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ポル・ロジェのセラーから発見された118年前の運命的なシャンパンボトル! [来日したワイン生産者&関係者(シャンパン)]

118年を経て発見されたシャンパン!

(左から)
奇跡的なボトル発見で喜びのローラン・ダルクール社長、ドミニク・プティ セラーマスター、ユベール・ドビィ5代目当主、クリスチャン・ドビィ4代目、新任セラーマスターのダミアン・カンブル氏

歴史的セラーの上に新しいパッケージ設備を建設するため、地質調査をしていた時に、空洞に突き当たり、中にあるガラス片を発見。ポル・ロジェのセラーには埋もれたシャンパンがあることはわかっていたので、プティ氏は折に触れ、空洞がないか、執念で調べていました。その彼が、リタイアを控えた今年1月15日、探し求めていたシャンパンと劇的対面! 
ダルクール社長いわく「これは運命」と語っていました。

セラーマスターのドミニク・プティ氏とダミアン・カンブル氏

ドミニク・プティ氏(左)、ダミアン・カンブル氏
セラーマスターのドミニク・プティ氏は25年『クリュッグ』に勤務。その後19年はポル・ロジェで手腕を発揮しました。今月3月末で退任なさるのですが、今回のオールド・ヴィンテージ発見には、彼の強い想いがありました。新任のダミアン・カンブル氏は1年前からプティ氏についてポル・ロジェスタイルを習得。シャンパーニュ地方出身の彼は、ニコラ・フィアットに15年、協同組合(グッド・ドール)で研鑚を積んできたつわもの。ポル・ロジェのメンバーから深く信頼されています。


118年を経て発見された運命的シャンパンボトル
1900年2月23日セラー崩壊
この日、予期せぬ惨事が起きました。
午前2時頃、雷のような鈍い轟音が起こり、2時間後のけたたましい音でモーリス・ポル・ロジェとセラーマスターのルクルーは異常に気付きました。激しい音の出処はカーヴで、巨大な地下室の一部は陥没、隣接の建物は崩壊していました。
保管していた大量の樽やボトルは破損し、事故の損失は500樽と150万本のボトル!
雨が多かった1900年、カーヴの石灰質(チューク層)が水分を吸収し、カーヴ内がもろくなっていたことが原因の崩壊でした。
『ブルゴーニュワイン100年のヴィンテージ 1900年ー2005年(白水社刊)』の1900年の気候を見ると、「7月末、北部で非常に激しい雷雨があり、この年を台無しにしてしまった。28日夜、モレ=サン=ドニやジュヴェ=シャンベルタンの集落でとりわけ大きな被害を出し、泥が道にあふれ、多くのカーブが浸水した」との記述があり、雨が多かったことがわかります。

2018年1月15日埋もれていた宝発見
地下で、地質調査を見ていたプティ氏とカンブル氏。ちょうどプティ氏が地上にあがった時に、空洞から割れたガラスの破片、その後に無傷のボトルたちが! 見つけたボトルを持って一目散に地上のプティ氏のもとに駆け付けたカンブル氏。これこそ、プティ氏が何年もかけて探し続けていたボトル(古くて1887年、若くて1898年)、貴重な宝ものが遂に見つかったのです!

映画のようなストーリー、今月引退のプティ氏だけにダルクール社長の話を伺っていて、感無量になりました。地下のカーヴは石灰質(チョーク質)が湿っているため、現在調査は待機中。シャンパンボトルの調査を楽しみに待ちたいと思っています。

ドイツ軍が唯一の顧客

『ワインと戦争』は副題がヒトラーからワインを守った人々です。
本のなかに登場するブルゴーニュのドルーアンでも壁に穴を開け、略奪されないように大事なワインを隠していました。ポル・ロジェでも、チャーチルの好きな1928年VTや大事なVTは隠していたので、古いものでは1892年、1904年、1914年、1921年といったVTが少量ながら保管されています、凄いことです。

ポル・ロジェ発刊の本には、ポル・ロジェのシャンパンがドイツ人のワイン商によって取引されていたことが記されています。
ワイン商の記録として「1940年8月から1944年8月まで、毎週35万本のシャンパンがドイツ軍に納品され、そのなかで、ポル・ロジェは4年間で118万本販売していた」と。
戦時中、メゾンにとっての唯一の顧客はドイツ軍であり、2万本程度はドイツのレストランやホテル、フランスのナイトクラブに供給されていて、在イタリア日本国大使館の大使もポル・ロジェを購入していたとの記録もあります。モーリス・ポル・ロジェは「戦時中はドイツ軍が唯一の顧客だった」と語っていますが、同時に苦い思い出でもあったようです。

ポル・ロジェにとっての吉報


ここ数年発信されている『World's Most Admired Champagne Brands 2018(Drinks International)』のランキングですが、1位のルイ・ロデレールは100%納得できます。醸造&栽培に秀でているレカイヨン氏の凄さには脱帽です。2ランク上がり2位になったポル・ロジェ、飲めばわかる酒質。減農薬で長期的展望に立ち持続可能な農法を行っています。そして3位のシャルル・エドシック、ippinで紹介した時(2015年10月)、そのリアクションの少なさに唖然としましたが、私はこのメゾンこそ、知る人ぞ知るメゾンで良いと思っています。3位までは同意です!


ダルクール社長は、「今年は嬉しい出来事がたくさんあって」と満面の笑みを浮かべていました。
次なる夢は、ロイヤルワラントのポル・ロジェを、ヘンリー王子の結婚式のシャンパンとして供出させたいようです(笑)。ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式にも登場していたポル・ロジェだけに期待は高まります。さらなる飛躍を!

■ポル・ロジェについてのお問い合わせはジェロボーム株式会社 ℡03-5786-3280まで

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