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ワイン中の「鉄」含有量と魚介との組み合わせで感じる生臭さの関係は [ワイン]

ugeさんからの「おせち料理などはなかなかワインに合わせるのは難しく、どうしても日本酒の方に手が伸びてしまいますね。1年程前に先生が数の子とワインの相性について実験されていましたが、おせち料理の数々とワイン(日本ワイン?)のマリアージュを試してみたいものです」という書き込みに絡んで、メルシャン(株)が発信した興味深い情報をアップしておきます。ご参考になれば幸いです。

IMG_6549甲州.JPG
昨年9月、『日本味と匂学会 第42回大会』で、同社の商品開発研究所(発表者:田村隆幸、谷口潔、鈴木由美子、大久保敏幸、高田良二、金野知典の各氏)が発表した演題「ワインと魚介の組み合わせによる生臭み発生のメカニズムの解明」をまとめてみますと・・・

実験:生臭みを発生しやすいホタテの干物と69種類のワインをあわせた時に出る生臭みの強さの官能評価を実施

実験結果:ワイン中の「鉄」含有量と生臭みが相関することが判明

原因物質:ワインと魚介から出る生臭い物質「(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール」を特定

結論:ワイン中の「鉄」が魚介の「脂質」の酸化を促進、それにより「(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール」を瞬時に発生させ、口中に生臭みを感じさせていた

今後の展開:両者の組み合わせを「鉄」含有量を指標とすることで、科学的に分析していく

国産ぶどうを使った白ワインには「鉄」含有量が少ない、という調査があるそうです。お寿司やお刺身など魚介が多く使われている和食と甲州ワインをはじめとする国産ぶどうを原料とする白ワインとの相性の良さを解明する研究にも期待がもてます。科学的根拠に基づいた前述の研究が進んでいけば、おせちとワインとの相性にも言及できるはずです。研究の成果を楽しみに待ちたいと思います。
詳細のお問い合わせはメルシャン株式会社広報IR部まで。(03)3231-3910



Information
昨日、アカデミー・デュ・ヴァンの立花峰夫事務局長が同校のメル・マガで、映画でワイン・レッスンの紹介をしてくださいました。すごく光栄な出来事です。読む気にさせる書評なので、筆者である私ですら「もう1度読んでみようかなぁ~」なんて思っちゃいました♪
http://jp.adv.gr.jp/amtrdv/?p=101

立花峰夫氏とは3~4年前、オーストリア取材でご一緒したことがあります。その時が初対面。頭脳明晰、語学力抜群、羨ましい限りの方というのが最初の印象でした。現在、兄君洋太氏とともにワイン本の翻訳でも高評価を得ていますが、おふたりの出身校は京大&東大、実力通りです!

●『ほんとうのワイン 自然なワイン造り再発見』パトリック・マシューズ著、立花峰夫訳
●『ワインの帝王 ロバート・パーカー』エリン・マッコイ著、立花峰夫、立花洋太共訳
●『アンリ・ジャイエのワイン造り ヴォーヌ=ロマネの伝説』
ジャッキー・リゴー著、立花洋太訳、立花峰夫監修
●『ブルゴーニュワイン 100年のヴィンテージ 1900~2005』ジャッキー・リゴー著、立花洋太訳
●『シャンパン 泡の科学』ジェラール・リジェ=ベレール著、立花峰夫訳
●『スキャンダラスなボルドーワイン』ウィリアム・エチクノン著、立花峰夫訳

ワイン好きなら1冊や2冊、必ずや読んでいるであろう名訳ばかり。そのような方が書いてくださった書評だけに感無量です、感謝!
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コメント 11

aki

冨美子先生

こんばんは!今回の記事はとても興味深い内容でした。

和食と国産ワインのマリアージュ、
分析的に解明されるととても面白いと思います。

今後もこういった、冨美子先生だからこそかける記事が
アップされると嬉しいです!
by aki (2009-01-10 01:05) 

uge

トピックを取り上げていただき、ありがとうございます。

「鉄」ですか!ブルゴーニュのピノノワールで鉄のニュアンスを感じるものがありますが、このあたりは生魚とは合わないでしょうね。
深い洞察に満ちた記事をありがとうございます。勉強になります。

by uge (2009-01-10 12:20) 

fumiko

akiさん、コメントありがとうございます。
>今回の記事はとても興味深い内容でした。
数の子好き、シャンパン好きの私は双方の相性をよくする工夫はないものか、と今も試行錯誤しています。メルシャンさんの発表はその解明にも役立ちそうなので、とても興味があります。

>今後もこういった、冨美子先生だからこそかける記事が
>アップされると嬉しいです!
貴重な情報が散りばめられたブログ、ですね。 了解しました! 


ugeさんの投げかけがキッカケで、日本味と匂学会での発表データをアップすることができました。研究成果が出次第、次の情報も載せますね。

by fumiko (2009-01-11 00:54) 

Mitsy

冨美子先生
初めてコメントさせていただきます。よろしくお願いします。
メルシャンさまのホットで今後が楽しみな情報をありがとうございます。魚の卵巣系とワインの相性は脂質と鉄の相性だったのですね。。

そして、今宵、先生の著書を片手に街に繰り出しました。
月の輝く夜に、アロハの風を感じながら心はワインの世界旅。とても豊かなひと時をいただきました。様々なご縁に改めて感謝です♪ 麻井先生の比較文化考にも、私が探し求めていたお答えがたくさんありそうです。あわせて早速拝読させていただきます。
by Mitsy (2009-01-11 19:13) 

fumiko

Mitsy様

初コメントありがとうございます♪
私は東京から夜空を眺めています、Mitsyさんはハワイで満月を楽しんでいるのですね。まさに、『月の輝く夜に』ですね!!

尊敬する故麻井宇介先生の記念のボトル、『プロヴィダンス1999』がご縁のMitsyさんとの出会い。麻井先生がらみは本当に嬉しい限りです。
今後ともお付き合い、よろしくで~す♪

by fumiko (2009-01-11 22:13) 

miumiu

なるほど。鉄ですか。
こういう研究がされているんですね~。とても興味深いです。
今年はすこし国産ワインを飲む機会を増やそうかな~。
by miumiu (2009-01-13 02:29) 

yuko

突然のお便りで失礼致します。
バルセロナ在住の佐武祐子と申します。
Wineblogge.infoというサイトのご紹介、参加のお願いのため、ワインに関連するブログを書いていらっしゃる皆さまに送らせていただいております。
私もワインファンの一人として、いつも楽しむワインや旅、食など様々なことをみなさんと共有したく、ブログを書いています。
先日、世界のワイン業界で最も影響力のあるワインブログのひとつである Cata Vino (http://www.catavino.net/blog/)を運営されているアメリカ人夫妻の奥様Gabriella Opazさんとお知り合いになりました。彼らは、バルセロナを拠点とし、ブログを通じてスペイン・ポルトガルのワイン事情をアメリカ、そして世界に発信しています。その彼らが最近新たに立ち上げたのがWineblogger.info (http://wineblogger.info/)です。世界中の様々な言語で書かれたワインブログが集まり、ブロガー同士が国境を越えて情報を共有したり、会話できることが目的です。

ワインの世界で、ブログなどのソーシャルメディアの貢献度は日ごとに増しています。一方的な情報ではなく、ブログ、Mixi、Facebook, Twitter, flickrなど、情報を共有し、相互で意見を交換したり、会話ができるWeb2.0のスタイルが現在では主流となっています。こうした情報交換の中で、消費者が買いたいワインを決めることも多いはずです。
そうした流れの中で、同じ情熱を持った人達がMixi、Facebookなどでコミュニティを作り、更に交流を深めたり、新たなビジネスの機会を得たりしています。
Wineblogger.infoも、そうした交流の場のひとつです。このサイトもブログ同様、RSSシステムが導入されていますので、ブログでアップデートされたことがこのサイトでも自動的にアップされるようになっています。

ご興味がある方は、サイトのメインページ(英語)の左上の紹介文にある「contact us with this link」からアクセスし、ご氏名、メールアドレス、ブログのURLをご記入下さい。ブログタイトルは英語表記になりますので、日本語のブログタイトルの場合は、メッセージ欄にローマ字でタイトルをお書き下さい。ワインブロガーのバッジを入手して、ブログに添付することもできます。みなさんでワインの輪を広げましょう!

ワインは国境を越えて様々な食文化に合う寛容な飲料です。それに情熱を注ぐ私たちも国境を越えて更につながることができれば、ワイン文化はもっと根を深くすると思います。

ご拝読ありがとうございました。
末筆で失礼します。

佐武祐子
バルセロナ
ご質問は : yukisatake17@yahoo.co.jp
El vino nos habla ワインのささやき : http://vinonoshabla.blog117.fc2.com/ 

by yuko (2009-01-15 03:04) 

hako

アカデミー・デュ・ヴァンって、ユニークな講師が揃っていて
凄いですね。しかも皆さん、格好良いので驚きました。
本屋のワインコーナーで、立花さんの名前は良く見ましたが
まだ買ったことがありません。これは一冊、読まないといけませんね。
by hako (2009-01-17 03:00) 

fumiko

miumiuさん
先日、ミッドタウンの『山の上』で、てんぷらとグレイス『甲州』のマリアージュを体験しました。てんぷらはお塩でいただくほうが好きなのですが、上品&繊細な相性でとても良かったです。

グレイス甲州は温度があがってくると味わいにふくらみが出てきました。ぶどう本来のポテンシャルを感じます。日本ワインも大きく変化しています。
>今年はすこし国産ワインを飲む機会を増やそうかな~。
是非是非、トライを!!


佐武祐子様
バルセロナからありがとうございます。バルセロナは国際的でいつも元気な都市ですね。

>ワインは国境を越えて様々な食文化に合う寛容な飲料です。それに情熱>を注ぐ私たちも国境を越えて更につながることができれば、ワイン文化は
>もっと根を深くすると思います。
同感です。
スペインに関して言えば、ワイナリー和泉屋の新井社長や、シェリー委員会日本代表の明比淑子さんなどが頑張っていますし、スペイン大使館経済商務部もワインの拡売、告知にかなり力を入れています。
WEBを利用すれば、さらに多くの人たちがワイン文化を共有できると私も思っています。


hakoさん
>アカデミー・デュ・ヴァンって、ユニークな講師が揃っていて
>凄いですね。しかも皆さん、格好良いので驚きました。
皆さんが大喜びしそうなコメント、ありがとうございます。

>本屋のワインコーナーで、立花さんの名前は良く見ましたが
>まだ買ったことがありません。これは一冊、読まないといけませんね。
hakoさんは理系なので、『泡の科学』から読んでみたらいかがでしょうか、
泡のお話ですし・・・是非!


by fumiko (2009-01-18 19:37) 

YUTAKA

とても貴重なアーティクルで、いまさらながら目から鱗です。
見落としていたのが、残念にも思いましたが、まだまだ
発展途上で、おもしろい分野ですね!

Macon Villages Primeur (Nouveau) では、数の子
でも生臭さを感じることがなく、とてもよいマリアージュを
感じましたが、個人的に追試などをしつつ、最新情報の
キャッチを楽しみにしています。

本当に貴重な情報を、ありがとうございました♪
by YUTAKA (2009-11-30 11:08) 

fumiko

YUTAKAさん

“鉄”の存在を書いてすぐに、「魚介類とワインの相性に関する一考察」情報が届きましたので、最新ブログで報告しておきます。


by fumiko (2009-12-01 00:13) 

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