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カリフォルニアを代表するスパークリング『シュラムスバーグ』のヒュー・ディヴィーズ当主来日セミナー  [来日したワイン生産者&関係者]

米国産スパークリングワインのパイオニア『シュラムスバーグ』


ワイン・イン・スタイルの招聘で来日したヒュー・デイヴィーズ当主
日本はNo.1の市場ということで気合十分、今回で4回目の訪日になります!
プレス向けのテイスティングセミナーではシュラムスバーグのフラッグシップワイン『ジェイ・シュラム』のリリース前の2018年のベースワイン数種とそれらをブレンドした完成形、『ジェイ・シュラム』のヴィンテージ違いやベストセラーアイテム『ブラン・ド・ブラン』等を披露し、ワイン造りの哲学、キーとなる区画やスタイルの多様性についても言及しました。

ワイナリーの沿革
2002年に訪問した時に、最も印象深かったのはカーヴでした。
カリフォルニア最古と言われ、1800年代に人の手によって掘られた歴史的な建造物です。現在は最大で300万本ものスパークリングが寝ています。ちなみに、シャンパーニュ地方で、ローマ人たちが遺した石切り場をカーヴとして使っているメゾンにはシャルル・エドシックやルイナール等がありますが、人(協同組合の生産者たち)が手で掘って完成させたカーヴで一番良く知られているのはマイィ・グラン・クリュです。時代的には1929年のことなので、シュラムスバーグの古さが良くわかります。

ワイナリーは1862年にドイツ移民のジェイコブ&アニー・シュラム夫妻によって設立され、建物の周囲には、リースリング、シャスラ、ジンファンデル等が植えられていました。年間10万本程度の生産量で、ロンドンやNYにも輸出。禁酒法下、経営困難で廃業状態になり、何人かの手に渡った後、1965年に2代目当主ヒューさんの両親であるジャック&ジェイミー・デイヴィーズ夫妻が購入。アメリカ初の瓶内二次発酵(シャンパーニュ方式)のスパークリングワイン造りに挑戦し、アメリカ産スパークリングワインのパイオニアとして成功を収めて今に至っています。約150年間にわたる歴史については年表を参考にしてください。

       ワイナリー&ぶどう畑の位置
       

シュラムスバーグはダイヤモンド・マウンテンにあります。
デイヴィーズ夫妻は、ワイナリー周囲の自社畑に植樹してあったリースリングやシャスラを、シャルドネCHとピノ・ノワールPNに植え替え、シャンパーニュと同じ品種、同じ製法に注力していましたが、近年、サイドビジネスとして、ボルドー品種やピノ・ノワールを使った赤ワインを生産。1994年にCHとPNをカベルネ・ソーヴィニヨンに植え替えて2001年にはCSのファースト・ヴィンテージをリリース。セント・ヘレナにはデイヴィーズ・ヴィンヤーズも完成しています。
シュラムスバーグのスパークリングワインに使うぶどうは、3つの自社畑、3つの自社管理畑、契約農家の計200㌶からなる120区画のもので、それらを300ロットのキュヴェにして使用しています。沿岸地域、カーネロス、ソノマ・コースト、アンダーソン・ヴァレーまでの南北210kmに及ぶ幅広いエリアから調達しています。

壮観! 2時間のセミナーに登場したワインたち

左から第1フライトの6本、第2フライトの6本、第3フライトの3本
木箱のなかにあるのはヒューさん愛用のサーベル

完成品になる前の2018年のベースワインを試飲

A:シャルドネ
ステンレスタンクベースワイン
ダットン・ウィンクラー・ヴィン ヤード(グリーン・ヴァレー)
砂質土壌、柑橘果実、南国フルーツ、夏ミカンの内果皮似のビター感、上品でスマート
B:シャルドネ
ステンレスタンクベースワイン
ホーク・ヒル・ヴィンヤード(グリーン・ヴァレー)
Aより南(ソノマ・コースト)に位置し、収穫は1週間程度遅い、活き活きした酸、硬質で塩味の印象
C:シャルドネ
ステンレスタンクベースワイン
スカイウォーカー・ヴィンヤード(マリン)
ヒューさんは「レモンの皮を擦ったような引き締まった感じ。10年後のリリースを考えた時に必要となる要素」と語っていました。
D:シャルドネ
樽(パンチョン)ベースワイン
キーファー・ヴィンヤード(グリーン・ヴァレー)
Aに近い自社畑、樽を使ったふくよかでまるみのあるスタイル
通常は全体の25%をフレンチオークの旧樽で発酵させ、一部MLFも行うとのこと。
E:ピノ・ノワール
ステンレスタンクタンクべースワイン
レディング・ランチ・ヴィンヤード(マリン)
標高243㍍のCに近い畑、完熟しはじめたイチゴのニュアンス、芯のある酸味、長い余韻
F:ジェイ・シュラムのベースブレンド
CH 82%、PN18%。ステンレスタンク発酵65%、樽発酵35%。残糖 0.05g/100ml、pH 3.02、総酸度0.97g/100ml、Alc11.6%
「ジェイ・シュラムを構成するベースワインのうち、A~Eは全体の50%、残りの50%はそれ以外の畑。ただし、Aのダットン・ウィンクラー・ヴィンヤードのシャルドネは比率的に多い」とヒューさん。



EのPNは凝縮感があり、リッチな印象


第2フライト


G:ジェイ・シュラム ナチュラル2018
CH82%、PN18%、樽発酵率35%。F(第1フライトのAからEのベースワインをブレンド/Aclは11.6%)の瓶内二次発酵終了後のワイン。糖分25g(シャンパーニュ地方では24g)とイーストを加え、瓶内2次発酵させることでアルコールが1%アップするので、このワインのAlcは12.5%。フレッシュで飴のような甘やかな印象、Fより華やか。
H:ジェイ・シュラム ナチュラル2014(熟成中)
CH86%、PN14%、樽発酵率29%
Gより香り閉じ気味、温度変化で焼きりんごや熱した果実、良好な酸化熟成のニュアンス
I: ジェイ・シュラム ナチュラル2009(熟成中)
CH86%、PN14%、樽発酵率27%
Jのドザージュをしていないタイプ。粘性があり、ヘーゼルナッツ、スパイス、クリーミー
J:ジェイ・シュラム 2009(完成品)
CH86%。PN14%、樽発酵率27%、ドザージュ10g/L
香りは開いていて華やか、洋梨、カスタード、アーモンド、鮮明な酸味とスムーズな食感
K:ジェイ・シュラム 2004(完成品)
CH85%、PN15%、樽発酵率34%、ドザージュ11g/L
暑かった年、デゴルジュマンは2012年、焼きりんご、ココア、ロースト香、長い余韻
L:ジェイ・シュラム Late Disgorged1999(完成品)
CH74%、PN26%、樽発酵率38%<、ドザージュ11g/L
冷涼年、収穫遅め、デゴルジュマンは2015年、果実のコンポート、クリームブリュレ、クルミ、層になって広がる旨味

心ときめいた1999年


ヒューさんが最近試みているのが、Late disgorged (デゴルジュマンの時期を通常より遅らせ、澱との接触期間を長く保たせるスタイル)で、顧客のなかにも、このスタイルを好む人たちが増えているとのこと。では、通常のデゴルジュマン(ジェイ・シュラムは基本的に8年間瓶熟させ、その後デゴルジュマンを実施)とどう違うか? 「低温調理だと、香りや味わいに深みが出るのと同じで、スパークリングワインもじっくりと時間をかけることで、ヴァニラがキャラメルや糖蜜に、ヘーゼルナッツがクルミに変化していきます。それと同じです」とコメントしていました。古酒の醍醐味、旨み成分をしっかり感じました!

第3フライト

M:ブラン・ド・ブラン2016
シュラムスバーグが一番最初に生産したアイテム。35,000ケース/年、CH100%、瓶内熟成2年、樽発酵率25%、フレッシュ、クリーン、クリスピー、「柑橘の要素と合わせて楽しんで」とヒューさん。
N:ブラン・ド・ノワール2015
PN 81%、CH19%、 瓶内熟成2年、樽発酵率34%。シャルドネを入れるのはシャープさを出すためとおいしさを与えるため、ピノの果実味を邪魔しない程度に使用。
O:ブリュット・ロゼ2015
PN 59% (うち5%は3〜4日スキンコンタクト)、CH 41%、瓶内熟成2年、樽発酵率35%、「スキンコンタクトの目的は色素の抽出と味わいにコクが出から」とヒューさん。ベリー系果実やチェリー。ロゼの出荷量は20年前は5%、10年前は20%、現在30 %で若い女性からの人気が高いとのこと。

歴代アメリカ大統領御愛用スパークリングワイン


年表にもあったように1972年はシュラムスバーグにとって運命の年でした。ニクソン大統領が訪中の折、周恩来首相との会見の最終日に、“平和への乾杯”として、シュラムスバーグのブラン・ド・ブランを供出したからです。それまでほとんど無名に近かったスパークリングワインが世界から脚光を浴び、それ以降、ホワイトハウスで歴代の大統領から重用されています。


1975年、昭和天皇が訪米なさった時にサービスされたのは『ブラン・ド・ブラン1971』でした。

サーベラ―ジュを披露


ワイナリーではサーベラ―ジュを推奨しているので、ヒューさんが腕前を披露してくれました。さすがに手馴れていて所作もお見事! サーベルでボトルのネック部分をカットする時は一瞬の出来事なので、撮影のタイミングが合わなかった人もいて・・・そこで、ワイン・イン・スタイルの武村さんと一緒にスローモーションでプレイバック



ヒューさんのお茶目さが面白すぎて一同大爆笑!
シュラムスバーグの醸造家として語っている時とは全く違うキャラだったので本当は凄い人かも(笑)
魅力あるナパのスパークリングワインストーリーと貴重なベースワイン体験、とても勉強になりました。ありがとうございました!

◆商品のお問い合わせはワイン・イン・スタイル
TEL: 03-5413-8831
URL: http://www.wineinstyle.co.jp/
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