SSブログ

映画『約束の葡萄畑 ~あるワイン醸造家の物語~ 』は10月23日から全国順次ロードショー!! [映画でワイン・レッスン]

ブルゴーニュ地方が舞台の『約束の葡萄畑 ~あるワイン醸造家の物語~ 』は来月23日からBunkamura ル・シネマを皮切りに全国で順次公開されます。
配給元である東北新社の『約束の葡萄畑』公式サイト
>>>http://www.yakusoku-wine.com/

原作者はニュージーランド(NZ)ウェリントン生まれのエリザベス・ノックス、監督も同じくウェリントン生まれのニキ・カーロ、主人公ソブラン・ジョドーの妻を演じているケイシャ・キャッスル=ヒューズ(豪州生まれ)も4歳からNZに移り住み、現在はカーロ監督と同じ街に住んでいるとのこと!

2h51m10s20f .jpg
©2009 Ascension Film Kortex Acajou Films 配給元:東北新社

NZではブルゴーニュ地方のぶどう畑を再現して収穫シーンも撮影しています。

_2083229 .jpg
©2009 Ascension Film Kortex Acajou Films 配給元:東北新社

試写会で一番印象に残ったシーン!!
土地の権力者ヴリー伯爵没後、同家を継いだ伯爵の姪オーロラ・ド・ヴァルディー男爵夫人が、
醸造責任者になっているソブランからテイスティングのレッスンを受けているところです。
今まで外しまくっていたオーロラが五感でワインを感じ取るシーンはとても官能的でした。

ボルドーワインは知的で、ブルゴーニュは肉感的と表現されることが多いのですが、
ピノ・ノワールにその要素をすご~く感じます。

IMG_5457.JPG
マルク・シャガールの絵と同じ白い羽の天使を連想させるXas(ザス)
『ハンニバル・ライジング』で若き日のハンニバル・レクターを演じたギャスパー・ウリエル
顔にかかった血を舌でなめるハンニバル役とは対象的な天使役でした!!

原作『The Vintner's Luck』では、天使ザスと出逢う1808年の項「Vin bourru(new wine)」から、ソブランが死を迎える1863年の項「Vinifie(made into wine)」までの55年間(映画は30年)が描かれています。天使ザスの力を借りながらも至高のワインを造るために苦悩するソブラン、ザスとの愛にも似た感情の交差、ソブランの妻への愛や家族への思い、そしてソブランと男爵夫人との愛・・・。

試写会では、「天使ザスは主人公ソブランの中にいるもうひとりの分身かなぁ」と思っていたのですが、2009年にノックス女史が上梓した『The Angel's Cut』をチェックしてみると、ソブラン没後60年過ぎた1920年代を舞台に、再びザスが登場しているので、羽がなくなった天使は女史にとって小説上の大事なキャラクターなのですね。

カーロ監督はインタビューで天使について、「ソブランの魂であり、彼にインスピレーションを、同時に痛みも与えています。そして最後には心の平和に影響を与えています」と答えています。

_2087586.jpg
©2009 Ascension Film Kortex Acajou Films 配給元:東北新社

映画に、病害虫がぶどう畑に壊滅的なダメージを与え、そのため大事なぶどう樹を全て焼き払う、というシーンが出てきます。一番悪名高いのは“フィロキセラ(ブドウネアブラムシ)”で、この虫は19世紀後半、欧州のぶどう畑を荒廃させました。

体長約1ミリのメスで腹部側に吸汁のための針をもち、ぶどうの葉や根を刺して樹液を吸う。根に寄生した虫に刺されると根はコブ状に腫れて腐り、ぶどう樹は5年くらいで枯死。防除はフィロキセラに抵抗性のあるアメリカ系台木を使った接木(出典:ワインの事典)

原作の最終章、エピローグにあたる1997年の項「Chateau Vully l'Ange du Cru Jodeau」で、ガイドがフィロキセラ禍について触れ、「このシャトーでは1870年代にアメリカ系台木で接木した」と説明する個所があるので、ノックス女史の時代考証は正しいです。
ただ、フィロキセラがフランス全土に広がり始めた1863年には主人公のソブランはすでに死去しているので、劇中出てきた病害虫の話がフィロキセラだとしたら時代的にズレが生じます。ここは映画用に作成したのでしょう。

IMG_6833.JPG
カーヴが撮影に使われたらしいシャトー・ド・ムルソー(2010年9月10日撮影)

IMG_6834.JPG
雰囲気あるたたずまい(2010年9月10日撮影)
9月初旬シャンパーニュ&ブルゴーニュ取材の帰路、シャトー・ド・ムルソーへ。
東北新社からロケーションリストをいただいていたので、同シャトーにアポを取り見学を予定していたのですが、オーナー会社であるパトリアッシュ社の担当と行き違いになり、勝手にカーヴと試飲をすることに~アララ~。

帰国後、輸入元経由で確認したところ、映画撮影をしたという記憶のある方がひとりもいなくて! 日本やNZなどでは「映画に使われた」というと結構大騒ぎになりますが、フランスはそのあたりの反応がとても静か、面白い対比です。

子供から大人までを対象にしたファンタジー色の強い作家エリザベス・ノックスが夢で見た情景をもとに書かれたという『The Vintner's Luck』、それを映画化した『約束の葡萄畑』を私は大人のメルヘンとして楽しませていただきました。
ワインがよりおいしくなる季節です。秋の夜長、“映画とワインの世界”で大いに遊んでくださ~い!!



インフォメーション
(社)日本ソムリエ協会関東支部第5回例会で開催する『映画とワイン』のご案内です!!
テーマ:映画の中のワインの秘密 ~おいしい映画と素敵なワイン~
講 師:青木冨美子 ワインジャーナリスト
日 時:2010年10月18日(月) 18時~21時30分
場 所:ホテル・テラス・ザ・ガーデン水戸 「City Club」
 茨城県水戸市宮町1-7 電話(029)300-2500
会 費:会員無料 賛助会員(3名まで)無料
問合せ
<出欠に関して> 同ソムリエ協会事務局 電話(03)3256-2020
<内容に関して> 関東支部茨城地区長 橋本英明 電話(029)262-3164

セミナー終了後の懇親会には茨城県の橋本知事もご出席くださるとのこと、とても光栄です!
いつも書いていますが、ひとりでも多くのワイン好きさんにご参加いただけましたら幸いです。
特に茨城県、水戸周辺の皆さま~!
映画は『幸せのレシピ』と、もう1本は当日までのお楽しみということで。
官能的なピノ・ノワールですか、ふふ、当然お出しいたします。
よろしくお願いいたします!
nice!(9)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 9

コメント 3

fumiko

mouse1948さん、チェックありがとうございました!

vientre-dolorさん、いつもありがとうございます!!

by fumiko (2010-09-29 23:11) 

Wino

fumikoさん、
11月の会、仕事が土日に入ってしまい、
今回は泣く泣くキャンセルさせていただきました。。。
申し訳ありません!

でもこの映画は、絶対にみようっと!

by Wino (2010-09-29 23:59) 

fumiko

Winoさん、大丈夫ですよ。
いつもご参加くださる方々が、出張、ゴルフ、結婚式etcで動けず、
流れが少し違ってしまった感じですが、
あと2名ほどで満席になるはずです。
心置きなくお仕事に邁進なさいませ~
by fumiko (2010-09-30 00:15) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0