SSブログ

豪州ルーウィン・エステートの歩みとアートシリーズ(CH&CS)オールドVTを利く [来日したワイン生産者&関係者]

オーストラリアが誇る家族経営ワイナリー
IMG
ルーウィン・エステート創設者デニス・ホーガンさん(CH2012)&共同最高経営責任者シモーヌ・ホーガン・ファーロンさん(CS2012 )。「お好きなボトルを持って」とお願いしたところ、ともに2012VTを選んでいました!

ヴィレッジ・セラーズの招聘で、先月、オーストラリア・西オーストラリア州マーガレット・リヴァーのルーウィン・エステート(以後ルーウィン)からホーガンさんと愛娘シモ-ヌさんが揃って来日。新丸ビルのソルト バイ ルークマンガンで、プレスランチョンを行いました。

1973年、デニス&トリシア・ホーガン夫妻によって設立されたルーウィン。彼らのリタイア後、長女シモーヌさんと長男ジャスティンさんが共同最高経営責任者に就任、今はシモーヌさんのお嬢さんも参画しています。

西オーストラリアの自然条件
西オーストラリアのマーガレット・リヴァーは州都パースから南に280km、風光明媚な場所でサーフィンのメッカとして良く知られています。穏やかな海洋性気候、冬から春にかけての降雨が多いので、ぶどうの生育期に降ることはきわめて稀。夏期の平均気温・最低気温はボルドーに近いのですが、気候は安定しているので、ぶどう栽培に適しています。地質は世界で最古のもののひとつ、カンブリア紀以前(5億4000万年以前)の花崗岩が風化した土壌でミネラル分が豊か。

ルーウィン・エステートについて
ルーウィンの初ヴィンテージ(VT)は1979年。1980年にアートシリーズのシャルドネ1982がワイン誌『デキャンター』で最高得点を獲得したことで世界的な注目を集め、ここからルーウィンの輝かしい歴史が始まります。

アートシリーズは同ワイナリーのトップレンジで、ワインを〝アート〟と捉え、毎年オーストラリアの気鋭のアーティストのオリジナル作品を購入してラベルに使用しています。

チーフワインメーカーは現在までに3人が担当。常時3名ほどのワインメーカーが勤務しています。初代はボブ・カートライトさんで20年間勤務、2代目はポール・アトウッドさん、2010年からは3代目のティム・ラヴェットさんが引き継いでいます。栽培担当も同様で重なる時期をおきながら継続する体制を取っています。ちなみに西オーストラリアのワイン生産量は豪州全体の3%、同プレミアムワインは20%、ルーウィンの生産量は全豪州の0.06%で輸出相手国は世界30ヶ国。

故ロバート・モンダヴィとの出会い

画像提供:ルーウィン・エステート
ワイン指導をするモンダヴィとホーガンさん、お若い!

ここ2ヶ月間に来日したワイン関係者のなかで、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーの創始者故ロバート・モンダヴィとつながりある方々が多かったので、改めてモンダヴィの凄さを実感しました。
チリのエラスリス、チャドウィック当主はモンダヴィとのジョイント・ベンチャーで『セーニャ』を誕生させましたし、Yoshikiプロデュースの『Y by Yoshiki』のワインメーカーはモンダヴィの孫ロブ・モンダヴィJr.(父はマイケル・モンダヴィ)でした。今月来日が予定されているディナ・モンダヴィはロブの実妹で、現在マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートで活躍しています。

ルーウィン・エステイトの場合は、1973年にホーガン・ファミリー所有の牧草地を買収するために来訪したモンダヴィから、ぶどう栽培に適した土地であることを聞き、それを機に自力で畑を開墾。モンダヴィは買収をあきらめ、ルーウィンのワイン指導を快諾。1974年にCH、CS、PNとシラーズの植樹を開始します。モンダヴィはCHに最適な畑の場所や〝量より質を重視したワイン造り〟を細かく指示し、若きホーガンさんに多大な影響を及ぼしました。チリや豪州に素晴らしい足跡を遺したカリフォルニアワインの先駆者モンダヴィ、先見の明のある偉大な方でした!

テイスティングはシャルドネとカベルネに特化
IMG
アートシリーズから2品種シャルドネ&カベルネ・ソーヴィニヨンを選択。世界的にも高く評価されている2012年ヴィンテージ(9月に日本初リリース)と10数年以上を経たオールド・ヴィンテージ(VT)を試飲。

IMG
(左から供出順)
ウエルカム・ドリンク
#1:シブリングス・ソーヴィニヨン・ブラン・セミヨン2015
ぶどう品種:SB68%、セミヨン32%
発酵はステンレスタンクと4年使用のフレンチオーク(40%)を併用。フレッシュ& フルーティ、ライム、レモン、GF、ガヴァや青リンゴ、青草のニュアンス、セミヨン由来のほど良い厚みと爽やかな酸とミネラル感、バランス良好。シブリングスは〝兄弟姉妹〟を意味し、2代目のシモーヌ&ジャスティンの気持ちを表現したワイン。
「シラーズを植えていた畑は白い砂質土壌だったので太陽の反射熱がシラーズに合わず、全て引き抜いてSBに植え替えました」とシモーヌさん。結果的に成功したようです!

シャルドネ
#3:アートシリーズ・シャルドネ2002
#2:同2012

カベルネ・ソーヴィニヨン
#4:アートシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン2012
ぶどう品種:CS100%
#5:同2001
ぶどう品種:CS86.4%、マルベック9%、PV4.6%
#6:同1993
ぶどう品種:CS87.5%、マルベック7%、PV3%、ME2.5%
#4はSC、#5&#6はコルク(コルク仕様のものは1時間前にデキャンターを実施)

10年違いのシャルドネ比較
「力強さのなかにいかにエレガントさを表現するか」、「味わい深く、余韻の長いワインスタイル」が目標。樽に関しては25の樽メーカーを扱っていますが、コアは8つで、 毎年相談して樽を選択。クローンはぶどうの房が均一でないジンジンクローン(=メンドーサクローン)を使用、これは検疫が厳しい西オーストラリア州政府の推薦だった由

IMG
アートシリーズのCHはパワーのある果実なので2012年は11ヶ月樽熟(100%新樽)。色調は輝きのあるイエロー、凝縮感があり、洋梨やネクタリン、ナッツ、スパイス(シナモン)、ミネラル、ふくよかで余韻も長い。エレガントでモダンなスタイル。
2002年は黄金色、第一香は控えめ、ドライフルーツやイチジク、ハチミツ、黄金飴、温度変化で熟した白桃、スパイス(白胡椒)、熟成した白カビチーズ、口中クリーミー、ねっとり感と長い余韻。フードフレンドリー!

2012年、2001年、1993年のカベルネの変遷
黒ぶどうの畑選びでは試行錯誤の繰り返しだったそうですが、2001年にレッドワインニュープロジェクトを立ち上げ、トライアルを実践。3VTの違いから良い結果が出ていると感じました。

IMG
2012年は21ヶ月樽熟(40%新樽)。深みのある赤紫色、ブラックカラント、チェリー、甘草、丁子、黒鉛、ロースト風味、柔らかなタンニン、洗練されたスタイル、ポテンシャルあり!
2001年はプロジェクト直前のVT。9ヶ月樽熟。果実の要素(カシス、プラム、チェリー)もあり、後に続く心地良い酸味、木目細かなタンニン、バランスが良く、フランス的。今飲んでおいしいワイン!
1993年は2年間樽熟(30%新樽)、オレンジを含んだガーネット。若干ブレッド、ユーカリや青草、甘草、タバコ。タンニンはワインに溶け込みスムース。先の2つと比べると少し田舎風。

シモ-ヌさんのお気に入りは2006年VTなのですが、「記憶に残る冷涼年で、ぶどうはなかなか熟さす、今まで経験がなかった年でした。除葉を必死になって行いました。通常は4月後半の収穫ですが、2006年は5月8日。プロジェクトのひとつの形が出た年です」と語っていました。2006年VT、いつか、味見したいです!

IMG_4818.JPG
ひよこ豆の豆腐仕立て(茶碗蒸しのような食感)が熟成したCHの滑らかさと絶妙でした!

IMG_4824.JPG
メインの肉と合せて楽しめたのはCS2001
10年以上の熟成を経たフードフレンドリーな味わい!

おしゃれなデザートと合せて
IMGIMG
ショコラとCH2002のテクスチュア、ワインのなかのロースト風味がとても良い相性でした!

マーガレット・リヴァーの地に魅せられたホーガンさんは公認会計士からワイナリー当主となり、著名なジェイムズ・ハリデーさんから「オーストラリアが誇る最高の家族経営ワイナリー」と評価されるまでになりました。ホーガンさんの当初の目標〝最高のワイン造りを目指して〟を合言葉にして、2代目、3代目が頑張ると思います。ますますの躍進を期待しています。
オールドVTのストック等、商品についてのお問い合わせは
ヴレッジ・セラーズ℡0766-72-8680
nice!(7)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0