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映画『モンドヴィーノ』にも登場していた『マス・ド・ドマ・ガサック』、ユニークな存在です! [ワイン]

2009年も素敵な生産者との出会いがたくさんありました。
今年最後のリポートは、映画『モンドヴィーノ』にも登場していたマス・ド・ドマ・ガサック
で締めたいと思います。ワイナリーは南仏ラングドック地方エロー県アニアン村にあります。
映画には創始者であるエメ・ギベール氏が、
“テロワール”の個性を追求するテロワリストとして登場していました。

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トップ・キュヴェはエミール・ペイノー教授の名を冠した『キュヴェ・エミール・ペイノー』
初ヴィンテージは2001年(総生産量2,000本)、2回目が2002年(総生産量1,800本)
3回目となるヴィンテージは来春発売予定の2007年で総生産量は1,700本、稀少ワインです。

ボルドー大学ワイン醸造研究所で活躍していたペイノー教授はシャトー・マルゴーやシャトー・ラグランジュなど著名シャトーの品質向上に貢献していますが、マス・ド・ドマ・ガサックのコンサルタントになった経緯は・・・

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1970年、居住用の土地探しをしていたギベール氏はラングドックに格好の場所を見つけ購入します。友人である地質学者アンリ・アンジャルベール教授がその土地を調査し、 「ブルゴーニュに似た土壌(ジュラ紀の石灰質土壌、氷河期の赤い堆積土壌)、ガサック川とその周辺の泉に由来する独自のミクロクリマ、中央山塊と地中海双方から吹いてくる風の恩恵を受けた場所でワイン造りに適している」と提言したからです。ギベール氏は異業種からワイン造りへの転換を決めます。

そして、ドマ・ガサックのコンサルタントとしてペイノー教授が登場することになりますが、あるインタヴューで、「今までグランクリュ・ワインの改革に関わることはあっても、グランクリュ・ワインの誕生に立ち会うことはありませんでした」と答えています。教授は今までとは違うユニークなワインの誕生を考えていたのだと思います。

結果、設立からわずか30年足らずで、ドマ・ガサックはワイン評論家たちから「南フランス唯一のグランクリュ(ヒュー・ジョンソン)」、「偉大なボルドー、素晴らしいブルゴーニュ、古いコート・ロティを合わせたワイナリー(オズ・クラーク)」等、高評価を受け、世界から注目されるようになります。
現在、フランス国内のミシュラン星付レストランの90%にワインがオンリストされています。でも面白いことに、これらのワインはすべてヴァン・ド・ペイの格付なんです。

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それはブレンドするぶどう品種が20種類あまりもあり、ワイン法の規定から外れてしまうからです。
白ワインはブルゴーニュ地方のシャルドネ、ローヌ地方のヴィオニエ、ロワール地方のシュナン・ブラン、南西地方(ジュランソン)のプティ・マンサンの4主要品種を中心に、他何種類かの古代品種をブレンド。赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、カベルネ・フラン、マルベック、メルロ、シラー、タナ、プティ・ヴェルド、カルメネールのほか、10種類ほどの古くからの品種をブレンドしています。

驚くべきことは、主要ぶどうの多くが銘醸家たちから譲り受けたという話で、たとえばシャルドネはドミニク・ラフォンから、シュナン・ブランはドメーヌ・ユエから、カベルネはシャトー・オー・ブリオンから、といった具合です。オーナーのエメ・ギベール氏は相当の人脈をお持ちのようです。

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料理に合う、絶妙なワイン!
画像左から3本目の『ドマ・ガサック・ブラン2007』は、ヴィオニエ25%、シャルドネ25%、プティ・マンサン25%、シュナン・ブラン15%、残り10%はクールビュ・デュ・ベアルン、プティ・アルヴィン・デュ・ヴァレ、ロール・ド・プロヴァンス、マルサンヌ他10品種をブレンドしていますが、帆立貝のマリネと干し鱈のブランダート タプナード(オリーブオイル、アンチョビ、バジル)添え&クリスピーバゲットと合わせた時、ワインから醸し出される様々な要素がタプナードを仲介役にして面白いように広がり、今までにない経験ができました。13%というアルコール度数もマリアージュを引き立てる大事な要素です。

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来日したギベール家の長男サミュエルさんはなかなかのナイスガイ!
今年6月VINEXPOでドマ・ガサックと輸入元(株)アルカンが合意、11月から6アイテムを輸入しています。

今回、サミュエルさんから伺った独自のワイン醸造方法、赤の『ドマ・ガサック』に感じる野生的な香り(動物臭、還元臭に似た)がぶどう畑の周囲に広がるガリーグ(地中海の野性の森)に由来するという内容は、“百聞は一見に如かず”体験をしないと理解できないような、実にユニークなものでした。
来年は『マス・ド・ドマ・ガサック』探求が必要かも知れません(笑)


[わーい(嬉しい顔)]
本年も拙ブログへのお立ち寄り、まことにありがとうございました!
2010年もタイムリーな話題で盛り上げたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えくださ~い!!
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Wino

fumikoさん、
今年も「ワインの今」を伝える記事の数々!
ありがとうございました。
来年も楽しい記事期待しております。
良いお年をおむかえください!
by Wino (2009-12-30 21:30) 

YUTAKA

青木先生、今年も一年、お世話になりました!

先生の最新情報は本当にいつもホットで、なおかつ一次情報ばかりで
とても勉強になりました。また、そのホットな話題に合わせた
オープンカレッジでの素晴らしいテイスティングアイテムの数々。

「世界のワイン比較探求講座」の年内最終講義に登場した
マス・ド・マガ・サック ルージュ2007。テイスティングシートを
読み返し、その味わいを思い出して、また購入してみたいと思って
います。

今年は仕事の都合もあって、授業にあまり出席できず残念でしたが、
来年は、出席率 100% を目指して、がんばります。

良いお年をお迎えください!
by YUTAKA (2009-12-30 22:21) 

youkolin

 青木先生

 こんにちわ。
ガリーグってその様に訳するのですね。
授業で味わった時の香りを思い出しました。

 今年は、先生にお会いできて、
ワインがさらに楽しくなりました!
本当に有難うございます!
感謝感謝です!
来年ももっともっとワインだけではなく、
人生の勉強もさせて下さい!
どうぞ、宜しくお願い致します!
by youkolin (2009-12-31 13:03) 

hako

ラングドックにも立派なワインが有るのですね。フランスでは、土地を買ったら
まずは地質学者に葡萄栽培が適しているかどうか、調べさせるのかと感心してしまいます。
来年は、世田谷に居ることが多いので、ワイン講座にも参加してみたい
ものです。今後とも、よろしくお願いします。良いお年を。

by hako (2009-12-31 13:26) 

fumiko

Winoさん

あたたかな応援、感謝、感謝です。
来年は、さらにグレードアップした“ワインの今”をお伝えできるよう、
頑張りま~す!
素敵な一年でありますように・・・


YUTAKAさん

来年もホットな話題に合わせた、青木ならではの講座にしていきます。
乞う、ご期待!
どうぞよろしくお願いします。


Youkolinさん

ワイン&恋に、2010年の躍進、期待しておりますぞ(笑)
by fumiko (2010-01-01 00:00) 

fumiko

hakoさ~ん

明けましておめでとうございま~す!
3人にレスしているうちに、新しい年に変わりました!!
今年もどうぞよろしくお願いします。

ドバイから世田谷(笑)?
2010年は内容充実の単発講座(1月23日@トゥールダルジャンのような)を発信していきますので、是非、ご参加ください。
hakoさんとのお目文字、楽しみにしております♪
by fumiko (2010-01-01 00:13) 

fumiko

code-aさん、チェックありがとうございました!
by fumiko (2010-01-05 00:14) 

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