メゾン マムの「テイスティング エンカウンター オデッセイ」にまつわる一考察 [来日したワイン生産者&関係者(シャンパン)]
2024年4月、シャンパーニュ『メゾンマム』の最高醸造責任者に就任したヤン・ムニエ氏。同年11月に輸入元ペルノ・リカール・ジャパン株式会社(PRJ)の招聘で初来日し、ワイン関係者&プレスを前に「テイスティング エンカウンター オデッセイ」と銘打ったテイスティング手法を披露しました。
メゾンマムのヤン・ムニエ最高醸造責任者、トレイシー・クワンPRJ代表取締役
イベントは二部構成で、第一部は新感覚のテイスティング、第二部は一夜限りのペアリングディナー@Stellar Works Restaurant & Barでした。内容に関しては、ワイン王国webで確認できます。
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Mumm Taste Encounters
メゾンマムのユニークなテイスティングに表記されていたワンワード“Odyssey”
長い冒険の旅とか知的探求を意味する言葉で、語源はホメロスの長編叙事詩『オデッセイア』の主人公オデッセウスが体験する冒険物語に由来しています。
さて、そのテイスティング エンカウンター オデッセイですが、これは視覚・嗅覚・味覚から受けた印象を言葉で表現するのではなく、片手にマム グラン コルドンのグラス、もう一方の手では、親指と人さし指で、オリジナルオブジェのメタル部分とレザーの異なる素材に触れながら、視覚と触覚で、シャンパーニュに内在する新たな印象を分析。
次なるステップは、透明の球形ガラスとテラコッタのオブジェを観察。ガラスは滑らかでクリーン、テラコッタは粗い質感で、重量も触ってみないとよくわかりません。これらもマム グラン コルドンを利き酒しながら、どちらの素材に近いかイメージしていきます。
触れて感じるメカニズム
五感には、視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚があります。今回のテイスティングでは触覚がメインになりました。皮膚の中にある振動(素材に手を触れ擦ると僅かでも振動が発生)や温度など異なる情報を検出する複数種類のセンサが、さまざまな情報をうまく処理することで、物体の粗さや硬さ、質感をチェックしています。出典:NTT研究開発
気になっていた触覚と脳の関係については、生理学研究所が行った実験に興味ある記載がありました。『見て触れる経験が、見る仕組みを変える』と題したプレスリリースで「見て触れる経験をすることで、下側頭皮質後部の活動が素材の外観や手触りの印象をよりよく反映するように変化することがわかった」との記述があり、これにより、脳がさまざまな物を認識したり、質感を感じるメカニズムの全容を解明するための重要な足がかりを得たとのこと。物を見て認識する人工知能の発達にも、新しい見方を与える発見になったようです。今後のさらなる研究に注視していたいです。出典:生理学研究所/2016年3月18日プレスリリース
2012年10月、シンガポール航空の取材で現地のケータリングセンターを訪問しました。同航空のスイート、ファーストクラス、ビジネスクラスを利用する乗客のための豊富な料理メニュー(ブック・ザ・クック)の視察が目的でした。菊乃井の村田料理長が1999年から機内食開発にかかわっていたことから、機上での料理についてお話を伺うチャンスがありました。
料理長曰く「地上で食べてちょうど良いと思う味付けより、もう少し加味した塩梅が良い」。これを“しんみりめ”と表現していました。
機内は、湿度も少なく乾燥しているので、五感も鈍くなります。ゆえに、味覚や嗅覚は、地上にいる時より、濃いめを好むようになります。そのための一工夫が、料理長のおっしゃる“しんみりめ”の味付けでした!
壮大な“オデッセイ”
重要なキーワードOdyssey!
アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キュブリック監督のSF映画の傑作『2001年宇宙の旅』の原題は『2001:A Space Odyssey』、やっぱり宇宙に繫がります!
画像データ:メゾンマム
メゾンマムでは、2020年からテイスティング エンカウンターを行っていますが、それ以前から、宇宙で味わうシャンパーニュをテーマにした壮大なプロジェクトに取り組んできました。2022年9月に宇宙旅行と有人宇宙旅行のためにデザインされた初のシャンパーニュボトルとマム コルドン ルージュ ステラの最終デザインを公開しました。その成果はコチラで🥂
この研究は、宇宙応用物体の設計を司るスペードエージェンシーの創設者オクターヴ・ド・ゴール氏とワインの試飲と知覚の研究に15年以上の歳月を費やしてきた神経科学者でパスツール研究所の研究員ガブリエル・レプゼ氏との連携であり、画期的なテイスティング エンカウンターに関しても、ともに構想を練りあげてきました。
メゾン マムの テイスティング エンカウンター オデッセイの試みは、地球とは異なる空間でシャンパーニュを味わうと、味覚&嗅覚が正常に働かないので、五感のなかで最も発達が早い感覚 “触覚”を使うことが、脳への訓練になる、と感じました。
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一考察を書きながら・・・
映画『2001年宇宙の旅』の人工知能HALが、1968年公開された映画に登場していたことを思うと、キューブリック監督の凄さに改めて脱帽。映画冒頭のリヒャルト・シュトラスの『ツァラトゥストラはかく語りき』の曲とともに、永久保存版の作品と断言できます。
昨年他界なさった松岡正剛氏が千夜千冊にデヴィッド・ストークの『HAL伝説』について書いていました。これは一読の価値あり、です!
ドレスコードはマム色のSomething Red
ヤンさんとクワンさんを囲んで記念ショット
メゾン マムの新たな冒険の旅に期待しています🥂🥂🥂
メゾンマムのヤン・ムニエ最高醸造責任者、トレイシー・クワンPRJ代表取締役
イベントは二部構成で、第一部は新感覚のテイスティング、第二部は一夜限りのペアリングディナー@Stellar Works Restaurant & Barでした。内容に関しては、ワイン王国webで確認できます。
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Mumm Taste Encounters
メゾンマムのユニークなテイスティングに表記されていたワンワード“Odyssey”
長い冒険の旅とか知的探求を意味する言葉で、語源はホメロスの長編叙事詩『オデッセイア』の主人公オデッセウスが体験する冒険物語に由来しています。
さて、そのテイスティング エンカウンター オデッセイですが、これは視覚・嗅覚・味覚から受けた印象を言葉で表現するのではなく、片手にマム グラン コルドンのグラス、もう一方の手では、親指と人さし指で、オリジナルオブジェのメタル部分とレザーの異なる素材に触れながら、視覚と触覚で、シャンパーニュに内在する新たな印象を分析。
次なるステップは、透明の球形ガラスとテラコッタのオブジェを観察。ガラスは滑らかでクリーン、テラコッタは粗い質感で、重量も触ってみないとよくわかりません。これらもマム グラン コルドンを利き酒しながら、どちらの素材に近いかイメージしていきます。
触れて感じるメカニズム
五感には、視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚があります。今回のテイスティングでは触覚がメインになりました。皮膚の中にある振動(素材に手を触れ擦ると僅かでも振動が発生)や温度など異なる情報を検出する複数種類のセンサが、さまざまな情報をうまく処理することで、物体の粗さや硬さ、質感をチェックしています。出典:NTT研究開発
気になっていた触覚と脳の関係については、生理学研究所が行った実験に興味ある記載がありました。『見て触れる経験が、見る仕組みを変える』と題したプレスリリースで「見て触れる経験をすることで、下側頭皮質後部の活動が素材の外観や手触りの印象をよりよく反映するように変化することがわかった」との記述があり、これにより、脳がさまざまな物を認識したり、質感を感じるメカニズムの全容を解明するための重要な足がかりを得たとのこと。物を見て認識する人工知能の発達にも、新しい見方を与える発見になったようです。今後のさらなる研究に注視していたいです。出典:生理学研究所/2016年3月18日プレスリリース
2012年10月、シンガポール航空の取材で現地のケータリングセンターを訪問しました。同航空のスイート、ファーストクラス、ビジネスクラスを利用する乗客のための豊富な料理メニュー(ブック・ザ・クック)の視察が目的でした。菊乃井の村田料理長が1999年から機内食開発にかかわっていたことから、機上での料理についてお話を伺うチャンスがありました。
料理長曰く「地上で食べてちょうど良いと思う味付けより、もう少し加味した塩梅が良い」。これを“しんみりめ”と表現していました。
機内は、湿度も少なく乾燥しているので、五感も鈍くなります。ゆえに、味覚や嗅覚は、地上にいる時より、濃いめを好むようになります。そのための一工夫が、料理長のおっしゃる“しんみりめ”の味付けでした!
壮大な“オデッセイ”
重要なキーワードOdyssey!
アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キュブリック監督のSF映画の傑作『2001年宇宙の旅』の原題は『2001:A Space Odyssey』、やっぱり宇宙に繫がります!
画像データ:メゾンマム
メゾンマムでは、2020年からテイスティング エンカウンターを行っていますが、それ以前から、宇宙で味わうシャンパーニュをテーマにした壮大なプロジェクトに取り組んできました。2022年9月に宇宙旅行と有人宇宙旅行のためにデザインされた初のシャンパーニュボトルとマム コルドン ルージュ ステラの最終デザインを公開しました。その成果はコチラで🥂
この研究は、宇宙応用物体の設計を司るスペードエージェンシーの創設者オクターヴ・ド・ゴール氏とワインの試飲と知覚の研究に15年以上の歳月を費やしてきた神経科学者でパスツール研究所の研究員ガブリエル・レプゼ氏との連携であり、画期的なテイスティング エンカウンターに関しても、ともに構想を練りあげてきました。
メゾン マムの テイスティング エンカウンター オデッセイの試みは、地球とは異なる空間でシャンパーニュを味わうと、味覚&嗅覚が正常に働かないので、五感のなかで最も発達が早い感覚 “触覚”を使うことが、脳への訓練になる、と感じました。
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一考察を書きながら・・・
映画『2001年宇宙の旅』の人工知能HALが、1968年公開された映画に登場していたことを思うと、キューブリック監督の凄さに改めて脱帽。映画冒頭のリヒャルト・シュトラスの『ツァラトゥストラはかく語りき』の曲とともに、永久保存版の作品と断言できます。
昨年他界なさった松岡正剛氏が千夜千冊にデヴィッド・ストークの『HAL伝説』について書いていました。これは一読の価値あり、です!
ドレスコードはマム色のSomething Red
ヤンさんとクワンさんを囲んで記念ショット
メゾン マムの新たな冒険の旅に期待しています🥂🥂🥂
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