークリングは1㍑換算で182円(750mlだと136.5円)です。
ただ、シャンパーニュや高級ワイン(ジョセフ・ドルーアン、ルイ・ジャド、M.シャプティエは注目)は、前述のように、蔵出し価格等の上昇率が、関税撤廃分を上回るので、恩恵はほとんどなさそうです。

該当するスパークリングワイン
今回以下の輸入元様の要のスパークリングワインの価格(税抜)、下げ幅を伺ってみました。

サントリーワインインターナショナル
実施日:2月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の1~11%程度。金額で20~140円
対象商品:スティルワイン、スパークリングワイン22ブランドで適用


スペイン/フレシネ コルドン ネグロ 1,790円→1,680円
フランス/デュック パリ ブリュット 1,110円→1,000円
イタリア/ヴィッラサンディ ブラン・ド・ブラン ブリュット 1,770円→1,640円
イタリア/タヴェルネッロ スプマンテ ビアンコ 1,100円→980円
ポルトガル/マテウスロゼ 1,000円→950円
ドイツ(スティルワイン)/リープフラウミルヒ<マドンナ> 1,310円→1,230円


サッポロビール
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の2~17%
対象商品:フランス、スペイン、イタリア等の一部商品74品目
フランス(スティルワイン)/ラブレ・ロワ ブルゴーニュPN 2,450円→2,350円
フランス(スティルワイン)/ヴィナデイス ラ・キュベ・ミティーク1,800円→1,650円
スペイン(スティルワイン)/マルケス・デ・リスカル リスカル・テンプラニーリョ 1,350円→1,300円
イタリア/キアリ ランブルスコ ロッソ&ビアンコ 900円→800円


フランス/ヴィナデイス ラ・キュベ・ミティーク スパークリング・ブリュット2,000円→1,850円


メルシャン
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の1~20%
対象商品:フランス、スペイン、イタリア等76品目
フランス(スティルワイン)/ドメーヌ・カズ カノン・デュ・マレシャル 1,720円→1,640円 
スペイン(スティルワイン)/ボデガス・フォンタナ メスタ オーガニック 970円→900円 
スペイン/コドーニュ ラ・ロスカ ブリュット 1,040円→930円 
スペイン/コドーニュ バルセロナ1872  1,750円→1,660円 
  

コドーニュの下げ幅3~6%

EPA関連で新製品のスパークリングとロゼが登場します。

2月19日(火)全国発売 デラピエ・ネグラ・ブリュット890円


2月26日(火)全国発売
メスタ テンプラニーリョ ロゼ オーガニック 970円→3月1日から900円


三国ワイン
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:スティルワイン50~100円、スパークリング80~200円、価格改定幅は平均6%
対象商品:フランス、スペイン、イタリアのスティルワイン40品目、スパークリングワイン9品目で計49品目。主要ブランドはジョセフ・ドルーアン、アラン・ブリュモン、ポール・ジャブレ・エネ、クネ、ロジャーグラート
フランス(スティルワイン)/ジョセフ・ドルーアン ラフォーレ ブルゴーニュ CH オープン価格(希望小売価格2,300円→2,200円)
フランス(スティルワイン)/ジョセフ・ドルーアン ラフォーレ ブルゴーニュ PN オープン価格(希望小売価格2,300円→2,200円)
フランス(スティルワイン)/アラン・ブリュモン ガスコーニュ ロゼ 1,400円→1,300円
スペイン(スティルワイン)/クネ ロサード 1,400円→1,300円



スペイン/ロジャーグラート カバ ロゼ・ブリュット2,200円→2,100円
スペイン/ロジャーグラート カバ コーラル ロゼ・ブリュット2,200円→2,100円

アサヒビール
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:平均10%、最大で17%
対象商品:フランス、イタリア等40品目
主要ブランドは仏のジネステ、レミー・パニエ、伊のガンチア、ゾーニン、ポルトガルのアヴェレーダ


イタリア ガンチア・アスティ・スプマンテ 1,830円→1,640円

日本リカー
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の4~14%
対象商品:フランス、イタリア、スペインの一部商品22品目
フランス(スティルワイン)/ルイ・ジャド コトー・ブルギニョン ルージュ&ブラン&ロゼ 2,500円→2,200円
フランス(スティルワイン)/M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ルージュ ベルルーシュ&ブラン ベルルーシュ 1,800円→1,700円
スペイン(スティルワイン)/ボデガ・イニエスタ ミヌートス116 ティント 1,300円→1,200円


イタリア/ガヴィット ロスカート プロセッコ エクストラ・ドライ 1,800円→1,700円

まとめとして
関税撤廃の恩恵は1,000円代の価格帯のワインに反映しています。
スパークリングワインは食中酒として使い勝手が良いので参考にして頂けると嬉しいです!

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ルイ・ジャドの2018年プリムール(新酒)をシノワ渋谷店のメイン料理に合せて [ワイン]

全開! ルイ・ジャドのプリムール
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尊敬する松本信彦エノログがいらっしゃるマンズワイン小諸ワイナリーを訪問した参加メンバーからのリクエストを受けて、11月末に全員集合!
シノワ渋谷店にルイ・ジャドの新酒2種を持ち込ませていただき、マリアージュ体験をしてきました。
ルイ・ジャドではボージョレ・ヌーヴォーの製法マセラシオン・カルボニックに依らない伝統的な醸造方法による長期熟成可能な高品質のプリムールを生産しています。
#1:ボージョレ・ヴィラージュ・プリムール 3,500円(税別)
#2:同 ノン・フィルター 3,800円(税別)

2018年ヴィンテージ情報
3月は一時的に冷え込んだ時期があり、発芽は4月半ばで例年より遅いスタートになりました。春は温かったものの、しばしば雷雨の襲来も。当初遅い成長サイクルと収穫予想でしたが、その後、数週間を経て、5月末に最初の開花が始まり、より早い成長パターンに!  7月上旬には房の成長が完了、中旬頃からぶどうの実も色づき始めました。
夏は大変暑く、乾燥気味。7月に少し雷雨が発生しましたが、8月はほとんど雨が降らず、収穫は8月末から9月初めにかけて行われました。
2018年は春の遅霜や大きな雹害がなかったので、ぶどうは健全に育ち、収量&品質ともに申し分のないぶどうが収穫できました!

ホスピタリティ十分なシノワで

最初に登場したのは可愛いグジェール!


前菜3種の盛り合わせに供出された3アイテム、何とも贅沢


メインは全員肉系で決まり!!
仔羊、牛ホホ肉、鴨胸肉、牛みすじを2名ずつがオーダーするという流れに思わず[わーい(嬉しい顔)]
今回のブログでは、参加メンバー(ワインスクールの講師が半数以上)からの相性コメントを載せますね!


仔羊に合わせてシノワが選んでくれたワインはシャトー・テルトル2012

オーストラリア産仔羊のロースト 栃木産舞茸とゴボウのソテ-添え


■ラム肉は噛みしめていく段階でスパイスや塩分の衣がとれ、肉本来の香りや旨味が現れました。その中でも今回はショルダー部分のラムロールとラムラックをごぼうと合わせたもので、ラムロールは仔羊の旨味がプリムールのタンニンと熟成感につつまれて芳醇なハーモニーを奏でていました。シノワのまるで上質なバージンウールのような香りにつつまれて提供されるラムラックは、ノン・フィルターの果実味豊かな香りと交わり、素晴らしい空間を生み出していました。ラムとごぼうにルイ・ジャドのボージョレ・ヌーヴォー・プリムール。大地を感じる最高のマリアージュでした。


国産牛ホホ肉のピノ・ノワール煮込み


■双方ともボージョレのイメージを超える、素晴らしいワインでした。さすがルイ・ジャドが造ると違うんだなと思いました。フィルターありのほうは、香りが華やかでチャーミングな果実味が印象的、酸も綺麗でした。
フィルターなしのほうは、香りは穏やかに感じましたが、口に含むと、ベリーの要素とともに、土や葉など、自然界の滋味深さを感じるような複雑な味わいで、いつまでも飲み続けたいと思いました。余韻も長かったです。牛頬肉のピノ・ノワール煮込みと合わせましたが、フィルターなしのほうが、お肉の旨味をより引き立て、とてもよいマリアージュになっていました。

■シノワが供出してくれたのは『ダヴィド・デュバン モレ・サン・ドニ2015』
しっかりした土の香り、2015ながら落ち着いた果実味の柔らかい味わいが、少し甘めの濃厚なソースを引き立てながらもあっさりといただくことができました。
プリムールのフィルターありの方は、イキイキとした、フレッシュな香りと果実味が、ホロホロに煮込んだ牛肉には「年の差カップル」のような印象になり、鶏肉や豚肉、春菊などとの相性を試してみたくなりました。
一方、ノン・フィルターと合わせると、熟したぶどうをそのまま味わったかのような線の太い、しっかりした果実味と滑らかなタンニン、優しい酸が、少し甘めの濃厚なソースに寄り添い、牛肉とピノ・ノワールソースにはワインの滑らかで明るい味わい、ワインには牛肉とピノ・ノワールソースの粘度のある黒い味わい、と相乗効果を楽しむことができました。

フォアグラ丼には


■フォアグラ丼には『コロンビア・クレスト メルロ』を供出してくださり、甘辛いタレと、濃厚で複雑なベリーの果実味、ロースト香の相性が良かったです。
フォアグラそのものは、レアの状態に仕上げてあったので、特にノン・フィルターと合わせると、しっかりした、でも素直な果実味と、ヌーヴォーならではのフレッシュ感がちょうど良い感じに寄り添っていました。


フランス産鴨胸肉のロースト クランベリー風味のガストリックソース


■じっくりローストされた鴨胸肉は素材の旨みたっぷりでジューシーな食感。甘酸っぱいクランベリーを加えた濃厚なガストリックソースが、美しいロゼ色に仕上がった鴨肉の旨みを引き立ててくれました。
フィルターを使用したもの、ノン・フィルターのもの。両方とも贅沢な果実味としっかりした酸味があり、造り手の技量によるエレガントさとガメイ本来のキュートさが共存していました。ノン・フィルターはさらに豊かな香りと凝縮された細かいタンニンが心地良い上質な味わい。ワインを飲むごとに、口の中に広がる鴨の旨みとクランベリーの風味が一層魅力的なものとなりました。
新酒という枠を超えた品格あるルイ・ジャドのボージョレ・ヴィラージュ・プリムールとメインディッシュの鴨は素晴らしいマリアージュでした。特に懐の深さを感じるノン・フィルターはお気入りのワインです。


ニュージーランド産“牛みすじ”のロースト シャリアピンソース


■牛みすじでシャリアピンソースということだったので、みすじの脂と玉ねぎの甘味で、フィルターありの果実味たっぷりのほうが合うかなと思っていました。実際のお料理は、みすじは脂が少なめで、シャリアピンソースも甘さ控えめ、そこにあらびきの黒胡椒が振られていたので、果実味よりはコクのあるタイプのほうに合うような味付けになっていました。ゆえにフィルターありだと、果実味の部分がちょっと浮いてしまい、味わいも料理に比べて軽くなってしまう印象に。その点、ノン・フィルターは、そのコクの部分が補われて、さらにソースにも醤油的な要素が感じられたので、結構良い相性になっていました。ただ黒胡椒が入ると香りも味わいも若干強くなるので、ノン・フィルターと合わせるなら黒胡椒なしの状態がちょうど良いのではと感じました。

ちなみにシノワが供出してくれたワインは『ドメーヌ・ド・ローラージュ2010』
メルロとカベルネ・フランの熟成からくる柔らかで熟した果実と若干の鉄っぽさ&スパイシーさが、ボージョレ・ヴィラージュ・プリムールよりは合っていると感じました。私感ですが、ノン・フィルターのプリムールをもう少し熟成させたら、ボルドーより合うのではないかとも思いました。

■ソースが少し和風な感じでさっぱりとしていました。フィルターありとは合わないわけではないのですが、アフターにワインの酸味が鼻に抜けるような感覚がありました。一方のノン・フィルターは肉の甘みとワインの旨味が口の中で溶け合い良い相性でした。


フランス産栗のモンブラン


デザートも6皿のなかから各自好みのアイテムをセレクト
栗好きの私はモンブランにしました。
シノワセレクトのワインはハンガリーの『ディズノク トカイ・アスー 5プットニョシュ2008』、ネクタリンや蜂蜜、ロースト感、余韻に軽いビター感。口中に広がる凝縮感とその後に続く酸味。モンブランとは甘さの二重奏になるので、酸味の切れがもう少しあっても良い印象。他メンバーのデザート用に供出されていたソーテルヌ『シャトー・カントグリル2014』のほうが、甘味の軽度と酸味のバランスがモンブラン向きだったかも。


練乳のバニラアイスクリーム 30年熟成ペドロヒメネス(PX)添え
人の花は赤い!
バニラアイスに大好きなPXをかけた逸品にも心惹かれました(笑)




料理に合わせて楽しんだワインたち!
ただし、全員がすべてのアイテムを味わったわけではなく、シノワがメニューに合わせてワインをセレクトして供出。後藤聡オーナーは銀座店だったので、お目にかかれなかったのですが、丹下大輔マネージャーが細やかな気遣いをしてくださり、参加メンバー全員が時間を忘れて、ワインと料理の相性を堪能しました。
ワインのセレクトが素晴らしかったです、ありがとうございました!

■Chinois-shibuya シノワ・シブヤ 
〒150-0042 渋谷区宇田川町28-4 A2 Bldg. 8F
℡03-5457-2412
URL:https://www.chinois.jp/shibuya/
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アサイ・ウスケ・ワールドを悠々自適にプレイバック! [ワイン]

先週末、『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー』の生みの親である麻井宇介先生と、彼の思想を受け継ぎ、ワイン造りに人生をかけて突き進んでいく革命児たちを描いた映画『ウスケボーイズ』の試写を観たのがきっかけで、先生の書籍を読み返してみました。

ワインづくりの思想  ~銘醸地は動く~


~ 着陸態勢に入るとアナウンスがあって間もなく、雲海の上の明るい空から乳白色の霧の中へ、機体は静かに沈み始めた。窓の外はたちまち光を失って、薄明の空間へすべりこむと、機内の空気は時が止まったように張りつめた ~


麻井宇介先生(2002年6月1日逝去)が2001年に上梓した『ワインづくりの思想/中公新書』の冒頭部分が好きです。なぜなら、ワイン書とは思えない流麗な文体、そこから見えてくる情景描写が見事だからです。

生前、先生が各方面に寄稿された「酒論」を、醸造産業新聞社が一冊にまとめた『酒精の酔い、酒のたゆたい(2003年5月初版)』に、微笑みたくなる一文がありました。


麻井文体のルーツ
そこへ現れたのが『フランスの葡萄酒』であった。その時まで、私はこの本が昭和11年に限定500部で刊行されていたことなど全く知らなかった。
「仏蘭西で私の居た家には大きな酒倉があって、毎日飲む食卓酒の他に、日曜日や祭日には必ず良い酒を倉から出して飲む習慣であった。(中略) 此等の人達と共に見たり聞いたり或は味わったことを思い出すままに書き綴ったのが、此の本である」

このさりげない著者のはしがきの通り、一読して感じたなによりの魅力は、自分の言葉で語り、知識の請け売りに堕していないところ にあった。この著者はいかなる人物か、寡聞にして知らない。もちろん余技としての著述であろう。だが、その簡明な文章は、よく整理された知識の上に凝縮していて、なみの教養人のものではない。ワインのある暮らしを体得した強みだけで書いた文章とは違う。読んでいて、私もまたいつかはこの本のように自分の言葉でワインを語れるようになりたい、 そういう思いにかられたものであった。
日本人の手になる最初の「ワイン書」のページより抜粋


麻井先生はこの著者の名を記していなかったので、ネットで調べてみました。
経歴は不明ですが、「十和田一郎」なる人物であることがわかりました。
麻井先生の格調高い文体は、酒書彷徨三昧を重ねるうちに、十和田氏の書籍に出逢い、感化され、先生の文章力にさらに磨きがかかったものと思われます。麻井先生が形容している “自分の言葉で語り、知識の請け売りでない”、これこそウスケ・スタイルの真髄であり、多くの読み手を魅了している点に他なりません。

海外の古書を収集し、それもウイスキーを主になさっていた先生は、ワインにはなるべく近づくまいとしていた。ワイン書は底なし沼。溺れたら危ない。それに、海外の酒をその国の人以上に知ろうなど所詮徒労ではないかと書いています。
でも・・・『フランスの葡萄酒』を書架に加えた時を機に、蒐書の比重はウイスキーからワインに傾いていったようです。さらに、関心は日本のワイン書発掘に向って行きます。それは、前述の名著誕生や桔梗ヶ原メルロー造りに繋がり、はたまた、戦後を生きたひとりの酒造技術者の見聞と行動を資料として残す、語り部としてのお役目も。ここに先生の宿命を感じます。



自らが手掛けたプロヴィダンス1999

プロヴィダンスに感銘を受け、ヴルティッチ流のワインづくりを会得しようと、ニュージーランドまで出向き、ワインを醸造してきた麻井先生のイニシャル「UA (ラベルの右下)」が記された1999年ヴィンテージ

時を経たプロヴィダンス1999を試飲


我が家に保存してあったプロヴィダンス
底から4㎝ほどしか残っていませんが大事な記念のワインです。
思い立って、ワインをグラスに注いでみると・・・
細かな澱と一緒にまどろんでいたワインは、オレンジや琥珀の濃淡を纏(まと)い、濁りは帯びているものの、下に置いた印刷物の文字が楽に読めるほどの淡さになっていました。香りはシェリーのオロロソに似た甘やかな印象、口中を支配するのは直線的な酸味、なめらかなタンニンの存在、鼻腔にかすかに残る果実のニュアンス、喉の奥に広がる余韻、バキュバンすることなく置いてあったにもかかわらず、多くの時を経てきたとは思えない状態、雑味や不快感がないことに驚愕!

醸造の過程で無水亜硫酸をまったく添加していないプロヴィダンスに関して、麻井先生は、無添加であることに疑問を感じ、精密な化学分析を依頼なさったと書いています。でも、結果は、「見事に何も検出されなかった」と。

ビオディナミの教祖ニコラ・ジョリ氏が来日したセミナーで、麻井先生が隣席という幸運に恵まれたのですが、その時のジョリ氏のセミナーでは、当日に抜栓したワインと3日前に抜栓したワイン(コルク栓もしない)の利き比べを行いました。ワインは『クロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン1996』、2つのグラスの開き具合に多少の時間差はありましたが、ともにパワフルだったことだけは覚えています。
私は先生に「このワインは如何ですか?」と質問してみました。
「凄いワインだと思いますが、私は次の一杯も飲みたいと思うワインが好きです」とのお言葉が返ってきました。これって、プロヴィダンスのブラインドで先生が書いている言葉と同じです。思えば、これも1999年の出来事でした。



『ワインづくりの思想』のプロローグに、1999年2月、プロヴィダンスのオーナー、ジェームス・ヴルティッチ氏が来日し、ボルドーのトップシャトーとプロヴィダンスのブラインドテイスティングが行なわれたこと。先生はそこで、おいしいと感銘し、次の一杯もこれを飲みたいと思うものを2点選ぶのですが、その2点ともがプロヴィダンスだったというくだりがあります。


未知の土地にぶどうを植え、たちまち頭角を現すというのは、偶然なのだろうか、それとも科学技術の進歩によるものなのか。この素朴な疑問は日本でワインをつくりつづけてきた私にとって、なんとしても答えを見出さなけれはならない宿題の1つであった。物語をもっと大きく設定するならば、「銘醸地は動くのか」ということである。
「ワインづくりの思想」より抜粋


宿命的風土論を超えて
ブドウ畑は、それぞれに個性を持つ。差異があるのは当たりまえなのである。これを「風土の違い」と表現したあたりで、、日本では銘醸地との差異が、追いつくことのできない宿命的な落差の意味を持つようになってしまった。そして、この逆もまたワインの世界では根強く蔓延した。名付けて「宿命的風土論」という。

銘醸地は人間がつくり出すものである。だから動く。一見、それが運命的に定まっているかのように、ここ150年ほど、動かずにいると見えるのは、人びとが「宿命的風土論」の呪縛から逃れられずにいたからだ。
「ワインづくりの思想」より抜粋


日本のワインづくりは、ブドウ農家と苦楽を分かち合う信頼関係を支えとしなければ存立しえないのである。桔梗ヶ原で、その問題と直面するのは、この時(昭和29年)から20年も後の事になる。
「酒・戦後・青春/世界文化社刊」より抜粋

この一文から20年後の塩尻で、メルローを栽培する決断が・・・

麻井宇介先生の信念
1976年1月、長野県塩尻市街にある桔梗ケ原の中央公民館で、100名を超す果樹栽培者を前に、「甘味果実酒の原料ぶどうを転換するなら、欧州系の本格的な品種に」と先生は提案。欧州系品種への改植、生ぶどう酒産地に生まれ変わる必要性を説き、桔梗ヶ原を熟知している林農園の林五一翁の後継者幹雄さんの「どうしてもやるのであれば・・・メルロー」という発言を受けて、栽培家にメルローへの取り組み(棚栽培)を促します。


シャトー・メルシャン桔梗ヶ原メルローの育ての親ポール・ポンタリエ氏
今秋 長野県塩尻市に待望の『シャトー・メルシャン桔梗ヶ原ワイナリー』がオープンします。9月初旬にはプレス向けの視察もあるので、今からとても楽しみです。


1976年から契約栽培を開始した長野県塩尻市桔梗ヶ原地区、標高700m、砂利質の水はけの良い土壌、画像は棚式栽培のメルロー(提供:メルシャン株式会社)


シャトー・マルゴー総支配人兼醸造責任者として活躍していたポール・ポンタリエ氏(2016年3月27日逝去)は1998年からシャトー・メルシャンの醸造アドバイザーに就任。以後、品質向上に向けてご尽力くださいました。

初めて、桔梗ヶ原メルローを試飲したポンタリエ氏は、ワインのポテンシャルを理解すると同時に、栽培上の欠点をも感じ取っていました。そこで、最初に提案したことは、“垣根式栽培の導入”でした。翌年(1999年)ポンタリエ氏のアドバイスに従い、同社では垣根式栽培の導入を決断。双方の努力により、シャトー・メルシャン桔梗ヶ原メルローはさらに素晴らしい進化を遂げています。



シャトー・メルシャンのラベルもチェンジします!

7月31日に発表された『Japan Wine Competition2018』で、桔梗ヶ原メルロー2014が金賞を受賞しました。発売は9月4日(火)なので、日本ワインファン、シャトー・メルシャンファンはお忘れなく!

桔梗ヶ原メルローの生み親 麻井先生と共にワイン造りに励み、ボルドー滞在中は子供同士がクラスメイトだったご縁で、ポンタリエ氏とメルシャンのつなぎ役をした藤野勝久氏が、『桔梗ヶ原メルロー30年の歩み』を同社のサイトに綴っています。一見の価値ありです!!!
http://www.chateaumercian.com/stories/special/kikyogahara_merlot/

尊敬する麻井宇介先生から、私がいただいたお言葉は
ワインを飲む楽しみは、知る楽しみによってさらに深まる
でした。同じように、映画を観る楽しみも、“知る楽しみ”によってさらに深まります。
日本ワインを世界レベルに引き上げたワイン業界屈指の有識者 麻井宇介先生の足跡&人となりを、映画をご覧になる前の“知る楽しみ”にしていただけると嬉しいです。


映画『ウスケボーイズ』


監督:柿崎ゆうじ
エグゼクティブプロデューサー:柿崎ゆうじ
プロデューサー:古谷健一 前田茂司
出演:渡辺大 出合正幸 内野謙太 竹島由夏 寿大聡ほか
原作:河合香織『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』小学館
企画・製作・配給:カートエンターテイメント
配給協力:REGENTS
10月20日(土)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
公式サイト:http://usukeboys.jp/

ニュースサイトワインのこころ でも紹介しているので、覗いてください!


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日比谷 松本楼創業115周年記念イベント ~シャンパン『クロ・サン・ソフィー』に繋がる山梨・勝沼ヒストリー~ [ワイン]

明治38(1903)年創業の日比谷 松本楼、115周年記念イベント開催


日本初の洋式公園とした誕生した日比谷公園のなかに、時を同じくして創業した松本楼は、明治のハイカラさん憧れのフレンチレストランとして人気を博していました。
それから115年! 
小坂文乃社長が、今回、記念のロゴとして採用したのは“シーラカンス”
きっかけは、ワイン界の権威大橋健一マスターワイン(MW)の「浮き沈みの多い飲食の世界で、100年以上継続していくことは凄いことであり、言うなれば、業界のシーラカンスですね」とのお言葉がヒントになって考案されたとのこと。みどり色のシーラカンスはとても可愛いですし、1階のテラスにある樹齢400年以上の銀杏の葉も描かれています。

梅屋庄吉と孫文の絆

創業当時の松本楼


小坂文乃社長の著書と梅屋庄吉氏と孫文の関係を記した文献




ひまわり色の装いの小坂社長とひまわりの花束!
第1弾の記念イベントとして、私は日本とフランスの素敵な繋がりをお話しさせていただきました。

副題には、日仏160年、日本ワイン140年(2017年で)、明治150年と表記しました。
フランスのシャンパーニュ地方と日本の山梨・勝沼を繋ぐ素敵なお話がテーマで、供出させていただいたワインもシャンパンと日本のワインでした。

新緑がまぶしい空間で

新装された2階バンケット・ルームに80名のお客さまをお迎えして


いつもながらの落ち着いたテーブルセッティング


フォーカスしたシャンパンメゾンは『ジャック・ラセーニュ』
1960年代に父親が畑を購入(自社畑は約6㌶)、エマニュエル・ラセーニュは2代目


エマニュエル当主から動画メッセージが到着したので開宴前にチェック作業





ワインは左から
#1:シャトー・メルシャン マリコ・ヴィンヤード ロゼ2016
産地は長野県上田市のマリコ・ヴィンヤード。シラー、メルロー、CF、CS。ステンレスタンクで約14日、約4,700本。香り華やか、赤系果実、ベリー風味、スパイス、タンニンの存在感、サーモンやエビチリ、餃子と相性◎
#2:ジャック・ラセーニュ レ・ヴィ―ニュ・ド・モングー ブラン・ド・ブランNV
白い花、レモングラス、アカシア、柑橘系果実の内果皮似のビター感、終盤まで持続する酸、時間の経過でソフトに
#3:シャトー・メルシャン 岩崎甲州2016
柑橘系アロマ、温度変化で樽由来の重厚感、上質な酸味、果皮由来のビター感、旨味のある甲州
#4:ジャック・ラセーニュ ラ・コリーヌ アンスピレNV
淡いイエロー、ミネラル、塩味、樽由来の複雑味、旨味、酸の余韻
#5:ジャック・ラセーニュ ミレジメ2008
秀逸な2008年ヴィンテージ、香りに熟成感、味わいはフレッシュ、切れのある酸味、他と違うニュアンス
#6:ジャック・ラセーニュ クロ・サン・ソフィー2010
黄色系果実(黄桃、カリン)、木香、蜂蜜、クミン、カルダモン、エスニックスパイス、余韻に甘やかさ

協賛:リーデル・ジャパン株式会社(リースリンググラス)
協力&一部協賛:メルシャン株式会社、藤原商店
輸入元(藤原商店)情報:http://fujiwara-shouten.co.jp/import/champagne.html



六川シェフの料理は初めてだったのでワクワクでした!


小坂社長からスタート当初から今に至るお話、ご挨拶


ウェルカムドリンクはロゼワイン、色合わせでサーモン登場
シラー由来のスパイシーさがピンクペッパーとマッチ、低温から徐々に温度を上げて楽しんで欲しいロゼ! 


ジャック・ラセーニュはすべて白ぶどう100%で、ノン・ドザージュ(糖分添加無し)、生の勝負!
リーデルのリースリンググラスを使い、白ワイン感覚で。余韻まで凛とした酸が残り、口中をきれいに洗い流してくれる印象、ピュア!


ノン・ドゼのシャンパンの後に登場した岩崎甲州、その評価は

昨年初リリースされた『シャトー・メルシャン 岩崎甲州2016』は発売後、即完売! 
メルシャンがこの日のために手配してくださったもので、フランスに渡った高野・土屋両家の生家で栽培している甲州から造られています。


甲州とシャルドネに合わせて、ホワイトアスパラガスのブラマンジェ&雲丹のクリーミーさ、絶妙

昨年、お寿司屋さんに持ち込んで体験し、惚れ込んだ甲州岩崎。
樽使いの絶妙さと、昨年より瓶熟期間を経ている分、趣きある味わいに。中盤以降、酸の広がりも好印象。嬉しかったのは、シャンパンの輸入元クロスロードの有馬さんからいただいた「この甲州、深みがあってイイね」というお言葉。さらにリーデルの庄司さんから「シャンパンの後に出すというのは、かなりの冒険であり、勇気もいると思いますが、青木さんが岩崎甲州をしっかり理解しているからできることだと思う」と言っていただいた時は\(^o^)/
生で勝負のノン・ドゼのシャンパンに正面から挑んで頑張っていた“ひと味”違う甲州。メルシャンの大谷さんも「他の甲州よりタンニン分が多い」とおっしゃっていました。2017年ヴィンテージのリリース、ご期待くださいませ。


シェフならではの見事な仕掛け
左から順にタチウオの昆布締め、中にマンゴーフルーツ、ハタは焼き塩、イサキはハーブ塩。
メニュー全般、素材の良さと新鮮さが持ち味でしたが、この一皿には美味しいの声、多々・・・
口中にタチウオを入れた時のギャップ(魚のぷりぷり感+旨味、マンゴーの柔らかさ+甘味)の面白さ、ラ・ヴィ―ニュ、岩崎甲州ともに楽しめました!



手長海老と帆立のポワレ、パッションフルーツのブールブランソース
アスパラソバージュとチーズのチュイル
果実の酸をワインの酸と相乗させた違和感のない相性


熟成香、ヘーゼルナッツ、蜂蜜等、熟成したブルゴーニュワイン的風味


六川シェフのメニュー解説


参加者を引き付ける話術お見事、リーデル・ジャパンの庄司大輔チーフ・ワイングラス・エデュケーター


シャルル・バルテが描いた菊の絵はクロ・サン・ソフィーのラベルに使われています。明治天皇から勲章を受勲し、そのお礼に、オリジナルの菊の花を作って献上したバルテ。


当日のハイライト!
クロ・サン・ソフィーの畑の現オーナーは、子供服のプティ・バトー一族です。
エマニュエル当主と同家が親しかったことから、『クロ・サン・ソフィー』造りを任され、誕生したシャンパン。2010年が初ヴィンテージ。



メゾンはシャンパーニュ地方オーブ県トロワに位置し、ブルゴーニュに近いエリアで、土壌はチョーク質。ランスやエペルネより南にあるので、ぶどうの糖度も1~2度高いものが収穫できます。
かつて、クロ・サン・ソフィーには農業試験場があり、この地で日本から来た2名の若者高野正誠と土屋龍憲がぶどう栽培とワイン造りを学んでいました。指導者はシャルル・バルテとピエール・デュポンで、バルテはぶどうの苗木作り、デュポンは土壌や醸造技術を伝授しました。



ワインは黄金色、樽使いの面白さもクロ・サン・ソフィーの特徴


フランス産ブレスチキンとブーシェ、松本楼伝統のレシピのパイとともに モリーユ茸のソース。温度があがることで重厚感と樽熟成の風味が増し、料理に寄り添って。


たまごの殻を使ったスペシャリテ、刻んだトリュフの香りほんのりのオムライス


マンゴーココナッツムース、南国のフルーツを散りばめ


果実の酸を生かすことで、シャンパンの酸とも相乗、ロゼとも◎

松本楼のフルメンバー


小坂文乃社長以下、スタッフ総出、壮観でした!
115周年を迎えられ、心からお祝い申し上げます!


クロ・サン・ソフィーと勝沼を繋ぐヒストリー


薩摩藩医の子供として生まれ、後に山梨県知事も務めた前田正名は、明治2年(1869年)から明治10年(1877年)まで渡仏。トロワのシャルル・バルテと親交があったことから、高野・土屋両名を伴い、帰国してわずか半年で再渡仏し、ふたりをサポートしました。



メルシャン資料館にある高野家のワインとクロ・サン・ソィ-のワイン

フランスと日本を繋ぐ絆のワイン

マスカット・ベーリーAの生みの親 川上善兵衛生誕150年


日本のワインを語る上で絶対にはずせないのが、新潟県岩の原葡萄園の創始者、日本のぶどうの父川上善兵衛です。明治元年(1868年)生まれなので、今年は生誕150年の記念年。高野正誠や土屋龍憲とも交流がありました。
江戸時代から続く、大地主の6代目として生まれた善兵衛は、殖産興業・農民救済という意思を持って、ぶどう栽培&ワイン造りを手掛けますが、このきっかけを作ったのは、あの勝海舟! 祖父の時代から勝家と交流があり、海舟から見聞したぶどうとワインの話に触発されたそうです。 (『岩の原葡萄園』の坂田敏元社長からの伝承)
「志は良いけどおこもさん(こじき)になるなよ」と海舟は助言しましたが、善兵衛は自分の意志を貫きます。結果として、全財産を失い、人生を終えることになりますが、善兵衛が開発した優良22品種のなかのマスカット・ベーリーAが、2013年、O.I.V(国際ブドウ・ワイン機構) にワイン用ぶどうとして登録されました。国際的に認められたことで、EUへの輸出の際、ラベルに品種名を表示することができるようになりました。
ここにも長い歴史がありました。

明治時代のワイン造りの黎明期を駆け抜けていった先人たち
現在の日本ワインの向上・躍進に、高い評価をくださると確信しています。


素晴らしい応援に支えられて

ジャック・ラセーニュの輸入元クロスロードの藤原秀三社長(後列中央)と有馬基さん(藤原社長の左隣)、リーデル・ジャパンの庄司大輔さん、メルシャン執行役員首都圏総括支社長大谷満さん(最右)
本当にありがとうございました!!


いつも温かな応援をしてくださるお仲間、有難く嬉しく思います。


昨春、ルイ・ジャドイベント@松本楼で共に活動したワインサロン『フミエール』の友原範士社長と宮川文子主任講師、ワイン仲間の鎌倉えりこさんと秋山青美さん


文乃さんとの糸を繋いでくれた親愛なる吉井君と愛妻利恵さん、ありがとねっ!
115周年記念イベントで素晴らしいワインをご提供くださったメルシャンの大谷支社長、感謝しております。


小坂文乃社長へのエール

歴史ある松本楼の代表としての新しい船出
順風満帆の日ばかりではなく、荒波を受ける日もあると思いますが、女性ならではの感性を生かして、上手な舵さばきを見せてください。参加させていただいたメンバー全員応援しております。
松本楼の120年、150年、そして230年・・・更なるご発展を祈願しております。
今回は、身に余る光栄なお役目をいただき、ありがとうございました!



追記(6月6日)
日比谷 松本楼の代表取締役会長小坂哲瑯(本名 明)氏(享年86歳)が先月23日に他界なさったことが公表されました。小坂会長のご冥福を心からお祈り申しあげます。文乃さんはじめ、ご家族の皆さまの本日までのご心労は計り知れないものだったと思っております。

過去に何度も同店でのワインイベントでお世話になっている身として、今回の115周年の会は今まで以上に気合を込めて頑張らねばという思いで、務めさせていただきましたが、私にとりまして、生涯忘れられない出来事になりました。小坂会長に「あんたに任せて良かった」とおっしゃっていただきたい一心でおりました。
ご縁をいただきましたことにこころから感謝しております。
どうぞ、安らかにお眠りくださいませ。長い間お世話になり、本当にありがとうございました。
青木拝


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シャトー・メルシャン プリムール・テイスティング2018  ~思い出を重ね合わせながら~ [ワイン]

2017年産ワインの利き酒


大橋健一MWを迎えての『シャトー・メルシャン プリムール・テイスティング』
今年で2回目の開催です。昨年、私は出張中で参加できなかったので、今回は安蔵光弘チーフワインメーカー(左)によるミレジム(収穫年)とワインの造りについての解説、大橋健一MWによる各ワインの講評をしっかり拝聴させていただきました。



会の冒頭、館野敦常務執行役員営業本部長は、「ワイン市場は緩やかに成長しており、なかでも日本ワインは順調に推移。構成比は全体の5%程度ですが、好調な伸びを示しており、弊社では今年9月長野県塩尻市に桔梗ヶ原ワイナリー、来秋には長野県上田市に椀子ワイナリーを建設予定。品質を含め、さらなる成長していきたい」と述べました。

2017年のミレジムについて
下表はボルドーのプリムール・テイスティングを参考にして作成した城の平地区のメルローの生育記録です。通常は萌芽、開花、ヴェレゾン(ぶどう果実の着色)、収穫を記載しますが、日本ではぶどうの萌芽が早い時は桜の開花も早いとのことで、よりわかりやすさを示す意味で、桜の開花(ピンク)梅雨(空色)を挿入してあります。













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表をご覧いただくと、2015年の開花が早いことがわかります。例年より4~5日早かったようで、桜の開花とぶどうの萌芽に間があるのは寒さがぶり返し、その影響で萌芽が若干遅れたことを意味しています。2016年は2015年より、さらに4~5日早かったので、結果として10日ほど早い開花でした。

2017年の開花は例年並み。梅雨が短く、雨量も少なかったことで、晩腐病の一時感染が少なかったとのこと。8月は曇天と降雨で日照量は少なめ。9月以降は晴天が続き、生育の遅れを取り戻しました。10月中旬から気温が下がったので、晩熟のカベルネには酸が残り、最終的に、病気も少なく、糖度の高いぶどうが収穫できました。

シャトー・メルシャン テイスティングアイテム

(前列左から右)
#1:甲州きいろ香
#2:北信シャルドネRGC千曲川左岸収穫 
#3:北信シャルドネRDC千曲川右岸収穫
(後列左から右)
#4:穂坂マスカット・ベーリーA セレクテッド・ヴィヤーズ Barrel sample
#5:城の平 Barrel sample
#6:桔梗ケ原メルローBarrel sample
#7:椀子オムニス Barrel sample

シャトー・メルシャンの各ワイン解説&講評
#1:甲州きいろ香

きいろ香のファーストヴィンテージは2004

大橋MWが「ピンクスキンのぶどうで、グリ系のゲヴェルツ等の品種とは異なる個性を持っている」と表現していた甲州
■産地は山梨県甲府市の南に位置する玉諸(たまもろ)地区、標高(約250m)は低く、砂地で熟すのが早いエリア。2004年の初VT以降、きいろ香に最適な産地を模索した結果、2010年頃から玉諸地区の甲州を使用。2017年は2016年より10日ほど遅い収穫になった。澱下げや冷却処理(酒石除去)は行わず、フィルター掛けも酵母等の大きな固まりを取り除く程度、できるだけ旨味を残す工夫をしている。

MW講評:甲州に関して、プロの間では確実に認知度があがっていると個人的には理解している。初期の甲州にはエステル香があり、酵母の力に頼っていた。2017年のきいろ香を昨年のものと比べると、テクスチュアがフェノリック(フェノール化合物由来の苦みの効いた)。良い意味でのビターさがあるので、ワイン全体のフィニッシュに奥行きを与えている。メルシャンチームの収穫時期の洞察、醸造技術を生かした個性的なヴィンテージと言える。

私感:きいろ香の生みの親、故富永敬俊博士のお言葉を辿りながら・・・・。
いつも、「きいろ香はリリース後、半年は静かにさせてから味わって」とおっしゃっていました。2005年ヴィンテージの発売後、博士からいただいたコメントに、「フグ刺にグレープフルーツを搾ることは躊躇しそうですが、バンペイユや日向夏等の和製柑橘なら合いそうですね。香りは果肉と皮ではかなり違います。きいろ香にみいだされる日向夏やバンペイユの香りは果皮に傷をつけて嗅ぐと良くわかります。柑橘の皮の持つビターさが連想できそうな、より複雑な香りが楽しめるはずです。きいろ香と和製柑橘で和食がもっと楽しくなりそうな気配です」というのがありました。2017年ヴィンテージを利き酒して、MWがコメントしていたビターな味わいは、柑橘果実の内果皮の苦みと重なり、料理との相性連想も楽しめました。
プリムール・テイスティングで供出された2017年VTから10年遡る2007年VTに関して、博士が寄稿してくださったアロマティック品種とノン・アロマティック品種も載せておきます。ご命日の6月8日、間もなくです。


#2;北信シャルドネRGC千曲川左岸 収穫
■産地は長野市豊野地区とその周辺。標高300~400m、粘土質土壌、収穫は10月上旬から中旬、右岸・左岸というテロワールを強調したワイン、ぶどうの果実味を大事にしているので、新樽(30%)の使用率は少なめ。すべて樽内発酵。

MW講評:北信シャルドネは左岸・右岸ということで、キャラクターの違うワインに仕上がっている。樽の乗り具合に幾分違いがあり、昨年はもう少しトースティ-でグリルした印象だったが、今年はクリーミー。ライトで酸がきれいに伸びているので、今の時点で完成度の高さを感じる。樽やMLF由来の滑らかさと、最後に和食に合うきれいな酸とかすかなフェノリックがテクスチュアを引き締める役割をしている美しいワイン。



#3:北信シャルドネRDC千曲川右岸
安蔵チーフワインメーカーは「熟したグレープフルーツ」、定点観測している大橋MWは「ソーヴィニヨン・ブランに感じるグァバやパッション・フルーツ様な香りがある面白いヴィンテージ」と表現した右岸のシャルドネ

■産地は長野県北信地区高山村と須坂地区。標高の最高位は650m、砂礫質土壌で日本でも有数の砂利が多いエリア、収穫は10月中旬、ブレント比率は須坂11%、高山89%、左岸同様新樽率は30% 

MW講評:ソーヴィニヨン・ブランに感じるような香りのニュアンスが出ることが今までと違うヴィテージの印象。収穫をギリギリまで伸ばしたことで、酸は昨年より高め。今際立って感じる酸味、樽の要素は今夏のリリース時までには落ち着いてくると予想

4種の赤ワイン


#4:穂坂マスカット・ベーリーA セレクテッド・ヴィヤーズ Barrel sample
■産地は山梨県穂坂地区、同地区の2つの畑をセレクト、遅摘み。標高は450~550m、昼夜の温度差が大きいので、きれいな酸が残る。樽育成(20~24ヵ月)は長めにして、キャンディー香ではなく、苺(完熟した苺)の香りを前面に出したい。瓶詰は早くて2年後。

MW講評:フォクシーフレーバーは勝沼より穂坂のほうが控えめなので、海外市場で適応できる。アールグレーのような若干スパイシーな茶葉の香り。より複雑味を増して進化したMBA。余韻にきれいな酸が残る。品種特性として酸もタンニンは控えめなので、それを補正するために、もう少し退廃的(オールドリオハや昔のカリフォルニアワインに感じたダスティーなニュアンス)なワイン造りも選択肢のひとつ(?)

アメリカンオークの使用について安蔵チーフワインメーカーは「2005年に、初めてMBAを名乗った品種別のワイン『山梨マスカット・ベーリーA 2001』をリリースした時にはフレンチオークを使用していましたが、その後のバレルトライアルで、MBAの華やかな香り、イチゴやジャムのような香りがアメリカンオークと相性が良いことがわかり、取り入れています」とおっしゃっていました。

私感:今年は岩の原葡萄園の創始者、MBAの生みの親 川上善兵衛さん生誕150年!
岩の原葡萄園のMBAのぶどうは真ん中からカットすると切り口が羊羹状! 凝縮していて水分をあまり感じさせません。安蔵チーフワインメーカーによると、穂坂のぶどうはジューシーとのこと。MBAに関しては、ぶどう自体の違い、収穫のタイミング、直近で試飲した各社(メルシャン、岩の原葡萄園、サントリー、MGVs等)それぞれの樽使い(樽熟)にも非常に興味惹かれています。

#5: 城の平
※バレルサンプルのブレンド比率は最終決定ではないのでリリース時とは異なる可能性あり
■産地は山梨県甲府市城の平ヴィンヤード、勝沼にある自社管理畑、標高550~600m、ここ10年くらいでカベルネ・フランCF、メルローME、プティ・ヴェルドPV、カベルネ・ソーヴィニヨンCSを植樹。ブレンド比率はCS84%、ME11%、PV5%、新樽率は60%。早摘みぶどうのCFは、8月1日からの悪天候(日照が少なかった)のため、ピラジン(ピーマン臭)が出てしまい、ブレンドには使用しない。ちなみに収穫日はCF10月4日~、ME10月5日~、PVは10月9日~、CSは10月18日。

MW講評:シャトー・メルシャンのアイコンワインのひとつ。偉大なCSを生産していることが素晴らしい。昨年来日して試飲したサム・ハロップMWは「2016年VTをインターナショナルクラス」と評価。ボルドーのワインと比べるとテクスチュアはまるいが、全体的なシェープは細い、昨年は全体的にまとまっていた。昨年がサン・ジュリアンだとしたら、2017年はぺサック・レオニャン、メルローを加えることで、幾分か肉付けをしているスタイル。タンニンは桔梗ヶ原と比べるとグラベリー(ごつごつした小石を口にした味わい、まだタンニンのざらつきが前面に出る)、カベルネらしさが出ているワインと言える。

#6:桔梗ケ原メルローBarrel sample

■メルシャンのシグナチャーのワイン。産地は長野県塩尻市桔梗ヶ原地区、標高730m、礫層が基盤の火山灰層が堆積した水はけの良い土壌。垣根式栽培、遅くまで収穫を引っ張った年、10月10日から開始。健全で糖度が上がった年、十分な酸味もあり、バレルサンプルは比較的醸しの長いタイプのものをブレンド。

MW講評:堂々たる存在感のあるワイン、メルロー主体のグラン・ヴァンに必要な要素が完結している。違うのはテクスチュアで、ボルドーのものより幾分スリム、でも酸味がきれいに残る。香りや木目の細かいタンニンの完成度は、日本のメルローの代表選手としてインターナショナルなレベルまでこのワインを押し上げているメルシャンの技術力によるもの。

私感:1998年からメルシャンの醸造アドバイザーに就任した故ポール・ポンタリエさん。
2013年の来日時に行った桔梗ヶ原メルローの垂直試飲での言葉がとても印象的でした。
「ワイン造りの定義は国によって様々であり、テロワールも違うので、フランスやカリフォルニア等と同じものを造っていくのではなく、本当の意味での“日本ワインを造る”ことであり、そのためには日本の文化、食生活と常にリンクしていかなければならない」と。そのポンタリエさんが桔梗ヶ原メルローに求めていた“フィネス&エレガンス”。今回、大橋MWは講評で「ボルドーのものより幾分スリム、でも酸味がきれいに残る」と表現していていましたが、私はこのスリムながら最後に酸が残るスタイルこそが、ポンタリエさんが常々言っていた“日本ならではの清涼感”だと思っています。故ポンタリエさんがアドバイスしてくださった桔梗ヶ原メルローの完成形、期待しています!

#7:椀子オムニス
■産地は長野県上田市椀子ヴィンヤード、標高650m、強粘土質土壌、垣根式栽培、椀子ではメルローのタンニンをうまく熟させたいというのが課題、ゆえに長くハングタイムを取りたい、ただ糖分がどんどん上がってしまうので、そのタイミングが難しい。カリフォルニアやボルドー右岸の様な悩みを持つ年は初めて。オムニスは椀子ヴィンヤードの中で、その年のベストの品種をメインにしているワイン。2017年の主要品種はCF。城の平(500m)と椀子(650m)では収穫時期が1週間から10日しか違わず、天候も山梨、長野とも大差なかったが、椀子の標高の高さと10日間の差がCFにベストマッチ。ブレンド比率は暫定でCF45%、ME33%、CS18%、PV4%。収穫日はME9月27日~、CF10月4日~、PV10月5日~、CS10月13日

MW講評:毎年主要品種が変わるワイン。世界からフューチャーリングされているCFがメインになったVT。 CFの良さがしっかり出ているかどうか、他の品種がCFからのサポートを受けているかを見ると、本来のCFのキャラクター赤い果実ではなく、オムニスは黒い果実イメージ。ただ、余韻にCFの特性のスミレのフレーバー、トップノートに微量ながらバランスの取れた軽いピラジンがある。香りより味わいの統一感に時間をかけるべきで、口中に感じるタンニンの素性、樹から抽出されたタンニンがまだ残っているので、瓶詰めまでにより時間をかけてリリースして欲しい。

■シャトー・メルシャン情報 >>>http://www.chateaumercian.com/aboutus/
■メルシャン製品ついてのお問い合わせ先 お客様相談室(フリーダイヤル) 0120-676-757

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半導体製造業からワイン業界に参入したMGVs(マグヴィス)ワイナリー [ワイン]

創業1周年を迎えたMGVs(マグヴィス)ワイナリーへ

(左から)袖山政一醸造責任者、松坂浩志代表取締役、前田健栽培ディレクター


勝沼に誕生したサイエンスのワイナリー

マグヴィスワイナリーの母体は半導体製造の塩山製作所。注目のワイナリーなので、お訪ねする2日前(20日)にも、NHK「ニュースチェック11」で取り上げられていました。

初訪問した22日は好天に恵まれ、松坂社長と前田氏の案内でぶどう畑を視察、ワイナリーに戻って袖山氏と共に施設を見学、テイスティングでは当日リリースされたばかりのワインを含む6アイテムを体験しました。

松坂社長への囲み取材で、
日本国内で行っていた半導体の生産はベトナムに移行したこと。明治時代から続く、ぶどう栽培農家の4代目で、所有するぶどう樹から収穫した甲州ぶどうを日川中央葡萄酒(タンクを1本レンタル)に委託してプライベートワインを造っていたこと。半導体の工場は元々ぶどう畑があった場所に建設したもので、ワイン事業にシフトするなら、土地の個性を反映させ、ローカルにこだわったものを造りたいというヴィジョンがあったこと等を伺いました。
半導体製造で使っていた窒素ガスのタンクを搾汁機に改造することで、酸化しやすい甲州対策に活用。半導体と同じく、ワインの品質に関しても徹底したこだわりを見せています。

印象的だったフレーズ
「ワイナリーでワインを造っていたのは芸術家だったが、芸術家だと失敗もある。でも、今ではペンフォールドは科学(サイエンス)を手に入れたので失敗がない」
前述の言葉は、お手本にしているというオーストラリアの名門ペンフォールド発のものだそうですが、これを引用して、「ワイン造りには失敗があるかも知れないけれど、サイエンスによって、一定の水準のものを出していかないと世界基準に通用しない」と松坂氏。
海外進出も視野に入れていますが、国際品種のカベルネやピノ・ノワール等の栽培ではなく、日本の固有品種甲州とマスカット・ベーリーA(MBA)に特化しているので、「まずは2品種の認知度を高めることが先決」と。ワイン愛飲者のすそ野を広げることも課題の1つになっています。将来的にはニュージーランド(条件として雨が降らないエリア)で、甲州とMBAを生産して、2品種の可能性を試したいとの考えもお持ちのようです。



手掛ける品種は白ぶどうの甲州と黒ぶどうのMBAのみ
ワイナリー内の畑には垣根式のMBA!

3月22日発売のシャルマ法の甲州スパークリング

差別化を考えてデザインされたボトルとユニークなラベル
泡もの全体の呼称は“ポシュPOSH”にしたいとのこと。発泡酒(はっぽうしゅ)の語呂に合わせた“ポシュ”は、英語では、豪華、素晴らしい、洒落た、贅沢な等の意味があります。
2020年をめどに瓶内2次発酵のスパークリングワインもリリース(1,000本)予定!

ワイン名の読み方レッスン

資料:MGVsワイナリー

マグヴィスワイナリーのラベルは極めてユニークです。
甲州はK、MBAはMで表示されています。さらに3桁の数字の一桁目は「ぶどうの収穫地」、2桁目は「仕込み、原料処理方法」、3桁目は「醸造方法」を意味しています。
K111のワインは、甲州、勝沼地区、フリーラン(一番果汁)、ステンレスタンク発酵で造られている、ということで、桁と数字を理解すれば、ワインの地域や造りがすべてわかる仕組みになっています。今までになかった斬新なアイデア、理系的発想! 2018年ヴィンテージからは耐水性のラベルに変わります。


視察したルートを辿って
甲府盆地が一望できる鳥居平

マグヴィスワイナリーのぶどう畑は日川沿いに点在。段丘の底辺部分にあり、砂地で水はけの良さが特徴。

松坂社長によると、ワイナリーに隣接する日川は大菩薩(最高2000m)から下流まで一気に流れてくる急流で、特に500mから下流までは川がまっすぐだったことから、昔から何度も洪水に悩まされており、ワイナリー(330m)のある場所も明治40年の大水害で、全部流された由。現在の土壌は河川の浸食によってできたもので、段丘上部の粘土質の栄養分が流れ込んでいる砂地とのことでした。


標高500mの鳥居平からは甲府盆地が見渡せます。


3年前に植樹された西田の畑の元気な甲州!


勢いのあるマスカット・ベーリーA


温度管理について解説中の袖山醸造長


バレルテイスティングしたのは下川久保の遅摘み甲州2017


勝沼上岩崎引前のMBA(2017年10月収穫)、酒質がイイです!


樽はフレンチオークとアメリカンオークを併用

春の新ヴィンテージリリース

初のスパークリング
#1:K537 甲州NV GI YAMANASHI
4月22日ニューリリース
2015年と2016年に収穫した甲州。フリーランだけでなくプレスを使用しているにもかかわらず酒質ピュア、タンク内発酵(シャルマ法)が甲州のアロマを生かした印象。泡もクリーミー、ランチで一番使い勝手が良かったアイテム、1,002本、3,672円

遅摘甲州のヴィンテージ違い
#2:K131 甲州 勝沼町下川久保2017
4月22日ニューリリース
10月27日まで完熟させた甲州、フリーラン/プレスでステンレス発酵、2,464本、5,400円
#3:K131 同2016
2017年4月23日リリース
10月16日収穫、ワイナリーに隣接する単一畑の甲州、1年の熟成の違いが、香りに豊潤さ、味わいにまるみが出ていました。1,888本、5,400円

新生ロゼ
#4:B521 マスカット・ベーリーA 山梨2017 GI YAMANASHI
4月8日ニューリリース
淡い桜色、セニエ、ステンレスタンク発酵、MBAの果実風味、ライトな酸、全体におとなしい印象、2,328本、2,376円

樽の使い方、産地の違いを比較
#5:B553 マスカット・ベーリーA 山梨2016 GI YAMANASHI
4月22日ニューリリース
9月10日&27日収穫、甲州勝沼町&山梨牧丘町のぶどう、ステンレスタンクで発酵+8ヶ月樽熟、深紫色、キャンディアロマ、1,806本、3,240円
#6:B153 マスカット・ベーリーA 勝沼町下岩崎2016
2017年7月26リリース
10月3日の収穫、勝沼町下岩崎の単一畑、ステンレスタンク発酵+フレンチオークとアメリカンオークで6ヶ月熟成、赤紫色、赤系果実、アロマ芳醇、甘やかながら重厚感も備えた酒質、果粒コントロールの成果。1,481本、5,400円


#5#6の順
収穫のタイミングや酸化を防ぐ方法等で試行錯誤感のある甲州に比べて、MBAのほうが馴染み易く、品種の個性を感じました。個人的には果実風味に加え、重厚感のある#6に興味惹かれました。雨の多い日本ではぶどうの粒が大きくなってしまいがちなので、それを改善すべく、副梢果房栽培でMBA果房を30%小さくする努力を行っているとのこと。#6の凝縮感にその成果が出ている印象。
松坂社長は山梨大学岸本宗和准教授が研究している副梢果房のことを話していました。リンクした研究成果報告書を見ると、果房の変化が良くわかります。
すべてのステージを遅目(秋の長雨をやり過ごしてから収穫)にしているマグヴィスワイナリー。「健全果であればMBAは遅摘でも全然問題がなく、醸造に果梗も使える」との話も出ていたので、より深みのあるMBA誕生が楽しみです。


各畑の土壌サンプル


今回の視察を仕切ってくださった石井もと子氏


ランチ By ビストロ・ミル・プランタン、五味さんのお店のケータリング!


親しみやすい味わいのメニュー
K537のポシュは万能選手、B153の2016は鴨胸肉の軽い燻製と合わせて。

■日本ワイン探訪で、MGVsワイナリーにもお出かけください。新宿から塩山まで90分ほどです。https://mgvs.jp/

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