第3回『映画とワインのマリアージュ』は美食画家ロートレックに迫ってみました!! [映画でワイン・レッスン]
3回目は美食画家 ロートレックの世界を五感で愉しむをテーマに行いました。
会場はGINZAみつ和、いつもながら見事なテーブルセッティング、豪華なカサブランカ
友人モーリス-ジョワイアンが1930年にまとめた『モモ氏の料理(モモはロートレックのペンネーム)』を改訂したレシピ本『ロートレックの料理法』から、料理を再現しました。
川端清生シェフの付箋があるページは、「羊の野外丸焼き」、各ページにはユニークな挿絵が!
母が所有していたシャトー・マルロメ
ボルドーの南東、サンタンドレ・デュ・ボワに位置する歴史あるシャトー・マルロメ
14世紀、ベーアン伯爵ギロー・ド・タストによって建てられた城で、これが現在のシャトー・マルロメです。所有者の中には、あのアンリ・ド・トゥルーズ=ロートレックの母親アデール伯爵夫人の名もあります。1883年にシャトーを購入しています。モンマルトルで仲間と自由奔放に生きていたロートレックですが、母が所有するシャトーでは収穫の時期、農夫たちと一緒に汗を流す日々を送っていました。
2005年からEUROPMURSという不動産関連の企業グループがオーナーで、ディレクターはシャルル・トラヌエズ。その年の11月からは醸造コンサルタントとしてミシェル・ロランとアタナス・ファコレッリを迎えています。
今回の開催にあたり、輸入元(株)アルカンのWATANABEさんを介して、シャトーから情報をいただきました。画像協力もありがとうございます!
シャトーの樽貯蔵庫にはロートレックの自画像が!
画像協力:シャトー・マルロメ
シャトーのぶどう畑。カベルネ、メルロ、マルベックを栽培しています。
画像協力:シャトー・マルロメ
ロートレックの部屋、ピンクがお好き?
画像協力:シャトー・マルロメ
右の画像は『ムーラン・ルージュのラ・グリュ(1891年製作)』、ムーラン・ルージュの画家と呼ばれるようになった契機の作品。1998年ヴィンテージのラベルに使用されました。
左の画像は『客室番号54号の婦人』(または)『乗客』と題した作品で、1896年の『サロン・ドゥ・サン』の展覧会用ポスター。船旅が好きだったロートレックはある時、乗り合わせた女性に恋をします。声をかけることもできず、ただ見つめているだけ。彼はデッキチェアに座っている客室番号54号の彼女の姿を描くことに専念します。それがこの絵、シャトー・マルロメ1997のラベルに使われています。
画像協力:シャトー・マルロメ
ロートレック狂のDAN分析、実におもしろい
参加者の中に本業はデザイナー、副業はロートレック狂(笑)のDANさんがいました!
ワクワクするようなDAN分析、実におもしろい(容疑者Xの献身の福山雅治風に・笑)
「紺色の線は絵をさかさまにして見てください。うつぼのように見えます」というDAN指示に従い、画像を逆にしています。挿入ミスではありません~。念のため、右に正常な画も載せておきますね♪
以下、DAN分析、ご覧ください。
* 体は「ハマグリ」
* 髪型は「サザエ」
* デッキチェアーの背もたれは「シロナガスクジラ」
* 手はまるで「イカ」のようですし・・・
* スカートは「タコ」
* 手すりはさしずめ「亀」の甲羅でしょうか?「魚」のオブジェ??
* 錨は「まぐろ」の尾にも見えます。
* 遠景の船は沈みそうなほどのシケ(海が荒れること)の中にあるのに
この女性は何事も無かったかのようです・・・
声もかけられなかったロートレックの屈折した心境の表れ?
この解釈はどの解説本にも説明にも載っていないようです。
私の妄想でしょうか? それともただの偶然でしょうか??
いえいえ、DANさん
いたずら心旺盛のロートレックならではのアイデア、私もそう思いますよ♪
「54が競売されています。拡大画像も見ることが出来ます。クリスティーズのアドレス載せておきました」と優しいDANさん! 皆さ~ん、拡大画像で遊んでみてください♪
http://www.christies.com/LotFinder/lot_details.aspx?intObjectID=5230826
では、19世紀にタイムスリップした12日の様子をお見せしますね。
川端清生シェフは「季節を考慮し、レシピ本の中から25種類程度を選び、試食を重ねながら全11アイテムに決めました」と述べ、詳細を解説。岡本公一シェフパティシエは「テストしながら3品を選びました」と。お二方からの説明は各料理のキャプションとして載せておきます。
映像は『フレンチ・カンカン』
“ムーランルージュの画家”と呼ばれたロートレックがテーマなら、そこを舞台にした映画が必要と考えました。1954年製作の『フレンチ・カンカン』は興行師ダングラール(G・ギャバン)と踊り子ニニ(F・アルヌール)を取り巻く恋の掛け引き、ムーランルージュの誕生を描いた作品であり、ラストのカンカン踊りは躍動感に溢れていて素晴らしいです!
観ている者を幸せな気分にさせてしまうパワーは、『バベットの晩餐会』のラストと同じです。
(左)『フレンチ・カンカン』のタイトル、(右)華やかなカンカンのシーン、チャーミングなニニ♪
(左)ダングラールがシャンパンの抜栓を真似る仕草は素敵です!
(右)ムーランルージュの前でふらついている山高帽の小柄な男性、私にはロートレックに見えます。監督ジャン・ルノワールのロートレックに対するオマージュなのでは・・・
(左)料理名:たくさん飲むためのチーズのパン。ロートレックの考えるネーミングはユニークです
(右)料理名:鵞鳥のフォアグラ(レシピ本では鵞鳥ではなく仔牛) パンのせ、タンポポのサラダ
ロートレックは脂肪分の多い料理を好んでいたので、そのままの量を再現するとかなり脂っぽくなってしまう、ということで、ポーションを小さくしています。
1812年創業ローランペリエの看板シャンパン『ローランペリエブリュットLP』と合わせて。
料理名:ホワイトアスパラガス 黄色のソースムースリーヌ
この料理はロートレックと川端シェフのコラボ、駿河湾の桜えびをアレンジしています♪
ともに容量は1,500mlのマグナムサイズ、これぞシャンパンの醍醐味です
(左)ローランペリエの『グランシエクル』の瓶形は17世紀の手吹きボトルを再現したものです。
首の長さが特徴で、注ぐ時、「プルプル」という音を奏でます。
(右)1829年創業のボランジェ。ロゼNVは『ラ・グランダネ・ロゼ』のリリース後、30年経過してデビューした究極の1本。10年間の構想を経て2008年に初登場しました。
料理名:みつ和の初夏の前菜(赤貝とわけぎの杏蜜蜂和え、隠元胡桃和え、じゅん菜とプチ野菜、海老と野菜のゼリー寄せ、蕗の青煮、宮重巻き)
さっぱりとした味わいをお楽しみいただこうということで特別供出、シャンパンとのマリアージュ◎
料理名:オマール海老 ボンヌフォア 昔風
オマール海老好きだったロートレックは貨物船をチャーターし、船中で調理。それを振舞うような贅沢な暮らしぶりをしていたそうで、ここではトマトと白ワインで煮込んでいます。
(左)料理名:仔羊のローストとと茄子の詰め物焼き
野外で豪快に焼く羊の丸焼きが好きだったロートレック。
それはさすがに出来ないので厨房で調理しました(笑)
(右)ドフィネ風グラタン
10日の試食後、シェフにわがままを言って入れていただきました。感謝です!
2006年ヴィンテージはカベルネ・ソーヴィニヨン75%、メルロ15%、カベルネ・フラン5%、マルベック5%の混醸
深みのある色調、果実味豊かで、乳酸のニュアンス、口中での印象はなめらか、飲みやすいワイン
ビルカール・サルモンの創業は1818年。同メゾンのトップキュヴェ『クロ・サンティレール1996』
1995年が初ヴィンテージで、96年から樽を使用。総生産量は5,000本、日本への輸入量は極少。
メゾンの裏にある東向きの1haの畑から収穫したピノ・ノワール100%のシャンパン。
コーヒー様なニュアンス、複雑味、まだまだ十分な酸味、あと10年は寝かせておきたいなぁ♪
チーズ名:(左から)シャウルス(シャンパーニュ産・牛)、ラングル(シャンパーニュ産・牛)、シャロレ(ブルゴーニュ産・山羊)、カンタル(オーベルニュ産・牛)の4種類
レシピ本に出てくるにはシャウルスのみ。今回はシャンパーニュに合わせるため、本間るみ子先生からのアドヴァイスをいただきました。中でも『グランシエクル』とラングルの相性は言葉不要のマリアージュでした♪
アルカン様からご協賛いただき、抽選で参加者5名様にシャトー・マルロメ2006をプレゼント!
プレゼンターはジャン・クリスチャン! 喜んでいただき光栄です!
デザート名:a:プラムのラム酒漬、b:リンゴの混ぜ合わせパイ、c:修道女のおなら(揚げせんべい)
岡本公一シェフパティシエは「プラムのラム酒漬けはフルーツと砂糖同割で煮て、そこにラム酒入れるのですが、そのままだと強いのでヴァニラを添えて。bはタルトタタンのようなもの。cはネーミングが楽しい。揚げせんべいと書いてはありますが、シュー生地を油で揚げるのでドーナツに近く、レシピ本にある温度表記のままだと難しいので180度~200度で揚げました。最後にポコッとふくらんで音が出るのがネーミングの由来なのでは」と
10日にすべての料理を試食。ワインの供出順、料理とのマリアージュをチェックさせていただきました。川端シェフと意見交換をした後、メニューの一部変更をお願いしました。国際料理コンクールボキューズ・ドール2003日本代表の川端シェフに言いたい放題のリクエストをしている私は、ホント、身のほど知らずだと思っておりますが、その要望を叶えてくださったシェフに心から感謝しております。胃痛にさせてしまい、すみませ~ん。
『バベットの晩餐会』の時もそうでしたが、準備段階で試食までさせていただいてのワイン会は『みつ和』だけです。その好意に対して、改めて御礼申しあげます。
ローラン・ペリエ社ジャン・クリスチャン・ドゥ・シュヴァルリー日本代表、シャンパンの協賛および細やかなサポート、ありがとうございました♪
マグナムサイズの『グランシエクル』、参加者全員を魅了していましたね!
昨年暮れ頃から進めてきた企画を納得いく形で終わらせることができて、今ホッとしています。
『バベットの晩餐会』、『ロートレックの世界』と100年以上も前の料理の再現を体感させていただき、
本当に仕事冥利に尽きると思っています。
清水昌子オーナー、川端清生シェフ、尾形隆正ソムリエ、スタッフの皆さま、そして・・・
ご参加くだった皆さま方、大変お疲れ様でした♪
このまとめがお役にたてば幸いです、ありがとうございました!!!
ラベルに込められた恋物語ですか。
意味を知ることで、より味わい深いものになりそうですね。
by vientre-dolor (2010-05-14 02:24)
vientre-dolorさん
早々のチェック&コメント、ありがとうございます♪
相手に声もかけられなかったロートレックですが、
絵に隠れたいたずら心、ニクイです♪
さすが天才画家!
Winoさん、チェックありがとうございました!
by fumiko (2010-05-14 11:09)
ロートレックとワイン、ステキ☆な組み合わせですね~
記事を見るとココが日本とは思えません(笑)
Shin.
by shin (2010-05-14 11:44)
shinさん、nice&comment、thank-youです♪
さすがに昨日は午前中、腑抜け状態でした(苦笑)
毎回、一期一会の貴重な体験をさせていただいています。
いつかshinさんのような
「画像で語るブログ」を踏襲できるようになりたいです!!
by fumiko (2010-05-14 12:05)
kojiさん、チェック、ありがとうございます♪
可愛らしいアイコンのあんぱんち~さん、はじめまして♪
チェックありがとうございました。
yukaシェフも『バベットの晩餐会再現ディナー』をなさるのですよね。
楽しみです♪
官兵衛さん
江戸城めぐりは時間をかけて・・・ですね、了解です♪
お気遣いいただき、恐縮です。
by fumiko (2010-05-14 19:00)
これだけの情報量を上手く一つのプログに纏めるfumikoさん!!
ワインチョイスだけでは無く、ブログも脱帽です。^^
このブログを視つつデイリーワインを飲みます・・・
by hiro (2010-05-14 22:37)
ロートレックと料理、ムーラン・ルージュまでは結びつくのですが、それを映画フレンチカンカン、シャンパーニュと結びつけてしまう発想が流石です。
料理とワインのマリアージュも素晴らしく19世紀に戻ったような至福のワイン会を楽しんだ後、ブログでもう一度楽しみました。有難うございました。
by makoto (2010-05-15 12:01)
hiroさん! 嬉しいお言葉、ありがとうございます!
今回、ロートレック狂のDanさんの新説も飛び出し、
たっぷりと
“Non Solo Vino(ワインだけじゃない)”な内容になりました。
PCの前に居ながらにして、
hiroさんのように楽しんでいただければ本望です、感謝!!!
by fumiko (2010-05-15 12:28)
makoto様、ご多忙の折、ご参加いただき、ありがとうございました♪
>それを映画フレンチカンカン、
>シャンパーニュと結びつけてしまう発想が流石です。
ふふ、シャンパン好きなもので・・・
「フレンチカンカン」は、企画構想中、ビデオを観直してみた時に、
ピピピときて(笑)、ジャン・ギャバンに呼ばれたような気がしました。
また、嬉しいことに映画の中でも小粋な脇役は、シャンパンでした!
私がセレクトした「ローラン・ペリエ」、「ボランジェ」、「ビルカール・サルモン」とも19世紀前半にメゾンを興しています。すべて19世紀がらみ。
私にとっても忘れられない貴重な体験になりました。
これからもご指導のほど、よろしくお願いいたします!!!
by fumiko (2010-05-15 12:51)
みつ和の初夏の前菜と言うのですか
一回で良いので食べてみたいです。
by ナビパ (2010-05-15 19:21)
ナビバさん、チェック&書き込み、アリガトウございました♪
>みつ和の初夏の前菜と言うのですか
>一回で良いので食べてみたいです。
このコメント、可愛すぎます(笑)
前菜とご飯(ご飯は今回出していません)は、
みつ和さん独自のスタイルなんです。
チーズプロフェッショナルのちょりさん、はじめまして♪
チェック、ありがとうございました!!
りぼんさん、拙ブログにようこそ♪
チェックもありがとうございました♪
by fumiko (2010-05-16 12:34)
ロートレック狂のDAN分析面白いですね。
逆にしないと元の絵が分かりませんでした。(笑)
by toki (2010-05-16 20:05)
tokiさん、DAN分析にご共感いただき、嬉しく思います。
>逆にしないと元の絵が分かりませんでした。(笑)
了解です、正常な画像を載せておきました~
by fumiko (2010-05-16 21:45)
mwainfoさん、お立ち寄りいただき、ありがとうございました♪
by fumiko (2010-05-16 23:32)
お友達のチワワのブラタン載せましたよ^^b
by ナビパ (2010-05-18 05:42)
想像以上に素晴らしいワイン会ですね。。。
参加できた方がうらやましい。
先生のワイン会はいつも料理とワインのマリアージュだけでなく其の裏に秘めた考え抜かれた物語が素晴らしいです。そして参加した人全員が、非日常の夢のような時間をすごすことができる・・・・そして参加できなかった人もブログで楽しめる。いつもこれだけの気遣いとパワーに脱帽です。
by kowa (2010-05-18 06:05)
ナビバさん、リキくんアップ、ありがとうございました!!!
ミューと同じイケメンのチワワくんだったので、即ファンになりました♪
kowaさん、開催できたことを誇りに思います。とても貴重な体験でした。
参加できなかった方にもブログを介してメッセージをお伝えできれば、
また新たな広がりができますし、私としても書き甲斐はあります。
>いつもこれだけの気遣いとパワーに脱帽です。
ふふ、翌日は腑抜けのようになりましたけどね(笑)
by fumiko (2010-05-19 03:24)
凄すぎますね。あまりにも盛り沢山なので、プリントアウトして
しまいました。
シロナガスクジラ発見。ビルカール・サルモンも際だってますね。
by hako (2010-05-19 19:00)
hakoさん、nice&コメント、ありがとうございます♪
プリントアウトもありがとうございます。
ご参加いただいた講座のレジュメ集の中に入れていただければ、
良きデータになるかと(笑)
シロナガスクジラ、ハマグリ、サザエ・・・いますよね~
BSのクロ・サンテイレールはホントに稀少、良いシャンパンです♪
by fumiko (2010-05-21 23:41)
kazukazuさん、チェック、ありがとうございました!
by fumiko (2010-05-21 23:45)
コメント遅くなってしまいました(><)
先日は、映画×ワインの会
大変愉しませていただきました。
ありがとうございました♪
”五感で愉しむ”という名のごとく
飲・食・映像・音声に加えて
青木先生のワインにまつわるお話で
あらゆる感性が刺激され、
貴重な体験をさせていただきました。
またワインを通じて、お逢いできる日を
楽しみにしております。
楽しいお時間をありがとうございました。
by ちぃちぃ (2010-05-24 10:51)
ちぃちぃさん、コメントありがとうございました♪
映画とワインの会の主旨もしっかりお伝えできたようで、
私もとても嬉しいです!!
これからも青木らしさを出して、頑張りますので、
引き続きよろしくお願いします♪
by fumiko (2010-05-24 19:30)