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オーストリアの銘醸地ヴァッハウ最高の造り手〝ニコライホーフ〟 [来日したワイン生産者&関係者]

歴史と実績に裏打ちされたワイナリー
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世界遺産の地オーストリア・ヴァッハウにあるニコライホーフ

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資料提供:ファインズ
ドナウ河沿いの斜面に銘醸地が連なるヴァッハウ


オーストリア大使館商務部との共催試飲セミナー
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クリスティーネ・サース夫人とオーストリア大使館商務部のミヒャエル・オッター商務参事官

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オーストリア大使館商務部の会場はアットホームな雰囲気


ニコライホーフの沿革
2000年前にローマ人がマウテルンに建設したワインセラーがベースの歴史あるワイナリー。聖ニコライ修道院は985年の建造物で、その地下にセラーがあります。施設は1894年サース家の所有になりました。

サースさんは「秘密とは言えない秘密ですが、ニコライホーフのワインが特別の味がするのは、ローマ時代からのセラーにワインをゆっくり寝かせておくことで、パワーとエネルギーを得ることができるのです」と語っていました。

2005年から長男ニコラウスさんが4代目となってワイナリーを仕切っています。伝統を守りつつ、新しいことをということで、新ロゴを考案。Nikolaihofの文字の左上にアスタリスクをつけました。これは〝神聖な場所〟を意味しているそうです。

アイコンワインの『ヴィノテーク リースリング』ですが、1995年ヴィンテージがPP100点をゲットしています。辛口のリースリングでは世界初の快挙になります。また今年、『ヴィノテーク リースリング1997』がPP95、『トロッケンベーレンアレーゼ2005』が同じくPP95を得ています。


1971年からビオディナミ農法で栽培
■化学肥料は一切使わない ■月の周期に基づいて作業を行う ■ビオディナミ農法の先駆者

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資料提供:ファインズ

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資料提供:ファインズ

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オーストリアワインに精通しているオーストリアワイン大使たちから質問を受けるサース夫人

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左から
#1:グリュナー フェルトリーナー ニコライホーフ2013/3340円
グリュナー・フェルトリーナー(GV)の入門ワイン。サースさんは「GVは果実味というより、白コショウ、スパイシー、植物的」と表現。辛口で、ミネラル感と切れの良い味わいが魅力

#2イム ヴァインゲビルゲ グリューナー フェルトリーナー フェダーシュピール2013/4000円
我が家の定番、守備範囲も広く、飲み飽きしないワイン。舌の上に広がるまったり感、程よい酸味、軽いビター感、品の良いミネラル、わさびとは絶妙の相性

#3:エリザベート2012/6300円
伝統に則った昔ながらの製法で完成させたワイン。ニコライホーフの名が世間に知られるようになり、それを記念して1985年に1000年祭を行いました。その折、1000年の古樹はないので、その代案として、すべてのぶどうを同時に仕込もうと決断、樹齢は50年~60年になります。

サース:すべての品種が同じ畑に植えられています。ウィーンの製法ゲミシュターサッツと同じで、GV (主品種で量が多い)、リースリング(酸が魅力)、ノイブルガー(一斉収穫時は過熟していることが多いが却ってそれが魅力に)、ヴァイスブルグンダー(PB)、シャルドネのブレンドでハーモニーを生み出し、抜栓後の時間の経過で各品種の個性をより感じることができます。

#4:リースリング2011/3340円
サース:多くの人に自然なミネラルを感じるリースリングらしいリースリングを味わって欲しいと思いリリースしました。ニコライホーフでは常時14万リットルのワインをストックしています。昨年(2014年VT)は十分な収量が確保できたので、2011年のリースリングを製品化しました。

#5:フォン シュタイン リースリング フェダーシュピール2012/4270円
サース:初めのうちは桃や杏のニュアンスがあり、歳月の経過でミネラル感が出てくるワインです。リースリングはワインのプリンスだと思っています。赤ワインと白ワインを比べると、白のほうが少なく、なかでもリースリングはさらに少ないです。ヴァッハウは世界で最もリースリングに合う場所であり、典型的なリースリングを生産するには寒暖差があることが大事です。

#6:シュタイナー フント リースリング レゼルブ2010/8000円
#1から#5までの生産地域はヴァッハウですが、#6はドナウ河北側にあるクレムスタール、畑はすべて南向き
サース:777年にはすでにぶどう畑として存在していました。2003年は猛暑の年だったので、ぶどうが焼けてしまうのではと心配しましたが、酸もアルコ-ルもバランスが良く、驚くべき出来になりました。100年に1度の暑さの年でしたが、ビオディナミを実践していて本当に良かったと思っています。

2010年ヴィンテージについては
サース:2010年は涼しい年でした。厳しい酸のニュアンスがあり、リースリングのキャラクターにはちょうど良い感じです。ミネラル感の強いワインですが、シュタイナーフントのリースリングは原生岩なので、ぶどうの樹も根を張るのに苦労します。ぶどう樹はゆっくりと成長するので、ワイン自体にパワーがあり、コンセントレートしています。でもアルコール度数は12.5 %しかありません。


2003年に初めてオーストリアを訪問したのですが、前年2002年は大洪水で、多くのワイナリーが被害を受けました。訪問先のワイナリーのセラーには洪水の痕跡が残っていました。でも、ニコライホーフのセラーには水が一滴も入ってこなかったので、何の跡もありませんでした。地下セラーだったにも関わらず、です。
そこで、改めて2002年の収穫状況をサースさんに質問してみました。

サース:2002年は昨年(2014年)と同じで、雨が多い年でした。化学肥料を使っている畑だと、雨水が浸透すると、土壌に堆積していた肥料があふれ出し、結果として、ぶどうの実が大きくなってしまいます。ニコライホーフでは化学的なものは一切使っていないので、例年と同じ状態でした。できたぶどうは実が小さく、皮が厚かったです。ビオディナミによる樹は必要以上の水分を吸収しないのです。


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ドナウ河の対岸がシュタイナー フント

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サース夫人が好きな品種リースリング
2010年のシュタイナー フント リースリング レゼルヴのバランスの良さ、凛として優しくてどこまでも長い余韻

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画像提供:Nikolaihof
(470年の古文書に記載されている)中央ヨーロッパ最古の畑イム ヴァィンゲヴルゲのアンズの花。このアンズから造られるジャム(デメテール)は一度食べたら忘れられない至福の味、機会があれば是非!

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料理名人サース夫人の2冊目の料理本『Wachau Cookbook』、英語と独語の2か国版。ニコライホーフ自慢のアンズが表紙を飾っています。日本の料理好きな皆さまにお薦めしたい本です!


2014年ヴィンテージですが、雨が多く、他の生産者のところでは50%くらい収量が落ちてしまったそうです。でも、ニコライホーフでは例年と変わらない収量だった由。ぶどうの果粒は小さく、果皮は厚かったとのこと。
これについて、サースさんは「厳しい自然から自分の身を守ることをぶどう自体が実践していたから」と。加えて「植物は害虫や菌から自分を守る力を備えているので、ビオディナミのぶどうにはそれができるのです。薬(肥料)を与えると免疫力がなくなってくるのは人間もぶどうも同じです」と語っていました。
ビオディナミという言葉などなかった時から、シュタイナーの理論に則った農法を取り入れ、実践していたサース夫人らしい力強いお言葉


今回の滞在では京都訪問も叶ったようで、ホント良かったです。
この後、香港、ボルドーVINEXPOとまだまだ多忙な日が続くようですが、元気な笑顔のクリスティーネさんと再会できて嬉しく思いました。次回は11月ヴァッハウで!


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