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マイケル・モンダヴィ・ファミリーのワインスタイルは・・・ [ワイン]

カリフォルニアからマイケル・モンダヴィさんが来日して、マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートの2ブランドの紹介を交えたセミナーを行いました。昨年10月から輸入元のジェロボームが販売を開始しています。

イタリア系移民のモンダヴィ家は4代にわたってワイン造りをしていますが、カリフォルニアでの躍進は、1967年に2代目ロバート・モンダヴィ(2008年5月他界)さんがナパ・ヴァレーにワイナリーを立ち上げたところから始まります。彼はナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンを世界に認めさせた功労者です。来日したマイケルさんは2代目ロバートさんの長男で、1966年から父親と一緒にワインビジネスにかかわり、8年前にファミリーで『マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステート』を設立しました。今は息子のロバートJrとともに2世代でワイン造りをしています。コンセプトはカリフォルニアの個々のぶどう品種、テロワールを最大限に表現することだそうです。


マイケルさんが語るナパ
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画像提供:マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステート
ナパの土壌は地殻変動によって3つのプレートがぶつかり合ってできています。西側の土壌は海からの堆積土壌がメインで緑が多く肥沃、東側(山側)は火山岩が多く、乾燥した痩せたエリアです。全く異なる土壌ですが、距離的には東西で15kmほどしか離れていません。また、ナパは海抜50mから500mまでの起伏に富んだエリアであり、100種類の土壌が入り混じっています。

『エンブレム』と『エム』の目指す方向は
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カリフォルニアのカベルネの最高峰を視野において
#1#2#3は『エンブレム』で、ナパ・ヴァレーの素晴らしいカベルネに特化しています。4代にわたってワイン造りを続けているモンダヴィ家の伝承をエンブレム(象徴)の言葉に託し、同家が考えるナパ・ヴァレーの過去から未来を反映させたスタイルになっています。ワインメーカーはロバートjrで、マイケルさんと愛娘はアドヴァイザー役。「娘のテイスティング能力は優れており、余韻の残り方やバランスの取り方がとても良いのです。女性のほうが五感に優れているのでワイン醸造に向くと思います」とマイケルさん。2世代のワイン造りで父と息子の意見が合わない時に、彼女の公平なバランス感覚が潤滑油になっているようです。

#1:エンブレム・カベルネ・ソ-ヴィニヨン2009
カベルネ・ソーヴィニヨン86%、プティット・シラー4%、メルロー4%、シラー3%、プティ・ヴェルド3%
エンブレムは4区画あり、#2のオソ・ヴィンヤードが一番広く、#1に60%使用。柔らかくて親しみやすい味わいなので、若いうちから気軽に楽しめるワイン

#2:オソ・ヴィンヤード・カベルネ・ソーヴィニヨン2007
カベルネ・ソーヴィニヨン100%、シングルヴィンヤード(単一畑)100%
東側のアトラスピークの山側に面した標高400mの単一畑、土壌は西側の堆積土と東側の火山岩が混ざり合っていて、標高が高いので霧は入ってきません。平地の#3と比べると、収穫時期は1週間から10日ほど遅いとのこと。オソはスペイン語で“熊”の意味

#3:ラザフォード・カベルネ・ソーヴィニヨン2007
カベルネ・ソーヴィニヨン100%、シングルヴィンヤード(単一畑)100%
ナパ川に近く、ナパの真ん中に位置するエリアで、海抜は50m。肥沃な砂質やローム質の土壌。毎朝霧が発生し、10時になると消え、そのあと強い陽が差し込みます。果実味豊かで、まるみあり、親しみやすいワイン

1800年代後半から1900年前半にかけてのナパは
ナパのワイン造りの歴史に関してマイケルさんは「1800年代後半から1900前半にかけて、ナパのワインは高い評価受けていました。1890年ごろの栽培地は7500haもありました。私はその多くが平地だと思っていたのですが、それらは山側で、平地では野菜や果物を生産していたことがわかりました。1800年代後半はぶどう害虫のフィロキセラや禁酒法施行の余波で、ぶどう畑は800haまで激減。1950年代から1960年代になってワイン産業も復興し、ぶどう樹が植樹されていきますが、作業しやすく、コストも安いという理由から平地の利用が多くなっていました。

ロバート・モンダヴィ時代は900haのぶどう畑を所有していましたが、すべてが平地にあったので、山側の畑のぶどうの良さ(骨格があり、バランスもよく、アルコール度数も低い)が分かっていたので、どうしても山側の区画を手に入れたいと思っていました。1990年前半から区画を探していて、1992年にファミリーでアトラスピークに行き、心を動かされるぶどう畑に出会いました。最初の5年はオーパス・ワンに使っていました」と熱い思いを語っていました。

世界のトップカベルネを視野において
アトラスピークの頂上に位置する火山岩土壌の7haの単一畑。『エム』はモンダヴィ家が1960年代後半から1970年代に造っていたカベルネ・ソーヴィニヨンを思い出させるスタイル。2005年が初ヴィンテージ。ぶどう畑はイタリア語では“Animo(魂)”と名付けている由
http://www.jeroboam.co.jp/wine_maker/michael_mondavi.html
#4:エム・バイ・マイケル・モンダヴィ2005
#5:同2006
#6:同2007

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『エム』3ヴィンテージのなかでマイケルさんのお気入りは2007年で、ロバートJrは2006年
私も2006に同意です!

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供出されたワインボトル、左から順に#1~#6

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来日セミナーで、カリフォルニアの生産者の多くはノーネクターが多いのですが、マイケルさんはきちんとネクタイを着用。以前お目にかかった時より、とてもソフトな印象でした。

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エム・バイ・マイケル・モンダヴィ ヴァーテイカル・セット2005、2006、2007
希望小売価格72000円(税別)

セミナー後のフリーテイスティング会場で
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ロバートJr.がたちあげたワイナリー『スペルバウンド(魔法にかかったの意味)』の4アイテムで、左からシャルドネ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティット・シラー。どれも飲みやすくバランス良く仕上がっています。毎日気軽に飲める美味しいカリフォルニアワインです。希望小売価格は各2000円(税別)、神秘的な月のラベルもいろいろイメージできて楽しいです。

古樹ジンファンデルから生まれた『メデューサ』
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私は1999年にカリフォルニアのソノマを訪問して古樹のジンファンデルを見て以来、隠れジンファンデルファンになっています。マイケル・モンダヴィ・ファミリーが造る『メデューサ』はナパ・ヴァレーのクリークサイド・ヴィンヤードのもので、種由来のタンニン(渋み)が木目細かくて、イイ感じでした!
実際の古樹も見たくて、ワイナリーにお願いして、画像を送っていただきました!

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画像提供:マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステート
樹齢60年~80年のジンファンデル、凄い貫禄です。確かに樹のねじれがギリシャ神話に出てくるメデューサの髪を連想させますね。

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画像提供:マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステート
剪定されたジンファンデルのぶどう畑、見事です!

樽について
『エンブレム』と『エム』は一部樽業者が重なっていますが、ボルドースタイルの『エム』にはより厳選した樽を使っているそうです。5~6の樽を使用、樽業者とは長い付き合いがあるので、彼らが特別に所有している樽を分けてもらっているとのこと。具体的には古い樹齢の木から成樽した樽、シーズニング(野外で樽に使う木片を乾燥させ、木内部の雑味やタンニンなどを取り去る作業)に5~6年(通常3年lくらい)かけた樽です。

木目細かいタンニンになるわけは
マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートが造るワインはタンニンがソフトです。ぶどう本来の熟成をきちんと把握しているからです。温暖化で糖度が簡単にあがりやすくなっていますが、糖は上がっても、種は熟していないことが多いので、収穫期にはこまめに畑に出向いて種の熟度を見きわめるようにしているそうです。

マイケルさんがワイン造りを始めた1960年代、1970年代は、栽培と醸造がそれぞれ仕事をしていました。今では分業もなくなくなり、お互いが交流することで良いぶどうを手に入れることができるようになっています。“良いワインは良いぶどうから”、やはり畑が命です。温暖化についてマイケルさんに質問した時、「温暖化についてはよくわからないけど、収穫期も早まってきているし、糖度も上がりやすくなっているので、ナーバスにはなっているよ」と言っていました。

久々のカリフォルニア話題になりました。とても濃い内容でした。嬉しいことにマイケルさんからも温かなメールをいただきました。エムを試飲していて、懐かしい気分になっていたのですが、実はオーパス・ワンを思い出していたからです。かつてはこの畑のぶどうが使われていたこともあったのですね。
ジュエボームの山下陽子さんにもお世話になりました、ありがとうございました!!
 



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コメント 2

hako

ソフトなタンニン、気になりますね。
IT系の人達も世界中から集まっていますから、味わいも繊細に
なったのでしょうか。
by hako (2012-06-03 10:50) 

fumiko

hakoさん、チャンスがあればぜひ『メデューサ』を試してください!
by fumiko (2012-06-03 15:52) 

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