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<追記> フィリポナのシャンパンスタイル ~ロワイヤル・レゼルヴに使うソレラシステムのリザーヴワイン~ [NHK文化センター青山 シャンパン講座]

12月21日にアップしたシャンパン講座フィリポナ編に、同メゾンならではの取り組みを追記しておきます。過去何回か、メゾンの顔『ロワイヤル・レゼルヴ』については当主から伺っていましたが、2タイプのリザーヴワインのことは初耳でした!

シャルル・フィリポナ当主のテイスティングセミナー

16代目のシャルル・フィリポナ当主

フィリポナはシャンパーニュ地方マレイユ・シュル・アイ村にあり、自社畑は17ha、契約農家等の畑を入れると75haになります。ピノ・ノワール主体のメゾンで、ムニエはNV以外には使わない主義。近年さらに減らす傾向にあります。
13アイテムを生産しており、日本の輸入元は富士インダストリーズ
「フィリポナはレストランで重用されているシャンパンで、フランスの星付レストラン300のうち、150以上で扱いがあります。“ぶどうそのもの”の存在、果実の凝縮感とフレッシュさ(酸化のニュアンスがなく、ピュアであること)を感じていただきたいと思っています」と当主は語っていました。

メゾンの顔NVと主体となるピノ・ノワールを中心にして

(左から) #1~#4
#1:ロワイヤル・レゼルヴ ノン・ドゼNV
#2:同ブリュットNV
#3:ブラン・ド・ノワール2009
#4:マレイユ・シュル・アイ2006

ノン・ヴィンテージ(NV)に使うリザーヴワイン


ロワイヤル・レゼルヴ(価格7,000円・税別) のぶどう品種はピノ・ノワール65%、ムニエ5%、シャルドネ30%で、現行のベースワインは2012年。双方の違いはドザージュ量で、#1は8g/L、#2は糖分添加ゼロのノン・ドゼです。
#1は食事に合わせて楽しむタイプ、白い花、フレッシュな白桃や洋梨、ヨード風味があるので甲殻類に合います。#2はレセプション等、テーブルから離れた用途で楽しんで。#1より熟した香りで、黄桃や黄リンゴ、アプリコット、バターソースを使った料理に合います。当主のお勧めは「イカの塩辛」、何と、これが合うのです!

2つのソレラシステム

リザーヴワインを保管している1500㍑のフードル(画像協力:フィリポナ)

フィリポナではNVにソレラシステムで保存しているリザーヴワインを使っています。
ひとつはNo1と呼ばれるもので、1946年からのワインが入っています。第2次世界大戦後、物資難を乗り切る方策として、先代たちが考え出したそうです。そして、もうひとつが2012年からスタートさせたNo2です。
スペインの酒精強化ワイン、シェリーの製法で、3~4層に積み上げられた樽の最上部には一番若いワイン、下部になるにつれて樽内のワインは古く、最下部は床(スエロ)近くにあるのでソレラと呼ばれていて、一番古いワインが入っている。シェリーを造る時、ソレラから適量のワインを抜き取り、抜き取った部分には上部の樽からワインを補充。さらに、その樽の空き部分にはその上の樽から補充していくというシステム。ソレラの樽には何年にもわたるワインが混在していることになる。

「古いワインに新しいワインを加えると、ワインは若返ります。それは熟成感と新しさを備えたワイン造りに打ってつけです」と当主。フィリポナでは、ざっくり言って、70%がその年のワイン、残り30%がリザーヴワインで、その20%はNo1から、10%はNo2から抜き取って使用しています。結果、当主が求める奥行きと若さを備えたスタイルが完成します。
 
今回、富士インダストリーズ経由で、リザーヴワインの容器画像を送っていただきました。
大きいものでは2500㍑、画像のフードルは1500㍑。酸化しないようにするために、きっちり収まる様々な容量(228㍑、600㍑)も使用しています。


ブラン・ド・ノワール・ブリュット2009

ぶどう品種:PN100%
ドザージュ:4.5g/L
価格:10,000円(税別)
「2009年は暑い年で、特徴としては核のある果実(さくらんぼ等)、このシャンパンは変化の過程にあるので、カカオや燻製香、グリル、トーストのニュアンスがあります」と当主。グラン・クリュGCとプルミエ・クリュPC(モンターニュ・ド・ランスとマレイユ・シュル・アイの自社畑)のぶどうのみ使用、深みのある黄金色、ローリエ、丁子等のスパイス、ミネラル、蜂蜜

マレイユ・シュル・アイ2006

ぶどう品種:100%
ドザージュ:4.25g/L
デゴルジュマン:2014年9月
生産本数:2,304本
価格:27,000円(税別)
フィリポナ当主は「表土は粘土なので、ワインにまるみがあり、イチゴタルト、バター、クリームを感じます」と語っていましたが、1935年に取得した銘醸畑『クロ・デ・ゴワセ』の一部を含む、丘の頂上部分にあたります。一部樽発酵、非MLF(ノン・マロ)。果実本来の旨味、ミネラル、重厚感、長い余韻


“永遠の命”のシャンパン
リザーヴワインをソレラシステムで保存しているメゾンはほかにもいくつかありますが、レコルタン・マニピュラン(RM)のユレ・フレールではソレラシステムのリザーヴワインだけで『メモワール(2500本/年)』を造っています。保存はフードル(5000L)。最古のVTが1982年で、それが現在まで続いています。

大手メゾン アンリオの『キューヴ38』もリザーヴワインだけのシャンパンで、一番古いヴィンテージは1990年。467ヘクトリットルの大容量タンク(名称キューヴ38)に新しいワインを継ぎ足し、毎年約3%だけ抜き取って、キューヴ38を生産(1,000本前後/年、マグナム)しています。

フィリポナがNVに活用しているリザーヴワインは1946年から始めたので、シャンパーニュ地方では一番古いソレラ。70年以上の時を経たワインが僅かながらでも入っていると考えると、ソレラシステムはまさに若返りの玉手箱。永遠の命、ロマンを感じます。

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