ヴィーニャ・エラスリスのエドゥアルド・チャドウィック当主が語るチリのファイン・ワイン [来日したワイン生産者&関係者]
パッションが卓越した偉大なワインを造る
チリの名門ヴィーニャ・エラスリスから当主のエドゥアルド・チャドウィックさんが来日しました。
当日はワイン王国主催による〝チャドウィックさんとセーニャ4ヴィンテージを楽しむランチ〟@帝国ホテル『レ・セゾン』にお招きいただき、午後からはアカデミー・デュ・ヴァンで『アイコニック・テロワール・フロム・チリ』と題するセミナーも行われたので、まさにチャドウィック・デーでした!
『ヴィーニャ・エラスリス』のエドゥアルド・チャドウィック当主と『帝国ホテル レ・セゾン』のティエリー・ヴォワザン エグゼクティブシェフ、ダンディなおふたり!
チャドウィックさんが全幅の信頼を寄せる有坂芙美子さん@アカデミー・デュ・ヴァンADV青山校
この日は6時間以上、ご一緒させていただき、チャドウィックさんのワインに対するパッションをガンガン感じました。セミナーではヴィーニャ・エラスリスが手掛けるファイン・ワイン全体の解説がありましたので、まずはセミナーリポートから始めます。
アイコニック・テロワール・フロム・チリ
エラスリス家の沿革
チリのアコンカグア・ヴァレーにあるヴィーニャ・エラスリス
1870年、ドン・マキシミアーノ・エラスリスによって設立されたヴィーニャ・エラスリス
当時チリからボルドーにわたり、カベルネ・ソーヴィニヨンや他品種を持ち帰り植樹。ボルドー品種の産地として知られるようになります。創始者には先見の明があり、サンチャゴで銅産業を興し、ガス灯設置の事業にもかかわっていました。エラスリス家は4人の大統領と2人の大司教を輩出している家系で、チリの発展に重要な役割を果たしています。
現当主チャドウィックさんが初めて渡航したのはフランス。醸造学を学ぶためにボルドーに向かいました。ボルドー大学のエミール・ペイノー教授はリタイアしたところで、「ペイノーさんに会いにアルカションまで行きました」とチャドウィックさん。フランスではトップクラスのワインを試飲し、偉大な生産者を訪問し、世界のトップにはどのようなワインが君臨しているかを学習。彼が目標、お手本とするのはボルドーワインです。その後、チリに戻り、チリでなにができるか、世界を視野においたチャドウィックさんの挑戦が始まります!
セーニャの沿革とエラスリスの功績
昨年、東京・八芳園で、チリのアイコンワイン『セーニャ』のブランド立ち上げから20周年を記念したヴァ―ティカル・テイスティング・ディナーが開かれました。故ロバート・モンダヴィさんとのジョイント・べンチャーによって誕生したセーニャ、その沿革、チリワインの実力を世界に知らしめたチャドウィック当主の華麗な奮闘についてはコチラをご覧いただけましたら幸いです。
2004年からセーニャがチャドウィック家単独所有になったのを機に、現在はボルドーのネゴシアン経由での販売に変わっています。
セミナーでの供出ワイン
(左から)
#1:ドン・マキシミアーノ・ファウンダーズ・リザーヴ1989
カベルネ・ソーヴィニヨン100%、Alc12%
ワインの近代化以前のボルドースタイルを踏襲したワイン、27年の経過を感じさせない果実味、ぶどうの糖度、酵母は近年のエラスリスとは異なる印象
#2:同2013
カベルネ・ソーヴィニヨン79%、マルベック10%、カルメネール6%、プティ・ヴェルド5%、Alc14%、フレンチオーク22か月、新樽率65%。
力強い凝縮感と繊細な味わいが共存、チャドウィックさんは「例えるとポイヤック、パワーとシルキー」と
#3:ラ・クンブレ2013
シラー100%、Alc14%、フレンチオーク22か月、新樽率50%
北部ローヌスタイル、温暖な産地(ミンティなフレーバー)と冷涼な産地(オリーヴのフレーバー)のブレンドで複雑味が備わる、エレガント・シラー
#4:カイ2013
カルメネール90%、プティ・ヴェルド7%、シラー3%、フレンチオーク22か月、新樽率60%
カルメネールの特徴を最大限表現したワイン、バルサミコ、スパイス、ペッパー、コーヒー、緻密でなめらか
#5:セーニャ1996
カベルネ・ソーヴィニヨン91%、カルメネール9%、Alc12.7%
冷涼年のワイン、初ヴィンテージが95年で、この時代にはまだ2品種しか植樹されていなかったとのこと。「ピノ・ノワールを連想させるようなエレガントさ」とチャドウィックさん
#6:同2013
カベルネ・ソーヴィニヨン58%、カルメネール15%、マルベック12%、メルロー10%、プティ・ヴェルド5%、Alc14%、フレンチオーク22か月、新樽率75%
世界の評論家たちから高評価を受けているワイン、果実の凝縮感、甘草、アーシーさ、複雑味
#7:ヴィニエド・チャドウィック2013
カベルネ・ソーヴィニヨン100%、Alc14%、フレンチオーク22か月、新樽率90%
ヴィニエド・チャドウィックはマイポ川流域マイポ・アルトにあるワイナリーで、父親が所有していたポロの競技場を1993年にぶどう畑にしたもの。チャドウィックさんの父親は2つのパッションを持っていました。ひとつはポロ(ナショナルチームのキャプテンでした)、もうひとつはワイン造り。その昔は海底だったところで、氷河期に形成された土壌。砂利や小石が多く、世界屈指のカベルネの産地になっています。他界した父親に敬意を表し、父親の名を冠したワイン、1999年が初ヴィンテージ。特徴的なバラの香り、きめ細かなタンニン、時間の経過で複雑味、ボルドー的、フィネス&エレガンス
2013の価値ある利き比べ
ここ10年間で一番冷涼だった2013、構成するぶどう品種、土壌等の違いを感じる興味深い試飲になりました。#4のカイは酸がソフトで飲む人を包み込む印象 #7のヴィニエド・チャドウィックはマイポのカベルネ・ソーヴィニヨンの奥深さ、力強さがあり圧巻。ボルドーワインのイメージです! #6のセーニャはまだ赤ちゃん状態ですが、ポテンシャルがあり、チリワインが長熟することを示す最良の見本になると確信しています。
世界から高い評価を受けているカルメネールの逸品カイ
記念画像の撮影時、「一番のお気入りを」とお願いして、手になさったのは、やはりKAI!
カイは彼にとってのテディ・ベアだそうで、「いつでも抱いていたい」と(笑)
当日のベストワインはKAI2013
最後に、挙手による「2アイテムのお気に入り」調査をしました。
私のベスト1は#4 のカイ2013、ベスト2は#7のヴィニエド・チャドウィック\(^O^)/
皆さまの反応は・・・No.1がカイ2013(14票)、No.2はヴィニエド・チャドウィック2013(13票)で、No.3 はセーニャ1996、No.4はセーニャ2013、No.5はラ・クンブレ2013、No.6はドン・マキシミアーノ1989、そしてNo.7がドン・マキシミアーノ2013という結果になりました。
質疑応答から
Q:アルコール度数に対する考え方
1970年代のフランス・メドックの1級シャトーではアルコール度数が12%くらいでしたが、今では14%を超えることもあります。世界的にワイン造りのトレンドが〝ぶどうの熟度の追及〟に向かっています。我々もぶどうの純粋な果実味やフレッシュさ、エレガントなスタイルを求めているので、今以上のアルコール度数や完熟度に向かうことはないですが、青臭い味わいにはしたくないので、しっかり熟したぶどうを求めています。昔のようなアルコール度数に戻ることないと思います。
Q:ビオディナミを導入して変わったこと
ビオディナミに切り替えてから10年経過しましたが、バランスの取れた生態系を作り出すので、根は地中深く伸び、ぶどう樹は健康に育ち、質の良いぶどうが収穫できます。それにより、素晴らしい結果が得られ、エネルギーを感じるワインが生まれています。醸造面ではワイルドイーストを使用(ワイナリーのスタート当初は培養酵母を使用)、フィネスを大事にしているので、新樽率を減らし、果実のピュアな味わいを表現するようにしています。ワイルドイーストの働きでワインがより複雑になってきていることを実感しています。
セーニャ4ヴィンテージを楽しむランチ@レ・セゾン
落ち着いた雰囲気のレ・セゾン
〝More Great, Fresh wines from Chile〟
と題する記事でセーニャ2013を称賛したサックリング
ワイン王国の村田惠子編集長は冒頭のあいさつで、セーニャはチリのウルトラ・プレミアムワインであり、ワイン評論家ジェームス・サックリングによる評価が2012年ヴィンテージはチリワイン史上初の98点、2013年は99点だったこと。加えてチャドウィック当主が2005年に英国のデキャンター誌から、ワイン業界で影響力のある50名のなかのひとりに選ばれていることについて触れました。
レ・セゾンの料理とのマリア―ジュ
白ワインはアルボレダ・シャルドネ2014、赤ワインはセーニャ2008、2009、2011&2013
チャドウィック:カルメネールは熟すのに時間がかかる品種です。しっかり熟させないとピーマンのような青臭さが出てしまうので、それを避ける意味で、収穫は5月(北半球の11月)頃の遅摘み、場所、気候、土壌(粘土)を選ぶ品種と言えます。海から40㌔離れた涼しい区画、傾斜のある日照量の多い畑に植えています。収量は少なくなりますが、その分、凝縮度が高いぶどうが収穫できます。ファイン・ワイン造りは簡単にはできません。ボルドーで、カルメネールが根付かなかったのは、収穫期の雨の影響で、しっかり熟させることが難しかったのでは。チリの場合は、収穫中には降雨はないので、完璧に熟させることができます。
冷涼品種に適した注目の産地アコンカグア・コスタ
アルボレダ・シャルドネ2014は太平洋沿岸部に位置する平地の産地アコンカグア・コスタのワイン。土壌はシスト(片岩)で、冷涼品種(CH、SB、PN)に適したエリアです。アルボレダは〝森の茂みや木立〟を意味し、その名の通り、緑豊かな環境で、自然に配慮した栽培を実践しています。2014年は2013年に続く冷涼年。海に近い畑なので、フレッシュな酸と豊かなミネラル、芳香があり、透明度が高く、ピュアな印象
ファイン・ワインの名銘醸地カサブランカ・ヴァレーとアコンカグア・コスタの違いは・・・
土壌の構成。前者は1990年代の初めから冷涼品種が栽培されていました。海岸から20~40㌔内陸にあり、標高もアコンカグア・コスタより高く、土壌も砂質ローム、上部は粘土ローム層なので、熟れた果実、トロピカルな風味が特徴。後者はシストや火山性土壌なので、ミネラル感や酸味のキレ、強さが特徴
チリのファイン・ワインのアンバサダーとして
チャドウィック:チリワインは1990年代中頃から日本市場に流通していますが、今では高い評価を得ています。昨年ワイン輸出量が第1位になったことは記念べきことで、日本の皆さんに感謝したいと思います。同時にチリのファインワインを知っていただきたいと思っています。ワインは5000年も前から造られていますが、現在では100年くらい前から、ブランドとか産地というものが広まり、チリに関して言えば、次の世代に向けて、品質の高いファインワインを広めていく必要があると思っています。ボルドーではAOC制度や1855年の格付がアンバサダー的な役割を果たしてきました。私自身、日本を含む世界に対してチリのファインワインのアンバサダーとして邁進していきます。ワインを造る人のパッションが卓越した偉大なワインを生み出すのです。
アミューズは日本酒の升を使って!
この升(なかのゴマは飾り)をティエリーさんはNYで使い、大好評を博したそうです。
ババロア(左)と竹串に刺した帆立貝(まわりを帆立の水分やミルクでコーティング)
赤座海老のカルパッチョとキャビア、海藻と柔らかいジュレと
フォアグラのロワイヤルにバターナッツカボチャのヴルテ クルスティヤントにしたカカオとトンカ豆 × アルボレダのシャルドネ2014
鮑のシヴェ仕立て(ソースは鮑の肝、ゴマと合せたフォアグラ) 雲丹を添えて × セーニャ2008&2009
■2008年は冷涼年、エルニーニョの発生で海面が上がり、大量の雲が発生したことで、曇りがちの天気に。色調は濃く、ダーク・チェリーやオリーブの香り、フレッシュな酸味、果実味とタンニンのバランスも良く、8年経過していますが長熟に耐えるポテンシャルあり、クラシックなヴィンテージ
■2009年は温暖な気候でアルコール度数は14.5%ですが、ワインはエレガントでシルキー。ブラック・チェリーや熟れた果実のニュアンス。「アメリカでは温暖な気候2005、2007、2009のようなヴィンテージが好まれ、欧州では逆に冷涼なヴィンテージが好まれます。日本やアジアは欧州に近く、冷涼な気候のヴィンテージに人気があります」とチャドウィックさん
午前中に京都から戻ったばかりのティエリーさんがトリュフをスライス
豪華に仕上げた薩摩シャモのファルシ フォアグラを加えたバスマチ米のピラフとトリュフ × セーニャ×2011&2013
チャドウィックさんは2011年と2013年ヴィンテージについて「ビオディナミの効果が出た、フィネスのあるワイン」と力説。私の印象は2011年のエレガントさ、2013年の将来性!
■2011年は冷涼年、フローラルで心地良い酸味、ブラック・ベリーやブルーべリーの香り、フェミニンでエレガント、バランスの取れたワイン。スティーヴン・スパリエは「ナチュラルなリッチさがあり、凝縮度は高いが重さがない」と絶賛
■2013年はここ10年で最も涼しかった年、ぶどうが熟すのに時間がかかったので、収穫は4月末から5月初めに実施、ピュアな酸味、2011年と同じようにブラック・ベリーやブルー・ベリーの香りがあり、リッチでシルキー。ジェームス・サックリングは「ボルドー第一級シャトーのストラクチュアを表現しながらも依然としてチリらしさがある」とコメント
マーケティング・ディレクターのロレトさんとは1年ぶりの再会!
温かなホスピタリティの持ち主エドゥアルド・チャドウィック当社と
チリは昨年フランスを抜いて国別輸入量ナンバーワンになりました。チリの輸入数量※は849万ケース、フランスは615万ケース。しかしながら、金額※ではチリ218億円vsフランス507億円という大差!※出典:酒販ニュース
チリワインにはエントリーレベルから、ファイン・ワインまで、様々なレンジがありますので、量販ワインを楽しむだけでなく、年に何回かはファイン・ワインに目を向けていただきたいと思っています。その要となるのが・・・このブログで紹介したヴィーニャ・エラスリスです!
チリと日本が締結したEPA効果の恩恵もありますので、世界が認めたチリのファイン・ワインの実力をお試しいただきたいと思っています。
チリの名門ヴィーニャ・エラスリスから当主のエドゥアルド・チャドウィックさんが来日しました。
当日はワイン王国主催による〝チャドウィックさんとセーニャ4ヴィンテージを楽しむランチ〟@帝国ホテル『レ・セゾン』にお招きいただき、午後からはアカデミー・デュ・ヴァンで『アイコニック・テロワール・フロム・チリ』と題するセミナーも行われたので、まさにチャドウィック・デーでした!
『ヴィーニャ・エラスリス』のエドゥアルド・チャドウィック当主と『帝国ホテル レ・セゾン』のティエリー・ヴォワザン エグゼクティブシェフ、ダンディなおふたり!
チャドウィックさんが全幅の信頼を寄せる有坂芙美子さん@アカデミー・デュ・ヴァンADV青山校
この日は6時間以上、ご一緒させていただき、チャドウィックさんのワインに対するパッションをガンガン感じました。セミナーではヴィーニャ・エラスリスが手掛けるファイン・ワイン全体の解説がありましたので、まずはセミナーリポートから始めます。
アイコニック・テロワール・フロム・チリ
エラスリス家の沿革
チリのアコンカグア・ヴァレーにあるヴィーニャ・エラスリス
1870年、ドン・マキシミアーノ・エラスリスによって設立されたヴィーニャ・エラスリス
当時チリからボルドーにわたり、カベルネ・ソーヴィニヨンや他品種を持ち帰り植樹。ボルドー品種の産地として知られるようになります。創始者には先見の明があり、サンチャゴで銅産業を興し、ガス灯設置の事業にもかかわっていました。エラスリス家は4人の大統領と2人の大司教を輩出している家系で、チリの発展に重要な役割を果たしています。
現当主チャドウィックさんが初めて渡航したのはフランス。醸造学を学ぶためにボルドーに向かいました。ボルドー大学のエミール・ペイノー教授はリタイアしたところで、「ペイノーさんに会いにアルカションまで行きました」とチャドウィックさん。フランスではトップクラスのワインを試飲し、偉大な生産者を訪問し、世界のトップにはどのようなワインが君臨しているかを学習。彼が目標、お手本とするのはボルドーワインです。その後、チリに戻り、チリでなにができるか、世界を視野においたチャドウィックさんの挑戦が始まります!
セーニャの沿革とエラスリスの功績
昨年、東京・八芳園で、チリのアイコンワイン『セーニャ』のブランド立ち上げから20周年を記念したヴァ―ティカル・テイスティング・ディナーが開かれました。故ロバート・モンダヴィさんとのジョイント・べンチャーによって誕生したセーニャ、その沿革、チリワインの実力を世界に知らしめたチャドウィック当主の華麗な奮闘についてはコチラをご覧いただけましたら幸いです。
2004年からセーニャがチャドウィック家単独所有になったのを機に、現在はボルドーのネゴシアン経由での販売に変わっています。
セミナーでの供出ワイン
(左から)
#1:ドン・マキシミアーノ・ファウンダーズ・リザーヴ1989
カベルネ・ソーヴィニヨン100%、Alc12%
ワインの近代化以前のボルドースタイルを踏襲したワイン、27年の経過を感じさせない果実味、ぶどうの糖度、酵母は近年のエラスリスとは異なる印象
#2:同2013
カベルネ・ソーヴィニヨン79%、マルベック10%、カルメネール6%、プティ・ヴェルド5%、Alc14%、フレンチオーク22か月、新樽率65%。
力強い凝縮感と繊細な味わいが共存、チャドウィックさんは「例えるとポイヤック、パワーとシルキー」と
#3:ラ・クンブレ2013
シラー100%、Alc14%、フレンチオーク22か月、新樽率50%
北部ローヌスタイル、温暖な産地(ミンティなフレーバー)と冷涼な産地(オリーヴのフレーバー)のブレンドで複雑味が備わる、エレガント・シラー
#4:カイ2013
カルメネール90%、プティ・ヴェルド7%、シラー3%、フレンチオーク22か月、新樽率60%
カルメネールの特徴を最大限表現したワイン、バルサミコ、スパイス、ペッパー、コーヒー、緻密でなめらか
#5:セーニャ1996
カベルネ・ソーヴィニヨン91%、カルメネール9%、Alc12.7%
冷涼年のワイン、初ヴィンテージが95年で、この時代にはまだ2品種しか植樹されていなかったとのこと。「ピノ・ノワールを連想させるようなエレガントさ」とチャドウィックさん
#6:同2013
カベルネ・ソーヴィニヨン58%、カルメネール15%、マルベック12%、メルロー10%、プティ・ヴェルド5%、Alc14%、フレンチオーク22か月、新樽率75%
世界の評論家たちから高評価を受けているワイン、果実の凝縮感、甘草、アーシーさ、複雑味
#7:ヴィニエド・チャドウィック2013
カベルネ・ソーヴィニヨン100%、Alc14%、フレンチオーク22か月、新樽率90%
ヴィニエド・チャドウィックはマイポ川流域マイポ・アルトにあるワイナリーで、父親が所有していたポロの競技場を1993年にぶどう畑にしたもの。チャドウィックさんの父親は2つのパッションを持っていました。ひとつはポロ(ナショナルチームのキャプテンでした)、もうひとつはワイン造り。その昔は海底だったところで、氷河期に形成された土壌。砂利や小石が多く、世界屈指のカベルネの産地になっています。他界した父親に敬意を表し、父親の名を冠したワイン、1999年が初ヴィンテージ。特徴的なバラの香り、きめ細かなタンニン、時間の経過で複雑味、ボルドー的、フィネス&エレガンス
2013の価値ある利き比べ
ここ10年間で一番冷涼だった2013、構成するぶどう品種、土壌等の違いを感じる興味深い試飲になりました。#4のカイは酸がソフトで飲む人を包み込む印象 #7のヴィニエド・チャドウィックはマイポのカベルネ・ソーヴィニヨンの奥深さ、力強さがあり圧巻。ボルドーワインのイメージです! #6のセーニャはまだ赤ちゃん状態ですが、ポテンシャルがあり、チリワインが長熟することを示す最良の見本になると確信しています。
世界から高い評価を受けているカルメネールの逸品カイ
記念画像の撮影時、「一番のお気入りを」とお願いして、手になさったのは、やはりKAI!
カイは彼にとってのテディ・ベアだそうで、「いつでも抱いていたい」と(笑)
当日のベストワインはKAI2013
最後に、挙手による「2アイテムのお気に入り」調査をしました。
私のベスト1は#4 のカイ2013、ベスト2は#7のヴィニエド・チャドウィック\(^O^)/
皆さまの反応は・・・No.1がカイ2013(14票)、No.2はヴィニエド・チャドウィック2013(13票)で、No.3 はセーニャ1996、No.4はセーニャ2013、No.5はラ・クンブレ2013、No.6はドン・マキシミアーノ1989、そしてNo.7がドン・マキシミアーノ2013という結果になりました。
質疑応答から
Q:アルコール度数に対する考え方
1970年代のフランス・メドックの1級シャトーではアルコール度数が12%くらいでしたが、今では14%を超えることもあります。世界的にワイン造りのトレンドが〝ぶどうの熟度の追及〟に向かっています。我々もぶどうの純粋な果実味やフレッシュさ、エレガントなスタイルを求めているので、今以上のアルコール度数や完熟度に向かうことはないですが、青臭い味わいにはしたくないので、しっかり熟したぶどうを求めています。昔のようなアルコール度数に戻ることないと思います。
Q:ビオディナミを導入して変わったこと
ビオディナミに切り替えてから10年経過しましたが、バランスの取れた生態系を作り出すので、根は地中深く伸び、ぶどう樹は健康に育ち、質の良いぶどうが収穫できます。それにより、素晴らしい結果が得られ、エネルギーを感じるワインが生まれています。醸造面ではワイルドイーストを使用(ワイナリーのスタート当初は培養酵母を使用)、フィネスを大事にしているので、新樽率を減らし、果実のピュアな味わいを表現するようにしています。ワイルドイーストの働きでワインがより複雑になってきていることを実感しています。
セーニャ4ヴィンテージを楽しむランチ@レ・セゾン
落ち着いた雰囲気のレ・セゾン
〝More Great, Fresh wines from Chile〟
と題する記事でセーニャ2013を称賛したサックリング
ワイン王国の村田惠子編集長は冒頭のあいさつで、セーニャはチリのウルトラ・プレミアムワインであり、ワイン評論家ジェームス・サックリングによる評価が2012年ヴィンテージはチリワイン史上初の98点、2013年は99点だったこと。加えてチャドウィック当主が2005年に英国のデキャンター誌から、ワイン業界で影響力のある50名のなかのひとりに選ばれていることについて触れました。
レ・セゾンの料理とのマリア―ジュ
白ワインはアルボレダ・シャルドネ2014、赤ワインはセーニャ2008、2009、2011&2013
チャドウィック:カルメネールは熟すのに時間がかかる品種です。しっかり熟させないとピーマンのような青臭さが出てしまうので、それを避ける意味で、収穫は5月(北半球の11月)頃の遅摘み、場所、気候、土壌(粘土)を選ぶ品種と言えます。海から40㌔離れた涼しい区画、傾斜のある日照量の多い畑に植えています。収量は少なくなりますが、その分、凝縮度が高いぶどうが収穫できます。ファイン・ワイン造りは簡単にはできません。ボルドーで、カルメネールが根付かなかったのは、収穫期の雨の影響で、しっかり熟させることが難しかったのでは。チリの場合は、収穫中には降雨はないので、完璧に熟させることができます。
冷涼品種に適した注目の産地アコンカグア・コスタ
アルボレダ・シャルドネ2014は太平洋沿岸部に位置する平地の産地アコンカグア・コスタのワイン。土壌はシスト(片岩)で、冷涼品種(CH、SB、PN)に適したエリアです。アルボレダは〝森の茂みや木立〟を意味し、その名の通り、緑豊かな環境で、自然に配慮した栽培を実践しています。2014年は2013年に続く冷涼年。海に近い畑なので、フレッシュな酸と豊かなミネラル、芳香があり、透明度が高く、ピュアな印象
ファイン・ワインの名銘醸地カサブランカ・ヴァレーとアコンカグア・コスタの違いは・・・
土壌の構成。前者は1990年代の初めから冷涼品種が栽培されていました。海岸から20~40㌔内陸にあり、標高もアコンカグア・コスタより高く、土壌も砂質ローム、上部は粘土ローム層なので、熟れた果実、トロピカルな風味が特徴。後者はシストや火山性土壌なので、ミネラル感や酸味のキレ、強さが特徴
チリのファイン・ワインのアンバサダーとして
チャドウィック:チリワインは1990年代中頃から日本市場に流通していますが、今では高い評価を得ています。昨年ワイン輸出量が第1位になったことは記念べきことで、日本の皆さんに感謝したいと思います。同時にチリのファインワインを知っていただきたいと思っています。ワインは5000年も前から造られていますが、現在では100年くらい前から、ブランドとか産地というものが広まり、チリに関して言えば、次の世代に向けて、品質の高いファインワインを広めていく必要があると思っています。ボルドーではAOC制度や1855年の格付がアンバサダー的な役割を果たしてきました。私自身、日本を含む世界に対してチリのファインワインのアンバサダーとして邁進していきます。ワインを造る人のパッションが卓越した偉大なワインを生み出すのです。
アミューズは日本酒の升を使って!
この升(なかのゴマは飾り)をティエリーさんはNYで使い、大好評を博したそうです。
ババロア(左)と竹串に刺した帆立貝(まわりを帆立の水分やミルクでコーティング)
赤座海老のカルパッチョとキャビア、海藻と柔らかいジュレと
フォアグラのロワイヤルにバターナッツカボチャのヴルテ クルスティヤントにしたカカオとトンカ豆 × アルボレダのシャルドネ2014
鮑のシヴェ仕立て(ソースは鮑の肝、ゴマと合せたフォアグラ) 雲丹を添えて × セーニャ2008&2009
■2008年は冷涼年、エルニーニョの発生で海面が上がり、大量の雲が発生したことで、曇りがちの天気に。色調は濃く、ダーク・チェリーやオリーブの香り、フレッシュな酸味、果実味とタンニンのバランスも良く、8年経過していますが長熟に耐えるポテンシャルあり、クラシックなヴィンテージ
■2009年は温暖な気候でアルコール度数は14.5%ですが、ワインはエレガントでシルキー。ブラック・チェリーや熟れた果実のニュアンス。「アメリカでは温暖な気候2005、2007、2009のようなヴィンテージが好まれ、欧州では逆に冷涼なヴィンテージが好まれます。日本やアジアは欧州に近く、冷涼な気候のヴィンテージに人気があります」とチャドウィックさん
午前中に京都から戻ったばかりのティエリーさんがトリュフをスライス
豪華に仕上げた薩摩シャモのファルシ フォアグラを加えたバスマチ米のピラフとトリュフ × セーニャ×2011&2013
チャドウィックさんは2011年と2013年ヴィンテージについて「ビオディナミの効果が出た、フィネスのあるワイン」と力説。私の印象は2011年のエレガントさ、2013年の将来性!
■2011年は冷涼年、フローラルで心地良い酸味、ブラック・ベリーやブルーべリーの香り、フェミニンでエレガント、バランスの取れたワイン。スティーヴン・スパリエは「ナチュラルなリッチさがあり、凝縮度は高いが重さがない」と絶賛
■2013年はここ10年で最も涼しかった年、ぶどうが熟すのに時間がかかったので、収穫は4月末から5月初めに実施、ピュアな酸味、2011年と同じようにブラック・ベリーやブルー・ベリーの香りがあり、リッチでシルキー。ジェームス・サックリングは「ボルドー第一級シャトーのストラクチュアを表現しながらも依然としてチリらしさがある」とコメント
マーケティング・ディレクターのロレトさんとは1年ぶりの再会!
温かなホスピタリティの持ち主エドゥアルド・チャドウィック当社と
チリは昨年フランスを抜いて国別輸入量ナンバーワンになりました。チリの輸入数量※は849万ケース、フランスは615万ケース。しかしながら、金額※ではチリ218億円vsフランス507億円という大差!※出典:酒販ニュース
チリワインにはエントリーレベルから、ファイン・ワインまで、様々なレンジがありますので、量販ワインを楽しむだけでなく、年に何回かはファイン・ワインに目を向けていただきたいと思っています。その要となるのが・・・このブログで紹介したヴィーニャ・エラスリスです!
チリと日本が締結したEPA効果の恩恵もありますので、世界が認めたチリのファイン・ワインの実力をお試しいただきたいと思っています。
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