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デュヴァル=ルロワの歴史の要『クロ・デ・ブーヴリー』と偉大な『ファム』 [シャンパン]

9日は、青木企画のデュヴァル=ルロワ ワインメーカーズ・ディナーの前に、輸入元ヴィレッジ・セラーズがホテル・ニューオータニ ガーデンタワーで、醸造責任者サンドリーヌ・ロジェット=ジャルダンさんを講師にしたプレス&ソムリエ向けのセミナーを行いました。

1859年創業のデュヴァル=ルロワの本拠地はコート・デ・ブラン地区ヴェルテュ村、年間生産量は430万~450万本、自社畑は200㌶で40%を賄っています。栽培比率はシャルドネ40%、ピノ・ノワール35%、ピノ・ムニエ25%で、全体の50%がグラン・クリュとプルミエ・クリュです。

100年前からの所有畑クロ・デ・ブーヴリー

画像協力:デュヴァル=ルロワ
シャルドネの単一畑、樹齢は50年、沖積土で東向き3.5㌶、斜度は11度


画像協力:デュヴァル=ルロワ
同じ位置から撮影した50年前のクロ・デ・ブーヴリー

4ヴィンテージを垂直試飲

左から
2008年、2005年、2003年、2002年
クロ・デ・ブーヴリーの初ヴィンテージ(VT)は2002年。1995年からリュット・レゾネを採用。今回はすべてノン・ドザージュ(デゴルジュマン:2016年1月11日)の状態でフランスから空輸。発酵はステンレスタンクで、醸造はステンレスと木樽220Lを半分ずつ使用。各容器内でMLFを実施しています。


以前、当主キャロルさんが来日した折に、2008年ヴィンテージについて質問したことがあります。
「収穫時、気温が下がって冷蔵庫のなかにいるような状態だったので、酸がしっかり保たれた上質なぶどうが穫れました。確実にヴィンテージものが造れます」と答えていました。その言葉を思い出しながら、試飲して、最初に感じたのは新鮮なライム! 柑橘系でもレモンとは違う、ピュアで青々しさのある酸!
4VTのなかでも総酸が一番高い8g/L(収穫9月18日)、ちなみに猛暑だった2003VT(収穫は8月27日)は総酸は5.85g/Lでした。

2008年は美しいVTのひとつ。色調は他の3つと違い、緑がかった淡いイエロー。白い花の風情、活き活きしたライムの風味、海洋性気候の影響を受け、酸味が上がったVT。これからの熟成に期待したい」とサンドリーヌさん。大越さんは「口中ではボリューム感がありますが、タイトな印象で冷涼なイメージのシャンパン」と。

2005年の色調はまだ若さを感じるイエローで、ミネラル、ベジタル、シダー、グリエしたニュアンス。アフターに軽いビター感。口当たりはソフト、中盤以降に重厚感とローストした要素。最後にレモンの風味。ランチ時に現行VTの2005が登場(ドザージュ4.5g/L)


2003年は4月~9月までの日照時間が1449時間(2005年は1137時間)もあった異常気象の年。色調はそれを反映した黄金色、気泡は繊細、粘性豊か。香りは熟した黄色系果実、バターやスパイスのニュアンス。酸味は穏やかながら豊潤で口中をきれいに洗い流してくれる印象。ぶどうの収量も減り、1トン/㌶のところが、6000kg/㌶だったそうです。
市販した2003年VTのドザージュ量は2.5g/Lでしたが、通常のようにMLFは行ったとのこと。

2002年は初ヴィンテージ!
大陸性気候の影響を受けた暑くて乾燥した年。凝縮感のある溌剌とした酸、口当たりは繊細で余韻に残るアタックは滑らか。エレガントなスタイル。

クロ・デ・ブーヴリーはヴィンテージ・シャンパンでありながら、毎年生産しています。その理由は〝気候の変化〟の調査です。2002年VTからスタートしたばかりですが、100年前から所有する畑なので、メゾンの面々は畑のことを熟知しており、単一品種(シャルドネ)を使って、同じ醸造方法で仕込むため、スタイルも同じ。ゆえに、気候の変化が理解できるというわけです。20年、50年、100年後を見据えたキャロルさんらしい考え方です。
サンドリーヌさんいわく「大陸性気候の影響が強くなっているので、収穫するシャルドネも、フィネス、エレガンスから、果実味が強く、リッチな要素が出てきています」



ランチには『ファム』2ヴィンテージの比較も

セミナー(左から4本目まで)
クロ・デ・ブーヴリー2008、同2005、同2003、同2002

ランチ(5本目から順に
フルール・ド・シャンパーニュ プルミエ・クリュNV
シャルドネ70%、ピノ・ノワール30%、ベースワインは2011年、ヴァン・ド・レゼルブ15%、ドザージュ8g/L(2014年末にデゴルジュマン
気泡、味わいともに繊細、上質な酸、ミネラル感、口中滑らか
ファム・ド・シャンパーニュ グラン・クリュ2000
シャルドネ95%、ピノ・ノワール5%、ドザージュ4.5g/L
気泡元気、マンダリンオレンジ、ブリオッシュ、ヘーゼルナッツ、アフターに軽いビターテイスト
ファム・ド・シャンパーニュ グラン・クリュ1996シャルドネ79%、ピノ・ノワール21%、ドザージュ4.5g/L
2000年よりパワーのある酸味&ミネラル感、気泡はワインに溶け込み滑らか、5~10年は熟成させたいVT
クロ・デ・ブーヴリー2005
シャルドネ100%、ドザージュ4.5 g/L
ブリオッシュやバター、ハチミツや木の実のニュアンス、上質な酸、バランスが取れたエレガントなスタイル
ロゼ・ブリュット プレスティージュ プルミエ・クリュNV
ベースワインは2008年、サーモンピンクの色調、野イチゴ、イチジク、スパイス、凛とした酸味
すべて750ml


サンドリーヌ・ロジェット=ジャルダンさんと通訳の大越基裕プロフェッショナル・ワインテイスター
サービスは谷宣英エグゼクティブソムリエ


カリフラワーのエスプーマ、キャヴィア添え


帆立貝のポワレ、ブールブランと西洋ネギのフリット
ファム96の滑らかさとミネラル感が帆立の食感と好相性


舌平目のグラチネ、サヴァイヨンソース
食材とソースがフルール・ド・シャンパンの穏やかなクリーミーさに馴染んで


仔牛のロースト、香り豊かなジュ・ドゥ・ヴォー、フリカッセシャンピニオンとともに
ベジタルな要素を感じるシャンパンに野菜たちを合せることで新たな相性探求ができました。レモン水でボイルしたアンティチョークの酸の風味がクロ・デ・ブーヴリー2002の溌剌とした酸と絶妙


あまおうとマスカルポーネ いちごソルべとライムのエキユームにロゼ・ブリュット プレスティージュ プルミエ・クリュを合わせて


この後、開催した日比谷・松本楼でのワインメーカーズ・ディナーは11日付のブログにアップしています。ご笑覧いただけましたら幸いです。

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