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3回目の新たな試み〝シャブリと和食の相性〟 [来日したワイン生産者&関係者]

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〝Pure〟という形容が良く似合うChablis!


シャブリワイン委員会が推奨している〝和食とシャブリ〟のマリアージュ
3回目を迎えた今回はプルミエ・クリュにフォーカス。過去2回はソムリエ主導でしたが、今年はプレゼンターに日本料理『菱沼』の当主菱沼孝之さんを迎え、料理人の視点からシャブリをコメントしてくださいました。

当日の概要は6月18日付のワインのこころで紹介しました。
また、ブログにまとめた2013年2014年のプレスランチをリンクさせていただきますので、シャブリ全体の流れをご確認いただけましたら幸いです。

供出ワインは7アイテム
準備されていた2ヴィンテージ(VT)について、「2010年、2011年ともに歴史的なVTで品質も素晴らしい」とモロー会長

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#1:シャブリ ドメーヌ・ダニエル・ダンプ・エ・フィス2011  輸入元:エノテカ
シャブリに16ha、シャブリ・プルミエ・クリュに14haの畑を所有、すべてステンレスによるピュアな味わい、フルーティさより、テロワールを生かす生産者。フラワリーで強すぎないミネラル、魅力的なシャブリ

#2:シャブリ・ブルミエ・クリュ モンマン ドメーヌ・ドルーアン・ヴォードン2011 輸入元:三国ワイン
左岸、南西に位置する渓谷にあり、土壌は石灰より粘土が多い。酸味はストレート、ミネラル感、余韻に軽いビター感。ビターさとアスパラガスとの相性良好、ストレートな酸と梅干しとの相性〇
モロー:ぶどうが熟すまで他より時間がかかるので、ワインを味わうにも数年かけたほうが良い。

#3:シャブリ・プルミエ・クリュ ヴァィヨン・セシェ ドメーヌ・ジャン・コレ2011 
輸入元:木下インターナショナル
左岸、なだらかなヴァイヨンの南東斜面に位置し、土壌は石灰質で小石が多い。コンポートした果実や芯のある酸、最初のフルーツ感から最後のミネラル感まで変化が楽しめるシャブリ。胡麻豆腐と合わせると口中にソフトな余韻が広がり好印象。

#4:シャブリ・プルミエ・クリュ モン・ド・ミリュー ラ・シャブリジェンヌ2011 輸入元:モトックス
右岸、シャブリ全体の4分の1という最大生産量、品質的にも秀逸な協同組合。アロマ豊か、ミネラル感、熟したフルーツのニュアンス。ステンレスと木樽使用。ウニと合わせるとなめらかで渾然一体感。

#5:シャブリ・プルミエ・クリュ レ・フルノー ドメーヌ・ルイ・モロー2011 輸入元:豊通食料
右岸、当主ルイ・モローの父ジャン・ジャック・モローによって拡大したメゾン。ステンレスのみ使用、果実のアロマ、歯切れの良い酸、フレッシュな味わいが長く残る。ウニと合わせると口中に厚みを感じ、その後、しっかりとした酸の存在あり。アスパラとの相性も良く、全体的に包容力があるワイン

#6:シャブリ・グラン・クリュ ヴォーデジール ドメーヌ・ジェラール・トランブレイ2011 
輸入元:日仏商事
日当たりの良い南西向きのグラン・クリュ。土壌は石灰、キメリジャン。自然な酸を生かすため、少し早目の収穫を行う。若いうちはフローラル、5~7年経過で砂糖漬けの果実。口当りはまろやかなれど骨格のあるワイン。焼き穴子と絶妙のバランス

#7:シャブリ・グラン・クリュ レ・クロ ドメーヌ・ロン・デパキ2010 輸入元:メルシャン
シャブリの全グラン・クリュの約1割にあたる10haのグラン・クリュを所有。レ・クロはシャブリ最大のグラン・クリュで、ドメーヌ・ロン・デパキでは2区画を所有。70%ステンレス、30%樽使用。湿った小石、果実風味、アーモンドやヘーゼルナッツ。すし飯の昆布出汁とまるい酸はレ・クロのミネラルとバランス良好。


六本木『菱沼』にて
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シャブリワイン委員会のルイ・モロー会長と菱沼孝之さん

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箸置きは百人一首、私のは喜撰法師の
「わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と人はいふなり」の下の句、粋ですね

ワインと料理の酸味を生かす
菱沼当主は「酸味が足りないと料理もワインもすすみません。空飲み(ワイン単独で飲むこと)はしないで、料理と合わせることが大事です。酸に対して抵抗を感じる人が結構多いので、ワインだけで飲むとマイナスになります。攻撃的な酸もありますが、厚みのある酸や柔らかい酸など、酸にもいろいろあります。それらの酸を料理と合わせてどう生かすかがポイントです」と語っていました。

また、シャブリについては「和食との相性が良く、キレのある酸とミネラルが特徴です。食事と合わせると毎回口中をリフレッシュさせてくれます」と。

季節感を生かしたメニュー(5月13日実施)
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前菜:胡麻豆腐 生うに 山葵(わさび)のせ
北海道産のうに、たっぷりの胡麻を使った豆腐、昆布出汁(ミネラル豊か)でメリハリをつけた一品

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:帆立貝のムース 空豆のすり流し 叩き木の芽

帆立貝をムース状にして、昆布出汁でひきのばした生クリームを加える。日本料理で言うしんじょう(白身魚の正肉をすりつぶしたもの)。空豆もすり流しでポタージュ的
菱沼:普通の澄まし汁と違い、ワインとの相性も良いと思います。


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造り:鯛の昆布〆 アスパラガスと梅肉のソース

旬の明石の鯛の昆布〆と北道産グリーンアスパラとホワイトアスパラ。梅干しの実の部分をたたいて作ったソースをかけた一品
これは究極の酸vs酸のマリアージュ、目からうろこの体験になりました。料理だけだと梅干しの酸味が際立ちますが、ワインと合わせると、双方の酸が溶け合ってまろやかに。
モロー:西洋人にとって梅干しは驚きの食材ですが、合わせて違和感はなく、新たな発見がありました。


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蒸し物:海老のしんじょう蒸し

海老のしんじょうは桜の葉に包んで蒸し、香りを纏(まと)わせた一品
菱沼:魚介類はシャブリと絶妙の相性

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焼き物強肴:穴子と茄子のあんかけ(後方) 桜ますの木の芽寿し(前方

焼き物は焼き穴子と茄子を少し甘酸っぱい味付け
菱沼:ワインもコクのあるタイプになるので料理もそれに合わせて力強く

強肴は桜ますの押しずし、季節の木の実の香りを纏(まと)わせて。
菱沼:日本の食材や食材の香りとシャブリの相性は良く、桜ますの押しずしはレ・クロと良く合いました。


シャブリの最新情報
■2014年のシャブリワインの日本市場向け実績は金額ベースで第2位、数量ベースは第3位。
輸出量は189万5千本(ー12%/2013)、1425万4千ユーロ(-4%/2013)。内訳はプティ・シャブリとシャブリで79%、シャブリ・プルミエ・クリュとシャブリ・グラン・クリュで21%です。
ちなみに、シャブリの区分は下からプティ・シャブリ19%、シャブリ66%、プルミエ・クリュ14%、グラン・クリュ1%となっています。

■日本に輸出されているブルゴーニュワインの54%は白ワインですが、ここ6年にわたり、シャブリはそのうちの40%以上を占めています。
■シャブリの生産量は約4000万本、ワイン生産農家は300軒以上
■市場の内訳(2014年数量ベース)でEU圏内(仏除く)65%、EU圏外35%
圏内:英26%、独10%、ベルギー7%、スウェーデン8%、デンマーク3%、オランダ4%、その他7%
圏外:日本9%、米7%、カナダ5%、ノルウェー4%、スイス1%、ブラジル0.5%、香港0.7%、その他7.8%

日本のワイン層、ワイン市場に関する調査
■日本の主たるワイン消費者の年齢層は30~39歳で、女性が中心。女性の40%は月に最低1回はワインを飲んでいます(男性は31%)。女性によるワインの消費は、市場の約60%を占めると予想されています。
■ワインの消費は都会が中心、大都市の大型店舗ではワインの品揃えも充実しています。

日本料理店におけるシャブリワインの消費はまだ少数ですが、モロー会長は「1~2年前から、日本の大都市で少しずつ、メニューへの掲載率が増えてきました。レストランに対するグラスワイン(グラン・クリュ、プルミエ・クリュ)の訴求にも力を入れています」と語っていました。
今まで奥手だったシャブリが、積極的な態度に変わってきました。
2013年は少ない収穫量と為替の影響で金額(-4%)、数量(-12%)とも影響を受けましたが、数量ベースでは順位(4位から3位)を上げている日本なので、和食と相性の良いシャブリに対する関心も高まります!


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