冷涼地シラーの先駆者チリの『マテティック』 × ロオジエ [来日したワイン生産者&関係者]
上質なワイン造り、その基本はビオディナミ
チリの首都サンチャゴの西に位置するサン・アントニオ・ヴァレーとカサブランカ・ヴァレーに広大な敷地16000㌶を有するマテティック・ヴィンヤーズは、1999年にチリの資産家マテティック家が興したワイナリーです。
4つの自社畑160㌶はいずれも太平洋から13~19kmの距離にあります。
レンジはEQとコラリージョの2つ。前者はequilibrium(均衡の意)の略で、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール&シラー。後者はその昔、ミッション用ぶどうでワインを造っていた古いワイナリーの名前に由来し、シャルドネ、ゲヴュルトラミネール、シラーを生産しています。なかでもシラーは従来からのチリのシラーの概念を根底から覆し、冷涼産地で造るシラーの底力を世界に示しました!
チリ唯一のビオディナミ100%ワイナリー
マテティック家はワイン業界に参入するにあたり、1年間かけて、世界の主要な産地を視察。最終的にカリフォルニアに注目しました。ビオディナミ農法のコンサルタントのアラン・ヨーク、ワインメーカーのケン・バーナーズ、栽培コンサルタントのアン・クレイマーとの出会いから彼らを招聘、指導を受けることに。ワイナリースタート当初からオーガニック&ビオディナミに取り組み、その結果、2004年にオーガニックの認証を。2001年から導入したビオディナミについては2013年にすべての畑が“デメター”を取得したので、チリ唯一のビオディナミ100%ワイナリーになりました。
ロオジエの料理に合わせた3アイテム
(左から)コラリージョ・ゲヴェルツトラミネール2015、EQ・シャルドネ2014、EQ・シラー2012
マテティックが本拠地サン・アントニオヴァレーで経営するホテル&レストランは、富裕層を対象にした国際的な大手旅行代理店のネットワーク『バーチオソ・グループ』に登録されているので、世界各地からの来訪者も多く、そのため、地元の料理と上質なワインとのマリアージュには全力を注いでいます。
質の良いワイン造りを理念にしているマテティックのワインをロオジエで実証!
中本聡文シェフソムリエが高く評価しているEQ・シラー
2014年に東京で開催された『チリプレミアムワインセミナー』で、講師を務めた中本氏は、マテティックEQ・シラーのポテンシャルの高さを語っていました。今回、中本シェフソムリエのホームベース『ロオジエ』でマテティックとのマリアージュを実現させることができて嬉しく思いました。
台湾、香港、中国、韓国と回った2週間のアジアンツアーの最終日に来日したマテティックのアルトゥーロ・ラライン ゼネラル・マネージャー(GM) 、トマス・アロンソ輸出担当マネージャー、個室担当の井黒卓ソムリエ
ウンドラーガ、コイレ、マテティック&テラプラ
大学で経済学を学んだラライン氏の最初の勤務先はウンドラーガでした。
ここは19世紀末から6世代にわたるワイン生産者の家系で、年間100万ケースを輸出するほどの大きなワイナリーでしたが、2006年に“ウンドラーガ”という商標を売却。その資金でコイレを立ち上げました。
また、『マテティック』は1999年の設立で、現在4代目のホルヘ・マテティック・ハート氏が当主(48歳)。彼の兄弟の妻がウンドラーガ家の娘なので、コイレとは親戚関係の間柄になります。
さらに、2006年に設立されたテラプラは、マテティックが100%出費しているワイナリーなので、上記3社には深いつながりがあります。
但し、コンセプトはそれぞれ異なり、■コイレはテロワール ■マテティックはビオディナミ ■“ピュア・テロワール”の意味を持つテラプラはエントリーレベルでの質の良いワイン造りを旨にしています。
料理とワインのマリアージュ
当日はヴィレッジ・セラーズが取り扱っている豪州プラム社のグラスをワインのタイプに合わせて使用。EQ・シラーは重厚感のあるハンドメイド『レッドA』で
ウェルカムシャンパンはエリス・コラン ブラン・ド・ノワール エクストラ・ブリュット“レ・マイヨンNV”
ピノ・ノワールの個性をブルゴーニュグラスで体感
生姜やフヌイユの風味、タルトやゼリーの食感、色彩でも楽しめたアヴァン・アミューズ
アミューズ・ブーシュは貝尽くし(バカ貝、ミル貝、北寄貝)にアサリのゼリー
コラリージョゲヴュルツトラミネールの総生産量は526ケース。ライチやアプリコット、南国果実、エスニックスパイス、清涼感のある酸と塩っぽさが貝と素直な相性、リーズナブルでフードフレンドリーなワイン!
ラングスティーヌのラビオリ ノワール/ブランシュ サマートリュフのラメル
フヌイユのサラダとムースリーヌ サフラン風味 コンソメ・オマールとフォワグラのエミュルション
ゲヴュルツトラミネールから感じるスパイス&ハーブ(生姜、エストラゴン、サフラン)、ミネラルが甲殻類の甘さやソースの旨味・複雑味と相乗してナイスハーモニー!
甘鯛のうろこ焼き 野菜のクロカン
トマトコンフィとフレッシュハーブ ソースジャンジャンブル
サン・アントニオ・ヴァレーの最古の畑エル・ロサリオ・ヴィンヤード(海岸から19km)のシャルドネ、総生産量1,535ケース。種の大きな果実(白桃、アプリコット)、蜂蜜、ヴァニラ、エレガントな酸、樽(新樽率20%)の印象も心地良く、余韻に塩っぽさ。甘鯛の皮の食感と樽由来の香ばしさがマッチ、今飲んで美味しいワイン
ディナー開始1時間前にデキャンタージュしておいたEQ・シラーを中本シェフソムリエがサービス
ロンドンのインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2015で、バイオダイナミック部門トロフィーを受賞したEQ・シラー2012
フランス産仔鳩胸肉のロティ クルミとタイムのクルート もも肉のコンフィ
キャベツのエテュベ ブーダンピジョンとセロリのフイユ 甘酸っぱいスリーズのソース
シラーの複雑味を鳩のロティとコンフィに合わせて
深みのある濃紫色、最初にクミンやターメリックのようなカレースパイス、甘草やユーカリ、ヴァニラやココア、リッチで木目細かなタンニン、中盤以降酸の広がり。スリーズ(さくらんぼ)ソースの甘味と酸味はマリアージュのつなぎ役!
中本シェフソムリエ、輸入元ヴィレッジ・セラーズのリチャード・コーエン社長と中村芳子GM
ワゴンから自分好みのチーズ(白カビ、ハード、ウォッシュ)を選択、コンテが良い印象
コクリコのパルフェグラッセ グレープフルーツのフレッシュ フランボワーズとバニラのソルベ
GFやフランボワーズの酸味がシラーの酸味と重なるので、守備範囲の広さ再認識
ワインのポリフェノールとタンニンはチョコとイイ相性
ワイン王国の村田惠子編集長から〝扇子〟をプレゼントされたララインGM
(前列左から)村田編集長、中村GM、ララインGM、アロンソ氏
(後列左から)プラムグラスレンタルのテリー・ホワイト氏、コーエン社長、ヴィレッジ・セラーズ波木居恵一取締役
この8月で記念すべき100号を創刊したワイン王国、おめでとうございます!
ワイン王国101号誌上で、EQ・シラーの魅力、中本シェフソムリエ&井黒ソムリエのワインコメント、マテティック・ヴィンヤーズの秀逸性等を紹介させていただきます。
また、9月は現地チリからホットな生情報もお伝えできると思いますので、お楽しみに!
マテティックの輸出相手国第1位はスウェーデン
「チリは安価なワインの生産国というイメージが強いのですが、国内でのワインの平均価格は毎年少しずつ上がっていて、プレミアムワインも増えています。とは言え、それは本当にゆっくりとした動きです」とララインGM。
輸出相手国の第1位は、北欧のスウェーデン、以下アメリカ、オランダ、ブラジル、デンマーク、ペルーです。アルコール販売を役所が管理しているスウェーデンでは、地球環境への配慮だけでなく、産業や労働面についてもサステイナブルを大事にしている国なので、ビオディナミ100%ワイナリーは好意的に受けとめられており、マテティックのワインも順調に伸びているとのこと。
また、南米ぺルーは数年前から美食ブームに沸いており、世界中から注目されています。農作物や海産物に恵まれ、料理もスペイン、アフリカ、中国、日本等の影響を受けているので、フュージョン料理も散見できます。ペルーではニッケイ料理が人気のようですが、チリワインの躍進も期待できそうです。
■ワイン&プラムグラスに関する問い合わせ先はヴレッジ・セラーズ(株)
℡0766-72-8680
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■Chile Food & Wine 2014
http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/2014-12-30
■美食国ペルー発! 南米6ヵ国大使館のコラボレーション
http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/2017-06-15
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チリの首都サンチャゴの西に位置するサン・アントニオ・ヴァレーとカサブランカ・ヴァレーに広大な敷地16000㌶を有するマテティック・ヴィンヤーズは、1999年にチリの資産家マテティック家が興したワイナリーです。
4つの自社畑160㌶はいずれも太平洋から13~19kmの距離にあります。
レンジはEQとコラリージョの2つ。前者はequilibrium(均衡の意)の略で、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール&シラー。後者はその昔、ミッション用ぶどうでワインを造っていた古いワイナリーの名前に由来し、シャルドネ、ゲヴュルトラミネール、シラーを生産しています。なかでもシラーは従来からのチリのシラーの概念を根底から覆し、冷涼産地で造るシラーの底力を世界に示しました!
チリ唯一のビオディナミ100%ワイナリー
マテティック家はワイン業界に参入するにあたり、1年間かけて、世界の主要な産地を視察。最終的にカリフォルニアに注目しました。ビオディナミ農法のコンサルタントのアラン・ヨーク、ワインメーカーのケン・バーナーズ、栽培コンサルタントのアン・クレイマーとの出会いから彼らを招聘、指導を受けることに。ワイナリースタート当初からオーガニック&ビオディナミに取り組み、その結果、2004年にオーガニックの認証を。2001年から導入したビオディナミについては2013年にすべての畑が“デメター”を取得したので、チリ唯一のビオディナミ100%ワイナリーになりました。
ロオジエの料理に合わせた3アイテム
(左から)コラリージョ・ゲヴェルツトラミネール2015、EQ・シャルドネ2014、EQ・シラー2012
マテティックが本拠地サン・アントニオヴァレーで経営するホテル&レストランは、富裕層を対象にした国際的な大手旅行代理店のネットワーク『バーチオソ・グループ』に登録されているので、世界各地からの来訪者も多く、そのため、地元の料理と上質なワインとのマリアージュには全力を注いでいます。
質の良いワイン造りを理念にしているマテティックのワインをロオジエで実証!
中本聡文シェフソムリエが高く評価しているEQ・シラー
2014年に東京で開催された『チリプレミアムワインセミナー』で、講師を務めた中本氏は、マテティックEQ・シラーのポテンシャルの高さを語っていました。今回、中本シェフソムリエのホームベース『ロオジエ』でマテティックとのマリアージュを実現させることができて嬉しく思いました。
台湾、香港、中国、韓国と回った2週間のアジアンツアーの最終日に来日したマテティックのアルトゥーロ・ラライン ゼネラル・マネージャー(GM) 、トマス・アロンソ輸出担当マネージャー、個室担当の井黒卓ソムリエ
ウンドラーガ、コイレ、マテティック&テラプラ
大学で経済学を学んだラライン氏の最初の勤務先はウンドラーガでした。
ここは19世紀末から6世代にわたるワイン生産者の家系で、年間100万ケースを輸出するほどの大きなワイナリーでしたが、2006年に“ウンドラーガ”という商標を売却。その資金でコイレを立ち上げました。
また、『マテティック』は1999年の設立で、現在4代目のホルヘ・マテティック・ハート氏が当主(48歳)。彼の兄弟の妻がウンドラーガ家の娘なので、コイレとは親戚関係の間柄になります。
さらに、2006年に設立されたテラプラは、マテティックが100%出費しているワイナリーなので、上記3社には深いつながりがあります。
但し、コンセプトはそれぞれ異なり、■コイレはテロワール ■マテティックはビオディナミ ■“ピュア・テロワール”の意味を持つテラプラはエントリーレベルでの質の良いワイン造りを旨にしています。
料理とワインのマリアージュ
当日はヴィレッジ・セラーズが取り扱っている豪州プラム社のグラスをワインのタイプに合わせて使用。EQ・シラーは重厚感のあるハンドメイド『レッドA』で
ウェルカムシャンパンはエリス・コラン ブラン・ド・ノワール エクストラ・ブリュット“レ・マイヨンNV”
ピノ・ノワールの個性をブルゴーニュグラスで体感
生姜やフヌイユの風味、タルトやゼリーの食感、色彩でも楽しめたアヴァン・アミューズ
アミューズ・ブーシュは貝尽くし(バカ貝、ミル貝、北寄貝)にアサリのゼリー
コラリージョゲヴュルツトラミネールの総生産量は526ケース。ライチやアプリコット、南国果実、エスニックスパイス、清涼感のある酸と塩っぽさが貝と素直な相性、リーズナブルでフードフレンドリーなワイン!
ラングスティーヌのラビオリ ノワール/ブランシュ サマートリュフのラメル
フヌイユのサラダとムースリーヌ サフラン風味 コンソメ・オマールとフォワグラのエミュルション
ゲヴュルツトラミネールから感じるスパイス&ハーブ(生姜、エストラゴン、サフラン)、ミネラルが甲殻類の甘さやソースの旨味・複雑味と相乗してナイスハーモニー!
甘鯛のうろこ焼き 野菜のクロカン
トマトコンフィとフレッシュハーブ ソースジャンジャンブル
サン・アントニオ・ヴァレーの最古の畑エル・ロサリオ・ヴィンヤード(海岸から19km)のシャルドネ、総生産量1,535ケース。種の大きな果実(白桃、アプリコット)、蜂蜜、ヴァニラ、エレガントな酸、樽(新樽率20%)の印象も心地良く、余韻に塩っぽさ。甘鯛の皮の食感と樽由来の香ばしさがマッチ、今飲んで美味しいワイン
ディナー開始1時間前にデキャンタージュしておいたEQ・シラーを中本シェフソムリエがサービス
ロンドンのインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2015で、バイオダイナミック部門トロフィーを受賞したEQ・シラー2012
フランス産仔鳩胸肉のロティ クルミとタイムのクルート もも肉のコンフィ
キャベツのエテュベ ブーダンピジョンとセロリのフイユ 甘酸っぱいスリーズのソース
シラーの複雑味を鳩のロティとコンフィに合わせて
深みのある濃紫色、最初にクミンやターメリックのようなカレースパイス、甘草やユーカリ、ヴァニラやココア、リッチで木目細かなタンニン、中盤以降酸の広がり。スリーズ(さくらんぼ)ソースの甘味と酸味はマリアージュのつなぎ役!
中本シェフソムリエ、輸入元ヴィレッジ・セラーズのリチャード・コーエン社長と中村芳子GM
ワゴンから自分好みのチーズ(白カビ、ハード、ウォッシュ)を選択、コンテが良い印象
コクリコのパルフェグラッセ グレープフルーツのフレッシュ フランボワーズとバニラのソルベ
GFやフランボワーズの酸味がシラーの酸味と重なるので、守備範囲の広さ再認識
ワインのポリフェノールとタンニンはチョコとイイ相性
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(前列左から)村田編集長、中村GM、ララインGM、アロンソ氏
(後列左から)プラムグラスレンタルのテリー・ホワイト氏、コーエン社長、ヴィレッジ・セラーズ波木居恵一取締役
この8月で記念すべき100号を創刊したワイン王国、おめでとうございます!
ワイン王国101号誌上で、EQ・シラーの魅力、中本シェフソムリエ&井黒ソムリエのワインコメント、マテティック・ヴィンヤーズの秀逸性等を紹介させていただきます。
また、9月は現地チリからホットな生情報もお伝えできると思いますので、お楽しみに!
マテティックの輸出相手国第1位はスウェーデン
「チリは安価なワインの生産国というイメージが強いのですが、国内でのワインの平均価格は毎年少しずつ上がっていて、プレミアムワインも増えています。とは言え、それは本当にゆっくりとした動きです」とララインGM。
輸出相手国の第1位は、北欧のスウェーデン、以下アメリカ、オランダ、ブラジル、デンマーク、ペルーです。アルコール販売を役所が管理しているスウェーデンでは、地球環境への配慮だけでなく、産業や労働面についてもサステイナブルを大事にしている国なので、ビオディナミ100%ワイナリーは好意的に受けとめられており、マテティックのワインも順調に伸びているとのこと。
また、南米ぺルーは数年前から美食ブームに沸いており、世界中から注目されています。農作物や海産物に恵まれ、料理もスペイン、アフリカ、中国、日本等の影響を受けているので、フュージョン料理も散見できます。ペルーではニッケイ料理が人気のようですが、チリワインの躍進も期待できそうです。
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℡0766-72-8680
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