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カリフォルニア研修ツアー2014 ~ケイン・ヴィンヤードからブラック・スタリオンまで(5) ~ [カリフォルニア・ドリーミング・ワインツアー]

首都圏&関西圏のレストランを対象に、4月&5月の2か月間行われる〝カリフォルニア・バイ・ザ・グラス プロモーション〟。その一環であるカリフォルニアワインテイステイング2015が、明日2日には大阪で、4日には東京で開かれます。

このプロモーションで最優秀店に選ばれると、主催のワインインスティテュート(カリフォルニアワイン協会)から内容もりだくさんの〝カリフォルニア研修ツアー〟がプレゼントされます。拙ブログではカリフォルニア・ドリーミング・ワインツアーのカテゴリーに昨年の同行取材報告を載せています。これは4日目のリポートになります。エントリーなさる方々のやる気の一助、参考になれば嬉しいです。

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カリフォルニア研修4日目はナパの青い空に浮かぶ気球を見ながら移動

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午前中の訪問はケイン・ヴィンヤード&ワイナリー(ケイン)
ワインメーカー&ジェネラル・マネージャーのクリストファー・ハウエルさんの案内で山登りを兼ねたヴィンヤード散策。当日の平地の外気は18度、山地は25度、日照度の強さを感じます。


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収穫は9月第2週からスタートした由。画像の区画(カベルネ)もまもなくです!

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運動した後はワイナリーに戻り、ナパヴァレーについて学習しました。

ナパヴァレーはロスから579km、サンフランシスコから77km、太平洋から58kmの所にあります。広さはボルドーの8分の1程度。ナパヴァレー・ヴィンナーズ(NVV)のメンバーの78%は年間生産量10,000ケース以下とのことですが、ケインは15,000ケース。ナパヴァレーのワイン生産者の95%は家族経営です。

AVAの標高を見ると、ヴァレー・フロア(平坦地)は0~214m。ケインのクリストフさんは「欧州のワイン産地は斜面が多いのですが、カリフォルニアのヴァレー・フロアでぶどう栽培ができるのは収穫期に雨が降らないからです」とコメントしていました。スプリングマウンテン地区(海抜186m~806m)にあるケインの主要ぶどう品種はCS、CF、ME、ジンファンデル。ヴァレー・フロアの『ケイン・ファイブ』と斜面側の『ケイン・コンセプト』の2タイプを生産しています。

20ワイナリーが参加したナパ・ヴァレー合同試飲会
ワインインスティテュートが行う試飲会で馴染のあるワイナリーが数多く集合していました。
BRAND Napa Valley / Cain Vineyard & Winery / Corison Winery / Dariosh / Gallica / Honig Vineyard & Winery / Long Meadow Ranch Winery / PEJU / Pine Ridge Vineyards / Raymond Vineyards / Schramsberg Vineyards / Signorello Estate / Silenus Winery / Silver Oak Cellars / Spring Mountain Vineyards / Swanson Vineyards / TEXTBOOK / Twomey Cellars / Viadar Vineyards Winery / VinRoc Wine Caves


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『ダリオッシュ』のオーナー、ダリオッシュ・ハレディさんとも再会! 
イラン生まれの彼はロスでスーパーマーケットを経営し、事業拡大に成功した後、1997年に念願だったワインビジネスに参入。2004年に完成したゲストセンターは古代ペルシャ王朝をイメージした建造物で、力が入った豪華版。ここでの 試飲はグラスの底が見えない深い紅色で凝縮感があり、余韻の長いCSとアロマ豊かでスパイシーなヴィオニエ。後者に関して、「ローヌとは異なる個性」とハレディさん。


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『スプリング・マウンテン・ヴィンヤード』のディレクター、ケン・スコッティ・バーバーさんとも再会
会場内で一番気になったワインがボルドーブレンドの『Elivette2009』、まだまだ寝かせて置きたいワインですが、上品で厚みがあり、後ろ髪惹かれる味わい

ヴィアダー、コリソン、シルバー・オーク、カリフォルニアの泡の第一人者シュラムス・バーグなど、ナパワインの安定したバランスの良さを再認識。2004年創業のテキストブックもユニークでした。


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研修ツアーも後半ということで、参加メンバーの表情にもゆとりを感じます!


ガロが所有するウィリアム・ヒルでランチ
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農業に従事していた家系のウィリアム・ヒル(オクラホマ出身)はスタンフォード大学を出てカリフォルニアに。ナパでの職場が農地をぶどう畑にする会社だったことから、土壌や日照度、適地適品種等について学び、自らのワイナリー『ウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリー』を起ち上げることを決意。1978年に元牧場だった土地100エーカーを購入します。決め手になったのは貧しい土壌、高地、涼しいエリア(海から10マイル)の3点。南西向きなので長い日照度も得られます。主要品種はCS、CF、ME、PV、マルベック。ワイナリーの運営も順調でしたが、ヒルさんには農業に戻りたいとの思いがあり、1992年にワイナリーを売却。何人かのオーナーを経て、2007年にE. & J. ガロ社が所有者になりました(現在140エーカー)


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ウィリアム・ヒル独自のフレンチオークは265リットル
「なぜこの大きさに」との質問に「試行錯誤の結果、コスト的に一番効率が良い」とのお返事。ちなみに一樽の価格はフレンチオークで1,200ドル、アメリカンオークでは300~500ドルほどです。ゆえにフレンチオークは高級路線に、安価なワインはアメリカンとフレンチを併用して使うとのこと


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何度おかわりしたか、カリフォルニアの野菜は本当に美味!

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ワインインスティテュート副会長のリンズィ・ギャラガーさん(前列左から2人目)を囲んで


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ツアー開始後、初のメンバー全員集合写真

カリフォルニアの概要とサステイナブルについて
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ランチ後はギャラガー副会長がカリフォルニアの概要についてレクチャー

■カリフォルニアは全米のワイン生産量の90%を占め、一国としてとらえるならフランス・イタリア・スペインの3か国に次いで4番目。生産者は環境や歴史、革新、技術面等すべてをワインの生産に応用しています。
■カリフォルニアのぶどう栽培面積は23万1000ha、5,900以上のぶどう栽培農家があり、栽培されている品種は110に及びます。
■カリフォルニア全域には100を超える微気候fが存在し、58の全カウンティのうち、50のカウンティでぶどう栽培を行っています。
■アメリカ合衆国のワインの輸出量の90%はカリフォルニア産で、現在125か国以上に輸出。日本は第3位の市場で、金額ベースでは110億円になります。

環境保全型ワイン生産
サステイナブルのプログラムを担当したのはアリソン・ジョルダンさんで、1993年に福島県の小学校で1年間英語を教えた経験のある方でした。

サステイナブルの定義付けができたのは2000年のことで、ぶどう栽培者の多くが家族経営なので、次世代までつなげていくことを考えるとサステイナブルへの取り組みは重要です。それは結果として、カリフォルニアワインの品質向上にも反映していきます。カリフォルニア州は世界でも環境保全に厳しい州になっていて、2010年には第三者機関による認証制度もできました。

9月の訪問時、ギャラガー副会長が、「今、皆さんにお話している内容はまもなくサイトにアップします」とおっしゃっていました。このページがそうです。
3項目の『環境保全型ワイン生産(環境保護への決意)』をクリックしていただくと、サステイナブル、有機栽培(オーガニック)、バイオディナミの違いや、どのワイナ―のどの畑が認証を取得しているかがわかります。

カリフォルニアのワイン業界は環境保全とその透明性について強い決意をもち、自己採点法や認証プログラムを普及させています。カリフォルニア・サステイナブル・ワイングローイング・アライアンス(CSWA)、カリフォルニア環境保全型ワイン生産認証(CCSW)、地域プログラムと認証についても、Green Programsをクリックすると載っていますので、大いに活用できます。価値あるページだと思います!


ナパ最後の訪問はブラック・スタリオン
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ワイナリーの名を冠する美形ブラック・スタリオン(黒い牡馬)
1950年代、有名な乗馬場だったので、このように命名されたそうです。

デリカート・ファミリー・ヴィンヤード(DFV)のプレミアムナパワイナリー
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副社長のディビッド・デボアさんのお出迎え

ナパヴァレーの中心にある『ブラック・スタリオン・ワイナリー』は2010年5月にインデリカート家に買収されたプレミアムナパワイナリーで、インデリカート・ブランドの1つです。

イタリア移民シチリア出身のガスペアー・インデリカートは1912年に単身NYにわたり、その後、カリフォルニアでワイン造りの道を志します。サクラメントに近いローダイに初めてぶどう畑を購入。1924年のことなので、2014年はちょうど〝90年の記念年〟でした。
カリフォルニアのぶどう栽培やワイン造りのパイオニア的存在であるDFVは、現在、カリフォルニアワインのトップ10にランクされています。輸出に関しては4番目で、世界68カ国に出荷しています。〝量より質〟を重視し、価格帯によって様々なタイプのワインを生産しています。


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デボア副社長と案内役ワイン・エデュケーターのジョシュ・ウィードさん(前列中央)を交えて


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4,000個の樽が並ぶ壮観な貯蔵庫。樽業者は7~8で、メインとなるのはフランソワ・フレールとタランソー。基本的な焼き加減はミディアム・プラス


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アメリカ人によくわかるようにとの配慮からオーク樽の単位はガロン(=3.785リットル)表示。今ツアーでガロンを使っていたワイナリーはブラック・スタリオンだけ


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エステート前にあるぶどう畑には16品種が植えられています。ここは気候や土壌にどの品種が適合するか、および訪問者に実際に品種を味わってもらうことを目的にした実験的な畑です。DFVにとって重要な品種のひとつがジンファンデル。CSやシラーのように果皮が厚くない分、タンニンも穏やか


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DFVのキーとなる畑はローダイ、モントレー、ソノマ&ナパの4つです。
右は『ナーリー・ヘッド オールド・ヴァイン・ジンファンデル2012』で、創始者インデリカートがカリフォルニアで最初に購入したローダイの畑の古樹のジンファンデルから生産。アメリカで最も売れているアイテムで、リーズナブルな価格(輸入元モトックス/1,950円)も魅力

左の『デリカート・ファミリー・ヴィンヤーズ オールド・ヴァイン・ジンファンデル2012(右)』はアサヒビール/1,370円)扱いで、ノン・オークのフレンドリーなタイプ。メインの畑はローダイで、モントレーの畑のぶどうも使っています。同社のサイトにはDFVの説明が詳しく載っています。


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樽に囲まれながらのディナータイム

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アンゴス牛ショートリブのワイン煮にはナパヴァレーCS2011&リミテッド・リリース ナパヴァレー・シラー2012を合わせて


ナパでの温かなおもてなしにこころから感謝いたします。
参加者一同、ナパでのすべての日程を終え、心地良い香りがするMacArthur Place Hotel & Spa(ソノマ)に向かいました。翌日のソンマ・カウンティ・ヴィントナーズのプログラムを体験すると全プログラムが完了です!(次回は最終回)


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