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NYワイン&グレープ財団主催 森覚講師の『NYワインの最新トレンド』テイスティングセミナー [ワイン]

 果敢に攻めるNYワイン
 
 ニューヨークワイン&グレープ財団主催、米国大使館農産物貿易事務所後援による
 テイスティングセミナーが開催されました。
 同財団プロモーションの統一テーマは“BOLDLY, NY. (大胆に、ニューヨーク)
  ~縮小するのではなく、その大胆な精神にスポットライトを当て、
                 ワインの革新、品質、経験の先駆者になる~



 講師はコンラッド東京エグゼクティヴソムリエの森覚さん
 ワインのナビゲーターは森覚ソムリエ
 セッション1のテーマは『NYワインの最新トレンド
 セッション2のそれは『NY州最大のワイン産地フィンガー・レイクスを深堀
 各回とも密を避けた15名限定で実施。



 私は前半の最新トレンドの回に参加させていただきました!


  NYワインの概要
  日本におけるNYワインの第一人者GO-TO WINEの後藤芳輝代表が全体像を解説

 ✥全米における生産量順位は第3位、全体の3.5%
 ✥7生産地域で11AVA、二大産地はフィンガー・レイクスとロングアイランド
 ✥ワイナリー数は471軒(2020年データ)、その多くは家族経営の小規模ワイナリー
 ✥冬は寒く、夏は温暖な気候

 NYワインが注目されはじめた要因は・・・
 (1)品質の向上
 栽培や醸造技術の向上、NY州とコーネル大学との産業協働、グローバル化による人的交流
 (2)トレンドの変化
 食のライト化 (パワフルよりエレガント)、ミレニアル世代の台頭(格付よりインスタ映え)
 (3)社会環境の変化
 東海岸でも地産地消が普及、サステイナブルな社会への取り組み、温暖化の影響



 NYの二大産地「フィンガー・レイクス」と「ロングアイランド」を比較


フィンガー・レイクスは1829年からワイン造りの歴史あり。寒いエリアであっても、水深のあるフィンガー・レイクスのおかげで水温は安定、ぶどう造りも可能になっています。土壌は頁岩(Shale/けつがん)、ワインはリースリングの評価が高く、赤ワインも果実味のあるタイプが台頭中。

ロングアイランドは海に面している海洋性気候、大西洋に近いのでマイルドな気候。赤ワインが多く、中心となるのはメルローやカベルネ・フラン。白はシャルドネで、リゾート地でもあるので、軽快なタイプ(樽を使わない)が人気、ロゼも好まれています。


 資料:ニューヨークワイン プロフェッショナルガイド
 フィンガー・レイクスは州西部、ロングアイランドはマンハッタンに近い州東部の島


      主要な白ぶどう
     資料:ニューヨークワイン プロフェッショナルガイド
  リースリング以外に、シャルドネ、ゲヴュルツトラミネール、ソーヴィニヨン・ブラン


      主要な黒ぶどう
     資料:ニューヨークワイン プロフェッショナルガイド
  メルロー、カベルネ・フラン以外には、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール



             登場した5ワイナリーについて
     後藤さんは14社のワイナリーから60種のワインを輸入しています。
     今回のセミナーではそれらのなかから、8アイテムが供出されました。

             フィンガー・レイクス  
ドクター・コンスタンティン・フランク/NYワインの礎を築いた生産者
NYワインのパイオニア。ウクライナ出身のフランク博士が興したワイナリー。現在は4代目の才媛メーガン・フランクが仕切っています。
ハーマン・J・ウィーマー
ソムリエから「全米でNO.1のリースリング」との評価を受けているワイナリー。『Wine&Sprits』誌では過去12年間で9回も世界のトップ100ワイナリーに選出されています。
オズモート・ワイン
新進気鋭のワイナリー。NY 出身コーネル大学卒の ベンジャミン・リカルディが設立。NZや豪州でワイン造りを学び、2014年からワイン造りを開始。フィンガー・レイクスで敢えてシャルドネ造りに挑戦しています。
ラモロー・ランディング
70年代にぶどう造りからスタートしたワイナリー。ぶどう栽培に力を入れているので、それがワインの品質に反映しています。

             ロングアイランド 
ウォルファー・エステート
世界有数の避暑地で、夏にはNYのセレブが集まるザ・ハンプトンズにあるワイナリー。NYビジネスで成功を収めたドイツ出身のクリスチャン・ウォルファーが設立。NYのロゼワインの火付け役


 森覚ソムリエによるワインコメント
 白ワインは5アイテム


#1:ドライ・リースリング2018/ドクター・コンスタンティン・フランク
ぶどう品種:リースリング100%/3,500円
#2:ドライ・リースリング2018/ハーマン・J・ウィーマ―
ぶどう品種:リースリング100%/4,200円
#1#2は同じヴィンテージで同じ品種、地域もフィンガー・レイクス。ともに明るい色調のレモンイエロー、若干グリーンのトーンを感じます。#1の方が輝きが強く、香りは酵母由来(シュル・リー)の若干スモーキーで香ばしいニュアンス。スワリングするとレモン、青リンゴ、そこに白い花(菩提樹やカモミール)。果実と花に加えてイーストからの香りが調和しているワインで、スモーキーさのなかにミネラルや湿った石、ほんのりとぺトロールを感じます。最初にインパクトのある酸が広がるタイトなボデイを持ったワインで、中盤から後半に酸と苦みを伴い、全体を引き締めるような印象。後半にはレモンピールや柑橘系の果実の皮を齧った時に感じる苦みを感じ、後半に息の長い酸が続いていくのが特徴です。料理は天婦羅や中華等、脂と良く合いますし、四川料理やベトナム、タイ料理にもお薦めできます。

#2はレモンイエローでも深みがあり、香りは閉じこもった印象で、スワリングすることで香りが出てきます。グラスで供出するより、ある程度の時間をかけてサービスしたいワインです。ミネラルの要素があり、温度を上げるとリンゴ、洋梨、ネクタリン等の果実、澱からのニュアンスも感じます。香りは控えめながら、味わいはしっかり出てきます。#1はアタックに強さを感じますが、#2は最初は穏やかな印象で、酸味・果実味・甘味のバランスが後半から出てくるタイプ。酸は緻密で、口中では縦だけでなく、横にも広がり、口全体を覆ってきます。Alc12%ながら、酸とのバランスがとても良く、中盤からの果実味が後半になって一体となって広がります。造りは全房で仕込み、自然酵母を使用、清澄や濾過はほとんどしていません。 #1 はグラスで(リースリングの特徴が出ているのでわかりやすい)、#2はリースリングに特化した人向きでレベルの高いワインです。料理はホワイトアスパラガスにオランデーズソースや、帆立貝のポワレにバターソース等、フレンチがお薦めできます。



#3:サーモン・ラン・リースリング2019/ドクター・コンスタンティン・フランク
ぶどう品種:シャルドネ51%、リースリング49%/2,800円
ブレンド比率が50%より1%多めと1%少な目の微妙なバランスです。色調は淡いイエロー、清澄や濾過も上手で醸造技術の高さを感じます。シャルドネだけだと抑制された香りになりがちですが、リースリングを合せることでアロマティックに広がります。第1アロマの印象が強く、熟した果実のコンポート、桃やカリン等の黄色い果実のニュアンスが良く出ていますし、ユリやオレンジブロッサム、カモミール、ジャスミン、果実の蜜。香りのまとまりが良く、ピュアで素直です。味わいはアタックがしなやか、全体的に丸いフォルムをもったチャーミングでジューシーなワインと言えます。ステンレスタンクで醸造、残糖は8.4%で、それが果実の香りに溶け込み、単体で飲んでも美味しいワインなので、グラスで出してインパクトを与えることができます。オールマイティーに使えるので、フュージョン系レストランにマッチすると思いますし、カジュアルワインやNYワインの入門編として使えます。今の時期なら鱒料理、瞬間燻製の鱒!


#4:シャルドネ2017 オズモート/オズモート・ワイン
ぶどう品種:シャルドネ100%/4,200円
外観は中程度のレモンイエローで若干グリーンやシルバーのトーン。粘性もしっかりあります。最初に感じるのは香ばしさ(スモーキーさ)で、樽による熟成やシュル・リー由来の複雑な香りを感じます。リンゴ、洋梨、ミネラル、イースト香。味わいには力強さや骨格があり、抑え気味な果実味が旨味を伴って後半に広がってきます。熟成させるとより滑らかなテクスチュアになるワインです。軽くバーナーで炙った山形牛にトマトのジュレに雲丹を乗せた一皿や鉄板焼き(サーロイン)が合います。


#5:シャルドネ2017/ウォルファー・エステート
ぶどう品種:シャルドネ100%/3,700円
黄色がしっかり出ている明るい色調で粘性は中程度からやや強め。香りには桃、カリン、洋梨のような果実。フローラルで若干のホワイトペッパーやイーストのニュアンス、ヨードを感じ、香りにはまとまりがあり、エレガントです。口中で横に広がる果実味があり、カリンののど飴をなめているような印象。集中力があり、果実の旨味(savory)が凝縮しています。みずみずしい“果汁感”があり、後半に甘みと軽い苦みを感じるワインです。料理は仔牛のカツレツ(ウィンナーシュニッツェル)のように脂肪分のあるものや、味わいに厚味を感じるものが合うので、気楽に楽しんで!

【青木の私感】 グラスの拭き上げのせい(だったのか)、#5以外のすべてのグラス(ワイン)に、ロウ似のニオイを感じて、本来の香り&味わいを体験できなかったのが正直な感想です。 森講師が、このワインに対して、ホワイトペッパー、合わせたい料理にウィンナー・シュニッツェルを挙げていましたが、出来の良いシャルドネに顕著なホワイトペッパーのニュアンスやストーンフルーツの要素がある好感度の高いワインだったので、個人的に大好きなオーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナーと若干重なるイメージもあり、仔牛のカツレツ発言にも大いに賛同できました。そのような理由から#5が当日のマイベスト!



 「NYワインは商材として非常に可能性がある」と森講師


 赤ワインは3アイテム

 

#6: T23 カベルネ・フラン2017/ラモロー・ランディング
ぶどう品種:カベルネ・フラン100%/3,800円
外観は明るいラズベリーレッド、若干紫色が入る色調。香りの第一印象は華やかで広がりがあり、砕いたラズベリーやポプリ、セイボリーハーブやグリーンペッパー、白檀のニュアンス。ピュアでエレガント、複雑性を伴う好感度のあるワイン。きれいな酸味と果実味が特徴。中盤から後半にスムーズで緻密なタンニン、Alcをほとんど意識しないで飲み続けることができる味わい。料理の前半から出せるワインで、サーモンや和食にも合わせやすく、金目の煮つけや煮物にも!


#7:カベルネ・フラン2018/ハーマン・J・ウィーマ―
ぶどう品種:カベルネ・フラン100%/5,500円
カベルネ・フランの品種の特徴が良く出ています。外観は#6より濃い目、やや赤みのあるラズベリーレッドで、粘性はありますが、Alc(12.5%)は低め。香りにはラズベリーやストリベリーのような赤系果実、バイオレット、ローズマリー、土っぽさがあり、マッシュルーム(きのこ)の印象も。味わいは#6より力強く、しっかりとした果実味・酸味・渋味があるので、ストラクチュアが感じられます。冷涼気候を反映したカベルネ・フラン。うなぎの蒲焼に山椒をたっぷりかけて食すと良く合います。


#8:カヤ、カベルネ・フラン2016/ウォルファー・エステート
ぶどう品種:カベルネ・フラン80%、メルロー19%、プティ・ヴェルド1%/6,800円
ラストはロングアイランドのワインで、ボルドーのようなストラクチュアがあります。外観は3つのなかで、一番濃く、縁にややオレンジのニュアンスを含む、深みのあるラズベリーレッド。香りに複雑性があり、カシスやワイルドベリーのような赤系から青系果実のニュアンス。香りにはバイオレット、バラ、グリーンペッパー、シナモン、丁子、ナツメグ、ミネラル等の表現力豊かなワイン。味わいは2016年ということもあり、練れてきている印象、滑らかで、タンニンも溶け込み、奥行きを感じます。ボルドーの右岸系の特徴を持ったワインで、今飲んでも美味しいフレンドリーなタイプ。スパイスやハーブを使い、ソースにも時間をかけたフレンチやグルマンな料理がお薦めです。


 ストラクチュアがしっかりとしたタイプのカヤ、カベルネ・フラン2016
 NY ロングアイランドのカベルネ・フランCFを試飲したのは初めて!
 数年くらい前から、国際的にも評価が高いアルゼンチンのカベルネ・フランに注目し、
 いろいろ試してきたので、両国のCFを利き比べたい気分になりました。

 当日のフルラインナップ


 テイスティングは上段左から右へ、下段左から右へ


[NEW]セミナーの仕切り役をなさった(株)ワイン・エブリィ・シーンの武田俊子代表から許可をいただきましたのでセッション1の動画をリンクさせていただきました!!


   最後は映画とワインで
   出典:Champagne images et imaginaire/Hazan

初めて“ロングアイランド”という地名を意識したのは、オードリー・ヘプバーンの映画『麗しのサブリナ』でした。当地の大富裕ララビー家の兄弟とお抱え運転手の娘サブリナとの恋を描いた作品は古き良き時代のアメリカを感じるお洒落な映画で、ここに登場していたのはシャンパン。微かに星が見えるので、モエ・エ・シャンドンだと思います。
リメイクされた映画『サブリナ』に出てくるのも、やはりシャンパン。この時はクリュッグで、パーティーで惜しげもなく供出されていたのがとても印象的でした。

今世紀製作するならスティルワインが出てきても良さそう、果敢に攻めるNYワインかな[わーい(嬉しい顔)]

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ルイ・ジャドがオレゴンで手掛けるレゾナンス、ギョーム・ラルジュが仕切る本邦初のウェビナー [Zoom / ワイン]

  ルイ・ジャドがオレゴンで開始した新しい挑戦
 レゾナンスのキャップシュールはワインの特徴を表現した紫色


       ラベルも紫色で統一
       絵柄はもみの木、異なる木々の高さで“共鳴”を表現


抜栓した瞬間から豊潤な果実香が漂い、ブラックベリーや黒スグリ、甘草やクミン、スミレのアロマ。口中に広がる力強さ(生命力)、若干の塩味やミネラル、存在感のある酸味、長い余韻でフィニッシュ。コンサルタントワインメーカーとして年に2~3回来訪しているジャック・ラルディエールさんが「エネルギーを感じる場所」と形容しているレゾンナンス



                まずはプロローグ
1859年創業のルイ・ジャドは本拠地フランスのブルゴーニュでワインを造り続けてきましたが、2013年にその範囲を北米オレゴンのウィラメット・ヴァレーにあるヤムヒル・カールトンに広げました。
2016年にルイ・ジャドのオリビエ・マスモンデ輸出部長がプレスを対象に、プロジェクトについて語りました。2017年4月にはピエール・アンリ・ガジェ社長が来日して、同メゾンの熱い思いを語りました。そして・・・2018年にはオレゴンの仕切役チボー・ガジェ総括責任者とワインメーカーのジャック・ラルディエールさんの来日も! 
導入部として『レゾナンス』についてのブログをご笑覧いただけると嬉しいです。


 オレゴンでは3種のピノ・ノワールを生産
Gagey20san20No1.jpg
 2018年11月撮影
 レゾナンスが生産している3つのピノ・ノワールと総括責任者のチボー・ガジェさん!

2018年バレルティスティングで.jpg
 #1:ダンディー・ヒルズのデクヴェルト・ヴィンヤード ピノ・ノワール(左)
 #2:ヤムヒル・カールトンのレゾナンス・ヴィンヤード ピノ・ノワール(中央)
 #3:ウィラメット・ヴァレーのレゾナンス ウィラメット・ヴァレー ピノ・ノワール(右)
  #1#2は自社の単一畑のワイン、#3は50%は自社畑で50%は買付けぶどうを使用



         2018年7月撮影
レゾナンス設立時から活躍してきたワインメーカーのジャック・ラルディエールさんが来日して開催したセミナー時のショット


  ギョーム・ラルジュさんによるZoomオンラインセミナー
 ワインメーカーのラルジュ講師による日本初Zoomセミナー
 2017年からレゾナンスのセラーマスターとして活躍しています。


  オレゴンの位置 クリックで拡大
  画像提供:レゾナンス 
 オレゴンのウィラメット・ヴァレーは北緯45度、フランスの主要産地と同じ緯度


  画像提供:レゾナンス
  左はウィラメット・ヴァレー内のサブAVA
  ルイ・ジャドはYamhil-CartonDundee Hillsに畑を所有。
  右はヤムヒル・カールトン(ウィラメット・ヴァレーの北側、その中でも西に位置し、太平洋にも近い)

 レゾナンス・ヴィンヤード
 ルイ・ジャド社の創立年とオレゴンが正式な州に昇格した年はともに1859年!
 2013年にレゾナンス・ヴィンヤードを購入&ファーストヴィンテージ
 2018年に自社ワイナリー、翌年にはテイスティングルーム竣工

 ヤムヒル・カールトンの畑
 画像提供:レゾナンス 
 ヤムヒル・カールトンの畑は全部で8㌶、ピノ・ノワールを栽培
 1981年に最初の植樹、貴重な自根によるぶどう樹で灌漑不要のぶどう畑
 標高は100~150m、古い海洋性の堆積土壌(母岩は花崗岩、その上に海からの堆積物)
 3000~4000万年前の地層で酸化鉄を含む土壌もある
 レゾナンス・ヴィンヤードもデクヴェルト・ヴィンヤードもオーガニックの認証取得
 
 デクヴェルト・ヴィンヤード
 画像提供:レゾナンス
 ダンディー・ヒルズにある5㌶の自社畑にピノ・ノワールを栽培(1㌶にシャルドネ)
 すり鉢状で自然の円形劇場のような地形
 1996年に最初の植樹を実施。標高は180~220m、赤い粘土のジョリー土壌
 火山性土壌由来の複雑なアロマ、豊かな果実味のあるワインなのでラベルには“”を採用


オンラインセミナーではレゾナンス・ヴィンヤード ピノ・ノワール2014をテイスティング
「ブルゴーニュのようなワインを造るのではなく、長年ブルゴーニュで培ってきた技術を生かし、オレゴンのテロワールを反映させたワインを造ることが信条」とラルジュさん。
手摘みでぶどうを収穫し、ワイナリーで丁寧に選別した後、除梗し、3~4週間の長いマセラシオンを行い、自然発酵。ルイ・ジャド社で使用しているのと同じカデュス社(ラドワにあるルイ・ジャド社の関連会社)製のフレンチオークで16ヶ月熟成、新樽率30%


  [NEW]日本初リリース:レゾナンス デクヴェルト・ヴィンヤーズシャルドネ2018
       2021年4月1日(木)から出荷開始、希望小売価格8,000円(税抜)

 試飲はしていませんが、生産者からの報告によると・・・
 初ヴィンテージとなる2018年は理想的な気候に恵まれた優れた収穫年。
 ダンディーヒルズの火山性ジョリーローム土壌の自社畑(1㌶)で栽培されたシャルドネ
 総生産量は200ケース、日本への入荷量はわずか120本の希少アイテム
 フレンチオーク(新樽比率は30%未満)で16ヶ月間熟成
 エレガントな香りをまとった躍動感のあるワイン


 2020年のヴィンテージ情報
「ぶどう畑の剪定が終わったところです」とラルジュさん

2020年ヴィンテージは現在樽で育成中。少収量ながらピノ・ノワールもシャルドネも凝縮感があり、とても良い状態。昨年はウィラメット・ヴァレーで山火事が発生しましたが、30㎞離れていたので、煙害(スモークテイント)はあったものの、直接の被害は受けずに済みました。ワインはエネルギーにあふれています。どのようなワインになるかは、もう少し時間がかかりますが、グレートヴィンテージと言えそうです。


     番外編マリアージュ:チキンビリヤニと合わせて
IMG_4958.jpg
          レゾナンスの果実風味はトマトと良い相性
     甘草やクミンの要素はチキンビリヤニのような料理と合せて楽しめました。

 
 製品に関するお問い合わせ先は 日本リカー株式会社
 電話03-5643-9770
 https://www.nlwine.com/winery/resonance/

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新登場 オーストリアの固有品種グリューナー・ヴェルトリーナーのニューフェイス『ニュー チャプター』 [Zoom / ワイン]

 
 レンツ・モーザー + マルクス・フーバー = New Chapter
 オーストリアの固有品種グリューナー・ヴェルトリーナー(以後 GV)
 私の大好きなぶどう品種です!
 2003年、初めてのオーストリア取材で、秀逸なGVと対面して恋に落ちました[わーい(嬉しい顔)]
 それ以来、GVの応援をしています。和食に合うのも魅力です!
 でも・・・消費はドイツ語圏が中心なので、圏外に出るのはわずか10%程度です。

 そんなGVを、“TOMORROW’S GRUNER TODAY”と表現してリリースさせたのが、 
 歴史ある レンツ・モーザー家のレンツ・モーザーと、
 ワイングート マルクス・フーバー の10代目 若き精鋭マルクス・フーバーのおふたり。
 4月初旬、オーストリアと東京をZoomで繋ぎ、そのワインが披露されました!

 2009年に訪問したレンツ・モーザー、オーストリアカラーのお洒落な外観



         15年の友情から誕生した「ニュー チャプター」
        レンツ・モーザー(左)、マルクス・フーバー(右)


1849年に創設されたワイナリー『レンツ・モーザー』。祖父のレンツ・モーザー3世はNew Trellising system(高垣式)の栽培法を考案。父は1978年に自国にビオディナミを紹介し、1980年代の初めにGVをメジャーにした功労者です。既にワイナリーはモーザー家の手を離れてしまいましたが、オーストリア最大のワイン製造会社として良質なワインを市場に提供しています。

マルクス・フーバーは10代目で、醸造学校を卒業後、南ア、ドイツ、フランス、ハンガリーで研鑽を積み、2000年にワイナリーを継承。2015年にはファルスタッフ誌のワインメーカーオブザイヤーを受賞、2020年にはIWCのベスト白ワインメーカーオブザイヤーを受賞するなど、才能を遺憾なく発揮している期待のワインメーカーです。


        ふたりの情熱を形にしたニュー チャプター2020
ふたりは1種類のワインだけに注力、総生産量5万本、次VTからはマグナムボトルも登場
ふたりがフォーカスするのはロンドン、チューリッヒ、ミラノ、NY、東京等のワインシティ


       トライゼン川の流域に広がるトライゼンタール
 ニュー チャプターの拠点はニーダーエスタライヒ州のトライゼンタール

大陸性気候とパノニア気候が交差するエリアで、森林もあり、自然の要塞のような景観。
土壌はトライゼンタールの東側がレスとローム、西側が石灰と花崗岩を含む礫岩。
トライゼンタールはGVの生産量が多く、65%を占めていますが、マルクス・フーバーの畑はオーストリアのなかで唯一“石灰質土壌”。そこから誕生するグリューナーです!

畑は丘陵の中腹にあり、すべてが東向き。樹齢は古いもので70年。オーガニック栽培、全部で120区画、ニュー チャプターに使用するぶどうは最高の畑、最高の区画のものを厳選。



    IMG_5343.jpg   IMG_5344.JPG 
 4週間(10月初旬~11月初旬)に分けて健全果のみを収穫
 収穫の初期は凛とした果実味のぶどう、後半は複雑味を備えたぶどう
 それらをブレンドすることで、ワインに厚味や風味が加わる。
 部分的に全房発酵、マセラシオンは6~7時間
 醸造はステンレスタンク、500㍑のブルゴーニュ樽、アカシアの大樽を使用



             コンセプトは“未来を読む”           

モーザー&フーバーのおふたりが提唱している“Tomorrow’s Gruener Today”とは「明日のGVのスタイルを今日飲んで欲しい」との意味で、その真意は“未来を読み込む”こと。それを具現化したのが、ONE WINE-TWO MENの『ニュー チャプター』です。

彼らは、スティーブ・ジョブズのスピーチ “The people who are crazy enough to think they can change the world are the ones who do.(世界を変えられると本気で思っているようなクレージーな人間が世界を変えていく人間なんだ)”を引用し、自分たちが完成させた新しいグリュナーについて解説。

  ニュー チャプターのポイント

✥ネーミングにもあるように、グリューナー・ヴェルトリーナーの新たな“チャプター(章)”
✥瓶型は従来のタイプではなく存在感のあるフォルム
✥単一ぶどう100%のワインを重視するオーストリアにあって、敢えてブレンドを実施
 リースリングを1%ブレンド
 収穫時期の異なるぶどうをブレンド


 Zoomミーティングでは3アイテムを試飲
 ミーティング用に送られてきた3ワイン

 ✥ニュージーランド、クラウディ・ベイのソーヴィニョン・ブラン2020
 ぶどう品種:SB100%、豊かな果実味、過去10年間のなかで最も秀逸と評されているVT
 ✥オーストリア、トライゼンタールのニューチャプター2020
 ぶどう品種:GV99%、リースリング1%のブレンド
 フローラルなアロマ、ピュア、溌剌とした酸味、ミネラル、飲み飽きしない味わい
 ✥フランス、ペサック・レオニャンのシャトー・カルボニュー・ブラン2018
 ぶどう品種:SB、SE。熟成によるアロマ、フレッシュさと層を成して広がる旨味


 世界のトップワインを検証しながら

ニュー チャプターが目指すのは、世界のトップワインと肩を並べること。
ふたりは、国内外の100以上のワインを利き酒し、検証を重ねながら、ニュー チャプターの方向性、スタイルを探り、ワインを完成させました。欧州で発売して約4週間余りですが、ドイツを中心に快調な動きを見せています。
今回テイスティングして、大いに魅了されました、素晴らしいGVです!

ニューチャプターについてのお問い合わせ先
Weingut Markus Huber / markus@weingut-huber.at 宛
https://www.newchapter.wine/



    グリューナーをNYで大ブレイクさせたジャンシス・ロビンソン
私がオーストリアでGVに夢中になっていた前年、GVはNYのソムリエたちを虜にしていました。GVを語る上で外すことができない重要な出来事なので、触れておきたいと思います。
仕掛人はジャンシス・ロビンソンMWでした。
2002年、まだマイナーな品種だったGVのポテンシャルをいち早く察知し、名だたるブルゴーニュの銘醸ワインとのブラインドテイスティングをロンドンで開催。結果、高評価のGVに世界中から注目が集まりました。審査員も錚々たるメンバーで、パリスの審判の故スティーヴン・スパリュアも加わっていました。このテイスティングの後、長い名前のグリューナーは“グルービー”という可愛いネーミングに(笑) ブームを後押ししたのはNYのソムリエたちで、かの地で大ブレークしました!

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       2002年11月のFinancial Timesの記事/クリックで拡大可


       クリックで拡大可
 オーストリアワインマーケティング協会(AWMB)が当時の出来事をまとめた記事には、
 供出されたワイン名や審査員名が!


 クリックで拡大可
 2003年9月、日本でもAWMB主催でGVとCHの対決をしました。
 ピュリニー・モンラッシェ、コルトン・シャルルマーニュ、ムルソー、シャブリと比較

 
           ☆☆☆☆☆
 【番外編】として和食とのマリアージュも加えておきます!
  冒頭にも書いたように、GVは和の食材とホント良く合います。

  いくらの醤油漬け
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 2003年以来、何度も試しているのが「いくらの醤油漬け」
 大根おろしを加えて2層にしたパターンと醤油漬けだけのパターン
 レモンのスライスをひとかけら添えて

  わさびとのマリアージュ
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 “みどり”の意味を持つグリューナーは色で合わせるマリアージュも楽しめます。
 上質なわさびとの相性は絶妙です。

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 魚介類とは文句なし!

  柑橘系果実と合せて
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 レモンピールのニュアンスを感じたニュー チャプターやカルボニューを、
 レモンをかじってから味わってみると、両ワインとも見事に釣り合いました。

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        クラウディ・ベイはレモンよりライムに寄り添う印象

 現地オーストリアで
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 食べ飽きしない組み合わせ
 旬のホワイトアスパラガスとグリューナー・ヴェルトリーナーは最高に美味!

 
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3月の最終講座は2020年に創業260年を迎えたランソンにフォーカス! [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

 3月の講座のフルメンバー
 左から供出順

 左から供出順

今回のポイントはノン・マロ
ノン・マロとはマロラクティック発酵をしないことです。マロラクティック発酵=MLF (Malo-lactic fermentation)は、主発酵後、ワイン中に含まれるリンゴ酸 (Malic acid)が、乳酸菌の働きによって乳酸 (Lactic acid) に変化する現象で、
★赤ワインや酸度の高い白ワインの酸度を下げる
★複雑味が増し、豊潤な香味を形成
★雑菌汚染の防止
の効果があります。

赤ワインはMLFを起こさせるのが一般的ですが、白ワインは求めている酒質によって異なります。行う場合はリンゴ酸の減り具合を分析しながら進めていきます。

MLFをしないメゾンの双璧 ゴッセとランソン
★リンゴ酸はぶどう本来の自然な酸であり、熟成させることで長い余韻と深みが出る。
★ぶどうに含まれるリンゴ酸は3~5g/L、MLFをすることで1g/L以下に減少。
上記の考え方から、2メゾンはノン・マロを貫いています。ちなみにゴッセでは一次発酵後、ワインを10度以下に冷却することでMLF発酵を抑えています。


第一フライト
今のランソンは、ノン・マロ=酸が強くて疲れる、というイメージから脱却した印象で、馴染みやすさが加わりました。講座で両メゾンの比較をするのは2016年秋以来になりますが、ランソンは2013年にエルヴェ・ダンタン氏が新しいシェフ・ド・カーヴに就任してから、頑固なイメージが払しょくされたように感じます。

第一フライトではメゾンの顔 NVを比較しました。
★ランソンのブラックラベルは15~20%の比率でMLFを施しています。
★ゴッセのエクストラ・ブリュットは熟成期間が36ヶ月と短いのでMLFを実施しているので、今回比較用に選んだのはグランド・レゼルヴ・ブリュットNV。


    #1:ランソン ブラックラベル・ブリュットNV
    生産者:ランソン(NM)
    ぶどう品種:PN 50%、CH 35%、M 15% / リザーヴワイン 35%
    ドザージュ:8g/L
    デゴルジュマン:2019年10月7日
    価格:6,000円(税別 / 輸入元:アサヒビール
    フレッシュ&フルーティ、白い花、レモンやGF等の柑橘系果実
    青リンゴ、中盤から酸の広がり、ドライな切れ味、果実の甘やかさ

    #2:ゴッセ グランド・レゼルヴ・ブリュットNV
    生産者:ゴッセ(NM)
    ぶどう品種:PN 45%、CH 45%、M 10%
    ドザージュ:7g/L
    価格:8,400円(税別 / 輸入元:テラヴェール
    #1より香りの立ち方は大人しい、柑橘系果実、白桃、すもも、はちみつ
    ミネラル、溌剌感のある酸味が余韻にも長く広がる。


 第二フライトはランソンの3ヴィンテージ

 #3:ランソン ゴールドラベル・ヴィンテージ・ブリュット2009
 生産者:ランソン(NM)  
 ぶどう品種:PN 53%、CH 47%
 ドザージュ:7g/L
 デゴルジュマン:2017年2月21日
 価格:9,060円(税別)
 フレッシュ&力強さ、黄リンゴ、アプリコット、砂糖漬けの果実、ローストしたコーヒー
 ミネラル 旨味、エレガントな酸味、バランス良好

 ランス市内にあるクロ・ランソン

周囲を壁で囲まれた1haの小さな畑。クロ・ランソンはランソンが生産している単一ぶどう畑のシャルドネ100%のシャンパンで樹齢は20~50年。アルゴンヌの森から切り出したオークの樽で熟成


 

 #4:クロ・ランソン2007/ 生産量約8,000本
 生産者:ランソン(NM)
 ぶどう品種:CH 100%
 ドザージュ:3g/L未満
 デゴルジュマン:2016年7月
 価格:30,000円(税別)
 白桃、アプリコット、フレッシュバター、ブリオッシュ、クルミ
 凛とした酸、口中クリーミー、中盤から余韻に樽のニュアンス

クロ・ランソンは『ワイン王国』のシャンパーニュ特集でテイスティングした時、興味引かれたアイテムだったので、講座で供出することに。長熟タイプのシャンパーニュで、今後の熟成の変化には大いに期待できる、お薦めの1本🍾


 クロ・ランソンの裏ラベル
 ランソンはすべてのボトルの裏ラベルにデゴルジュマンの年月を記載しています。

 
 #5:ランソン ノーブル・キュヴェ・ヴィンテージ・ブリュット2002
 生産者:ランソン(NM)
 ぶどう品種:CH 70%、PN 30%
 ドザージュ:6g/L
 デゴルジュマン:2017年7月
 価格:16,000円(税別)
 焼きりんご、洋梨、スパイス、ミネラル、軽いビター感、複雑味、酸味と甘味のバランス


 変化するランソン
 シェフ・ド・カーヴのエルヴェ・ダンタンさんが語っていた“3つのF
 FreshnessFruitnessFinesse
 ランソンが求めているワインのスタイルです。


 昨年ランソンは創業260周年を迎えました。
 コロナ渦中でイベントを縮小せざるを得ない状況でしたが、2019年1月に社長に就任した
 フランソワ・ヴァン・アール氏の陣頭指揮のもと、新たな船出をしました。
 ワイン誌のインタビューに対して、アール社長は「アイテム数を15から10に絞り込む」
 と語っていました。


             ☆☆☆☆☆☆☆☆

 2020年のシャンパーニュ出荷量
 総出荷量は 2億4,400 万本(前年比-17.9%) 、42億700万ユーロ(-16.7%)
 フランス国内の消費は1億1,320万本(-19.9%) 、16億4,100万ユーロ(-17.9%)

 source:CIVC
 画像の左は数量 / 右は金額。
 輸出相手国で、
 数量ベースでは第1位がイギリス2,130 万本(-21.1%)
 第2位はアメリカ で2,080 万本(-19%)
 逆に、金額ベースでは第1位がアメリカ5億190万ユーロ (-24.5%)
 第2位はイギリス 3億3,820万ユーロ (-21.5%)
 日本は数量・金額ともに第3位で1,080万本(-24.4%) と 2億7,080万ユーロ(-23.6%)
 第4位のドイツはNVの需要が多いので、日本と比べて数量は僅差でも金額では大きな差


 source:CIVC
 コロナ渦中でお祝いのお酒シャンパニュは苦戦しました。
 2019年は1,430万本まで伸びていた日本も2020年は1,080万本にとどまりました。

 source:IWSR
 英国の調査会社IWSRは2019年の水準に戻るのは2024年と予測

 ロゼやプレスティージュが人気の日本市場
 source:CIVC
 日本市場ではノン・ドゼも高人気


               ☆☆☆☆☆☆☆☆

 春期シャンパーニュ講座開始
 4月からスタートする春講座にご参加くださる皆さま
 今期も三密を避け、第3週第4週の2クラスで行いますので、お付き合いの程、
 何卒宜しくお願いいたします🥂🥂🥂


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クチーナ チロレーゼ『三輪亭』&資生堂パーラー『ザ・ハラジュク』で南チロルのワイン『バロン・ロンゴ』の相性探求 [ワイン]

2月にワインのこころでイタリア南チロルのバロン・ロンゴの白ワインを紹介しました。
そのなかで、日本で唯一の南チロル料理専門店三輪亭の三輪学オーナーシェフと、日本で最もバロン・ロンゴのワインに精通している資生堂パーラー ザ・ハラジュク店長の本多康志ソムリエについて触れました。そこで今回は、バロン・ロンゴのさらなる魅力を探るため、両店を訪問し、バロン・ロンゴの実践編をしてきました。

以下、三輪さんと本多さんとのバロン・ロンゴ時間のリポート、長文ですが、お付き合いの程、宜しくお願いいたします!


  南チロルの郷土料理に恋した三輪学シェフ
 世田谷線でもSDGs TRAINに乗車!
 三輪亭は三軒茶屋から世田谷線で山下駅(豪徳寺)下車、徒歩5分程の場所にあります。

 画像データ:三輪亭HPより

三輪シェフが肉料理にのめり込んで研鑽を積んだ場所が、イタリア最北部のアルト・アディジェ(=南チロル)でした。海から離れているので、魚料理はほとんどありません。その代わりに、乳製品や肉の加工品がたくさんあります。シェフは「南チロルの料理はドイツ、オーストリア、ハンガリー、イタリアの4か国の影響を受けて成立したと思っています」と語っています。


 前菜の盛り合わせ×ズィッヒルブルク ソラリス2018

“太陽”を意味するソラリスは害虫や耐病に強い交配品種です。
スターターのワインとしてはまさに適役。第一印象はソーヴィニヨン・ブラン似で、白い花や白系果実、味わいには柑橘系果実のニュアンスを感じました。個性の異なる4種の前菜に自然体で寄り添ってくれるワインです。

 ハムとチーズを盛り合わせた“マレンデ”
 南チロルを代表するハムとチーズ×ホーヘンシュタイン ゲヴュルツトラミネール2017

自家製ハムやサラミは三輪シェフの人柄が伝わってくる素直な味わい、丁寧な造りを感じます。南チロルのリストランテ『Pichier ピクレル』でハンシ・バウムガートナー当主(お店は閉め、今はチーズ熟成士として活躍)の最後の教え子だった三輪シェフは、肉料理、加工肉やチーズの指導を受け、その技を東京のお店で披露しています。チロルの思い出のこれらの盛り合わせですが、三輪シェフによると、最初からこのようなスタイルだった訳ではなく、一品一品増やしていって、現在のような形になったとのこと。

マリアージュ的に興味深かったのは、画像右端のブルーチーズ! モスカート、ゲヴュルツトラミネール、ノジオラ(白ぶどう)の搾りかすで熟成させた “ゴールデンゲル”です。合わせたワインが樽使用のゲヴュルツだったので、相乗効果十分、嬉しいマリアージュでした。
そして・・・極め付きのチーズがゴールデンゲルの隣にある“ミワ”です。熟成士ハンシ氏が三輪シェフの結婚式の為に来日した折、持ち帰ったワカメが、彼の創作心に火をつけ、ドイツの『Deichkase (海に囲まれた島の洞くつで熟成させたチーズ)』にワカメを巻いて熟成・完成。三輪亭のスペシャリテで、ハンシ氏と三輪シェフの師弟愛を感じる味わいです。

 ワインはゲヴュルツトラミネール100%

豊潤で、香りには特徴香のライチ、南国フルーツやエキゾチックフルーツ、酸味も程よく、バランスが取れたワイン。バロン・ロンゴは樽使用と樽無使用の2タイプを生産していますが、これは前者。中盤からの酸の広がりは心地良く、余韻も長く残りました。

 木皿に載せた様々な郷土パンの盛り合わせ

私にとって南チロルは未踏の地ですが、隣国のオーストリアは何度か訪問しています。交流会やパーティ会場で良く出てくる加工肉やパンには共通項があり、親近感大!


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      三輪シェフも気に入っているというゲヴュルツトラミネール
      エスニック料理やパクチーを使ったお料理にも合いますよ!


 赤と白の色どりも綺麗なひとさら
 ビーツのカネーデルリ 白いチーズソース


      食感が嬉しい逸品!
   プチプチ感は大麦、サクサク感はホワイトアスパラ、これぞ大麦のオルツォット
 
 
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      対馬産猪すね肉のグーラッシュ×フレイドべルク ラグレイン2017
   「ある程度食感を残して仕上げるのがポイント」とシェフ、三輪亭を代表する肉料理

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 source:(C) Vini Alto Adige

アルト・アディジェはイタリアで最も小さなワイン産地のひとつで、生産比率は赤ワイン38%、白ワイン62%の割合です。ラグレインは赤ワインの品種のなかで3番目で、現地では“ベルベットのスーツを着たアルト・アディジェの貴族”と形容されています。
バロン・ロンゴのフレイドべルク ラグレイン2017は、発酵・熟成とも木樽で行い、フレンチオークの小樽(3分の2)、500㍑の大樽(3分の1)を併用しています。深みのある色調で、形容通りの滑らかな食感。舌の上に広がる旨味が浸み込んだ猪肉の脂分をまるみのあるタンニンが洗い流してくれる印象です。

    
 デザートの逸品
 温かなリコッタチーズのカネーデルリ
 オレンジ色のソースは杏ソース、赤いソースは木いちごソース
 思わず笑顔になってしまうひとさら


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                 三輪学シェフ

三輪学さんは東京農工大学工学部で物理を専攻し、将来はエンジニアか教育関係の仕事に就こうと考えていましたが、大学在学中に飲食業のアルバイトをしていて、食の世界を“天職”と直感。2年生の時に、62歳という年齢で他界してしまった父親の死に直面し、「自分も短命であるなら、目標に向かって突き進もう。今できることを全力でやろう!」と強く思い、大学に通いながら飲食業に方向転換することを決意します。学業を終え、その後、本格的なイタリアンで働くことになりますが、調理師学校とは無縁の人生だったので、料理修行に関しては0からスタートでした。

三輪シェフとは過去に2度お目にかかっていますが、今回のバロン・ロンゴの件で再訪し、新たな視点でシェフの洞察力、料理への切り込み方を、リサーチすることができました。業界のなかでは異質の理系シェフ、論理的な考え方にも納得できました。

世田谷・豪徳寺の住宅街に位置するクチーナ チロレーゼ『三輪亭』は、日本でオンリーワンの南チロル専門店で、人気のスポットになっています。今回、三輪亭で、3種のワインをテイスティングしましたが、すべて単一ぶどう100%のタイプ。Vini Alto Adigeは、公式サイトで、「自分たちのワインは流行のワインではなく、独自の個性を持ったワイン」と書いています。
三輪シェフのお料理にも、バロン・ロンゴのワインにも、自我を押し付ける要素は皆無。双方に共通する“人間性”もありますが、来る人を優しく迎い入れてくれる安心感があります。その点が、長く人を引き付けている魅力だと感じました。
ワインラバーの皆さんには、三輪亭でバロン・ロングのワインとの相性を愉しんでいただきたいと思っています。


               🍷 🍷 🍷 🍷 🍷


           資生堂パーラー ザ・ハラジュクでの体験
      視覚と味覚で魅了されたお花畑のような創彩
       ワインはシュッターシュタイン ピノ・ビアンコ2018

ワイナリー視察のみならず、Vinitalyの開催時にはブースを訪れ、アントン当主と親しく交流。バロン・ロンゴのワインを数多くテイスティングしている本多康志ソムリエが口開けワインとして薦めてくださったのがピノ・ビアンコでした。

「アルト・アディジェのなかでも南のエリアで産するピノ・ビアンコが好きです。柔らかさがあり、輪郭がはっきりしていない部分が、却って、汎用性が高いと思っています。どのような料理にでも寄り添ってくれるので無理なく合わせられます。また、Alcも低いので、体に負担がかからない “みずみずしさ”があります」と本多ソムリエ。

樽熟成させずにステンレスタンクのみで造られたワインながら、口中では熟したニュアンス。カルパッチョやオリーヴオイルとの馴染み感が好印象。一歩引いた印象で、極めて日本的。気が付かないうちにボトルが空いていた、そんな感じの心地良いワインです!


              本多式抜栓法⁈
      リーべンシュタイン キュヴェ・ブラン2017
      ワインのこころで紹介させていただいたアイテムです!

キャップシュールはロウ栓のように見える Shellac(シェラック)というリサイクル可能な素材。私はロウ栓を抜栓するのと同様に、ソムリエナイフをキャップのトップからまっすぐに差し込んで抜きましたが、なんと、本多ソムリエは画像にあるようにキャップシュールに切れ目を入れ、丸ごと抜栓、お見事です!!

      本来のメニューは牡蠣、私は帆立に変更願い!

ワインはシャルドネとピノ・ビアンコのブレンドで、白い花や白系果実や白胡椒、塩味も感じます。クリーミーさと帆立のふっくらした食感が上品なマリアージュになりました。


     ヴェレンベルク カベルネ・ソーヴィニヨン&メルローキュヴェ2017


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      日本で一番バロン・ロンゴのワインに精通している本多ソムリエ

      ブレンド比率はカベルネ・ソーヴィニョン80%、メルロー20%
      樹齢60年、丁寧にプレスして発酵させますが、野生酵母を使用。
      熟成は225㍑のフレンチオーク(樽熟20ヶ月)
      第一香はニューワールド的なニュアンス
      赤系果実のアロマ豊かで、やさしい甘味、樽由来のヴァニラやカカオ
      無駄なパワフルさがなく、良い意味で抑制されたワイン


      JET カップの優勝者の動きは実にスマート



 目からウロコの体験
 ポットで登場したのが資生堂パーラー伝統のコンソメ



 きのこの旨味も


 
バロン・ロンゴの最大の理解者 本多ソムリエが薦める絶品の組み合わせがコレです!
本多さんは「カベルネ主体のワインでもタンニンがシルキー(タンニンが粗いとバランスを崩す)で、コンソメのなかのきのこの良さも引き出してくれる陰影を備えた冷涼感のあるカベルネ・ソーヴィ二ヨンなので、その全体的な繊細さが、余分な脂分がない旨味ベースのコンソメと合せた時に、お肉料理としての満足感を与えることができると思っています」とコメント。
納得のマリアージュ、さすがです!


      フォン・ド・ボーのソース、手前は田舎みそ


 締めのひとさらは・・・カレー
 資生堂パーラーの伝統的な逸品、粘性のあるタイプ!

      付け合わせは福神漬けと自家製のたまねぎの2種
      サラダ油・醤油・酢をマックス12時間かけて仕上げたたまねぎ

       素直に嬉しい季節のいちごパフェ

 ワインは供出順右から
 ✥シュッターシュタイン ピノ・ビアンコ2018
 ✥リーべンシュタイン キュヴェ・ブラン2017
 ✥ヴェレンベルク カベルネ・ソーヴィニヨン&メルローキュヴェ2017


 ワゴンから自由にチョイスできるデザート、私は4種で我慢(笑)


       本多康志店長兼ソムリエ

本多さんは1974 年生まれ。1995 年に専門学校を卒業後、『レストラン ラ・ティグレ』に調理担当として入社。その後、都内レストラン各店勤務を経て、2000 年『資生堂パーラー』に入社。2001年に開業した『レストラン ファロ資生堂』のシェフソムリエとして活躍後、 昨年6月に原宿にオープンした『資生堂パーラー ザ・ハラジュク』の店長に就任、現在に至っています。2009年 日欧商事主催の第3 回JETCUP イタリアワイン・ベスト・ソムリエ・コンクールの優勝者です!


 アントン・ロンゴ男爵に感謝を込めて!
 
 アントン当主からのご丁寧なお手紙とショコラ
 イタリア南チロルの郷土料理に惚れ込み、その味わいを東京で発信している三輪シェフ
 イタリアワインの魅力を多くのワインラバーに発信している本多ソムリエ
 バロン・ロンゴを媒体にして、おふたりから様々な情報を得ることができました。

 アントンさんとは未だ面識がありませんが、本多店長が語る「ニコラス・ケイジ似、
 握手をする時の究極のソフトタッチ」には興味津々です。
 コロナ終息後のお目文字を心待ちにしています。

 アントン・ロンゴ男爵のご配慮に感謝です、ありがとうございました!
 日本でバロン・ロンゴのファンが増えることを願っております!!

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