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ジル・デプレ輸出部長が語るブルゴーニュの名門《ルロワ》日本上陸50年 [来日したワイン生産者&関係者]

 髙島屋 × ルロワ社 50年
 マダム・ルロワのリクエストで誕生した50年記念のローズちゃん人形
 髙島屋では1972年からルロワ社のワインを輸入しています。
 2022年に50周年を迎えました。


   来日したルロワ社のジル・デプレ輸出部長
1990年仏国認定ソムリエの資格取得、モナコの『ルイ・キャーンズ』でマダムと出会い、2011年ルロワ社に入社。米国勤務の後、フランスに戻り、セールス・マネジャーに就任、現在に至る。


 画像提供:髙島屋

マダムは動画で「長年にわたりルロワのワインを変わらずに愛してくださったこと。また、わたしたちの思いを髙島屋が伝え続けてくれたことにも、こころからの感謝をお伝えしたいと思います。なぜなら、それぞれのワインには、お客様ひとりひとりに対する様々なメッセージがあり、それらを通して、わたしたちもお客様と出会うことができるからです」と語りました。

バイヤーさんのリポートにはルロワ訪問が掲載されていますのでリンクしておきます。
🌹 ルロワ 日本上陸50年 / 2022年5月
🌹 ルロワが導く、未来のワインスタイル / 2022年11月


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 2022年10月25日@日本橋 髙島屋

ジル・デプレさんが語った要約
1868年ブルゴーニュ地方オクセー・デュレス村に創業したメゾン・ルロワ。ワイン商として150年近い歴史を有す。ワインの買い付けはすべてブラインドで行い、毎年ワインを買い付けるとは限らない(直近の2021年は買い付けはしなかった)という姿勢を貫いている。ワイン本来の味わいが出てくるには、ばらつきがあるので、3年、10年と待つ必要があり、ポテンシャルの高いワインを選び、市場に出すべきかどうか、熟考した上で決めている。マダムが事業を引き継いだのは1955年。プロとして初仕事は1955年VTのジュヴレ・シャンべルタンの買い付けだった。当時のネゴシアンはそれなりの力を持っていたが、GCの買い付けは年々難しくなり、ミクロ・ネゴシアンの台頭もあり、マダムは「伝統的なスタイルを守り、最高品質のワインを造るには自らのメゾンを立ち上げるしかない」と決断、1988年にシャルル・ノエラが所有していたGC他を買収し、ドメーヌ・ルロワを立ち上げる。

マダムのモチベーションの根源は1988年から取り入れたビオディナミ農法であり、当初は奇異な目で見られていたが、完璧なワインを造り出していることで、今ではマダムと同じ考えの生産者が増えている。ルロワのワインには3種類あり、メゾン・ルロワ、ドメーヌ・ルロワ(22㌶、赤ワイン主体。白ワインはコルトン・シャルルマーニュ、アリゴテ。ステンレスタンク・木樽を使用)、ドメーヌ・ドーヴネ(マダム個人が所有、白ワイン主体で木樽100%)、ドメーヌ・ルロワ&ドーヴネとも醸造方法はすべて同じ。
ジルさんの語りでは触れていませんが、オクセーデュレス レ ラヴィエールやコトーブルギニヨンの白ワインもあり

ドメーヌ・ド・ロマネ・コンティDRCとの関係は1930年代に遡る。世界恐慌下で、DRCを所有していたジャック・シャンボン氏が畑を維持していくのが困難になり、エドモン・ド・ヴィレーヌ氏(DRC現当主オベールさんの父親)とアンリ・ルロワ(マダムの父親)に権利を半分ずつ譲渡。これを機に、若きビーズ・ルロワがワインの世界に参画。
1933年生まれのマダム、長い歳月が流れている。


 白ワインのテイスティング

 ムルソー2018
 
ジルさんは2018年ヴィンテージに関連し、「この年の冬は多くの霜と、何日かは雹も降りました。2018年~2022年までの間は、冬のマイナス要素を温暖化による温度上昇が補っているような面があり、2021年は9月23日が収穫日でしたが、2022年は同時期で収穫も発酵も終了していました。8月の収穫も増えているので近年、温度調整器付きの運搬トラックを活用しています」と言及。
白い花のイメージ、柑橘系果実の清々しいアロマ、木の実や蜂蜜、口中滑らか、余韻に続く酸味とミネラル


 シャサーニュ・モンラッシェ プルミエ・クリュ2014
  白ワイン部門のマイベスト。凝縮感、温度が上がってからまるみのある果実味
  スパイス、ミネラル、旨味、納得のピュアさ


      サントーバン プルミエ・クリュ1999
 
シャサーニュ・モンラッシェとピュリニー・モンラッシェの間に位置する村で、早くから楽しめるワイン。光沢をまとった黄金色、蜜を含んだフジリンゴ、果実の甘露、黄金糖、甘味のあるスパイス、ミネラル、口中で噛み応えのある味わい、長い余韻



  赤ワインのテイスティング


  ジルさん自ら赤ワインの状態をチェック


  サヴィニー・レ・ボーヌ プルミエ・クリュ ナルバントン1972

『マダム・ルロワの愛からワイン(文園社刊)』には、サヴィニーを「ベリー系の果実の香りや樽香などのわかりやすいおいしさが親近感をもたらし、ルロワが造るサヴィニーが、この地のグレードを確かなものにした。15~20年の熟成に耐えるワイン」との記述があります。
グラスから下の字が読み取れる透明感は艶やか。若干オレンジを含んだルビーで、赤系果実やピンクペッパー似のアロマ、口中滑らか、中盤から果実の旨味、アルコール由来の甘味、50年を経ても厚味を感じさせるワイン


  ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ1972
 
ボトル差があったアイテム。NSG好きの私にとって最初にサービスされたワインは、熟成具合に違和感があったので、異なるボトルのワインも試させていただきました。
オレンジを含み、サヴィニーより若干明るい色調。縮縮感、干しぶどう、黒鉛、皮革、漬物等、長い熟成に由来する第3のアロマ豊かで、ワンワードなら茶葉の渋み


 ジュヴレ・シャンベルタン プルミエ・クリュ エストゥネル・サン・ジャック1972
 50周年記念イベントのマイベスト。50年の歳月を経ても、果実の存在感あり。
 ブラックチェリーやブラックベリー、タバコ、湿った土っぽさ。
 口中スムース、ワインに馴染んだタンニンと旨味


 
1972年にプレイバック!
ボジョレーのジョルジュ・デュブッフとの出会いにより、フランスの料理界のグラン・シェフたちと繋がりができた年。ポール・ボキューズ巨匠から届いた手紙には「あなたのお陰で私はブルゴーニュ高級ワインの最高峰を発見することができました」との文字が!
出典:マダム・ルロワの愛からワイン


 左から右の順に
 Gevrey Chambertin 1er Estournelles Saint Jacques1972 / Maison LEROY
 Nutis Saint Georges 1er Cru 1972 / Maison LEROY
 Savigny Les Beaune 1er Cru Narbantons1972 / Maison LEROY
 Saint Aubin 1er Cru 1999 / Maison LEROY
 Chassagne Montrachet 1er Cru 2014 / Maison LEROY
 Meursault 2018 / Maison LEROY


裏方でワインのサービスを担当していた優秀なスペシャリストから話を伺ってみました。
1972年ヴィンテージの3アイテムのうち、ジュヴレ・シャンべルタン エストゥルネル・サン・ジャックだけは、リコルクしていないワインでした。3本とも (予備を含むと4本) 状態は違っていましたが、ポテンシャルというか、個性がはっきりしていたのは、エストゥルネルでした。3本とも状態の良かったボトルは果実味や味わいがしっかりとしていて、マダムがおっしゃっている“村の特徴”が出ていました。



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 利き酒の後は、髙島屋オリジナルプレートでマリアージュ体験
 手前左から時計回りに
 黒毛和牛ローストビーフとレッドマスタード
 マンデイアン(ドライフルーツ、ナッツを乗せたチョコレート菓子)
 フォワグラテリーヌとイチジクの白ワイン煮
 生ハムと2色の大根のミルフィーユ 柚子の香り
 蟹と帆立貝のタルタル キャビアを添えて
 トリュフとクリームチーズのプティシュー(中央)



 魚介類や白ワインを使ったひと皿には3種の白ワイン
 ローストビーフやチョコレート菓子には3種の赤ワイン
 最初は上記の感じでトライしてみましたが、
 マスタードや柚子、クリームチーズ等がブリッジ食材になり、
 すべてがバランス良く食せました。
 マダムからの愛を感じながら・・・



 【参考データ】
 40周年記念45周年記念 と貴重な時間を共有させていただきました。
 ありがとうございます!!!
 2回ともマダムの来日は叶いませんでしたが、
 記念ヴィンテージの供出は忘れがたいものであり、
 両社の足跡をたどる意味でも、大事な記録になっています。
 ご覧いただけるようにしてありますので、タイムスリップしていただけましたら幸いです!


お詫び 使用していたPCがエネルギーを受けすぎたせいなのか(苦笑)、データが取り出せなくなり、リポートが大幅に遅れてしまいました。髙島屋様には長らくお待たせしてしまいましたこと、お詫びいたします。何卒ご容赦くださいませ。

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