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“山椒は小粒でもぴりりと辛い”的存在のオーストリアワイン! [ワイン]

オーストリアワインに、“山椒は小粒でも・・・”のタイトルをつけたのは、同国を代表する固有品種、白ぶどうのグリューナー・ヴェルトリナーの香りの中に白コショウのようなスパイシーさがあるので、あえて日本の香辛料を引き合いに出してみたのですが、もう1つ理由があります。それは、ワイン生産量が世界全体のわずか1%程度しかないのに、同国の秀逸な生産者が手がけるグリューナー・ヴェルトリナーのワインには言葉で表現できないくらい魅力的な感激があるからです。その存在感、それはまさしく“小粒でもぴりり”そのもの。

グリューナー・ヴェルトリナーのピュアで凛としたスタイル! こころ惹かれるぶどう品種です。

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ワイン関係者対象のセミナーには6種類のグリューナー・ヴェルトリナーが供出されました!

グリューナー・ヴェルトリナー(GV)のルーツ
オーストリアワインマーケティング協会(AWMB)のヴィリー・クリンガー会長から「GVの片親はトラミナー種ですが、もう一方の親についてはオーストリアの研究機関が長年にわたり調査していました。そして2年前にブルゲンラントの州都アイゼンシュタット近郊の村サンクト・ゲオルゲンの森の中から発見された樹齢200年の無名のぶどう樹をDNA鑑定した結果、このぶどう樹が片親であることが証明されました」との報告がありました。

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同国のぶどう栽培面積の3分の2は白ぶどう、3分の1は黒ぶどう
白ぶどうの雄GVは白ぶどう全体の30%、リースリングは4%を占めています。

セミナーに登場したワイン(すべてGV)(左から)
#1:2010 ニュスベルグ/ヴィーニンガー(産地ウィーン) 
土壌:石灰岩/ウィーンで有名なワインは混植混醸のゲミシュター・サッツ(最低3品種、平均6~7品種をブレンド)、ニュスベルグはドナウ川を見下ろす標高の畑。新樽は使わず、ステンレスタンクで発酵、大樽で熟成。季節限定のレストラン「ホイリゲ」を経営

#2:2010 シュタインライトン/ガイヤホーフ(産地クレムスタールDACリザーヴ)
土壌:レス、小石等の混合/杏、レモングラス、セージのニュアンス、ミネラル感、長い余韻。同ワイナリーのイルゼ・マイヤーさんは#4ニコライホフのサース夫人の実妹、ビオディナミ農法。

#3:2010 フンツライデン/ファッフル(産地:ヴァインフィアテルDACリザーヴ)
土壌:レスと粘土/「ワインの特徴香白コショウはテロワールと醸造法(ステンレスと木樽半々)に由来」とクリンガー会長。#3はオーストリアで一番広大なヴァインフィアテルの生産者でこの地のパイオニア的存在

#4:2008 スマラクト・イム・ヴァインゲビルゲ/ニコライホフ(産地:ヴァッハウ)
土壌:原生岩(カコウ岩質のテラス)/ローマ人たちが記録に残した世界で最も高い日照度を誇る畑のワイン。ミネラル感豊かでバランスの取れた味わい。デメテール(ビオディナミ農法の普及を目的にした国際団体の認証)

#5:2009 ランゲンロイス・シュピーゲル/フレッド・ロイマー(産地:カンプタールDACリザーヴ)
土壌:レス/環境保全型農業からビオディナミに移行中、レスに由来するクリーミーで切れの良い味わい

#6:2009 ベルグ/フーバー(産地:トライゼンタールDACリザーヴ)
土壌:石灰岩/クリンガー会長いわく「土壌に由来するレモンの皮のようなアロマ」、ミネラル感があり、余韻も長い。ダイナミックな造り手、ビオディナミに移行中

オーストリアのDACについて
EUの新ワイン法
(1)地理表示のないワイン
(2)保護地理表示(Protected Geografical Indication)
(3)保護原産地呼称(Protected Designation of Origin)

上記の新ワイン法をオーストリアに当てはめると
(1)Wein ヴァイン
(2)Landwein ラントヴァイン(EUのPGIの該当)
(3)Qualitatswein クヴァリテーツヴァイン(EUのPDOに該当)

クヴァリテーツヴァインには2タイプあり
a:特定地方の生産地のクヴァリテーツヴァイン
(ニーダーエスタライヒ、ウィーン、ブルゲンラント、シュターヤーマルクの4州)
b:特定された栽培地域のクヴァリテーツヴァイン

上質ワインはキャップシールにオーストリアの国旗と同じ色を表示
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■オーストリアのDACはフランスにおけるAOC、イタリアにおけるDOCと同じ。
2002年から今日に至るまで7地域が法的に定められています。
#1:ヴァインフィアテルDAC(該当白ぶどうはグリュナー・ヴァルトリナーのみ)
#2:トライゼンタールDAC(該当白ぶどうはグリューナー・ヴァルトリナー&リースリング)
#3:クレムスタールDAC(上同)
#4:カンプタールDAC(上同)
※#1~#4のみグリューナー・ヴェルトリナーが該当
#5:ミッテルラントDAC、#6:アイゼンベルクDAC、#7:ライタベアクDAC
※グリューナー・ヴェルトリナー以外のエリア

DACとして認められる条件
・特定産地の上質ワイン
・その産地の最も典型的なワイン
・クラッシックのスタイルは果実味があり、中庸なボディ
・リザーヴのスタイルはフル・ボディで熟成可能

DACに認められるまでの流れは
同業者間→地方ワイン委員会→国立ワイン委員会→農水環境省がDAC規定を制定

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セミナー後、食関係の媒体から取材を受けていたクリンガー会長

AWMBが作成しているHPには日本語サイトがあります。中味の濃い情報が得られます、要必見![わーい(嬉しい顔)]AWMBのURL >>>http://www.austrianwine.jp/



試飲会も盛会
会場を移して行われた試飲会には料飲業界関係者、酒類卸・販売、報道関係者等275名の参加がありました。オーストリア各地の高品質なスパークリングワイン、白、赤、ロゼ、甘口ワイン計121種の展示&試飲。

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オーストリアワイン専門の輸入業者AWAのブースでワインを試飲する参加者

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グラスはオーストリアの名門リーデルで!

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出展生産者34社、輸入業者15社が対応

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クリンガー会長はワインだけでなく、ピアノもダンスも見事にこなすエンタテイナー
かつては舞台でウッディ・アレン役を演じたこともあるとか。

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会場で見つけたお気に入りの1本
カンプタール、ランゲンロイスにあるユルチッチ・ソンホフのグルーナー・ヴェルトリナー・リード・シュピーゲル・レゼルヴ2004
輝きのあるきれいな黄金色。若いヴィンテージに新樽を強く感じることがあるのですが、5~6年じっくり熟成させると、樽香はワインに溶け込み、エレガントでシュピーゲルのテロワールを反映したクリーミーでミネラル感豊かなワインになります。樽香好きな方なら若いヴィンテージを! 熟成させたタイプがお好きなら、この2004年はホント、今飲み頃です!

グリュナー・ヴェルトリナーはフード・フレンドリーなワインです。和・洋・中にあわせやすいのですが、私の一押しはやっぱり和食。甲州のシュール・リーとグリューナー・ヴェルトリナーが双璧です。魚卵と合わせて臭みがでない点も素晴らしいと思っています。

主催:オーストリアワインマーケティング協会(AWMB)
協力:オーストリアワイン試飲会開催事務局(ヴィノテーク)
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fumiko

ぼんぼちぼちぼちさん、チェック、ありがとうございました!

Shin.Sionさん、チェック、感謝です!

Winoさん、スパークリング編にいらっしゃいませんか~

vientre-dolorさん、チェック、ありがとうございました!
by fumiko (2011-06-28 23:58) 

fumiko

にょにょさん、nice ありがとうございました!

tsworkingさん、近々、ぴよ様とお目にかかります♪

ChinchikoPapaさん、チェックありがとうございました!

BOBさん、nice、ありがとうございました!

by fumiko (2011-06-30 11:02) 

gillman

オーストリアのワイン、いいですねぇ。ぼくはオーストリア、特にウィーンが大好きです。良い年の白ワインももちろんいいですが、ブドウジュースのようなその年の新酒の白ワインを玉ねぎケーキをつまみにホイリゲで飲むのも、これまたウィーンならではの楽しみです。
by gillman (2011-07-01 07:43) 

hako

エミレーツで行くウィーンとか有りますね。行ってみたいです。
ニコライホフも、またチェックして見たいです。
by hako (2011-07-01 17:45) 

fumiko

ウイーン好きのgillmanさん、ありがとうございます!
方向音痴の私をウイーン子の皆様は道案内のためご一緒してくださったり・・・本当に人情味に溢れています。昔の下町気質に似ているかも。
音楽とともにあるホイリゲは陽気で楽しいです!


hakoさ~ん、ウイーンはお薦め、ニコライホフも再度tryを!


by fumiko (2011-07-02 14:05) 

yuka

本当!グリューナー・フェルトリーナーは合わせやすいですよね!
by yuka (2011-07-02 17:35) 

ぱんだしゅりけん

このイベントいいですね~。行ってみたかったです(;;)いつかは関西方面あたりででもお願いしたいものです(^^)

こちらが、ツイートされていたグリューナーですね!04くらいのものは、FXピヒラーのを飲んだことがあるのですが、あまり樽の強いスタイルではないのかこなれてきれいな印象を受けたくらいでした(勿論素晴らしかったのは間違いないのですが)。
新樽しっかりのスタイルのグリューナーの、樽香が溶け込んできた状態というのは経験がありませんので、一度試してみたいものです^^

セミナーにはガイヤーホフのシュタインライトンが出されたんですね。このワインは、以前お寿司屋さんでワイン会を行った際、オーストリーワイン未経験の方々に飲んでいただいたところ、歓声の上がったワインです!
透明感、果実味や酸のバランスと、あらゆる層に受けいれられるワインかなと思っております。

最近(といいましてももう2ヶ月以上前の話ですが)飲みまして気になったのが、ザンクト・ラウレントのワインです。ピノ・ノワール的な雰囲気がありますよね。
白の印象の強いオーストリーですが、赤もなかなかどうして、侮れませんよね(^^)
by ぱんだしゅりけん (2011-07-03 23:15) 

fumiko

yukaさん
イタリアでグリューナー的なぶどう品種を捜すとしたら、
ピノ・グリージョになるのかな~

ぱんだしゅりけんさん
いつも気合の入ったコメント、感謝です。
>いつかは関西方面あたりででもお願いしたいものです(^^)
私もそう思います。是非に!
今回セミナー参加希望者は140近くいたそうです。
会長は「次回は2~3回に分けて」とおっしゃっていました。
日本で一番元気な関西で実施する意味はあると思います。

ガイヤホーフは価格・味わい面からいって超おすすめです。
私はイルマ(ガイヤホーフ)&クリスティーネ(ニコライホフ)姉妹も、
ワインも大好きです(笑)
ザンクト・ラウレント、確かに赤の中ではエレガント系で同意です!
by fumiko (2011-07-06 13:59) 

miche

オーストリアのワインは大好きです。
お店などで見かけると、必ず買ってしまいます。
でも、なかなか扱っているお店がないのが残念です。
ニコライホフのグリューナー・ヴェルトリナーが大好きです!!
by miche (2011-07-16 13:08) 

fumiko

micheさん、チェック&コメント、ありがとうございました♪
オーストリアのワイン、特にグリューナーは和食によく合います。
ニコライホフは数の子以外の魚卵、すべてOKですし、ね。


by fumiko (2011-07-17 12:12) 

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