日本初の貴腐ぶどうの収穫から31年！

「世界最高の貴腐ワインは？」と聞かれて連想できるのは、やっぱり、フランス・ソーテルヌ地方のChateau d'Yquem／シャトー・ディケムだと思います。
ぶどうは本来フレッシュなものですが、貴腐ワインの場合は、ぶどうの水分が蒸発し、干ぶどうのように萎びてゆきます。理想的な貴腐ぶどうの画像は、さすがシャトー・ディケムのものが綺麗です。URLをクリックすると右側にバーが出てきます。「The Wine」から入り、「The Harvest」に進んでいただくと・・・手のひらの上にのっているのが、貴腐ぶどうです。

貴腐の元になるのがBotrytis cinerea／ボトリティス・シネレア菌で、この菌糸がぶどうの果皮の表面のワックス層に侵入し、ぶどうの糖分や香り成分を凝縮させてゆきます。
できたワインは極甘口、神から与えられた“甘露”とも言うべき、天下の逸品になります♪
『Le Classement2004』によると、シャトー・ディケム1997は、「イケムの歴史を振り返ってみても、ここ４半世紀で頂点を極める大傑作である」と記されています。　

そして、この10月、日本でも貴腐ワインの1997年ヴィンテージが発売されました♪
サントリー山梨ワイナリーで造られた登美 ノーブルドール1997です。先日開かれた発表会ではリーデル製の『エクストリームシリーズのデザートワイン用』グラスで供出されていました。まさに黄金色に輝く甘露です。


『登美 ノーブルドール』は1975年（昭和50年）、日本で初めて造られた貴腐ワインです。昭和50年、夏から秋の初めにかけて、５日晴れては2日雨が降る、という天候のなかで、山梨ワイナリーのスタッフはぶどうの腐敗を心配していました。9月28日、ワイナリーの所長と技師がぶどう栽培研究所の前にある試験棚のセミヨン種を味見したところ、甘味があることに気付きました。腐敗臭などありません。急いで検査したところ、ぶどうにボトリティス・シネレア菌が付着していることがわかり、さらに10月にはリースリング種も貴腐ぶどう化していました。

1975年は10月15日～12月24日までの約２ヶ月以上かけて、貴腐ぶどうを収穫。貴腐ぶどうは、70日間の長い発酵期間と、3年に及ぶ熟成期間を経て、1978年、日本初の貴腐ワイン『シャトーリオン・ノーブルドール』と『同 ノーブル・ダルジャン』としてリリースされます！
1978年から今回の1997年ヴィンテージまでの間、何回貴腐ワインがリリースされたのか、データがないのでわかりませんが、我が国における輝かしい貴腐ワイン誕生の陰には、『グランジ』同様、語り継がれるべき長い歴史がありました。

コメント 5

貴腐、日本でもできるんですかぁー
素人みたいなコメントですいません。
でも作ってたなんでホント知りませんでした。
９７いい色ですねー味わってみたいです。
by Wino (2006-10-29 21:29) 

そうなんですよ～、winoさんのような超エキスパートさんのお耳にも入っていなかったとは・・・。
最近、頑張れ！日本ワインで、国産ワインもかなり浸透してきたなぁと思っていたのですが、まだまだ、みたいですね。とは言え、『KOSHU』はすでに体験済みですよね。
by fumiko (2006-10-29 23:24) 

日本の貴腐の話は、随分昔に聞いたことがありました。どこかでお目に掛かったような気もしますが、思い出せません。
イケムのサイト、きれいですね。登美のサイトも親切で、つい誘われるままに、行ってしまいそうです。貴重な話をありがとうございました。
by hako (2006-10-30 01:39) 

hakoさん、いつも温かなコメント、ありがとうございます。
私はその昔（確か１９９０年代）、山梨のサントリーのワイナリーに出かけ、その折、小さなグラスでノーブルドールを有料試飲した記憶があります。
今朝、私が大尊敬しているサントリーの久保さんから、「貴腐ワインは1978年に初リリースして以降、1982年、1985年、1990年、1992年、そして今回の1997年、ヴィンテージとしては６回ですね」という情報をいただきました。
ということは、私が現地でいただいたのは、90年か92年ヴィンテージ？
いずれにしても、滅多に出来ない希少なワインです。高い～のが問題（笑）
by fumiko (2006-10-30 12:13) 

僕は1975の貴腐ワインサントリーノーブルダルジャンとノーブルドールを1本づつ、発売された当時に買いました。まだ飲んでません。息子の結婚式に飲みたいですね。

by monsieur sato (2014-08-11 14:54)