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Ch Margaux2013 バレル・サンプルテイスティング& Margaux du Ch Margaux2009 のお披露目 [来日したワイン生産者&関係者]

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2014年2月17日の素晴らしい体験!
コンラッド東京でのシャトー・マルゴーと(一社)日本ソムリエ協会共催のセミナーで、マルゴー史上初の画期的な取り組みが行われました。2013年ヴィンテージ(VT)のバレル・サンプルのテイスティングです。同時に、シャトー・マルゴーが約1世紀ぶりにリリースしたサードワイン『マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー2009』のお披露目もありました。

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総支配人&最高醸造責任者のポール・ポンタリエさんとは昨年9月以来の再会で、とっても嬉しかったです。撮影用ポーズのリクエストにも快く応じてくださいました。
手にしているワインがシャトー・マルゴーの新キュヴェ『マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー2009』
ポンタリエさんのネクタイも、茶色のラベルに合わせた感あり。オシャレな気遣いも素敵です!

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セミナー開始前のテーブルには8脚のグラスが並んでいました。

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サービスしていただいた後の全グラス



シャトー・マルゴーの沿革をたどりながら
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「300年前から今日まで全く変わらないのはテロワールであり、我々はすべてを熟知しています。ただ、より良いものを造り出そうとする手段は変化しています。我々は〝生きている伝統〟と言えます」とポンタリエさん


~16世紀、17世紀になって、単に良いワインを造るのではなく、〝卓越したぶどうを造る〟ためにはどうすればよいかということがなされてきた。つまり、この時点から卓越したワイン造りの歴史が始まったと言える。自然環境に合わせ、世代を通じた人間のたゆまぬ努力と意欲がグラン・ヴァンを生み出し、現在のような素晴らしいワインが生産できるようになった。グラン・ヴァンがわかる人たちが形成している市場が常に我々とともにあったことはラッキーだった。当初は英国、アイルランド、ドイツが中心で、18世紀には米国が登場。20世紀になって世界各国で販売されるようになり、日本は30年前から販売の対象になっている~

ポンタリエさんから、「現在、シャトー・マルゴーのシェ、醸造所の大規模な改造を行っています。英国の著名な建築家ノーマン・フォスター氏に委ねており、中心部に新しい研究・開発部門を設置する予定です。いろいろな要素を加えてシャトー・マルゴーの伝統を守っていくことが大事です」とのお話もありました。


第1部はマルゴー初のバレル・サンプルテイスティング
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(檀上左から)アジア担当アンバサダーのチボー・ポンタリエさん、シニアVPコマーシャルディレクターのオーレリアン・ヴァランスさん、通訳高村伸子さん、ポール・ポンタリエさん、モデレーターを務めたソムリエ協会常務理事石田博さん

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冒頭、ポンタリエさんから「瓶詰め前のバレル・サンプルをシャトーの外に出すことは、今まで一度もなかったことです。この試飲は今しかできないことであり、皆さんのようにワインをしっかり理解してくださっている方々が対象でなければできないことです」との説明がありました。

ソムリエとプレスに限定した今回のテイスティングには、シャトー・マルゴーに使う9~10のキュヴェのなかから、ポンタリエさん厳選の〝4種のサンプル〟が用意されていました。現地では、ちょうど、この日にシャトー・マルゴー2013を造るためのブレンド作業が行われている由。記念すべきテイスティングになっています!

ポンタリエ:ブレンドすることでそれぞれの個性が出てきます。その個性とはアロマの繊細さやタンニンのタッチ、長い余韻です。いろいろな土壌がワインに複雑味を与え、同じぶどう品種でも土壌によって味わいが違うことがおわかりいただけるはずです。

ポンタリエ:3種はカベルネ・ソーヴィニヨン(CS)、1種はプティ・ヴェルド(PV)で、CSはマルゴーの〝こころと体〟を形成する大事なぶどうです。シャトー・マルゴーの2013年VTのブレンド比率はCS94%、PV1%。カベルネ・フランは樽が強すぎたので、今回のサンプルには持参していませんが、5%使います。

サンプルの詳細は(1) カベルネ・ソーヴィニヨン・ル・ミュール(Le Mur)/キュヴェ№43、 (2) カベルネ・ソーヴィニヨン・レ・パンテ(Les Pantes)/キュヴェNo19、 (3) カベルネ・ソーヴィニヨン・プシュ・センペイユ(Puch Sempeyre)/キュヴェNo20、 (4) プティ・ヴェルド・メレ(Mellet)/キュヴェNo50

ポンタリエ:(1) は粘土質が勝っている小石混じりの土壌、パワー、タンニン豊か (2) と(3) はマルゴーの中心部に植えられている樹で、小石主体。アロマが高く、タンニンまろやか、口中で溶けるようなタンニン、(4) は料理に使う時の調味料的な役割。スパイスそのものを味うだけでなく、使うことによってお料理の味が良くなる効果をもたらす。フレッシュさとパワーをCSに与えます。

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マイベストは(2)のレ・パンテ。マルゴーらしいエレガントさを感じました。4脚を並べてみると量も減り気味。セミナー後、チボーさんに「カベルネのなかのベストワンは2」とお伝えたところ、「僕は3!」とのリアクションが!ヴァランスさんも3がお好きとのことでした。2も3もシャトー・マルゴーのブレンド率の50%を占めるそうなので、2の繊細さと3の重厚感の合体効果、感じました!

石田ソムリエのコメントは
(1)若々しさがあり、チャーミング、輪郭がはっきりしている
(2)は(1)より色調に深み、香りには落ち着きと厚みがある、酸が余韻をぐ~っと伸ばす。
(3)は(2)より開いた印象、緻密で複雑味があり、包み込むような豊かさ、飲んだ時の充実感
(4)は香りと味わいにチェリーの要素、酸と渋みが強く、味わいにフレッシュ感あり

2013年ヴィンテージは
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ポンタリエ:ボルドーだけでなく、ボルドー以外でも難しい収穫年でした。春は湿っていて開花が遅くなりました。夏(7月、8月)は好天で乾いた暑さがぶどうの熟度に貢献し、9月は湿気の多さでカビが広がりました。結果、収穫は早目に行い(通常より1週間早く終了)、収量も減りましたが、特にメルローとプティ・ヴェルドは激減しています。こういう難しい年こそ、偉大なテロワールかそうでないかの差が出ます。

マルゴー・ファミリーのワインを紹介
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(左から順に)(5) パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー2011、(6) マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー2009、(7) パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー2004、そして(8) シャトー・マルゴー1999

マルゴー・ファミリーにはグラン・ヴァンのシャトー・マルゴー(平均本数 約130,000 本)のほか、1908年に生まれたセカンドワイン『パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー(約130,000本)』。1920年に誕生した白ワイン『パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー』があります。

(5) の解説はポンタリエさんのご子息で、4年前から香港在で活動中のチボーさんが「畑は12haでソーヴィニヨン・ブランだけで造っています。フレッシュでソフト、リッチな白ワインです。和食(寿司、刺身)に合うワインだと思っています。問題は数量が少ないこと(約10,000本)、これはセカンドワインでなく、グラン・ヴァン!」と。

石田:輝きが強く、透明感があり、香りにはビスケットやバニラ、空気と触れ合うことでライラックのような清潔感のある花のイメージ、白桃、余韻にはフルーツ、花、ハーブ&スパイス、樽等がバランス良く感じられます。

マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー誕生!
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昨日刊の産経EXにニューフェイス『マルゴー・デュ・シャト-・マルゴー』というタイトルでサードワインを紹介させていただきましたので、併読いただけましたら幸いです。

シャトー・マルゴーでは基準に満たないワインはバルクワインとして売却していましたが、1997年からサードワインのセレクションを行っており、2009年ヴィンテージの酒質が素晴らしかったことで新キュヴェ、サードワインの発売を決意した由

ヴァランス:パヴィヨン・ルージュが造られている畑のぶどうを使っています。特徴は香りの豊かさです。深みがあり、優しさもあります。20年~30年持ちますが、今飲んでも美味しいワインです。デキャンタージュをしないでそのままサービスして欲しいです。比率は50%メルロー、40%カベルネソーヴィニヨン、残りはプティ・ヴェルド。次に何年VTが日本市場に出てくるかわかりませんが、2009年はあと1年半くらいするとさらに良くなります。

石田:色調は健全で艶があり、いきいきしています。カシスやブラックベリー、木の実、甘味とボリューム感、ふくよかさ、緻密なタンニンが口中をリフレッシュしてくれます。

石田:タンニンのテクスチュアーですが、(6) は包み込むような広がりが特徴で、ビロードの食感があり、心地よい収れん味があります。(7) はシルクのように歯茎に吸い付つくような印象、フルーツ、花、そこに湿った土、キノコの香りがあり、後味に複雑味が広がります。(8) には木やトリュフを思わせる香り、フローラルな印象があり、十分な若々しさ、活力も感じます。

ヴァランス:パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー2004はクラシック、口当たりが良く、ソフトでデリケート。20~30年の長熟タイプです。飲む1時間前のデキャンタージュがおすすめ。余韻にまろやかながら、しっかりしたパワーを感じます。

シャトー・マルゴー1999
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シャトー・マルゴーの特徴は余韻に広がるパワーと柔らかさ

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ヴァランス:素晴らしい年でした。複雑味があり、花、モカ、赤い果実、レザー等、どれか1つが際立ってくるのではなく、複雑味が備わったワイン。口中ソフト、ボンボン(あめ)を口にした印象。タンニンの存在を感じない、なめらかさがあります。余韻の長いワインで、そのなかにパワーと柔らかさがあります。これから先、30年~40年熟成させることができます。


エピローグ
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質問のなかから・・・
シャトー・マルゴーでは全体の3分の1がグラン・ヴァン、3分の1がセカンドワイン、6分の1がサードワイン、残りの6分の1がフォースワインでこれはバルクで売却されています。ヴァランスさんはサードワインの解説時、「ヴィエイユ・ヴィーニュはグラン・ヴァン、樹齢の若い樹はサードワイン」と発言していました。
これに関連して、「それぞれのワインの平均樹齢を教えてください」との質問が出ていました。

ポンタリエ:各ワインの違いは〝ワイン品質の違い〟です。その違いは区画、ヴィンテージ、樹齢からくるもので、樹齢は1つの要素にすぎません。重要なのはテロワールであり、テロワールが良ければ若樹でも素晴らしいものができますし、テロワールが悪ければ古樹でも優れたものはできません。

セミナーが終わって・・・
サードワインはフランス以外、英国、米国、日本の4カ国だけで販売されます。マルゴー・ファミリーの他アイテムはネゴシアンを介しますが、『マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー』だけは、シャト―と輸入元との直接取引きで、エノテカ、ファインズ、徳岡、モトックス4社の扱いになります。
ポンタリエさんは、新発売のサードワインが、若い世代にとって、シャトー・マルゴーに馴染むキッカケのワインになることを期待しています。『マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー』を味わうことができるレストランのリストは、間もなく、シャトー・マルゴーのウェブサイトで公開されるそうです、これもお楽しみに!


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山本義博

青木さん: 内容が専門的で圧倒されましたが質問があります。
2と3の違いですが3の方が味にバランスが取れて(色々な要素がうまくはまっている)いませんでしたか? 別の言い方をすると2の方は強さが少し出ているとか一つや二つの要素が他と比べて少し前に出ていませんでしたか?今2016年に読んでいるので記憶が薄れているかもしれませんが憶えていればお教えください。
by 山本義博 (2016-04-14 13:28) 

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