日欧EPAに絡む一考察 ~スパークリングワインを中心にして~ [ワイン]
2月1日午前0時から日欧EPA発効
昨年7月、安倍首相が欧州連合(EU)のトゥスク大統領とユンケル欧州委員長と首相官邸で署名したEPA(経済連携協定)は、同12月に欧州議会でも承認されたので、2019年2月1日から発効。この時点で日本の輸出酒類全品目とEUからの輸入ワインの関税が即時撤廃になります。
開始の時期は輸入元によって異なり、サントリーワインインターナショナルは2月1日の出荷分から、サッポロビール、メルシャン、三国ワイン、アサヒビール、日本リカーは3月1日の出荷分から適用するとのこと。
昨年、サッポロビールが20歳以上の男女約1.3万人に日欧EPA発効と普段のワイン飲用に関するアンケート調査を実施しました。とても興味深い内容だったので、一部引用させていただきます。
「どの価格帯の欧州ワインを購入・飲用したいか?」との問いに対して、800~1,000円未満が28%、1,000~1,400円未満が27%で、全体の55%が1,000円前後の価格帯に関心を寄せていました(複数回答)
「日欧EPA発効を機に、過去の購入・飲用よりも増やしたいアイテムは?」との質問には、スパークリング(シャンパーニュ含)が46%、ロゼワインが15%という結果(複数回答)でした。
1,000円代のワインに注目
関税撤廃と言っても、輸入元は直近数年にわたる現地蔵出し価格、輸送コスト、資材コストの高騰による原価高の吸収分を考慮し、総合的に勘案して決定しています。ゆえに下げ幅は一律ではなく、欧州ワインのすべての価格を引き下げるものではありません。
ちなみに、日欧EPAのスティルワイン(非発泡)の関税率は価格の15%あるいは1㍑換算で125円(750mlだと93.75円)になります。また、スパークリングは1㍑換算で182円(750mlだと136.5円)です。
ただ、シャンパーニュや高級ワイン(ジョセフ・ドルーアン、ルイ・ジャド、M.シャプティエは注目)は、前述のように、蔵出し価格等の上昇率が、関税撤廃分を上回るので、恩恵はほとんどなさそうです。
該当するスパークリングワイン
今回以下の輸入元様の要のスパークリングワインの価格(税抜)、下げ幅を伺ってみました。
サントリーワインインターナショナル
実施日:2月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の1~11%程度。金額で20~140円
対象商品:スティルワイン、スパークリングワイン22ブランドで適用
スペイン/フレシネ コルドン ネグロ 1,790円→1,680円
フランス/デュック パリ ブリュット 1,110円→1,000円
イタリア/ヴィッラサンディ ブラン・ド・ブラン ブリュット 1,770円→1,640円
イタリア/タヴェルネッロ スプマンテ ビアンコ 1,100円→980円
ポルトガル/マテウスロゼ 1,000円→950円
ドイツ(スティルワイン)/リープフラウミルヒ<マドンナ> 1,310円→1,230円
サッポロビール
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の2~17%
対象商品:フランス、スペイン、イタリア等の一部商品74品目
フランス(スティルワイン)/ラブレ・ロワ ブルゴーニュPN 2,450円→2,350円
フランス(スティルワイン)/ヴィナデイス ラ・キュベ・ミティーク1,800円→1,650円
スペイン(スティルワイン)/マルケス・デ・リスカル リスカル・テンプラニーリョ 1,350円→1,300円
イタリア/キアリ ランブルスコ ロッソ&ビアンコ 900円→800円
フランス/ヴィナデイス ラ・キュベ・ミティーク スパークリング・ブリュット2,000円→1,850円
メルシャン
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の1~20%
対象商品:フランス、スペイン、イタリア等76品目
フランス(スティルワイン)/ドメーヌ・カズ カノン・デュ・マレシャル 1,720円→1,640円
スペイン(スティルワイン)/ボデガス・フォンタナ メスタ オーガニック 970円→900円
スペイン/コドーニュ ラ・ロスカ ブリュット 1,040円→930円
スペイン/コドーニュ バルセロナ1872 1,750円→1,660円
※コドーニュの下げ幅3~6%
EPA関連で新製品のスパークリングとロゼが登場します。
2月19日(火)全国発売 デラピエ・ネグラ・ブリュット890円
2月26日(火)全国発売
メスタ テンプラニーリョ ロゼ オーガニック 970円→3月1日から900円
三国ワイン
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:スティルワイン50~100円、スパークリング80~200円、価格改定幅は平均6%
対象商品:フランス、スペイン、イタリアのスティルワイン40品目、スパークリングワイン9品目で計49品目。主要ブランドはジョセフ・ドルーアン、アラン・ブリュモン、ポール・ジャブレ・エネ、クネ、ロジャーグラート
フランス(スティルワイン)/ジョセフ・ドルーアン ラフォーレ ブルゴーニュ CH オープン価格(希望小売価格2,300円→2,200円)
フランス(スティルワイン)/ジョセフ・ドルーアン ラフォーレ ブルゴーニュ PN オープン価格(希望小売価格2,300円→2,200円)
フランス(スティルワイン)/アラン・ブリュモン ガスコーニュ ロゼ 1,400円→1,300円
スペイン(スティルワイン)/クネ ロサード 1,400円→1,300円
スペイン/ロジャーグラート カバ ロゼ・ブリュット2,200円→2,100円
スペイン/ロジャーグラート カバ コーラル ロゼ・ブリュット2,200円→2,100円
アサヒビール
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:平均10%、最大で17%
対象商品:フランス、イタリア等40品目
主要ブランドは仏のジネステ、レミー・パニエ、伊のガンチア、ゾーニン、ポルトガルのアヴェレーダ
イタリア ガンチア・アスティ・スプマンテ 1,830円→1,640円
日本リカー
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の4~14%
対象商品:フランス、イタリア、スペインの一部商品22品目
フランス(スティルワイン)/ルイ・ジャド コトー・ブルギニョン ルージュ&ブラン&ロゼ 2,500円→2,200円
フランス(スティルワイン)/M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ルージュ ベルルーシュ&ブラン ベルルーシュ 1,800円→1,700円
スペイン(スティルワイン)/ボデガ・イニエスタ ミヌートス116 ティント 1,300円→1,200円
イタリア/ガヴィット ロスカート プロセッコ エクストラ・ドライ 1,800円→1,700円
まとめとして
関税撤廃の恩恵は1,000円代の価格帯のワインに反映しています。
スパークリングワインは食中酒として使い勝手が良いので参考にして頂けると嬉しいです!
昨年7月、安倍首相が欧州連合(EU)のトゥスク大統領とユンケル欧州委員長と首相官邸で署名したEPA(経済連携協定)は、同12月に欧州議会でも承認されたので、2019年2月1日から発効。この時点で日本の輸出酒類全品目とEUからの輸入ワインの関税が即時撤廃になります。
開始の時期は輸入元によって異なり、サントリーワインインターナショナルは2月1日の出荷分から、サッポロビール、メルシャン、三国ワイン、アサヒビール、日本リカーは3月1日の出荷分から適用するとのこと。
昨年、サッポロビールが20歳以上の男女約1.3万人に日欧EPA発効と普段のワイン飲用に関するアンケート調査を実施しました。とても興味深い内容だったので、一部引用させていただきます。
「どの価格帯の欧州ワインを購入・飲用したいか?」との問いに対して、800~1,000円未満が28%、1,000~1,400円未満が27%で、全体の55%が1,000円前後の価格帯に関心を寄せていました(複数回答)
「日欧EPA発効を機に、過去の購入・飲用よりも増やしたいアイテムは?」との質問には、スパークリング(シャンパーニュ含)が46%、ロゼワインが15%という結果(複数回答)でした。
1,000円代のワインに注目
関税撤廃と言っても、輸入元は直近数年にわたる現地蔵出し価格、輸送コスト、資材コストの高騰による原価高の吸収分を考慮し、総合的に勘案して決定しています。ゆえに下げ幅は一律ではなく、欧州ワインのすべての価格を引き下げるものではありません。
ちなみに、日欧EPAのスティルワイン(非発泡)の関税率は価格の15%あるいは1㍑換算で125円(750mlだと93.75円)になります。また、スパークリングは1㍑換算で182円(750mlだと136.5円)です。
ただ、シャンパーニュや高級ワイン(ジョセフ・ドルーアン、ルイ・ジャド、M.シャプティエは注目)は、前述のように、蔵出し価格等の上昇率が、関税撤廃分を上回るので、恩恵はほとんどなさそうです。
該当するスパークリングワイン
今回以下の輸入元様の要のスパークリングワインの価格(税抜)、下げ幅を伺ってみました。
サントリーワインインターナショナル
実施日:2月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の1~11%程度。金額で20~140円
対象商品:スティルワイン、スパークリングワイン22ブランドで適用
スペイン/フレシネ コルドン ネグロ 1,790円→1,680円
フランス/デュック パリ ブリュット 1,110円→1,000円
イタリア/ヴィッラサンディ ブラン・ド・ブラン ブリュット 1,770円→1,640円
イタリア/タヴェルネッロ スプマンテ ビアンコ 1,100円→980円
ポルトガル/マテウスロゼ 1,000円→950円
ドイツ(スティルワイン)/リープフラウミルヒ<マドンナ> 1,310円→1,230円
サッポロビール
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の2~17%
対象商品:フランス、スペイン、イタリア等の一部商品74品目
フランス(スティルワイン)/ラブレ・ロワ ブルゴーニュPN 2,450円→2,350円
フランス(スティルワイン)/ヴィナデイス ラ・キュベ・ミティーク1,800円→1,650円
スペイン(スティルワイン)/マルケス・デ・リスカル リスカル・テンプラニーリョ 1,350円→1,300円
イタリア/キアリ ランブルスコ ロッソ&ビアンコ 900円→800円
フランス/ヴィナデイス ラ・キュベ・ミティーク スパークリング・ブリュット2,000円→1,850円
メルシャン
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の1~20%
対象商品:フランス、スペイン、イタリア等76品目
フランス(スティルワイン)/ドメーヌ・カズ カノン・デュ・マレシャル 1,720円→1,640円
スペイン(スティルワイン)/ボデガス・フォンタナ メスタ オーガニック 970円→900円
スペイン/コドーニュ ラ・ロスカ ブリュット 1,040円→930円
スペイン/コドーニュ バルセロナ1872 1,750円→1,660円
※コドーニュの下げ幅3~6%
EPA関連で新製品のスパークリングとロゼが登場します。
2月19日(火)全国発売 デラピエ・ネグラ・ブリュット890円
2月26日(火)全国発売
メスタ テンプラニーリョ ロゼ オーガニック 970円→3月1日から900円
三国ワイン
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:スティルワイン50~100円、スパークリング80~200円、価格改定幅は平均6%
対象商品:フランス、スペイン、イタリアのスティルワイン40品目、スパークリングワイン9品目で計49品目。主要ブランドはジョセフ・ドルーアン、アラン・ブリュモン、ポール・ジャブレ・エネ、クネ、ロジャーグラート
フランス(スティルワイン)/ジョセフ・ドルーアン ラフォーレ ブルゴーニュ CH オープン価格(希望小売価格2,300円→2,200円)
フランス(スティルワイン)/ジョセフ・ドルーアン ラフォーレ ブルゴーニュ PN オープン価格(希望小売価格2,300円→2,200円)
フランス(スティルワイン)/アラン・ブリュモン ガスコーニュ ロゼ 1,400円→1,300円
スペイン(スティルワイン)/クネ ロサード 1,400円→1,300円
スペイン/ロジャーグラート カバ ロゼ・ブリュット2,200円→2,100円
スペイン/ロジャーグラート カバ コーラル ロゼ・ブリュット2,200円→2,100円
アサヒビール
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:平均10%、最大で17%
対象商品:フランス、イタリア等40品目
主要ブランドは仏のジネステ、レミー・パニエ、伊のガンチア、ゾーニン、ポルトガルのアヴェレーダ
イタリア ガンチア・アスティ・スプマンテ 1,830円→1,640円
日本リカー
実施日:3月1日出荷分から
価格改定:参考小売価格の4~14%
対象商品:フランス、イタリア、スペインの一部商品22品目
フランス(スティルワイン)/ルイ・ジャド コトー・ブルギニョン ルージュ&ブラン&ロゼ 2,500円→2,200円
フランス(スティルワイン)/M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ルージュ ベルルーシュ&ブラン ベルルーシュ 1,800円→1,700円
スペイン(スティルワイン)/ボデガ・イニエスタ ミヌートス116 ティント 1,300円→1,200円
イタリア/ガヴィット ロスカート プロセッコ エクストラ・ドライ 1,800円→1,700円
まとめとして
関税撤廃の恩恵は1,000円代の価格帯のワインに反映しています。
スパークリングワインは食中酒として使い勝手が良いので参考にして頂けると嬉しいです!