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山梨野外研修、実りあるものでした! [オープンカレッジ]

11月初め、1泊2日の日程で山梨のワイナリー訪問をしてきました。
メンバーはカレッジの「シャンパン編」、「銘醸地編」の有志17名と私、
プラス、今回の宿泊先(株)ヴィンテージ『ヴィンテージゴルフ倶楽部』の参与&シニアソムリエの
小牧康伸さんと同社社長室室長代理の富岡加恵さんの総勢20名。
http://www.d-vintage.com/

壮大、城の平試験農場.JPG
最初の訪問先メルシャンでは親愛なる味さん(味村興成チーフワインメーカー)が案内役! 
到着後、すぐに『メルシャン城の平試験農場』へ。

ラッキーなことに今年最後のカベルネ収穫作業を見ることができました。
Salone『Non Solo Vino』ではありませんが、2日間の訪問では、
“その空間だけで伺えるとっておきのお話がたっぷり”あったので、とてもとても書き切れません!

IMG_6503手摘みで健全香だけを.JPG24年樹齢のCS.JPG
収穫はすべて手摘み、痛んだ房はカット。試験農業の一番古い樹の樹齢は24年!

味さん解説 日本ワインの歴史.JPG
勝沼ワイナリーに戻り、歴史資料館を見学。
明治時代の醸造や山梨県のワインの歴史についてのお話を伺いました。

メルシャンの新兵器!.JPGIMG_6542 2319Lの樽で発酵中のワイン.JPG
窒素ガスを充填する同社の新兵器! 2319リットルの木樽の中には発酵中のワインが

おからと無濾過のマリアージュ.JPG
味さんお薦めの“おからとメルロー&マスカット・ベリーA 無濾過”のマリアージュ、ピッタリでした!
新酒のマスカット・ベリーAはすでに発売されているので、おから、おでん、焼き鳥、かばやき等に合わせて是非。

IMG_6550試飲ワイン.JPGIMG_6555 試飲ワイン.JPG
左からGoodな『勝沼甲州2007』、富永博士の『甲州きいろ香2007』、2005年から「スキンコンタクトのみ」の製法の『甲州グリ・ド・グリ2007』、みりん系と相性の良い『無濾過(業務用)』、世界のワインと勝負できる『桔梗ヶ原メルロー2004』、そして垣根栽培のメルローから造った『桔梗ヶ原メルローVSP 2004(業務用)』。
どれもぶどうの旨みが伝わってくる上質なワインであり、特にVSPは若いながらもバランスが最高、特別供出のワインを堪能しました。

講座生と一緒に味さん&齊藤工場長.JPG
前列中央の味さん(左)と斎藤浩工場長を囲んで、満足気な講座生の皆さん。小牧ソムリエも!
http://www.mercian.co.jp/

由緒あるルバイヤート.JPG
2番目の訪問先は大村春夫社長の『丸藤葡萄酒工業』、あのルバイヤートです。
山本博先生の『山梨県のワイン(ワイン王国刊)』の丸藤葡萄酒工業のページに以下のような記述があります。

「勝沼はワイン造りの伝統も古く、ワイナリーの数も多いから、その優劣、ワイン造りの姿勢などの論評となると、いろいろと口うるさい。しかし、こと『丸藤葡萄酒』となると悪口を言う人はいない。現社長大村春夫はワイン造りの実績と、その陽気で人へだてをしない性格からチャンピオンとして人気があり、慕う若手醸造家が少なくない」

同感です! 忌憚ない意見をガンガンおっしゃる山本先生にこのように表現してもらえる人はなかなかいません。http://www.rubaiyat.jp
大村邸での試飲.JPG
同ワイナリーは16年前から、欧州系品種への切り替えを進め、棚式から垣根式のぶどう畑にしています。栽培者の目下の苦労は“鳥害”。山の上の畑には、イノシシや、時にはクマも出てくるとか!大事なぶどうを守るための対策、ホント大変です。
年1回行なっている自慢の蔵コン(カーブ内でのコンサート)会場や醸造所施設見学の後は大村社長の私邸での8アイテムの試飲。クラリネットが大好きな愛娘彩果さんの名を付けた『彩果農業テイスティングルーム』は半地下のお部屋で、とても雰囲気がありました。

IMG_6567試飲ワイン ルバイヤート.JPG
(左から)旨みを感じる『2008ルバイヤートCH樽熟中No578(1.5ヶ月経過、一空樽)』、甲州から造られた入手不可能な貴重品『1987シャリオドール甘口』、フレッシュで美味な『2008同ヌーボーロゼ無濾過』、甲州の実力派『2007同甲州樽貯蔵辛口』、大村社長自慢の『2007同甲州シュールリー辛口』、自社畑の『2005ドメーヌルバイヤートミディアム(赤)』、ファーストラベルの『2004同メルロー金ラベル ミディアム(赤)』、金ラベルのセカンド『2002同メルロー ミディアム(赤)』

故麻井宇介先生から「甲州シュールリー&ハイパーオキシデーション」の良い関係を伝授された大村社長。同社の甲州シュールリーの旨さの秘密は、実はその製法にあるのです! タンク内のワインにポンプで空気を送り込み、酸化反応を起こさせ、酒質を向上させる製法なのですが、シュールリーはフレッシュなうちにいただく若飲みワインなので、その効果が出ています。いつ飲んでも美味しいし、“酢飯”が食べたくなる同社の甲州シュールリー、これは超お薦めのワインです!

翌朝、最初に訪問したのは小牧ソムリエが親しくしている、明野地区にある遠藤さんの畑でした。
IMG_6573男のロマン遠藤さんのぶどう造り.JPGIMG_6578遠藤さんの畑.JPG
徳島県庁職員として東京勤務になったことが縁でルミエールのワインと出会い、それから人生が変わったという遠藤蕃(しげる)さん。60歳で退職してからワイン造りの道へ。現在、明野に0.2haの畑を所有し、カベルネ・ソーヴィニヨンを栽培、ワイン造りに励んでいます。「やるからには最難関のぶどうを造りたい」というのが遠藤さんの夢。富士山、八ヶ岳、南アルプスが一望できる標高700mの素晴らしいロケーションの中で、カベルネに情熱のすべてを賭けています。
毎朝4時起きで頑張っているという遠藤さんとお話していると、誰もが応援したい気分にさせられます。人柄からくるものなのでしょう。ガンバレ! 遠藤さん!!

IMG_6589明野ワイナリーのCB レインカット.JPG最後の収穫 ミサワワイナリー.JPG
続いては『ミサワワイナリー』です。遠藤さんの畑と同じ明野地区にあり、日照度日本一を誇っています。ぶどう畑にあるレインカット、おわかりになりますか? ドクター・スマートと共同開発した防雨用の『中段傘がけ方式』とか。雨の多い日本のぶどう栽培には大事な工夫です。同ワイナリーでもカベルネの最後の収穫が行なわれていました。

CH2008を樽から試飲.JPG
案内役の三澤彩奈さんはオーナーの愛娘、才色兼備の女性です。これからの山梨ワインを牽引していける若手醸造家のひとりです。彼女の一生懸命さに惹きつけられ、ファンになる講座生続出、マジに。醸造所ではわがままを言って樽からのワインを試飲させていただきました。2008年のシャルドネなのですが、講座生にとって樽からの試飲は良い学習になったようです。

IMG_6597マダムミサワの大根料理.JPGIMG_6598お気に入りナス料理.JPG
レストラン彩でのランチでは8種類の日本料理とキノコご飯、プラス甲斐路ぶどうをいただきました。マダム三澤の気持ちのこもったお料理の数々に全員大満足。画像は「明野産聖護院大根の含め煮ゆず風味」と「明野産秋なすのからし醤油」なのですが、私が特に気に入った2品です。

試飲ワイン ミサワワイナリー.JPG
テイスティングしたのは獲れたて新酒『甲州2008』、良質な量産ワインが大事と考える三澤社主の思いがこもった自慢の『グレイス甲州2007』、綺麗な酸と上品な樽香の『シャルドネ2007』、果実味豊かな新酒『マスカット・ベリーA』、JWCで銀賞受賞の優れもの『グレイスメルロ2006』、そして北海道で生産している『ケルナー2005 甘口』の6種類。『ミサワ茅ヶ岳』の甲州はランチに合わせてサービスしていただきました。ご馳走様でした!

山本先生との出会いに喜ぶ講座生.JPG
ミサワワイナリーに顔出しなさった山本博先生とうまく出会えました! 
日本ワインの旗振り役、山本先生との遭遇に大喜びの講座生@レストラン彩

三澤社長&彩菜さんと講座生.JPG
東京工業大学工学部応用化学科から三菱商事に入社、今はワイナリーオーナーという経歴の三澤茂計社主、頭脳明晰な方です! 三澤親子と講座生との記念ショット@ミサワワイナリーの売店前。http://www.misawa-winery.jp/

IMG_6610明野から勝沼へ 綺麗な富士山.JPG
明野から勝沼に戻る間の車中からは奇麗な形の富士山が良く見えました!

IMG_6613山梨ワイン.JPGIMG_6622畳の上での試飲.JPG
『山梨ワイン』のぶどう樹はY字仕立て。ビオディナミにも取り組み、現在調剤500から508まで使っているとか。築120年以上の日本家屋の畳の上で7アイテムのテイスティングを行ないました。案内役をしてくださったのは、現専務の野沢たかひこさんです。

小牧ソムリエのサービス.JPG
そして、最後の訪問先は『まるき葡萄酒』。http://www.marukiwine.co.jp/
明治10年、ワイン醸造を学ぶためにフランスに渡り、以後日本のワイン造りのリーダーになった土屋龍憲が明治42年に興した日本最古の歴史あるワイナリーです。試飲したワインは全部で8アイテム、サポート役の小牧ソムリエの手際の良さが際立つサービスぶりも見事でした(帰路の電車の時間が迫っていたこともあり・笑)

試飲したのは、できたての『新酒デラウェアにごり』、日本の辛口白ワイン『新酒甲州』、これは同ワイナリーの人気アイテム『燻製タクアン』との相性抜群!買いですよ~(笑)。極辛口の『甲州シュールリー2007』、控え目な樽香『樽熟甲州2006』、和風の煮物&焼き物に合う新酒『勝沼新撰組ベリーA』、カベルネと山ぶどうの交配『ヤマソービニオン2006』、カベルネとマスカット・ベリーAのコラボ『芳醇 赤ミディアムボディー』、10年熟成の『甲州リッチネス1997 やや甘口』というラインアップ。

マルキぶどう酒のテラスから見る勝沼の展望.JPG
2階のテラスから見る勝沼の夜景はキレイ! 疲れを癒してくれる素晴らしい景観でした。

IMG_6642まるき酒造最後の記念画像.JPG
同ワイナリーの看板はもっちさん(本名:望月省吾さん)。サントネージュワインの常務経験もあるスゴイ方なんですね! 怪我から10ヶ月ぶりに職場復帰したその日にお目にかかれて光栄でした。人の気をそらさない饒舌な語り口は弁士そのもの。ぶどう畑や醸造所を杖をつきながらギブスをはめたおみ足で回ってくださったもっちさんに感謝です! 講座生にたくさんの情報をくださいました。
そのもっちさんを囲んで、山梨最後の記念写真を。私も仲間に入りま~す。

講座生の皆さん、ヴィンテージゴルフ倶楽部の小牧さん&富岡さん&三井室長、2日間お疲れ様でした!
ブログのアップが遅くなってしまいましたが、山梨で温かな歓迎をしてくださった皆さま~、またの再会を楽しみにしております!
参考文献:山梨県のワイン(ワイン王国刊)
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鈴木良香

塩山駅から城の平農場へ向かう車中、味村さんと青木さんに挟まれて座っていました。あそこで青木さんにお会い出来るとは思っていませんでしたので、光栄でした。
城の平では弦間さんの指導の下、カベルネの収穫をしました。過去に収穫は10回以上経験がありますが、1万円以上になるワインになるブドウの収穫は初めてで、責任大でした。
城の平の景観は素晴らしいですね。畑と眼下に見える甲府盆地の町並み。

丸藤の大村さんの語り口は静かですが、ワイン造りに対するほとばしるようん情熱を感じます。野沢さんも日本でのビオの先駆的立場です。野沢さんも静かな語り口ですが、ご自分で向かう道をはっきり見えているようです。これからも目の離せない造り手です。
by 鈴木良香 (2008-11-09 09:49) 

fumiko

winoさ~ん、ご無沙汰しておりましたが、お変わりございませんか。
書きたいことが多いにもかかわらず、時間が足りず、3週間ぶりのブログの更新になってしまいました。
15日には私の本も出ますので、ブログでPRします、読んでください~


鈴木様! 漢字で「鈴木良香」と書いていただき、今、わかりました!
びっくりです!!
小牧さんから「味さんのお客様が1名おります。城の平まで同行しますので・・・」と言われておりましたが、あの時の同乗者が、ブログの鈴木様だったとは!
コメントの具合から、私はもっとご年配に方だとばかり思っておりました。お若いので、再度、びっくり。お目にかかれて私も光栄に存じます。

鈴木さんの手摘みのカベルネが『城の平カベルネ・ソーヴィニヨン2008』になるのですね。私にとっては現地で摘んだカベルネの甘さが印象的な野外研修でした。今後とも宜しくお願いします♪
by fumiko (2008-11-09 21:08) 

fumiko

miumiuさん、久々のロリーさん、楽しみにしていま~す。

by fumiko (2008-11-10 12:49) 

digodices

ふだんワイナリーに行く機会もないので、また行ったとしてもじっくり見る機会はなかったのでとてもよい体験ができました。行ったワイナリーもとても暖かい雰囲気のところばかりで、ちょうど収穫の時期でもあり、天気もよくて(1週間あとでなくてよかった!)最高でした。
ヴィンテージゴルフ倶楽部の小牧さんのガイドもよかったです。ガイドして
くれる人までいるとは思っていなかったので値段を考えるとお得な研修
だったと思います。山梨野外研修ありがとうございました。

by digodices (2008-11-10 21:16) 

hako

すっばらしいツアーを敢行されたのですね。文面と写真からも
感動的なテイスティングの様子が良く伝わってきます。
勝沼に行ったのは今年の3月ですが、今でも強烈な印象が残っています。
http://t-hako.blog.so-net.ne.jp/archive/c10378023-2
その後、5月に出た日本のワイナリーという雑誌に、葉山さんの面白対談が載っていて、三澤さんの話題も有り、親近感が沸いていました。
理系商社マンだったとは驚きです。
夕景、綺麗ですね。また行ってみたいです。
by hako (2008-11-10 23:11) 

fumiko

digodicesさん
初コメント、ありがとうございました♪
お天気も良かったし、山梨県人の情けにも触れることができましたし、飛び切りのワインをたっぷり、digodicesは飲んでいたしね(笑)

喜んでいただけて、私も嬉しいです! 小牧さんは本当に良い人ですよ!


hakoさん、お褒めいただき光栄です。
hakoさんの山梨リポート、良く覚えています。早春ですね。
今回、本当に中味の濃い2日間だったので、ブログをまとめるのに結構時間がかかりました。書きたいことが多すぎて・・・ホント大変でした。

三澤社主、大村社長はじめ、山梨の醸造家はエリート揃いだと思います。
季節の良い時に是非、山梨再訪をなさってください。

by fumiko (2008-11-10 23:51) 

fumiko

YUTAKAさん、チェック、ありがとうございました♪
山梨野外研修は中味の濃い2日間でした。ブログをまとめるのに実は6時間くらいかかっています、完成までに何度か中断もありましたが・・・。
山梨サイドの皆様の熱い思いが伝わってくるだけに、受ける側も当然気合が入ります。



by fumiko (2008-11-16 20:50) 

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