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1889年設立のナパ『マヤカマス』から醸造家が初来日、WSで高評価を受けた2015年VTを披露 [来日したワイン生産者&関係者]

 ピューマの遠吠えの意味をもつマヤカマス・ヴィンヤーズ
ワイナリー名はマヤカマス山脈に由来。敷地は190㌶、うち18㌶にぶどう植を植樹、畑は標高550m〜750mの山岳地帯に位置しています。生産量は5,000~6,000ケースで、内訳はCH2,000、ME500~1,000、CS2,000~3,000。ロゴのMの中に描かれているのは2 匹のピューマ(マウンテンライオン)、アメリカン・インディアンのワッポ族の言葉でマヤカマスは「ピューマの遠吠え」を意味します。

マヤカマスの沿革 敬称略
ナパで最も古いワイナリーのひとつとして知られているマヤカマス・ヴィンヤーズは、サンフランシスコでピクルスの販売をしていたドイツ人のジョン・ヘンリー・フィッシャーが、1889年に別荘兼ワイナリーとして立ち上げたものです。場所は現在のマウント・ヴィーダーAVA (当時の呼称はレッド・ウッズ)。趣味で植えたぶどう樹(ジンファンデル等)からワインを造り、販売。荷馬車で2日間かけてサンフランシスコまで運搬していたという記録も残っています。1906年のサンフランシスコ大地震とそれに伴う火災が原因で自己破産に追い込まれたフィッシャーは止む無く施設を手放すことに。1910年、オークションにかけられたワイナリーは、わずか5000ドルで落札されます。余談ですが、購入した人物はカトリック系だったので禁酒法時代 (1920~1933年)にも合法的にワイン造りをしていたとのことです。

禁酒法解禁後、廃墟に近い状態になっていたワイナリーを英国人のジャック・テイラーが購入。重力移動式のワイナリーとして再建し、敷地にシャルドネとカベルネ・ソーヴィニョンを植樹。1965にワインメーカーとしてボブ・セッションズを雇用。彼は1971年まで働きました。1968年から所有者がテイラーからボブ・トラヴァース(1972年から2012年までワイン造りを担当)に変わります。機械工学を専攻した彼は、ワイン好きが高じて、ワイナリーを入手する以前には、ハイツ・セラーズでワイン醸造を学んでいました。

1976年に開催されたパリ・テイスティングで7位に入ったマヤカマス・カベルネ・ソーヴィニョン1971はボブ・セッションズが造ったワインです。この出来事以降、マヤカマスは評価を高め、さらに、2006年に行われたパリ・テイスティング30周年記念のテイスティングでは3位に輝き、長期熟成に耐えうるワインとしてマヤカマス・ヴィンヤーズは世界的に知れ渡るようになります。

2013年、トラヴァースが74歳の時に、現オーナーのショッテンスタイン財閥の傘下となり、スクリーミング・イーグルの元ワイン・メーカーのアンディ・エリクソンがワイン醸造を監修。ワイン造りは2月に来日した若きポープ、ブレイデン・アルブレクトが担当しています。
長期にわたり放ったらかしにされていた畑の大改革はカリフォルニアでオーガニック&バイオダイナミック農法のパイオニアとして知られているフィル・コトゥーリに委ねられ、マヤカマスは健全な土壌を取り戻すことに成功しました。



 細く長い林道の奥にあるマヤカマス・ヴィンヤーズ
 禁酒法時代にはスピークイージー(もぐり酒場)の場としても知られていた!?
 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の映画を思い出して・・・ 


 1976年の『パリスの審判』でのランキング

 2006年は第3位に!



2月に来日した醸造家ブレイデン・アルブレクトさんと輸出部長キャシー・コーンさん
アルブレクトさんの家族はラザフォードに畑を所有していたので、幼少期から土に馴染み、自社畑で獲れた野菜等を食べていたそうです。ソノマに転居し、高校生の時はワイン造りにはまり、カリフォルニア大学バークレー校に進学して農業を専攻。インターンシップでフィル・コトゥリーの元で学び、彼の哲学にほれ込みます。その恩師から紹介されたのがマヤカマスで、ワインメーカーとして現在に至っています。

 ブレイデン・アルブレクトとのテイスティング・タイム

バランスの取れたマヤカマス・ヴィンヤーズ シャルドネ ナパ・ヴァレー2014、2017
「2017年は山火事がありましたが、シャルドネはカベルネと醸造施設が異なるので生産することができました」とアルブレクトさん


樹齢40年のぶどう樹、無灌漑、発酵は小樽(新樽率5~10%)とパンチョンとステンレスタンクを使用。ノン・マロ、シュル・リーで12ヵ月(約15年位の使用樽)樽熟、その後6ヵ月ステンレスタンクで熟成させ瓶詰め。2017年は温暖な気候だったので、ワインの味わいを締める意味で6ヵ月ステンレスを使用



(左から) マヤカマス・ヴィンヤーズ CS マウント・ヴィーダー ナパ・ヴァレー 2012、2013、2015
2012年はボブ・トラヴァースが所有していたので栽培にも収穫にも関わっていないヴィンテージ。2013年から現オーナーのショッテンスタイン家が管理。栽培から収穫、醸造に至るまで全ての工程を自分たちで行った。納得できるヴィンテージで質も量も潤沢。温暖な2015年は結実不良があったものの酒質は良く、長期熟成タイプ。この年は2019年ワインスぺクテーター誌のTOP100で堂々の第2位!

 和牛ヒレ肉のカツサンド 
(左から)同2003、2005、2010
温暖だった2003年は果実味とタンニンの調和が取れたヴィンテージ。2005年は2015年と比べると穏やかな年だったが若干青っぽさがあり現段階では酸が際立つ。冷涼で雨が多かった2010年は、数年続いた干ばつ後の年になるので樹勢が強く、通常より、若干水分を感じるヴィンテージ

カベルネに関しては、糖度が上がりきらない状態(=酸が残っている状態)で、収穫を早めに行うことを心がけている由。ぶどうは房ごとに選果を行い、100%除梗、コンクリートタンクとステンレスタンクと蓋なしのフュードルの3つの容器を使い発酵させる。スキンコンタクトは14~21日、プレス、樽熟成(マヤカマスでは3年間)。ここでは1960年代から続けている醸造方法で、最初の2年は大きめのカスク(ものによっては1929年代や1940年代の樽、年季の入った大樽)で熟成。3年目は225㍑のフレンチオークが主体。新樽率は5~10%、年によっては新樽使用率ゼロのことも。4年目に瓶熟成を1年間行ってから出荷。VTによっては更なる熟成を加えることもあるそうです。

アルコール度数が13.5%~14%程度で収まっている理由について、アルブレクトさんは「標高が550m以上なので、畑は霧の上にあり、ぶどうは陽を浴びても涼しい環境にいるので、糖度が上がらなくてもぶどうはきちんと熟すことができます。ゆえに果実味とフェノール分を備えつつ、アルコール度数を低くおさえることができるのです。日照時間は長くても、標高が高く、涼しいので、ぶどうは加熟になりません」と語りました。

 10年違いのヴィンテージを発売

同2005、2015
数年前から、最新VTと10年前にさかのぼったVT(今回を例にすると2015年と2005年)を同時発売し、若いワインと熟成したワインの双方を楽しんでもらおうという試みをしています。2020年の12月には2016年と2006年、来年は2011年と2007年をリリース予定です。

2017年は山火事があり、ぶどうへの害はなかったものの、火事がひどくてテイスティングルームも燃えてしまったとのこと。停電と断水のため、醸造中のワインのメンテができなかったことから2017年は発売しません。ただし、ワイナリー用として250ケースはキープしています。そのような経過から、未発売だった2011年を2017年の代わりに発売することに決めたそうです。

      焙じ茶最中アイスとカベルネ

取材を終えて
初来日のおふたりは大のスキー好き。仕事が終わり次第、「ニセコに行く予定」と語っていました。スキーのイロハを教えてくれたアルブレクトさんのお父様と合流するとのことでした。北海道では1月末にCOVID-19の感染者が出ていたので少し気がかりでしたが、なんとかすり抜けたようです。
初めての日本訪問の印象が少しでも良いことを願っています!

◍製品についてのお問い合わせはWine in Style
Tel:03-5413‐8831

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一流レストランの味が自宅で楽しめる スモーク・サーモンとレトルトカレー編 [離れて繋がる #新型コロナウイルス]

  こころを癒してくれる桜たち、今は北上中ですね


 お仲間の通販サイト
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緊急事態宣言を受け、多くのレストランは前代未聞の状況下にあります。
そのような中、テロワール・カワバタの川端清生オーナーシェフは、念願だった自家製スモーク・サーモン スライスの通販サイトを立ち上げました。
ボキューズドール日本代表の経歴を持つ川端シェフとは『みつ和GINZA』の総料理長時代からのおつきあいです。私は映画『バベットの晩餐会』の再現ディナー等で大変お世話になりました。


この画像は、テロワール・カワバタにお邪魔した時に撮影したものです。
シェフはドゥーツ・ブリュット・クラシックNVとのマリアージュがお気に入り。そう言えば、シャンパーニュ騎士団のシュヴァリエ称号もドゥーツから授与されていたはずです。
サーモンには野菜のマリネが添えられています。シェフいわく「シンプルにバターで食べるイメージなので、定番のケイパーやオニオンスライスは必要ないスタイルです」と。

  画像提供: テロワール・カワバタ
  ハーブと香辛料で味付けをしたサーモンをマリネしているワンショット
 完成品のスモーク・サーモン スライスは上質でほんのり漂う燻製香が魅力の逸品です!


シェフに注文したサーモンが我が家に届いた時には、肩肘張らないプロセッコ・ロゼ(PN100%)と合わせてみました。果実味豊かで万人受けする飲みやすい泡もので、若干タンニンの要素がありました。そのタンニン分が舌の上に残るサーモンの上質な脂分を洗い流してくれるので、口中さっぱり、後味にも生臭さは感じませんでした。この時に、合わせるならピノ100%のスパークリングが良いと思いました。

 私のお薦めはドラピエのロゼ・ド・セニエ


後日、川端シェフから、「自家製スモーク・サーモンにお薦めのシャンパンはありますか?」と質問されたので、私は間髪入れず、「ドラピエのロゼ・ド・セニエ(PN100%)」とお答えしました。折しも、3月下旬にテイスティングする機会があり、その時に守備範囲の広さを再認識したので、自信をもってお薦めしました。加えて、選択の基準は、赤ワインを添加するブレンドタイプではなく、マセラシオンタイプ(漬け込み) です。

懐かしいデータ発見!
昭和女子大のオープンカレッジで、ドラピエとデュヴァル=ルロワの2種のロゼを利き比べした時のデータが見つかりました。10年前の事ですが、なんと、桜チップのサーモンとのマリアージュ&ドラピエとの相性の良さについて語っていました。当時のドラピエは透明ボトルでラベル表記はロゼ・ブリュット。今は遮光のためにボトルは濃茶色、ネーミングはロゼ・ド・セニエ、以前より洗練された雰囲気に変わっています。


スモーク・サーモンとドラピエのロゼを合わせた川端シェフから「ドラピエのロゼ・ド・セニエ、本当に良く合います。綺麗な色、繊細で料理を引き立ててくれるシャンパーニュです。優しいイーストの香り、フレッシュで主張し過ぎない赤いフルーツの香り、少しだけ感じる熟成した味と香りが燻製香との素晴らしいマリアージュを感じます。フランス料理とフランスワインの相乗効果は本当に凄いです! 抜栓したてなので、明日どう変化するか楽しみです」とのお返事が届き\(^-^)/

サーモン好きの皆さまがいらっしゃいましたら、テロワール・カワバタにアクセスなさってくださいませ。どうぞよろしくお願いいたします!


 ローラン・ペリエのロゼ・シャンパーニュ

 大好きなローラン・ペリエのロゼもPN100%です。
 マセラシオンには48時間から72時間、瓶熟には5年をかけています。


 ベリー系果実を使ったデザートにとても良く合います。
 サーモンならスモークよりマリネがお薦め
 その時にはレモンを搾って酸味を生かして!


ここからは元気になれるカレー編
野球のイチローほどではないですが、私もカレーが大好きです!
パワーダウンしそうな時には自分へのエールのために作ります。
類は友を呼びますよね、お蔭様でカレー好きのお仲間にも恵まれています。


2018年に京都で取材があり、フリータームに、The Door 高倉店の溝口達也さんと一緒に行列のできるカレー店に行ってきました。ソムリエの溝口さんは2015年のカリフォルニア・バイ・ザ・グラス・プロモーションで最優秀店に選ばれた『The Door』のメンバーで、お店を代表してご褒美のドリーミング研修ツアーに参加していました。私はプレスで取材同行しており、それ以来の交流です。

 京都カレー製作所『カリル』

溝口さんが「京都で一番おいしいカレー屋さん」と一押しするだけあって、ランチ時間を少しずらしても行列ができていました。新町丸太町にある 京都カレー製作所カリルは、ガラス越しに多種多様のスパイスの瓶が並べてあり、五感を刺激する香りがドアの内部から漂ってきて、思わず笑顔に!
カウンター越しのふたりのカレー職人の作業を眺めながら食したキーマカレーは、様々なスパイスが渾然一体化した味わいで、食べ終わる頃にはしっかり発汗、美味しいホット感が満喫できました、また食べに行きたいです!

  画像提供: T Mizoguchi
 カリルの影響を受けている溝口さんはスパイスの扱いも本格的

 画像提供: T Mizoguchi
 The Doorは先週から休業とのこと
 溝口さんは自宅待機で料理の腕をさらに磨いているかも知れません。
 これはカリルの真似をして作ったポークキーマとダルカレーだそうです、さすが!


             押上の『Spice Cafe』

ワイン界の大先輩、虎の門『ヴァン・シュール・ヴァン』の大畑澄子店長からの依頼で何度かワイン会の講師をさせていただいているのですが、その時のサポート役は末永誠一さん、大畑店長の甥っ子さんです。なんと、私以上のカレー好きで、めぼしいお店はほとんどクリアしている達人でした。ず~っと気になっていた話題のお店Spice Cafeも探索済だったのですが、昨年の4月にラッキーにも末永さんの案内でお店にお邪魔することができました!



The Door は京都の町家をバーに改装していますが、Spice Cafe は下町風町家のようなたたずまい


      旨味と複雑味が相互に楽しめるエスニックの世界
      耳慣れない香辛料や同店が試みているワインペアリングにも挑戦

 炊きたての筍と浅利のビリヤニはお土産に。美味!

 画像提供: S Suenaga
 今は北海道勤務の末永さん自作のカレー

 画像提供: S Suenaga
 完成、 好きこそものの上手なれですね。
 私もカレー男子たちを見習ってカレー修行に励まねば!

 画像提供: S Suenaga
 末永さんお薦めのカレーはエリックサウスだそうです。美味しそう!


 日比谷・松本楼のレトルトカレー
 
さて、最後はいつもお世話になっている日比谷・松本楼のお話です。
5月末 (好評につき期間延長) まで自宅待機応援キャンペーンを実施中、スペシャル価格で10個以上のまとめ買いなら送料も無料になります。

毎年9月に開催している人気の『10円カレー』には多くのカレーファンの皆様が長蛇の列を作っているので、同店のビーフカレーを味わった方たちは多い事と推察しています。
外出自粛が出ていることで、自宅でお食事をする機会が増えています。創業115年以上の歴史を誇るレストランの味をこの機会にご賞味いただければと願っています。

小坂文乃社長は私の大事なシャンパン仲間であり、同店では、映画とワインのイベントを数多く開催させていただいています、感謝です。
先日来、シャンパンラバーの皆さんから「注文しました、まさにタイムリーです!」とのメールが届き、嬉しく思っています。
全国のカレーファンの皆様のリアクションに期待しております。
どうぞ宜しくお願いいたします!

新型コロナウイルスに感染すると、人によっては味覚障害に陥るとの報告が出ています。
私は仕事柄、五感、特に嗅覚や味覚はとても大事なので、手洗いとうがいをこまめに行い、スパイスで体内を活性化したいと思っています。
皆様も健康にはくれぐれもご留意くださいませ!

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CNN 、過越し祭、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ、カサブランカ [離れて繋がる #新型コロナウイルス]

  新型コロナウイルスに罹患したCNNアンカーのクリスさんの言葉

コロナウイルスに感染したCNNの人気アンカー、クリス・クオモさんは現在 自宅療養を続けています。地下の部屋で生活することで家族と距離を置いています。ご自身が目には見えない敵の攻撃を受けている真っ最中の大変な時期にも関わらず、自宅からコロナウイルスに感染している症状についても発信。この “生の声” はとても貴重です。

先週は実兄であるアンドリュー・クオモNY州知事にインタビューしていましたが、その折、「十分に気をつけていたのですが、取材で多くの人と会っていたので、感染経路はわからない」と語っていました。
夜になると必ず高熱が出て、幻覚に陥ったり、お医者様から数回問いかけがあっても昏睡状態で理解できなかったり、といった症状があったとのこと。今は呼吸の訓練をしているそうですが、5秒間息をとめるのはかなり大変だとおっしゃっていました。
第一線で活躍するジャーナリストとしての使命感と感染した一個人として命の不安を抱えている複雑な思いが伝わってきました。クリスさんの完治、そしてクオモ知事が仕切るNY州の感染の広がりに少しでも明るい兆しが見えることを願ってやみません。


[NEW]今朝(NY時間13日22時頃)、CNNに登場していたクリスさんを拝見し、以前より目に力があり、改善しているように見えました。「13日が感染してちょうど2週間目です。深呼吸をすると胸が圧迫される苦しさがあったのですが、今はその痛みが少し和らいでいます。でも、いまだ微熱がおさまらず、発汗もあります」とクリスさん。
「今の正直な気持ちとして、仕事に戻りたくても準備ができていないし、計画も立てられない。大統領は地下室から出て仕事をすれば良いと言うだろうが、それをしたら人への感染を広げてしまいます。検査体制が不十分なままなのに経済活動を再開するという大統領の発言を聞いて苛立ちを覚えました」と国のトップに対する強い憤りも発信していました。

追記(4月17日)
クリスさんが一番心配していたご家族への感染、奥様のクリスティーナさんが陽性反応だったとおっしゃっていました。症状は彼とは違い、味覚がなくなっているとのこと。細心の注意を払っていたにも関わらず、容赦なく感染者を増やし続けている新型コロナウイルスの脅威を感じます。今は17歳の愛娘さんが家のことを取り仕切っているようですが、クリスティーナさんの症状が悪くならないことを願っています。


過越しの祭に触れて
クリスさんは「クオモ家はユダヤ系なので、過越し祭はとても大事。大家族でお祝いしますが、今は宗教とは関係のない現実があります。過越しの祭では、警告を受けたユダヤ人が、ドアに血を塗ることで、災害を切り抜けました。今回のパンデミックはまるでその疫病のようです。このウイルスはドアに印があっても気に留めることはなさそうです。でも我々はこのウイルスを克服しなければなりません。今はお互いの安全を守るために自己隔離をする距離を置く。この行動は相手を思いやることであり、それでウイルスをやりすごすことができます。今の我々にとっての過越しは自分自身でできるのです」と熱く語りました。


  映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』
 (C)warner bros.pictures

ここで、ひさびさに映画話題・・・過越しの祭と聞いて、私が瞬時に思い出すのはセルジオ・レオーネ監督のこの映画です!
酒場『ファット・モー』の店主と主人公ヌードルス(ロバート・デ・二ーロ)の幼馴染モー親子が、過越しの祭のために、シナゴーグ (ユダヤ教の集会所) に向かうシーン。男性のユダヤ教徒たちがまとうタッリート (ショール) がとても印象的でした。

ストーリー:NYのユダヤ人街で育ったヌードルスとブロンクスから引越してきたマックス(ジェームズ・ウッズ)を軸に、ドミニク、パッツィー、コックアイがチンピラとしてつるんでいた1920年代。悪事を重ねていくうちに街を牛耳るギャングの首領に目をつけられ敵対し、ドミニクを殺されたがきっかけでヌードルスは首領を殺害、刑務所へ。その間、マックスたちはいっぱしのギャングになり、葬儀社や禁酒法下のもぐり酒場で大儲け。刑期を終えて出所したヌードルスを迎え、つかの間の栄光を手にする1930年代。禁酒法撤廃のはざま、マックスが企てた銀行襲撃をやめさせようとヌードルスは警察に密告。結果、マックス、パッツィー、コックアイの3人が殺され・・・時が移り1960年代に。ひとり生き残ったヌードルスの元に不可解な手紙が届き、思いもかけない人物と再会することに。

  
 (C)warner bros.pictures
モーの妹デボラ(ジェニファー・コネリー)はヌードルスが想いを寄せる女性。バレーのレッスンを終え、帰宅する途中、行き交う友と「過ぎ越しおめでとう」の挨拶

インターミッションを入れた約230分の長編映画。初めて観た時は何よりラストシーンが強烈でした。『ゴッドファーザー』と同じように、残酷な場面とは対極の甘美なテーマ曲、ここではアマポーラ。ジェニファー・コネリーの可愛さと良くマッチしていました。成人したデボラは永遠の謎、なんでこの女優なのかなぁ 目の色も違うし、ね。


 マックスのお気に入りはコルドン・ルージュ
 (C)warner bros.pictures
禁酒法下のもぐり酒場、オーナーはモー、実権を握っているのはマックス
ちなみにアメリカの禁酒法は1920年1月から1933年12月まで続きました。
映画のなかで「価値ある10年だった」というセリフがあるので、このシーンは1923年の設定!?

 (C)warner bros.pictures
さようなら禁酒法ということで、映画では、乾杯ではなく「献杯」

禁酒法撤廃後のアメリカで実業家から人気を得ていたのがマムの『コルドン・ルージュ』
映画『カサブランカ』で主人公のリック (ハンフリー・ボガート)が飲むシャンパンとしても知られており、NY出身のリックも実業家という設定でした。

マム社は第1次世界大戦後、競売にかけられ、それを手に入れたのがデュボネ社。同社の娘婿でマムの社長職に就いたのがルネ・ラルーです。1939年から34年間にわたり、手腕を発揮しました。1945年当時、100万本だった販売量を1972年には600万本まで躍進させました。彼へのオマージュとして造られたのがプレステージ・キュヴェの『ルネ・ラルー』であり、ラルーが全面的に資金援助した芸術家がレオナール・フジタでした。

  ランスにあるマムのメゾン

 (C)warner bros.pictures

往年の名作『カサブランカ』
第2次世界大戦の最中、パリがナチスの侵略で陥落するという日に、主人公リック がイルザ (イングリッド・バーグマン)に「君の瞳に乾杯」と語りかけ、乾杯するシーン。
なぜ、リックがマムを選んだのかは、拙著『映画でワイン・レッスン』で説明していますので、読んでいただけると嬉しいです。

コロナウイルス感染拡大で、テレワークが増え、自宅でのゆとり時間はいつもより多くなっているご時世なので、たまには映画を観て、リフレッシュするのもお薦めです。
私の一押しはリックの男気あふれる『カサブランカ』、何度観ても見飽きません!

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『世界で最も称賛すべきワインブランド2020』の第1位に選ばれたアルゼンチンの『カテナ』 [ワイン]

 Photo by Fumiko/2017年9月撮影
 アルゼンチン⇔チリのフライトではアンデスの雄大な景観を見ることができます。
 LAN航空は乗客のために山頂上で若干速度を下げる気配りも!


  世界で最も称賛すべきワインブランド2020

 カテナから世界中のディストリビューターとzoomで繋がった記念画像が届きました!
 4代目当主ラウラ・カテナさん (2段目右から3人目)
 輸入元ファインズの吉川由紀子社長(下段左から2人目)
 同社 福井英晃氏(上段右から3人目)



世界48ヵ国のワイン専門家が選んだザ・リスト byドリンクスインターナショナル
3月にドイツのプロヴァインで発表される予定でしたが、今年はコロナウイルスの関係で開催が延期になり、このような形での発表になりました。


 アルゼンチン・メンドーサにあるボデガ・カテナ・サパータ
アメリカ大陸の中で最も優れた文明を持つとされるマヤのピラミッドを模したデザイン

 外観だけでなく、内部にもこだわりが

 ラ・ピラミデ畑は標高950m、CS、マルベック、PV、CFを植樹

   カテナを代表する品種マルベック、ラベルにもワイナリーが描かれています。

 南米を代表する料理エンパナーダ

南半球のアルゼンチンは今、収穫シーズンです!
コロナウイルス対策には万全の注意を払い、スタッフはマスクと手袋を着用し、ぶどう畑に出かけているそうです。そのような状況下、第1位を獲得したことは大きな励みになったことと思います。
おめでとうございます!!

日本では家飲みワインの機会が増えています。
エントリーレベルからプレミアムワインまで幅広いレンジを有すカテナはお薦めできるワイナリーです。特にアルゼンチンを代表するマルベックに関してはトップクラスなので、是非お試しを!
[ダイヤ]正規代理店 (株)ファインズ
https://www.fwines.co.jp/lineup/winery/ag_01/

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恵比寿 和の食『いがらし』で春万菜をテーマにしたマリアージュ [ワイン]

  世田谷観音のソメイヨシノ
 お彼岸明けの24日、徒歩圏内にある世田谷観音へ!
 例年より開花が早かったソメイヨシノに心身ともに癒されました。

 コロナウイルス禍の終息を『夢違観音』に祈願してきました!

 恵比寿 和の食『いがらし』で
 自粛前にお邪魔したのは恵比寿の『いがらし』、5ヵ月ぶりです。
 五十嵐料理長が厳選した春の食材と持ち込みワインとの相性を探求してきました。
 国際ソムリエ協会認定ソムリエの森上久生さんとは久々の会食でした。
 マダム森上を偲びつつ・・・後れ馳せの一周忌もできました!




       森上さんが『いがらし』の料理に合せて選んだロゼの逸品

 従来からのブリュット・ロゼ表示のラベルからチェンジ!


 春万菜をテーマにして
 突き出し、山菜類のお浸し
 こごみ、そら豆、うるい、ぼうふう、タラの芽をだし汁で 仕立てた一皿

 醤油ベースで味付けした白ネギとアオリ烏賊

 五感を刺激したマリアージュ
 旨味を含んだ下味の烏賊を炙ると、香ばしい香りが漂い・・・

 烏賊も思わず飛び上がって(笑)
 森上:メイヤール反応の香りもあるので奥行きと旨みのあるワインしか呼応しません。 
 ガヴィ本来のヨード香が旨みをまとった烏賊と白ネギに良く合っていました。

 前菜、活き車海老 、蒸し鮑、ハマグリの酒蒸し 、菜の花、椎茸ごぼうの酢飯
 森上: 渾然一体となる多様性ある味わい深い一皿にロゼが有効でした!
 ピノの微量でジューシーなタンニンが鮑やハマグリの心地良い味わいを品良くカバー

 風神、雷神のお椀、だし汁は3年以上寝かせた利尻昆布を使用
 ガヴィと合せると、より複雑味が増し、混然一体感、木の芽がアクセントに!

 建仁寺の風神雷神屏風、迫力があります(2018年10月撮影)

 鯛とアオリ烏賊のお造り、雲丹ゼリーは鯛のアラで煮凝りにした一皿。
 ロゼ・ド・セニエとは色で合わせるマリアージュ、口中での余韻も良い感じでした!

 100周年を迎えたラ・スコルカ渾身のボトル

 噛み応えある白身魚と上質の山葵がガヴィの酒質と品良く調和

 雛の風情の八寸、甘鯛の鱗焼き、飯蛸等

 素晴らしい守備範囲のロゼ
 森上: 小松菜の辛子味噌和えにはフルーティーさが寄り添い、甘鯛の松笠焼きには
 懐の広さが相乗

 熊本産赤牛の腿肉炭火焼き、山葵とクリスマス島の塩を添えて

 大分出身の森上さんにとって特性の甘だれ醤油は九州人には納得の味だそうです!
 森上:咀嚼すると赤牛ならではの芳醇な味わいがジワリと口中に広がっていきます。

 可愛い啓翁桜


 炊き合わせ、筍と根三つ葉、タイの子(卵)
 森上: 素材とガヴィの深い味わいが調和し、ぶどうの豊かな資質が寄り添う印象

 土鍋御飯は京都産の筍を贅沢に使って

 
 森上:筍御飯にはかすかに鴨脂も入れてあると思います。ガヴィが良く合っています。


      筍御飯のおにぎりと『いがらし』特製水ようかん

 夏場は青柚子、冬場は黄柚子を使った、みずみずしい食感の水ようかん
 口に含むとふ~んわりと広がる柚子の香りで幸せな気分!
 五十嵐料理長、美味しい時間をありがとうございました。
 森上さん、お気遣い&コメント、ありがとうございました。


 2019年に創業100周年を迎えたラ・スコルカ
 
2018年7月、日欧商事の招聘で、伊ピエモンテ州の名門『ラ・スコルカ』から5代目のキアラ・ソルダーティ女史が初来日しました。その折、プレスランチにお声がけいただきました。ラ・スコルカのネーミングは「Sfurca (注意)」と、以前監視所だった農家の名が由来しています。すべて自社畑(50㌶)、非表記ですがビオディナミ農法を導入、世界50ヶ国に輸出しています。
その席上、「2019年に創業100周年を迎えます」とソルダーティ女史は語っていました。


そして・・・昨年末、『ガヴィ・デイ・ガヴィ[レジスタードトレードマーク]』の100周年記念ボトルが届きました!
『ガヴィ・デイ・ガヴィ[レジスタードトレードマーク]』のぶどう品種はガヴィ・ロヴェレートの丘陵地帯の樹齢60年のコルテーゼ100%、土壌は粘土質。ステンレスタンクで発酵、シュル・リーで7ヶ月間熟成させ、毎年4月に瓶詰しています。若くても10年程熟成させても楽しめるワインで、通常の生産本数は30万本


光沢あるイエロー、フレッシュ感と旨味、ミネラル、白い花、白胡椒、アーモンド、グラス内の温度変化で厚味と複雑味。合わせる食材や調味料によって様々な表情を見せてくれた包容力あるアイテム

イタリアのコロナウイルスの感染者 (4月1日現在)は超10万人になっています。高等衛生研究所(ISS)は31日に「感染者数はピークに達した」と発表していましたが、それが現実であれば良いと思っています。森上さんも3月に予定していたイタリアツアーが1年後に延期になってしまったばかりです。一日も早く以前のような日常生活に戻れることをこころから願っています。

【店舗&輸入元】
恵比寿『いがらし』
日欧商事
テラヴェール


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