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フロンサック地区にこの人あり! ムートン、オーパスで活躍した名醸造家パトリック・レオン [ワイン]

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名醸造家パトリック・レオンさん(2004年の来日時撮影)

レオンさんが日本に初めて来たのは1974年のことで、当時はアレクシス・リシーヌに在籍していました。1985年~2003年、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドで活躍し、その間ムートン・カデやChダルマイヤック、カリフォルニアのオーパス・ワン、チリのアルマビーバで手腕を発揮。リタイアした今は、ボルドー右岸のフロンサック地区(サンテミリオンとポムロールの間)のシャトー・レ・トロワ・クロワでワイン造りに関わっています。シャトーの責任者は長男ベルトランさん! 偉大な父の指導を受けながらメルロ主体の値頃感ある高品質ワインを生産しています。

2004年の来日時は、パトリックさんが熱い情熱を注いできたアッサンブラージュ(ブレンド)の奥義を披露。そのキーワードは“バランスと調和”でした。世界初の試みに対して 「日本の皆さんとならこのセミナー(静かに聴講し、ビーカーを使ったブレンド作業を行う)が出来ると確信していました」と語っていたことをよく覚えています。

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バランスが大事
そして、今3月、輸入元ミレジムの招聘でパトリックさんはベルトランさんを伴って来日、とてもお元気そうでした。パトリックさんとは4年ぶり、初来日のベルトランさんとは現地での対面以来なので7年ぶりになります。ベルトランさんは前日に福岡でお寿司を食べ、その美味しさに感激していました。

パトリックさんは「ベルトランがワインを学び始めた時にぶどう畑を購入しようと決めました。ボルドー人を含めた多くの方々が私をメドック出身と思っているようですが、私は右岸生まれなので、その心はメルロにあります。1995年に自分のためのワイン造り、ファミリーのためのワイン造りを実現するためにフロンサックに畑を購入しました」

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憧れのレ・トロワ・クロワを訪問、レオン家にとって特別の思いがあるメルロ/2004年9月撮影

シャトー・レ・トロワ・クロワ(3つの十字架の意味)のデータ
パトリック・レオン家所有、フロンサックAC、1995年購入、栽培面積は15.2ha、同地区の標高は低いところで10m、平均45~50m、レ・トロワ・クロワは一番高くて86m、土壌は石灰質、モラッセ(砂岩、石灰質砂岩)を含む粘土質の台地、表土は露出した大きな石灰岩層、使用ぶどう品種はメルロ80%、カベルネ・フラン20%で平均樹齢40年。栽培はリュット・レゾネ、ダブルギュイヨ方式。醸造で使う樽はバリックで新樽、1年樽、2年樽各3分の1、12~14ヶ月熟成。生産量は6,000ケース

シャトー・レ・トロワ・クロワが言いたいことをまとめると
■大きな岩のような石灰岩が多い=ミネラルを多く含むので良質のぶどうができる
■標高86mの場所にあることでぶどうの出来が違ってくる
■大事な作業の1つが剪定。良いぶどうができるまで30年かかるので、盆栽を手入れするように丁寧に行う。剪定でミスをした場合、その復元には3年かかる。
■すべて手作業。除葉2回、グリーンハーベスト1回、最終的にぶどう樹1本に7房残す。収穫には10kg入りのカゴ(ぶどうの酸化を防ぐ)を使い、選別作業は2回実施。ルモンタージュはし過ぎず、温度も上げ過ぎない。春に瓶詰を行うが毎日の試飲が基本

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2008年ヴィンテージはぶどう栽培家の力量が出た年
ホテル西洋銀座『レペトア』にて
赤ワイン風味のベーコンと根菜を2008レ・トロワ・クロワと合わせて

新鮮な果実を連想させる香り、味わいも香り同様の印象でみずみずしく、まろやか。ミネラル感が豊かでオリエンタルスパイスのニュアンスあり、タンニンは心地良く、木目細やか。料理との相性ではワインの新鮮さが根菜のミネラル感と相乗し、口中でフローラルさが出てきて好印象。ベーコンの味や脂分もタンニンによって、よりリフレッシュに!

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瓶詰めして10ヶ月経過した2008年ヴィンテージ
レ・トロワ・クロワはメルロ82%、カベルネ・フラン18%のブレンド。2008年は春高湿度で、開花も遅め。7月は好天が続き乾燥気味、8月は気候は芳しくなかったものの、19日間26度の日が続き、9月のインディアンサマーにより天気も回復。開花から100~110日目が収穫の目安になっているが、2008年は開花から130日前後、通常より遅い収穫。2008年に良いワインが造れた条件は(1)予想する、(2)辛抱強く待つ、の2つ。パトリックさんは「2008年ヴィンテージはぶどう栽培家の力量が出た年」と断言していました!

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2009年ヴィンテージは1995年以来の偉大な年
牛バヴェットの炭火焼と春野菜 黒コショウ、岩塩、アサツキと共に

深みのある色調、凝縮した黒い果実のニュアンス、樽に由来するヴァニラやロースト香、ココア風味、まだまだ若い、口中で様々な要素が広がり、芳醇さが広がる、木目細かいタンニンで余韻も長い

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ランチョンのための特別空輸ワイン。正式リリースは5月なので、あと2ヶ月は樽で熟成させる予定。レオン親子もシャトー以外で飲むのは初めてとのことでした!

パトリックさんいわく「赤ちゃんのようなワインですが、2009年はグレートヴィンテージと言われています。同じように評価が高かったヴィンテージに2005年があります。その違いは温度の差で、2005年は日中30度の日が続きましたが、2009年は30~31度以上の日はありませんでした。そのためぶどうはゆっくリ熟成。2009年は1995年以来の素晴らしいワインが収穫できた年であり、2000年と20005年をミックスした年と言えます」

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濃い色調、グラス壁面に赤色の脚が見えるほどの高い粘性。ヴァニラやロースト、スパイシーさが炭火焼のロースト風味とナイス・マリアージュ!

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苺のスープ仕立て ヨーグルトアイスクリーム添え

レ・トロワ・クロワのロゼ情報
今回ロゼは登場しなかったのですが、2007年にパトリックさんが樽から瓶に詰めて24本だけ持参した時、試飲させていただき、その時から、ず~っと恋焦がれています(笑)。ベルトランさんが妹さんの結婚式のために造った特別のワインで、ファミリーや友人だけで消費しています。でも、スイス、ルクセンブルグ、日本の3カ国だけには少量だけ輸出しているのです。ぶどう品種はメルロ100%で、3分の2がセニエ法、3分の1が圧搾法でそれらをブレンド。5月末頃入荷予定、講座用になんとか2本はキープしたいなぁ~願望!

ロゼの質問をしていた時、パトリックさんが「このデザートにはレ・トロワ・クロワのロゼが合うよ!」とおっしゃっていましたが、ホントにそう思いました。格調高いロゼです。
フランス本国のみならず、日本でもロゼワインに注目が集まっています。私にとってレ・トロワ・クロワのロゼはマイ・ベスト3に入る1本、ロゼファンには飲んでいただきたい1本、見つけたら買いです!

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Wino

fumiko さん、ご無事で何より!
まだまだ予断ゆるさない状況ですが。。。
by Wino (2011-03-12 19:26) 

ぼんぼちぼちぼち

ご無事のようで何よりでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-03-12 20:34) 

fumiko

Winoさん、2011年がこのような流れになるとは思っていませんでした。
くれぐれも気をつけてください。

ぼんぼちぼちぼちさん、地震、余震、原発、計画停電と、
相次ぐ事態で大変ですが、御身、くれぐれもご自愛ください~

by fumiko (2011-03-17 20:31) 

fumiko

グリンピアさん、はじめまして、チェックありがとうございます!

vientre-dolorさん、お変わりございませんね?

Shin.Sionさん、できるところからの支援、頑張りましょう!

にょにょさん、チェックありがとうございました。
ご無事でお過ごしですね。

ChinchikoPapaさん、チェック、ありがとうございます!

tsworkingさん、地震の影響はいかがですか?

hakoさん、自然の驚異、とてつもない力を思い知らされました。

gillmanさん、ご無事で何よりでした、安堵です。
by fumiko (2011-03-17 20:40) 

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