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ルイ・ジャドのジャック・ラルディエール最高醸造責任者のワインワールド [来日したワイン生産者&関係者]

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ホテルオークラに向かう途中の桜坂にはその名の通りのきれいな桜が!

ルイ・ジャドの守護神ラルディエールさん
4月にルイ・ジャドの最高醸造責任者ジャック・ラルディエールさんが来日しました、6年ぶりです。
1970年の入社以来、同社のワインの品質向上に貢献なさってきたラルディエールさん
今年末でリタイアして、来年からは顧問として後進の指導にあたるそうですが、まだまだ気力十分、パワー十分のお方なので、これからも元気に活躍なさることと思います。

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輸入元の日本リカー様主催のセミナーもありました。
同社は[プレゼント]今年創業50周年を迎えます。 おめでとうございます!
冒頭、ラルディエールさんから 「70年代、ルイ・ジャド製品はホテルオークラを介して輸入されていました。オークラの社員になると14か月フランスで研修を受けることができました。フランス語のほか、ルイ・ジャドあるいはシャプティエあるいはテタンジェで4~5か月間のワイン研修をする権利が与えられ、現地で研鑽を積んだ研修生は帰国後、ホテルオークラでソムリエとして働くのが当時の流れでした」との説明がありましたが、セミナー会場となったオークラはルイ・ジャドとの間に深い絆があったのです。

彼が入社した頃のブルゴーニュのワイン生産量は3500ヘクトリットル、今では75000ヘクトリットルになっています。当時はアメリカやイギリスの経済が潤っていたので両国への輸出が好調でしたが、質より量の時代で、以後、品質についての改善がなされていきます。

そのため、■自社畑を多く所有する(現在170へクタール所有) ■健康なぶどうを栽培し収穫する ■契約農家からぶどうを購入する場合は、きちんとした相手から品質の高いものを入手し、ルイ・ジャドで醸造する、を条件にしていました。さらに良質なぶどうを醸造するために必要な施設、それがボーヌにあるサブリエール醸造所で、1997年に完成しました。醸造所の天井部分にご注目! エネルギーが集中するように設計されています。

 
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ルイ・ジャドが誇る醸造所内部(2010年9月撮影

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参考文献:ブドウ畑の自然環境

第二紀と第三紀の裂け目から出てくるエネルギー
「ブルゴーニュの土壌の断面をみると、第二紀の地層の上に第三紀(約6500万年~200万年前)が形成されていて、地殻変動によってできた裂け目からエネルギーが噴出しています」とラルディエールさん。岩と岩がこすれると電気がおこります。その熱によって土中のバクテリアや菌類が母岩を分解してミネラルを引き出しますが、地中からのエネルギーやミネラルの放出の強い場所がブルゴーニュでグラン・クリュと呼ばれる場所であり、そこから離れれば離れるほどエネルギーは弱まっていくとのことでした。第ニ紀は「中生代」と同じ

ブルゴーニュの場合、エネルギーが噴出するところは、ぶどうだけでなく、植物にとっても最高の場所であり、そこには教会が建っています。地中のエネルギーと天体のエネルギーが合体するのがその地点で、それらが重なると素晴らしい結果が生まれ、そこで造られたものを飲んだり食べたりすることで、体内にエネルギーを取り込むことができます。体のメカニズムとして取り込まれたものは消化されますが、この時、不純物は浄化され、ピュアなものだけが吸収されます。ラルデイエールさんはそれを“ポリマー化”と表現していました。

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一番お好きな白ワインはシュヴァリエ・モンラッシェ グラン・クリュ レ・ドゥモワゼルとか。2年前にバレルテイステイングをさせていただいたのが創業150周年目のヴィンテージ!
2010年9月撮影

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供出ワインは5種類、#2#3、#4はルイ・ジャドの地下セラーから届いたものです。
注:日本リカー様のワイン解説を添付していますが、ヴィンテージ違いのものは価格が異なります

#1:ソンジュ・ド・バッカス ブルゴーニュ・シャルドネ2009
L:ハーモニーを大事にしたベーシックなワイン、リッチな味わいです

#2:シャサ―ニュ・モンラッシェ プルミエ・クリュ“アベイ・ド・モルジョ”2006
L:気候的には難しい年、生き生きしてかなりパワーあり、ミネラル分豊かで熟成感あり。かつては生産量の85%が赤ワインで、白ワインはほとんど造られていなかったのですが、現在では90%が白ワインです

#3:コルトン・シャルルマーニュ グラン・クリュ1988 参考商品
L:寒い年、酸味が若干強め、ミネラル感とベジタル感(微妙な味わいを造りあげる要素)

#4:サヴィニ・レ・ボーヌ プルミエ・クリュ“レ・ラヴィエール”2006
畑の広さは22ヘクタールで12年前からビオディナミ農法を導入。2006年は収穫時に雨が降り、厳しい気候でより徹底した選果を実施
L:ビオディナミで栽培したぶどうは、腐敗しているそうに見えてもまったく問題がなく、生き生きとしたワインになりました。化学的なものの影響を受けることなく、良いものができるのがビオディナミ

#5:シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ グラン・クリュ2006
「シャンベルタンはより繊細で、より女性的な表現をしているワイン」とラルデイエールさん。女性的という言葉の後ろにあるのは、クリエーティブなものによって新しいものが生まれてくるということを意味しています。この時、エネルギーが強ければ強いほど、パワーは広がるので、より生命力のある香りを感じることができます。

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上の画像の黒い点がアロマの分子で、左がプルミエ・クリュ、右がグラン・クリュでエネルギーの強いところで造られたもの。ラルディエールさんはワインを造る時、スパイラル(らせん状)に上昇するその分子をいかに高いところに持っていくかが大事であるかということを力説していました。

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らせん状に広がる香りは時計回りに増幅し、逆に回すと分子は落下するとか

試飲会場には新製品も登場して
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昨年11月、INAOによって認定された新AOCワインコトー・ブルギニョン
世界に先駆けての登場です。[ぴかぴか(新しい)]6月7日から出荷開始、希望小売価格1850円(税抜)

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シャプティエのブースで試飲中のラルディエールさん!

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1000円で購入できるウチ飲みワインのおすすめ!
M.シャプティエのペイ・ドック ロゼ
出荷開始は来週の木曜日24日です!



セミナーの前に行われたプレスランチに登場したのは
『コルトン・シャルルマーニュ グラン・クリュ1991(Dエリティエ・ルイ・ジャド)』
『ジュヴレ・シャンタン プルミエ・クリュ クロ・サン・ジャック1985(Dルイ・ジャド)』
ルイ・ジャドの地下セラーから届いたものです。

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グラス壁面の粘性、濃厚な蜜の風味、限りなくエレガントな1本

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突出し:湯葉豆腐 亀甲あん 人参 青味
お造り:鰹土佐造り 季節の芽物
一品:豆腐蕗味噌掛け 蛍いか 人参 菜の花

ラルディエールさんは蛍いか+お味噌と、コルトン・シャルルマーニュの相性を絶賛。「和食は自由に楽しめますが、見えない力が入っています。料理長は蛍いかをお味噌とともに食べることを意図して作っているので、我々はそれを読み取らなければならない。ワインも同じで読み取ることが大事。基本的にワインのなかにはタンパク質があるので、ワインがきちんと熟成していれば食べ物との相性も良い」とコメント。

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グラスから漂う芳醇で複雑味のある香り、なめらかな舌触り、なまじの言葉は不要

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天ぷら:鱚、海老、丸十、春菊、アスパラ、椎茸
お食事:御飯、香の物、味噌汁
食後のデザート 季節の果物

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ワイン造りの話の時は、マシンガントークで、継ぎ目なしのラルディエールさんですが・・・
コルクをくわえて「ジャドシガー」、お茶目です!

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プレスランチの会場@山里で(左から)
ヴィノテークの蝦沢シニアエディター、WANDSの芳野編集長、ワイン王国の村田編集長
ラルディエールさん、青木、日本リカーの大久保社長

産経EXでは畑のメモリーを第一に考えるラルディエールさんにフォーカスしてみました。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120517/trd12051712460019-n1.htm

ビオディナミ、ジオビオロジーについて
ルイ・ジャドでは一部ビオディナミを導入していますが、それをラベルに表記していません。なぜなら、ビオディナミもジオビオロジーも昔から行われていたことであり、ルイ・ジャドでは当たり前の作業として行っているからです。

「ジオビオロジーとは土地のエネルギーライン、地中からの磁力を理解すること、それは“土の力”です。ビオディナミと同じことです。ジオビオロジーという言葉は18世紀からありますが、我々に大切なことは“言葉”で説明することではなく、“生きる”ことなのです」とラルデイエールさん。

続けて「それぞれの畑にぶどうが植えてあっても、そこから出てくるエネルギーの強さが違えば、できるワインも違ってきます。果物は場所によって熟す速度が違いますし、同じ野菜でも日本とフランスでは味が違います。それが現実です。それについて昔の人たちはシュタイナーよりもずっと以前から多くのことを学び、実践してきました。シュタイナーはキリスト教を信じ、神が万物の創造主、世界のエネルギーの源だと信じていました。私はシュタイナーと違って、キリストがすべての源だとは思っていません」と語っていました。

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ラルディエールさんのサイン入りメニューにはアロマのスパイラル図が
ボーヌ2009に書いてあった「Dynamiquement」、私はビオロジックウーマンとか!

プレスランチでもセミナーでも、エネルギー、モレキュール(分子)、アロマのスパイラル、ポリマー化等の言葉が立て続けに出てきて・・・ラルディエールさんの話を正しくリポートしようとすればするほど、ぬかるみに(苦笑)
一番適切な言葉はブルースリーの名言Don't think. Feel ! だと思います。
考えるのではなく、感じること!
「シェフの意図を読み取れ、見えないものを感じ取れ」と何度か言われました。

そして、そのラルディエールさんが目に見える形で示してくれたのがワインです!
エネルギーや分子は見えませんが、嗅覚や味覚で感じ取ることはできました。
私の小さな脳細胞が消化しきれていないところは、早く脳がポリマー化するよう頑張ります!

ルイ・ジャドの今後ますますの発展を願いつつ、天才肌の醸造家ジャック・ラルディエールさんのご活躍にも注目していたいと思います。サポートしてくださった皆さまにもこころから感謝しています。
ありがとうございました!


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hako

ジャドシガー、ナイスです。
by hako (2012-06-03 10:51) 

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