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『岩の原葡萄園』セミナー ぶどう品種からワインと料理のマリアージュまで [ワイン]

国際品種登録されたマスカット・ベーリーA

ワインと料理のマリアージュに登場した『深雪花』のロゼには、フリットした愛知県産イチジク、茨城県産蓮根、浜詰産里芋を合わせて

日本ワインのパイオニア、川上善兵衛さんと岩の原葡萄園については、2年前、産経EXでご紹介させていただきました。前編はブドウ園を開く、後編はマスカット・ベーリーAの誕生です。大地主の善兵衛さんが全財産を失ってまでも、貫き通したぶどうの改良とワイン造りは長い歳月を経て、今、確実なる成果を出しています。


台風27号の影響で首都圏の交通網が混乱していた先月16日、新潟県上越市にある岩の原葡萄園主催のワインセミナーがアグネスホテルで開かれました。「収穫で一番忙しい時期なのですが、敢えてセミナーを開催したのは、皆さんに穫れたてのマスカット・ベーリーA(MBA)を味わっていただきたかったからです」と建入栽培管理技師長

坂田社長(左)は今年6月、OIV に登録されたMBAの経緯について解説しました。今回の登録でMBAは国際品種として認められたことになります。その申請は国が行うものなので、国税庁の外郭団体である独立行政法人酒類総合研究所が指揮を執りました。
ちなみに日本で一番早くOIV に登録されたのが甲州、2010年の登録までの経過はコチラ

岩の原葡萄園のマスカット・ベーリーAは羊羹状

有機栽培で造られたMBA、真ん中からカットした房の断面を見てください。
同葡萄園のものは他県のものより水分が少ない羊羹状。調査は山梨大学大学院の奥田徹教授によって行われました。

坂田社長は、「有機栽培が絶対に良いからということで行っているわけではなく、ぶどう樹や実に手をかけないで育てるやり方が必要だと思うからです。酵母も野生酵母を使っています。我々がやっていることは、むしろ善兵衛の時代には自然なことだったのではないかと思っています」とおっしゃっていました。

マスカット・ベーリーA 2010年&2009年

2009年(右)は岩の原葡萄園にとって素晴らしいヴィンテージ(VT)だった由。日較差があったことで果皮の着色、酸味の状態がとても良かったようで、1年違いの2010年(左)と比較してみても、色調が濃く、酸味のポテンシャルが十分ありました。2011年VTは気象状況が悪く、生産できなかったとのことですが、2012年は只今瓶熟中で、2009年を上回る素晴らしいワインになっているそうです。乞う、ご期待です!

ワインと料理のマリアージュで

アグネスホテルの大河原総料理長考案の料理が用意されました。総料理長のお薦めが『ヘリテージ2011 赤』と答志島産鰆の味噌風味焼き 赤ワイン(ヘリテージ2011)ソースでした! もう一品が仔羊腿肉のロースト、タイム風味 牛蒡のトマト煮込み


『深雪花 白』には答志島産地蛸と淡路島産メークインのニソワーズ(プチタルト)や、石川産フルティカトマト、山科産京茄子、サラダ仕立てを。また、『深雪花 赤』にはトリッパの煮込み オーヴン焼きや、オニオンビーフ マスタードパン焼きで深雪花(赤)のマスタード添を。合わせるワインを料理に使うことで双方の繋ぎ役になります。ご家庭でも応用できます。

2011年のヘリテージはMBA100%

ヘリテージはMBAを使った同葡萄園最高峰のワインです。2011年VTはMBA100%で樽熟15カ月、2010年VTはMBA82%、ブラック・クイーン18%のブレンドで樽熟11カ月
個人的にはヘリテージのアーシーさやしっかりとした酸味の印象から、土っぽい牛蒡やトマトのような食材が合わせやすいと感じました。

清涼感があるブラック・クイーン

ブラック・クイーンは際立つ酸味が特徴のワインです。2009年はぶどうの成熟期の気候が涼しかったので、より明確な酸味が残り、2011年は逆に成熟期が温暖だったことで、凝縮した果実と通常では考えられないほど酸がソフトとの説明がありました。テイスティングでは、説明通り、気候の違いが良く出ていました。

2009年VTはぶどうの品種特性が出ていて、良年らしいポテンシャルを感じましたが、味わい的には2011年VTが好み。果実の風味(鼻孔から抜ける感じも良く)、清涼感のある酸、強すぎないタンニンのバランスが取れていて、新しい可能性を感じました。和食と合わせて楽しめるこれからの期待の品種だと思います。

建入栽培管理技師長も「このぶどうの特徴は酸味なので、その酸を感じさせなくするためには果実の熟度が大事です。ただ、収穫のタイミングがとても難しいぶどうなので、収穫の時期を一週間ほど遅らせ、果実の熟度をあげていく努力をしています」とコメントしていました。

10月最終週のワインのこころは、マスカット・ベーリーAとブラック・クイーンについて書いていますが、今後も善兵衛さんゆかりのぶどうには注目していたいです。ちなみに新潟産豚肩ロース肉のグリエとブラック・クイーンは素直に美味しかったです。しっとりした豚の脂分が口中に広がり、ワインを飲むことで、脂分がきれいに洗い流されていきます。そこで、また、お肉が食べたい~という気持ちになり、まさしく、食欲の秋にふさわしい一品だったと思います。

優良22品種のなかで白ぶどうは2つだけ
セミナーの最後に出たのが、『レッド・ミルレンニューム2012』でした。クリオ・エクストラクションという製法で造ります。これはボルドー大学が研究していたもので、収穫したぶどうを冷凍してから搾って造るアイスワインスタイル、3kgのぶどうから1本程度しか造れない超贅沢な甘口ワインです。「手間暇かかるワインです」と建入さん。今年の『国産ワインコンクール』の甘口部門で銅賞を受賞しています。

善兵衛さんは1922年から1944年までの22年間で、〝日本の風土に合い、良質のワインを生み出す優良品種22種〟を発表しています。そのなかで白ぶどうはこのレッド・ミルレンニューム(果皮はピンク)とローズ・シオターの2種類のみ。このぶどうを栽培しているのは岩の原葡萄園と琵琶湖ワイナリーの2軒だけです。

今回全ボトルの画像は取りそこなっていますが、同葡萄園の120周年記念テイスティングディナーでのリポートでボトル画像を載せていますので、お時間があれば、ご笑覧ください。
http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/2010-09-02


[バー]11月2日と3日は日比谷公園『山梨ヌーボーまつり』
昨年に引き続き、ぶどうの作柄も良いので、OIV登録された〝甲州〟と〝マスカット・ベーリーA〟の旬を味わってみるのも一興です、enjoy! http://wine.jp/nouveau/event/

2013年11月4日追加画像

2日間の来場は約7000名


即売も好評、開始30分で売り切れのワインも!

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(左から)高田実行副委員長(サントリー)、有賀実行委員長(勝沼醸造)、松本実行副委員長(マンズワイン)、齋藤山梨県ワイン酒造組合会長(メルシャン)、三澤同副会長(中央葡萄酒)、大村山梨県ワイン酒造協同組合理事(丸藤葡萄酒工業)

円滑な運営の影の功労者の皆さま、お疲れ様でした。
山梨県のワイン&日本ワインの牽引者、凄い顔ぶれです!!

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