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温暖化とシャンパーニュ地方の関係を探りつつ、コトー・シャンプノワにフォーカス [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

 2022年初のシャンパーニュ講座は非発泡性ワインからスタート
 左から順に
 #1:ドゥ・ヴノージュ コトー・シャンプノワ・ルージュ ラ・フォレ2018
 #2:アンリ・ジロー コトー・シャンプノワ ルージュ2016
 #3:ボランジェ ラ・コート・オー・ザンファン2016
 #4:アンリ・ジロー ロゼ ダム・ジャンヌNV
 #5:ドゥ・ヴノージュ プランス・ロゼNV


             シャンパーニュ地方の土壌 拡大可
       データ提供:CIVC日本事務局



            シャンパーニュ地方の気候 拡大可
     出典:CIVC

2019年11月にシャンパーニュ委員会本部を訪問してフィリップ・ウィブロット広報部長から伺ったところによると、同地方の平均温度は10度ですが、1961~90年までの約30年間で1.1度上昇しており、直近30年間を見ると、収穫の時期は18日早まっているとのこと。1㍑あたりの総酸度は1.3%減少し、アルコール度数は0.7%高くなっています。

ルイ・ロデレールでは15年間の長期プロジェクトの末に、2021年7月、コトー・シャンプノワのルージュとブランを発売。同9月には、シャルル・エドシックもコトー・シャンプノワ アンボネー・ルージュをリリースしました。気候変動の好影響下、シャンパーニュ地方ではぶどうの熟度が上がり、シャルル・エドシックのようにスティルワインだけのぶどう畑を確保する動きが出ています。



           第1フライトは3種のコトー・シャンプノワ

  講座ではアイ村とレ・リセ村に注目しました!
  地図を拡大していただくと、色別で土壌が記載されているので、
  イメージがおわかりいただけると思います。
  アイは白亜質、硬質と軟質の石灰質、石灰砂質、泥灰質 (粘土石灰質)
  レ・リセは泥灰質とキンメリジャン(シャブリと同じ、大小の貝化石が含まれた堅い石灰質土壌)


#1:ドゥ・ヴノージュ コトー・シャンプノワ・ルージュ ラ・フォレ2018 2021年3月発売
生産者:ドゥ・ヴノ―ジュ(NM)
ぶどう品種:PN100% シャンパーニュ地方南部の単一畑レ・リセ産のぶどう
1973年~1977年に植樹、土壌は粘土石灰質とキンメリジャン
醸造:ステンレスタンクで発酵、フレンチオークで6ヵ月熟成
生産量:1,000本
価格:12,000円(税別)
輸入元:ヴィレッジ・セラーズ
3つのなかで唯一2018年ヴィンテージだったので、#2や#3と比べると、若さを感じさせる紫色が顕著。フレンッシュで、香りにはレッドチェリーやラズベリー様な赤い果実、甘草や丁子。心地良い酸味と程よいタンニンが、ウフ・マヨネーズと合わせて楽しめそう!


#2:アンリ・ジロー コトー・シャンプノワ ルージュ2016
生産者:アンリ・ジロー(NM)
ぶどう品種:PN100% アイ村の自社畑のぶどう
醸造:オークの新樽15ヵ月熟成
価格:28,000円(税別)
輸入元:アンリ・ジロー・ジャパン
下の文字が透けて見える淡めのルビー色、レッドチェリー、ザクロ、新樽からくるロースト香やヴァニラ、口中スムーズ、凝縮したぶどう由来の厚味が魅力。樽使いの上手さを感じさせる1本。第3週クラスの講座生から人気が高かったアイテム

#3:ボランジェ ラ・コート・オー・ザンファン2016
生産者:ボランジェ(NM)
ぶどう品種:PN100%、アイ村にある4㌶の単一自社畑のぶどう
醸造:3分の1全房発酵、オークの小樽で8ヵ月熟成
価格:16,000円(税別)
輸入元:アルカン
“子供の丘”という名の畑で、急斜面ゆえ、体が小さな子供しか入ることができなかったとのいわれあり。秀逸年しか生産しない希少ワイン。ボランジェのラ・グランダネ・ロゼ(5%程度)に使う赤ワインとしても知られている。深みのあるルビー色、ブラックベリーやブルーベリー、ピンクペッパー、甘草、ルバーブ、酸味は程よく、まるいタンニン。第一香は閉じ気味、グラス内の温度変化で、様々な要素が層を成して広がるワイン、存在感大!



IMG_4710.jpg
 ヴィンテージや土壌の違いが色調や香りに反映


      第2フライトはロゼ比較

   #4:アンリ・ジロー ロゼ ダム・ジャンヌNV
   生産者:アンリ・ジロー(NM)
   ぶどう品種:PN90%、CH10% 赤ワイン6%ブレンド/樹齢超70年
   醸造:ピノ&シャルドネとも発酵・熟成にアンフォラを使用
   ドザージュ:7g/L
   価格:11,000円(税別)
   輸入元:アンリ・ジロー・ジャパン

PN(90%)のぶどう畑は丘の上。CH(10%)の畑は丘を下ったマルヌ川に近い場所に位置し、南向きで日照が良く、川から涼しい風が吹き、朝晩の温度差があるので、酸のノリも良く、特に天候に恵まれた年のぶどうは秀逸。発酵も醸造もすべてアンフォラ(2018年頃まで樽使用)。セバスチャン・ル・ゴルヴェ氏は、卵型テラコッタタンクを使うのはマイクロオキシデーションの作用による味の複雑性と澱の自然回遊によるふくよかさを生み出す為で、アンフォラによって生み出される繊細な味わいと香りがロゼに相応しいと判断した由。オレンジ色を含んだ淡いサーモンピンク、気泡細やか、控え目ながらオレンジの様なアロマ、口中の泡のアタックや酸味はソフト、タンニンに由来するかすかなほろ苦さ、時間経過で広がるふくらみ。


   #5:ドゥ・ヴノ―ジュ プランス・ロゼNV
   生産者:ドゥ・ヴノージュ(NM)
   ぶどう品種:PN100%
    モンターニュ・ド・ランスのグラン・クリュ&プルミエ・クリュおよびレ・リセ産
   醸造:ステンレスタンクで発酵・熟成、100%MLF
   ドザージュ:6g/L
   価格:12,000円(税別)
   輸入元:ヴィレッジ・セラーズ

プランス独自のカラフェ型ボトルなのでブラインド供出では瓶型をごまかすのに一苦労。ドゥ・ヴノ―ジュは発酵も熟成もステンレスタンクのみ。サーモンピンクに若干オレンジのトーン、赤系果実のイチゴやクランべリー、シトラス、中盤以降に感じるビターさからブラッドオレンジを連想。口に含むとフレッシュな溌剌感、塩味、酸味のバランス良好、素直に楽しめるロゼ。第4週クラスの講座生から人気が高かったアイテム


    2種ともブレンドタイプのロゼ
    赤ワインの酒質向上が、そのままロゼの味わいに出ています!


 樽材にこだわるアンリ・ジローらしい木箱


 ボランジェのラ・グランダネ・ロゼに使われているラ・コート・オー・ザンファン


 絶妙なマリアージュをご紹介
 2020年10月@帝国ホテルのメインダイニング『レ・セゾン』
 ティエリー・ヴォワザンシェフが披露してくれた組み合わせ

黒トリュフをまとわせた比内地鶏卵には、ブルーベリー等の果実を加えた濃厚なソース(ピノ・ノワールを使用)が添えられており、卵にナイフを入れると、濃黄のとろとろの卵黄が流れ出し、舌の上を卵のねっとり感が! コトー・シャンプノワ・ルージュを口に含むと、今度はさっぱり感が口中を支配。本来なら卵と相性の良くないはずの赤ワインPNが素晴らしい調和を見せてくれました。


 『ラフィナージュ』のオーナーシェフ高良康之シェフお薦めのマリアージュ
 ランド産仔鳩のロースト、赤ワインソース × ラ・コート・オーザンファン


 [exclamation×2]インフォメーション[exclamation×2]
 2021年のシャンパーニュ総出荷量は3億2,200万本、対前年比32%増[グッド(上向き矢印)]
 データ提供:CIVC日本事務局


【醸造容器の違いがワインに与える影響】
ワイン醸造に樽以外の容器が使われている昨今、容器がワインに与える影響について、チリとスペインの研究者グループが、ソーヴィニヨン・ブランを使って、円筒型ステンレスタンク・卵型ポリエチレンタンク・卵型コンクリートタンク・粘土製アンフォラの4容器で発酵・熟成させた研究結果を発表しました。原文は IVES Technical review vine&wineに掲載された”Impact of type of winemaking vessel on the chemical composition of Sauvignon blanc wines”
安田まりさんが、サイトに掲載している和訳の転載許可をくださったので貼り付けます。
講座に登場したアンリ・ジローのロゼがアンフォラ容器だったので、タイムリーな話題になりました。


【ボトルの色と遮光率の関係】
第3週の回を受講してくださっているブログ仲間のhakoさんはいつも迅速なリポートをしてくださいます。今回、逆光で撮影した画像が、ボトルと太陽の光との関係を説明するのにちょうど良い教材なのでお借りしました。濃アンバーやCIVC推奨の深緑ボトルは遮光率が高いので、保存に重要な役割をしています。

 画像提供:hakoさん

  データ提供:シャンパンメゾン ティエノー

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