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ホットなワイン話題 ~ワインの管理、アジア市場、魚介料理とワインの相性~ [ワイン]

週明けは最新情報のまとめから、スタートすることにします。

その1
ワインの品質はここまで違います@(株)ファインズ主催の試飲商談会
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ラベルに×印があるのは28度で保存、印がないのは15度で保存していたもの

(株)ファインズの100%リーファー主義宣言については拙HPにも書きましたが、先週行われた試飲商談会で、15度で定温保管したワインと28度で3週間保管していたワインを比較試飲することができました。準備されていたのは4種類のワインで、白はウィリアム・フェーブルのシャブリ(ドメーヌ物)、ロバート・ヴァイルのリースリング(トラディション)、赤はブシャールP&FのブルゴーニュPNラ・ヴィニェ、シャトー・オーシエールのオーシエール・ルージュでした。

4アイテムとも色調に大きな差はなかったものの、香り&味わいに関しては違いを感じました。特に顕著だったのはシャブリです。 15度で保管していたワインは、溌剌で切れもあり、ミネラル感も豊か。片や、28度で保管していたワインは、もったりとした口当たりで、切れに乏しく、平坦な印象でした。保管状態で「ここまで違う!」と唖然としました。

同社ではいろいろなワインで実験をしているようなので、いずれ調査結果も出てくるのではないかと思います。赤ワインより白ワインのほうが影響を受けやすいようです。ワインの輸入、販売、サービスに関わる者にとって、品質管理は重要なこと、美味しいはずのワインが保存次第で、別物になってしまうのですから・・・
リーファー主義については、(株)ファインズの図解入りの解説をみれば一目瞭然です。
覗いてみてください♪  http://www.fwines.co.jp/company/100reefer.html

その2
来日中のシャトー・ラグランジュのブルーノ・エイナール社長に“アジア市場”について伺いました。
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好むと好まざるとに関わらず、今や無視するわけにはいかなくなった隣国中国。世界同時不況の折、立ち直りも一番早いのでは、と推測されています。そこでアジア市場における各国の様子をおたずねしてみました。
韓国・・・ワインに対する知識は向上しているように感じます。ただ、経済的なダメージを受けているので、その影響は出ています。多くの会社は厳しい状況下にあり、ワインもストックをいかにさばくかが優先で、新たにワインを購入する勢いはなさそうです。

中国・・・ワインの知識はまだまだです。今のところ、ワインの品質そのものより、ラフィット等のブランド志向中心です。市場自体が大きいのでポテンシャルはあります。今は海岸沿いの都市上海などが活発ですが、今後範囲は広がっていくと思います。われわれとしてはシャトー・ラグランジュの名を認めさせる活動をしていかなければならないので、中国に対しては長期的な目で見ています。経済その他でブレーキがかからなければ良いと思っています。

香港・・・税金ゼロということもあり、アジアに物を流す拠点としての役割を果たしていますが、あくまで入口であり、われわれとしてはその後ろにある中国を見ています。

日本・・・ワインの知識やワインに対する姿勢は他国と明らかに違っており、別格だと感じます。それはプリムール買いをみても、他の国と違うレベルに達していると感じています。


先日、玉村豊男氏の『邱永漢の予見力』を読み終えました。ワイン関連では元タバコ工場がワイナリーになって稼動していることが載っていましたが、激変している中国の動きは、個人的にも要チェックの気分です。

その3
ワインと魚介の組み合わせで感じる生臭さ
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YUTAKAさんから「Macon Villages Primeur (Nouveau)は数の子でも生臭さを感じることがなく、とてもよいマリアージュでした」というコメントがありました。私はレスで「その謎はワイン中に含まれる“鉄”にあります」と書いたのですが、先週末、ホットな情報が届きました。発信源はメルシャン(株)です。

いただいた内容は、「魚介料理とワインの相性に関する一考察」と題した研究発表に関するもので、11月21日に開催された『日本ブドウ・ワイン学会2009年度大会@広島大学』で「大会発表賞」を受賞したそうです。研究内容の一部は、イギリスの経済誌『The Economist(10月31日付)』や、ワイン専門誌『Wine Spectator(11月5日付HP)』にも紹介されているとのこと。

同社では「ワインと魚介類を合わせた時にどうしたら不快な生臭みが発生しないか」という点に着目し、ワイン中の“鉄”、魚介料理中の“過酸化脂質”、調理に使用する“油脂”の3つの観点から研究を実施しました。その結果、ワイン中の「二価鉄イオン」と、素材の鮮度や調理の結果として蓄積する魚介料理中の「過酸化脂質」が口中で反応すると、生臭みが出てしまうことを解明。また、この生臭みは、魚介を調理する時に使われるバターやオリーブオイルなどの油脂が持つ、“におい物質を空中に放散するのを抑える働き”によっても抑制されると推測、今回その内容を同学会に発表したそうです。

上記の点から、油脂をほとんど使わないで、素材を活かした状態の魚介料理とワインを合わせる時は、“鉄が少ないワインを選ぶこと”が重要です。
一方で、たとえば魚介料理にレモンを搾ることは、レモン果汁にワインの“鉄”を包み込む作用(有機酸の鉄に対するキレート作用)があるためと考えられており、キャビアとシャンパンを合わせる時にサワークリームを添える(この組み合わせは映画『バベットの晩餐会』に登場しますよね!)のは、サワークリームの乳脂肪の作用が生臭みを抑制する効果があるためだそうです。

レモンやサワークリームは、渡辺正澄先生が常々おっしゃっているピタピタ理論を実証するものですね。今後の研究の成果を大いに期待したいと思っています♪

追加情報です
ぱんだしゅりけんさんからの「今回のワイン会で非常に印象的だったのが、脂の乗ったブリやマグロのヅケと、南ローヌの赤のマリアージュなのですが、ブリやマグロの脂にはバターなどの油脂と同じような働きが期待できるのでしょうか?」という質問について、(株)メルシャンの田村調査員からのお返事が届きました。
ただし、あくまで推測する範囲でのコメントになりますので、その点はご了承願います。

A:期待できるとも期待できないともいえると考えます。その理由は、ブリやマグロの脂がどちらに転ぶかを決定付けるのは、「過酸化脂質※」の要素だからです。「過酸化脂質」が蓄積していない場合には、同じような効果が期待できるかもしれませんが、「過酸化脂質」が蓄積している場合には期待できません。分析してみないとわかりませんが、お寿司に供するような魚介の素材は鮮度が高いので、「過酸化脂質」の蓄積は少ないのではないかと個人的には考えます。

※中性脂肪やコレステロールなどの脂質が活性酸素によって酸化されたもので、ガンや老化、動脈硬化などを引き起こす。
出典:健康用語辞典
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コメント 4

ぱんだしゅりけん

大変興味深く拝見させていただきました。

先日、NHKの番組が、田崎真也氏をゲストにワインの事を扱っていましたが、やはり中国の消費拡大は見過ごせないというような内容でした。また、香港はワイン流通に関して、アジアにおけるハブ化をかなり強く意識しているようでした。

魚介料理とワインの相性につきましては、先日、お寿司屋さんでワイン会をした事もあり、私にもタイムリーなお話です。
今回のワイン会で非常に印象的だったのが、脂の乗ったブリやマグロのヅケと、南ローヌの赤のマリアージュなのですが、ブリやマグロの脂にはバターなどの油脂と同じような働きが期待できるのでしょうか?
by ぱんだしゅりけん (2009-12-02 20:19) 

fumiko

ぱんだしゅりけん様

GVのマリアージュ以来のコメント、ありがとうございます♪

アジア市場、特に大きく変貌している中国の存在は日本のみならず、欧米各国も注視していると思います。

魚介料理の相性は面白いですよね!
ぱんだしゅりけん様からいただいた質問は、近々、メルシャン(株)の味村チーフワインメーカーを経由して、直接の担当である田村調査員から回答をいただくことになりました!
私も魚介料理の相性に関して、1つ質問をしています。お返事が届き次第、追加情報として載せますので、しばし、お時間をくださ~い。
よろしくお願いいたします!


Winoさん、チェック、ありがとうございました!
来年1月23日@トゥールダルジャンの一般受付は来週7日からですよ!!
by fumiko (2009-12-03 20:37) 

hako

何だか、熱劣化の話題で凄いことになっていますね。
上海のヤオハンでは、結構高いワインを置いていましたが
保管状態が少々心配でした。
by hako (2009-12-13 23:54) 

YUTAKA

(熱)のワインは、この年末年始にセラー内を整理する際に、探してみます。

ただ、エドヴァルト・ヴァレンティーニのモンテプルチアーノ・ダブルッツォとか、マニアックなものしかない可能性も・・・でも、探してみます!

分かった段階で、先生にメールにてご連絡いたしますね。
by YUTAKA (2009-12-25 08:33) 

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