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ワークショップ@八芳園 ~アルザスワインと世界の料理との相性~ [ワイン]

アルザスワインはガストロノミー(美食の)ワイン
本邦初!
アルザスワインと世界5ヶ国(日本、フランス、ベトナム、タイ、中国)の代表的な料理との多様性を探るプレス向けセミナーがありました。ナビゲーターはアルザスワイン委員会(CIVA)のティエリー・フリッチュ講師です。

ティエリーさんは14年ほど前から日本でアルザスワインの伝道を行っていますが、今回、CIVAと欧州連合(EU)主催、SOPEXA JAPON(フランス食品振興会)運営のもと、世界各地で普及活動をして得たマリアージュの成果の一部を披露してくれました。淡白な味わいの料理だけでなく、肉類や味の濃い料理と合わせても魅力を増すアルザスワインを、ティエリー講師は〝ガストロノミー(美食の)ワイン〟と述べています。

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アルザスは白のイメージ、生産されるワインの約9割は白ワイン、主要品種は7つ!
白ワイン用の品種リースリングピノ・ブランゲヴルツトラミネールピノ・グリミュスカシルヴァネールと唯一の赤ワイン用品種ピノ・ノワール


セミナーではアルザスワイン&ローヌワインを各6種類テイスティング
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午前10時から行われたアルザス&ローヌワインセミナーでは各6アイテムを試飲
ティエリー講師はアルザスワインの特徴としてアロマと酸味の豊かさ、MLFをしないことを強調


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資料提供:CIVA
果皮の色にも注目、アルザスの主要7品種


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資料提供:CIVA
土壌の個性を反映しているアルザスワイン
最左の花崗岩&片麻岩はエレガント、最右の火山性の堆積岩はヨードのニュアンス


ワークショップではアルザスワインと5ヵ国の料理を合わせて
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ワークショップのティエリー・フリッチュ講師

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白ぶどう6品種の爽やかさとストラクチュアの関係を図で表すと、の解説中!
料理とワインの相性に関する講師の持論
■対照性のマリアージュ・・・ワインと料理が各素材の個性を保ちながら補完性を生み出す
■融和性のマリアージュ・・・同じレベルの風味、同じレベルの複雑さ、同じタイプのストラクチュア


一覧表に添って多様性をチェック!.jpg"
※青字をクリックすると各生産者のサイトにリンクしますがヴィンテージ 、価格は異なる場合あり

#1:AOCアルザス・グラン・クリュフランクシュタイン リースリング2012 ドミニク・エ・ジュリアン・フレイ 価格:4925円(税込) 輸入元ヴィントナーズ
花崗岩を含む砂質土壌、輝きのある淡いイエロー、アロマ&酸味豊か、ミネラル、スモーキー、ハーブ、エレガントでバランス◎、包容力のあるワイン、ビオディナミ

#2:AOCアルザスピノ・ブラン 2012 ファッフェンハイム 価格:1944円(税込) 輸入元:サッポロビール
泥灰土壌、クリーンな淡いイエロー、フレッシュ&アロマ豊か、リンゴ、白桃、白い花、余韻は短め。「ワインがシンプルなら料理もシンプルなタイプで! その場合、塩やレモンをアクセントに」と講師

#3:AOCアルザス リースリング・ヘレンヴェッグ・ド・テュルクハイム2010 ドメーヌ・ツィント・フンブレヒト 価格:5184円(税込) 輸入元:ラック・コーポレーション
花崗岩土壌と黒い雲母の表土、テュルハルクは〝火の土〟という意味を持つ南から南東向きの温かい畑。しっかりした酸味、ミネラル、残糖はワインに溶け込み、口中でのバランス良し、エレガントで複雑味あり、ビオディナミ


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#4:AOCアルザスピノ・ノワールクロ・ド・ラ・ファイユ ドメーヌ・アルベール・マン 価格:6372円(税込) 輸入元:モトックス
当日供出された唯一の赤ワイン、砂質・石灰質土壌で日照度高い、低収量、赤系果実(カシス、野イチゴ、ブラックベリー)、滑らかでシルキーなタンニン、ビオディナミ、「アルザスらしくないピノ・ノワール。ブルゴーニュ的」とティエリー講師

#5:AOCクレマン・ダルザス グラン・ミレジム2010 ルネ・ミュレ 価格:4500円(税込) 輸入元:(株)オルヴォー
輝きのあるゴールデンカラー、気泡は細やかでクリーミー、柑橘系果実、ドライフルーツ、ヘーゼルナッツ、アフターに軽いビター感、ぶどう品種はシャルドネ&リースリング、ドザージュ0g/L、一次発酵は228Lの木樽で熟成は樽で36ヶ月、ビオディナミ、「アルザスでも入手が難しいアイテム、供出されたことに感謝」と講師

#6:AOCアルザス ゲヴルツトラミネール2012 ドメーヌ・アンドレ・ステンツ 価格:3780円(税込) 輸入元:ル・ヴァン・ナチュール(株)
粘土石灰土壌、ゲヴルツトラミネールの特徴香のライチが顕著、オレンジ、カリン、クチナシ、白コショウ、オイリーさ、アフターに若干のビター感、残糖26.7g/L、ビオロジック

[るんるん]追記:ラングドック試飲展示会でル・ヴァン・ナチュールのデュマ・フランソワ社長とお目にかかりました。デュマさんおすすめのマリアージュは「レモンのコンポートとゲヴルツ」とのこと。甘く仕上げたレモンの酸味を生かした風味がアロマ豊かなゲヴルツとナイスな相性になるそうです!

#7:AOCアルザス ピノ・グリオライン2012 エミール・ベイエ 価格:4428円(税込) 輸入元:(株)フィラディス
第三紀のレキ岩と泥灰土壌 (石灰が少なく、砂岩が多い土質) 、比較的涼しい畑の斜面上部や北斜面に植樹したPG、黄桃、アプリコット、ハチミツ、キノコ、オイリーさ、残糖18g/L、ビオロジック、「力強さがあるワインなので、料理にも力強さを求める」と講師

#8:AOCアルザス・ピノ・グリ・レゼルヴ2004 ドメーヌ・ヴァンサン・フライト 価格:3307円(税込) 輸入元:カーヴかない屋
10年経過したワインながらまだ若さあり。柑橘系果実のシロップ漬け、オイリーでスモーキー、完熟ぶどう由来のパワー、タンニンのニュアンスも。ストラクチュアがあるバランスの取れたワイン

第一フライトは和食
基本は上表の組み合わせで、刺身盛り合わせには#1、海鮮チャーハンには#8といった具合ですが、アルザスワインの多様性を探る意味で、全てのお皿に全てのワインを合わせてトライ!

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鯛とカンパチの刺身盛り合わせ(ワサビ、スダチ添え)は#1と素直なマリアージュ。ワインの酸味が和風柑橘のスダチの酸と相乗、同じレベルの風味で〇、#2は刺身単独だとワインのほうが強い印象なのですが、ワサビを使うとアクセントになり、バランスがよくなりました。#5のクレマン・ダルザスは無難に合わせられる便利な1本

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野菜と鱧の天ぷら(抹茶塩添え)
#2は淡白な鱧やシシトウの天ぷらに抹茶塩をつなぎ役にして


第二フライトはベトナムとタイ
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生春巻きと#5のクレマン・ダルザス
生春巻きの香草の香りが泡ものを飲んだ後、鼻孔に抜け、フレッシュさがよみがえる印象。丁寧に造られたクレマン・ダルザスなので食材に対してかなりの包容力があると感じました。

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トムヤムクンスープは#1#8#4も!
ティエリー講師は「フランス人は辛みが苦手」と語っていましたが、講師のおすすめは#6。登場したスープは通常のものより辛さ控え目だったので、激辛なら完全に#6のゲヴルツ! 30gほどの糖分と辛い食材の対極の組み合わせです。この味わいだと#1#8が同タイプのストラクチャアで良いバランス。個人的には#4の丸いタンニンとの相性が好きでした。

第三フライトはフレンチ
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海の幸のテリーヌ(ホタテとフェタチーズ)と#3、ともにクリーミーな食感、口中で双方が溶け合う感じ、同じ風味のレベル、文句なしの相性です。#1のリースリングでも〇

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牛肉の赤ワイン煮込みは赤ワインの#4 、ベースになった赤ワインが同じワインならさらに馴染むはず。泡効果で口中をフレッシュにしてくれるクレマン・ダルザスや白ワインながらタンニン分が舌を洗い流してくれる印象の#8でもマリアージュが楽しめました。

第四フライトは中華
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四川麻婆豆腐(右)と海鮮チャーハン
「私は大丈夫ですが、フランス人はあまり豆腐を好みません」と講師。ここでは若いピノ・グリとオールド・ヴィンテージのピノ・グリ2種で相性をチェック。料理が個性的で重厚だと、ワインも個性があってしっかりしたタイプを。四川の辛み、どっしりした味わいの麻婆豆腐には#8が同じレベルの複雑さで対抗していました◎

海鮮チャーハンはご飯の甘さと魚介の旨みからくる甘さが、#6のゲヴルツトラミナールと同レベルの風味。双方の〝甘さ〟のバランスが良かったと思います。


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アルザスの主要品種リースリング、ピノ・ブラン、ゲヴルツトラミネール、ピノ・グリ、ピノ・ノワールと泡もクレマン・ダルザスは1つの料理だけでなく、2品、3品と組み合わせて楽しむことができることがわかりました。冒頭にも書いたように淡白な料理から激辛、濃厚な味わいの料理に至るまで。

ティエリー講師は「来年はミュスカ等も試しましょう」と語っていましたが、美食のワインで、ラベル表記もぶどう品種名でわかりやすい〝アルザスワインの魅力〟を今後もお伝えしていきたいと思っています。


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