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シャンパン講座でエルヴェ・ジェスタンの泡の世界 ~ハイライトは海中で熟成させたAbyss体験~ [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

先月はシャンパーニュ地方のビオディナミの大家エルヴェ・ジェスタンさんのシャンパンにフォーカスしました。メゾンはシャトーダヴィズです。きっかけは輸入元アズマコーポレーションが企画したエルヴェ・ジェスタン来日ランチセミナーでした。そこでお目にかかることができました。

昨秋『ルクレール・ブリアン』の輸入元テラヴェールの招聘で来日していたジェスタンさんとすれ違いになってしまった私としては、今春、お会いできて本当に嬉しかったです!!

エルヴェ・ジェスタンの世界を『ルクレール・ブリアン』で!

左から供出順に#1~#5

そして・・・今回、シャンパン講座でエルヴェさん渾身の『ルクレール・ブリアン』を供出することができました。テラヴェールの久保さんの計らいで待望の海中熟成シャンパン『Abyss アビス』も揃えることができました、光栄です!



ルクレール・ブリアンは1872年にキュミエールに設立されました。1955年から4代目のベルトランさんが有機栽培を取り入れ、5代目で息子のパスカルさんはシュタイナーの理論をワイン造りに反映させ、1985年にビオディナミを導入しました。2010年、パスカルさんが急逝したことで、ワイナリーの存続が立ち行かなくなり、醸造家のエルヴェ・ジェスタンさん、元モエ・エ・シャンドンのディレクター、フレデリック・デメットさん&アメリカ人の出資者に権利が譲渡され、彼らがメゾンを運営することに。2012年からエルヴェさんをメインにしたルクレール・ブリアンがスタートしました。




第1フライト
#1:ルクレール・ブリアン ブリュット・レゼルヴNV
生産者:ルクレール・ブリアン
ぶどう品種:PN40%、M40%、CH20%
ドザージュ:4g/L
価格:8,000円(税別)
収穫は2014年、瓶詰めは2015年7月、デゴ ルジュマンは2018年12月。輝きのあるストローイエロー、グリーンアップル、レモン、アプリコット、白桃、ブラッドオレンジ、フレッシュアーモンド、甘草、アニスや丁子のニュアンスも。

#2:ルクレール・ブリアン ブリュット・ミレジム2010
生産者:ルクレール・ブリアン
ぶどう品種:PN40%、CH40%、M20%
ドザージュ:4g/L
価格:9,200円(税別)
第1フライトの2アイテムは品種の構成もドザージュ量もすべて同じ。
収穫は2010年、瓶詰めは2011年7月、デゴルジュマンは2018年1月。#1より淡い色調、若干グリーンのトーンを含んだペイルイエロー、香りは閉じ気味でしたが温度変化で本領発揮。梨、カリン、アカシア、ヘーゼルナッツ、八角、石灰由来のミネラル感、味わいに奥行きがあり、長い余韻。

第2フライト

#3:ルクレール・ブリアン ブリュット・ロゼNV
生産者:ルクレール・ブリアン
ぶどう品種:CH95%、PN5%(樽で熟成)
ドザージュ:4.5g/L
価格:8,400円(税別)
収穫は2016年、瓶詰は2017年7月、デゴルジュマンは2019年1月。深みのあるサーモンピンク、ラズベリー、いちご、ピンクグレープフルーツ、青梅、ドライな印象、中盤以降酸のインパクト。

第3フライト
#4:ルクレール・ブリアン レ・バス・プリエール2014
生産者:ルクレール・ブリアン
ぶどう品種:PN100%
ドザージュ:2g/L
価格:24,000円(税別)
収穫は2014年、瓶詰めは2015 年7月、発酵も醸造もオーク樽、デゴルジュマンは2018年8月。ペイルイエロー、フレッシュ&リッチ、黄桃、ネクタリン、ブリオッシュ、はちみつ、カルダモン、ソフトスパイス、厚味と塩味と果実味のバランス◎、口中で細く長く広がり、最後にタンニンのニュアンス。


なぜ海中で??
春の来日時、エルヴェさんに「なぜ、海中熟成させたのか」と質問してみました。
彼は「ボトルを沈めたブルターニュの海は2つの海流が交差している為、渦を巻いています。これはビオディナミの調合を攪拌させるのと同じ条件になります。水深60mの場所はシャンパーニュの気圧(6気圧)とバランスが取れるので、シャンパンをストレスの無い状態で熟成させることができます」とおっしゃっていました。さらに、エルヴェさんの測定によると、アビスは通常の熟成シャンパンより、エネルギー量が30%増になっているとのことでした。


ビオディナミ農法についての話を初めて伺ったのは、伝道師として知られているニコラ・ジョリさんでした。現代社会では、電磁波等、エネルギーの伝達を阻害する媒体が多く、具体的には携帯電話やワインセラーの電気の害について言及していました。エルヴェさんも同様で、電磁波や磁場がワインに及ぼす影響で、本来のエネルギーが弱まってしまうと語っていました。
そのような経過があったので、今回供出した5アイテムは、今までとは違った意味でワクワク感があり、なかでも希少アイテムのレ・バス・プリエール1900本とアビス98本には興味惹かれました。

#5:ルクレール・ブリアン アビス2013

ぶどう品種:CH、PN、Mを各3分の1ずつ
ドザージュ:0g/L
価格:30,000円(税別)
2017年6月から2018年6月までの1年間海中熟成させたアイテム、温度変化が年間を通してゆっくり、前述したように水圧と気圧のバランスが良いことで、ワインのストレスはほとんどないと考えられています。 輝きのあるゴールド、最初の印象は#4より香りや味わいとも穏やか、ノン・ドゼながら甘みもあり、中盤からの存在感にびっくり。海と一体化したようなミネラル感、まだまだ若さがあり、飲み終わった後、不思議な感覚になりました!

エルヴェさんからのメッセージ

講座開催週の月曜日、エルヴェさんからメッセージが届きました。

24歳の時に初めて技術的なワイン造りを始めたものの、3〜4年後には行き詰まりを感じ、それを打開するには自然と密接に繋がった作業をすることだと確信。でも、このアプローチに関する情報や書籍は何もなかったので、すべてを自分で考案せざるを得ない状況で、何年もかかったそうです。
海中熟成のシャンパーニュ、アビス造りはこのような経緯が背景にあります。

ボトルを沈めた場所はフランスのブルターニュ地方。エルヴェさんの生まれ故郷です。生きているワインとこの環境間の“共鳴”はとても強く、シャンパーニュ地方のチョークは何百万年も前の海底の堆積物から形成されており、ぶどうの根はこのチョーク質を求めて地中深く根を広げていきます。アビスはピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネの3品種を均等に使ったノン・ドゼ。テイスティングの最中は考えることをやめ、ワインのエネルギーを感じ取る為に、感情のおもむくままに味わうことが大事だと記されていました。

Don't think, Feel!!


エルヴェさんが言及していたエネルギーを感じ取る為に、ワインを口に含んでからしばらくの間、目を閉じて、アビスからの語りかけを待つことにしました。

助走はきわめて物静か、しばらくして、アビスのなかの要素(果実やスパイスのみならず、熟成による香りと味わいの変化) がじわじわと舌の上に広がり、横に広がる重厚感があり、余韻がきわめて長い!
アビスを味わうには、ブルース・リーの名言 Don't think, Feel が最も適切な言葉だと思いました。本当に面白い体験でした。
96本しかないアイテムですが、チャンスがあれば、再挑戦してみたいです。エルヴェさんの素晴らしいお気遣いにも感謝です。ありがとうございました!
■輸入元:テラヴェール
URL:https://terravert.co.jp/winery/france/champagne/leclerc-briant/ 

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