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MLFをしているシャンパンvsしていないシャンパン [オープンカレッジ]

シャンパンはいずれもネゴシアン・マニピュラン(大規模生産者が造るシャンパン)のノン・ヴィンテージで、左から順に①ゴッセ・エクセレンス(輸入元:サッポロビール)、②パイパー・エイドシック(輸入元:アサヒビール)、③ランソン・ブラック・ラベル(輸入元:キリンビール)。これら3本はMLF(マロラクティック発酵)をしていないタイプ
パイパー・エドシックはMLFをしていました(2016年醸造家に確認)
右側の④ポル・ロジェ(輸入元:JALUX)はMLFをしているタイプ
10日の第2回泡物編ではその製法の違いが、香り&味わいにどの程度出るのか、それを感じとることができるのかどうかをブラインドで試しました。

ちなみに『MLF』というのは「乳酸菌によってワイン中のリンゴ酸が乳酸と炭酸ガスに分解される現象」を言い、これによってワインの酸味が柔らかく感じられるようになります。

4種類のシャンパンを飲んだ生徒さんに、挙手で好みの味わいを伺ったところ、受講生20名の内訳は①5名、②7名、③5名、④3名という結果に。

①は若干グリっぽい色調でメリハリのある酸味と重厚感、余韻の長さが印象的。

②は香りはアニマル系、味わいには柑橘系果実の内側の白い皮の部分を口にした時のような心地良いエグミ感があり、余韻は軽く爽やか。
教室の温度が上がってきたこともあり、乾いた喉にはとても飲み易く、当日の一番人気でした。②はアスコルビン酸(=ビタミンC)を添加していますが、これは亜硫酸と共に使うことで「酸化を防ぐ効果」があるようです。

③は4本の中で一番泡立ちが元気。細かな気泡が連なり、グリーンを含む若々しい色調と生の果物を感じさせるような新鮮さが特徴。

④は輝きのある黄金色で、ナッツ、べっ甲飴、パンを焦がした匂い。綺麗な酸と口中で広がる複雑味が好印象。

さて、本題のMLFの“差”ですが、③のランソンと④のポル・ロジェから答えを見出すことができたような気がします。
③のランソンはフレッシュ&フルーティをメゾンのスタイルにしています。そのフレッシュさとは逆に気泡の細かさは長い熟成期間を十分に示しており、ここにMLFをしないで残しておいた「リンゴ酸効果」が出ていると確信しました。フレッシュでありながら力強さを持つ2面が良く出ていました。また、④のポル・ロジェにはナッツや燻した香り、コーヒー香などがあり、MLFの影響が感じられました。その複雑味、旨みは私の好みの味わいでした。

その昔、“マイ・シャンパン”を探すブラインド・テイスティングで、20本くらいの中から一番好きな味として選んだのがポル・ロジェ。また、ゴッセの厚みのある飲み口がとても好きで、今回のテイスティングにあたっては、「この2本をブラインドで確かめ、甲乙をつけよう」という下心があり選択したのですが、フランス人が得意な「ブロンドも黒髪もそれぞれに魅力があり、どちらか一方を選ぶのは難しい」という表現が今の気分です。


タグ:MLF
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YUTAKA

青木先生、いつも楽しく&知的好奇心をくすぐられる講座をありがとうございます。

お恥ずかしながら僕はシャンパーニュを飲んだことがあまりありません。何となくスノッブなイメージを感じていたのと、僕は炭酸に弱いという弱点があります。フレンチのアペリティフもいつも少量のドライ・シェリーで胃を活性化させています。なので違いが分かりません。マイ・シャンパーニュもなかったわけですが、今回の講座を通して、お蔭様で、おぼろげながらその姿が見えてきたような気がします(それが目標です!)。

前回はGHマムのコルドン・ルージュ、今回はゴッセのエクセランスを選びました。泡の細かさとアタックの柔らかさ、重厚感やコクと余韻の長さだけで見ているような気がしてしまいます。邪道かもしれません(笑)。ビールもエビス一筋なので、何となく傾向が分ってきました。そしてクリュッグがやはり好きですが、その直線上で行くと、ジャック・セロスのシュブスタンスというやっかいな道を選ばなければならないのかなと思います。しかし、これは飲んだことがありません(イニシャル・ブリュットNVやヴィンテージ96なら手元にあるのですが)。セロスは流行していたので何となく避けてきたせいもありますが、ugeさん、よろしくお願いします(笑)。ソレラ・システムでシェリーにつながっているという奇妙な縁は面白いです。

と、何も分からず単に自分の好みの傾向を知るというだけにとどまっていますが、MLF に関しては正直言って未だに違いがよく分かっていません。ポル・ロジェにのみカラメルのような香りがあったことと関係がありますでしょうか。酸については、1が柔らか、2が若くて溌剌、3が柔らかだけどしっかり目、4が溌剌だけれど強くは無く複雑でバランスが取れている、とテイスティングシートに書いてありましたが当てにならないなぁと思っています。いやはや、コメントを発表するのは、毎回冷や汗ものです(できるだけ前の席の人に隠れて、当たらないように!と祈っているのです)。

ちなみに妻はポル・ロジェを選んでいました。前回グリーン・ポイントを選んだのに、一貫性がないよーと言っています!?
by YUTAKA (2006-05-12 17:31) 

Kan

青木先生、こんばんは。
今回もいろいろと美味しいワインが飲めたので、どれを選ぶか迷ってしまいます。
でも僕の好みに一番あったのは③のランソンでした。
酸がすっきりしていて、泡の立ち方もよく、
飲んだ時のフレッシュな感じが長続きしたからです。

『どんな料理が合うのか?』という質問については、
『塩で食べるてんぷら』や『お寿司』が合うということでしたので、
ぜひ、そういう場面でマリアージュを楽しみたいと思います♪

また、次回の講座も楽しみにしてますね。
by Kan (2006-05-13 00:06) 

fumiko

Yutaka-san,たっぷりの書き込み、ありがとうございました。
まず、解明できることから始めましょう。マダムは最後に登場するワインがお好きなのですよ、きっと。供出順lに関して第1回&第2回ともそれなりに理由があるのですが、「No4」がお気に召したのでは。
次に、胃壁をうまく刺激して食欲を活発にさせるのならシェリーより泡でしょう。塩田先生も食前酒としてのシェリーについて提言していたような。
へーゼル・ナッツやカラメルのような焦げた印象はMLFの影響だと思います。“継続は力なり”なので、さらに続けて試飲していきましょう。

>イニシャル・ブリュットNVやヴィンテージ96なら手元にあるのですが
これは打ち上げ用ワイン? ugeさんにお預けくださ~い(笑)。
by fumiko (2006-05-13 01:55) 

fumiko

Kan-san,今日はオーストラリアワインの試飲会で遭遇しましたが、かなりの数のオーストラリアワインが試せたのではないでしょうか。
シャンパン編でのランソンは本当に溌剌としていました。泡立ちも綺麗でしたし、酸がすっきりしていて、お塩でいただく「天ぷら」には良く合いそうです。場合によってはレモンを添えて。
まあ、熟成したシャンパンは例外ですが、基本的にシャンパンはオールマイティなので、どのような組み合わせでも楽しめると思っています。Kan-sanなりの組合わせ、見つけてください♪
by fumiko (2006-05-13 02:09) 

uge

先生、いつもいつも興味深く考察できるテーマをありがとうございます。
最近、出題意図が読みきれずはずしてばかりですが(笑)、正解はないと自分に言い聞かせて飲み続けています(恥)。
私は②ピペでした。泡が荒いものの、口当たりは滑らかで飲みやすいと感じました。ブラインドでない時はGOSSETが好きと思っていたのですが。。。
ランソンもブラックとゴールド1993を飲んだ記憶(記録)がありますが、今回は非常にフレッシュな、シャンパンらしいシャンパンという感想を持ちました。これからの季節にはもってこいですね。
次回、手持ちのを2本持参します。セロスは勘弁して>>>YUTAKAさん。
by uge (2006-05-13 12:33) 

YUTAKA

青木先生、こんにちは。

今日はラトゥールの垂直に行こうかと思ったのですが、GWの疲れが残っているのでお休みしました。昨日のオーストラリアにも行きたかったのですが、仕事が一杯で参加できずに残念です。マムをあけながら、久しぶりにカサブランカのDVDでも観てゆっくりすることにします。

さて、毎度、鋭い洞察をありがとうございます。なるほど、妻は供出順序に反応していたわけですね。その順番にも意味があることを知りました。今度、教室で、もよろしかったらその秘密を教えてください。先日書かれていたテイスティングの順序に関するエントリーと関係がありますでしょうか。

シェリーはこれまで気付け薬のような感じで味わってきたのですが(よーし食べるぞー!という感じ)、おっしゃる通り、ちょっと強すぎるかもしれませんね。逆に泡はお腹が一杯になってしまう先入観がありました。先生のガイドで、自分なりのシャンパーニュを見つけて、楽しみ方を膨らませたいと思います。まだ何も分かっていないので、早急に結論を出すのはもったいないですね。先入観も排除しないと。ブラインドの試飲は本当に勉強になります。

『継続は力なり』旺文社の故赤尾好夫さんが繰り返しおっしゃっていた言葉が心に染みます。

> これは打ち上げ用ワイン? ugeさんにお預けくださ~い(笑)。

すみません、イニシャルのブラン・ド・ブランは昨日あけてしまいました。替えがありません ^^;。96は、ヘタをするとクリュッグのヴィンテージ90や85よりも高値になってしまっているので、これもご勘弁を・・ちなみに我が家は火の家計で、いつもヒーヒー言っているので、シャンパーニュを楽しむ余裕がありません(笑)。もっと適切な方がいらっしゃるかも!?と思ったら、さすがugeさん、カーヴから2本も・・・いつもありがとうございます m(_ _)m。
by YUTAKA (2006-05-13 18:26) 

fumiko

ugeさん、ugeさん
>次回、手持ちのを2本持参します。
これって本当ですか、やったー!! 楽しみにしていま~す。

YUTAKA-san,
>イニシャルのブラン・ド・ブランは昨日あけてしまいました。替えがありません ^^;
これって、ぜんぜ~ん、嬉しくない返事!
by fumiko (2006-05-15 19:59) 

Dr.T

美味しいシャンパーニュをいただけて満足ですが、解ろうとすると難しいことが分かってきました(笑)。ボルドーの右岸か左岸かの様なイメージで色が赤っぽくコクのあるのがピノ、グリーンがかって繊細な酸味のものはシャルネ主体・・・というような短絡思考だけでは推し量れません。畑の性格、収穫時期、圧搾、醸造、収穫年など多岐にわたるピースを縦糸、横糸、斜め糸に織り込みながら自分達のシャンパーニュを作り続ける各ハウスの強固なポリシーが味を決めている気がしてきました。それなら特別良い年の限定品よりNVにイメージが最も示される気がします。やっぱり解らなかったけど美味しかったです・・・という方向に着実に向かっています(笑)。
by Dr.T (2006-05-16 00:06) 

YUTAKA

>>イニシャルのブラン・ド・ブランは昨日あけてしまいました。替えがありません ^^;
> これって、ぜんぜ~ん、嬉しくない返事!

うーん・・・シャルドネのセロスが無いとなると、ピノ・ノワールのウーリエ。セロスのロゼもウーリエのピノを使っていますよね。ダグノーとも仲が良いらしいです。なので、ウーリエのロゼを次に試すのがいいのかなと思うのですが(自分調べ)、それではサプライズがなくて何となく面白くない(笑)。すみません、ひねくれ者です。しかも初心者なのに・・・打ち上げまでに考えておきまーす!ayacoさん、協力してください(笑)。和泉屋さん協賛だと、なお良いです(笑)。
by YUTAKA (2006-05-16 00:09) 

ayaco

先生、いつも楽しい授業をありがとうございます。
私はスティルワインでもMLFを感じるのが苦手なのですが、シャンパンだとなおさら難しいですね。先生の記事とても勉強になりました。
しかしこの様子だと打ち上げが大変なことになりそうですね・・・・。
by ayaco (2006-05-16 16:48) 

fumiko

Dr.T様へ。精神科医をして、「解ろうとすると難しいことが分かってきました。やっぱり解らなかったけど美味しかったです」と言わしめるシャンパン。
さすが素晴らしい飲み物なのだと、思わず再認識してしまいました(笑)。
>NVにイメージが最も示される気がします。
各メゾンを代表する顔NV、その通りです。気長に極めてくださ~い。

YUTAKA-san,
>打ち上げまでに考えておきまーす!
このお返事は、嬉しいです! 

ayaco-san,
記事がお役にたてば何よりです。
>しかしこの様子だと打ち上げが大変なことになりそうですね・・・・。
いえいえ、次回講座にはugeさんからのシャンパンが特別供出される由。
打ち上げ以前からフィーバーしていますよ♪
by fumiko (2006-05-17 08:36) 

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