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デュヴァル・ルロワ会長来日リポート ~遺言を守りメゾンを発展させた偉大なファム~  [シャンパン]

シャンパンメゾンデュヴァル・ルロワの会長キャロルさんとは2008年11月以来の再会! 輸入元ヴィレッジセラーズ主催のセミナーは2回あり、初日の会場は(社)日本ソムリエ協会会員対象@グランドプリンスホテル高輪、2日目はプレス、ソムリエを含めた得意先対象@シャングリ・ラ東京でした。

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『ファム2000』を手に@シャングリ・ラ東京で
冒頭、ヴィレッジ・セラーズのリチャード・コーエン社長と中村芳子専務にお礼の言葉がありました。「数多くのシャンパンを扱うのではなく、唯一無二のものとして大事に取り扱ってくださっていることに感謝しています。弊社は販売面、輸出面でも人間的な付き合いを大事にしているので、同じ考え方であることに共感しています」

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フランス語の通訳はシャンパン業界から絶大な信用を得ている三島ちづ子さん

デュヴァル・ルロワはヴェルテュに住んでいたぶどう栽培業者のデュヴァル家とランスに住んでいたネゴシアンのルロワ家の結びつきから歴史が始まります。1859年のことです。メゾンは家族によって引き継がれ、6代目に入りました。キャロル会長は夫亡き後、1991年に5代目の経営者としてメゾンを継承し、維持・発展させてきました。「メゾンを継承し、息子たちにつないで欲しい」との遺言も守り、現在 『デュヴァル・ルロワ』はシャンパーニュ地方でトップ15社に数えられるようになっています

シャンパン造りに関して
■自社畑200ha
■5か所の村に圧搾機を16台設置。ぶどう収穫後すぐ圧搾、果汁はヴェルテューの醸造所に搬入
■ジャイロパレット204台所有、1週間で20万本処理。導入以前は3週間かかっていた作業が3日間終了。但し、トップキュヴェ『ファム』のルミアージュ(動瓶)はいまでも手作業
■年間の生産量は500万本~550万本、輸出60%(イギリス、ベルギー、ドイツ、アメリカ)
■シャンパンのストックは1800万本
■環境保護に注力(ボトルのリサイクル、コルク樫の再植樹など)

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マーケティングデイレクターのロジャー・ベゴーさんは2011年の出荷量について「輸出相手国の1位はイギリスで3450万本、日本は5位で約800万本」と説明

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キャロル会長の象徴ファムは従来のゴールドから左のラベルにチェンジ。ボトルのロゴは3人のご子息のイニシャル(ジュリアン、シャルル、ルイ)。ワインのネーミングは「シャンパンメゾンで女性経営者は君だけであり、君がメゾンを継ぐのだから」との亡夫の言葉を反映したもの

テイスティングにはファム1996も登場
#1:デュヴァル・ルロワ ブリュット・デザイン・パリNV
ぶどう品種:ピノ・ノワール70%、ピノ・ムニエ20%、シャルドネ10%、ドザージュ8g/L
希望小売価格6000円(税別)
気泡の細やかさが特徴、ムースや茶碗蒸の滑らかさと合わせると絶妙
ミレジム・デザイン・パリ2006もリリースされています

#2:同 フルール・ド・シャンパーニュ・プルミエ・クリュNV 100周年記念ラベル
ぶどう品種:シャルドネ80%、ピノ・ノワール20%、ドザージュ8g/L
希望小売価格6000円(税別)
1911年から生産、曽祖父がぶどう畑を歩いていて白い花の香りを感じ、ネーミングにした家族の伝統を表現しているシャンパン。キャロルさんのお気に入りシャンパンはこのフルール・ド・シャンパーニュとファムとのこと

#3:同 オーガニック・ブリュットNV
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%、ドザージュ8g/L
希望小売価格7500円(税別)
エコセール認定、原料ぶどう由来の凝縮した風味、長く続く余韻と広がりが特徴

フランス国内の販売分はピノ・ノワールとシャルドネ各50%で、輸出用はピノ・ノワール100%
ゆえに日本で流通しているものはピノ・ノワール100%。「健全なぶどうでなければなりません。年毎のばらつきもあり、生産量も少ないので、国内販売用と輸出用に限られたぶどうをやりくりして造っています。醸造面でも他のぶどうとは混ぜられないので、別扱いで生産する必要があり、手間がかかります。経費の面でも大変です」とキャロルさん

#4:同 ファム2000
ぶどう品種:シャルドネ95%、ピノ・ノワール5%、ドザージュ4.5g/L
希望小売価格15000円(税別)
グラン・クリュのみのぶどうを使用。区画ごとに醸造し、オーク樽で熟成したワイン(25%)をブレンド。初リリースは1990年ヴィンテージ、続いて95年、96年、2000年(2012年から販売)。軽やかでエレガント、フェミニンなタッチ

#5:同 ファム1996
ぶどう品種:シャルドネ79%、ピノ・ノワール21%、ドザージュ4.5g/L
希望小売価格18000円(税別)
例外的ともいえる素晴らしいヴィンテージ。オーク樽で熟成したワイン(7%)をブレンド。5つのグラン・クリュ(シュイイ、アヴィズ、オジェ、ル・メニル・シュル・オジェ、アイ)のぶどう使用

#6:同 ロゼ・ブリュットプレステ―ジNV
ぶどう品種:ピノ・ノワール70%、ピノ・ムニエ20%、シャルドネ10%、ドザージュ9g/L
希望小売価格9000円(税別)
マセラシオンしたピノ・ノワール(ヴェルテュ産)にシャルドネをブレンドしたロゼ
フィネス、複雑味、まろやかさ

ファムのブレンド比率の違いは
プレスティージシャンパンは自社畑のぶどうを使って最高のものを造っているので、年毎にぶどうの出来が違うため、比率も違ってくるそうです。キャロルさんは「我々がイメージするシャンパンを造りたいという思い、それはメゾンを守りたい=品質を守りたいということにつながっているのです」と

後半(続)はインタビューをまとめています。



デュヴァル家の歴史を表現しているクロ・デ・ブーヴリー
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セミナー開始前にランチ@ピャチェーレでインタビューさせていただきました

最初に登場したのはクロ・デ・ブーヴリー2005
2005年は酸味ハッキリ、火打ち石のニュアンス、ミネラル感にあふれた味わい

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2009年9月訪問時撮影
コート・デ・ブランのヴェルテュ村にある3.3haの畑で、ぶどう樹は50年以上の古樹

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2009年9月訪問時撮影
真東向きのなだらかな斜面のぶどう畑には方位を示すテーブルも!

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2009年9月訪問時撮影
ロンドン、パリ・NY、モンテカルロに加え、東京もありました!

毎年クロ・デ・ブーヴリーを生産しているワケ
100年前から同家が所有しているぶどう畑で、同家の人々はこの畑を熟知しています。毎年生産しているヴィンテージものです。「単一品種(シャルドネ100%)であり、栽培・醸造も毎年同じスタイルで行うことで、気候の変化が理解できます。つまりモニタリングをしているのです」とキャロルさん。『エノ(葡萄酒の、ワインの意味)・クリマチック』と表現していました。

2002年から初めて造り始めたシャンパンで、2002年以前はフルール・ド・シャンパーニュ・プルミエ・クリュにこの畑のシャルドネを使っていたそうです。
「3.3haで1haあたり平均10500kgなので、多い時で35000本くらいの生産になります。毎年の気候の変化があるので、生産量は一定ではありませんが、“気候”をキーポイントにして、ぶどうが、またワインがどのように変化していくか調査をしています。まだ10年ですが、これから先、20年、30年と続けていくことで結果が出てくるでしょう」とキャロルさんは答えていました

デュヴァル・ルロワでは新醸造所で作業を行っていますが、それ以前はクロ・デ・ブーヴリーの畑が中庭のような感じで、それを取り囲むように施設が建っていたそうです。50年前の画像を送ってくださるとのことなので、今は届くのを待っているところです。届きましたら掲載します。[ぴかぴか(新しい)]画像到着!

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画像協力:Duvai-Leroy 現在のクロ・デ・ブーヴリーの畑

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画像協力:Duvai-Leroy 昔のクロ・デ・ブーヴリーの畑

コート・デ・ブランの真ん中に位置するヴェルテュにあって100年以上の歴史を誇るクロ・デ・ブーヴリーの畑。新旧の画像とも、中央部分のかなたに“トンガリ屋根の塔”が見えます。ほぼ同位置で撮影しています。 


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シャングリ・ラ東京のイタリアン『ピャチェーレ』での一品にシャンパンを合わせて

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生産量1200本のオーサンティス・キュミエール2003はピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワール

私的感想
2003年は極寒、猛暑、雹(ひょう)、霰(あられ)の凄い気候でしたが、そのような過酷な自然状況下で生まれた『オーサンティ・キュミエール2003』の奥行ある豊かさに感嘆しました。今まで飲んできた2003年のヴィンテージシャンパンのなかで、「このキュミエールとボランジェとアンリオがトップ3」と発言させていただいたのですが、「2003年の気候に耐えられるのは“体力のあるぶどう”でないと難しい」とのお言葉が。私は3メゾンのぶどうたちには間違いなく体力があったと確信しています。

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ブーヴリー(シャルドネ100%)とオーサンティ・キュミエール(ピノ・ノワール100%)の色調の違いをみるロジャーさん。キャロルさんのシャンパンに向けた視線に愛情を感じます

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デザート用に造られた『レディ・ロゼ・セック(375ml)』は今月すでに初入荷しています。キャロルさんはシャンパンと合うデザートをテーマにした『デザート・オブ・ザ・イヤー』のスポンサーとして、優秀パティシエの表彰も行っています。

キャロルさんへの質問を振り返って
ランチにはシャンパン仲間の小林史高さんも同席していました。小林さんは酒販店を経営なさっていたお父様の他界後、会社を継いだお母親様の気持ちと自分自身の体験を踏まえ、キャロルさんにご主人とお子さんのことについて質問していました。この時のキャロルさんが返した「これで良かったと思うか、こうでなくて良かったと思うか、もっと悪い結果にならなくて良かったと思うことが大事」という答えに、姉御肌の気風の良さを感じました。

小林さんが「お子さんたちはお父さんと一緒に仕事ができなくて残念だったと思います」と発言したときも、「それが人生っていうものよ」の一言、いやいや、そのリアクションの見事さ。偉大なファムの風格でした! 
「当時、息子たちは8歳、6歳、4歳で、4歳の子は写真でしか主人を知りません、そのような経緯があったので、子供たちのなかに父親を継ごうという強い意志が生まれたようです。父親が生きていたらどうだったかというと、もしかしたら跡を継がなかったかもしれないので、これで良かったと思っています」と。

キャロルさんは自分の子供たちだけでなく、若手ソムリエの教育にも力を入れています。極少生産のプティ・メリエ100%のシャンパンについても「ソムリエのための教育用のシャンパンだから」と回答。過去に1度だけ試飲したことがありますが、シャンパン講座で出したい興味惹かれるアイテムです。

私的感想
ご主人の死後、遺言を守り、メゾンを拡大&発展させてきたキャロル会長。3人の実の息子さんたちがメゾンに参入したことで、妻として、母としての使命を全うしたという安堵感が伝わってきました。長男ジュリアンは2年前に入社して社長秘書を兼ねながら事務全般を学んでおり、二男シャルルはマーケティングと広報担当 三男ルイは2か月前に参入して営業関係を担当、現在研修中の身で、3人3様、各部署で活動しています。前妻の息子さんは中国人女性と結婚して上海在住、現地でワインのインポートを手掛けているそうです。デュヴァル・ルロワの拡売にとっては頼もしい存在です。
インタビュー&セミナーの間、“継承”という言葉が盛んに出てきましたが、4人の子供たちへの“継承”は順調に進み、偉大なファムは新たなステップ目指して勢いを増している印象でした。

女性目線の素敵なお土産
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デュヴァル・ルロワはシャンパーニュ地方唯一の女性コンビです。キャロルさんと醸造責任者のサンドリーヌ・ロジェット・ジャルダン女史の女性目線に立ったシャンパン造りはラベル、キャップシール等の細部にも表現されています。インタヴューのあと、「小さなお土産よ」と言ってキャロルさんがくださったものは、メゾンのロゴ入りのバックハンガーと携帯ミラー! 女性ならいただいて嬉しいグッズです。特に携帯ミラーは左が拡大鏡になっているので、老眼傾向には助かる大事な必需品になっています。おしゃれなグッズ、ありがとうございました!
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toki

最後の写真のデザート?
どんな味がするのでしょう??
アートですね!!

by toki (2012-06-23 21:49) 

fumiko

tokiさん
なかに生クリームが入っていて、お菓子全体とてもソフトで美味でした。

by fumiko (2012-06-26 21:08) 

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