クロ・デュ・ヴァル “Now and Then” 10ヴィンテージを垂直テイスティング [Zoom / ワイン]
パリ・テイスティングから45年
ワイナリーの創設者ジョン・ゴレの母親は、ボルドーの有名なワイン商ゲスティエの一族であり、初代ワインメーカーのベルナール・ポーテ氏はボルドー出身でワイン造りに関わってきた家柄。モンペリエ大学では醸造学を学びました。ともにフランスがルーツです!
クロ・デュ・ヴァルの名をワイン業界に知らしめるきっかけを作ったのは、英国のワイン評論家スティーヴン・スパリュア氏です。氏が仕掛けた1976年の歴史的な『パリ・テイスティング』で、赤ワイン部門の8位となり、世界に羽ばたきました。このテイスティングから10年経た1986年、NYで行われた“熟成を評価するリターンマッチ”では、堂々の1位になっています!
画像データ:JALUX クリックで拡大
30年目の記念テイスティングでは、5位にランク付けされ、「カリフォルニアワインは熟成しない」との風評を見事に覆しました。
スティーヴン・スパリュア氏の訃報
(C) Somm Films
スティーヴン・スパリュア氏(1941年‐2021年)の訃報が届きました。
3月9日のことでした。こころからご冥福を祈願しております。
今回クロ・デュ・ヴァルの輸入元JALUX様を介して上記画像の使用許可をいただきました。
JALUX様から「1976年のパリ・テイスティング(パリスの審判)で、ナパ・ヴァレーを世界的な産地として広めていただきました。弊社取り扱いのクロ・デュ・ヴァルも試飲ワインに選ばれ、1986年のテイスティングでは赤ワインでNo.1となり、クロ・デュ・ヴァルの名声はこの出来事でさらに世界に広がりました。スティーヴンの多大なる貢献に謝意を表するため、クロ・デュ・ヴァルではワイナリーの入り口からテイスティングルームへの道をSteven Supperier LN (スティーヴン・スパリュア レーン)と命名しています」との解説もありました。
改めまして、スパリュア氏が遺した数々の功績に敬意を表します。
オンラインテイスティングに登場した10ヴィンテージ
(左から右に)2000年~2008年、2015年※の計10ヴィンテージ
ここからは、昨秋、JALUX様が主催した少人数でのZOOMセミナーの報告です。
ナパと東京を繋ぎ、現地からは3代目オーナーのオラス・ゴレ氏、ワインメーカーのテッド・ヘンリー氏がクロ・デュ・ヴァル クラシック・シリーズの熟成具合、ポテンシャルについて語りました。
3代目オーナー オラス・ゴレ氏
現職のワインメーカー テッド・ヘンリー氏
クロ・デュ・ヴァルのぶどう畑
スタッグス・リープ地区の中心部に位置しています。
同地区の名前の由来は、東側にある赤い岩の丘に出没する鹿から取ったと言われています。
ここはヨーントビルの東1マイルほどのシルバラード・トレイルに沿った非常に小さなエリアですが、カリフォルニアワインを代表するカベルネを産出しています!
クロ・デュ・ヴァルの拠点は1972年に取得したヒロンデール・ヴィンヤード
サンパブロ湾から涼しい風が吹き込む理想的な気候下で、上質なぶどうを生産
歴代のワインメーカー
✥1972年~2006年まではBernard Portet ベルナール・ポーテ氏
※ 2015年の収穫直前でワインメーカーが退職したので、2015年ヴィンテージはポーテ氏が関与
♤2007年~ 2013年は John Clews ジョン・クルーズ氏
♢2013年~ 2015年はKristy Melton クリスティ・メルトン氏
♡2016年からは現職のTed Henry テッド・ヘンリー氏
口開けのヴィンテージは2000年
✥ブレンド:CS87%、CF7%、ME6% 発酵期間:ステンレスタンクで6~8日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
第1フライトは2000、2001、2002、2003、2004/右から左の順
✥2001年はブレンド:CS94%、CF5%、ME1% 発酵:ステンレスタンクで8日
熟成:フレンチオークの小樽で18ヶ月、新樽比率25%
✥2002年はブレンド:CS93%、CF7% 発酵:オープントップのタンクでスキンコンタクト32日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
✥2003年はブレンド:CS92%、CF7%、ME1% 発酵:オープントップのタンクでスキンコンタクト32日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
✥2004年はブレンド:CS82%、CF8%、ME8%、PV2% 発酵:オープントップのタンクでスキンコンタクト30日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
第2フライトは2005年から/右から左の順
✥2005年はブレンド:CS85%、CF10%、ME3%、PV2% 発酵:ポンプオーバー、スキンコンタクト25日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
✥2006年はブレンド:CS85%、CF6%、ME5%、PV4% 発酵:ポンプオーバー、スキンコンタクト30日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
♤2007年はブレンド:CS86%、CF9%、ME3%、PV2% 1日2回ポンプオーバーしながら発酵
熟成:フレンチオークの小樽で18ヶ月、新樽比率25%
♤2008年はブレンド:CS84%、ME7%、CF6%、PV3% 1日2回ポンプオーバーしながら発酵
熟成:フレンチオークの小樽で18ヶ月、新樽比率25%
✥♢20015年はブレンド:CS80%、ME12%、CF8% ステンレスの樽で1日3回ポンプオーバーしながら発酵
熟成:フレンチオークの小樽で18ヶ月、新樽比率66%
マイべスト3は2002年、2005年、2015年/右から左の順
2002年:ヘンリー氏は「素晴らしいヴィンテージ」とコメント。夏は理想的な気候で、暑すぎることもなく、安定した気候は9月まで続いたとのこと。ワイン造りに関して、2000年から2004年まではほとんど同じなので、違いはヴィンテージ。2002年は深みのあるガーネットで、ワインが注がれた瞬間から凝縮した果実香が漂い、口中でも果実味豊か。タンニンやAlcの存在感もあり、更なる熟成の変化に期待!
2005年:例年より早い芽吹きからスタートし、春は雨が多く涼しい気候。5月は数日高温になり、6月は気温が下がり、歴史的な雨量を観測。8月下旬は記録的な高温になり、9月に再度気温が下降。気候の変化に富んだ2005年ヴィンテージのワインをひとことで表現するなら“バランス”、色調は黒紫色、黒系果実や黒胡椒、木目細かなタンニン、グラス内の温度変化で様々な要素、長い余韻。
2015年:クロ・デュ・ヴァルの次なるステップを感じさせるヴィンテージ。自社畑100%/最上級のぶどうをセレクト(他のヴィンテージはスタッグス・リープ地区以外のぶどうも使用)、ラベルもチェンジ、ワイン醸造では新樽比率66%と従来(25%)と比べて大きく変化。小樽のみ使用。ヘンリー氏は「ストラクチュアのあるぶどうだったので、新樽の比率を上げた」とコメント。収穫が早く始まり、早く終わった温暖年のヴィンテージで、ワインはフレッシュ、快活でパワーがあり、樽由来のヴァニラやカカオ、ヨーグルト的要素を残した味わい。今後の熟成が楽しみ!
10ヴィンテージのグラス勢ぞろい
樹齢は、2000年、2001年、2003年、2004年は10年、2005年は12年、2002年は3~20年、2006年は8~25年、2007年は9~26年、2008年は10~27年。
ナパでは、20世紀後半、フィロキセラ禍で、ぶどう樹の植え替えを行いました。クロ・デュ・ヴァルは1990年~2000年代初めにぶどう樹を再植樹しているので、使う区画によって樹齢が異なっています。
最後にチャドウィックさんからのお言葉を添えて
2016年9月撮影@ADV
スパリュア氏はチリ『エラスリス』のエデュアルド・チャドウィック当主と組んで、ベルリン・テイスティングを行い、世界の銘醸ワインに比肩するチリワインの実力を証明しました。2016年に来日した当事者おふたりは世紀のイベントについて語りました。その時の内容はブログにまとめてあります。ご笑覧いただけると嬉しいです。
今回、スパリュア氏の訃報を聞いてすぐに、チャドウィック当主にメールをしました。早々にお返事が届きました。
「本当に悲しいニュースです。スティーヴンはとても素晴らしい人であり、寛大で、活気があり、チリワインを宣伝するために一緒に世界を旅する素晴らしい時間を共有することができました。彼は多くのインスピレーションを与えてくれました。たくさんの貴重な時間をともに過ごす機会を与えてくれたことにとても感謝しています」
とのお言葉がしたためられていました。
コロナ渦中で動きもままならない状況なので、チャドウィック当主の心労が気になりますが、お力落としなさらないように願っています。
✥製品についてのお問い合わせ先 (株)JALUX / Tel 03-6367-8756
ワイナリーの創設者ジョン・ゴレの母親は、ボルドーの有名なワイン商ゲスティエの一族であり、初代ワインメーカーのベルナール・ポーテ氏はボルドー出身でワイン造りに関わってきた家柄。モンペリエ大学では醸造学を学びました。ともにフランスがルーツです!
クロ・デュ・ヴァルの名をワイン業界に知らしめるきっかけを作ったのは、英国のワイン評論家スティーヴン・スパリュア氏です。氏が仕掛けた1976年の歴史的な『パリ・テイスティング』で、赤ワイン部門の8位となり、世界に羽ばたきました。このテイスティングから10年経た1986年、NYで行われた“熟成を評価するリターンマッチ”では、堂々の1位になっています!
画像データ:JALUX クリックで拡大
30年目の記念テイスティングでは、5位にランク付けされ、「カリフォルニアワインは熟成しない」との風評を見事に覆しました。
スティーヴン・スパリュア氏の訃報
(C) Somm Films
スティーヴン・スパリュア氏(1941年‐2021年)の訃報が届きました。
3月9日のことでした。こころからご冥福を祈願しております。
今回クロ・デュ・ヴァルの輸入元JALUX様を介して上記画像の使用許可をいただきました。
JALUX様から「1976年のパリ・テイスティング(パリスの審判)で、ナパ・ヴァレーを世界的な産地として広めていただきました。弊社取り扱いのクロ・デュ・ヴァルも試飲ワインに選ばれ、1986年のテイスティングでは赤ワインでNo.1となり、クロ・デュ・ヴァルの名声はこの出来事でさらに世界に広がりました。スティーヴンの多大なる貢献に謝意を表するため、クロ・デュ・ヴァルではワイナリーの入り口からテイスティングルームへの道をSteven Supperier LN (スティーヴン・スパリュア レーン)と命名しています」との解説もありました。
改めまして、スパリュア氏が遺した数々の功績に敬意を表します。
オンラインテイスティングに登場した10ヴィンテージ
(左から右に)2000年~2008年、2015年※の計10ヴィンテージ
ここからは、昨秋、JALUX様が主催した少人数でのZOOMセミナーの報告です。
ナパと東京を繋ぎ、現地からは3代目オーナーのオラス・ゴレ氏、ワインメーカーのテッド・ヘンリー氏がクロ・デュ・ヴァル クラシック・シリーズの熟成具合、ポテンシャルについて語りました。
3代目オーナー オラス・ゴレ氏
現職のワインメーカー テッド・ヘンリー氏
クロ・デュ・ヴァルのぶどう畑
スタッグス・リープ地区の中心部に位置しています。
同地区の名前の由来は、東側にある赤い岩の丘に出没する鹿から取ったと言われています。
ここはヨーントビルの東1マイルほどのシルバラード・トレイルに沿った非常に小さなエリアですが、カリフォルニアワインを代表するカベルネを産出しています!
クロ・デュ・ヴァルの拠点は1972年に取得したヒロンデール・ヴィンヤード
サンパブロ湾から涼しい風が吹き込む理想的な気候下で、上質なぶどうを生産
歴代のワインメーカー
✥1972年~2006年まではBernard Portet ベルナール・ポーテ氏
※ 2015年の収穫直前でワインメーカーが退職したので、2015年ヴィンテージはポーテ氏が関与
♤2007年~ 2013年は John Clews ジョン・クルーズ氏
♢2013年~ 2015年はKristy Melton クリスティ・メルトン氏
♡2016年からは現職のTed Henry テッド・ヘンリー氏
口開けのヴィンテージは2000年
✥ブレンド:CS87%、CF7%、ME6% 発酵期間:ステンレスタンクで6~8日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
第1フライトは2000、2001、2002、2003、2004/右から左の順
✥2001年はブレンド:CS94%、CF5%、ME1% 発酵:ステンレスタンクで8日
熟成:フレンチオークの小樽で18ヶ月、新樽比率25%
✥2002年はブレンド:CS93%、CF7% 発酵:オープントップのタンクでスキンコンタクト32日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
✥2003年はブレンド:CS92%、CF7%、ME1% 発酵:オープントップのタンクでスキンコンタクト32日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
✥2004年はブレンド:CS82%、CF8%、ME8%、PV2% 発酵:オープントップのタンクでスキンコンタクト30日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
第2フライトは2005年から/右から左の順
✥2005年はブレンド:CS85%、CF10%、ME3%、PV2% 発酵:ポンプオーバー、スキンコンタクト25日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
✥2006年はブレンド:CS85%、CF6%、ME5%、PV4% 発酵:ポンプオーバー、スキンコンタクト30日
熟成:フレンチオークの小樽で17ヶ月、新樽比率25%
♤2007年はブレンド:CS86%、CF9%、ME3%、PV2% 1日2回ポンプオーバーしながら発酵
熟成:フレンチオークの小樽で18ヶ月、新樽比率25%
♤2008年はブレンド:CS84%、ME7%、CF6%、PV3% 1日2回ポンプオーバーしながら発酵
熟成:フレンチオークの小樽で18ヶ月、新樽比率25%
✥♢20015年はブレンド:CS80%、ME12%、CF8% ステンレスの樽で1日3回ポンプオーバーしながら発酵
熟成:フレンチオークの小樽で18ヶ月、新樽比率66%
マイべスト3は2002年、2005年、2015年/右から左の順
2002年:ヘンリー氏は「素晴らしいヴィンテージ」とコメント。夏は理想的な気候で、暑すぎることもなく、安定した気候は9月まで続いたとのこと。ワイン造りに関して、2000年から2004年まではほとんど同じなので、違いはヴィンテージ。2002年は深みのあるガーネットで、ワインが注がれた瞬間から凝縮した果実香が漂い、口中でも果実味豊か。タンニンやAlcの存在感もあり、更なる熟成の変化に期待!
2005年:例年より早い芽吹きからスタートし、春は雨が多く涼しい気候。5月は数日高温になり、6月は気温が下がり、歴史的な雨量を観測。8月下旬は記録的な高温になり、9月に再度気温が下降。気候の変化に富んだ2005年ヴィンテージのワインをひとことで表現するなら“バランス”、色調は黒紫色、黒系果実や黒胡椒、木目細かなタンニン、グラス内の温度変化で様々な要素、長い余韻。
2015年:クロ・デュ・ヴァルの次なるステップを感じさせるヴィンテージ。自社畑100%/最上級のぶどうをセレクト(他のヴィンテージはスタッグス・リープ地区以外のぶどうも使用)、ラベルもチェンジ、ワイン醸造では新樽比率66%と従来(25%)と比べて大きく変化。小樽のみ使用。ヘンリー氏は「ストラクチュアのあるぶどうだったので、新樽の比率を上げた」とコメント。収穫が早く始まり、早く終わった温暖年のヴィンテージで、ワインはフレッシュ、快活でパワーがあり、樽由来のヴァニラやカカオ、ヨーグルト的要素を残した味わい。今後の熟成が楽しみ!
10ヴィンテージのグラス勢ぞろい
樹齢は、2000年、2001年、2003年、2004年は10年、2005年は12年、2002年は3~20年、2006年は8~25年、2007年は9~26年、2008年は10~27年。
ナパでは、20世紀後半、フィロキセラ禍で、ぶどう樹の植え替えを行いました。クロ・デュ・ヴァルは1990年~2000年代初めにぶどう樹を再植樹しているので、使う区画によって樹齢が異なっています。
最後にチャドウィックさんからのお言葉を添えて
2016年9月撮影@ADV
スパリュア氏はチリ『エラスリス』のエデュアルド・チャドウィック当主と組んで、ベルリン・テイスティングを行い、世界の銘醸ワインに比肩するチリワインの実力を証明しました。2016年に来日した当事者おふたりは世紀のイベントについて語りました。その時の内容はブログにまとめてあります。ご笑覧いただけると嬉しいです。
今回、スパリュア氏の訃報を聞いてすぐに、チャドウィック当主にメールをしました。早々にお返事が届きました。
「本当に悲しいニュースです。スティーヴンはとても素晴らしい人であり、寛大で、活気があり、チリワインを宣伝するために一緒に世界を旅する素晴らしい時間を共有することができました。彼は多くのインスピレーションを与えてくれました。たくさんの貴重な時間をともに過ごす機会を与えてくれたことにとても感謝しています」
とのお言葉がしたためられていました。
コロナ渦中で動きもままならない状況なので、チャドウィック当主の心労が気になりますが、お力落としなさらないように願っています。
✥製品についてのお問い合わせ先 (株)JALUX / Tel 03-6367-8756
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