新潟『久須美酒造』の日本酒 とフレンチのマリアージュ@和島トゥー・ル・モンド [新潟『久須美酒造』訪問記]
日本酒とフレンチの本格的マリアージュ体験
(左から)戸塚先生、松井さん、青木、谷澤さん、久須美社長
2月末、農学博士で、国税庁醸造試験所第三研究室長や東京農業大学客員教授を歴任なさった戸塚昭先生の引率で、新潟の蔵元久須美酒造様を訪問してきました。戸塚先生は清酒醸造のアドバイザーとして久須美賢和 (よしたか)社長とすでに21年来のお付き合い。私にとっては初めての酒蔵体験だったので、今回はワイン仲間で朋友の松井千尋さんと谷澤憲子さんにお声がけして伺いました。おふたりともワインスクールの講師をしています。
総閲覧数600万PVを記念して
世界中がコロナウイルスのせいでカサカサですね。でも、私は拙ブログに立ち寄ってくださった皆さまのおかげで閲覧数も600万を超え、気分的に癒されています。
ありがとうございました
久須美酒造様では、酒蔵見学と、その後に、フレンチとのマリアージュ体験をさせていただきましたので、この記念の回ではマリアージュ編からスタートしたいと思います。“おいしいブログ”になっていますので、宜しくお願いします!
ラベルに込められた伝統と革新
久須美酒造様の名前を知らなくても、“夏子の酒の”と言えば、「あの蔵元!」とおっしゃる方が多いのではないかと思います。
幻の名米『亀の尾』復活自家栽培の酒造りがモチーフになった漫画『夏子の酒』(講談社のモーニングに連載。ドラマ化されテレビでは和久井映見が夏子役を演じていました)がヒットし、その縁から誕生したのが『夏子物語』です。
久須美社長は「30年の長きにわたり、皆さまから親しまれてきましたが、年号が変わり、新しい時代が始まることを機にラベルを一新することにしました」と。そして、令和になる直前にラベルをチェンジ。ここには久須美酒造様の伝統と革新が込められています。
伝統を継承する久須美家の3本の矢
画像協力:久須美酒造 画像拡大可
(右から)長男 諒典(りょうすけ)君、三男孝優(たかひろ)君、次男諄征(ともゆき)君
同蔵元は1833年創業なので今年で187年!
200周年を目指し、伝統は女紋の揚羽蝶と男紋の三引両の家紋で表現しています。そして、革新は7代目久須美社長の長男諒典 (りょうすけ) 君の手による“夏子物語”の書!
社長には3人の息子さんがいらっしゃいますが、いずれも書の道に長けています。まさに久須美家の3本の矢!! なかでも諒典君は新潟県知事賞等の多くの賞を受けています。現在16歳 (書は15歳当時の作品) なので、“伝統と革新”を旨とする蔵元の後継者としても将来が本当に楽しみです。
和島トゥー・ル・モンド
新潟県和島地域の旧島田小学校が、8年前に地産地消で誰もが楽しめるフレンチレストラン『Bague』に生まれ変わりました。結婚式等でも活用されていますし、パン工房も併設しています。
久須美家も卒業生として名を連ねており、社長の祖父の米寿(88歳)のお祝いもBagueで行ったそうです。母体が社会福祉法人なので雇用面では障害のある方に配慮ある対応をしており、様々な部署で各人が個性に合わせた働き方をしています。
寺泊のホワイトアスパラのポタージュ
出雲崎産のイカを中に盛り込み、緑色は寺泊産ネギの青い部分を使って仕上げたクスクス&地元で収穫した色とりどりの野菜。出雲崎で取れた海水を長岡で精製したオリジナル塩を使うこだわりもナイス!
最初に登場した『七代目 純米吟醸生貯蔵酒 』は、ふくよかで、口中にす~っと馴染み、中盤は程良く広がり、切れの良い旨さで着地。“ふくらみと切れ”、この真逆感を形にしているのは戸塚流の麹扱い!
目からウロコの“パンと燗酒”のマリアージュ
自家製パン (プレーン、胡麻)と『清泉 雪』
お燗(45度)で供出されたのですが実際に味わった時の温度は42度位。プレーンのパンを少しだけ口に入れ、その後、清泉雪を口中に含むと~ほんのりと甘さが広がり、ふわ~っとまるい食感で双方が溶け込み、雪解け感覚!?
たかがパン、されどパン、上燗にパンを合せるなんて面白すぎ、絶妙でした!
「お燗の温度は通常40~48度です。低温発酵で造ったものなら40~42度で。精米歩合が60%程磨いたものなら45度(平均的な温度)、それはアミノ酸や酸が多くなるからです。48度になると少し高い。とびきり燗のように高い温度にしてそれから温度を下げるとアルコールと水の分子が結合するので味が柔らかくなるが、それだとお酒が可哀そう」との戸塚先生の解説がありました。
出雲崎産の黒鯛のポワレにアサツキを入れたブールブランソース、隠し味は日本酒、つけ合わせはタラの芽としいたけ。日本海で獲れる魚は弾力があり、その力強さに対抗できるのは、Bagueの斎藤篤支配人が “The Nihonshu”と形容していた『夏子物語』
越後牛のランプ肉にはブラックペッパー、2品目にも出てきたオリジナル塩を使用。「肉は噛み込むとミルクの味を感じます」と斎藤支配人。大吟醸のふくよかさ、エレガントかつ力強さがランプ肉の旨味と相乗。「麹がしっかりしているから」と戸塚先生。その一言が納得できた瞬間でした。
寺泊産のキンカンとショコラ、酸味と甘味のハーモニー!
デザートを日本酒に合わせるのはなかなか大変ですが、口中にゆるやかに広がり、最後は花火のようにす~っと消えていく(ネーミング通り) 時に、 口中のショコラや柑橘の軽いビター感を洗い流してくれる印象。
90mlの容量でもそれを感じさせないグラスのフォルム。重心が低く、飲む時に顎があがらない戸塚先生考案の冷酒杯。器に関しても有意義な体験ができました。
(右から)清泉「七代目」純米吟醸生貯蔵酒、清泉「雪」、純米吟醸「夏子物語」、清泉「七代目」出品大吟醸、清泉「夢花火・恋花火」
戸塚先生は「料理をおいしくするのが日本酒」で、「料理を食した時に舌の上を洗い流し、リフレッシュ(次にまた食べたくなる)させてくれるのがワイン」とおっしゃっていましたが、フランス料理に寄り添い、調理毎・素材毎に様々な表情を見せてくれる久須美酒造様の日本酒はとても興味深いものでした。
音大卒の斎藤篤支配人はピアノ演奏で我々を癒してくれました。古き趣きあるピアノ!
当日の気配り名人 斎藤支配人にも感謝を込めて、ありがとうございました。
懐かしさに満ちた空間
画像突き当り奥がレストラン『Bague』
体育館の天井には教会建築で使う天蓋が!
アーティストの作品展、展示会も行われています。
新潟県長岡のお土産は久須美社長お薦めの逸品菊鮭寿し、新潟訪問翌日のシャンパン講座で披露させていただきました。全員笑顔で大満足、ご馳走様でした!
“麹”の重要性を説いていた戸塚先生との蔵元視察編は次回!
(左から)戸塚先生、松井さん、青木、谷澤さん、久須美社長
2月末、農学博士で、国税庁醸造試験所第三研究室長や東京農業大学客員教授を歴任なさった戸塚昭先生の引率で、新潟の蔵元久須美酒造様を訪問してきました。戸塚先生は清酒醸造のアドバイザーとして久須美賢和 (よしたか)社長とすでに21年来のお付き合い。私にとっては初めての酒蔵体験だったので、今回はワイン仲間で朋友の松井千尋さんと谷澤憲子さんにお声がけして伺いました。おふたりともワインスクールの講師をしています。
総閲覧数600万PVを記念して
世界中がコロナウイルスのせいでカサカサですね。でも、私は拙ブログに立ち寄ってくださった皆さまのおかげで閲覧数も600万を超え、気分的に癒されています。
ありがとうございました
久須美酒造様では、酒蔵見学と、その後に、フレンチとのマリアージュ体験をさせていただきましたので、この記念の回ではマリアージュ編からスタートしたいと思います。“おいしいブログ”になっていますので、宜しくお願いします!
ラベルに込められた伝統と革新
久須美酒造様の名前を知らなくても、“夏子の酒の”と言えば、「あの蔵元!」とおっしゃる方が多いのではないかと思います。
幻の名米『亀の尾』復活自家栽培の酒造りがモチーフになった漫画『夏子の酒』(講談社のモーニングに連載。ドラマ化されテレビでは和久井映見が夏子役を演じていました)がヒットし、その縁から誕生したのが『夏子物語』です。
久須美社長は「30年の長きにわたり、皆さまから親しまれてきましたが、年号が変わり、新しい時代が始まることを機にラベルを一新することにしました」と。そして、令和になる直前にラベルをチェンジ。ここには久須美酒造様の伝統と革新が込められています。
伝統を継承する久須美家の3本の矢
画像協力:久須美酒造 画像拡大可
(右から)長男 諒典(りょうすけ)君、三男孝優(たかひろ)君、次男諄征(ともゆき)君
同蔵元は1833年創業なので今年で187年!
200周年を目指し、伝統は女紋の揚羽蝶と男紋の三引両の家紋で表現しています。そして、革新は7代目久須美社長の長男諒典 (りょうすけ) 君の手による“夏子物語”の書!
社長には3人の息子さんがいらっしゃいますが、いずれも書の道に長けています。まさに久須美家の3本の矢!! なかでも諒典君は新潟県知事賞等の多くの賞を受けています。現在16歳 (書は15歳当時の作品) なので、“伝統と革新”を旨とする蔵元の後継者としても将来が本当に楽しみです。
和島トゥー・ル・モンド
新潟県和島地域の旧島田小学校が、8年前に地産地消で誰もが楽しめるフレンチレストラン『Bague』に生まれ変わりました。結婚式等でも活用されていますし、パン工房も併設しています。
久須美家も卒業生として名を連ねており、社長の祖父の米寿(88歳)のお祝いもBagueで行ったそうです。母体が社会福祉法人なので雇用面では障害のある方に配慮ある対応をしており、様々な部署で各人が個性に合わせた働き方をしています。
寺泊のホワイトアスパラのポタージュ
出雲崎産のイカを中に盛り込み、緑色は寺泊産ネギの青い部分を使って仕上げたクスクス&地元で収穫した色とりどりの野菜。出雲崎で取れた海水を長岡で精製したオリジナル塩を使うこだわりもナイス!
最初に登場した『七代目 純米吟醸生貯蔵酒 』は、ふくよかで、口中にす~っと馴染み、中盤は程良く広がり、切れの良い旨さで着地。“ふくらみと切れ”、この真逆感を形にしているのは戸塚流の麹扱い!
目からウロコの“パンと燗酒”のマリアージュ
自家製パン (プレーン、胡麻)と『清泉 雪』
お燗(45度)で供出されたのですが実際に味わった時の温度は42度位。プレーンのパンを少しだけ口に入れ、その後、清泉雪を口中に含むと~ほんのりと甘さが広がり、ふわ~っとまるい食感で双方が溶け込み、雪解け感覚!?
たかがパン、されどパン、上燗にパンを合せるなんて面白すぎ、絶妙でした!
「お燗の温度は通常40~48度です。低温発酵で造ったものなら40~42度で。精米歩合が60%程磨いたものなら45度(平均的な温度)、それはアミノ酸や酸が多くなるからです。48度になると少し高い。とびきり燗のように高い温度にしてそれから温度を下げるとアルコールと水の分子が結合するので味が柔らかくなるが、それだとお酒が可哀そう」との戸塚先生の解説がありました。
出雲崎産の黒鯛のポワレにアサツキを入れたブールブランソース、隠し味は日本酒、つけ合わせはタラの芽としいたけ。日本海で獲れる魚は弾力があり、その力強さに対抗できるのは、Bagueの斎藤篤支配人が “The Nihonshu”と形容していた『夏子物語』
越後牛のランプ肉にはブラックペッパー、2品目にも出てきたオリジナル塩を使用。「肉は噛み込むとミルクの味を感じます」と斎藤支配人。大吟醸のふくよかさ、エレガントかつ力強さがランプ肉の旨味と相乗。「麹がしっかりしているから」と戸塚先生。その一言が納得できた瞬間でした。
寺泊産のキンカンとショコラ、酸味と甘味のハーモニー!
デザートを日本酒に合わせるのはなかなか大変ですが、口中にゆるやかに広がり、最後は花火のようにす~っと消えていく(ネーミング通り) 時に、 口中のショコラや柑橘の軽いビター感を洗い流してくれる印象。
90mlの容量でもそれを感じさせないグラスのフォルム。重心が低く、飲む時に顎があがらない戸塚先生考案の冷酒杯。器に関しても有意義な体験ができました。
(右から)清泉「七代目」純米吟醸生貯蔵酒、清泉「雪」、純米吟醸「夏子物語」、清泉「七代目」出品大吟醸、清泉「夢花火・恋花火」
戸塚先生は「料理をおいしくするのが日本酒」で、「料理を食した時に舌の上を洗い流し、リフレッシュ(次にまた食べたくなる)させてくれるのがワイン」とおっしゃっていましたが、フランス料理に寄り添い、調理毎・素材毎に様々な表情を見せてくれる久須美酒造様の日本酒はとても興味深いものでした。
音大卒の斎藤篤支配人はピアノ演奏で我々を癒してくれました。古き趣きあるピアノ!
当日の気配り名人 斎藤支配人にも感謝を込めて、ありがとうございました。
懐かしさに満ちた空間
画像突き当り奥がレストラン『Bague』
体育館の天井には教会建築で使う天蓋が!
アーティストの作品展、展示会も行われています。
新潟県長岡のお土産は久須美社長お薦めの逸品菊鮭寿し、新潟訪問翌日のシャンパン講座で披露させていただきました。全員笑顔で大満足、ご馳走様でした!
“麹”の重要性を説いていた戸塚先生との蔵元視察編は次回!
コメント 0