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ルイ・ジャドの新境地オレゴンワイン『レゾナンス』デビュー&2014年のバレル・テイスティング [来日したワイン生産者&関係者]

オレゴンで最高のグラン・ヴァン造りを目指して

1859年の創業以降、ブルゴーニュでネゴシアンかつ自社畑210㌶を所有する大ドメーヌとして活躍してきたルイ・ジャドが、2013年からホーム以外の地、米国オレゴン州でワイン造りを開始しました。

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来日したオリヴィエ・マスモンデ輸出部長によって披露された『レゾナンス・ヴィンヤード ピノ・ノワール2013(小売価格8,800円・税抜)』
総生産量2000ケース、日本での発売は3月22日(水)、米国7割、日本1割、その他2割がフランス、英国ほか

レゾナンスの醸造を仕切るのは

ラルディエールさんが一番好きなシュヴァリエ・モンラッシェGC レ・ドゥモワゼルの前で

オレゴンのプロジェクトはピエール・アンリ・ガジェ社長の息子チボーさんが総括しており、レゾナンスはルイ・ジャドで42ヴィンテージを生産してきた天才肌の醸造家ジャック・ラルディエールさんが担当しています。

20年以上も前からルイ・ジャドには米国からいくつものアプローチがされていましたが、そのような形態ではなく、「より良い場所で、ひとつのワインを造りたい」という願望を抱いていました。
オレゴンのワインフェアに参加していたラルディエールさんは、レゾナンスの畑が売りに出ている話を聞き、見に行きます。結果、「長い間かけて探していた畑を見つけた!」とガジェ社長に報告。それが2012年夏のことで、畑の境界線等の手続きのあと、2013年夏から本格的にワイン造りに着手します。そして、『レゾナンス・ヴィンヤード ピノ・ノワール2013』の誕生となりました。

ワインは畑名レゾナンスに由来。オレゴン州ウィラメット・ヴァレー地区にあるヤムヒル・カールトンに位置し、13㌶のうち、8㌶に黒ぶどうのピノ・ノワールを植樹しています。ぶどうは以前の所有者が1981年に植樹したもので、ビオディナミ農法を採用していたそうです。ルイ・ジャドはブルゴーニュで一部ビオディナミを導入していますが、それをラベルに表記してはいません。なぜなら、ビオディナミは昔から行われていたことなので、当たり前の作業としてとらえているからです。

レゾナンスは「ビオディナミと有機栽培の中間くらい」とオリヴィエさんは語っていました。
新規の取り組みとして、栽培面ではセレクション・マサル、醸造面では天然酵母&ステンレス製の開放槽使用、ルイジャド製(カデュス)のフレンチ樽使用、新樽率30%、除梗80%(=全房20%使用)があげられます。

プレスランチ@ マンダリンオリエンタル東京シグネチャー

マリネした平目のカルパッチョ ミモザと梅、キャビア


オマール海老のロースト ホウレン草のソテーとカリフラワーのピュレ 赤ワインソース


赤キャベツとカシスのムースで包んだ鹿フィレのロティと腿肉のブレゼ
じゃが芋と松葉のエクラゼ ソースディアン

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チョコレートのスフレ トンカ豆の香り カカオのソルベ ラズベリー風味


合わせたワインは

(左))ピュリニー・モンラッシェ PC クロ・ド・ラ・ガレンヌ ドメーヌ・デュック・ド・マジェンタ2013
マジェンタ侯爵家が所有する畑。ルイ・ジャドは1985年から契約していてすべてのぶどうを購入。ガレンヌ(栗色のウサギの意)は太陽の畑と呼ばれている日照が高い恵まれた畑。樹齢は低部は60年、高部は100年。上質な酸の印象、ミネラル、アーモンド、タイトで引き締まった印象。「2013年は冷涼でブルゴーニュならではのクラシックな気候、白ワインには特徴的な白コショーのニュアンス(スパイシーさ)が出ています。MLFは80%くらいで止めています」とオリヴィエさん


)レゾナンス・ヴィンヤード ピノ・ノワール2013
)ヴォーヌ・ロマネ2013(ルイ・ジャド)

オリヴィエ:レゾナンスがあるヤムヒル・カールトンはジュヴレ・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネに近く、ミネラル感や活き活きした躍動感、深みがあります。ダンディ・ヒルズはシャンボール・ミュジニーに近く、飲みやすく、エレガント。パーティーで出せば、誰もがおいしいと思うワインです。

ちなみに、ダンディ・ヒルズには1987年、ブルゴーニュからオレゴンに進出した先駆者ドメーヌ・ドルーアン・オレゴンがあります。

レゾナンスを試飲した私の第一印象は飲みやすさ! 海洋性の土壌の特徴には紫色の花やバラの香りがあるそうですが、色調にもバイオレットのニュアンス、凝縮した果実とミネラル感、若干のスパイシーさと樽香、緻密なタンニン、アプローチしやすいワイン。
ヴォーヌ・ロマネは明るいルビー、レッドチェリー、スミレ、清涼感のある酸味、ドライなタンニン、料理に合わせて楽しめるワイン

「オレゴンは自然に恵まれていて、気質もブルゴーニュ人と似ています」とオリヴィエさん、共通項も多そうです。

グラスを回転させる方向

ラルディエールさんが力説していた事柄にグラスの回転方向があります。
上記は2012年に来日したラルディエールさんにアロマのらせん図(黒点はアロマの分子)を書いていただきました。

オリヴィエさんが「ジャックの言ったことは24時間後にわかる」と語ったのを受けて、回転話に。
「地球の自転と同じ方向(時計回りと反対)に回すと、ポジティブな要素を立ち上がらせることになるので、フルーティさが出てきます。自転と反対(右回り)だと、土の持ち味、要素が出てきます。双方は補完する形で存在するので、両方することで、ワインを理解する力が向上します」と。
ただ、これは数回やってもダメで、「何千回行っているうちに、ある日、そうか!」と理解できるとか。

続けて、「私はジョルジュ・ブラン(ミシュラン3ッ星レストラン)で仕事をしていた時、ソムリエたちに、顧客が右利きか左利きか、注意するように言っていました。同じワインをサービスしているのに、顧客が異なる意見を言うので不思議に思っていたのですが、右利きと左利きでは回転が違うことに気がつきました。兄弟に左利きがいたことで、それが解明できました」とオリヴィエさん。
私はあと何回試せば体感できるのか、今回も理解できず(苦笑)



ルイ・ジャドの2014年バレル・テイスティング

移動して日比谷公園内にある日比谷パレスへ


会場には2014年ルイ・ジャドのバレルサンプル、ドメーヌ・フェレのバレルサンプル、シャトー・デ・ジャック(ボージョレ)のオールド・ヴィンテージ

昨年12月に樽から取り出して空輸で運んできた2014年ヴィンテージのバレルテイスティングで、オリヴィエさんから収穫年について解説がありました。

オリヴィエ:2014年は年間通じて、バランスの取れた気候だったので、フレッシュ感があり、フルーティ、アプローチしやすいヴィンテージです。6月に雹(ひょう)害があり、ポマールとボルネーに被害が出ました。平均で20~25%減。エリアによっては70%失った畑もあります、ただ、早い時期の雹だったので、量的には被害を受けたものの、質的には影響は少ないです。MLFが早く進んだので、エレガントで繊細なワインになりました。今飲んでもおいしく、熟成させても楽しめます。50年持つワインではありませんが、白は格別素晴らしく、ミネラル感が秀逸です。赤は果肉の風味が豊かで、タンニンもエレガント。口中シルキーで、1杯飲んでまた飲みたくなるワイン。収穫は9月11日から始まり、ドメーヌ・フェレは9月10日、シャトー・デ・ジャックは9月8日と、各エリアとも、日にちが近かったことで、均一性があり、同レベルのワインになっています。
2013年は冷涼年、ブルゴーニュらしいヴィンテージです。2014年は万人に好まれるタイプですが、2013年はワインのスペシャリスト向きです。2015年は少収量なので、市場に出る量は少ないです。赤ワインは素晴らしいのですが、熟成が必要なヴィンテージです。

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バレルテイスティングではペルナン・ヴェルジュレス〝クロ・ド・ラ・クロワ・ド・ピエール(小売価格5,500円・税抜)〟の凛としたミネラル感が好印象、品のあるブルゴーニュ!

ブルゴーニュの雹害、温暖化の影響
2013年は7月27日に雹害(コルトンからムルソーまでの範囲)があり、30分間続きました。この時は粒だけで、水滴がなかったため、攻撃を受けたぶどうに病害虫が出なかったのは救いでした。昔から雹害はありましたが、多くはマルサネやヴォルネイのエリアで発生する局地的なものでした。2013年は2000㌶にも及ぶ大規模なもので、今まで、そこまでの被害はありませんでした。

昨今の雹害について、オリヴィエさんは、「個人的には温暖化の影響が出ていると思っています。収穫については、90年代と今を比べると、10日から20日ほど早まっています。弊社では激しい気象条件については危惧しますが、熟したぶどうが収穫できるのは良いと思っています」と語りました。


参加者に『レゾナンス』について解説中のオリヴィエさん
ラベルの絵柄はモミの木。異なる木々の高さで〝共鳴〟を表現
畑は海岸山脈を起点の西から東に低く伸びる尾根の凸部にあり、標高は80~150m。土壌は古い海洋性の堆積物と玄武岩で、水ハケが良いので灌漑の必要はありません。


20周年となる1996年ヴィンテージも登場
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ルイ・ジャドが1996年から所有しているシャトー・デ・ジャック。今年は20周年という節目です。
「熟成ありきのクリュ・ボージョレです。1999年ヴィンテージは質・量的ともに恵まれていたので、神から祝福された年」とオリヴィエさん
ムーラン・ア・ヴァン1999(小売価格5,000円)と、成人式を迎えた方々への記念としてムーラン・ア・ヴァン シャン・ド・クール1996(小売価格6,500円)がお薦めです!


番外編 Happy Time!
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なんと、加茂文彦シェフソムリエが、ろうそくを2本立てたかわいいケーキを私の前に!
気心知れたオリヴィエさんに「昨日が誕生日だった」と話したので、私を気遣ってくださった(感涙)
「21歳になったことがわかったので、今日からワインが飲めるよ」とオリヴィエさん
嬉しいサプライズ、ありがとうございました!

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photo by Fumihiko Kamo chef sommelier
尊敬するワインジャーナリストの柳忠之さんと酒販ニュースの名記者佐藤吉司さんと一緒
日本リカーの竹内社長、オリヴィエ輸出部長、温かなお気遣い、ありがとうございました!

記載しているワインについてのお問い合わせは日本リカー ℡03-5643-9770


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tsworking

素敵なサプライズ!!
おめでとうございます!!
by tsworking (2016-02-20 00:05) 

fumiko

tsworkingさん、お優しいコメント、ありがとうございます。
ルイ・ジャドにとって、オレゴン進出は新たな門出の1ページです。それだけに気合が入っております。Alcに弱いtsworkingさんにお試し頂けないのが残念です。
このブログを見て下さったオリヴィエさんから、「日本語は読めないけれど、ジャックの写真を含め、画像から十分理解できる」との嬉しいメールが届きました。素敵なサプライズについては・・・
I enjoyed very much seeing you last time in Tokyo and sharing a bit of time for your birthday was very special.
とっても光栄でした!!
by fumiko (2016-02-21 10:20) 

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