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満を持して日本市場にデビューしたシャンパン 『シャトー・ド・アヴィズ』 [来日したワイン生産者&関係者]

まずはプロローグから

今年1月末(4月からのNHK文化センター青山校講座開始前のウォーミングアップ編)に〝ウチ飲みスパークリング・レッスン〟を行いました。カリテプリ、新参アイテム、私が惚れ込んでいるブランド等、世界各国から7アイテムを選んで比較試飲しました。

最終フライトとしてお出ししたのが、オーストラリアのアラス グランド・ヴィンテージ2005(青木一押しの豪州産スパークリング)、フォリアージュ キュヴェ エクストラ ブリュットNV(昨年11月日本市場に初登場したシャンパン)、キャメル・ヴァレー ピノ・ノワール ブリュット2009(マイブームは英国産スパークリング、そのなかでもお気に入りの造り手)の3アイテムでした。

いずれも酒質がきれい! 講座生の多くはアラスもキャメルもシャンパンと思っていたようです。シャンパン『フォリアージュ』は熟成感と主張し過ぎない酸が印象的でした。今回、輸入元アズマコーポレーションの招聘で初来日した醸造責任者のリデリック・ルスールさんのセミナーに参加して、シャトー・ド・アヴィズのシャンパンスタイルがよくわかりました。
以下、そのセミナーのリポートです。

『フォリアージュ』の指南役はビオディナミ農法の大家
シャトー・ド・アヴィズは2010年にシャンパーニュ地方コート・デ・ブラン地区のアヴィズ村に設立されたメゾン(NM)です。ぶどう栽培、ワイン醸造まですべての監修を行っているのはエルヴェ・ジェスタンさんで、彼は1982年から2006年まで女性オーナー、キャロル・デュヴァル=ルロワが率いる『デュヴァル=ルロワ』の醸造責任者として活躍していました。なによりビオディナミ農法&シャンパン造りに精通した人物で、1つ前のブログで紹介したビオディナミの先駆者的存在の『フルーリー』とも交流があります。


この画像はデュヴァル=ルロワの『オーセンティス・キュミエール2003』
エルヴェさんが理想とするシャンパンのひとつで、デュヴァル=ルロワに在籍していた時に造った傑作。奥行きがあり、混じりけのないピュアなシャンパン。私も大好きです!

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ラベルにあるアグリキュルチュール・ビオロジック(Agriculture Biologique:AB)はフランスを中心にしたEU諸国(オーストリア、スウェーデン等)、スイスの他、イスラエル、オーストラリア、アルゼンチン等に支部を持つ認証機関のロゴ


~ 無農薬有機栽培の葡萄畑によって、より簡単に優れたワインを造り上げるという哲学から、すべてが始まるのです。フォリアージュはそのもっとも優れた証明です。 エルヴェ・ジェスタン ~


自然を最大限に生かしたシャンパン造り

広報担当ペギーさん()とリデリック・ルスール醸造責任者(
 
リデリックさんはアヴィズの醸造学校を卒業後、ボーヌでピエール・マッソンさんを知り、ビオディナミに開眼。その後各地のワイナリーで研鑚を積み、アヴィズの醸造学校に講師として戻り、2010年から2011年の間にエルヴェさんとの出逢いがあり、彼の信頼を得て、シャトー・ド・アヴィズ プロジェクトに参入

栽培と醸造に関して
■発酵はタンクと樽(225L/ソーテルヌのシャトーから3年使用した樽を購入、入手して6~8年使用。「内部がコーティングされているので酸化の速度がゆるやか」とリデリックさん) 
■MLFは樽内で行うが、あくまで自然の成り行きに任せて 
■2次発酵は14~15度で実施。その後、12~13度のカーブでゆっくり熟成
■門出のリキュールに使う糖分はサトウキビを精製した蔗糖
■総生産量は約25,000本

シャトー・ド・アヴィズのこだわり
■自社ぶどうはシャルドネ。買付ぶどうはオーガ二ック栽培をしている生産者のものを使用
■ヴァン・ド・レゼルヴは一切使わない。理由はその年の個性を明確に表現したいから
■ヴィンテージ・シャンパンは本当に良い年だけしか造らない

今夏入荷予定のアイテムを加えた3種をテイスティング
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#1:()フォリアージュ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン エクストラ・ブリュット2011  
希望小売価格9,240円(税抜) (2016年8月頃入荷予定
ぶどう品種はシャルドネ100% (メゾンの前に広がる2.5㌶のアヴィズGCの自社畑のぶどう/ビオディナミ)。ドザージュは4.5g/L、気泡はワインに溶け込み、泡の刺激はソフト、新鮮さとぶどうの熟度に由来する厚み、エレガントな酸味、バランス良い

#2:()フォリアージュ キュヴェ・エクストラ・ブリュットNV 希望小売価格8,900円(税抜)
ベースワインは2009年ヴィンテージ。シャルドネ40%、ピノ・ノワール30%(コート・デ・セザンヌ)、ピノ・ムニエ30%(ヴァレ・ド・ラ・マルヌ)、ドザージュは5g/L

シャトー・ド・アヴィズの最大の特徴はヴァン・ド・レゼルヴ(リザーヴワイン)を使わないこと。多くのメゾンではNVを造る場合、毎年同じ味わいにするため、数多くの原酒をブレンドし、ヴァン・ド・レゼルブを使用することで、均一さを表現しています。でも、シャトー・ド・アヴィズでは、その年の個性を明確に表現したいということで、前述のコンセプトを厳守。ドザージュ量もわずか5g/Lということなので、まさに直球勝負のシャンパンです。今回が3回目の試飲でしたが3アイテムのなかで、個人的にはこのNVが好きです。

#3:(中央)フォリアージュ キュヴェ・ミレジメ2004  希望小売価格16,800円(税抜)
ぶどう品種はシャルドネ60%、ピノ・ノワール30%、ピノ・ムニエ10%、ドザージュは約8g/Lですが、その量については輸出する相手国やその時のボトル内の状態によって若干変えているとのこと。熟成期間は120カ月、デゴルジュマンは2014年初旬

#1や#2と同じく、フレッシュさと複雑味を兼ね備えたシャンパンでアフターに蜂蜜のニュアンス。興味深かった点は、「デゴルジュマンを終えたシャンパンは熟成はしないで酸化していく」とリデリックさん。市場にリリースされたシャンパンはできるだけ早めに飲むことを薦めていました。

Q:2010年に立ち上げたメゾンなのに、なぜ2004年ヴィンテージ?
A:エルヴェ・ジェスタンさん自らアッサンブラ―ジュ(ブレンド)したシャンパンで、彼がかかわるオーガニック栽培のぶどうを使い、シャトー・ド・アヴィズの名でリリースしたもの。エルヴェさんは多くのメゾンのコンサルタントとして活動しており、これは2004年当時、他のメゾンで仕込み、そこで熟成させていた樽をシャトー・ド・アヴィズに持ち込み、完成させたシャンパン

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セミナーが終わり、一安心のリデリックさんとペギーさん


セミナーでは木村硝子店がグラス協力をしていました。
木村硝子店のグラスで#3のシャンパンを試したリデリックさんは「グラスの形状の繊細さが印象的で、このグラスで飲むと2004年にもかかわらず、新鮮さが感じられ、ワインらしい味わいが出てくる」とコメントしていました。

クープ型のニューバージョン〝ピーボオーソドックス 64983-230〟は、顔がそのまま入りそうな広い口径109mm、長くて細いステムで高さは150mm、容量は240cc。ボウルの底辺部を平らにしているのは、少量で液面が均一になり、その液面から漂ってくる香りを素直に楽しんで欲しいという意図からです。
一昨日、ワインのこころ Non Solo Vino版で紹介させていただきましたので、ご笑覧いただければ嬉しいです。

シャトー・ド・アヴィズについての問い合わせはアズマコーポレーション ℡03-5275-3333

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