SSブログ

コルクとヴィノ・ロックの比較試飲リポート [オープンカレッジ]

ラインガウ地方の名門シュロス・フォルラーツが導入した代替栓ヴィノ・ロックとナチュラル・コルクで打栓したワインの比較試飲をしてみました。ワインはドイツから持ち帰った2003年ヴィンテージです。

ヴィノ・ロックと、ワインについては2月25日のblogですでに触れています。
2本のワインの外観は淡いイエローで粘性は低く、グラス壁面に細かな気泡がついているところまでは同じでした。
香りの立ち方はヴィノ・ロック(右)にかすかな還元臭、青リンゴや白系スパイス、ゴム、水仙やくちなしのニュアンス、口中では若干のオイリーさを感じました。ぶどうの皮からのエグミ感が前面に出ていて、スリムでシャープな印象と言えます。

一方のコルク栓(左)は香りのインパクトがソフトで、青リンゴやミネラル香。グラスの温度が上がることで、香りにも華やかさが出てきて、洋梨やパッションフルーツのニュアンス。興味深かったのは口に含んだ時、前者と比べて酸味と甘味のバランスが良く、溌剌とした酸味、味わいの複雑味、余韻の長さが印象的だったことです。

私にとってもヴィノ・ロックvsコルクは初めての経験で、とても興味深いものでした。
カレッジの生徒さん18名(定員20名で欠席2名)はヴィノ・ロック初対面の方ばかり。2種類のワインをブラインドして、「どちらの味が好みか」を伺ったところ、ヴィノ・ロックvsコルクは4対14、という結果になりました。

シュロス・フォルラーツには「打栓した年月」を聞いてみたいと思っていますが、今回は“味のふくらみ” という点で、コルクで打栓したワインのほうに人気が集中しました。私もコルクのほうがより上品な印象だったと感じました。
昨今のコルク臭によるダメージ、代替栓によるワインの熟成具合の変化など、「クロージャー」についての話題は尽きません。

比較して初めてわかることですが、今回は同じワインでも栓の違いで、ワインの印象が違うことを生徒さん全員が感じてくれたことは確かです。


nice!(2)  コメント(8)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 8

D

貴重な体験をありがとうございました。
本当に最先端のなかなか出来ないことをさせていただいていると思います。

初めから同じ品種だということはわかったのですが、香りの立ち方や味わいの広がり方、そしてボリューム感の違いから、何が違うんだろうか?と考えました。
そして、前回のオーストラリアの”CullenのCS”で行った「コルク対SC」を思い出し、「あ、今回はリースリングで対決なんだ!」なんて思っていました。
印象としては、ヴィノ・ロックはSCと同様に酸をシャープに果実味をストレートに感じ、コルクはそこに複雑性や横に広がる味わいのボリューム感を持たせていると思いました。欲張りな私は、それでは今度はヴィノ・ロックとSCを比べてみたい!なんて思ったりしました。
あともう一つ、
「ヴィノ・ロックはニュージーランドのPNで、コルクはもちろんブルゴーニュのイメージ!!」「人間で言うと素直で汚れの知らない人と、いろいろ経験豊かな人!?」だなんて、一人で想像を膨らましていました。。。(笑)
私は断然コルクの方が好きなので、人間もそうなんですかね~???
ワインは面白いです!!!
by (2006-03-24 13:07) 

ayaco

先生ほんとに貴重な体験をありがとうございました。あそこまで味が違うとは想像も出来ませんでした。
ところで個人的にはヴィノ・ロックの開閉のスムーズさはとてもかっこいいと思います!日本酒や焼酎に使うというのは如何でしょう?
Dさんの洞察、面白いですね~~。私ももちろん、”コルク派”です!
by ayaco (2006-03-24 14:32) 

fumiko

Dさんの鋭い洞察、素晴らしいです!
まず、"同品種だと目星をつけた"こと。そして、前回のオーストラリア編で体験した"コルクvsSC"まで考えが及んでいたとはお見事です。ホント、「成長しているなぁ」と感じて嬉しくなります♪
代替栓(ヴィノ・ロックやSC)のワインには酸のシャープさ、果実味のストレートさが良く出ていますよね。
今月初めに『勝沼ワイナリーズクラブ』で3栓の比較試飲をしたようですが、
ヴィノ・ロックvsコルク対決では授業と同じシュロス・フォルラーツのリースリング「カビネット」を使ったとのこと。「コルクに比べ酸がキリリと感じられ好感が持てました」と丸藤葡萄酒工業の大村専務がメールで教えてくれました。カビネットの「酸」が有利に出た好結果ですね。今後、ヴィノ・ロックで打栓したワインの熟成具合の変化の詳細データも注目されることでしょう。
それから、Dさんの比喩、なかなかですね。今度比較試飲する時、私も真似ていろいろ想像してみま~す♪

ayaco-san, お忙しかったお仕事、一段落しましたか? この授業、やりくりして参加した甲斐があったでしょう、良かったです。
>ところで個人的にはヴィノ・ロックの開閉のスムーズさはとてもかっこいいと思います!
その通リ!SC同様、コルクを抜く苦労がないので開栓も楽、ワインが残った時にも便利です。今後、応用されていくと思います。ガラス栓、記念にしてください。
by fumiko (2006-03-24 20:40) 

YUTAKA

皆さん、さすが鋭いですね。僕は少数派のヴィノ・ロックに手を上げました。反省も兼ねてコメントを書きます。

今回はチリの授業だったので、最初「チリでもドイツみたいなリースリングが出来るようになったんだ・・」と妙に納得をして、でもこの2種類は外観は全く同じだけれど、香りも味わいも違う。何が違うのか、、で悩みました。これは本当によく分からなかったです。チリのテロワールなのかな、、とか。

当時のテイスティング・シートを見ると、ヴィノ・ロックに関しては、香りが開いており、豊かな南国のフルーツの香り、ヴァニラのような甘い香り、柑橘系の香水の香り、ハーブ香、ミネラルのニュアンスを感じたと書いてあります。味わいに関しては、溌剌としたアタックがあり、ヴォリューム感もあり、酸がくっきりとしていて、後からミネラリーな苦味と若干の甘みが感じられ、比較的長めの余韻を感じました。ミネラリーで高い酸と余韻のある甘みはまさに辛口のリースリング。

一方、コルクに関しては、当初、香りは完全に閉じていて弱く、上品な香り、ピチピチとしたさわやかな香り、少しハチミツのような甘い香りがしていたのが、次第に開いてきて、オシロイのような白い花系のフローラルな香りが感じられるようになりました。味わいに関しては、酸が硬い印象があり、苦味も強く、コクもあるけれど、コンポーネントがバラバラに感じられました。余韻は、こちらも長め。ただ、時間が経つとどんどん香りも味わいも変わって行くので、何とも判断がしづらかったです(どんどん美味しくなっていった)。

この迷っている時点で、先生からどちらが好きですか、と聞かれたので、既に開いて飲める状態になっているヴィノ・ロックを選びました(ただの呑み助なのです・・)。ただ、それがワインの鑑定という観点になると話は別かと今は思っています。コルクの方が、いわゆる高品質なワインの若すぎる状態に近く、時間をかけていただくか、または1~2時間程前に抜栓してパニエしてアエレーションをする等で、判定が逆になっていた可能性が感じられました。あるいは正統的には熟成を待つか。もっと調和が取れた厚みのある感じになりそうな予感があります。しかし、アエレーション等はリースリングの繊細さが失われる可能性があるので、その判断は専門家の方にお任せします・・サービス温度も迷うところです。セランのことを少しだけ思い出しました。

で、先生から、シュロス・フォルラーツのシュペトレーゼ・トロッケン2003と聞いて、びっくりしました。アルコール度数は12.5%。チリじゃなかった・・・ ^^;;。初心者には分からないはず(笑)。しかも、クロージャの違いだったとは、とても驚きました。こんなに大きな差が出るなんて。

僕の素人ながらの考察では、上記から熟成のポテンシャルに関してはコルクの方が上に感じましたが、よく分からないというのが本音です。アエレーションとともに、自分としては今後に課題を残した感じです。先生、いい勉強をさせていただきました。ありがとうございました。また、クロージャの違いによる熟成に関するデータが出てきましたら、教えてください。本当に、奥が深いですね。
by YUTAKA (2006-03-26 00:38) 

fumiko

YUTAKA-san, 丁寧な感想、恐れ入ります。初心者などと・・・ご謙遜を(笑)。
チリワインで同時期にヴィノ・ロックとコルクで打栓したワインがあれば一番良かったのですが、ヴィノ・ロックはやはりドイツがメジャー。「番外編」ということで、栓違いの比較は脳裏に焼きついたのではないですか。

コルクが当たり前だった時代から、代替栓をしっかり見つめる時代に確実に変化してきています。栓の違いによる熟成データはまさに現在進行形。比較するチャンスがあれば、今後もどんどん試したいですね。
by fumiko (2006-03-26 22:11) 

uge

私は同品種かなと思いつつも自信がなかった口なので、反省も込めて。
先入観からか、チリでこの品種はナニ?というところから入ってしまいました。甘いところからシュペートレーゼ・トロッケンという発想にならないところが未熟です。
ヴィノロックとコルクの違いとしては、コルクの方が余韻が長いと感じました。また、ヴィノロックの方は酸が中心、コルクの方はもう少し洗練されたふくよかさが前面に出ていたと思います。
ともあれ、貴重な経験に感謝です。
by uge (2006-03-27 00:49) 

YUTAKA

青木先生、ありがとうございます。

あの後、もう一度確認したくて、同じワイン(コルク版)を八方探してみたのですが、見つかりませんでした。03のカビネットは見つけたのですが、シュペトレーゼでトロッケン自体が見つかりませんでした。残念。さすが、現地からハンドキャリーで持ち帰られただけのことはあります。

実は、ドイツで12.5%volのアルコール度数のリースリングも初体験でした。こんなに熟したのは、やはり2003年の酷暑のせいでしょうか。でもアルザスとも全然違いますね。シュロス・フォルラーツは昔から辛口で有名と聞いていましたが、なかなか素晴らしいワインだと思いました。日本食にも合いそうな気がします。

全然関係のない話ですが、最近、オーストリアのグリューナ・フェルトリーナーにはまっています。ピヒラーのスマラクト"M"とか、混醸ですがニコライホフのエリザベスとか。アペリティフとしても、また日本食との相性も、よいように思っています。すみません、完全に余談です(笑)。
by YUTAKA (2006-03-27 01:48) 

fumiko

ルバイヤートの大村専務はヴィノ・ロック(テイスティングしたのはカビネットだった由)のほうが、酸が活き活きしていて好感が持てた、とおっしゃっていました。ドイツの「Q.m.P.のランク違いで、栓違い」の比較もできればしたいですね。カレッジの生徒さんの知的好奇心を刺激できたとしたら、当方大満足です(笑)。
by fumiko (2006-03-27 02:19) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0