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シャトー・パルメの新たな取り組み、気になるシラー、白ワイン! [来日したワイン生産者&関係者]

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深みのある濃紺と金色はシャトー・パルメのブランドイメージ!
2000年ヴィンテージからフロントラベルに偽物防止用のホログラム(防止対策として瓶底にはパルメの文字刻印)を入れていましたが、2009年ヴィンテージからはホログラムに代わる新工夫が施されるそうです!

『ブルーフタグ』と呼ばれるもので、シャトー・ラトゥールではすでに2007年ヴィンテージから導入しており、シャトー・マルゴーは今年から使用しているとのこと。ボトルのキャップシールに記載してあるタグナンバーをシャトーのサイトで検索すれば、トレサビリティと本物か偽物かがわかる仕組み。パルメの場合、12月にリリースされるアルタ・エゴ2009で初お目見えの模様。

現物を見ていないので、私も細かい説明ができませんが、キャップシールとボトルの間にできる偶然の産物の極小の“空気の泡”がキーだそうで、開栓してしまうとこの泡が消えるので、偽物防止になるということでした。中国ではシャトー・ラフィットの空ボトルが高値で取引されている昨今、高級ワインの生産者は偽物対策に力を入れないと落ち着きませんよね。あと2ヶ月くらい後には、シャトー・パルメのサイトに『ブルーフタグ』の案内が表示されると思います。

シャトー・パルメの個性
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ピーロート・ジャパン主催シャトー・パルメ プレス向けレクチャー&テイスティング
講師をつとめたベルナール・ドゥ・ラージュ・ドゥ・ムー広報部長

シャトー・パルメの特徴について、ベルナールさんは「デリケートさ、エレガントさ、熟成とともに備わるベルベットのような舌ざわり」をあげていました。現在の栽培面積は55haで、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロの比率は半々、プティ・ヴェルドが少々。マルゴー地区の他シャトーとシャトー・パルメの違いは、カベルネ・ソーヴィニヨンに適した砂利質の土壌に、メルロを植えていることです。これによって、やわらかさだけでなく、ストラクチュアのあるメルロを誕生させることができます。カベルネはワインに深みを、プティ・ヴェルドは濃い色調、力強さや複雑さを与えます。同ワイナリーがメルロに力を入れるようになったのは1930年代、シャトーを所有していた4ファミリー(メラー・ベッス、シシェル、ミアレ、ジネステ各家)がメルロ好きだったことで、今のパルメ・スタイルが確立しました」と語っていました。

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テイスティングワイン
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(供出順、右から)
#2:'07Chateau Palmer Historical XIXth Century wine
シャトー・パルメ ヒストリカル 19世紀 ワイン
実験ワインのひとつ、2004年が初ヴィンテージ。ワイン法ができる以前(18世紀~19世紀)、樽で熟成させているワインに、エルミタージュのシラーを入れる慣習があったことから、それを21世紀に再現。メルロとカベルネに12%のシラーをブレンド、シラーの酸味がワインにフレッシュさ、スパイシーさを与えています。生産量は200~300ケース。2004年、2006年、2007年に続いて、次回は2010年ヴィンテージが生産される予定。好奇心をそそられるワイン! 

シャトー・パルメのセカンドワイン
#3:'08 Alter Ego アルター・エゴ2008
ピュアさと凝縮感が魅力、ボルドーのエレガントさを感じさせる古典的なスタイル

#4:'05 Alter Ego アルター・エゴ2005
特筆すべきヴィンテージ。コク、複雑味(果実、シダ、甘草等)、Alc(14%)由来の甘さあり。
パルメ本来のスタイルが出てくるまでにはもうしばらく熟成が必要ですが、入手しておきたい1本!

シャトー・パルメの垂直テイスティング
#5:'06 Chateau Palmer シャトー・パルメ2006
果実味豊か、タンニンは心地良く、バランス良し。形容するならフィネスとエレガンス

#6:'00 Chateau Palmer シャトー・パルメ2000
香りにレザー、葉巻、スパイシーさあり。ベルナールさんいわく「ハーモニーが最高」
'98より味わい的にはソフト、熟成を重ねることでパルメ・スタイルが表現できるワイン

#7:'98 Chateau Palmer シャトー・パルメ1998
メルロの出来は最高、カベルネは収穫前の降雨により、タンニンのテクスチュアが十分でない状態だったとか。ストレートで鋭角的なスタイル、'00より男性的なヴィンテージ
オフィシャルサイトには仏語・英語・ドイツ語・中国語、日本語の5カ国語表示で、パルメの歴史、各ヴィンテージ情報等が詳しく載っています。

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グラスはボトルの並び方と逆になっています(左から#2~#7の順)

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垂直試飲(2006、2000、1998)で、一番好印象だったのは2006年ヴィンテージ
たっぷりの果実味、タンニンはなめらか、口中をスムースに流れ、中盤以降の旨味の印象Good!




ビオディナミの導入について
ビオディナミのルールに従って、2005年から導入。面積の10%(約6ha)で実施中。
「ベト病の発生もあり、06年、07年、08年は難しい年になりましたが、今まさに実験の段階です。ビオディナミを導入することでリスクをどう取るか、ワインの質の向上になるうるのか、その答えがでるまで、まだ時間がかかりそうです」とベルナールさん。

もうひとつの実験ワイン
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#1:'09 Chateau Palmer blanc シャトー・パルメ ブラン2009
今回の試飲で一番気になったのが、パルメの秘蔵っ子のような白ワイン!
品種はミュスカデル70%、ローゼ20%、ソーヴィニヨン・グリ+メルロ・ブラン10%のブレンド。

古代品種ローゼのつづりを「Loset」と聞いていたのですが、ジャンシス・ロビンソンの『ワイン用葡萄ガイド』に掲載がなかったので、ベルナールさんにメールで質問。お答えは、葡萄ガイドにあるジュランソンの「Lauzet」と同じで、台木もジュランソンのもの。ローゼは17世紀、ボルドーではDozet, or Loset, or Lauzet と呼称されていたそうです。

ワインはノン・フィルターなので若干の濁りがあり、第一印象はハンター・ヴァレーのセミヨンや日本の甲州に似たニュアンスを感じました。白い花、洋梨、柑橘系果実(レモンやグレープフルーツ)、ミルキーのような乳酸系の味わい、旨味の広がり、好感が持てました。

ぶどう畑は今までぶどう樹を1回も植えたことがない小区画で、土壌は粘土質。リサーチして2000年に植樹を予定していたそうですが、実際には'03年と'04年に植樹、'07年にワイン誕生!畑はカントナック村、パルメから1キロの位置にあるとか。

幻の白ワイン&今後の予定
ファーストヴィンテージは2007年。1930年代、シャトー・パルメでは白ワインを生産していたそうで、生産をやめてしまった理由は定かではありませんが、今世紀に入り、白ワイン造りを再開。使用しているボルドーの4品種、ミュスカデル(豊かな香り)、ソーヴィニヨン・グリ(フレッシュさ)、メルロ・ブラン、ローゼ(肉付きとやわらかさ)で、ローゼ自体は17世紀まではボルドー品種だったのでボルドー品種と考え使用とか。将来的にもミュスカデルとローゼは大事に育てたいそうです。

ボルドーにおいてセミヨンは素晴らしい品種であり、セミヨンから造った素晴らしいワインはすでにあるので、パルメではあえてセミヨンとは異なる品種を選んでワイン造りを行っているとのこと。絶えず革新、前進のシャトー・パルメらしい選択です。

2009年は3番目のヴィンテージで、ワインはシャトーでは販売していません。今後の扱いについて、ベルナールさんは、「今はまだ、自分たちが納得できる完璧な形になっていません。どのように熟成していくかもわからない進行中のワインです。今後リリースするかどうかは、生産量の問題もあり未定です。場合によっては2010年ヴィンテージでデビューするかも知れませんが、60ケース程度の生産量だと、ボルドーの生産者としては数量的にリリースするのは難しいと思います」と答えていました、まさに幻のワイン!

プリムールにおけるワインの高騰について
ベルナールさんいわく、「今までにない経験であり、市場がこのように短期間で拡大した経験はありません。70年~90年代、それ以降、アメリカ、欧州、日本を含むアジア圏、中央ヨーロッパと拡大して、そのあと中国市場に広がりましたが、今は明らかにバランスが崩れています。いまだ均衡が取れていません。市場が2倍になってもワインの生産量が倍に増えるわけではありませんし、中国での価格帯がいつまで続くのかも読めない状況です」と。ボルドー側の戸惑いが見受けられました。

ベルナールさんはヴィンテージ間の差が少なくなってきたといわれるボルドーにおいて、90年代における醸造設備の進化をあげていました。現在、シャトー・パルメでは新たな変革のため、ワイナリーの大幅な工事を行っているようです。

[かわいい]2012年6月末までシャトー見学中止のお知らせ
品質向上のための大規模な工事を既に開始しました。
- 収穫したブドウの受納:醸造室内に350平方メートルの作業場を設置。
- 醸造室:完全に重力利用によるワイン造り方式を導入。また発酵の試行・実験用ミクロ発酵タンクを設置。これに伴い醸造室内部を配置変更。
- 新しい熟成室:新設の熟成室は醸造室に隣接し、各ヴィンテージの全てを同じ場で熟成できる広さを所有。
- “ヴィラージュ・パルメ”(パルメ領地):現在の道路側の入り口を閉鎖し、ブドウ畑の間を通ってシャトーへ。ヴィラージュ内を完全に車両禁止ゾーンへ。
これらの工事のため、2011年6月15日から2012年6月末まで、醸造室および熟成室の見学不可。
2012年7月以降、シャトー・パルメでお会いしましょう!
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コメント 5

fumiko

xml_xslさん、チェック、ありがとうございました!

vientre-dolorさん、nice、ありがとうございました!

otemoyanさん、大阪のうどん、美味しそうでした!

nikiさん、赤ワインとドライ無花果はよく合いますよ♪
by fumiko (2011-10-06 01:13) 

fumiko

グランマぴよ様、本日はありがとうございました!!

幸せ家族さん、チェック、ありがとうございました!

Winoさん、元気、出ましたか?

ChinchikoPapaさん、詳細なブログ、手間がかかっていますね♪

にょにょさん、本当にお料理好きなんですね!
by fumiko (2011-10-07 23:36) 

tsworking

対中国??の偽造対策をしなくてはならないほど、
時代は進んだのでしょうね。
対策技術と偽造側のいたちごっこが、
この技術で少しは緩和されますように。

by tsworking (2011-10-09 23:49) 

gillman

うーむ、ブランドを守るって結構大変な努力がいるんですね。
by gillman (2011-10-10 23:42) 

fumiko

tsworkingさん
ボルドーのトップシャトーChラトゥールが数年の歳月をかけて、
実験開発した偽造対策
銘醸シャトーの多くが導入するようになると思いますが、
ワインに限らず、平然と偽物作りをする中国、ホント嫌です。

gillmanさん、お変わりありませんか?
中国がワインに興味を持つようになってからより大変かも知れません。

今造ROWINGTEAMさん、ゆるキャラ投票しておきました!

micheさん、チェック、ありがとうございました!
by fumiko (2011-10-12 20:27) 

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