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シャトー・アンジェリュス オーナー就任30周年記念テイスティング&ランチ [ワイン]

シャトー経営とワイン造りの両立
1988年から交流がある田崎真也さんとシャトー・アンジェリュス(以後アンジェリュス)のユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレ当主。ユベールさんは4年ぶりの来日でした。11月26日、つきぢ田村で行ったプレスセミナー&ランチでは、1985年ヴィンテージからワイン造りに携わってきたユベールさんから、記念すべき30回目の2014年ヴィンテージについての話がありました。


落ち着いたたたずまい
一歩なかに入ると心地良いお香、なんとエレベーター上部には可愛い匂い袋が!


ふくろうの存在感、雰囲気あるお部屋


アンジェリュスのアイコンは鐘、26ヵ月かけたリニューアルも完了

ボルドー右岸サン・テミリオンに位置するシャトー・アンジェリュス。1985年当時の格付けはグラン・クリュ・クラッセ、1996年にプルミエ・グラン・クリュ・クラッセBになり、2012年に晴れてプルミエ・グラン・クリュ・クラッセA に昇格しました。
シャトーはブアール家が1782年から経営に携わっていて、当主のユベールさんは7代目。経営面だけでなく、ボルドー大学でエミール・ペイノー教授を師として醸造学を学びました。2012年に娘のステファニーさんが8代目を継承、活動しています。


2014年は〝アンディアン〟と命名

ユベール:シャトー経営をしながら家族でワイン造りをしているのはボルドーでも少なく、特にAのなかで家族一丸となって行っているところは非常に少ないです。30回目の2014年はまだ樽の中なので、試飲することはできませんが、日本で30周年を祝いたいと思っています。アンジェリュスの各収穫年にはそれぞれに、その年を象徴する名が付いています。2014年はインデアンサマーの暑い年だったので、〝アンディアン〟と命名しました。

供出された2007年はチャーム、2009年はバロック、2010年は豊潤、2012は一番。収穫年の特徴やその年そのものを表した〝簡潔表現〟です!


第1フライトは2012ヴィンテージの2アイテム

左から#1#2を比較
ユベール:2012年は涼しい気候で、8月下旬から天候は回復、9月は好天に恵まれた。凝縮した感じではなく、エレガント。バランスが良く調和しています。

#1:フルール・ド・ブアール2012 (ME85%、CF+CS15%)
ユベールさんが1998年に購入したラランド・ド・ポムロールのシャトー。現在、息子のマチューさんが醸造を、長女コラリーさんがセールス&PRを担当。醸造施設がモダンで100%グラビティーシステム。醸造タンクはユベールさんが考案したオリジナルで、逆三角形で上からつるしたような形状、上部の液面が広く、段々と先細りになっていることでゆっくりと抽出できるとのこと。砂利質の上に粘土が広がる典型的な土壌なので、ワインはなめらかでタンニンも繊細、チャーミング。リーズナブルなのでレストランで活用を!

#2:ル・カリヨン・ダンジェリュス2012(ME55%、CF35%、CS10%)
アンジェリュスのセカンドワイン。1987年から生産。カベルネの比率が高いので骨格しっかり。グラン・ヴァンより早めに楽しめます。生産量の比率はVTによっても異なりますが20~40%、樹齢が古いのでグラン・ヴァンに回る確率が高いとか。2012年は難しい年だったのでセカンドは30%。ちなみに2015年は80%がグラン・ヴァン、20%がセカンド

第2フライトはエレガントな2012&骨格のある2010

左から)3番目がアンジェリュス2012、同2010

グラン・ヴァン2012は昇格年であり、ステファニーさんが8代目に就任した年であり、26か月かけたイノベーションが終わった年でもあります。、加えて、シャトー創業230年の記念年です。それゆえにボトルには21.7金を使っています。シャトー・ムートン・ロートシルト2000も同じように金を使っていますが、アンジェリュスボトルは文字を刻って、そこに金を流し込み、熱をかけて固めた技術的にも時間的にも手間がかかったスペシャルボトルです。

#3:シャトー・アンジェリュス2012 (ME55%、CF45%)
ユベール:ワインは豊潤でタンニンなめらか、カシミアの感触、長い余韻。カベルネ・フランの樹齢は50~80年。カベルネ・フランは昔から使っていましたが、メルロと一緒に収穫したり、収穫するタイミングが早すぎたりしていたので、私の代になってカベルネ・フラン単独で収穫するようにしています。30年来、マサル・セレクション(青木 注:集団選抜/畑から優秀な株を複数選び、補木をとって苗をつくり、もとの畑に戻す方法)で行い、子供たち次世代に繋いでいくよう努めています。

#4:シャトー・アンジェリュス2010(ME55%、CF45%)
ユベール:グレートVT、気候的にも恵まれ、すべてが良いタイミングで終了しました。長期熟成型のワイン。2012年に比べると、もう少し待たないと飲み頃はこないと思いますが、現段階でも酸があり、バランスが取れています。


濃くて深みのある2012年ヴィンテージ


2012を初テイスティング!


昨年の8月、PR担当マネージャーのボング・グルラ・トラムさんが来日して行ったシャトー・アンジェリュス2012のお披露目会。シャトーやワインについての説明を載せています。ご参考になれば幸いです。


ランチでは3アイテムを

凛として


毎回感心しております、田村隆さんのメニュー

会場には前日(25日)の日本代表選考会で優勝した森 覚ソムリエ、同アジア・アセアニア代表の石田博ソムリエ、エスキスの若林英司ソムリエ等、日本を代表するソムリエ諸氏が! 私のお隣はアジア・アセアニア大会に出場したトゥールダルジャンの野坂昭彦ソムリエ、目の前にはアピシウスの情野博之ソムリエがいらっしゃいました。


フルール・ド・ブアール2010をサービス


前菜には#5のフルール・ド・ブアール
野坂ソムリエは相性について「柔らかいテクスチュアで、カシスやプラムのような濃密さ、スパイスや複雑さがある香り、メルロ由来の味わいで余韻も素晴らしい。前菜との相性で違和感がなかったのがサーロインのニンニク巻で、シューシーな肉の旨みと、口当たりの柔らかい赤ワインが合っていました。もろみ豆腐との組み合わせは複雑な香りやソルティなテイストが面白く、鶏チーズ焼きも違和感がなかったです」とコメント
 

造り替りは豪華な伊勢海老、海胆(ウニ)焼き ブロッコリー
#6:シャトー・アンジェリュス2007(ME62%、CF38%)と合わせて

海胆とのマリージュでは生臭さもなく好印象。ユベールさんの簡潔表現〝チャーム〟の通り、2007年VTには柔らかさやふくよかさが備わっています。酸との相性に関して、「海胆にレモンを加えることで酸が旨みを引き出してくれます」と森ソムリエがコメントしていました。2007年にはフレッシュさもありました。


温物は南瓜万頭、鶏丸、モッツアレラチーズ、べっ甲あん


#7:シャトー・アンジェリュス2009 (ME60%、CF40%)


焼物は本鮪大トロ 炭火焼 炒め玉葱、しし唐、みぞれ酢を2009と合わせて

相性について、森ソムリエは「まぐろの脂の部分の芳醇な味わいと炭火焼の香ばしさが熟成したワインの香ばしさと良く合い、玉ねぎが入ることで土っぽさが加わりました。また、ししとうはベジタルなアクセントで、フレッシュな印象を与えていました。ただ、個人的にはみぞれ酢(大根のソース)を使うなら2007年のほうが合うと感じました」と。また、発展的な意見として「2009年VTにはエキゾチックとかオリエンタルという印象があるとユベールさんがおっしゃっていたので、ワインが好きな人に出すのであれば、カレーパウダーやお塩、モミジおろしの活用も。カレーパウダーの風味は2009年のオリエンタルスパイスの香りに似ています」。


刻みべったら、昆布
香物 ワイン楽京
止 焼き鱈子、茶漬、三葉 のり 山葵

情野ソムリエが、フルール・ド・ブアール2010と昆布との相性をおっしゃっていたのでトライ。昆布のヨード感が2010と合わせてナイス、納得できました。情野さん的には「アンジェリュスの2009には前菜に登場していたもろみ豆腐や渋皮栗が合いますね」と


ブアールさんと愛妻エマニュエルさん


当日の供出ワイン (左から) #1~#7

日本代表選考会でも出題されたアンジェリュス

11月25日に行われた日本代表選考会の第3ステージ
映像の問題にアンジェリュスも出ていました。

ユベールさんからのメッセージ
ユベール:今後は日本市場に焦点を絞っていく方針です。日本は成熟した市場であり、ワイン愛好家も多いです。ソムリエの質も高く、伝統を育み、繊細さや正確さを緻密に詰めていく点はアンジェリュスの哲学と合致しています。日本語表示もあるWEBもリニューアルしました。

ということなので、シャトー・アンジェリュスのサイトをリンクしておきます。是非、チェックなさってください。

今週木曜日(10日)刊の〝ワインのこころ〟では、ユベールさんが語ってくださった007『スペクター』とシャトー・アンジェリュスについてまとめています。
[るんるん]追記(2015年12月10日) 007『スぺクター』に登場するシャトー・アンジェリュス

アンジェリュスにブログをアップした報告かたがた、聞き損なってしまった「なぜ2005年ヴィンテージ(VT)を選択したのか」についてもメールに書いて送りました。昨夜、PR担当マネージャーのボングさんから以下のお返事が!
The Broccoli/Wilson family has very high end tastes and wished to have one of the most spectacular and finest vintages produced.
The choice has therefore been 2005.
最も人を惹きつける素晴らしいVTのひとつだからというのがその理由のようですが、ユベールさんが今まで造ってきた30VT(30番目は樽の中)のなかでも、2005年は〝伝説のVT〟と呼ばれているワインのひとつ。
超一流を好むジェームズ・ボンドにぴったりです!


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